5251.欧米は他文化受容が必要



日本の一般的な意見は、イスラム教を侮辱することはいけないし、
しかし、それに対してテロをするには、もっといけない。という感
じでしょうかね。受け取る側の多様な価値観を尊重する精神こそが
、成熟した民主主義社会の基盤になるという感じ。この感覚が出て
くるには、仏教の縁起の思想が日本人には根付いているからである。

そして、ローマ法王のフランシスコ法王も、「人の信仰に関わる場
合、表現の自由には限度がある」という考えを示したので安心した
が、多くの欧米の論調は、報道の自由は無制限であるというものが
多い。

しかし、文化が異なれば、風刺画に対する受け止め方も違う。「聖
像のない文化」と言われるイスラム圏では、偶像崇拝は許されず、
ムハンマドらの人物画像を描くことが禁じられている。風刺画が、
フランスでは「表現の自由」の行使であっても、イスラム教徒にと
っては「宗教への冒涜ぼうとく」となる。政治週刊紙の風刺画が、
穏健なイスラム教徒の信仰心を傷つけたことは確かだ。

欧米は、他民族の価値観を受け入れずに、自己の価値観だけが正し
いという感覚のようである。これが一神教の問題点である。自分の
信じる神のみが正しく、他神は邪悪ということである。他者を受容
していない。

縁起の法則では、他者に悪事をすると、それはいつか自分に戻って
くるし、逆に、他者に良いことをすれば、それも自分に戻ってくる。
だから、他者に愛情を持って接しなさいということになる。他文化
受容の教えでもある。

この感覚があるので、世界に日本人が行っても、その文化に溶け込
めるのである。信頼されるのである。自己主張をしないのである。

今回のことで、中東諸国を含めた関係国の連携を強め、テロを封じ
込めることが、焦眉の急だが、風刺画が引き起こす対立が、その妨
げとなる事態は避けねばならない。穏健なイスラム教国であるトル
コでも、イスラム的な価値観を重んじる政策を進めるダウトオール
首相は、「預言者の風刺画の掲載は許されるものではない。報道の
自由は侮辱の自由ではない」と述べ、強い不快感を示した。

これで、また、宗教戦争の様相が増してくる。キリスト教対イスラ
ム教という最終戦争に近づいていく。

そして、アフガニスタンのタリバン支配地域にイスラム国の訓練施
設ができて、イスラム教原理主義者たちは、同盟を組み、欧米を追
い込むことになる。

縁起の法則通りに、事が運んでいる。

さあ、どうなりますか?

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仏紙風刺画問題 多様な価値観受容する社会に
2015年01月16日 01時14分
 テロに屈しないという意志表示だろう。だが、イスラム教徒を刺
激し、新たな対立の火種とならないか、懸念される。
 テロリストの銃撃で編集長らが殺害されたフランスの政治週刊紙
が、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を表紙にした特別号を
発行した。
 風刺画は、ムハンマドが政治週刊紙との連帯を示す言葉が書かれ
たプラカードを手に、涙を流す図柄で、「すべては許される」との
見出しが付いている。
 通常は4万5000部の発行だが、特別号は500万部まで増刷
するという。売り切れの販売店も相次いでいる。「表現の自由」を
守ろうというフランスの世論の高まりがうかがえる。
 テロに抗議し、パリなど全土で約370万人が参加した行進も実
施された。フランスならではの愛国心が高揚しているのだろう。
 仏国民は1789年のフランス革命で、政教分離の原則などと共
に、表現の自由を勝ち取ったことに誇りを持っているとされる。風
刺画も、王侯貴族や聖職者、政治家など権力者を批判する手段とし
て根付いてきた。
 しかし、文化が異なれば、風刺画に対する受け止め方も違う。「
聖像のない文化」と言われるイスラム圏では、偶像崇拝は許されず
、ムハンマドらの人物画像を描くことが禁じられている。
 風刺画が、フランスでは「表現の自由」の行使であっても、イス
ラム教徒にとっては「宗教への冒涜ぼうとく」となる。政治週刊紙
の風刺画が、穏健なイスラム教徒の信仰心を傷つけたことは確かだ。
 エジプトのイスラム教スンニ派の最高権威機関は、特別号の表紙
を「醜悪」などと非難した。
 無論、どのような宗教的理由があれ、テロは決して許されない。
表現の自由が民主主義の根幹であることも、言をまたない。
 だが、表現の自由といえども、公共の福祉などに反すれば、無制
限に認められるものではないというのが、日本における一般的な考
え方だ。報道機関は、記事などが社会的に及ぼす影響を十分に考慮
し、掲載する必要がある。
 受け取る側の多様な価値観を尊重する精神こそが、成熟した民主
主義社会の基盤になる。
 銃撃事件では、イエメンが拠点のイスラム過激派組織が犯行声明
を出した。中東諸国を含めた関係国の連携を強め、テロを封じ込め
ることが、焦眉の急だ。風刺画が引き起こす対立が、その妨げとな
る事態は避けねばならない。
2015年01月16日 01時14分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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ローマ法王「表現の自由に限度」
1月16日 7時08分NHK
武装した男らに襲撃されたフランスの新聞社が最新号に掲載したイ
スラム教の預言者の風刺画について、表現の自由か宗教の尊重かを
巡る議論が広がるなか、ローマ法王のフランシスコ法王は、「人の
信仰に関わる場合、表現の自由には限度がある」という考えを示し
ました。
今月7日、武装した男らに襲撃され12人の犠牲者を出したフラン
ス・パリの新聞社「シャルリ・エブド」は、事件から1週間後に発
行した最新号でイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載しま
した。
フランスでは表現の自由だと肯定的に捉える人が多い一方で、預言
者の顔を描くことは教えに反すると考えるイスラム教の国々からは
、批判の声が上がり、表現の自由か宗教の尊重かを巡り議論が広が
っています。
こうしたなか、ローマ・カトリック教会の指導者であるローマ法王
のフランシスコ法王は15日、訪問先のスリランカからフィリピン
に向かう機中で記者団から事件について尋ねられたのに対し、「神
の名のもとに人を殺すのは、常軌を逸しており、正当化できない」
と述べました。
そのうえで、フランシスコ法王は、「自分の母親が侮辱されたら反
応したくなるものだ」とたとえ話を示しながら、「人の信仰を挑発
したり、侮辱したり、笑いものにするべきでもない」と述べ、信仰
に関わる場合、表現の自由には限度があるという考えを示しました。
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預言者風刺画にイスラム社会反発
1月16日 6時44分NHK
フランスの新聞社「シャルリ・エブド」が、襲撃事件の後初めて発
行した紙面にイスラム教の預言者ムハンマドを描いた風刺画を掲載
したことに対し、トルコなどではイスラム教徒の反発が強まってい
ます。
フランスの新聞社「シャルリ・エブド」が14日に発行した新聞に
イスラム教の預言者ムハンマドを描いた風刺画を掲載したことを受
けて、トルコでは、世俗主義の論調で知られる地元紙が連帯を示す
ためとして、風刺画など紙面の一部を転載しました。
これに反発したイスラム教徒数十人が14日、イスタンブールにあ
る地元の新聞社の前に集まり、「イスラム教徒への侮辱だ」と叫び
ながら、新聞のコピーを燃やすなどして抗議しました。
中には、「シャルリ・エブド」を襲撃した容疑者を称賛する人もい
て、トルコの治安部隊が出動するなど辺りは一時、ものものしい雰
囲気となりました。
また、イスラム的な価値観を重んじる政策を進めるダウトオール首
相は15日、「預言者の風刺画の掲載は許されるものではない。報
道の自由は侮辱の自由ではない」と述べ、強い不快感を示していま
す。
このほか、フィリピン南部のイスラム教徒が多い地区などでも風刺
画の掲載に反発する市民が集まり、「預言者への侮辱は許されない
」などと抗議しました。
イスラム教徒の間では預言者の姿を描くこと自体が偶像崇拝を禁じ
る教えに反し冒とくするものだという受け止めもあり、風刺画に対
するイスラム社会の反発が広がっています。
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イスラム教徒として言おう。「言論の自由」原理主義者の偽善には
もう、うんざりだ
投稿日: 2015年01月15日huffingtonpost
Mehdi Hasan 
リベラル論者のあなたへ
あなたも私もジョージ・W・ブッシュが嫌いだった。9.11の後、「我
々の味方か、それともテロリストの味方か」という幼稚な宣言を覚
えているだろうか? けれども今、新たな恐ろしいテロ攻撃を受け
て、あなたはブッシュのスローガンを焼き直したようにみえる。言
論の自由に賛成か、反対か。「シャルリー・エブド」でないなら、
自由を憎悪する狂信者だと。
私があなたにこれを書いているのは、簡単なお願いをするためだ。
そんなことはやめてほしい。テロリストに立ち向かっているつもり
なのだろうが、実際には、あなたは分断と悪魔化という、テロリス
トの血塗られた術中にはまっている。啓蒙されたリベラルな西洋と
、遅れた野蛮なイスラム教徒。1月7日にパリで起きた殺戮は、言論
の自由への攻撃だと、あなたは繰り返し言う。保守派の元フランス
大統領、ニコラ・サルコジもこれに賛同し、「文明に対する宣戦布
告」と呼んだ。またリベラル左派の旗印、ジョン・スノーも、「文
明の衝突」と品のないツイートをして、「ヨーロッパの言論の自由
への信念」に言及した。
パリ事件後の悲しみの中、偽善と大言壮語が蔓延している。もちろ
ん、あの攻撃は計り知れない悪のなせる業であり、無辜の人々を無
慈悲に殺したことは決して許されない。しかし、あれは本当に(ITV
のマーク・オースティンいわく)「言論の自由を暗殺する企て」や
、(スティーブン・フライいわく)「思想の自由の神聖性を冒す」
行為だったのだろうか? あの犯罪(戦争行為ではない)は、不満
を抱えた若者が実行したものだ。そして彼らの過激化の原因は、2006
年と2011年にヨーロッパで予言者の風刺画が描かれたことではなく、
2004年のイラクでのアメリカ軍による拷問を知ったことだった。
どうか冷静に考えてほしい。無制限の言論の自由を信じる者など誰
もいない。私たちはみな、法と秩序のために越えてはならない一線
があり、分別と慎みのために越えるべきでない一線もあることに合
意している。私たちの唯一の違いは、どこでその線引きをするかな
のだ。
あなた方は、例えば、ホロコーストを嘲る漫画を出版したことがあ
るだろうか? ない? では9/11の犠牲者たちがツインタワーから
落ちる風刺画はどうだろう? なかったと思う(そう思うし、なく
てよかった)。あるいは、オックスフォード大学の哲学者ブライア
ン・クラッグによる「思考実験」を考えてみよう。彼はこう書いて
いる:1月11日のパリでの「団結の行進」に、『私はシェリフ』と書
いたバッジをつけた一人の男が参加したとしよう。シェリフは「シ
ャルリー・エブド」襲撃犯の一人のファーストネームだ。彼はさら
に、殺されたジャーナリストを嘲る風刺画を描いたプラカードを掲
げていたとしよう。「群集はどんな反応をするだろう? この孤独
な男を、言論の自由のために立ち上がったヒーローとみるだろうか?
 あるいは心から怒りを覚えるのだろうか?」。彼が「生きて出ら
れれば幸運」だとするクラッグの結論に、異論はあるだろうか?
はっきりさせておこう。ジャーナリストや漫画家を撃ち殺すことに
正当性は一切ない。それは私も同意する。だが、人の神経を逆撫で
する権利に責任が伴わないという主張には、私は同意できない。神
経を逆撫でする権利は、逆撫でする義務になるわけではないのだ。
あなたが「私はシャルリー」と言うのは、シャルリー・エブドが黒
人であるフランス司法大臣のクリスチャーヌ・トビラを猿として描
くことの是認なのか? それとも、エドワード・サイードが草葉の
陰で嘆きそうな、団子鼻のアラブ人の下品な風刺画の是認か?
レイシズムを風刺で攻撃するために、恥知らずな差別的イメージを
生み出すのは、風刺の手法としてはかなり危うい。それに、元「シ
ャルリー・エブド」のジャーナリスト、オリヴィエ・シランが2013
年に述べているように、9/11以降あの雑誌は「徐々にイスラム嫌悪
のノイローゼに支配され」、それが「権力中枢に何の影響力もない
少数派の宗教信者」への攻撃を促進した。
これが、私がシャルリーになれないし、なりたくもない理由だ。む
しろ私たちは、アフメドでありたいと思うべきだ。雑誌の存在の権
利を守って殺害された、あのイスラム教徒の警察官に。小説家テユ
・コールが言うように、「不道徳な言論の権利を、その内容に賛同
したり、それを支援することなく、守ることは可能」なのだ。
それに、なぜあなたは明白なダブルスタンダードに沈黙を保ってい
るのだろう? 2008年、「シャルリー・エブド」がベテランのフラ
ンス人漫画家モーリス・シネを、反ユダヤ的とされる発言を理由に
解雇したのはご存知だろうか? デンマークの新聞ユランズ・ポス
テンは、2005年に予言者の風刺画を掲載したが、キリストを嘲った
風刺画は「非難を呼ぶ」として没にしたとされ、また「いかなる理
由であれホロコーストの漫画は掲載しない」と堂々と宣言したこと
にはお気づきだろうか?
イスラム教徒は、どうもキリスト教徒やユダヤ教徒の同胞たちより
も鈍感でなければいけないらしい。背景も重要だ。あなたは私たち
に、予言者の風刺画を笑うよう求めながら、ヨーロッパ中のイスラ
ム教徒への中傷や(最近ドイツに行ったことは?)、教育・雇用・
公共生活に蔓延するイスラム教徒差別(フランスは特にひどい)を
無視している。あなたはイスラム教徒に、一握りの過激派を言論の
自由への実在する脅威として非難するよう求めながら、選挙で選ば
れた政治指導者たちが言論の自由に遥かに大きな脅威を与えている
ことからは目を背けている。
あなたは気にならないのだろうか? 
アメリカのバラク・オバマは、ドローン攻撃に反対するジャーナリ
ストのアブドゥレラ・ハイデル・シャイエが不当な裁判でテロに関
与したとされ有罪判決を受けたとき、彼を収監し続けるようイエメ
ンに要求していながら、言論の自由の流行に便乗しているではない
か。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフは、2014年にガザで7人のジャ
ーナリストを殺した国の首相だ。彼がパリの「団結の行進」に参加
したことに、あなたは吐き気を催さないのだろうか? 
ネタニヤフと共に参加したドイツのアンゲラ・メルケルは、ホロコ
ーストを否定すると5年以下の懲役刑を受ける国の首相ではないか。
イギリスのデビッド・キャメロンは、「民主主義の転覆」に加担し
たとして暴力に訴えていない「過激派」のテレビ出演を禁止しよう
としているではないか。
あなたには読者がいる。彼ら読者に何かコメントはないのか? 
2011年に行われた世論調査会社「YouGov」の投票では、戦没者追悼
のポピーに火をつけた抗議者たちを起訴することに、82%が賛成して
いる。
どうやら、腹を立てるのはイスラム教徒だけではないようだ。
敬具
メフディ



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