5244.衰退する国からの脱却には



アベノミクスは、量的緩和をした当初の円安での輸出増の効果と株
高による資産効果の期待が時間切れになってきた。当初、効果の期
待値が高い間に、日本の岩盤規制を改革して経済改革を進めるとし
て、海外からも国内からも期待されていた。

この期待値から、将来は景気が良くなると、先行的な消費をして皆
が景気の先取りをしていたが、とうとう、その期待した景気回復が
なく、1年前と比べた現在の暮らし向きについて、「ゆとりが出て
きた」と回答した割合から「ゆとりがなくなってきた」割合を引い
た指数はマイナス47.2となり、平成23年12月調査(マイナ
ス48.0)以来の低水準となった。

徐々に、国民の暮らしは厳しくなっている。円安で石油以外の物は
値上げされているので、給与が増えないと大変なことになるとみる
が、現在の収入が1年前と比べて「増えた」という回答した割合か
ら「減った」と回答した割合を引いた収入の増減に関する指数はマ
イナス31.6だった。ということは今も給与が減っている人達の
方が多いということになる。

アベノミクスの期待値は高かったが、現状では、その期待が裏切ら
れた雰囲気になってきた。

この裏には、人口の大幅な減少があり、経済成長をしようとすると
人口問題の解決が必要になり、女性の労働力に期待して、かつ子作
りをしろという矛盾した政策を安倍首相は言っているが、それは無
理である。何か政策全体の整合性が欠けているように感じる。

もし、人口問題を解決するというなら、移民導入という政策が必要
であるが、それを封印しているので、人口増加ができない。よって、
人口減少問題を解決できない。ということは経済成長もできないと
いうことになる。

このような根本問題を抜きに景気をあげようとしても、現時点で完
全雇用状態であり、どうすることもできない。人口減少分の消費が
なくなり、完全雇用状況でも経済成長はマイナスということになる。

また、完全雇用状態であり、本来なら生活保護世帯は減少するはず
が、そうならない。高齢者で働くことができない人が増えて、生活
保護世帯も増える。日本の限界点にあることは確実である。

それより、2011年3月11日大震災を起点として、日本人は貧
乏になったが、その代わりに、人の痛みを知り、利他的な行動を取
れるようになってきている。言い換えると、経済成長という富の源
泉は失ったが、それより大きな心を得たような気がする。

どうも、経済優先的な政策から、人間同士が助け合う共生社会への
政策に、その優先順位を変化させていくことも必要かと思う。

経済政策では、根本の人口増加政策、移民問題を議論しないと無理
である。それを封印するなら、経済問題より衰退しても共生社会に
して、人が助けないながら衰退したほうが良いと思う。

もちろん、これは移民を受け入れないと国民の意志が固いならとい
うことであるが、もう移民なしでの経済成長はできないとみるがど
うか?

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暮らし向き、3四半期連続で悪化 「ゆとりなくなってきた」過半
数に、日銀調査
2015.1.8 16:46sankei
 日銀が8日発表した生活意識アンケート(昨年12月調査)によ
ると、1年前と比べた現在の暮らし向きについて、「ゆとりが出て
きた」と回答した割合から「ゆとりがなくなってきた」割合を引い
た指数はマイナス47.2となり、平成23年12月調査(マイナ
ス48.0)以来の低水準となった。前回9月調査から3.1ポイ
ント悪化し、3四半期連続で悪化した。
 「ゆとりが出てきた」という回答の割合は前回の4.4%から
3.9%に減ったのに対し、「ゆとりがなくなってきた」は48.5
%から過半数の51.1%に増えた。
 「ゆとりがなくなってきた」と回答した人にその理由を尋ねたと
ころ、「物価が上がったから」を挙げた人は71.1%に上った。
「給与や事業の収入が減ったから」という人も50.4%いた。
 一方、現在の収入が1年前と比べて「増えた」という回答した割
合から「減った」と回答した割合を引いた収入の増減に関する指数
はマイナス31.6だった。9月調査から0.9ポイント改善し、
3四半期ぶりにマイナス幅は縮小した。
 円安などが追い風となり、景気回復への期待が高まる中、多くの
個人は今も生活に厳しさを感じていることが浮き彫りになった。デ
フレからの脱却に向け、政府や日銀は経済界に対し、この春の労使
交渉での賃上げを促している。
 調査は昨年11月7日〜12月4日に実施。全国の2271人が
回答した。
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生活保護161万世帯、過去最多を更新 14年10月時点 
2015/1/7 10:56 nikkei
 厚生労働省は7日、昨年10月時点で、全国で生活保護を受けてい
る世帯が161万5240世帯(前月比3287世帯増)となり、過去最多を更
新したと発表した。65歳以上の高齢者世帯が76万1593世帯(同2479
世帯増)となり、働ける世帯を含む「その他の世帯」は28万525世帯
(同138世帯増)だった。受給者数は前月比3484人増の216万8393人。



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