5288.リビアのイスラム国



過激組織「イスラム国」は15日、リビアで拘束したキリスト教の
一派、コプト教徒のエジプト人21人を殺害した映像を公開した。
リビアの中部海岸地帯をイスラム国が支配していることが判明した。

欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)は16
日、過激組織「イスラム国」が勢力を広げるリビア情勢を話し合う
ため、今週中にワシントンでケリー米国務長官、エジプトのシュク
リ外相と会談するとした。モゲリーニ氏は会見で「リビアは(民族
派とイスラム系勢力への)国家分裂と、イスラム国の勢力伸長とい
う二重の脅威に見舞われている」と指摘。米国およびエジプトと、
リビア危機を受けた共同行動の可能性について討議すると語った。

ヨーロッパにリビアから多数のアフリカ人の移民が来ているが、そ
の難民に紛れて、イスラム国がリビアからEUにくる可能性が出て
きている。これをモゲリーニ氏は心配しているのである。

しかし、ムスリム社会でタブー視される火刑への反発が大きい。過
激派と一般のムスリムの間には決定的な断絶が生まれ、イスラム国
は影響力を急速に失っている。スンニ派イスラム教国でもとうとう
、イスラム国の打倒に一致して取り組み始めた。

しかし、なぜ、急にリビアでイスラム国なのであろうか?
カタフィ独裁国家であったリビアを民主化すると言って、欧米は、
この独裁者を殺したが、その後のことを何も考えていなかった。部
族同士の殺し合いが始まることも知らずに、ただ、カタフィを倒し
たら、民主化できるとやったが、欧米の目論見は、すべて失敗した。

安定を崩して紛争地帯にして、その挙句は一番凶暴なイスラム国を
作ってしまった。このイスラム国が欧米にも侵入するのではないか
と恐るまでになってしまったのである。アラブの春は、その意味で
大失敗である。一神教の独善的な思想が、混乱を招いたのである。

その反省が、欧米の記事にも出ていないことが非常に気になる。

しかし、米国はリビアでの空爆に参加しないようである。チェニジ
アとエジプトが空爆するしかない。米国もイラク・シリアのイスラ
ム国を打倒するだけで手一杯のようである。

しかし、このリビアでのイスラム国の活動についての日本はほとん
ど報道されていない。

さあ、どうなりますか?


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エジプト人21人殺害=イスラム国脅威拡散−リビア
 【カイロ時事】過激組織「イスラム国」は15日、ウェブサイト
上で、リビアで拘束したキリスト教の一派、コプト教徒のエジプト
人21人を殺害したとする映像を公開した。
 21人は出稼ぎで隣国リビアに滞在していたとみられる。イスラ
ム国が活動拠点としてきたイラクとシリア以外でこれほどの残虐行
為を働くのは初めてとみられ、勢力拡大の実態が浮き彫りとなった。
(2015/02/16-06:08)
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「イスラム国」外国人戦闘員90カ国から2万人 米推計 
【ワシントン共同】AP通信は10日、過激派組織「イスラム国」
に合流した外国人戦闘員の数が約90カ国からの2万人に達したと
の新たな推計を米情報当局がまとめたと報じた。これまでの推計は
1万9千人で、千人の増加。2万人のうち少なくとも3400人は
欧米諸国からの流入という。
 米国人は約150人がシリア内戦の戦闘地域入りを試み、一部が
成功したとみられるという。
 11日に議会下院の国土安全保障委員会で、テロ情報分析を統括
する国家テロ対策センターのトップが同様の証言をする見込み。外
国人戦闘員をめぐっては英大学の研究機関も最近、同じような推計
を公表している。
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米・EU・エジプト外相会談へ=リビアでのイスラム国伸長協議
 【マドリードAFP=時事】欧州連合(EU)のモゲリーニ外交
安全保障上級代表(外相)は16日、スペインのマドリードで記者
会見し、過激組織「イスラム国」が勢力を広げるリビア情勢を話し
合うため、今週中にワシントンでケリー米国務長官、エジプトのシ
ュクリ外相と会談すると明らかにした。
 モゲリーニ氏は会見で「リビアは(民族派とイスラム系勢力への
)国家分裂と、イスラム国の勢力伸長という二重の脅威に見舞われ
ている」と指摘。米国およびエジプトと、リビア危機を受けた共同
行動の可能性について討議すると語った。(2015/02/17-05:59)
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「イスラム国」残虐行為に堪忍袋の緒が切れたイスラム諸国
2015.02.17ZAKZAK
 リビアでキリスト教の一派、コプト教徒のエジプト人21人を一
斉に斬首する映像をインターネットに公開したイスラム教スンニ派
過激組織「イスラム国」。イスラム過激派に伝わる“テロの教典”
に基づいて殺戮を繰り返す彼らだが、その戦略が逆効果になってい
る可能性がある。エスカレートする残虐行為で、「イスラム諸国の
反発を招き、逆に追い詰められつつある」(専門家)というのだ。
 地中海沿岸とみられる浜辺で一斉に21人ものエジプト人を虐殺
したイスラム国。怒りに震えるエジプト軍は16日、このテロ集団
の軍事訓練施設や武器庫など複数の拠点を空爆、報復措置をとった
。エジプトはこれまで米国が主導する対イスラム国への軍事作戦に
参加していなかったが、堪忍袋の緒が切れた格好だ。
 イスラム国は13日までに、クルド人部隊の兵士17人を檻(お
り)に入れて市中を引き回す映像も公開。兵士が入れられた檻は、
ヨルダン軍のパイロットが火あぶりにされたものと酷似しており、
英紙デーリー・メールは、「全員を焼殺する可能性がある」などと
報じている。
 火あぶりに首斬り、引き回し。行為を激化させるイスラム国だが
、無軌道にもみえる行動の背景に、イスラム過激派の間で知られる
「野蛮の作法」という指南書の存在が指摘されている。
 中東情勢に詳しい世界平和研究所の松本太・主任研究員は「2004
年にアブ・バクル・ナージと名乗る人物がネット上に投稿したもの
で、イスラム過激派が目指すべき戦略を提示している。そこでは、
イスラム諸国で民族的・宗教的な復讐心や暴力を恒常的に作り出す
ことの必要性が説かれている」と解説する。
 “テロの教典”ともいえるその指南書はメディア操作の必要性を
説き、人質の扱いについて「恐怖をあおるように処理されなければ
ならない」と言及している。
 「敵を火刑にすることも、7世紀の初期イスラム時代に行われて
いたとして推奨しており、一連の人質の残虐な殺戮には、この戦略
が鮮明に反映されていると言える」(松本氏)
 だが、この戦略がイスラム国を逆に追い詰めているとの指摘もあ
る。イスラム諸国で、神の名をかたり非道を繰り返すテロ集団に怒
りの声が次々に挙がっているのだ。
 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「これまでイスラム過激派に
シンパシーを抱くムスリムも一部にいたが、イスラム国の登場で、
そうしたシンパも離れた。特にムスリム社会でタブー視される火刑
への反発が大きい。過激派と一般のムスリムの間には決定的な断絶
が生まれ、イスラム国は影響力を急速に失っている」と語る。
 エジプトやヨルダンが報復攻撃に出るなど周辺国の包囲網が強化
される一方で、最高指導者とされるアブバクル・バグダーディ容疑
者をはじめとする組織中枢の結束も危うくなっている。
 松本氏は「イスラム国はフセイン政権下のイラク・バアス党に所
属していたスンニ派のイラク人が中心となって築き上げた組織。中
枢を古参のイラク人幹部が牛耳っていて、サウジアラビアや西アフ
リカ諸国、チェチェンなどから入ってきた新勢力と緊張関係にある。
緊張が高まれば、組織が内部崩壊する可能性もある」と話す。
 非道なテロ集団は自壊への道を歩んでいる。
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リビア、武器禁輸解除要請=対「イスラム国」で−国連安保理
 【ニューヨーク時事】リビアで過激派組織「イスラム国」がエジ
プト人の人質多数を殺害、同組織の勢力拡大が懸念される中、リビ
ア、エジプト両国外相は18日、国連安保理の会合で、リビアに対
する国連の武器禁輸措置を解除するよう求めた。テロに対処する戦
力を高めるのが目的で、解除に必要な決議案が追って安保理に提出
される見通しだ。
 安保理はカダフィ政権による反政府勢力弾圧が続いていた2011
年、武器禁輸を含む対リビア制裁決議を採択。その後、禁輸は緩和
されたが、リビアのダイリ外相は会合で、禁輸の解除を求めた。
 また、エジプトのシュクリ外相は武装組織への武器密輸を阻止す
るため、海上封鎖などの措置を講じるよう訴えた。(2015/02/19-10:36)



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