5282.ウクライナの停戦は守られるのか?



ウクライナ紛争の停戦がミンスクで合意できたが、その直後から要
衝デバリツェボなどで親露派の攻撃が激しくなったようである。
ウクライナ軍は、「親ロシア派は、停戦合意が発効するまでの間に
交通の要衝や工業都市を制圧しようとしている」と非難した。
停戦発効は15日であるので、それまでに占領地を拡大する意図が
あるようである。

これに対して親ロシア派は、「政府軍側に、停戦合意を守る姿勢が
見られない」としており、実際に停戦合意が守られるかは予断を許
さない状況のようだ。

ウクライナ東部で停戦合意のあとも激しい戦闘が続いていることに
ついて、日本やアメリカを含むG7の首脳は、EUと共に声明を発
表し、懸念を示した。

ドイツのメルケル首相は12日、ウクライナ停戦合意が完全に守ら
れなければ欧州連合(EU)はロシアなどに追加制裁を科す可能性
があると言明した。

オバマ大統領もウクライナへの武器援助をする方向であるが、ウク
ライナ停戦協定を見て、実施をするとしていたので、停戦ができな
ければ、ウクライナへ対戦車ミサイルなどを提供することになる。

ロシアと米国の代理戦争になるか、どうかの瀬戸際に来ている。

さあ、どうなりますか?


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ウクライナ大統領「停戦合意に確信持てない」
2月14日 4時34分NHK
ウクライナ東部で激しい戦闘が続いていることを受けて、ポロシェ
ンコ大統領は、15日から発効する予定の停戦合意について、「期
待を抱かせるが、誰も確信は持てない」と慎重な姿勢を示し、実際
に停戦合意が守られるかは予断を許さない状況です。
ウクライナ情勢を巡っては、ロシアとウクライナ、それに調停役と
なったドイツ、フランスの4か国による首脳会談を受けて、ウクラ
イナ政府と親ロシア派が今月15日からの停戦などで合意していま
す。
この停戦合意についてウクライナのポロシェンコ大統領は13日、
軍の施設で演説し「期待を抱かせるが、現状は和平からほど遠く、
合意内容が守られることに誰も確信は持てない」と述べ、15日か
らの停戦合意の発効に慎重な姿勢を示しました。
一方、親ロシア派の後ろ盾となっているロシアのペスコフ大統領報
道官は、国営通信とのインタビューで「ロシアは戦闘に参加してお
らず、停戦合意を守る立場ではない」と述べ、ロシア軍の派遣など
戦闘への関与を改めて否定しました。
ウクライナ東部では、12日に停戦で合意したあとも激しい戦闘が
続いており、ウクライナ軍は、「親ロシア派は、停戦合意が発効す
るまでの間に交通の要衝や工業都市を制圧しようとしている」と非
難しています。
これに対して親ロシア派は、「政府軍側に、停戦合意を守る姿勢が
見られない」としており、実際に停戦合意が守られるかは予断を許
さない状況です。
米 停戦合意へ自制求める
ウクライナ東部で停戦合意のあとも激しい戦闘が続いていることに
ついて、アメリカ国務省のサキ報道官は、13日、記者会見で、「
人口が多い地域で戦闘が続いていることや、過去数日間に、ロシア
から国境を越えて戦車やミサイルが運び込まれていることを、深く
懸念している」と述べました。
そして、ロシアが、ウクライナとの国境地帯で親ロシア派に対して
重火器を提供する準備を進めていると指摘したうえで、「このよう
な行為は停戦合意の精神にそぐわない。すべての当事者は停戦合意
を守るために自制するとともに、ロシアと親ロシア派は、直ちに殺
りくをやめなければならない」と述べ、15日から発効する予定の
停戦合意に向けて、ロシアと親ロシア派に対し自制を強く求めまし
た。
G7「合意内容の厳守を」
ウクライナ東部で停戦合意のあとも激しい戦闘が続いていることに
ついて、日本やアメリカを含むG7=先進7か国の首脳は、EU=
ヨーロッパ連合と共に声明を発表し、懸念を示しました。
そのうえですべての当事者に対して、停戦を妨げるような行動を自
制し合意内容を厳守するよう求めました。
そして、停戦合意を守らず、重火器の撤収に応じない勢力に対して
は制裁を強化する構えを示しました。
またロシアによるクリミアの一方的な編入を「国際法違反だ」とし
て改めて非難するとともに、ウクライナに対して財政支援を行う方
針を強調しました。
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ウクライナ停戦合意破棄なら行動の構え、G7共同声明
2015年 02月 14日 08:41 JST
[パリ 13日 ロイター] - 日米欧7カ国(G7)首脳は、今週
のウクライナ停戦合意は危機への平和的な解決策を提供するとし、
合意が順守されない場合は行動を取る構えを示した。フランス大統
領府が13日、G7の共同声明を発表した。
声明は、15日からの停戦を控え、ウクライナ東部で戦闘が続くな
ど依然として状況を懸念していると指摘。
「すべての関係者は今後数日、停戦開始を阻害するような行動を控
えるべき」とし、「停戦、および重火器撤去の合意を順守しない者
に対しては適切な措置を講じる用意がある」と言明した。
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ウクライナ:東部、戦火収まらず 政府と親露派、けん制
毎日新聞 2015年02月13日 東京夕刊
 【モスクワ真野森作、ブリュッセル斎藤義彦】ウクライナ東部の
和平を目指す新たな停戦合意が12日に結ばれたが、現地で戦火が
収まっておらず、15日の停戦入りを前に支配地域の拡大を目指す
動きが激しくなることが懸念されている。
 ミンスクで行われた独仏とロシア、ウクライナの4カ国首脳会談
の後、ブリュッセルでの欧州連合(EU)首脳会議にゲストとして
参加したウクライナのポロシェンコ大統領は12日、「我々は無条
件の即時停戦を主張したが、彼ら(親露派)は約70時間の猶予を
要求した」と指摘した。
 合意文書署名後も親露派武装勢力がウクライナ東部のルガンスク
、ドネツク両市に通じる交通の要衝デバリツェボなどで攻撃を続け
ていると主張し、「この間にも罪のない市民が殺されている」と批
判した。
 一方、親露派のバスリン副司令官は7000人規模のウクライナ
軍を包囲しているデバリツェボの状況を巡り「(局地的に)即時停
戦していき、兵士を解放する用意がある」と言明。15日までに停
戦を受け入れる姿勢を示しながらも、政府軍に対して「武器を置い
て去るべきだ」と早期投降を促した。
 親露派側は停戦入りを前に、交通の要衝を攻略する狙いとみられ
る。
 ロシア通信は、12日夜に親露派の支配下にあるドネツク州北部
ゴルロフカの住宅が砲撃され、子供3人が死亡したと報じた。また
ルガンスク州でも12日夜、砲撃で住民3人が死亡した。
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コラム:ウクライナ停戦合意、プーチン氏が交渉に応じた訳
2015年 02月 13日 17:08 JST
Robin Niblett
[12日 ロイター] - ベラルーシの首都ミンスクで12日に合意
されたウクライナ停戦は、1つの問題を提起している。それは、欧
米各国の政府が過去数週間にわたり激しく議論してきた、ウクライ
ナ軍への武器供与という考えを見送るべきかどうかということだ。
ロシアのプーチン大統領はこの数カ月、昨年9月の停戦合意は戦略
的敗北だと結論づけていたように思える。当時、ウクライナからの
分離を求める親ロシア派勢力が支配していたのは、東部ドネツク州
とルガンスク州を合わせた地域のわずか3分の1にすぎなかった。
これでは、ウクライナを従属させるというプーチン大統領の長期的
目標の達成手段を得ることはできないはずだ。そしてロシアが今年
に入り親ロ派への新たな軍事支援を行った結果、戦闘は激化し、ウ
クライナ政府と親ロ派の双方で市民と兵士の命が犠牲となった。
親ロ派は1月半ば以降、ドネツクの空港を再び制圧するなど、いく
つか重要な勝利を収めてきた。だがそれでも、親ロ派がドネツクと
ルガンスクの両州を支配するには程遠かった。では、何が親ロ派と
プーチン大統領を交渉の場に着かせたのだろうか。
ウクライナの抵抗と西側の経済制裁による影響が、役割を果たした
可能性はある。制裁は戦闘が悪化するにつれ、解除される可能性が
低くなるばかりだ。だが何よりも、窮地に立たされたウクライナ軍
への武器供与をめぐる議論が大きな要因だと言える。
ウクライナ軍への武器供与は、米国の元高官や軍幹部らが先週末に
独ミュンヘンで開催された安全保障会議を前に発表した報告書でも
、強力に支持されている。それによると、経済制裁はロシアがウク
ライナに軍事介入する抑止にはなっておらず、その結果、冷戦後の
欧州の秩序を分裂している。同様に、ロシアによる親ロ派支援への
抑止力にもなっていない。自衛の意思があり、またその権利がある
ウクライナ軍に必要なのは適切な装備である。米国とその同盟国は
、ウクライナの自衛を積極的に支援すべきであり、そうすることで
親ロ派に顕著なダメージを、プーチン大統領に対してはロシア兵の
犠牲という政治的代償を与えることが可能だという。そうなれば交
渉の場に出てこざるを得なくなるというのだ。
一方、ドイツのメルケル首相はこうした意見への反論を明確に展開
した。ウクライナ情勢で軍事的解決はあり得ない。なぜなら、事態
を悪化させることができるのは西側よりプーチン氏であり、同氏の
方が問題を多く抱えているため、そうする可能性がある。米国がロ
シアを倒そうと企てているというロシア国内の過熱した報道を考え
れば、プーチン氏が米国から武器支援を受けたウクライナ軍に屈す
ることは、外交的妥協を受け入れるのと同じくらいあり得ない。そ
して西側が武器を供与する道を突き進み、その武器によってロシア
の「同国人」が殺害されたなら、欧州各国とロシアの関係は今後何
十年にもわたって双方に多大なダメージを与える「凍結の時代」に
突入する可能性があると主張した。
このような結末を回避するため、メルケル首相は賭けに出た。6日
にフランスのオランド大統領と共にプーチン大統領と会談。そして
11日の会談では、合意が見えなければ会わないとしていた。プー
チン大統領がメルケル首相と合意に至らなければ、武器供与を主張
する米国に抵抗する同首相の手腕が著しく損なわれていただろう。
それからどのようにして今回の停戦合意に至ったのか。まずは、昨
年9月の停戦合意とおおむね似ていることを認識することが重要だ
ろう。そして、昨年の合意がプーチン大統領の戦略的目標を明らか
に前進させなかったことを考えると、戦闘が再開される恐れも否定
できない。また、非武装地帯が設けられておらず、この点において
も戦闘が再び勃発するリスクが残されている。
こうしたことを念頭に置きながら、米国とその同盟国は速やかに協
議し、西側が予期すべきことと要求を明確に打ち出す機会として、
今回の停戦合意を捉える必要がある。第一に、現行の停戦ラインを
越えた戦闘の拡大は、ウクライナ政府の政治的主権に対する攻撃と
みなされると明言すべきだ。そのような状況下において、北大西洋
条約機構(NATO)加盟国は、ウクライナへの武器供与を決めた
国々の邪魔はしないと。
第二に、今回の停戦合意が完全に履行されるまで、現在実施されて
いる経済制裁の緩和を検討しないことを表明すること。それには、
欧州安全保障協力機構(OSCE)が無制限に視察できたり、ウク
ライナ政府がロシアとの国境を確実に支配できたりすることを含む。
その間にも、欧州やその他の各国政府は、ウクライナが計画してい
た経済改革を開始するなか、表明していた支援を最後まで行うこと
が肝要だ。
もし戦闘が再開し、遠からずロシアの政策が変更されるならば、西
側の軍事支援は経済制裁に比べて以前より効果的ではないかもしれ
ない。軍事支援は実際に戦闘を悪化させる可能性がある。しかしな
がら、軍事支援も経済制裁も、その目的は主としてロシアにその行
動に対する代償を課すことにある。過去70年かけて築き上げてき
た繁栄と安全保障の礎となる価値観を守るためにはリスクをいとわ
ないという意志を、プーチン大統領に示すことが最も重要なのでは
ないだろうか。
*筆者は英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)所長。
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ウクライナ停戦合意、守られなければ追加制裁も=独首相
2015年 02月 13日 10:21 JST
[ブリュッセル 12日 ロイター] - ドイツのメルケル首相は
12日、ウクライナ停戦合意が完全に守られなければ欧州連合(E
U)はロシアなどに追加制裁を科す可能性があると言明した。
メルケル首相はEU首脳会議後の記者会見で、停戦合意が順守され
ない場合に実施する制裁措置をまとめるよう、欧州委員会にEU首
脳から要請したことを明らかにした。
独、仏、ロシア、ウクライナの首脳はミンスクでウクライナ和平に
ついて協議し、15日からの停戦などで合意した。メルケル首相は
「合意が守られなければ、われわれは追加措置を取る可能性がある
」と述べた。










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