5290.中国はどこに向かっているのか?



習近平体制になってから、中国が向かう方向がどちらなのか、非常
に不安を持ちながら見ていたが、大体、習近平が向かう方向が見え
てきたようなである。それを検討しよう。   津田より

0.現状
中国は、習近平独裁体制を整えた。今まで首相が組長をしていた中
央財経領導小組も習近平が組長になり、李克強首相は、政府のトッ
プであるが、経済計画の責任もなくなって、経済執行のトップにな
ったということである。軍のトップとしても軍の汚職を取締り、江
沢民派を追放した。

太子党の王岐山は中国では珍しく清潔な人であり、その王岐山を党
中央規律検査委員会書記にして、汚職を徹底的に取り締まることで
、江沢民派を取締り、共産党青年団派の汚職も取締り、その取締り
で、権力を習近平に集めたのである。

反腐敗キャンペーンが2014年以降、70社に上る大手上場企業
に波及し、共産党中央規律検査委員会の調査を受けている。広範囲
で調査が行われている。

この反汚職運動は、単なる権力闘争にとどまるのか、方向性が分か
らず、北京のエリート、特に経済人の間で不安が高まっている。党
の組織、大規模国営企業、中国の実業界のみならず、政府のあらゆ
る階層にいる党員たちの日常的慣行にも具体的な影響を与えている
。あらゆる人々が、長年にわたり中国の経済的・社会的発展の潤滑
油となってきた、賄賂の授受に慎重になっている。

このため、高級料亭などには客が来なくなったことと、大企業の取
締りなどで、経済活動も低調になっている。これと人件費が高騰し
ていることで、外資企業の撤退が増えている。しかし、中国は輸出
での経済成長から国内需要の拡大による経済成長に変化する時代に
なったので、外資企業に増税をしたり、賄賂を要求したりと国内産
業の育成に移行しているのである。

そして、習近平は、中国の伝統的な思想である儒教を重要視し、西
洋思想を排除する方向である。カプランの「Asia’s Rise Is Rooted
 in Confucian Values」などで論語が中国の発展に大きな役割を果
たしているという。民主化より秩序を重要視した思想が重要という
西洋人が出てきたことに、ビックリした。

3月初旬に中国全国人民代表会議(全人代)が開かれ、習近平は権力
集中を背景に、2020年までに規制緩和、権限委譲、国有企業改革、
経済改革、司法改革、戸籍改革、地方財政改革を断行する構えのよ
うである。

習近平政権の特徴は(1)権力の集中と党内派閥(太子党、共産主義
青年団)の解消(2)空前絶後の腐敗撲滅(3)大胆な改革(4)厳し
い言論統制(5)改革派だけでなく保守派とも協調などである。

習近平は、中国古来の儒教思想で社会を安定させて、共産党員の、
共産党員による、共産党員のための中国を作るようである。人民は
農奴かクーリーでしかない。また、儒教思想から党員には、君子を
求めているようだ。

1.次期常務委員
2017年に、現行の政治局常務委員7人のうち、習近平(シー・ジンピ
ン)総書記、李克強(リー・クーチャン)首相以外の5人は年齢制限
で退任する。誰が新たな常務委員となるのかが注目されるが、華字
紙・僑報は胡春華(フー・チュンホワ)氏、孫政才(スン・ジョン
ツァイ)氏、汪洋(ワン・ヤン)氏、王滬寧(ワン・フーニン)氏
、栗戦書(リー・ジャンシュー)氏の5人だとの観測記事を発表し
た。李源朝(リー・ユエンチャオ)国家副主席など重量級の人物の
落選を予想した。

この5人は、孫政才(スン・ジョンツァイ)氏以外は団派である。
胡春華と孫政才のどちらが次の主席になることが期待されている。
ということで、胡錦涛前主席の思惑は成功したようである。政治局
常務委員の5人が団派ということになる。しかし、習近平は、次の
政治局員を選別する時に、太子党を入れるはずである。

汪洋氏は、経済改革を掲げる人を上げ、李源朝のような米国留学生
で、米国との繋ぎができる人を上げないということは、西洋排除の
方向なのであろうと思う。

2.中国の夢に向けて
中国は世界覇権獲得への「100年の長期戦略」を構築して、それを着
実に実行していると米国の国防総省で長年中国の軍事研究を任され
てきたマイケル・ピルズベリー氏が言い始めた。中国は、建国100年
となる2049年を目標に、経済、政治、軍事の各面で米国を完全に追
い抜き、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立しよう
としているというのである。

このため、中国が覇権を取る準備を始めている。まず、新シルクロ
ードを計画して、北京から中央アジア経由でヨーロッパに向かう高
速鉄道の計画を立て、現在は、中央アジア経由でスペインまでの貨
物列車を走らせている。アジアのインフラ投資を助ける「アジアイ
ンフラ投資銀行」をほとんど中国の資金で設立するという。

また、人民元と各国通貨のスワップを拡大して、ロシアや中南米に
人民元を融通している。このため、ロシアは欧米から経済制裁を受
けているが、大きな悪影響を免れている。人民元はドルとは緩やか
にリンクしているので、ロシアは人民元を手にれて、それをドルに
交換すれば、ドルが中国経由で手に入ることになる。そして、人民
元の国際化を本格的に取り組み始めている。

軍事的には、経済成長以上に軍事費を拡大して、アジアの潜水艦は
1990年の176隻から2015年には229隻に増えている。ミリタリー・バ
ランス2015によると、中国は原子力弾道ミサイル潜水艦4隻を含む
70隻、日本の海上自衛隊は18隻と圧倒的な差をつけた。

日本一国で戦えるような規模ではなく、中国の優位は今後毎年開く
ことになる。軍事費が10倍の50兆円程度になるためにである。

米国は、軍事費を削減する方向であり、中国が年間10%以上増額
すると、2030年以前で米国を抜くことになる。

南シナ海スプラトリー(南沙)諸島では、大規模な埋め立てや滑走
路などの建設を進めている。ヒューズ岩礁で7万5000平方メー
トルの埋め立て地に大規模な施設が建設されているほか、ガベン岩
礁、ジョンソン南礁でも工事が進めて、軍事基地を作るようである。

このように中国は自国の領土主張を確実にする領土を拡大している。

覇権を握るには、経済規模、軍事力、それと国際的な組織の3つが
必要であるが、とうとう覇権を視野に、3つを揃え始めたようであ
る。BRICS銀行もその組織であり、「アジアインフラ投資銀行」もそ
うである。

3.中国経済の現状は
今までに中国限界論が多数出たが、残念ながら、今までは中国の経
済はバブル崩壊しないし、経済成長率も7%程度、または6%にな
っている。世界銀行は、2014年の中国経済は購買力平価(PPP)で
166年ぶりに世界一になると試算した。しかし、おかしい指標も出て
きている。

景気減速を受けて今年の春節商戦は低迷しているようだ。「売り上
げは昨年から40%も減りました」と肩を落とすのはある花火製造業
者。景気減速に加え、安全規定や大気汚染対策の強化も追い打ちと
なった。例年、旧正月前になるとブタ肉価格が上昇するが今年はむ
しろ下がっているという。

しかし、日本などの周辺国では、中国の観光客が押し寄せて、爆買
をしている。どちらが中国の現状を示しているのかわからない状態
である。

1月の貿易統計は、輸出が前年同月比3.3%減となったほか、輸
入も19.9%減少した。輸出入ともに市場予想を大幅に下回った。

また、2014年の電力消費量の伸び率は、2013年の半分程度の3.8%に
急減したし、エネルギー消費の7割を占める石炭の2014年の生産量も
2000年以降初めて減少に転じた。特に1月の中国の石炭輸入量は前
年同月比53.2%減の1678トンだった。

というように、どうも経済の状態はよくないようであるが、鉄道貨
物量も減少したので、経済は良くないようだ。しかし、それでも6
%程度の成長があり、日本のように0.5%ではない。

国内の需要拡大はつづいているので、国内需要が経済成長の中心に
なると、当分、経済成長は続くと見たほうが良い。もちろん、成長
率は落ちるが、経済規模は増えるし、米国より経済成長率は高いの
で、米国を抜く方向である。

4.日本はどうすれば良いか?
日中関係を安定させて、かつ日米の集団自衛権を強化して、中国の
日本を世界の悪者に仕立てる「日本悪魔化」工作に対抗して、中国
の覇権志向を指摘するしかない。

一番問題なのが、米国の視点がアジアからまた中東へシフトしてい
ることで、アジアでの中国の優位を確定させてしまうことになる。

しかし、日本は難しいことになってきたように思う。米中の真ん中
で米国寄りでいるが、米中が握手をされると、何もできないことに
なる。

現時点、中国は世界に出てくくことを我慢して、経済力を増強する
方向であり、当分は、現状の状態が続くように思うが、しかし、7
年後、総書記が代わり、その時に権力闘争が起きると、国内紛争の
争点を海外に求めて、強気になり、海外での紛争が拡大する可能性
がある。

さあ、どうなりますか?

参考資料:
Asia’s Rise Is Rooted in Confucian Values
http://www.wsj.com/articles/asias-rise-is-rooted-in-confucian-values-1423254759?mod=WSJ_USHomePage_Additional_News

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中国、タリバーンに接触 アフガン和平「役割果たせる」
2015年2月21日05時00分asahi
 アフガニスタン政府と反政府武装勢力タリバーンの和平にからみ
、中国が存在感を増している。タリバーンと中国政府が接触を開始
。駐留米軍の撤退が進み、米国の存在感が下がる一方で、中国は自
国のイスラム過激派がタリバーンに支援を受けることを警戒。和平
を実現し、過激派の芽を摘むことを視野に入れている模様だ。
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日中が「安保対話」開催へ 集団的自衛権を説明、4月にも
 日中両政府は外務・防衛当局による「安保対話」を4月にも東京
都内で開く方向で調整に入った。複数の外交筋が18日、明らかに
した。日本は集団的自衛権の行使容認を踏まえた安全保障法制の整
備について説明。中国に国防費の透明性向上も求める方針だ。昨年
11月の日中首脳会談後も沖縄県・尖閣諸島沖での中国公船による
領海侵犯は続いており、両国が海洋の安全保障をめぐり、どこまで
信頼醸成を図れるかが焦点になる。
 日本としては関係改善を進め、首脳会談開催にもつなげたい考え
だ。安保対話が実現すれば、2011年1月に北京で開かれて以来
、4年ぶり。
2015/02/19 02:00   【共同通信】
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中国、南沙諸島で大規模な埋め立てと建設 軍事誌
2015.02.18 Wed posted at 16:36 JST
香港(CNN) 中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国など
と領有権を争う南シナ海スプラトリー(南沙)諸島で、大規模な埋
め立てや滑走路などの建設を進めていることが分かった。軍事専門
誌IHSジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーが1月末時点の
衛星画像を分析した。
同誌はこれまでにも同諸島の2カ所での工事を指摘していたが、新
たな画像ではヒューズ岩礁で7万5000平方メートルの埋め立て
地に大規模な施設が建設されているほか、ガベン岩礁、ジョンソン
南礁でも工事が進んでいることを確認したという。
同誌の編集者はCNNに「かつては小さなコンクリートの土台が少
数設置されていただけの場所に、ヘリポートや滑走路、港、大規模
な兵舎を備えた人工島ができ上がっている」と語った。
ヒューズ岩礁とガベン岩礁の建造物は、同じ規格で建設された形跡
がみられるという。
同諸島や周辺海域を巡っては中国と台湾、ベトナム、フィリピン、
マレーシア、ブルネイが領有権を争っている。埋め立て工事は国際
法上、領有権の裏付けにはならないが、中国が埋め立て地に重装備
の軍事施設を設置すれば撤去させるのは難しく、事実上の支配が永
続化する事態も考えられる。
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手なずけるはずが深刻な脅威に、
大間違いだったアメリカの対中政策
世界覇権獲得を目指す中国の「100年のマラソン」戦略
2015.02.18(水)  古森 義久  JBPRESS
米国の歴代政権の中国への「関与」政策は間違っていた。米国が中
国と関われば中国は米国主導の国際秩序に協調的な一員として参加
してくるだろう、という推定は幻想だった。一貫して中国は米国を
排除して世界覇権を握ることを目指しているのだ――。
 この2月、こんな大胆な考察が、米国の国防総省で長年中国の軍事
研究を任されてきた権威によって公表された。中国は世界覇権獲得
への「100年のマラソン」を走っており、日本を世界の悪者に仕立て
る「日本悪魔化」工作もその長期戦略の重要な一環なのだという。
間違っていた中国に関する思い込み
 米国のこの政策ミスは、マイケル・ピルズベリー氏の最新著書『
100年のマラソン:米国に代わってグローバル超大国になろうとする
中国の秘密戦略』("The Hundred-Year Marathon: China's Secret 
Strategy to Replace America As the Global Superpower")のなか
で明らかにされた。
 ピルズベリー氏は、1970年代のニクソン政権時代から一貫して国
防総省の高官や顧問として中国の軍事動向を研究してきた人物であ
る。米国の数多くの中国研究者の間で軍事分野での第一人者とされ
る。特に中国語に堪能で、共産党や人民解放軍の軍事戦略関連の文
書を読みこなす一方、中国側の軍首脳との親密な交流を保ってきた
実績で知られる。
 東西冷戦中のレーガン政権時代には、ソ連を牽制するために米国
は中国に軍事関連の支援をするべきだという政策を提唱し、中国軍
首脳と緊密な関係を築いて、中国側の信頼をも得てきた。
 そのピルズベリー氏が、いまとなって中国強化の政策は間違いだ
ったと告白したのである。『100年のマラソン』は、ワシントンの外
交政策形成の世界で衝撃的な波紋を広げている。
 同書によると、米国側には官民ともに中華人民共和国に対して「
欧米や日本の侵略の犠牲になった貧しく弱い国」という思い込みが
あった。特に1970年代のニクソン政権やカーター政権の時代から、
中国をより強く、より豊かにすることがソ連への牽制だけでなく、
中国を米国に対して協調的、友好的にさせる最善の方法だと信じて
きたという。つまり米国は「建設的関与」によって中国を最大限に
支援し、中国の根幹を強くして豊かにすれば、中国は国際社会への
参加や協力を強め、西側に同調するだろうと考えてきた、というの
である。
 だがいまやピルズベリー氏は、自分自身のかつての考えも含めて
米国の年来の「中国に対する関与政策は中国の対米協力をもたらす
」「中国は民主主義へと向っている」「中国は国家としてまだ弱体
」「中国は米国のようになりたいと願っている」・・・という想定
がみな錯誤だったと断じる。
「タカ派」的思考が主流となっている中国の指導層
 その上でピルズベリー氏は自著のなかで次のような重大な指摘を
していた。
・中国は「平和的台頭」や「中国の夢」という口先だけのスローガ
ンを掲げて米国を安心させ、対中関与政策をとらせてきた。だが実
は建国100年となる2049年を目標に、経済、政治、軍事の各面で米国
を完全に追い抜き、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を
確立しようとしている。
・中国共産党指導層は、米国が実は中国の現体制を骨抜きにし、国
際的にも封じ込めて変質させ、米国主導の国際秩序に従属的に参加
させる意図だとずっと前から断じていた。だが表面上は米国の主導
と関与の策に従うふりをして、その一方で国力を強め、米国の覇権
を奪い、中国主導の国際秩序を築く長期戦略を「100年のマラソン(
馬拉松)」として進めてきた。
・中国共産党指導層のそうした真意は、人民解放軍の最高幹部や共
産党の幹部のうち「タカ派(白鷹)」とされる人たちによって明ら
かにされてきた。実はそのタカ派的な「100年のマラソン」の思考こ
そが指導層の主流であり、特にいまの習近平主席の考えに近いこと
が明白となった。
・筆者自身は、中国が米国を圧して、覇権を行使できる世界秩序を
構築することを意図している事実を2010年頃から認識するにいたっ
た。米国政府内でもCIA(中央情報局)などはその事実を認めるよう
になった。対中関与政策が中国を米国の好む方向へ変質させるとい
うのはもはや幻想だと言える。
 以上のように、中国軍事研究の最高権威がこれまでの自分の認識
が幻想だったと打ち明けるのだから、その余波は巨大だと言えよう
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中国次世代リーダー登用へ=国有企業の民間企業との合弁推進、環
境エネルギー部門を抜本改革―3月初旬に全国人民代表大会開幕
Record China 2月18日(水)5時59分配信
中国情報筋によると、3月初旬に中国全国人民代表会議(全人代)が
開かれ、一層の腐敗撲滅、国営企業改革、民間経済部門の自由化な
ど5項目の重点施策が打ち出される。
習近平国家主席は圧倒的な権力集中を背景に、2020年までに規制緩
和、権限委譲、国有企業改革、経済改革、司法改革、戸籍改革、地
方財政改革を断行する構え。習主席は「改革達成」へ背水の陣を敷
いており、これらの大胆な改革が実現するかが中国の命運を握るカ
ギとなる。3月の全人代で注目される重点施策5項目は以下の通り。
一、<経済政策の継続強化>
これまでの政策の成功を強調し、今後さらに強化することを狙って
、(1)民間セクターの自由化、(2)就業者を年間1000万人増やす
こと、(3)消費サービス、高付加価値型産業、エネルギー効率重視
型工業への経済構造転換による高成長維持―などが採択文書に盛り
込まれる見通しだ。2015年の経済見通し目標は「7%程度」に設定さ
れる。
二、<汚職撲滅への取り組み>
特に国有企業の監視を強化する。政府高官に対し、汚職をなくすた
めの新たなルールの順守を求めるとともに、派閥の形成を禁じる。
指導部の政策への反対の動きをけん制し、封じる狙いがあると見ら
れる。引き続き軍部にメスが入れられる一方、銀行など金融部門に
重点が置かれることになろう。
三、<環境、エネルギー問題で抜本改革方針>
中国の環境問題は深刻化している。11月の米中首脳会談で地球温暖
化抑止へ排出炭酸ガスの大幅削減で合意したこともあり、エネルギ
ー政策を絡めた含めた対応は喫緊の課題となっている。石炭火力発
電所を廃止し天然ガス火力や原子力への積極的転換が図られること
になろう。
四、<国有企業抜本改革の推進>
国有企業に市場原理を導入するための取り組みが推進される。国有
企業を民間企業との合弁会社に移行させることや、経営陣への民間
人積極的登用、納税強化―などが討議されよう。国有企業の従事者
は全体の就労者の1割強にとどまっており、雇用を拡大するためには
サービス部門や民間企業を拡充せざるを得ない。
五、<次世代リーダーの登用>
17年の政治局常務委員改選では習主席と李克強首相以外は定年を迎
えるために交代する。習氏が見据えるのは、党最高指導部の政治局
常務委員7人のうち、習氏と李氏以外の5人が入れ替わる17年の次期
党大会。22年から始まる「ポスト習」時代の最高指導部の陣容もこ
のとき見えてくる。今回の全人代では地方の人材の中央の要職への
登用などを通じて、17年の常務委員人事への布石が打たれるものと
見られる。習主席は自らの政策に忠実な次世代の人材を抜擢し、次
の段階でさらに昇進させる意向ではないか。江沢民、胡錦濤両氏は
次期党総書記を選べなかった。習氏が自ら指名できれば、毛沢東、
トウ小平両氏以来となる。
習近平主席は、14年12月22日、「党内では絶対に封建時代の結託を
再現してはならない。仲間を呼び寄せて徒党を組み、特定の仲間だ
けしか入れない入場券を出すような、あの封建時代を再現してはな
らない。全ての党員が平等に取り扱われ、平等に権利を持っていな
ければならない」と警告。派閥の解消と既得権益者=独占国有企業
グループの腐敗にメスを入れることを宣言した。
習近平政権の特徴は(1)権力の集中と党内派閥(太子党、共産主義
青年団)の解消(2)空前絶後の腐敗撲滅(3)大胆な改革(4)厳し
い言論統制(5)改革派だけでなく保守派とも協調―など。人民解放
軍は元来、江沢民氏の影響下にあったが、習主席は制服組トップだ
った徐才厚氏(江沢民派)を昨年、「反腐敗」の象徴として党籍は
く奪処分にした。ところが江沢民の影響を受けた者すべての粛清は
非現実的だと判断して、不問に付した。象徴的な人物を見せしめ的
に叩くことによって他の者たちに忠誠を誓わせ、この結果、習主席
は人民解放軍を掌握した。この点、江沢民の影響排除に失敗した胡
錦濤前主席と異なる。(八牧浩行)
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アングル:中国国防予算が景気減速でも拡大へ、「強軍の夢」重視
2015年 02月 17日 16:44 JST
[北京 17日 ロイター] - 中国の習近平指導部は景気減速にも
かかわらず、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)開幕日の3
月5日に公表する2015年国防予算を堅調な水準に維持する方針
だ。米国のアジア回帰で不安が高まる中、軍事力強化の手綱を緩め
ることはないとみられる。
中国は国防予算の詳細な内訳を公表していないが、複数の専門家に
よると、増額分は海軍の対潜艦増強や空母建造に充てられる見通し
だ。
中国の昨年の国防予算は12.2%増の1300億ドルで、米国に
次ぐ規模だった。過去20年間、ほぼ途切れることなく2桁で伸び
ているが、専門家の間では実際の国防費はさらに大きいとの見方が
一般的だ。
中国指導部は急速な経済成長に伴い軍の近代化が必要だとして、国
防予算の伸びを正当化している。だが、2014年の国内総生産(
GDP)伸び率は7.4%増と24年ぶりの低水準だったほか、
15年は7%前後に減速するとみられている。
そうした中で国防予算の高い伸びを維持する理由は何か。専門家ら
は軍事・外交の軸足をアジアに移す米オバマ政権の「リバランス(
再均衡)」政策のほか、習近平国家主席が進める軍に対する反腐敗
運動を挙げる。軍の上層部に不安があるため、国防予算の増額でな
だめようというわけだ。
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2015年の中国成長率、6.9―7.1%に減速も=人民銀調査機関
2015年 02月 17日 16:51 JST
[北京 17日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は、20
15年の中国経済成長率が6.9―7.1%に鈍化する可能性があ
るとの見方を示した。中国日報が17日報じた。
人民銀の調査部門責任者Lu Lei氏は報告書で、不動産市場の低迷や
国による投資の減少を受けて同国の債券投資の伸び率はさらに鈍化
する可能性が高いと予想。「中国の2015年の経済成長率は、需
要の低迷を受けて、比較的低い水準となる6.9―7.1%にとど
まるだろう」と述べ、「中期的にみて最も不確実な点はデフレリス
クだ」と指摘した。
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UPDATE 3-中国新築住宅価格、1月は9カ月連続低下 主要都市で安定
の兆しも
2015年 02月 17日 17:53 JST
[香港 17日 ロイター] - 1月の中国主要70都市の新築住
宅価格は、前月比で0.4%下落し、9カ月連続のマイナスとなっ
た。国家統計局が発表したデータに基づきロイターが算出した。た
だ、主要都市では価格安定の兆候が見られ、不動産市場底入れの可
能性を示す形となった。
前年比では5.1%下落で、5カ月連続でマイナスとなった。
国家統計局発表によると、北京市では前月比0.1%下落し、下落
率が12月の0.2%から縮小した。前年比では1月は3.2%、
12月は2.7%それぞれ下落した。
上海市では8カ月連続で前月比で下落していたが、1月は横ばいと
なった。前年比の下落率は4.2%、12月は3.7%だった。
ただ中小都市を中心に在庫の水準が高いため、直ちに価格が全国的
に上昇する公算は小さい。
野村のエコノミストYang Zhao氏は1月の住宅価格について、「住宅
市場の調整が2015年いっぱい続き、回復の度合いは都市の間で
ばらつきがあるというわれわれの見方と整合する」と述べた。
新築住宅価格は70都市中64都市が前月比で下落。前月の66都
市から減少した。
国家統計局の劉建偉・高級統計師は声明で、都市間で価格の二極化
傾向があると指摘。大都市である1級都市では安定が見られ、2級
都市では下落幅が縮小したが、3級都市では下落が加速したとして
いる。
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爆竹もブタ肉も売れない!景気低迷で冷え込む旧正月商戦―中国
Record China 2月16日(月)5時50分配信
2015年2月14日、参考消息網は記事「景気減速、ブタ肉・爆竹の購入
控えて節約旧正月を過ごす中国人―海外メディア」を掲載した。
2月19日は旧暦1月1月、いわゆる旧正月だ。中国では年越しの食料品
、飾り付け、花火や爆竹などの旧正月商戦が真っ盛り。しかし今年
は例年とはいささか異なっているようだ。
13日付ロイターによると、景気減速を受けて今年の春節商戦は低迷
しているという。「売り上げは昨年から40%も減りました」と肩を
落とすのはある花火製造業者。景気減速に加え、安全規定や大気汚
染対策の強化も追い打ちとなった。例年、旧正月前になるとブタ肉
価格が上昇するが今年はむしろ下がっているようだ。
(翻訳・編集/増田聡太郎)
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2017年に中国共産党最高幹部が一新、驚きのメンバーになると話題
に―中国
Record China 2月15日(日)17時43分配信
2015年2月12日、中国観察は記事「王岐山氏が退任へ、ネットでは新
常務委員メンバーに驚きのリスト」を掲載した。
王岐山(ワン・ジーシャン)中国共産党政治局常務委員、中国共産
党中央紀律委員会書記は7日午前、紀律検査関連部局老幹部と会談し
、新年のあいさつを行った。その際、2017年の次期共産党大会で引
退する方針を示唆した。中国共産党の最高幹部にあたる中国共産党
政治局常務委員は就任時点で67歳以下であることが不文律で、王氏
はこの慣例に抵触する。
現行の政治局常務委員7人のうち、習近平(シー・ジンピン)総書記
、李克強(リー・クーチャン)首相以外の5人は年齢制限で退任する
と予想される。誰が新たな常務委員となるのかが注目されるが、華
字紙・僑報は胡春華(フー・チュンホワ)氏、孫政才(スン・ジョ
ンツァイ)氏、汪洋(ワン・ヤン)氏、王滬寧(ワン・フーニン)
氏、栗戦書(リー・ジャンシュー)氏の5人だとの観測記事を発表し
た。李源朝(リー・ユエンチャオ)国家副主席など重量級の人物の
落選を予想しているだけに注目を集めている。
(翻訳・編集/増田聡太郎)
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中国から外資企業が脱出=労働コスト上昇、景気減速、大気汚染
……問題山積み―中国紙
Record China 2月15日(日)4時40分配信
2015年2月13日、環球網は記事「中国を立ち去り東南アジアに向かう
外資系企業、そのさまざまな理由」を掲載した。韓国メディア・韓
国経済は中国から撤退を続ける外資系企業を取り上げた。
さまざまな要因を背景に「世界の工場」中国から脱出する外資系企
業が増えている。たとえば右肩上がりの労働コスト。広東省広州市
の労働者の平均月収は650ドル(約7万7300円)。インドネシアの300
ドル(約3万5700円)、ベトナムの250ドル(約2万9800円)など東南
アジア諸国を大きく上回っている。
さらに景気の減速も鮮明になったほか、大気汚染も深刻だ。米誌ウ
ォールストリート・ジャーナルによると、中国から異動する外資系
従業員の数は新たに中国に赴任する数の倍になるという。大気汚染
も外国人の中国回避の大きな理由となっている。
(翻訳・編集/増田聡太郎)
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中国軍に「重大な弱点」=制度、能力双方で問題−米シンクタンク
 【ワシントン時事】米有力シンクタンク、ランド研究所は14日
までに、中国人民解放軍の現状に関し、制度と戦闘能力の両面で「
重大な潜在的弱点を抱えている」と結論付けた報告書を公表した。
 報告書は制度上の問題として、旧態依然とした指揮命令系統、将
兵の技量の低さ、腐敗のまん延を列挙。戦闘能力については、長・
中距離輸送機や早期警戒機、艦隊の防空能力などが不足していると
の見方を示した。
 報告書はまた、中国自身が「サイバーセキュリティー上の弱点」
に危機感を募らせていると指摘。一連の欠陥は、台湾有事や東・南
シナ海での領有権主張に関係した作戦に、中国軍が失敗する可能性
を高めていると強調した。(2015/02/14-14:46)
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中国「孔子学院」に逆風、スウェーデンでも閉鎖 
2015/2/14 12:51日本経済新聞 電子版
 【大連=森安健】中国のソフトパワー戦略の一翼を担う中国語教
育機関「孔子学院」が逆風にさらされている。米国、カナダに続き
スウェーデンの大学も契約更新を拒み、閉鎖が決まった。同機関は
中国政府が資金援助し、チベット問題や人権など中国に不利な議論
を回避する傾向があるとされる。資金力にものをいわせた文化外交
の限界がみえてきた。
 スウェーデンのストックホルム大学は6月をもって、2005年に開
校した孔子学院を…
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中国 銀行の不良債権比率が高水準に
2月14日 8時38分nhk
中国政府は、国内の景気が減速するなか、銀行の不良債権比率が去
年末の時点で1.25%となり、年ごとの統計では5年ぶりの高い
水準になったことを明らかにしました。
中国の銀行監督当局によりますと、国内の銀行が保有する不良債権
の総額は去年末の時点で8426億人民元、日本円で16兆円余り
で、1年前と比べて42%増えました。この結果、銀行の貸し出し
に占める不良債権の割合、不良債権比率は去年末時点で1.25%
となり、1年前と比べて0.25ポイント上昇したということです。
上昇幅は、過去10年で最も大きく、不良債権比率は年ごとの統計
では5年ぶりの高い水準になりました。
これは、中国経済が減速するなか、製造業など、銀行の融資先であ
る企業の経営が厳しさを増しているためだとみられています。
中国政府は、「銀行業界は全体としてリスクに対応する力が比較的
強い」と説明しています。
ただ、金融関係者の間では、中国政府が公表する不良債権は日本な
どと比べて審査基準が甘く実際の比率はこの数倍に上るのではない
かという指摘も出ていて、中国政府は、景気の先行きに不透明感が
出るなか難しいかじ取りを迫られています。
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中国経済の急減速で原油価格は二番底へバブル崩壊、1バレル10ドル
台突入の可能性も
2015.02.13(金)藤 和彦 JBPRESS
日に日に深刻さを増す中国のキャッシュフロー
 改革開放以来、特に21世紀以降「大躍進」を遂げてきた中国経済
だが、いよいよ陰りが出始めている。
 「日本経済新聞」は2015年2月3日付の紙面で「中国で賃金上昇が
止まらない」という記事を掲載した。中国でもっとも賃金水準が高
い広東省深セン市は、3月1日付で最低賃金(1カ月)を現行から12.3
%引き上げ、2030元(約3万8000円)とすることを決めた。これは中
国で初めての2000元の大台超えであり、2009年の同1000元からわず
か6年で倍増したことになる。景気減速で続く中国だが、賃金上昇の
波は全国に及ぶと見られている。
 中国の生産者物価指数はすでに3年近くマイナスであるにもかかわ
らず、賃金上昇率が毎年2ケタ台で推移している。そのため、企業の
多くは実質的には赤字に陥り、キャッシュフロー不足が常態化して
いるのではないかとの懸念が高まっている。
 また、中国の4大銀行の預金残高が統計開始以来初めて減少すると
ともに、政府の規制強化により、ここ数年爆発的に伸びてきたシャ
ドーバンキング(信託会社やリース会社が資金を投資家から集めて
一般の銀行が貸さないリスクのある事業に資金を提供する仕組み)
部門の減速も見込まれている。中国経済のキャッシュフロー不足は
、日に日に深刻さを増している。
人民銀行の懸案が「資金流入」から「資金流出」へ
 中国は国内のキャッシュフロー不足に加えて、資金の国内外の流
れも変わってきている。
 特に注目すべきは、2014年第3四半期に統計開始後初めて対外直接
投資額が対内直接投資額を上回ったことだ。2014年全体の対内直接
投資額は前年比1.7%増の1196億ドルで、米国を抜いて初めて世界一
となったが、対外直接投資額も初めて1000億ドルを突破し、対内直
接投資額を上回った。
電力消費量の伸び率も石炭の生産量も減少
 世界銀行は、2014年の中国経済は購買力平価(PPP)で166年ぶり
に世界一になると試算したが、2014年の経済成長率は前年比7.4%増
と24年ぶりの低水準だった。
 しかし政府が発表したこの「7.4%」という成長率を信じる専門家
は少ない。
 かつては「爆食経済」と称されたように、中国の生産活動には相
変わらず大量のエネルギー資源が投入されている。中国経済が本当
に伸びているかどうかを見るには、エネルギー消費量の伸びをチェ
ックするのが一番だ。
 2013年の経済成長率は7.7%だったが、全国の電力消費量は同じ7
%台の7.5%だった。しかし、2014年の電力消費量の伸び率は、2013
年の半分程度の3.8%に急減している。エネルギー消費の7割を占め
る石炭の2014年の生産量も2000年以降初めて減少に転じている。
 また、2014年1月から11月までの中国国内の鉄道貨物輸送量は前年
比で3.2%減少している。物流の大黒柱である鉄道の貨物輸送量がマ
イナス成長に転じていることは、エネルギー消費の動向と併せて考
えると、中国全体の経済活動がかなり冷え込んでいると考えて間違
いはない。
 国家統計局が発表した2015年1月の製造業購買担当者指数(PMI)
は49.8となり、景況判断の節目となる50を2年4カ月ぶりに割り込ん
だ。だが、中国政府は成長刺激のために財政支出を拡大する計画は
ないとの見解を繰り返している。
中国経済はいよいよバブル崩壊のカウントダウンに
 IMFは中国の経済成長率を2015年は6.8%、2016年は6.3%になると
予測しているが、深刻なのは労働力人口の減少である。
 2014年の労働年齢人口(16〜59歳)は3年連続の減少となり(2014
年は371万人、2013年は244万人、2012年は345万人)、今後10年は労
働力が過去20年間ほどは成長に寄与しないことが明らかになってい
る。高齢化が急速に進行し、「5年後には人口13億人のうち6億人を
、働く世代が支えなければならない時代が来る」とする向きもある。
 中国の粗鋼生産量は1996年に1億トンを突破して世界一になった。
それ以降、21世紀に入っても急拡大を続けてきたが、2014年の伸び
は2000年以来の低水準だった。2015年にはついに生産のピークに達
するとの見方が一般的になっている。
 中国の鉱工業生産額は2001年にドイツ、2006年に日本、2009年に
米国を抜き、2013年には3646億ドルに達した。2000年から2013年に
かけての伸び率を平均すると33.4%となる。これは世界全体の10倍
以上のスピードである。世界経済のデフレ化が懸念される中で、3646
億ドルという数字が今後10年間で3分の2になったとしても、世界経
済の供給過剰状態は解消できないかもしれない。 
 また、2014年12月の新築住宅価格が8カ月連続で下落するなど不動
産市場の在庫が依然として高水準であることから、不動産会社のデ
フォルト懸念が日増しに高まっている。2014年末には国家所属のシ
ンクタンク(国務院発展研究センター)が、「長年蓄積してきた不
動産場バブルが、需要の萎縮によって2015年に破裂するかもしれな
い」とバブル崩壊の可能性を認めるまでになっている。このため国
内の社債市場も変調をきたしており、資金の流通速度はますます下
がっていくことだろう。 
 企業がデフォルトに追い込まれるのは不良資産の大きさではなく
資金繰りがつかなくなった時である。かつてないほど資金繰りが困
難になっている中国経済はいよいよバブル崩壊のカウントダウンに
入ったのではないだろうか。
 過去20年以上続けてきた債務バブルが破裂してしまえば、原油価
格下落による恩恵など役に立たない。中国経済が2015年以降本格的
に減速すれば、中国の原油需要の伸びが大幅なマイナスに転じる可
能性があり、世界の原油需要が減少に転じるのは必至だ。原油価格
に対してもう一段の下押し圧力になることは間違いない。
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どんどん広がる日中の軍事力格差 4年後に5倍に、集団的自衛権
と日米同盟の強化は避けて通れない
木村正人2015年02月11日 23:33BLOGOS
ロンドンにある有力シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は11日
、世界各国の軍事力に関する報告書「ミリタリー・バランス2015」
を発表した。
米国の国防支出は2010年には世界全体の47%を占めたが、14年には
38%前後まで下がった。それでも5810億ドルに達しており、2位の中
国1294億ドルを大きく引き離している。
中東のサウジアラビが13年は596億ドルで4位だったが、イランの核
開発やイスラム過激派組織「イスラム国」の台頭に備えるため14年
には808億ドルまで国防予算を増やし、ランクを3位に上げた。
日本は円安の影響で世界ランクは7位のまま変わらなかったが、14
年のドル・ベースでは前年の510億ドルから477億ドルに防衛予算を
減らしている。
アジアの国防予算は10年以降、名目で4分の1以上増え、14年には
総額3400億ドル以上に。10年には中国の国防予算はアジア全体の28
%だったが、14年までに約38%に増えた。
一方、日本の防衛予算は同じ期間、アジア全体の20%から14%未満
に低下した。東シナ海で圧力を強める中国に対し、安倍政権は3年
連続で防衛費を増やし、新年度予算で過去最高の4兆9801億円を確保
した。
それでもIISSのギリ・ラジェンドラン調査アナリストによると、19
年には中国の国防予算はアジア全体の50%、日本は10%と5倍もの
開きが出てしまう。
これは単年度の国防予算の比較で、どんどん累積されていく日中の
軍事力格差を考えると気が遠くなる。
アジアの潜水艦は1990年の176隻から2015年には229隻に増えている。
ミリタリー・バランス2015によると、中国は原子力弾道ミサイル潜
水艦4隻を含む70隻、日本の海上自衛隊は18隻と圧倒的な差をつけ
られている。
さらに中国人民解放軍は、戦闘機や核弾頭が搭載可能な極超音速滑
空ミサイルなどの兵器開発を急ピッチで進めている。
IISSのジェームズ・ハケット上級研究員は「中国は南シナ海で漁船
、公船などさまざまな船舶を使って現状変更を企てており、日本は
軍事衝突には至らないグレーゾーンに対処する能力が求められてい
る」と指摘する。
中国との政治的相互信頼関係の構築はもちろん大切だ。それと同時
に集団的自衛権の限定的行使を容認し、日米同盟を強化して中国に
対しスキをつくらないことが日本が進む現実的な道である。英国や
フランスとの防衛協力・交流の強化もその一環だ。
そもそも集団的自衛権の行使を認めていないのは日本と常備軍を廃
止したコスタリカぐらいのもので、「集団的自衛権すなわち戦争へ
の道」という批判は国際政治の現実に目をつぶる幼稚な議論と言わ
ざるを得ない。
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中国経済はより持続可能な状態、消費は着実に拡大=人民銀副総裁
2015年 02月 11日 14:18 JST
[北京 11日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の易綱副
総裁は、中国経済が現在、より持続可能な状態にあり、国内消費は
着実に拡大していると述べた。
トルコ・イスタンブールで9─10日に開催された20カ国・地域
(G20)財務相・中央銀行総裁会議での発言が、人民銀行のウェ
ブサイトに11日、掲載された。
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中国は2017年に産業用ロボット保有台数世界一に、日系メーカーの
シェアは60%―中国メディア
Record China 2月10日(火)18時38分配信
2015年2月6日、新浪によると、中国の産業用ロボット保有台数は
2017年には世界一になるとみられている。
国際ロボット連盟(IFR)は5日、中国の産業用ロボット保有台数が
17年には世界一になるとの見通しを発表した。産業用ロボットの貿
易額は全世界で95億ドル(約1兆1300億円)に達した。関連ソフトウ
ェアや機器、プロジェクトを加えると290億ドル(約3兆4500億円)
という巨大市場だ。
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中国の物価0・8%上昇 5年2カ月ぶり低水準
 【北京共同】中国国家統計局は10日、1月の消費者物価指数(
CPI)が前年同月比で0・8%上昇したと発表した。上昇率は昨
年12月の1・5%から縮小し、リーマン・ショックによる落ち込
みの影響が残っていた2009年11月以来、5年2カ月ぶりの低
い水準となった。経済の減速で消費が振るわない。
 主要な食品である豚肉や野菜が値下がりした。果物や水産品の上
昇率も縮小。世界的な資源安の影響で、ガソリンの価格も下落した
。政府が汚職防止のために過剰な接待や宴会を戒めている影響で、
酒類も値下がりしている。
2015/02/10 11:56   【共同通信】
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1月の中国石炭輸入量53%減 新規則実施で手控え
FOCUS-ASIA.COM 2月11日(水)6時43分配信
税関総署は2015年1月の中国の石炭輸入量は前年同月比53.2
%減の1678トンだったと発表した。1月としては15年ぶりの
低水準で、実施後1カ月経った石炭輸入に関する新規則の影響が現
れている。2月9日、毎日経済新聞が伝えた。
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「反腐敗」大手70社に波及=日本企業も影響−石油、電力など標
的・中国
 【北京時事】中国の習近平国家主席が展開する反腐敗キャンペー
ンが2014年以降、70社に上る大手上場企業に波及し、共産党
中央規律検査委員会の調査を受けるなどしていることが分かった。
9日付の中国紙・新京報が伝えた。日本企業にも、合弁先の企業が
調査を受けたり、経済政策を統括する国家発展改革委員会の幹部が
相次ぎ摘発されたりして、一定の影響が出ている。
 中国筋は「当面の反腐敗の主要対象は石油、石炭、電力、医薬な
どだ」と解説する。これらの分野の許認可権を握る国家発展改革委
では、国家エネルギー局や価格局の幹部ら10人以上が汚職容疑で
摘発されており、日本を含む外資系企業も裏付け調査などのため、
当局から協力を求められている。(2015/02/09-16:42)
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1月の中国貿易統計は輸出入ともに減少、減速懸念強まる
2015年 02月 9日 07:11 JST
[上海 8日 ロイター] - 中国税関総署が8日発表した1月の貿
易統計は、輸出が前年同月比3.3%減となったほか、輸入も
19.9%減少した。輸出入ともに市場予想を大幅に下回った。貿
易黒字額は月間で過去最大となる600億ドルだった。
ロイターによるアナリスト予想では、欧州の金融緩和や堅調な米国
経済を背景に中国製品に対する需要が拡大するとみられたことから
、輸出は6.3%増になると予想されていた。また、輸入は3%減
にとどまり、貿易黒字額は489億ドルと見込まれていた。
輸入の減少率は2009年5月以来の大きさ。輸出が前年比でマイ
ナスとなったのは14年3月以来。さえない貿易統計を受け、中国
の景気減速に対する懸念が強まりそうだ。
輸出を国・地域別でみると、米国向けは4.8%増の350億ドル
、欧州連合(EU)向けが4.6%減の330億ドルだった。香港
、韓国、日本向けも減少。中でも日本向けは2割強減少した。
全体の貿易統計を前月比でみると、輸出が12%減、輸入が21.1
%減だった。商品(コモディティー)の輸入が大きく減少し、特に
石炭輸入は約4割減の1678万トン。原油輸入量も7.9%減少
した。
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中国の金融外交:資金は潤沢だが性急
2015.02.04(水)  The Economist
(英エコノミスト誌 2015年1月31日号)
世界銀行とIMFに挑戦するためには、中国はこれらの機関を真似しな
ければならない。
中国の習近平国家主席は1月初め、北京でベネズエラのニコラス・マ
ドゥロ大統領と会談した際、公の場では仲睦まじく振る舞い、大統
領のことを「中国人の良き友人」と称えた。密室での交渉は、それ
よりはるかに張り詰めたものだったに違いない。
 中国の銀行は2007年以降、ベネズエラに500億ドル融資した。ベネ
ズエラ経済が深刻な不況に陥っているため、これらの債務を返済す
る同国の能力は極めて疑わしくなっている。ベネズエラの債券を売
買している投資家は、中国の関与がなければ、デフォルト(債務不
履行)は事実上避けられないと見るだろう。
 すでにベネズエラにこれほど多額の融資を行った中国は、ベネズ
エラが崖から落ちてしまうのを防ぐために、マドゥロ氏にさらに多
くの資金を提供するだろうか?
ベネズエラ、アルゼンチン、ロシアの救世主?
 しかもベネズエラは、中国にそうしたジレンマを突き付ける最初
の国にすぎない。
 南米でベネズエラに次いで多額の融資を中国から受けている国は
アルゼンチンで、コモディティー(商品)価格の急落を受けて同国
も苦しんでいる。
 アルゼンチンは、外貨準備がこれ以上減少するのを食い止めるた
めに、中国の与信枠を利用し始めている。
 そして、ロシアがいる。中国の銀行は、ロシアの石油企業に300億
ドル以上貸し付けている。ロシア経済が力を失う中、さらに多くの
資金を提供するという中国の約束は、ロシアを支える数少ない柱の
1つだ。
 中国は、これら3カ国すべての救い主になり得る存在と見られてい
る。これらの国にとって最後の貸し手、つまり、他国が背を向けた
時に資金を流し続けてくれる唯一の銀行家である。これは中国の目
覚ましい成長の証しだ。何しろ2010年まで、中国はまだ外国支援の
純受入国だった。だが、この状況は、国際融資における中国の実績
に暗い影も投げかけている。
 中国は過去5年間、政治的理由であれ(ロシア)、経済的理由であ
れ(アルゼンチン)、西側の貸し手からほとんど相手にされない国
々と取引することで、国際融資残高を劇的に増やしてきた。
 さらに、これらの融資は、国際通貨基金(IMF)によって通常課さ
れる政策的な条件なしに行われている。中国は財政の健全性を要求
する代わりに、借り手が中国の建設会社に契約を発注するよう要求
することが多かった。
 また、中国は2008年以降、カナダからパキスタンに至るまで30カ
国近い国々と約5000億ドル規模の通貨スワップ協定も結んでいる。
この通貨スワップ協定では、問題が起きかけた時に相手国に人民元
へのアクセスを与えている。
 その一方で、中国は、世界銀行とIMFの支配に挑戦することを目的
とした開発銀行を設立しようとしている。中国の行動は、部分的に
は、中国や他の発展途上国が世界銀行とIMFの運営についていまだに
ごくわずかな発言権しか持っていないことに対する不満から来てい
る。
 新興国の議決権を増やすために2010年に結ばれた合意は、重要な
決定については米国に拒否権を残すものだが、それでも米議会はこ
の不満足な取り決めでさえ、繰り返し批准せずにきている。中国が
10年以内に米国を抜いて世界最大の経済大国になろうとしている中
、グローバルな経済統治の時代錯誤的なあり方がより鮮明になりつ
つある。
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「習近平色」軍にも 中堅も登用、長老の力そぐ 
刷新人事、「南京軍区」「太子党」躍進
2015/2/6 1:00日本経済新聞 電子版
 【北京=島田学】中国の習近平国家主席が軍の掌握に向け人事を
刷新した。2014年12月から1月末までに昇格させた軍高官は50人を
超える。なかでも習氏が1985年から07年まで過ごした福建、浙江両
省を管轄する南京軍区出身者や、習氏と同じ共産党老幹部の子弟ら
「太子党」の顔ぶれが目立つ。これら腹心に加え中堅幹部も積極登
用し、軍内で「習近平色」を濃くする考えだ。
 「軍事外交の重要性が増している。党の軍への…
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習近平の反汚職運動に怯える
北京のエリートたち
2015年02月04日(Wed)  岡崎研究所  WEDGE
米ニューヨーク大学のジェローム・コーエン教授が、1月1日付フィ
ナンシャル・タイムズ紙掲載の論説において、習近平の反汚職運動
は、単なる権力闘争にとどまるのか、方向性が分からず、北京のエ
リート、特に経済人の間で不安が高まっている、と分析しています。
 すなわち、習近平による反汚職運動は、党の組織、大規模国営企
業、中国の実業界のみならず、政府のあらゆる階層にいる党員たち
の日常的慣行にも具体的な影響を与えている。あらゆる人々が、長
年にわたり中国の経済的・社会的発展の潤滑油となってきた、賄賂
の授受に慎重になっている。
 共産党は、現在と過去の政治局員を含む最高位の指導者も、反汚
職運動の対象から免除されないと主張しているが、多くの者はそれ
に懐疑的である。これまでに捕えられた主な「トラ」、周永康と薄
熙来は、習近平の派閥の敵対者であった。明らかに捜査対象の候補
と思える、もっと高位の指導者が他にもいる。
 習近平と王岐山は、さらに大胆にターゲットを選び、反汚職運動
が都合の良い復讐劇に過ぎないとの疑惑を払拭できるであろうか。
問題は、追及対象の選択基準である。現指導部の支持者の中の「ト
ラ」も標的にすれば、反汚職運動は公共の利益に基づいて行われて
いると国民に信じさせることが出来るかもしれないが、追及を進め
れば、現在は安定している党指導部に危険な混乱を招くリスクを冒
すことになる。習は、このリスクにつき、少なくとも党内から暗黙
の警告を受けている。
 多くの北京のエリートが、不確実さ、怖れ、フラストレーション
を感じているとしても不思議ではない。現在の反汚職運動がどのよ
うな方向に向かっているのか、誰の身が安全なのか、何がなされ得
るのか、誰にもわからない。中国のエリート、特に新興経済人にと
り、北京は、外国人が考えているよりも遥かに心配な場所である、
と指摘しています。
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中国、インド洋に潜水艦等派遣で権益確保か 海賊対策は口実、と
欧米・インドから疑問
更新日:2015年2月3日newsphere
 中国人民解放軍海軍は、日本の自衛隊と同様、インド洋西端ソマ
リア沖、およびアラビア半島とアフリカ大陸に挟まれたアデン湾で
、民間船舶を海賊から護衛する任務に当たっている。中国国防部(
国防省に相当)は29日、定例記者会見で、中国軍は今後も、インド
洋での海賊対処活動に「さまざまな種類の艦艇」を派遣する、と発
表した。潜水艦を念頭に置いたものだ。中国側は、平和目的の国際
貢献であることを強調するが、インドや欧米からは疑念の声も上が
っている。
◆インド洋は日中にとって重要なシーレーン
 日本にとっても中国にとっても、インド洋を横切るシーレーン(
海上交通路)は、戦略的および経済的に非常に重要である。日本も
中国も、中東からの石油輸入に大きく依存していることが最大の理
由だ。また、アデン湾からスエズ運河経由で、アジアからヨーロッ
パまでが海路でつながる。日本政府の「2013年 海賊対処レポート」
によると、同年、日本からの自動車輸出の約15%にあたる約71万台の
自動車が、同海域を通過して運ばれたという。
 同レポートによると、これらの海域で海賊事案が急増したのは2008
年からだ。その年以降、国連安保理は、軍艦・軍用機の派遣など、
海賊抑止のための取り組みを各国に要請する決議を繰り返し行って
いる。日本は2009年、海上自衛隊の護衛艦2隻、P-3C哨戒機2機の派
遣を開始し、以来、日本船籍を含む各国船舶の護衛や、周辺海域の
警戒に当たっている。
(日本はそのP-3C哨戒機の整備拠点として、アフリカ大陸北東部の
ジブチ共和国から土地を借り受け、自衛隊の駐留拠点を置いている
。最近の報道によれば、防衛省はこの拠点を強化し、邦人救出など
、海賊対策以外の幅広い用途に使えるようにする計画を検討中だと
いう。)
◆中国の海賊対処活動。「なぜ潜水艦?」と疑問の声
 中国は、このソマリア沖・アデン湾海域に、2008年以来、海軍艦
艇を派遣している。中国は、インド洋を横切るシーレーンで天然資
源を輸入し、また自国製品を販売地へと運んでおり、その決定的に
重要なシーレーンの保護に努めている、と情報・分析サービス会社
「IHS」の軍事関連情報サイト「Jane’s 360」は伝える。
 中国海軍がインド洋に姿を現したのは、このときが初めてだった
という。それ以来、インド洋への派遣頻度を増大させ、また派遣す
る艦艇の種類も徐々に拡大している、と同サイトは伝える。その中
には潜水艦が含まれている。わが国の「平成26年版防衛白書」によ
ると、原子力潜水艦が派遣されたとされる事例があるという。
 海賊対処活動に潜水艦が参加することは、一般的ではない。海賊
の撃退、あるいは威嚇に、潜水艦が適しているとは言い難い。そこ
で、中国側の真の狙いは、インド洋での権益確保、特にインドに対
する監視と圧力を強めることにあるのではないか、との疑いが持た
れている。
 中国国防部の定例記者会見では、記者から、こういった疑念があ
ることについて、説明を求める質問があった。これに対して、国防
部の楊宇軍(Yang Yujun)報道官は、護衛のためであり、それぞれ
の艦艇にはそれぞれの役割がある、と簡単に説明している。また別
の質問では、潜水艦を含むさまざまな艦艇を派遣することは、まっ
たく通常の活動であり、そこを深読みする必要はない、と断ってい
る。ウェブ誌「ディプロマット」は、報道官は中国海軍の活動を控
えめに言おうと試みた、とした。
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中国、大学での思想統制強化 遠ざかる自由な議論
 【北京共同】中国の習近平指導部は西側の民主主義や基本的人権
を否定した「社会主義の核心的価値観」と、マルクス主義に関する
教育を全国の大学でスタートさせた。関係者が3日までに明らかに
した。自由な議論ができる余地が多少残されている大学への締め付
けを強めることで、学生らに対する思想統制を徹底する狙いがある。
 習国家主席による年末の指示を受け、共産党と政府が1月19日
、国営通信の新華社を通じて発表した「意見」は、習指導部に対す
る教員と学生の「支持と信頼」を向上させ、指導部が掲げるナショ
ナリズムに根ざした「中国の夢」実現に向けた「自信」を醸成する
よう命じている。
2015/02/03 14:52   【共同通信】



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