5302.中国全国人民代表大会で



3月5日より中国の全国人民代表大会が開催された。今年、習近平
が独裁体制を確立して自由に政治ができるようになった。さあ、ど
のような方針で中国は進むのであろうか?検討する。津田より

0.独裁体制確立
WSJが、全人代の一場面の写真を載せている。参考資料にあるPDFで
あるが、完全に習近平と李克強の立場の違いを物語っている。習近
平は、独裁政治ができる状態であることが分かる。

また、李克強首相の政府活動報告冒頭の「習近平同志を総書記とす
る党中央の力強い指導の下、全国各民族・人民は心を一つにした」
が本当であることが分かる。昨年の活動報告との違いは、「指導の
下」の前に「力強い」という言葉が加わっただけであるが、これは
独裁政治が確立したことを意味するようだ。

このため、後方に座った共産党総書記の習近平氏が内外に発する政
治メッセージを李首相が「代読」しているという印象である。

また、中国政府筋によると、習氏は党・政府内部の会議で、李氏を
叱責することもあるという。通常は公表されない最重要会議を主宰
した習氏は、国務院(中央政府)、全人代、最高人民法院(最高裁
)などの党組織「党組」から報告を聞き、「党中央による集中かつ
統一した指導の堅持は、根本的な政治ルールだ」と訴えた。という
から確実である。

総書記の下に全機関の権力を集中させることで、江沢民・胡錦濤時
代の「集団指導体制」は崩れた形になっている。

権力闘争に習近平は勝利したことが確実であるが、しかし、団派や
上海閥の巻き返しを考える必要がある。このため、今後、老同志の
摘発を行わないことにしたために、その汚職摘発の方向が、現政権
内部の官僚や軍人、経済人に向き始めている。

李克強首相は全人代での政府活動報告で「汚職の温床を根絶する」
と表明している。そして、中国の全人代代表の多くは、全人代期間
中に滞在するホテルへのチェックインの際、大きな赤色の箱に真っ
先に気付く。これは一般の人々が投書する箱である。ということで
代表らによれば、緊縮を求める当局の圧力と厳しさはこれまでとは
別次元にあるという。

そして、先ほどのWSJが、この場面で習近平は何を李克強に言ったの
かと読者にクイズを出している。この答えは各自考えて見てくださ
い。

全人代に提出された文章は膨大ですが、読みたい人は「China NPC 
2015: The Reports」WSJにありますので、英語ですが読んでくださ
い。

全人代は、3月5日から15日まで11日間の日程で北京で行われ
る。新華社のサイトでは、全人代の個別的な話題がある。しかし、
問題になりそうなことは記述されていない。このため、米WSJなどの
方が面白い。

1.経済政策
経済が減速し、デフレが迫り来る中で、中国政府は年間GDP成長
率の目標を昨年の「7.5%前後」から2015年の「7%前後」へ引き下
げる。しかし、7%の経済成長ができるかどうか危ないことが、楼
継偉財政相が急激な景気減速を回避するため、中国は2015年に
景気刺激的な財政政策を講じるとした。この公共投資の規模を「あ
る程度保ち、誘い水の役割をしっかりと発揮させる」として、鈍化
した経済成長を下支えする考えで、年間30兆円の公共投資を行う
というから相当なものである。2008年のリーマンショック後の
公共投資57兆円で中国は大躍進するのであるが、その規模までは
いかないが、相当な公共投資である。

このため、中国政府は2015年の財政赤字について1兆6200
億元(2586億1000万ドル、27兆円)と、対国内総生産(
GDP)約2.3%になるとの見通しを示した。予算は328兆円
規模であり予算の8%、GDPは1150兆円である。GDPは日本
の2倍強である。

中国は去年も同2.1%を上回り、世界的な金融危機への対応で大
規模な財政出動を実施した2009年以来の高水準になっている。
GDPを無理して上げているが、そのためにどんどん財政規模が膨らん
でいる印象を受ける。

しかし、中国は地方政府債務の処理に苦戦しており、同国指導部は
大規模な景気刺激措置の可能性を排除している。省政府など地方政
府の公共工事は押さえるということであろうか?ということはどこ
で工事をするのかということになる。このため、アジアインフラ投
資銀行を作り、シルクロード戦略を打ち出した。

もう1つが、中国人民銀行(中央銀行)が週末に追加利下げに踏み
切ったことは、急速な景気減速や大量の資金流出を踏まえたことで
あり、財政出動と歩調が合い、理解できる。

それと、国内市場に入り込む外国企業排除が高まり、それと同期し
て欧米文化の排斥という形で、過去数年で外国人に対する敵意が増
している。外国企業は政府の措置について、自分たちを市場から排
除したり不平等な競争の場に置いたりするのではないかと疑い、投
資の引上げをいつ行うか、その時を探しているようである。

しかし、実際は高度な技術を持つ企業の導入が必要であるが、その
企業を誘致するにも、欧米文化の排斥は大きな障害になっている。

特に日本企業からの投資がなくなり、今後の産業高度化ができない
事態になっている。このため、早期に日中関係を正常化する必要が
ある。

このため、中国外務省は、19日に東京で開催される日中安保対話
について「両国外交・防衛部門が交流する重要なチャンネルだ」と
した上で、「両国関係や安保・国防政策、国際・地域問題に関し、
意見を交換すると思う」と述べた。

また、全国政治協商会議委員、元中国国防部外事弁公室主任の銭利
華(チエン・リーホア)少将は2日、日中防衛部門は海空連絡メカニ
ズムの構築ですでに共通認識を得たと発言。日本側が何らかの問題
を起こさないかぎり、間もなく始動するとした。

習近平の独裁体制が確立して、やっと、経済や外交に新機軸を出せ
ることになり、日中関係正常化に向けて動き始めた。

今後、心配は安倍首相の70周年談話で、日中戦争の正当化と思わ
れるような表現があると、中国の政治状況は変化するので、安倍首
相は、河野談話、村山談話を踏襲して欲しいものである。

2.国防関係
15年国防予算について「前年実績比の伸びは、だいたい10%前後」
と述べ、過去最高を更新するとの見通しを示した。8890億元(約17
兆円)規模となる計算だ。ドル換算では、5343億ドル(約63兆円)
を計上した米国の16会計年度(15年10月〜16年9月)の国防予算案
(戦費除く)の約4分の1に相当する。円換算では、日本の15年度
防衛予算案(約4兆9800億円)の約3.4倍の規模だ。2兆4672億ルピ
ー(約4兆7800億円)としたインドの15年度国防予算案の約3.5倍に
あたる。アジア全体での13年から14年にかけての軍事費増加額のう
ち63%を中国が占めるなど、中国の軍拡が突出していると指摘した。

まだ、米国とは軍事的な実力は大きな差があるが、日本とは、すで
に中国が優位で、それも大きな開きがある。

3.大気汚染という問題
李克強など政府は、大気汚染解決のために、中国国営・中央テレビ
を離職した著名女性記者、柴静さん(39)の微小粒子状物質PM
2.5の実態を調査し自主制作したドキュメンタリー番組に協力し
たが、あまりに大きな反響に、メディア規制を統括する党中央宣伝
部は3日、国内メディアに対し、全人代では柴さんの番組をこれ以
上報道・評論しないよう指示。「秘密」扱いの指示内容がネット上
で暴露された。

このため、政府と党中央が分裂した印象を残した。最初のWSJでのク
イズの答えとして、この件で習近平が李克強を叱責した可能性が高
いと見ているが、どうであろうか?

全体として、中国は対日外交を修正してくると見ているがどうであ
ろうか?

さあ、どうなりますか?


参考資料:
全人代の一場面、習近平が李克強に
http://shima5.web.fc2.com/zenjin.pdf

China NPC 2015: The Reports
http://blogs.wsj.com/chinarealtime/2015/03/05/china-npc-2015-the-reports/

NPC 2015:新華社
http://www.xinhuanet.com/english/special/2015lh/

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習近平「1人体制」確立=強権統治で権威−崩れる集団指導・中国
時事通信 2015/3/7 08:33
「習近平同志を総書記とする党中央の力強い指導の下、全国各民族
・人民は心を一つにした」。
 北京の人民大会堂で5日開幕した中国全国人民代表大会(全人代=
国会)。李克強首相は政府活動報告の冒頭、習国家主席の政治指導
を持ち上げた。昨年の活動報告との違いは、「指導の下」の前に「
力強い」という言葉が加わった点だ。
 政府活動報告では従来、朱鎔基氏、温家宝氏ら首相が「主役」だ
った。しかし、習体制の下では、後方に座った共産党総書記の習近
平氏が内外に発する政治メッセージを李首相が「代読」していると
いう錯覚に陥る。共産党筋は「習近平1人体制が強まっている」と解
説する。
 ◇注目は「後方」に
 約1時間40分に上る報告の中で、李首相は「改革」を80回も連呼し
た。
 「一部の腐敗問題が目に余るほど深刻で、指導的地位にありなが
ら職責を果たさない消極的な者や怠惰な者がいる。われわれは問題
を直視し、『安けれども危うきを忘れず、治まれども乱を忘れず』
(安泰時でも危険や混乱に対する注意を怠らず)だ」。
 李氏はこう力を込めたが、会場からの拍手は大きくない。会場の
期待と報道陣の注目は李氏よりも、周永康前党中央政法委員会書記
ら「大虎」を摘発した反腐敗闘争で権力基盤をほぼ固め、強権政治
で権威を高める習氏に注がれている。
 中国政府筋によると、習氏は党・政府内部の会議で、李氏を叱責
することもあるという。北京のある大学教授は「(最高指導部の)
政治局常務委員会で仕事をしているのは、習氏と(党中央規律検査
委書記の)王岐山氏の2人しかいない」とやゆする。
 「集権体制の象徴だ」と党内関係者が指摘したのは、1月中旬に開
かれた異例の政治局常務委会議だった。通常は公表されない最重要
会議を主宰した習氏は、国務院(中央政府)、全人代、最高人民法
院(最高裁)などの党組織「党組」から報告を聞き、「党中央によ
る集中かつ統一した指導の堅持は、根本的な政治ルールだ」と訴え
た。
 習氏の狙いは、総書記の下に全機関の権力を集中させることで、
江沢民・胡錦濤時代の「集団指導体制」は崩れた形だ。
 ◇毛沢東も駆使した宣伝戦
 世論を「追い風」にしようとする習氏は、内外メディアに公開さ
れる全人代で、政治的な攻勢を掛けようとしている。
 開幕3日前の2日、軍は制服組トップだった郭伯雄前中央軍事委員
会副主席の息子、郭正鋼浙江省軍区副政治委員の摘発を公表した。
 「次の大虎は郭伯雄氏だ」(共産党筋)との見方が強まる中、習
氏と同じ「紅二代」(革命指導者の子息)で、習氏の盟友である劉
源・軍総後勤部政治委員が5日、記者団に語った言葉が注目を集めた。
 中国系香港紙・文匯報によると、軍内の反腐敗で存在感を示す劉
氏は「郭正鋼の問題は、郭伯雄に波及するか」と聞かれ、笑顔で「
あなたは分かりますよね」と明言を避けた。
 「分かりますよね」というのは、昨年の全国政治協商会議(政協
)の記者会見で、周永康氏の調査について質問された呂新華報道官
が述べた文句。その約5カ月後、周氏の調査が公表された。
 「習近平政治」の力の源泉は、毛沢東も駆使した宣伝戦にある。
 習主席は1月、政法(公安・司法)機関幹部に対し、毛が1926年に
使った「刀把子(刀のつか)」という威嚇的な単語を使い、「刀の
つかをしっかり握るべきだ」と強調した。中国政府は全人代前の2日
夜、「抗日戦勝70年で閲兵式(軍事パレード)を実施する」と発表
したが、軍・公安を掌握した習主席の政治権力は、9月の閲兵式と訪
米に向けてますます強化されるのは確実だ。(北京時事)
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称賛と批判、社会分裂の現実=PM2.5番組の余波広がる−中国
政府「統制」に転換
 【北京時事】中国国営・中央テレビを離職した著名女性記者、柴
静さん(39)が、微小粒子状物質PM2.5の実態を調査し自主
制作したドキュメンタリー番組の余波が拡大している。「称賛」と
「批判」。大気汚染という全国民が抱える難題でも世論が分裂する
のは、「共通認識」を得て共に行動を起こすことが難しい中国社会
の現実を露呈した形だ。
 ◇「改革後押し」か「政府が利用」か
 「穹頂(天空)の下」と題した103分のドキュメンタリーは、
5日の全国人民代表大会(全人代=国会)開幕を控えた2月28日
、インターネットの動画サイトで公開。大きな反響を呼び、数億人
が視聴したとされる。
 環境規制があっても守られていない現実を批判し、利権のため市
場を独占して質の悪いガソリンを供給し続ける大手石油会社の体質
に切り込んだ。「称賛派」は、民間の視点で市民の環境意識を高め
た勇気ある柴さんの行動に心を打たれ、「民間から改革を後押しで
きる」と歓迎した。
 一方、「批判派」の一部は「陰謀論」を唱える。柴さんが通常で
は取材が難しい環境政策の政府高官にインタビューでき、番組が共
産党機関紙・人民日報のサイトでも公開されたことから、「全人代
を前に大気汚染対策をアピールしたい党・政府に利用されている」
と主張する。
 汚染対策の強化や国有企業の利権解体は全人代の焦点。李克強首
相は5日の政府活動報告で「環境汚染は民生の患い、民心の痛みだ
」と訴えた。これに対して「批判派」の中には、「大気汚染の根本
的原因は共産党一党体制による弊害が背景にあるが、柴さんはここ
を強く批判していない」とした上で、政府との協調姿勢では問題解
決は厳しいという声も出ている。
 ◇世論安定へ「民間」排除
 1日には番組を視聴した陳吉寧・新環境保護相が記者団に柴さん
の行動を絶賛したが、番組へのあまりに大きな反響に、メディア規
制を統括する党中央宣伝部は3日、国内メディアに対し、全人代で
は柴さんの番組をこれ以上報道・評論しないよう指示。「秘密」扱
いの指示内容がネット上で暴露された。
 結局、全人代や中国メディアから番組に関する話題は消え、李首
相ら政府高官の公式見解だけがクローズアップされた。政府が選ん
だのは「民間」の言論を排除して世論の安定を保つといういつもの
管理方法だった。
 言論統制が厳しい中国では、当局の意向を無視すれば、番組を世
に出すこともできないのが現実。柴さんもPM2.5問題の深層を
告発するため、ギリギリの線で番組を制作した。改革派学者は「中
国に言論の自由があれば、(思い切って表現できるため、作品に対
して)大きな主張の争いは起こらないだろう」と解説する。
 著名な自由派作家・慕容雪村氏は「柴静事件と中国の言論空間」
と題する文章をネットで発表。「(意見が対立する)両派ともPM
2.5が嫌で、根絶を願っている。同じ目標を持っても激烈な争論
になるのは、中国言論空間の状況を表している」とした上で、こう
続けた。
 「(言論統制で)言論空間が圧縮され、一部は党・政府寄りに、
一部は沈黙し、一部は(体制に)過激になり、中間派は減っている
。政治、経済、環境などいかなる議題でも、よく似た衝突と騒ぎが
引き起こされるだろう」。(2015/03/06-16:32)
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安保対話、日本との「重要チャンネル」=中国
 【北京時事】中国外務省の華春瑩・副報道局長は6日の定例会見
で、19日に東京で開催される日中安保対話について「両国外交・
防衛部門が交流する重要なチャンネルだ」とした上で、「両国関係
や安保・国防政策、国際・地域問題に関し、意見を交換すると思う
」と述べた。
 華副局長は、日中安保対話に出席する劉建超外務次官補が韓国も
訪問すると明らかにした。 (2015/03/06-18:20)
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中国は景気刺激的な財政策必要、急減速回避へ=財政相
2015年 03月 6日 13:47 JST
[北京 6日 ロイター] - 中国の楼継偉財政相は6日、全国人民
代表大会(全人代)の記者会見で、急激な景気減速を回避するため
、中国は2015年に景気刺激的な財政政策を講じるべき、との認
識を示した。
同相は、中国経済は世界的な景気回復の弱さや、国内の債務水準を
徐々に減らす必要性などの制約から圧力を受けていると指摘。
「こうした下向きの圧力に持ちこたえるには、適度に景気刺激的な
財政政策を採用する必要がある。われわれはレバレッジを徐々に解
消していかなければならないが、経済が崖から落下するのを防ぐこ
とも必要だ」と語った。
中国政府は2015年の財政赤字について1兆6200億元(2586
億1000万ドル)と、対国内総生産(GDP)約2.3%になる
との見通しを示した。これは昨年の同2.1%を上回り、世界的な
金融危機への対応で大規模な財政出動を実施した2009年以来の
高水準。
しかし、同相によると、今年からの政府予算法改正により、15年
の財政赤字は実際にはGDP比2.7%前後になる見込みという。
中国は地方政府債務の処理に苦戦しており、同国指導部は大規模な
景気刺激措置の可能性を排除している。
同相は、今年に返済予定の地方政府債務は1000億元(159億
7000万ドル)以上との見通しを示した。
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たばこや酒は隠れて、息潜める全人代代表−監視の目光る
Bloomberg 2015/3/6 11:47
  (ブルームバーグ):中国の全国人民代表大会(全人代、国会
に相当)代表の多くは、全人代期間中に滞在するホテルへのチェッ
クインの際、大きな赤色の箱に真っ先に気付くだろう。
習近平国家主席の方針に沿わず公職者の行動指針に違反したと見な
される代表らについて一般の人々が投書する箱だ。箱の鍵を持って
いるのは全人代および並行して開かれている中国人民政治協商会議
(政協)に合わせて配置された監視官のみだ。彼らは豪華な酒宴な
どの問題行為に目を光らせている。
今年導入されたこの投書箱は、当局の監視体制が新たな段階に入っ
たことを映している。李克強首相は5日開幕した全人代での政府活
動報告で「汚職の温床を根絶する」と表明した。
代表らによれば、緊縮を求める当局の圧力と厳しさはこれまでとは
別次元にある。政協委員の王名・清華大学公共管理学院副院長は、
今年は他の委員と連れ立って夕食に出掛けるのをやめたと明かし、
「ホテル内で質素な食事をした後、近くを散策することくらいしか
できない」と話した。
同じく政協委員の中国国家京劇院の呉江院長は、過去の会議では委
員や代表らの喫煙はごく普通の光景だったが、今年は人目に付かな
い場所でたばこを吸っている人が多いと説明。「私が気付いた最も
大きな変化は、代表や委員の誰一人として公の場でたばこを吸って
いないという点だ。その上、今年は誰も会議中に眠り込んでいない
」と語った。
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日中「海空連絡メカニズム」構築で基本合意、東シナ海での偶発的
衝突回避へ―中国メディア
Record China 3月5日(木)20時7分配信
2015年3月4日、新華網は記事「日中が“海空連絡メカニズム”構築
へ、東シナ海での偶発的衝突回避狙う」を掲載した。
全国政治協商会議委員、元中国国防部外事弁公室主任の銭利華(チ
エン・リーホア)少将は2日、日中防衛部門は海空連絡メカニズムの
構築ですでに共通認識を得たと発言。日本側が何らかの問題を起こ
さないかぎり、間もなく始動するとの見方を示した。
昨年の首脳会談で日中対立の緊張は緩和したが、残る最大の課題は
偶発的衝突の回避。軍事部門のホットライン開設で衝突リスクを減
少できると期待されている。銭少将によると、昨年9月の日中会合で
海空連絡メカニズムについて話し合われた。
(翻訳・編集/増田聡太郎)
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コラム:中国の緩和措置、人民元安を誘発=サフト氏
2015年 03月 5日 10:20 JST
James Saft
[3日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が週末に追加利下
げに踏み切ったことは、急速な景気減速や大量の資金流出を踏まえ
ると、理にかなっている。しかし、これによって人民元相場CNY=は
下落に向かいそうだ。
こうした状況は中国にとって景気刺激効果が見込まれるものの、他
国には弱い需要と低インフレといった形で痛みが広がる。公平に言
うと、そうした行動を取っているのは中国だけではない。欧州中央
銀行(ECB)は量的緩和に乗り出し、日本も円安政策と資産買い
入れを進めている最中だ。
人民銀行は先月28日、貸出および預金の基準金利の25ベーシス
ポイント(bp)引き下げを決定した。先月上旬には昨年11月の
利下げの効果が融資に十分反映されていないとして、銀行の預金準
備率も引き下げた。
中国は相互に関連する一連の課題に直面している。国内金融システ
ムにおける厳しい規制を緩和するなか、景気が大幅に減速。この結
果、中国に大量流入していた資金が流出に転じている。
第4・四半期の中国の資本・金融勘定は900億ドル超の赤字とな
り、赤字額は過去16年以上で最大を記録した。輸出業者は突如と
して、海外で得た利益を外貨建てのまま保持したいと考えるように
なり、海外投資家も中国での機会をかつてほど見いだせなくなって
いる。
こうした資金流出の要因はすべて、過去25年間の大部分で資金流
入の要因がそうだったように自己増強的だ。
中国が製造業への依存を減らし、消費主導型の経済へとシフトを図
っていることを踏まえると、当局にとってこうした状況は容認可能
だろうが、中国だけでなく他国も犠牲を払うことになる。
<銀行システム次第>
経済を活性化する大量の資金流入は多くの場合、銀行システムを迂
回(うかい)してシャドーバンキング(影の銀行)市場に注ぎ込む
ため、資金の流出は中国が景気減速の影響を和らげるため、緩和政
策を継続しなければならないことを意味する。
ベテランエコノミストのジョージ・マグナス氏は、インフレ率低下
を主な背景に中国の実質金利が上昇していると指摘する。当局が実
施したシャドーバンキング市場規制も、こうした状況につながって
いる。
規制によって従来の銀行の借り手が増え、銀行は借り手を選別する
ようになり、ローンの金利も引き上げている。
UBSの試算によると、銀行の貸出金利(加重平均)はインフレ調
整ベースで現在9%に迫っており、2014年の7%を下回る水準
から上昇している。2011年は1%未満だった。
問題は、シャドーバンキング市場の存在には一連の理由があり、市
場が枯れてもその理由はなくなっていないことだ。
中国の銀行は必ずしも中小企業向け融資に積極的ではなく、政治的
なつながりを持つ大手国有企業への貸し出しに傾くことも多い。
このことは、人民銀行の利下げが実体経済に波及しにくい状況を映
している。
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歳出10%増の328兆円 15年度予算案
2015.3.5 16:35
 中国財政省は5日、歳出規模を中央と地方の合計で前年度比10・6
%増の17兆1500億元(約328兆円)とする2015年度予
算案を全国人民代表大会(全人代)に提出した。公共投資の規模を
「ある程度保ち、誘い水の役割をしっかりと発揮させる」として、
積極的な財政政策で、鈍化した経済成長を下支えする考えを示した。
 中央レベルの歳出をみると、社会保障・雇用対策費に4・2%増
の729億元を計上し、教育費は8・8%増の1351億元、農業
・林業・水利関連費は18・6%増の660億元とする。
 中央と地方を合わせた歳入は7・3%増の15兆4300億元。
さらに基金から1千億元を繰り入れる。
 財政赤字は1兆6200億元で、前年度より2700億元増加す
る。赤字の対国内総生産(GDP)比は約2・3%。積極的な財政
政策を継続するため「財政赤字の適度な拡大」を実施するとした。
(共同)
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[FT]中国全人代、注目すべき4つのポイント 
2015/3/5 7:00 日経
 中国の模造的な国会である全国人民代表大会(全人代)が1週間
の年次全体会議に向けて準備している。北京の人民大会堂で行われ
る3月5日の開幕式典では、李克強首相が年に一度の政府「活動報
告」を発表する。
 報告書には過去1年間の成果と次の1年間の高い目標が盛り込ま
れ、防衛から宗教問題、「中国の特色ある社会主義的法治」の追求
における勝利まで、あらゆるものが網羅される。
 李首相は3時間近くにわたり、ほとんど休むことなく、厳選され
た数千人の代表団を相手に報告書全体を律義に読み上げる。これは
中国の指導者たちが秘密の教養学校で訓練されるといわれている妙
技だ。
 1週間ほどすると、報告書は共産党によって事前に慎重に用意さ
れたその他いくつかの文書とともに、全人代に集まった数千人の代
表団によって圧倒的多数で承認される。
 今年の全人代の手続きで注目すべき重要な点をいくつか挙げよう。
■中央計画の名残
 経済が減速し、デフレが迫り来る中で、中国政府は年間国内総生
産(GDP)成長率の目標を昨年の「7.5%前後」から2015年の「7
%前後」へ引き下げることになるだろう。消費者物価上昇率の目標
も恐らく、昨年の3.5%から3%へと引き下げられる。
 昨年、中国は購買力ベースで米国を抜いて世界最大の経済大国に
なったが、成長率はほぼ四半世紀ぶりの低さだった。7.4%という成
長率は、厳密に言えばまだ「7.5%前後」だが、政府の年間目標には
届かなかった。目標に届かなかったのは、中国が1980年代半ばに年
間成長目標を公表し始めて以来、わずか3度目のことだ。
 通常保守的な国際通貨基金(IMF)は直近の予想で、主に不動
産市場の落ち込みのために、中国は7%に引き下げられた成長目標
にさえ届かず、6.8%の成長を記録する可能性が高いと述べた。
■エアポカリプス(大気の黙示録)
 この1週間、中国のスマートフォン画面で最も話題を呼んだのは
、同国の衝撃的な大気汚染を題材としたドキュメンタリー映像だ。
 映像は国営プロパガンダ放送局、中国中央テレビ(CCTV)の
元キャスター、柴静氏が制作したもので、一気に拡散した。2月28
日にインターネット上で公開されてから最初の48時間で、中国の人
気動画ポータルサイトの1つだけでも1億3600万回の再生回数を記
録し、オンライン上で議論が沸騰した。
 異常に活発な政府インターネット検閲が映像公開を許したという
事実と映像公開のタイミングは、中国政府の意図的な対策だった可
能性がある。ひどい環境問題を片付けることを狙った緊急措置への
政治的支持を取り付けるためだ。
 だが、3月2日には、ドキュメンタリーはまだ視聴できたものの
、中国の宣伝部がこの映像に関するオンライン上の議論を抑え始め
たという報告が出ていた。
 間近に迫った国会の派手なショーで、新たな環境政策にハイライ
トが当てられると思っておいたほうがいいだろう。
■「敵対的な外国勢力」
 神経質になっている外国の投資家は、国家主義と、特に日本と欧
米の企業に対する外国嫌いが強まる兆候を見極めようと、今年の秘
密会議と会議に伴う報道合戦を注視することになる。
 中国の最高幹部らはここ数週間、教育、法制度、情報技術(IT
)、労働組合を含むいくつかの分野で「敵対的な外国(ないし欧米
)勢力」を激しく非難している。直近の攻撃は今週、中国政府の支
配下にある労組のトップから繰り出された。この労組最高幹部は「
敵対的な外国勢力」が労働運動に入り込んでいると痛烈に批判し、
中国の労働問題に取り組む非政府組織(NGO)にとって悪い前兆
となった。
 過去数年で外国人に対する敵意が増している。外国企業は政府の
措置について、自分たちを市場から排除したり不平等な競争の場に
置いたりすることが狙いだと感じている。(こうした措置が)敵意
を悪化させている。
■雷鋒に学べ
 5日の形式的な国会の開幕日は、すべての中国人が模範的な兵士
の善行(架空の話である可能性もある)について学び、思い出すこ
とを奨励される「雷鋒に学ぶ日」に当たる。倒れてきた電柱の下敷
きになって1962年に死んだ雷鋒は死後に、全国的なキャンペーンで
毛沢東と共産党、そして中国の人民に対する無私の献身の権化とし
てもてはやされた。
 学歴の高い多くの中国人にとっては、雷鋒は冷笑と皮肉の対象に
なったが、共産党は近年、「社会主義的な道徳」を高める手段とし
て雷鋒のイメージを復活させた。
 共産党は古い模範的な英雄を呼び覚ましているだけでなく、新し
い英雄も生み出している。
 今週、国営メディアは、上海の裁判所の司法官でクリスマス直前
に心臓発作を起こして47歳で死亡した鄒碧華氏に対する熱烈な賛辞
であふれている。同氏の決定的な特徴は、上海の裁判制度内におけ
る漸進的な司法改革と官僚的手続きの合理化への献身だった。
By Jamil Anderlini in Beijing
(2015年3月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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中国の金利自由化、15年に大きく進展へ=人民銀行政策委員
2015年 03月 5日 13:33 JST
[北京 5日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の陳雨露・
金融政策委員は5日、ロイターに対し、中国が進める金利自由化で
2015年に大規模な進展があるとの見方を示した。
同委員はまた、今年は人民元の変動幅を拡大する必要はないと指摘
した。
2015年の金融政策については、第1および第2・四半期の経済
指標次第とした上で、日本や欧州諸国などの経済動向にも左右され
るとの見解を示した。
同委員は、経済成長率6─7%を確実にするため、人民銀行は中立
的な金融政策を維持するとしている。
李克強首相はこの日開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相
当)で、政府活動報告を発表。2015年の国内総生産(GDP)
伸び率目標を7%前後に設定した。
陳委員はまた、資本の流出については懸念していないが、資本の逃
避を示す兆候を引き続き注視していると述べた。
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「治安維持」予算4%増=全容は不明−中国
 【北京時事】5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代=
国会)に提案された2015年の予算案によると、国内の治安維持
などに使われる「公共安全」関連予算は中央レベルで、前年比4.3
%増の1541億9200万元(約2兆9000億円)に達した。
ただ予算の全容は明らかにされていない。
 公共安全関連費は、国内で多発する暴動や抗議活動への対応など
に使われるとみられ、10年以降、4年連続で国防予算を上回った。
海外メディアは中国社会の不安定ぶりを示すデータとして紹介して
きた。
 しかしこうした報道に神経をとがらせる中国政府は14年以降、
中央レベルより多い地方レベルの予算を非公開扱いにしており、全
体の一部分しか公表していない。(2015/03/05-15:55)
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「成長鈍化」支える地域戦略=周辺外交を全面推進−中国
 【北京時事】中国の李克強首相は5日開幕した全国人民代表大会
(全人代=国会)の政府活動報告で、中国〜欧州を陸・海路でつな
ぎ、壮大な経済圏を構築する「シルクロード(一帯一路)」構想を
推進すると表明した。経済成長率目標を7.0%前後に引き下げ、
中国経済が成長鈍化を前提にした「新常態(ニューノーマル)」に
突入する中、習近平指導部は地域戦略を拡大させ、成長けん引のエ
ンジンにする方針だ。
 政府活動報告はまた、「中国・パキスタン経済回廊」や「バング
ラデシュ・中国・インド・ミャンマー経済回廊」などの推進にも言
及。李首相は地域戦略の資金源として昨年末に設立した「シルクロ
ード基金」や、中国主導で創設が進むアジアインフラ投資銀行に触
れたほか、「企業による海外インフラ建設や海外生産協力を奨励す
る」と述べ、高速鉄道の輸出・協力などの海外戦略で中国企業の国
際競争力を高める方針も示した。
 一方、李首相は「中国は責任ある国、果敢に責任を担う国だ。互
恵に基づく発展の理念の実践者、世界経済体系の建設者、経済グロ
ーバル化の推進者だ」と強調。シルクロード構想などによる膨張政
策が周辺国の懸念を高めることにも配慮を示した。
 景気減速傾向が鮮明となりつつある中国にとっては、経済建設に
専念できる安定的な国際環境が必要。尖閣諸島・南シナ海をめぐる
摩擦も緩和させたいのが本音だ。李首相は「周辺諸国との外交活動
を全面的に推進し、運命共同体を築き上げる」とした上で、「海上
紛争を適切に処理し、2国間・多国間の海洋協力を積極的に拡大す
る」と呼び掛けた。
 激減する日本からの投資を呼び戻すため、日本との対話再開も一
歩一歩本格化させる意向だ。(2015/03/05-17:37)
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中国国防予算、米に次ぐ世界2位の規模 15年「約10%増」 
2015/3/4 22:47 nikkei
 【北京=島田学】中国の2015年の国防予算は引き続き米国に次ぐ
世界2位となる見込みだ。全国人民代表大会(全人代、国会に相当
)の傅瑩報道官は4日の記者会見で15年国防予算について「前年実
績比の伸びは、だいたい10%前後」と述べ、過去最高を更新すると
の見通しを示した。8890億元(約17兆円)規模となる計算だ。
 ドル換算では、5343億ドル(約63兆円)を計上した米国の16会計
年度(15年10月〜16年9月)の国防予算案(戦費除く)の約4分の
1に相当する。円換算では、日本の15年度防衛予算案(約4兆9800
億円)の約3.4倍の規模だ。2兆4672億ルピー(約4兆7800億円)と
したインドの15年度国防予算案の約3.5倍にあたる。
 中国の国防予算の増額は、世界の軍拡を誘発する一因だ。最新の
予算案では、日米印各国が中国への対応などを念頭に、それぞれ国
防関連予算を前年から上乗せした。なかでも日印両国は過去最高額
を計上した。対中脅威論が根強い東南アジアなど周辺国の軍拡につ
ながる可能性がある。
 英国のシンクタンク、国際戦略研究所(IISS)によると、14
年の世界全体の軍事費総額は前年比3.6%増えた。インフレ率などを
加味した実質ベースで4年ぶりの増加に転じた。アジア全体での13
年から14年にかけての軍事費増加額のうち63%を中国が占めるなど
、中国の軍拡が突出していると指摘した。
 中国の15年国防予算の具体額は、李克強首相が5日の政府活動報
告の中で発表する。昨年3月の全人代で発表した14年の国防予算は
前年実績比で12.2%増の8082億元(約15兆4300億円)だった。今年
も伸び率が10%以上なら5年連続の2けた増となる。
 傅氏は記者会見で「国家の安全を守るには軍隊の現代化が必要だ
。我々の軍備は、まだ必要な水準に達していない」と主張。国防予
算の増加傾向は今後も続くとの見方を示した。
 特に近隣国との海上での摩擦を背景に、海空両軍を中心に国防予
算を毎年積み増しているようだ。アジア太平洋への回帰を掲げる米
軍への対抗意識も強く、現在は中国初の国産の空母の建造に着手し
ているとされる。
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全人代、きょう開幕 中国
 中国で日本の国会にあたる全人代(=全国人民代表大会)が5日
、北京で開幕する。国防予算は今年も10%前後という高い伸び率
になる見通し。  全人代は5日から15日まで開催の予定で、政権
3年目に入る習近平国家主席が、どのように独自色を打ち出せるか
が注目される。4日の全人代の報道官の会見では、今年の国防予算
の伸び率について、前年比で10%前後になるとの見通しが示され
た。  傅瑩報道官「中国の国防政策は依然として防御的なもので、
それは憲法に明確に定められている」  5日に公表される国防予算
が今年も10%以上となると、5年連続で2ケタ増となる。  また
、5日の李克強首相の演説では、経済成長率の年間目標をどこまで
引き下げるのかや、戦後70年にあたる今年、歴史認識問題をめぐ
って日本を念頭に置いた発言があるのかについても注目される。
[ 3/5 1:58 NEWS24]
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反腐敗の標的、経済界の大物にシフトか−5日から中国全人代
Bloomberg 2015/3/4 14:09
  (ブルームバーグ):5日に北京で開幕する中国の全国人民代
表大会(全人代、国会に相当)には全土から約3000人の代表が集ま
るが、議場に座る経済界の一部首脳は少しばかり居心地が悪いかも
しれない。
習近平国家主席の反腐敗運動は数十人の全人代代表に矛先が向けら
れ、今やこの運動の焦点は世界2位の経済大国の成長を維持するた
めの改革措置の妨げと目される財界首脳にシフトしつつある。エネ
ルギーから投資に至る業界の企業首脳9人が今年の全人代から姿を
消す。
共産党総書記でもある習主席は、まん延する汚職が共産党政権の正
統性を脅かすと明言。習主席が2012年11月に始めた反腐敗運動は、
中国でケ小平氏以来最も強い指導者として自身の政権基盤を固める
強力な手段となっている。習主席は今年1月、党の規律委員会に企
業首脳に対する監視を強化するよう促し、国有企業に対する締め付
けを強めた。
米ジョージア州立大学のアンドルー・ウェーデマン教授は、汚職撲
滅運動の「主要な標的が政界の大物から国有企業の大物に移りつつ
あることが焦点となりそうだ。こうした取り締まりが経済改革の新
たな段階への移行につながる可能性がある」と指摘した。
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アングル:中国の対テロ法案、IT企業規制で業界の懸念強まる
2015年 03月 3日 14:55 JST
[北京/ワシントン 2日 ロイター] - 中国は、テクノロジー企
業に対し、暗号キーの引き渡しや、システムへのセキュリティー「
バックドア」の設置を義務付ける包括的なテロ対策法案の準備を進
めており、一部の企業は中国でのビジネスに厄介な条件が増えると
して警戒を強めている。
これらが盛り込まれる可能性のあるテロ対策法案は、中国全人代で
審議され、数週間または数カ月以内に採択される見通し。
昨年全人代で審議された同法案の最初の草案には、中国で事業展開
する企業に対し、同国内にサーバーやユーザーデータを保持するこ
とや、テロに関連する通信記録を当局に提供することを求める内容
も含まれていた。
マイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報, レポート)やアップル
(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)などシリコンバレーの企業が
影響を受けるとみられ、米中関係悪化の主な要因となっているサイ
バーセキュリティーやテクノロジー関連政策をめぐり一段と対立が
深まる可能性がある。
ある業界関係者は「中国でビジネスを行うすべての当事者にとって
災難だ。安全なVPNもなくなり、企業秘密も保持できない。法に
よって何も安全でなくなる」と指摘した。
ワシントンの戦略国際問題研究所の中国問題担当するスコット・ケ
ネディー氏は「真のテストは実施される時点となるだろう。最近の
外資企業への独禁法適用事例や、銀行セクターの規制、政府調達リ
ストからの一部外国製品除外といった一連の動きを考えると、外資
企業が神経質になる十分な理由がある」と述べた。
在中米国商工会議所のジェームズ・ジマーマン会頭はこうした法案
について、施行されれば米企業の機会が制限されるだけでなく、中
国にとっても打撃となる可能性があると強調した。
だが、ある米テクノロジー企業の幹部は、法執行機関への協力の義
務付けがあいまいな点や、違反した場合の厳しい罰金や収監の可能
性が最も懸念されるとの見解を示している。
ある米業界関係者も「愛国者法に匹敵する非常に強いステロイド剤
だ」とコメントし、2001年9月11日の同時多発攻撃を受けて
ブッシュ前政権下で施行された反テロ法に言及した。
法案に関し、アップルとグーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポー
ト)はコメントを拒否。マイクロソフトからのコメントは得られてい
ない。
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米の「反テロ法」非難に反論=中国
 【北京時事】中国外務省の華春瑩・副報道局長は3日の定例会見
で、中国が制定を進める「反テロ法」の一部規制案にオバマ米大統
領が懸念を示したことについて、「立法は完全に中国の内政」と反
論し、「米国は冷静、客観的に見守り、対処してほしい」と訴えた。
 華副局長は「反テロ法制定は中国法治の重要な一段階。テロ防止
の上で必然の要求だ」と強調。「現在の国際的な対テロ情勢や国内
の対テロ工作の実際的な需要に基づき、他国のやり方を参考にした
」と主張した。(2015/03/03-17:45)
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中国全人代が5日開幕、経済減速下で痛み伴う改革進むかが焦点に
2015年 03月 3日 16:27 JST
[北京 2日 ロイター] - 5日開幕する中国の全国人民代表大会
(全人代、国会に相当)では、国内経済の減速が主要テーマとなる
見通しだ。今年の国内総生産(GDP)伸び率目標は25年ぶりの
低水準となる7%前後に設定されるとみられる中、デフレ懸念に対
処しつつ、痛みを伴う改革に道筋を付けられるかが焦点となる。
政府系シンクタンク、中国国際経済交流センター(CCIEE、北
京)のシニアエコノミスト、王軍氏は「焦点は国有企業改革、価格
改革、財政改革となる」と指摘。「経済成長率目標は間違いなく引
き下げられるだろう。7%目標は適切だ」と述べた。
目標の引き下げにより、国有企業や法制、財政制度の改革を進めや
すくなることが期待されている。輸出・投資主導型経済から、持続
可能な内需主導型経済への転換が課題となっているためだ。
一方で、1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.8%上
昇と5年ぶりの低水準となり、デフレ懸念が強まっている。
中国人民銀行(中央銀行)はこのほど、昨年11月に続き利下げを
実施。ただ、企業の債務負担が軽くなり、デフレ懸念払しょくにつ
ながるかもしれないが、利下げ自体が改革を後押しするわけではな
い。
実際、利下げで最も恩恵を受けるのは、資産に対する債務比率が72
%(2013年次報告書)となっている中国国際航空(エア・チャ
イナ)(601111.SS: 株価, 企業情報, レポート)などの大型国有企業
だろう。
こうした利下げの恩恵も一時的にすぎず、エア・チャイナをはじめ
とする国有企業は硬直化した雇用制度、為替ヘッジスキルの欠如と
いった課題に依然として直面している。
<地方財政問題>
大きな課題の1つは地方政府に中央政府の改革を実行させることだ。
景気が減速する中で不良債務の水準が上昇。地方政府や国有企業に
とって重しとなっており、さらに困難な改革を先送りする動きにつ
ながりかねない。
ANZのエコノミストによると、財政制度の改革案は中国経済の4.2
%に相当する地方政府の資金不足に対処するものになる。適切に実
行されなければ、資金不足が政府支出の伸びを抑え、想定を下回る
GDP伸び率につながるとみられる。
地方政府による不透明な借り入れをストップしようとする改革は、
既に税収や土地売却収入が落ち込む地方予算にとってさらなる打撃
となりかねない。地方債発行計画は、情報開示を嫌う地方政府の全
面的な支持を得られない可能性もある。
新たな予算法は透明性を高めるために、地方政府が傘下「融資平台
(資金調達のためのプラットフォーム会社)」の債務を保証するこ
とを禁じている。
政府への助言を行う著名エコノミストは「今年の財政改革は非常に
難しい」と指摘。「彼ら(地方政府)は巨額の債務を報告すれば非
難されるだろうし、過小報告すれば地方債の発行枠が減らされてし
まうだろう」と述べた。
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中国の全国人民代表大会 きょう開会
3月5日 4時59分NHK
中国の向こう1年の重要政策を話し合う全人代=全国人民代表大会
が5日から始まります。指導部は経済成長の速度より質を重視する
方針で、去年は7.5%程度としていた成長率の目標を、ことしは
7%程度に引き下げるという見方が強まっています。
ことしの全人代は今月15日まで11日間の日程で開かれる予定で
、初日の5日は李克強首相が施政方針演説に当たる政府活動報告を
行います。
中国は、去年1年間のGDP=国内総生産の伸び率が24年ぶりの
低い水準となり、経済の減速傾向が鮮明になってきています。
このため指導部は、経済成長の速度より質と効率性を重視する「新
常態」ということばで定義した経済運営の方針を示していて、去年
は7.5%程度としていた成長率の目標を、ことしは7%程度に引
き下げるという見方が強まっています。
また報告では、行政機構の簡素化や権限の委譲を進めるとともに、
国有企業改革などさまざまな分野の改革を強化する姿勢を示すとみ
られます。
さらに、大気汚染をはじめとする環境問題への取り組みや社会保障
の充実など、国民生活の改善に力を入れるとアピールするとともに
、幹部の腐敗を撲滅し清廉な政治を目指す決意も改めて示すとみら
れます。
このほか、李首相の報告には戦後70年に絡めて日本をけん制する
文言が盛り込まれる可能性もあります。
北京市内は全人代の開会が近づくにつれて一層厳重な警備態勢が敷
かれ、会場の人民大会堂や天安門広場周辺だけでなく、主要な交差
点など至る所で自動小銃を構えた警察官らが辺りに目を光らせてい
ます。
中国の「新常態」とは
習近平指導部は、中国経済が高度成長から安定成長の段階に移った
状況を「新常態=ニューノーマル」と位置づけ、質と効率性を重視
する経済への転換を目指しています。
「新常態」は、去年ごろから習近平国家主席の演説などで頻繁に使
われてきました。
去年12月、向こう1年の経済運営の方針を協議する「中央経済工
作会議」では、成長の速度よりも質と効率性を重視する経済政策に
転換することを打ち出し、「新常態」のもとで目指すべき経済の在
り方について詳しく言及しました。
具体的には、消費者の多様なニーズに対応したモノやサービスを提
供し消費主導の経済を目指す、安い労働力を前提にせず高品質で差
別化できる製造業を目指す、生産能力が過剰な業種は合併や再編を
促しサービス業や新興産業を育てる、省エネや環境に配慮した経済
を目指すことなどが示されています。
そのうえで、「成長の速度を調整しても勢いは落とさない」として
「新常態」のもとでの経済運営は、構造改革と安定成長のバランス
が重要だとしています。
習近平指導部としては、経済成長が減速した状況がいわば当たり前
だと表現して、そうした状況への適応の必要性を訴えて国民の意識
の転換を図るとともに、経済が悪化することへの懸念を払拭(ふっ
しょく)し、中国経済が将来にわたって成長を続けると内外にアピ
ールするねらいがあるとみられます。



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