5256.低成長に備える



インド準備銀行のラグラム・ラジャン総裁の「Bracing for Stagnation」
がプロジェクト・シンジケート誌に載っている。私はラジャン氏の
経済解決が好きである。リンクは最後

2015年が始まったが、世界経済は弱いままである。米国は強い
経済回復のサインが見えるが、EUは日本に続いて景気悪化の危険
が有る。新興国も輸出主導の経済成長が揺らいでいる。

ラガードIMF専務理事は、「新しい平均」を体験することになると言
うし、サマーズは世界経済が「一般的な低成長」になると言う。
サマーズは、中央銀行がマイナス金利を導入できないことで、需要
の不足が起こるという。また、富裕者に富が集まり、また高齢者が
多くなり、消費しなくなることで需要不足が起こるという。

コーエンやゴードンは供給サイドでも問題があるという。第2次大
戦後の時代が異常であり、工業国家が戦争後の復興や教育水準の向
上、高スキル労働参加率の上昇、投資の増額、電気製品、自動車、
電話の普及などで経済成長したのであると。

これが終わり、1970年から経済成長が止まり始めている。しか
し、「偉大な社会建設」という約束が政治に求められた。

このため、政府は成長が必要になり、1970年から経済の刺激政
策を取り続けている。このため、インフレが進んだが、刺激策を継
続するために、税金を増やさず財政を増やすことでインフレを止め
た。このため財政赤字になり、徐々に赤字レベルが増えていった。
そして財政危機になる。

このため、今日、先進諸国では財政赤字ができずに、2008年以前の
成長率に復帰できなくなり、そして、GDPに対する負債の割合が増加
している。

新興国でも、低成長になり、今までの成長モデル、輸出主導が取れ
なくなっている。このため、国内需要に基づく成長になる。

しかし、過剰な流動性資金供給策を先進国は採用している。このた
め、新興国の小さな成長にも多くの資金が来る。このため、資産バ
ブルや為替交換レートの高騰が起きる。しかし、先進国が金融政策
を締めると、その資金は逃げていく。しかし、新興国は流動資金が
すぐに逃げるとは思ってもいない。

先進国が、将来の成長を目指すなら、厳しい痛みを伴う構造改革が
必要になる。負債、社会保障、低い税金などを変えることが必要に
なる。

もししないと、デトロイトのような破綻が待っている。

とラジャン氏は述べているが、これは日本のことであるような気が
する。

さあ、どうすれば良いのでしょうか?


Bracing for Stagnation

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