5308.中国賃金上昇でアジア全体の製造業が強くなる



エコノミスト誌に「A tightening grip」が載っている。リンクは
最後。

これによると、中国の製造業は、今でも世界的な生産地であり、賃
金が上昇した現在も、機械化などで、ヨーロッパ製品の製造が増え
ている。そして、靴などの軽工業は東南アジアにシフトしているが
、機械産業や電子機械などの生産は、2000年より増えていて、
中国は全体生産量を維持していながら、アジア全体の製造業のシェ
アは大きく増えているのである。

その分、欧州と北米での工業製品生産量が大きく落ちている。

中国の賃金上昇で、中国の製造業は基盤が崩れてきたという評論が
多いが、実際は、中国の基盤は確かであり、徐々に産業シフトが行
われて、中国も、アジアも輝かしい未来が来るようである。

中国の製造業についての神話は、中国ではアセンブリだけで、利益
の大きなデザインと設計は欧米や日本であるという。これも変化し
て、中国企業の製品の割合が1990年の40%から65%になっ
てきた。この良い例がスマホのシャオミである。

賃金は高いが、それ以外の物が含めると、フィリピンで生産するよ
り安くなるようである。これはインド企業担当者も言っていること
である。私も中国と東南アジアでプログラムを開発した経験からも
中国人の方が東南アジアの人より優秀であった思い出がある。

それと、中国の現在の給与水準は、米国の1/4ほどである。

ということで、中国の製造業が衰退するということは起こらないと
いう。しかし、7%の成長ができるのかでしょうね。維持はできる
が、それ以上の付加価値を持った製品を作れるようにならないと、
日本や欧米の製品との勝負はなかなかできないようである。

日本企業が徐々に中国から日本に製造部門を移す動きが出ている。
これは円安で対ドルで120円以上になったことで、ドルにリンク
している人民元に比べて、大幅に安くなったことで、中国で生産す
るより日本で生産したほうが安いことになったことによる。

中国も対ドルでの切り下げをする必要が出てくることになりそうで
ある。そうしないと、日本で売る製品が日本生産品に負けることに
なるからである。

さあ、どうなりますか?


A tightening grip

コラム目次に戻る
トップページに戻る