5265.円安効果が出てきたが、次は労働力不足



1ドル=115円という為替レートの効果が出てきたようである。
1ドル=74円から50%も円安になり、日本の製品価格が急激に
低下している。このため、国内産業の輸出が徐々に拡大することに
なる。

国内の造船最大手、今治造船は大型の建造設備(ドック)を設ける
という。約400億円を投じて2016年10月に稼働する。円安が進んで価
格競争力が回復して受注が好調なためである。

また、TPP交渉でも、日本が米国産の主食用コメの輸入拡大の検討に
入ったことで、日米協議が合意すれば、TPP交渉全体が進展する
可能性が出てきた。日本と米国でコメの住み分けをすることになる。

円安で、高級なコリヒカリなどの価格は、日本と米国では、それほ
どの違いがない。味を比べれば日本のほうが美味しい。農産物でも
日本は高級市場を開発できるほど円安になってきた。円安になった
ことで、TPP交渉を早期に妥結して、世界から安価な低級品を輸入し
て、貧困層の国民に安い食料を確保しつつ、日本は、世界の高級品
市場を狙う戦略しかない。

このためには、自由貿易にして、日本市場を解放したほうが良い。
住み分けを行ったほうが良い。グレイス甲州ワイン、竹鶴や山崎ウ
イスキー、日本酒など、日本の酒が世界的に評価されてきている。
また、いちごの甘王、りんごの大栄なども中国圏では評価が高い。
野菜類も輸出できる。霜降り肉なども輸出できる。このように日本
の食材が徐々に世界に評価されてきた。旨味成分として煮干、鰹節
などもフランス料理に利用されてきている。日本の食材は世界の高
級品市場を狙えば良いのである。

しかし、次に問題になるのが、供給力の問題である。増産するうえ
で必要なのが、労働力の確保であるが、こちらが難しくなる。

現時点でも2014年平均の完全失業率は3・6%で、完全雇用状
態であり、労働力不足問題を解決する必要がある。

その解決に海外からの研修生制度を拡充して活用しようとしている
が、この制度は、5年程度の研修後は帰国する必要がある。それと
最低労働賃金も支払わない企業や農家がいて、現在この制度で来て
いる中国の研修生が、中国より待遇が悪いと述べているので、日本
に来なくなる。円安で50%も賃金が低下したから、日本人が考え
るより、賃金への影響が大きい。

また、インドネシアやフィリピン人の介護職員も国家検定が難しい
と、敬遠しているようだ。日本語力を下げるというが、一度非難が
出るとなかなか、集まらなくなるし、かつ給与が低いと無理である。

完全な労働力として向かい入れないと、そろそろ、各国の賃金との
格差がなくなり、人が集まらなくなってきたので、最低賃金を保証
するなどの処置が必要である。

もう1つ、韓国が労働力としてミャンマー若者層を集めている。こ
のため、韓国語の勉強が流行っているという。韓国人の失業率は高
いが、低賃金の3K労働を韓国人はしないので、ミャンマー人を使
うようである。

というように、労働力の取り合いが起こっている。日本も安易に海
外労働力は直ぐに集まると思わない方が良い。

一番良いのが、職能移民制度を確立することであるが、これはまだ
抵抗感が日本人に有り、今は無理かもしれないが、いつかは必要に
なると見ている。

最初にホームヘルパーにフィリピン人などの外国人を3月から解禁
するというので期待したい。

また、外国人ができる職能を広げることである。そして、ある程度
の職能経験者を日本国籍にすることも促進することである。

さあ、どうなりますか?


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国内ドック16年ぶり新設 今治造船、円安で競争力 
2015/1/29 2:00日本経済新聞 電子版
 国内の造船最大手、今治造船は大型の建造設備(ドック)を香川
県丸亀市に設ける。約400億円を投じて2016年10月に稼働する。国内
の大型ドック新設は16年ぶり。日本メーカーは2000年代に入って韓
国や中国の企業に受注を奪われてきたが、円安が進んで価格競争力
が回復してきたことで投資に踏み切る。円安を背景に製造業が国内
生産を増やす動きが広がりつつある。
 新ドックは生産拠点の一つである丸亀事業本部に設け…
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14年の完全失業率、3・6%…4年連続で改善
2015年01月30日 08時56分
 総務省が30日発表した労働力調査によると、2014年平均の
完全失業率(速報値)は3・6%で、前年より0・4ポイント低下
し、4年連続で改善した。
2015年01月30日 08時56分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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懸案のコメ 最後の詰め…TPP日米協議
2015年01月29日
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が最終局面を迎えつつある
。米通商代表部(USTR)のフロマン代表は27日、数か月以内
の大筋合意に意欲を示した。
 交渉を主導する日米は、事務レベル協議をワシントンで28日か
ら再開する。日本が米国産の主食用コメの輸入拡大の検討に入った
ことで、日米協議が合意すれば、TPP交渉全体が進展する可能性
が出てきた。
 フロマン氏は27日の米上下両院それぞれの公聴会で、TPP交
渉について、「すべての交渉参加国は数か月以内に大筋合意しよう
と集中している」と証言。日米協議についても「まもなく包括的な
合意で締めくくれるだろうと期待している」と自信を見せた。
 2月にも日米間で閣僚会談を開き、決着を目指す案が出ている。
 日米は昨年4月、牛・豚肉の関税の大幅引き下げなどで実質合意
した。だが、米国産の牛・豚肉の輸入が急増した場合に関税率を元
の水準に戻す「緊急輸入制限措置」(セーフガード)の発動条件を
巡って協議は難航が続いた。
 しかし、ここに来て、状況は変わってきた。全米豚肉生産者協議
会(NPPC)は26日付の議会への書簡で、日本側の提案に「大
きな進展があった」との認識を示し、豚肉では進展があったことを
うかがわせた。
 懸案のコメについては、政府による米国産の輸入量拡大という妥
協案が浮上した。甘利TPP相は27日の記者会見で「1粒も(輸
入米を)増やすな、というのは不可能だ」と述べた。具体的な拡大
量を巡って、最後の詰めに入る。
 TPP交渉の参加12か国による首席交渉官会合は26日からニ
ューヨークで開かれている。新薬のデータ保護期間など知的財産分
野での先進国と新興国の対立は続いている。しかし、日米協議が決
着し、交渉全体の大筋合意が近いとの機運が高まれば、「新興国側
が最終的な譲歩案を示し、交渉が一気に進む可能性が高い」(交渉
関係者)とみられる。
 米議会でオバマ大統領に通商一括交渉権(TPA)を付与する法
案を提出する動きが加速していることも、大筋合意への追い風にな
る。(横堀裕也、ワシントン 安江邦彦)
2015年01月29日 Copyright c The Yomiuri Shimbun





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