曽野綾子発言をめぐって From: Kumon Kimiaki TOKUMARU 皆様、 曽野綾子さんの産経新聞コラムでの発言は、アフリカ関係者の間では、かなり盛 り上がっています。 僕も新聞に投書しました。 ご参考まで 得丸 曽野綾子さんが産経新聞コラムで日本に外国人労働者を受け入れる一方で、人種 別の居住を推奨した。この発言がアパルトヘイト時代の差別を容認していると して、在日南アフリカ大使館やNPO法人アフリカ日本協議会が抗議している。 そもそも1948年に南アフリカの国民党政権がアパルトヘイト政策を始めた経緯 は、当時アメリカ合衆国であからさまな人種差別が「分離すれども平等」とい う1896年の最高裁判決のもとで公然と行われていたことに右にならえしたもの だ。これが第二次大戦後の国際世論によって拒絶されたために、分離を意味す るアパルトヘイトが人種差別の代名詞となった。その流れは、アメリカの公民権 運動に結びつき、1970年代に南アフリカでスティーブ・ビコが指導した黒人意 識運動になって逆輸入された。 南アフリカの人種別居住は、アパルトヘイト体制下で生まれた1950年の集団地域 法で始まったのではなく、南ア連邦時代の1913年に原住民土地法として始まり 、1994年の民主化で原状復帰されなかったために今も存在し続けている。 人種差別や階級差別が欧米ほど厳しくない国であった日本で、曽野綾子さんのよ うな文学者が人種別居住を公然と推奨するのは、この20年で、南ア並みの格差 が、日本でも受け入れられるようになったことを意味する。文学者ならば、人々 に夢を与え、理想への道を示してほしい。 ============================== (Fのコメント) 曽野綾子さんのコラムを直に読んでいないので、評論を控えていま したが、得丸さんが評論したので、少し。 日本の現在の状況(人口減少、潜在経済成長力など)を見ると、今 後、移民なしには、これ以上の経済発展もないし、今後の介護も行 き詰まることは見えている。 ということで、曽野さんが移民問題を取り上げたのであろうが、ア パルトヘイトと間違えられる書き方をしたことで、移民問題を真剣 に議論することが難しくなったのはまずい。 また、南ア共和国モハウ・ペコ駐日大使が曽野さんの評論を批判し のは頷けるが、なぜ、アパルトヘイトが今も存在し続けているのか の説明も必要なはずである。 自国ではアパルトヘイトをしていて、他国でそれを支持すると、抗 議するというのも変ですよね。 もちろん、私はアパルトヘイトには反対ですよ。 ============================== 曽野綾子氏「アパルトヘイト称揚してない」 2015年2月17日05時35分朝日 11日の産経新聞紙上に掲載されたコラムが「アパルトヘイトを 許容している」との抗議を受けたことについて見解を求めたところ 、作家・曽野綾子氏は朝日新聞に次のコメントを文書で寄せた。 ◇ 私はブログやツイッターなどと関係のない世界で生きて来て、今 回、まちがった情報に基づいて興奮している人々を知りました。 私が安倍総理のアドヴァイザーであったことなど一度もありませ ん。そのような記事を配信した新聞は、日本のであろうと、外国の であろうと、その根拠を示す責任があります。もし示せない時には 記事の訂正をされるのがマスコミの良心というものでしょう。 私は、アパルトヘイトを称揚したことなどありませんが、「チャ イナ・タウン」や「リトル・東京」の存在はいいものでしょう。 ◇ 〈その・あやこ〉 1931年生まれ。堕胎を扱った「神の汚れ た手」など著書多数。2003年、夫の三浦朱門氏に続き文化功労 者。13年1月に安倍政権の教育再生実行会議委員(同年10月辞 任)。保守派の論客として知られ、同年8月には週刊誌で「女性は 赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう」「職場でパワハ ラだセクハラだと騒ぎ立てる女性も、幼稚」などと発言し、論争に なった。エッセー集「人間にとって成熟とは何か」は13年のベス トセラー。 ============================== 曽野氏コラムは「人種隔離容認」 南ア大使が産経に抗議 斉藤佑介2015年2月14日23時00分朝日 産経新聞社は14日、同紙の11日付朝刊に掲載された作家、曽 野綾子氏のコラムについて、南アフリカのモハウ・ペコ駐日大使ら から抗議を受けたことを明らかにした。アパルトヘイト(人種隔離 )政策を容認する内容だとして、インターネット上で批判を浴び、 海外メディアも報じていた。 コラムは「労働力不足と移民」と題して、介護分野での外国人労 働者の受け入れの必要性を指摘。「居住区だけは、白人、アジア人 、黒人というふうに分けて住む方がいい」と書き、人種差別の廃止 後の南アで、生活習慣の違いから白人と黒人が分かれて住んだ例を 紹介した。 産経新聞社広報部によると、大使からの抗議文は「アパルトヘイ トを許容し、美化した。行き過ぎた、恥ずべき提案」との内容だっ た。NPO法人「アフリカ日本協議会」(東京)も産経新聞社と曽 野氏に抗議したという。 コラムをめぐっては、掲載後からツイッターで「アパルトヘイト 擁護だ」などと問題視する声が広がり、ロイター通信など海外メデ ィアが「首相の元アドバイザーがアパルトヘイトを称賛」といった 見出しで報じた。 産経新聞は「当該記事は曽野綾子氏の常設コラムで、曽野氏ご本 人の意見として掲載しました。コラムについてさまざまなご意見が あるのは当然のことと考えております。産経新聞は、一貫してアパ ルトヘイトはもとより、人種差別などあらゆる差別は許されるもの ではないとの考えです」との小林毅・東京編集局長のコメントを出 した。(斉藤佑介)