5273.近鉄あべのハルカスにおける「生ごみ等からバイオガスを生成する設備」



近鉄あべのハルカスにおける「生ごみ等からバイオガスを生成する設備」
                        平成27年(2015)1月30日(金)
                    「地球に謙虚に運動」代表 仲津 英治

昨年10月31日、日本機械学会環境工学部門の勉強会があり、平成26年(2014)3月に
オープンしたあべのハルカスの進んだ「生ごみからバイオガスを生成する設備」
を見学させて頂きました。まさに時代最先端を行く創エネ設備です。

エネルギーは、国家、国民生活の根幹を成すテーマです。しかし日本のエネルギー
自給率は、原子力の14%を除けば水力の4%に過ぎず、エネルギーの95%強を輸入して
います。しかも原発は止まったままです。そしてまたそのエネルギー資源の中核で
ある石油は、中東地域に大半を依存しており、同地域は政治情勢が不安定です。
エネルギーは国家の基本的政策の対象とは言え、企業レベルでも、市民レベルでも
エネルギーの自給を目指す努力は大事なことであると思っています。

その意味で、近鉄の最新鋭ビルあべのハルカスのおける「生ごみからバイオガスを
生成する設備」は、新しい試みであり、都市への環境負荷を減らし、企業経営的にも
プラスになっているなど、非常に評価できるシステムだと思いました。敬意をもって
紹介させて頂きます。
当日、ご案内して頂いた方は、近畿日本鉄道株式会社 あべのハルカス事業本部技術
部長の安東 隆昭様と、株式会社 竹中工務店 環境エンジニアリング本部主任の加藤
 利崇様のお二方です。

あべのハルカスでは生ゴミは、レストラン、ホテル&百貨店で発生します。それらは
各階において水と混ぜてディスポーザ排水として投入され、厨房排水そして雑排水
(風呂&洗面所等から発生)とともに地下5階に集められ、バイオマス発酵槽でメタン
ガス化されています。その際、消化液が生じます。この消化液については液肥として
利用されうるものですが、近隣に需要が無く、ハルカスでは厨房除外設備にて処理し
た上で下水放流しているとのことです。将来の活用を待ちたいところです。

この地下でのバイオガス生成設備は日本初のものとか、その試みを高く評価させて頂
くものです。この発生メタンガスは、ハルカス内の冷暖房とガス需要に供され、通常
なら大阪ガスから受ける都市ガス消費量を数%節減できるそうです。経費節約額も
相当なレベルになるものと期待されています。目指すべき将来像を見せて頂いたよう
に思います。 
 
 あべのハルカスでの他の試み
 当日伺い、その後あべのハルカスのホームページを拝見させて頂いたところでは風力
発電、太陽光発電、落水発電等の試みがなされているとのことです。落水発電とはホテル
客室の排水による落差発電とのことで、私には耳新しい言葉でした。

参考 近鉄あべのハルカス 省エネ・省資源 バイオガスシステム
   
   ビルで発生する生ゴミを利用した発電
  
「あべのハルカス(近鉄)」における都心型バイオガスシステム
−メタン発酵設備− 神鋼環境ソリューション技報
    

  「地球に謙虚に運動」代表


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