5278.ウクライナ問題でメルケルが世界のリーダに



ガーディアン紙に「Obama sidesteps Ukraine military option but 
backs German diplomatic effort」ロシアツデイ紙に「Mission 
improbable: Merkel visits US to sell Ukraine peace plan」の2
本が載っている。リンクは最後。

米国のウクライナへの武器援助を懸念して、ドイツのメルケル首相
は、米国のオバマ大統領に当分見合わせるように説得しに来たよう
である。オバマ大統領も武器援助を撤回して、メルケルが進めるロ
シアとの停戦協定を見る方向に変えた。

メルケル首相は、オバマ会談の前に、ロシアとウクライナの首脳と
ドイツとフランスの首脳を交えての電話会談をセットしたり、政治
的な解決のため、この4か国による首脳会談を今月11日に行う方
向を作り、ギリシャ問題を含めて、現在、世界的なリーダーとして
の実績を積んいる。

それに比べて、オバマ大統領は、口先での演説はうまいが、米国軍
最高司令官としての行動ができていないと非難されるように、外交
交渉もケリーに一任して出て行かない。国内問題でも共和党との調
整を自ら行わないことで、指導者としてどうかなという状態にある。

世界の問題に対応しているのが、メルケル首相という状況になって
いる。アジアでの調整はしないが、問題が発生している中東と欧州
内の問題はメルケル首相が仕切っているようである。グローバリス
ト誌の「Germany’s International Responsibility to Lead」では
米国とドイツは盗聴問題などであまりよくないが、世界の問題を仕
切る必要が出てきて、EU内でのフランスの力が弱くなり、ドイツ
が前面に出て、解決しないと解決しなくなったことにあるという。

また、ミア・シャイマーがニューヨークタイムズ紙に「Don't Arm 
Ukraine」(リンク最後)で、力の均衡の理論では、米国がウクライ
ナに武器を送るとロシアはより以上の武器を親露派に送り、最後は
核ミサイルまでエスカレートする可能性があるので止めて、ウクラ
イナはロシアと西側の中間にあるとみなし、交渉することであると
いう。そして、ステファン・ウオルトも同様な説を述べている。

米国の力が落ちて、その穴埋めをドイツがするしかなく、またドイ
ツはロシア前面にいるので、ロシアと衝突すると自分の国の安全保
障問題が起きるので、ロシアとどこかで折れるしかないのである。
このため、真剣である。それとドイツはロシアから天然ガスを購入
しているので、ロシアもドイツを無視できない。このようなことで
ドイツが指導者として出てきたようである。

一方、ロシアは、ウクライナ問題を自治権拡大という形で早く決着
させて、シリアを助けないとシリアのアサド政権が危ない。シリア
のアサド政権は、イラン下士官とヒズボラ兵がメインで支えている
が、そのイラン下士官がイスラム国との戦いでイラク軍に取られ、
ヒズボラ兵はイスラエルが再度侵攻してくる可能性から自国領土を
離れなくなっている。

このため、タルトゥース黒海艦隊基地を守るためにも、シリアへの
ロシア軍隊派遣が必要になっている。プーチン大統領は、イスラム
国への欧米有志国連合の爆撃を非難している。イスラム国が弱ると
反シリア軍の力が増し始めているためである。

ノストラダムスが予言したロシアの中東派遣も近いような気がする。

さあ、どうなりますか?


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ウクライナ問題、外交的解決に専心=オバマ大統領
2015年 02月 10日 03:44 JST
[ワシントン 9日 ロイター] - オバマ米大統領は9日、米国と
欧州の同盟国はウクライナ情勢をめぐる緊張緩和に向け、外交的な
解決策の模索に引き続き専心するとの考えを示した。
オバマ大統領は、メルケル独首相との会談後、共同記者会見に臨み
、「われわれは引き続き外交的解決に向け取り組むと同時に、ロシ
アが自国民や経済を傷つけ、ウクライナをひどい状況に追い込む現
在のやり方を変えないのであれば、ロシアの孤立は政治的にも経済
的にも一層深まるばかりだということを明確にしておく」と語った。
またウクライナ問題への対応としてあらゆる選択肢を検討している
が、武器供与に関してはまだ決断していないとした。
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ウクライナ沈静化、失敗なら代償=ロシアに警告−米独首脳
 【ワシントン時事】オバマ米大統領とドイツのメルケル首相は9
日、ホワイトハウスで会談した。両首脳は会談後の記者会見で、ウ
クライナ問題や過激組織「イスラム国」への対応などをめぐる欧米
の結束を重ねて表明。その上で、暴力が激化するウクライナ情勢の
沈静化への外交努力が失敗すれば、対ロシア経済制裁の強化など代
償を引き上げ続けると警告した。
 オバマ大統領は「ロシアが停戦合意の全てを順守していないのは
明白」と非難。一方、オバマ政権が検討しているウクライナへの殺
傷能力を備えた武器供与の是非については「まだ決断していない」
と述べ、メルケル首相らが取り組む停戦調整の行方を注視する考え
を示した。(2015/02/10-06:20)
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親ロ派、ウクライナ軍に最後通告=6000人完全包囲−和平協議
で主導権狙いか
 【モスクワ時事】インタファクス通信によると、ウクライナ東部
ドネツク州デバリツェボで9日、親ロシア派が政府軍の最大6000
人を完全包囲したと主張し、投降しなければ総攻撃すると最後通告
した。親ロ派は兵士を「人質」に取り、多大な犠牲を伴う総攻撃を
辞さない構えでポロシェンコ政権に一段と圧力をかけ、一連の和平
協議で主導権を握る狙いがあるとみられる。
 デバリツェボは、親ロ派の二つの拠点都市であるドネツクとルガ
ンスクを結ぶ交通の要衝。政府軍が死守してきたが、親ロ派が年明
けから包囲作戦を強化し、9日になって弾薬や兵器の補給路を完全
に遮断したと発表した。
 親ロ派幹部は「投降した者は身の安全を保証するが、それ以外の
者はせん滅する。デバリツェボで政府軍の5000〜6000人を
包囲した」と警告した。(2015/02/10-06:19)
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イスラム国空爆「正当性なし」=欧米のシリア反体制派支援非難−
ロ大統領
 【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領はこのほど、米軍主導
の有志連合による過激組織「イスラム国」空爆について「脅威に対
処できず、正当性もない」と批判した。大統領府がエジプト紙アル
アハラムとの会見録を公表した。
 プーチン大統領は空爆を「国連安保理決議に基づかず、空爆を受
ける国の同意がないケースもある」と疑問視。シリアなどでイスラ
ム国が勢力を伸長させたのは「極めて無責任な内政干渉、一方的な
軍事行動、テロリストを善玉と悪玉に分ける二重基準の結果だ」と
述べ、欧米のシリア反体制派支援を非難した。(2015/02/09-18:40)
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独仏調停中も戦闘激化=親ロ派、ウクライナに圧力か
 【モスクワ時事】ウクライナ東部では、調停役のドイツ、フラン
スを含む4カ国首脳の電話会談が行われた8日、戦闘が沈静化する
どころか激化した。親ロシア派にはウクライナ政府への圧力をさら
に強め、11日予定の4カ国首脳会談を含む一連の協議をロシアに
有利な状態で進める狙いがあるもようだ。
 政府軍スポークスマンは地元テレビに対し、東部各地で過去24
時間に親ロ派が111回砲撃し、兵士12人が死亡したと明らかに
した。親ロ派が包囲作戦を進めるドネツク州デバリツェボの被害が
最も甚大という。
 一方、親ロ派幹部はロシア・メディアに対し、デバリツェボで政
府軍の報復攻撃を受け、戦闘員11人が死亡、ドネツク州各地で住
民8人が死亡したと主張した。(2015/02/09-07:13)
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政府軍の危機?(シリア)
野口雅昭2015年02月07日 21:12BLOGOS
シリアについて、もう一つのニュース
先日ダマスをめぐり反政府軍と政府軍との間で激しいロケット、空
爆の応酬があったということは書きましたが、al jazeera net は「
政府軍のヒステリ的」空爆として、政府軍が前例のないほど激しい
空爆を行っているが、これは政府軍は十分な地上兵力も無く、イラ
ン兵等の外部の兵力も減っている危機感の表れで、政府も長くはな
いだろうとの自由シリア軍などの見方を報じています。
政府に関する部分はともかく(余りに楽観的過ぎる・・・自由シリ
ア軍から見てだが)なかなか面白い分析なので、信憑性はともかく
、記事の要点のみ次の通り。
なお、最近イラン兵、イラク兵、ヒズボッラーの兵力が非常に減っ
ているという点については、これ以外の報道は記憶にないので、そ
の点も疑問のある所です。
政府軍は過去5日、シリア各地でヒステリ―とも呼ぶほどの激しい
空爆を行った。
政府軍機は、200発以上の缶爆弾及び450発のロケット弾を投
下した。
そのうち最も激しかったのがゴータ等のダマス近郊とダマスで、ス
ホイ及びミグ機が、110発の缶爆弾、230発のロケット弾を投
下した。
アレッポ近郊でも、缶爆弾及びロケット合わせて140発投下され
た。
その他イドリブ、ハマ、ダラア、ラタキア近郊でも空爆が行われた。
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ウクライナ巡り4か国首脳会談開催を調整で一致
2月9日 5時01分NHK
戦闘が続くウクライナ東部の情勢を巡り、ロシアとウクライナの首
脳がドイツとフランスの首脳を交えて電話会談を行い、政治的な解
決のため、この4か国による首脳会談を今月11日に行う方向で調
整を続けることで一致しました。
政府軍と親ロシア派の戦闘が続くウクライナ東部を巡り、ロシアの
プーチン大統領とウクライナのポロシェンコ大統領は、ドイツのメ
ルケル首相とフランスのオランド大統領を交えて、8日に電話で会
談しました。
会談のあとドイツ政府が声明を発表し、今月11日に4か国の首脳
がウクライナの隣国ベラルーシで首脳会談を行うため、調整を続け
ることで一致したと明らかにしました。
これについてウクライナの大統領府は「4か国の首脳はベラルーシ
での首脳会談が即時かつ無条件の戦闘停止につながることに期待を
示した」と述べ、停戦の実現に向けて進展があったと強調しました。
一方、ロシアのプーチン大統領は「11日までに合意できれば、首
脳会談が行われるだろう」と述べるにとどまり、調整にさらに時間
がかかる可能性もあるとの見方を示しました。
ウクライナ東部では、戦闘が始まった去年4月からの犠牲者の数が
5300人を超えましたが、ロシア軍の部隊が国境を越えてウクラ
イナ東部に侵入していると主張するウクライナと、これを否定する
ロシアとの間の隔たりは大きく、停戦の実現に向けた歩み寄りがみ
られるのかどうかは不透明な情勢です。
米ロ外相 独仏首脳による調停を支持
今回の電話会談に先立ち、ドイツのミュンヘンで7日、ロシアのラ
ブロフ外相とアメリカのケリー国務長官が会談し、ロシア外務省に
よりますと、両者はウクライナ東部の紛争は政治的な方法でしか解
決できないことを確認し、ドイツとフランスの首脳による調停を支
持することで一致したとしています。
その一方でラブロフ外相は、アメリカが検討しているウクライナへ
の武器の供与について、「予見できない結果を伴い、ウクライナ東
部の紛争の政治的な解決に向けた努力がむだになる」と述べて、ア
メリカに対し供与に踏み切らないよう警告したということです。
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メルケル独首相:ウクライナ交渉「露と安全構築」 強硬批判避け
毎日新聞 2015年02月08日 東京朝刊
 【ミュンヘン(独南部)篠田航一】ドイツのメルケル首相は7日
、ミュンヘン安全保障会議で演説し、ウクライナ東部で続く政府軍
と親ロシア派武装勢力との戦闘停止を目指して取り組む「首脳外交
」について「成果は分からない」と慎重な見解を示した。その上で
「欧州の安全は、ロシアと敵対して作るのではなく、ロシアと共に
構築したい」と訴え、強硬なロシア批判は避けた。
 ラブロフ露外相も講演で独仏の仲介を「紛争解決への基盤となる
」と評価。「東西の緊張を作ったのは米国で、欧州でのミサイル計
画など、支配欲に執着している」と特に米国をやり玉に挙げ、交渉
当事者同士の微妙な「気遣い」を見せた。
 メルケル首相は6日、オランド仏大統領とモスクワを訪問。プー
チン露大統領と3人で、5時間以上、高官も交えず会談するなど、
事態打開に向け首脳外交を加速させている。
 約80カ国から首脳が約20人、外相・国防相が約70人参加す
るミュンヘン会議は、首脳外交と並行して進む形になっている。ス
トルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長が6日、「
冷戦は過去の歴史にとどめるべきだ」と訴えるなど、緊迫化を懸念
する声が会議で相次いでいる。
 独仏露とウクライナの4首脳は7日現在、紛争停止に向けた新提
案の中身を公表しておらず、8日に4首脳による電話協議で合意す
る見通し。昨年9月、ウクライナ、ロシア、親露派武装勢力、全欧
安保協力機構(OSCE)が署名した「ミンスク合意」では、
OSCEによる露ウクライナ間の国境管理や、武装勢力の撤退実現
などをうたっているが、新文書はこれらを具体的に強化する内容と
みられる。



Mission improbable: Merkel visits US to sell Ukraine peace plan
Obama sidesteps Ukraine military option but backs German diplomatic effort
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