5316.日米がもっとも親しい同盟関係か?



中国のアジアインフラ投資銀行に英国が加盟することになったが、
米国は、もっとも緊密な関係にある英国が中国の味方をするとは何
事かと怒っている。

英国が参加をすると聞いて、米国の顔色を見ていた各国が雪崩を打
って参加している。韓国も参加の方向である。

この中、日本は米国の要請を受けて、参加しない方向である。安倍
首相の70周年談話も米国からの強い要請を受けて、歴史見直しを
しない方向にするはずである。

もし、歴史見直しをしたら、欧米は全て日本の敵になり中国に肩入
れすることになる。独メルケル首相が来て言ったのも、日本は戦争
の正当化をするべきではないし、もししたら、欧州諸国は日本を見
捨てるということを宣言しに来たのである。もう半分以上は中国の
味方をしていると思ったほうが良い。

このため、安倍首相もメルケル首相との対談後、非常に疲れた様子
であった。それだけ、日本の70周年談話に釘を刺されたというこ
とである。

米国も同様な方向であるが、日本の味方であり、もし、歴史見直し
をすると日本の立場がなくなるのでやめるべきという警告である。
欧州諸国とは、雰囲気が違う。

とうとう、米国は、先進諸国で日本しか言う事を聞く国がなくなっ
たようである。日本も米国しか本当に味方をなくしている。

対中国の戦略を共同して構築するのは日米しかないとも言える。

日本は間違っても、米国の要請を拒否できなくなったということで
ある。そして、米国も対中国戦略を共同で構築できるのは日本しか
ないことになったのである。

中国が大きくなり、中国を無視できなくなったことによるが、これ
は、私的には、昔から構想していた姿である。

日本と中国の本当の意味での競争が始まったように感じる。

さあ、どうなりますか?


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韓国、アジア投資銀参加か=近く正式表明−地元紙
 【ソウル時事】19日付の韓国紙・東亜日報は、韓国政府高官の
話として、同政府が中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB
)への参加を決めたと報じた。企画財政省や外務省などが加入条件
を調整した上で、3月中に正式に表明する予定という。
(2015/03/19-11:02)
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中国人民元が急伸、年初来で上昇に転じる
2015年 03月 19日 16:59 JST
[上海 19日 ロイター] - 19日の上海外国為替市場で人民元
が3日連続で上昇。200日移動平均線を上回り、年初来で上昇に
転じた。
中国人民銀行(中央銀行)はこの日の人民元の対ドル基準値CNY=SAEC
を6.146元に設定。前日の基準値は6.1556元だった。
人民元の対ドル直物相場CNY=CFXSは1ドル=6.2140元で寄り
付き、取引中盤の段階では6.1961元。
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アジア投資銀への参加否定=「米主導への挑戦」−財務長官ら
 【ワシントン時事】中国が主導するアジアインフラ投資銀行(A
IIB)にドイツなど欧州主要国が相次ぎ参加を表明したことを受
け、米政府高官らは17日、米国の参加を否定するとともに、「米
国の主導権への挑戦だ」などと警戒感を強めた。
 アーネスト大統領報道官は記者会見で「現時点で米国が参加する
計画はない」と述べ、AIIBに距離を置く立場を強調。「参加国
は、AIIBが他の国際機関と同様に高い(融資)基準を設けるよ
う追求することが重要だ」と訴え、推移を注視する考えを示した。
 一方、ルー財務長官は下院の公聴会で、AIIBを念頭に、「新
たなプレーヤーが多国間制度における米国のリーダーシップに挑戦
している」と発言。国際通貨基金(IMF)の議決権改革が米議会
の反対で滞っていることに関し、「新興国が不満を募らせ、他の(
国際)機関を求めるのは偶然ではない」と訴えた。
 (2015/03/18-09:03)
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仏、独、伊も参加へ=中国主導のアジア投資銀
 17日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、中国主導で年内発
足を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、フランス、ド
イツ、イタリアも参加すると報じた。英国に続き、欧州主要国が加
盟で合意したことは、投資銀に距離を置くよう働き掛けてきたオバ
マ米政権の「打撃」になると分析している。
 同紙によると、オーストラリアと韓国もこれまでの姿勢を改め、
参加を検討しているという。
 アジアインフラ投資銀をめぐっては、英国が12日、日米欧の先
進7カ国(G7)で初めて参加を表明。中国が主導する国際機関を
警戒する米国は、英国に不快感を示した。(2015/03/17-10:54)
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米政府、英の参加を非難=アジア投資銀の透明性に疑問
 米政府は12日、中国主導で年末に発足を目指すアジアインフラ
投資銀行(AIIB)に、英国が先進7カ国(G7)では初めて参
加を表明したことを非難した。13日付の英各紙(電子版)が伝え
た。米国が盟友の英国に不快感を表明するのは異例。
 米政府は、中国が国際機関を設立することを強く警戒。AIIB
が融資基準や組織統治において、世界銀行やアジア開発銀行(AD
B)のような高い透明性を持つことができるか疑問を呈している。
 フィナンシャル・タイムズ紙によると、英国はAIIBへの参加
を「米国に相談なし」で決定。米当局者は「中国になびく傾向に米
国は慎重だ」と不快感をあらわにしたという。
 中国は、欧米などの発言力が強い既存の国際金融機関に不満を持
っており、AIIBはこれらに対抗する狙いもある。(時事)
(2015/03/13-16:43)
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 米国の「失望」表明、これから西側の団結に亀裂がはいる?
  英国の「アジアインフラ投資銀行」への参加に米国は「怒り」を露わに
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2015年3月20日no.4493号 

 中国主導の「アジアインフラ投資銀行」に英国が参加表明したこ
とは「事件」であり、米国のウォール街は「怒り」に包まれたとい
う(英紙ガーディアン)。
同じく英紙「フィナンシャルタイムズ」は、米国オバマ政権に「失
望」が広がっていると報道した(19日付け)。
おなじ失望でも首相靖国参拝への「失望」事件と、シティの中国政
策への急接近への怒気を含んだ「失望表明」との間には強いニュア
ンスの差違がある。

 対照的に中国語の媒体は「英国の決断」などとし、同行に加わら
ない日米に冷淡な分析をしている。中国としては政治的得点になる。

 英国はすでに二年前からシティで人民元取引をみとめ、同時に中
国国債も取引されている。おなじくフランクフルト市場でも。
 これは「ウィンブルトン方式」と言われ、市場関係者からみれば
「貸し会場ビジネス」である。
つまり有名なテニスの世界大会を開催し、たとえイギリス選手の活
躍がなくとも、集まってくる人々(外国籍の)が落とすカネが魅力
であるという意味である。

 こうした文脈からいえば英国のアジアインフラ投資銀行に参加表
明も、そこにシティとしてのビジネス拡大の可能性を見たからであ
り、対米非協力への傾斜という政治的思惑は薄い。
したがって英国にとってはオバマ政権の反発は意外のことだったと
考えられる。

 イタリアとフランスの参加表明はユーロが米ドルよりも強くなれ
ば良いという斜に構えた動機であり、また加盟すれば幾ばくかの情
報が取れるという打算に基づく政治的行動だろう。

 さて中国のアジアインフラ投資銀行だが、日本の新聞をみると英
国につづきイタリア、フランスなども参加に前向きだから韓国も最
終的には加盟するのではないかという報道が目立つ。
 あたかも「乗り遅れる日本」という錯誤的な焦燥を演出し、脅威
視しているようだ。
しかし、そんな必要はまったくない。

 ▼アジアインフラ投資銀行はブレトンウッズ体制への挑戦になる
か?
 米国は嘗て宮沢政権のおりに、日本が設立を目指したAMF(ア
ジア通貨基金)を構想の段階で横合いから強引に潰したように、中
国主導のドル基軸に挑戦するような国際機関の動きには警戒してい
る。

基本的動機は戦後の世界経済を牛耳るブレトンウッズ体制(つまり
世界銀行・IMF体制)に中国が挑戦してきたと認識するからであ
る。
しかし米国は中国の動きを牽制したが、潰そうとはしなかった。そ
れだけ日本は押さえ込める自信があっても、中国を制御する政治力
は、もはや米国にはないということでもある。
 
 そもそもアジアインフラ投資銀行を設立する中国の思惑は
(1)人民元の拡大と(2)アジアにおける人民元の覇権、
(3)中国主導のアジア経済訂正の確立という、金融帝国主義であり
、南シナ海での侵略行為によって四面楚歌となった政治状況を、カ
ネを武器に主導権の回復を狙うものである。

 インフラ整備になやむアセアン諸国ならびにインド経済圏は喉か
ら手が出るほど欲しい資金を中国が供与してくれるのなら政治的行
動は抑える。露骨なのはカンボジア、ラオス、タイ、インドネシア
などだ。つまり反中国でまとまりつつあったアセアンの団結への動
きを、中国は攪乱しているのだ。

 そうはいうものの新銀行は貸し付け条件も金利の策定方法も、審
査方法もまったく白紙の状態であり、基本的に銀行のガバナンスを
知らない国が国際銀行業務をスムースに展開できるのか、どうかが
疑問視されている。

 あまつさえ人民元の拡大を狙う同行の資本金が米ドル建てという
不条理に対して納得できる説明はない。くわえて同行の本店ビルは
北京で建設が始まったばかりで、どう最速に見積もっても2017年度
ごろに完成である。

そのうえ資本金振り込みにも至っておらず、拙速の開業があっても
2016年、そのころに中国の外貨準備が潤沢のママであろうか?


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