5313.トリウム熔融塩炉の開発が始まる



トリウム熔融塩炉の開発が、日本の民間ベンチャーから始まる。原
子炉開発を数人のベンチャーが行うことは、今まではありえないこ
とであり、それを古川さんは、多くの同志から資金を得て実行し、
世界から注目を浴び、世界から投資資金が集まり始めている。
その古川さんから、開始のメッセージが届いた。


「前例の無い・非常識」を実行しています。
古川 雅章20150317Fm

TTSはこのほどノルウエーのINSTITUTT FOR ENERGITEKNIKK(IFE) 
に対する委託開発契約に署名し、IFEの一部門である OECDハルデン
炉プロジェクト が持つ試験用原子炉を使った「RinR」の開発を正
式にスタートすることになりました。
 OECDハルデン炉プロジェクトは、試験用原子炉を持つ 人員約300
名の原子炉用材料及び核燃料の照射試験を世界中から委託されて行
っている原子力の研究機関で、TTSが「RinR」の開発のためにOECDハ
ルデン炉プロジェクトと組むことは、TTSとして最強の開発体制を構
築したことになります。
 TTSとOECDハルデン炉プロジェクトが提携した「RinR」開発プロジ
ェクトを「ハルデンプロジェクト」と呼んでいますが、TTSの方針は
ハルデンプロジェクトは世界に向けて門戸を開き世界中の国に参加
を呼びかけることにしており、既にドイツ(EURATOM)スエーデン、
イギリス等の研究機関、企業から参加の意思表示を受けています。

 「RinR」は世界中の原子炉保有国が模索しているプルトニウム・
マイナーアクチニドの消滅と使用済み核燃料の処理の問題の解決を
可能にするもので、TTSは、人類のエネルギー問題を解決し「人類を
救う」ということを目標にしていますので、この開発に当たり広く
世界中の国に門戸を開くことにしています。
 ハルデンプロジェクトの正式スタートにより、TTSは最終目標であ
る「トリウム熔融塩炉」の開発に向けた本格開発の第一歩をスター
トします。
 OECDハルデン炉プロジェクトは世界中の政府、研究機関、原子力
関連大企業から委託を受けて原子炉用材料及び核燃料の照射試験を
行っており、日本政府も原子炉の安全性の基準を作る際にはここに
試験を委託しています。
 もともと原子力の開発という大型テーマは国家が手掛けるのが常
識で、TTSのような小さなベンチャー企業が手掛けるということは
「前例の無い・非常識」です。
 また、原子力の開発というような常識では公的資金でスタートす
べきものを、民間の個人の資金提供によってスタートするのも「前
例の無い・非常識」です。資金調達の専門家は、皆さん「ありえな
い」と言っています。

 また、一般に大型プラント開発からスタートする原子力の開発に
おいてミニチュア原子炉である「RinR」の開發からスタートするの
も「前例の無い・非常識」です。ただし、ロケット開発においては
糸川英夫博士がペンシルロケットからスタートして現在の日本のロ
ケット産業のベースを作ったという前例があります。
 また、海外の国際プロジェクトから原子力開発をスタートすると
いうのも「前例の無い・非常識」だと思います。
 感じることは「前例の無い・非常識」を実行することは、経営と
して最も安全な道を選択しているという実感です。
 企業においては、企業間競争に勝つことが常に命題です。ところ
が、TTSには競争相手がいません。競争にさらされないということは
経営として最も安全な道を選択していることになります。
 また、われわれは既存の体制に対しても反対も抵抗もしていませ
ん。
 むしろ、行き詰まり状況にある日本の原子力に新しい希望を提供
するものだと考えており、原子力関係者からは歓迎されると考えて
います。
 日本では、使用済み核燃料の処理が未解決の大きな問題となって
います。

 六ケ所村再処理工場は問題が続出してまだ稼働していませんが、
仮に稼働したとしてもそこから発生する高レベル放射性廃棄物の処
理についてどうするかが大きな問題です。一応,深地層埋設という
ことになっていますが、受け入れる地域があるとは思えません。
 また、六ケ所村再処理工場が稼働したとしてそこで取り出したプ
ルトニウムの行き先がありません。高速増殖炉で燃料として使うと
いうシナリオはありますが、実証炉もんじゅの開発の見通しがあり
ません。日本が核武装に結びつくプルトニウムを大量に持つことは
国際社会が認めませんので、高速増殖炉の実現の見通しの無い六ヶ
所村再処理工場の稼働は困難であると思われます。

 また、使用済み核燃料を処理しないで直接深地層埋設する方法も
検討されていますが、これも地域住民が受け入れるのは困難だと思
われます。
 我々は「RinR」によってプルトニウム及びマイナーアクチニドを
消滅処理する方法を開発します。これにより、六ケ所村再処理工場
の稼働の可能性が出てきます。
 使用済み核燃料の処理は、世界中で未解決の問題です。この問題
の解決に向けた技術開発を日本が先頭に立って行うことによって日
本は世界に貢献することになります。
我々は、最終的には「トリウム熔融塩炉」の開発を目標としていま
す。

現在日本では原子炉の再稼働が進められています。しかし、仮に再
稼働したとしてもいずれは廃炉にせざるを得ません。その後をどう
するのかについてはアイデアがありません。新しい軽水炉の建設は
特に高コストの問題から有り得ないと思います。
安全で、使用済み核燃料処理の問題も解決可能で、プルトニウムを
作らないため核武装に結びつかず、何よりも水力発電並の安い電力
を供給できる可能性を持つ「トリウム熔融塩炉」は最も有望な次世
代原子炉です。
われわれは,行き詰まり状況にある日本の原子力に希望を提供しま
す。そして、日本が世界の先頭に立って新しい原子力の時代を開き
、世界のエネルギー問題の解決に貢献する道を開拓します。





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