5297.ロシアの思惑とは何か?



ウクライナ紛争、中東のイスラム国、BRICS銀行設立や通貨戦争など
の多くの世界的な問題により、ロシアが、中心となって新しい世界
秩序を構築する動きが出てきた。この動向を検討しよう。津田より

0.経緯
ロシアが何を考えているのかを知るには、ロシアツディ紙の記事は
大いに参考になる。この中で、BRICS諸国+ドイツで次の世界秩序を
決めると書いてある。

中国の外貨準備高が4兆ドル弱程度あるが、米国債から直接投資に
切り替え始めている。それがBRICS銀行やアジアインフラ投資銀行と
いう形になり、もう1つが、ロシアなどの石油開発の50%を中国
の投資が支えているという。

欧米の制裁をロシアがはねつけられるのは、中国のお金がモノを言
っている。そして、中国はアルゼンチンも支えている。アルゼンチ
ンは、米国のヘッジファンドから国債をデフォルトさせて、国債の
起債をできなくなっていたが、種々のルートで中国がアルゼンチン
を援助している。その見返りで中国の衛星コントロールセンタをア
ルゼンチンに作ることになったという。

この状況で、ドイツは米国がウクライナに武器を提供することを知
り、ロシアのモスクワで米国の動きをプーチンに伝えて、和平に向
けての提案をして、その足で米国のワシントンに駆けつけて、武器
支援を止めたのである。もし、武器援助したら、完全な米露の代理
戦争になっていた。

この動きで、ドイツのメルケル首相は、世界のリーダーと賞賛され
たのである。これをロシアサイドから見ると、ドイツはロシアに近
いと見えているようである。

しかし、今まで、ヨーロッパ共同の家には、ロシアも入り、リスボ
ンからウラジヲストックまでがヨーロッパであるとしていたが、そ
れは違うことをベラルーシのミンスクで確認したようである。EU
とロシアは敵同士であると、冷戦の状態であると見なしたのである。

そして、ドイツは、EUの仕組みの中でロシアを抑えながら、ロシ
アの天然ガスから抜ける方法を模索し始めている。今、ロシアの天
然ガスを止められると、EU全体がロシアの天然ガスに依存してい
るので、冬場は、暖房需要が有り、特に堪えるからである。

ロシアのアキレス腱は、しかし、この天然ガスである。国家予算の
60%が天然ガスと石油の利益の50%の課税から得る資金である。
この石油と天然ガス価格が下落して、国家収入が減っている。

もう1つが、天然ガスをロシアからアゼルバイジャンやトルクメニ
スタンからの天然ガスにヨーロッパがシフトすると、ロシアの化石
燃料が売れなくなることである。

ドイツは北海海底を通るノルドストリームで、ロシアから直接天然
ガスが送られてきている。昔からドイツはロシアとの関係は良いこ
とと、今回のようなウクライナやベラルーシなど東欧での紛争でパ
イプラインが止まっても、天然ガスの補給が確保できるようにして
あるのだ。

しかし、そのドイツがEUの盟主となり、EU全体のことを考える
必要になってきた。

1.ギリシャ問題の地政学的な側面
ギリシャのチプラス首相は、EUからチプラス政権に4ケ月の支援
継続を得た。構造改革を行うというが、口先だけの可能性がある。
このため、これは、チプラス首相の作戦勝ちである。

TAP天然ガス・パイプラインがギリシャを通る予定であり、かつ、ギ
リシャは、ボスポラス海峡の出口を占めている。このため、ロシア
の黒海艦隊にとっては、非常に重要な地政学的な位置にある。

英国は、キプロスに唯一の海軍基地を持っているが、黒海艦隊の唯
一の海外拠点であるシリアのタルトュースに近く、監視のためであ
る。

このように地政学的な位置を利用して、チプラス首相はEUとの交
渉が決裂しそうになると、モスクワに飛んで、EUが支援をしなか
った時には、ロシアが肩代わりする交渉をしていた。もちろん、ロ
シアは、EUとの間で冷戦のような状況であり、ギリシャを味方に
した方が有利である。

チプラス首相は、中国も支援する予定としたが、中国当局は聞いて
いないとしているので、地政学的に交渉できそうなロシアを選択し
たのである。

2.米国
米国の世論は、FP誌の「Meet America’s New Public Enemy No. 1」
によると、米国にとっての一番の敵が、中国からロシアに変化した
という。しかし、イラク戦争やアフガニスタン戦争から抜け出すこ
とを公約して当選したオバマ大統領ができることは少ない。

イヤイヤながらのイスラム国との戦闘もあり、ウクライナでのロシ
ア対応は、ドイツに任せるしかない。そのドイツがロシアと交渉し
て和平案ができたなら、それを承認するしかないということである。

米国の対応はない。中国の南沙諸島における岩礁の拡張工事も米国
は見て見ぬふりをしていたようである。中国に対応する余裕がない
ので、南沙諸島監視を日本に依頼する方向であり、米国の軍事力だ
けではロシア、中国に対応できないことになっている。

3.中国
米国が外向きから内向きになったことで、いろいろな問題が置き去
りにされている。中国はアジアインフラ投資銀行やBRICS銀行や新幹
線の売り込みなど、海外に打って出ている。このため、米国が置き
去りにした問題を解決できる素地がある。

特にアフガニスタンでは、欧米の軍隊が撤退するが、タリバンは健
在であり、現政府とタリバンがテーブルについて和平会談をする必
要がある。そうしないと、今後も内戦が続き、まだ戦争が終わらな
い。この地域に中国が開発した鉱山もあり、戦争が続くのは問題で
ある。

このため、タリバンと政府間をつなぐ仲介役を中国が担うことにな
った。その交換条件がウイグルから逃げてくる人たちを中国に引き
渡すということである。北朝鮮と同じようなことを中国は行うよう
である。

中国はお金があり、世界の新興国や発展途上国に期待されている。

中国が経済面で、欧米対抗勢力を支援しているので、欧米の経済力
が落ちると、世界の勢力図は劇的に変化する可能性が出てきたよう
である。

4.通貨戦争
ロシアや数国の中央銀行以外、ほとんど全ての中央銀行は、今、金
利引き下げ、量的緩和、市中銀行の準備率の引き下げなどと景気刺
激策を取っている。

米国以外の世界の景気はよくない。2008年のリーマンショックを乗
り越えた中国は、その時の景気刺激策の後遺症に悩み、日米は、量
的緩和による通貨の切り下げでやっと抜け出したところである。

しかし、その分、新興国での生産が減り、新興国の景気が弱くなっ
ている。新しい産業がないので、世界的なゼロサムゲームをしてい
るような感じになっている。

1929年以降の米国の混乱が世界に波及して、その過程でブロック経
済やニューディール政策で景気を復活させようとしたが、できなか
ったことに似てきたように感じる。

現在は、輸入規制や公共事業などの財政政策もできず、景気刺激策
として、金利引き下げや量的緩和しかないが、それでは限界がある。

どうも、1929年のニューヨーク株式市場で株価が大暴落後の混乱し
た世界が再現されているように感じだ。1939年の戦争まで10年であ
ったが、今回は戦争までの期間がもう少し長いのであろうか?

しかし、米国が絶対の世界覇権を握っている状況ではなくなり、中
国の厚いドルの外貨準備で、米国の制裁が効かなくなったことだけ
は確かである。

そして、そのことでロシアなどが、リスクを犯しても経済的な崩壊
が起きないとして、リスクをとっているようである。これを繰り返
すと、徐々にそのバーが高くなり、戦争に近づくことになる。

嫌な時代が来たようである。

さあ、どうなりますか?


参考資料
The Negative Way to Growth?
http://www.project-syndicate.org/commentary/negative-nominal-interest-rates-by-nouriel-roubini-2015-02

“Ruxit” is Real: Russia’s Exit from Europe
http://www.theglobalist.com/ruxit-is-real-russias-exit-from-europe/

Meet America’s New Public Enemy No. 1
http://foreignpolicy.com/2015/02/27/meet-americas-new-public-enemy-no-1/?utm_content=buffer27afc&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

Putin’s Gas Problem
http://www.project-syndicate.org/commentary/russia-ukraine-gas-pipeline-by-paul-r--gregory-2015-02

What the BRICS plus Germany are really up to?
http://rt.com/op-edge/236219-russia-china-germany-trade-axis/

‘No political obstacles’ to grant China 50% stake in Russian oil and gas fields ? Deputy PM
http://rt.com/business/236211-russia-china-oil-gas/

Angela Merkel’s Moment of Truth
http://www.project-syndicate.org/commentary/merkel-greece-ukraine-crises-by-joschka-fischer-2015-02

Seeking China’s Help in Taliban Negotiations, Afghanistan Cracks Down on Uyghur Militants
http://thediplomat.com/2015/02/seeking-chinas-help-in-taliban-negotiations-afghanistan-cracks-down-on-uyghur-militants/?utm_content=buffer7b421&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

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ウクライナ東部停戦、重火器撤去進む ガス問題が再燃
2015.02.28 Sat posted at 16:06 JST
ウクライナ東部ドネツク(CNN) ウクライナのポロシェンコ大統
領の報道官は27日、東部の親ロシア派武装勢力との新たな停戦合
意に従い重火器の一部の撤去を開始したと発表した。ツイッター上
で明らかにした。
ただ、前線地帯にいつでも再配備出来る準備をしているとも述べた
。一方、東部ドネツク州で「ドネツク人民共和国」の樹立を宣言し
た親ロシア指導者は保持する重火器の9割を撤収させたと主張した。
その上でウクライナ政府が重火器の引き揚げに応じなかった場合、
戦闘地帯に再度送る権利を有するとも述べた。CNN取材班は26
日、ウクライナ国旗を掲げる砲門を積んだ小規模の車列を確認。親
ロシア派はこの数日前に撤収を始めていた。
新たな停戦合意はベラルーシの首都ミンスクでの協議で今月12日
に成立。重火器の引き揚げは来月2日までに終了させる条件となっ
ている。また、幅が少なくとも50キロの重火器のための緩衝地帯
の設置でも合意していた。
重火器の撤収や停戦履行の確認は、欧州安保協力機構(OSCE)
が担っている。政府軍と親ロシア派武装勢力間の交戦は減っている
とされるが、砲撃音が聞こえることもあり停戦維持がもろい状況に
あることに変わりはない。
ウクライナ国家安全保障防衛会議は27日、衝突は依然続いており
過去24時間で軍兵士3人が死亡、7人が負傷したことも明らかに
した。
一方、ロシアのノバク・エネルギー相は28日までに、ウクライナ
が天然ガスの代金を数日内に支払わなければ国営企業ガスプロムに
よる同国への輸出を打ち切ると警告した。
ロシアのタス通信によると、同社は27日、ウクライナが前払い代
金として1500万ドル(約18億円)を納めたことを確認。ただ
、この金額は供給の1日分に過ぎないとしている。
ガス問題に関するウクライナ、ロシア両国間の対立はこれまでも再
三表面化。欧州連合(EU)、ロシアとウクライナは来月2日にベ
ルギー・ブリュッセルで新たな協議も予定している。支払い問題が
決着しない場合、欧州諸国へのガス供給に支障が出る可能性もある。
EU加盟国は天然ガス供給の約3分の1をロシアに頼り、このうち
の15%はウクライナ内を通過するパイプラインで確保している。
ただ、真冬は既に過ぎており、ロシアからのガス流入が止まったと
しても悪影響はそれほど深刻にならないとの見方もある。ウクライ
ナにはガスの備蓄分があり、EU加盟国がパイプラインを使ってウ
クライナにガスを補給する選択肢もある。
ロシアによる今回のガス供給に関する警告と、EUが現在進めてい
るガスプロムの事業活動への調査を絡める指摘もある。EUは、ガ
スプロムが支配権を行使し得る地位を悪用して価格操作を行い、欧
州大陸内での自由な流通を妨げているとも疑っている。
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ロシア 野党指導者が銃で撃たれ死亡
2月28日 12時43分NHK
ロシアの野党指導者で、プーチン政権のウクライナ政策に批判的な
立場を取っていたネムツォフ氏が27日深夜、首都モスクワの中心
部で、何者かに銃で撃たれて殺害され、捜査当局は政治的な動機の
可能性もあるとみて調べています。
ロシア内務省によりますと、野党指導者のボリス・ネムツォフ氏が
27日深夜、モスクワ中心部のクレムリンに近い橋の上で、何者か
に銃で撃たれて死亡しました。
撃たれた時、ネムツォフ氏はウクライナから来た女性と歩いていた
ということで、捜査当局は政治的な動機の可能性もあるとみて、こ
の女性から事情を聞くとともに、近くの監視カメラに映っていた車
の割り出しを進めています。
ネムツォフ氏は、エリツィン元大統領の下で第1副首相を務めまし
たが、2000年にプーチン大統領が就任したあとは、野党の指導
者となり、最近ではプーチン政権のウクライナ政策について批判的
な立場を取っていました。
弁護士によりますと、ネムツォフ氏は、ここ数か月、ネット上など
で脅迫を受けていたということです。
3月1日には、モスクワでウクライナを巡るプーチン政権の政策に
反対する野党側のデモが予定されていることから、ロシアのメディ
アは、ネムツォフ氏の殺害はデモと何らかの関係があるのではない
かとの見方を示しています。
一方、ロシア大統領府によりますと、報告を受けたプーチン大統領
は「何者かの指示で殺害されたとみられ、極めて挑発的だ」として
、政権側に責任を負わせようというねらいがあるとの見方を示した
ということです。
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ギリシャのユーロ離脱、容認なら他国が続くとの懸念も=欧州委員
2015年 02月 27日 17:35 JST
[ベルリン 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会の
モスコビシ委員(経済・財務担当)はギリシャ支援延長をめぐるド
イツ連邦議会での採決を前に、ドイツのラジオ局DLFに対し、あ
る国のユーロ圏離脱を容認すれば、次にどの国が続くのかという懸
念が生じるだけだと指摘した。
「ある国が(ユーロ圏を)離脱すれば、次に離脱するのはどの国か
という疑問が生じる」と述べた。
モスコビシ委員はまた、ギリシャは国際的な取り決めを守り、経済
政策に伴う追加支出の資金を確保しなければならないとの見方を示
した。
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メルケル・ドイツ首相、7年ぶり来日へ=来月首脳会談
 ドイツのメルケル首相が3月に来日し、安倍晋三首相と会談する
。メルケル首相の来日は2008年の北海道・洞爺湖サミット以来
、約7年ぶり。日独首脳会談では、ウクライナ情勢や国連安全保障
理事会改革などが主要テーマとなる見通しだ。
 日独両政府は来日日程を3月9、10両日で最終調整している。
安倍首相とメルケル首相による首脳会談は14年10月にイタリア
・ミラノで行って以来。メルケル首相が重要な役割を果たしている
ウクライナ問題について、先進7カ国(G7)が連携し対処する方
針を確認する。 
 ドイツは6月に開催されるG7サミットの議長国。メルケル首相
は首脳会談でサミットの成功に向けた協力も要請する。
 また、戦後70年に当たり、ともに敗戦国であることから、今後
も平和国家として国際社会に貢献していくことを確認する方向だ。
日本政府関係者は「首脳会談での安倍首相の発言ぶりが、『戦後70
年談話』のトーンづくりにも影響するだろう」と指摘している。
(2015/02/26-19:44)
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EU、エネ戦略で脱ロシア ガス輸入先を多様化 
2015/2/26 2:02nikkei
 【ブリュッセル=御調昌邦】欧州連合(EU)の執行機関である
欧州委員会は25日、域内のエネルギー安全保障の強化に向けた取り
組みを示す「エネルギー同盟」の戦略案を発表した。ウクライナ問
題をめぐって対立しているロシアからの天然ガスや原油の輸入依存
を低下させることが主な狙いだ。輸入先の多様化や電力融通や省エ
ネの拡大などを掲げたが、効果が出るまでに時間がかかるうえ、実
現に向けたハードルも多い。
 欧州委によると、EUのエネルギー自給率は50%弱で、輸入額は
年間で約4000億ユーロ(約54兆円)に及ぶ。特に天然ガスではバル
ト3国や東欧などの6カ国はロシアからの輸入に100%依存している。
EUはウクライナで親欧米政権への支援を強化する一方で、域内で
はエネルギー面で脱ロシアが急務との意見が強まっている。
 昨年11月に発足したユンケル欧州委員長が率いる欧州委では、シ
ェフチョビッチ副委員長をエネルギー同盟の担当に充て検討を進め
てきた。シェフチョビッチ氏は25日の記者会見で「(現在のEUに
つながる)欧州石炭鉄鋼共同体(の発足)以降で最も野心的なエネ
ルギー計画だ」と意義を強調した。今後EU内のエネルギー相や環
境相が具体的な内容を議論するほか、3月19〜20日に開催する首脳
会議でも話し合う予定だ。
 今回の戦略案では今回「エネルギーの種類や供給先、供給経路な
どの多様化」を目指すことを主要な課題として掲げた。天然ガスで
は、具体的にはアゼルバイジャンなどのガスを念頭に「中央アジア
からの輸入を可能にする『南方回廊(パイプライン)』計画を強化
しなければならない」と指摘。北欧では「多様な供給先からの液化
ガスの基地建設」を挙げた。インフラ整備には、ユンケル欧州委員
長が提案している3150億ユーロ規模の官民投資基金も利用する方針
だ。
 EUではロシアから天然ガスの供給を停止・制限された場合に備
えて「液化天然ガス(LNG)の最大限の可能性を探る」という。
日本を含むアジア各国などもLNGの輸入を増やしていることも考
慮し、欧州委として総合的な「LNG戦略」を準備する。現在交渉
中の米国との自由貿易協定(FTA)などを通じて、米国からシェ
ールガスを輸入することも期待している。
 このほかEU域内でエネルギーを融通しあう仕組みが必要との認
識も示した。EUは現在、2020年までに電力生産能力の10%を融通
できる体制をつくる目標を持っているが、欧州委は30年に15%まで
拡大する目標を設定する考えも明らかにした。
 エネルギー同盟の戦略では省エネの強化や再生エネルギーの導入
促進なども盛り込んだ。エネルギー消費を1%節約すれば、ガス輸
入量を2.6%減らせるとの試算もある。EUでは30年までにエネルギ
ー効率を当初想定より27%向上させるとの目標を掲げており、ビル
などの建物や交通分野での取り組みを強化する方針だ。
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対ロシア制裁強化の用意、停戦合意実現望む=メルケル首相
2015年 02月 26日 02:18 JST
[ベルリン 25日 ロイター] - メルケル独首相は25日、ウク
ライナ問題をめぐり、現在の停戦合意が実を結ぶことを望むとしな
がらも、欧州は必要なら、ロシアに対し追加制裁を科す用意がある
との見解を示した。スウェーデンのロベーン首相との共同会見で述
べた。
メルケル首相は停戦合意について「このかすかな望みを現実のもの
にするため、可能なことをすべてやる必要がある」とし、停戦合意
の実行ペースは鈍いが最初の一歩となる可能性があるとした。
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EU 温室効果ガス60%削減提案
2月26日 4時19分NHK
EU=ヨーロッパ連合はことしの年末に各国が合意を目指している
地球温暖化対策の新たな枠組みについて、温室効果ガスの排出量を
世界全体で2050年までに60%削減する目標を盛り込むべきだ
、などとする提案を発表しました。
温室効果ガスの削減を巡り、各国は、すべての国が参加する2020
年以降の対策の新たな枠組みについて、年末に開かれる国連の会議
COP21での合意を目指しています。
EUのヨーロッパ委員会は25日、この新たな枠組みに盛り込むべ
き内容などをまとめた文書を発表し、2050年までの長期目標と
して世界全体の温室効果ガスの排出量を2010年のレベルと比べ
て60%削減すべきだと提案しました。
また、5年ごとに実施状況の検証や目標の見直しなどを行う必要性
を指摘しているほか、新たな枠組みは、先進国だけに削減を義務づ
けた「京都議定書」と同様に法的な拘束力を持たせるべきだとして
います。
さらに、世界の総排出量の80%を超える国々が批准した段階で発
効する枠組みにすべきだとしていて、EUだけでなく排出量が世界
1位と2位の中国とアメリカも、合意に向けてリーダーシップをと
るよう求めています。
EUは去年10月、温室効果ガスのEUの排出量を2030年まで
に40%削減する自主目標をいち早く打ち出していて、今回の提案
をもとに年末のCOP21に向けて各国への働きかけを強化するこ
とにしています。
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ロシア:ガス供給停止を警告
毎日新聞 2015年02月25日 12時04分
 【ブリュッセル斎藤義彦】ロシアの国営ガス大手ガスプロムは24
日、2日以内にウクライナ向けのガス供給を止め、欧州向けガスに
も「深刻な危険がある」との声明を発表した。「代金の未払い」が
理由。ウクライナ側は否定している。ロシアはガス供給停止の警告
でウクライナ政府に揺さぶりをかけている模様だ。欧州連合(EU
)は同日、ロシアの欧州向けガスは現状では安定していると述べた
が、欧州経済界からは供給停止で経済が混乱する事態を憂慮する声
が出ている。
 ガスプロムは、前払いのガス代金がウクライナ側から支払われて
おらず、2日分しか残されていないと主張。支払いがなければ「供
給は完全に停止し、欧州向けにも深刻な危険がある」とした。しか
し、ウクライナのナフトガス社は逆に、既に支払ったガス代の4割
程度しか供給されていないと反論している。
 ロシアとウクライナは、ロシアがクリミア半島の一方的な編入後
にガス代金を引き上げたことで対立。昨年6月にロシアがガス供給
を停止した。EUの仲介で昨年10月、未払い分の支払いと、今年
3月までの供給で合意していた。この合意とガスプロムの主張の整
合性は不明確で、ウクライナ側はEUと対応を協議する意向だ。
 ウクライナ側は東部での戦闘激化でガスパイプラインが損傷した
ことを理由に18日、親露派武装勢力が占拠する東部へのガス供給
を停止した。親露派に圧力をかけようとしたとみられる。ロシアは
19日、「人道援助」を理由に東部にガス供給を行う意向を示した
。今回のガス停止警告には、親露派占拠地域を巡る対立がありそう
だ。
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親ロ派「重火器撤去開始」=政府軍と依然戦闘、死者も−ウクライ
ナ東部
 【モスクワ時事】ウクライナ東部の親ロシア派「ドネツク人民共
和国」幹部は24日、新たな停戦合意に基づき、重火器の撤去を本
格的に始めたと発表した。インタファクス通信が伝えた。15日の
停戦発効後も戦闘が続いたドネツク州デバリツェボも対象に含まれ
るという。
 ただ、政府軍と親ロ派は24日も、双方が相手が砲撃を続けたと
して「停戦違反」と非難。政府側が臨時州都を置く港湾都市マリウ
ポリ郊外などで局地的な戦闘が激化しており、政府軍によると兵士
1人が死亡した。親ロ派による重火器撤去開始が緊張緩和に結び付
くかは不透明な状況で、欧州安保協力機構(OSCE)監視団の確
認を待つ必要がありそうだ。(2015/02/24-21:45)



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