5291.人民元の為替操作は違法か?



プロジェクト・シンジケートにジェフリー・フランケル・ハーバー
ド大学教授の「The Non-Problem of Chinese Currency Manipulation」
が載っている。リンクは最後。

米国の民主党と共和党でもめているのが、中国の人民元を不当に為
替操作していることである。共和党は中国が不当に人民元を低くし
ていると非難している。しかし、今、為替操作を中国がしなければ
、人民元は高くならずに今より低くなる。

人民元はドルとリンクしているので、日本の円やヨーロッパのユー
ロに対して、標準より高くなっている。

人民銀行は、過去10年以上も為替操作で人民元を低くしてきたこ
とは事実であり、このため、外貨準備高が2014年7月には
3.99兆ドルになっていた。

しかし、現在、状況が変わった。投資資金が現在、逃げていく方向
で、このため、人民銀行は人民元を買い支えることになっている。
このため、外貨準備高が2015年1月では3.84兆ドルまで減
っている。

この傾向は当分続く。ドルが景気回復で上昇したことや、FRBが量的
緩和を止めていることと、中国経済が下降していることで、人民元
に下落の圧力が掛かっていることによる。このため、人民銀行は、
金融刺激策を行う方向である。

この傾向は他の国でも行っている。日銀とECBは通貨を下げるような
金融政策をしている。これはG7で通貨戦争になると指摘された。

しかし、米国は世界に量的緩和は為替操作とは違うと説明してきた。
この時、ブラジルの蔵相が通貨戦争の攻撃という言葉を使った。

米国は中国との間で、輸入超過状態が続いているが、今、人民元を
変動相場にすると、人民元は下落して、より以上の輸入が増えてし
まうことである。

今は、人民元の変動家を言う時期ではない。


The Non-Problem of Chinese Currency Manipulation

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