5271.トマ・ピケティ教授の格差問題



トマ・ピケティ教授が訪日して、各所で講演会を開き、格差問題が
話題になっている。「21世紀の資本」という本では、一貫して、
格差問題が取り上げられている。

講演では「経済成長が鈍る一方で資本収益率は高いままだ」と語り
、富の集中を是正しないと19世紀のような格差社会に戻ると訴えた。

ピケティ氏は日本の格差の現状について「アメリカほど大きくない
が、先進国の中で最も平等というわけではない」と指摘した。特に
、経済成長率が低迷しているにもかかわらず、国民の所得全体に占
める「高額所得者」の所得シェアが拡大していることを問題視して
いる。

「高成長の時代であれば、誰もがその恩恵を受けられるので、それ
ほど問題ないが、低成長の時代なのに所得上位10%のシェアが増え
ている。深刻な問題だ」と語り、相対的に高額所得者層に、富が集
中する傾向にあることを指摘した。

 「格差是正には相続税の方が受け入れられやすいのでは」との質
問には「相続税は一部の資産にしか課税されない。(保有する株や
不動産に税金を課す)累進資本課税の方が富の集中を回避できる」
と語った。

このトマ・ピケティ講演を意識して、安倍晋三首相は2日の参院予
算委員会で、「富めるものが富めば、富が滴り落ちる」とする「ト
リクルダウン理論」について、「我々が行っている政策とは違う」
とした。

首相は経済界に賃上げを働きかけていることを強調。「上からた
らたら垂らしていくのではなく、全体をしっかりと底上げしていく
のが私たちの政策だ」と語った。

現在、アベノミクスは、円安による企業収益の改善が進んでいるが
、格差の拡大を引き起こすことにもなる。資産価値は上昇しするが
海外からの輸入食料などが値上がりして、一般庶民には、良くない
ことである。もちろん、大企業のサラリーマンは賃金上昇で恩恵を
受けるが、地方などでは、その恩恵を受けない。

このため、景気回復を「実感していない」と答えた人の割合は、大
都市圏より地方で、正社員より派遣社員で多く、地域や雇用形態で
景気実感に差があることが鮮明になった。

景気回復を「全く実感していない」との回答は全体で34・3%、
「実感していない」が32・5%で、「実感した」の11・6%、
「非常に実感した」の1・0%を上回った。となる。

量的緩和は続行する必要があるが、その負の面をカバーする政策、
地方産業の活性化を促進する政策を推進する必要がある様に思うが
どうであろうか?

地方産業の活性化としては、世界からトリクルダウンがくるように
、日本の伝統的な技術を使った高級品を作るしかない。特に食料品
や木工などの技術は高いので期待できる。

さあ、どうなりますか?



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アベノミクス:首相「トリクルダウン、我々の政策と違う」
毎日新聞 2015年02月02日 18時50分(最終更新 02月03日 00時40分)
 安倍晋三首相は2日の参院予算委員会で、「富めるものが富めば
、富が滴り落ちる」とする「トリクルダウン理論」について、「我
々が行っている政策とは違う」と強調した。アベノミクスは、企業
収益の向上を通じた経済成長を目指しているが、民主党は「経済格
差」に焦点を当てる戦術で、首相は企業優先との批判に予防線を張
った形だ。
 首相は経済界に賃上げを働きかけていることを強調。「上からた
らたら垂らしていくのではなく、全体をしっかりと底上げしていく
のが私たちの政策だ」と語った。
 これに対し、民主党の大塚耕平氏は「底上げと言うならば、(悪
化する)子どもの貧困率や貯蓄率から、アベノミクスはうまくいっ
ていないという評価になる」と首相に反論した。【水脇友輔】
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景気回復の実感、地域差鮮明に アベノミクス影響調査
 野村総合研究所が2日までにまとめた消費者アンケートによると
、アベノミクスによる景気回復を「実感していない」と答えた人の
割合は、大都市圏より地方で、正社員より派遣社員で多く、地域や
雇用形態で景気実感に差があることが鮮明になった。
 安倍政権が景気てこ入れのために編成した14年度補正予算は3
日の参院本会議で成立する見通しだが、大都市と地方などの格差を
どう解消していくかが経済再生の鍵を握りそうだ。
 景気回復を「全く実感していない」との回答は全体で34・3%
、「実感していない」が32・5%で、「実感した」の11・6%
、「非常に実感した」の1・0%を上回った。
2015/02/02 18:18   【共同通信】
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「21世紀の資本」著者ピケティ氏「低所得者に減税すべき」 格差拡
大への対策を強調
弁護士ドットコム2015年01月30日 17:00BLOGOS
世界的ベストセラー「21世紀の資本」の著者で、フランスの経済学
者トマ・ピケティ氏が1月29日、東京都内の有楽町朝日ホールで開
かれたシンポジウムに登壇し、日本社会の「格差拡大」に警鐘を鳴
らした。
「21世紀の資本」は、各国の税務データを収集・分析したうえで、
「資本主義社会では格差は拡大する」という結論を導いた学術書。
フランスで2013年に発売されて以降、アメリカなど世界十数カ国で
累計100万部を突破した。昨年12月に出版された日本語版も700ペー
ジ以上の厚さにかかわらず、13万部のヒットとなっている。
いま世界的に注目されている経済学者の登場とあって、この日の講
演は、定員700人の会場がほぼ満席になった。
ピケティ氏は日本の格差の現状について「アメリカほど大きくない
が、先進国の中で最も平等というわけではない」と指摘した。特に
、経済成長率が低迷しているにもかかわらず、国民の所得全体に占
める「高額所得者」の所得シェアが拡大していることを問題視して
いる。
「高成長の時代であれば、誰もがその恩恵を受けられるので、それ
ほど問題ないが、低成長の時代なのに所得上位10%のシェアが増え
ている。深刻な問題だ」と語り、相対的に高額所得者層に、富が集
中する傾向にあることを指摘した。
さらに、ピケティ氏は、低成長の国では、過去に累積した資産、つ
まり相続に依存した社会になることを解説した。
格差拡大を防ぐための解決策として、ピケティ氏は「低所得者、中
所得者の労働所得に対する税を減らし、不動産などの資産に対して
増税することが、日本の現状にあうのではないか。特に若い世代に
とってはプラスになる」と述べた。
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ピケティ教授、東大で講義 「公平な社会を作って」 
2015/1/31 20:02nikkei
 『21世紀の資本』が各国で話題になっているパリ経済学校のトマ
・ピケティ教授が31日、東大で学生らに講義を開いた。お金持ちで
ないと一流大学に行きにくい現状を問題視した同氏に学生は「幸運
にも良い教育を受けている我々は何をすべきか」と質問。「(親の
所得に関係ない)公平な社会をつくってほしい。私の本はそのため
に書かれたものだ」と答えた。
 同氏は著書の中で、預金や株式、不動産などの純資産を持つ人に
資産額に応じた税金を世界共通で課すよう提言している。講義では
「経済成長が鈍る一方で資本収益率は高いままだ」と語り、富の集
中を是正しないと19世紀のような格差社会に戻ると訴えた。
 「格差是正には相続税の方が受け入れられやすいのでは」との質
問には「相続税は一部の資産にしか課税されない。(保有する株や
不動産に税金を課す)累進資本課税の方が富の集中を回避できる」
と語った。
 同日、ピケティ教授は日本記者クラブでも記者会見した。アベノ
ミクスについて問われると「若者に利する税制改革が必要だ」と語
り、若い中低所得層の税を引き下げるべきだと語った。消費増税に
ついては「日本の成長に対して良い結果を生んでいない」と否定的
な見方を述べた。
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ピケティ氏「若い人たち優遇の政策を」
1月31日 13時02分NHK
来日中の、格差の拡大を論じた著書で知られるフランスの経済学者
、トマ・ピケティ氏が31日に東京都内で会見し、日本でも格差拡
大を抑えるために、累進課税を強化するなど、若い人たちを優遇す
るような政策をとるべきだという考えを示しました。
トマ・ピケティ氏が書いた「21世紀の資本」は、20か国以上の
納税記録などの膨大なデータを分析して資本主義の下で格差が拡大
したことを実証しようとしたもので、世界で100万部以上が売れ
たとされています。
また、日本語版も先月の発売以来13万部販売されるなど、700
ページを超える経済専門書としては異例のベストセラーとなってい
ます。
日本記者クラブで会見したピケティ氏は、日本などで格差に対する
関心が高まっている理由として、「多くの人たちが、統計を見るま
でもなく、富裕層のほうが中間層などよりも所得が増えていると感
じている。とりわけ成長率が低い国では不平等を感じるのだ」と述
べました。
さらにピケティ氏は「日本は、アメリカほどの極端な格差はないが
、若い世代は富へのアクセスが難しくなっている。所得の低い人た
ちの税を低減し、富を蓄積した世代の所得税や不動産税を増大する
など、若者を利する政策をとるべきだ」と述べて、累進課税や教育
支援の強化などを通じて、所得格差の拡大を抑制すべきだという考
えを示しました。
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岡田代表らがトマ・ピケティ教授と格差問題について意見交換
民主党2015年01月31日 08:58BLOGOS
 岡田克也代表は30日夜、来日中のフランスの経済学者トマ・ピ
ケティ教授と駐日フランス大使館で会談した。
 岡田代表は、「安倍総理は成長すればいい影響が全国民にしたた
り落ちてくるという考えだが、われわれは成長と同時に再分配をし
なければいけないと考えている。これが民主党と安倍自民党政権と
の最大の議論のテーマだ。今日はぜひ有益なお話を聞かせていただ
き、意見交換をさせていただきたい」とあいさつ。ピケティ教授は
、「岡田代表が言ったことはまったくその通りだ。日本でも過去
20年間で不平等・不均衡が拡大してきたと思っている」と述べ、
その後、同席した長妻昭代表代行、細野豪志政調会長、山井和則ネ
クスト厚生労働大臣、藤田幸久国際局長も交えて、民主党の社会保
障政策や税制の考え方、アベノミクスの評価などについて意見交換
した。





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