5240.ギリシャの選挙を検証



ギリシャの選挙が1月25日に行われるが、この結果に世界はまた
注目し始めている。12月に新大統領の選出ができずに、総選挙に
なったが、野党・急進左派連合(SYRIZA)の支持率が与党・
新民主主義党(ND)より3%も高い状態にある。

この野党SYRIZAの主張が、ドイツでは絶対に認められないような政
策を掲げている。ギリシャ国債のヘアーカット、ギリシャ世帯に対
する電気・ガス代の無料化、無料医療制度の復活、年金基金、130億
ユーロの積み増し、最低賃金50%アップ、ECBによるギリシャ国債の
直接買い取りしてもらい、社会保障の充実に向け国債発行が急増さ
せるというものである。

そして、ドイツにその財政負担させるという、ギリシャにとって都
合の良い、ドイツにとって容認できない政策を掲げているのである。

この政策を認めると、イタリア、スペインなどが同様なことをドイ
ツに要求するので、これを認めることはドイツにはできない。

また、ドイツ国内にEU南部諸国がドイツの資金をくすねていると
の世論があるので、メルケル政権としても容認できない。

このため、独有力誌シュピーゲル(電子版)は3日、ギリシャにつ
いて、必要な場合はユーロ圏からの離脱を独政府が容認する方針だ
と報じた。独政府筋の話として伝えた。

ギリシャのSYRIZAが政権についたら、ギリシャをEUから追い出す
ということである。こうなれば、もう1度、自国通貨を発行して経
済再建することになるが、市場は混乱し、銀行資金が逃げていくこ
とになる。

去年、EU危機は去ったという雰囲気があり、現時点、ECBドラギ総
裁が量的金融緩和をドイツの反対を押しても出来るかどうかという
議論をしていたが、それとは違う理由での混乱が始める可能性が出
てきた。

しかし、SYRIZAは、EU離脱をのぞんでいないので、その政策を変
更する可能性があるが、わからない。

さあ、どうなりますか?


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ギリシャ首相:野党政策では国が破綻、ユーロ残留は不可能に
  (ブルームバーグ):ギリシャでは1月25日の投票に向け各政
党による選挙キャンペーンが始まった。サマラス首相はギリシャが
ユーロ圏にとどまるかどうかの運命を決める総選挙だと位置付けて
いる。
サマラス首相は野党・急進左派連合(SYRIZA)の掲げる政策
ではギリシャはデフォルト(債務不履行)に陥り、ユーロ圏からの
離脱を余儀なくされると訴えた。SYRIZAは賃金引き上げや政
府雇用の拡大、債務の一部減免容認をユーロ圏諸国に働き掛けるこ
となどを公約に掲げている。
同首相(63)は3日、中部の都市ラリサで演説し、「SYRIZA
の政策では破綻につながる」と発言。「SYRIZAの言うことは
実行不可能であり、国を大きな賭けに追いやることになる」と語っ
た。
SYRIZAのツィプラス党首は、ドイツ主導の緊縮財政を終わら
せると表明している。独誌シュピーゲルは、ドイツのメルケル政権
がギリシャのユーロ圏離脱を容認する用意があると伝えた。同誌に
よると、同政権はギリシャ離脱への対処は可能と判断しており、世
論調査が示すようにSYRIZAが勝利した場合、離脱は不可避だ
とみている。
更新日時: 2015/01/05 06:41 JST
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ドイツ政府、ギリシャのユーロ離脱容認か? 独紙が報道
2015.1.4 17:01   
 独有力誌シュピーゲル(電子版)は3日、債務危機に陥り政治的
混乱が続くギリシャについて、必要な場合はユーロ圏からの離脱を
独政府が容認する方針だと報じた。独政府筋の話として伝えた。
 ギリシャは欧州連合(EU)主導の緊縮策継続の可否を争点にし
た総選挙を25日に行う。世論調査では、緊縮路線の見直しを唱え
る最大野党の急進左派連合(SYRIZA)が首位に立ち、欧州市
場への影響が懸念されている。
 独はギリシャの有力支援国だが、SYRIZAが勝利して緊縮路
線を見直した場合、ギリシャのユーロ圏からの離脱は避けられない
との見方が強い。ギリシャの離脱によるユーロ圏への影響について
、メルケル独首相とショイブレ独財務相は「限定的」との見方で一
致しているという。(ベルリン 共同)
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ギリシャ、年内に大統領選出できなければ1月総選挙へ=首相
2014年 12月 12日 01:19 JST
[アテネ 11日 ロイター] - ギリシャのサマラス首相は11日
、議会が今月中に大統領を選出できない場合は議会を解散し、1月
に総選挙を実施すると表明するとともに、危機的状況を回避するた
めに政府が擁立する大統領候補を支持するよう議員らに呼び掛けた。
首相は自身が率いる新民主主義党の議員らに対し、「われわれは全
員、今後数日間の行動で判断されることになる」と指摘。「人々は
選挙を望んでいない」と強調した。
首相は、大統領が選出されれば、欧州連合(EU)などによる金融
支援に関する残りの審査が完了し、欧州諸国に対して支援融資の返
済条件の緩和を要請し、金融支援脱却後の予備的信用枠の設定に向
け署名することが可能になると説明した。
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ギリシャ総選挙とユーロ危機の再来
ユーロ圏の最も弱い環は「有権者」だ
2014.12.31(水)  Financial Times
(2014年12月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ユーロ危機が再燃している。ギリシャで来月実施されることになっ
た総選挙と、恐らくそこで見られる極左政党の急進左派連合(SYRIZA
)の勝利に、政治家と投資家は怯えることになるだろう。
 そしてデフォルト(債務不履行)から銀行取り付け、救済策、社
会不安、下手をすればギリシャのユーロ圏離脱にもつながりかねな
い恐ろしい展開について、憂鬱な議論を再び続けることになるのだ
ろう。
 ユーロ危機は基本的に終結したと市場が思っていた年の最後にな
って今回の危機が勃発するというこの流れは、何となくしっくりく
る。
ギリシャ情勢が物語る市場の見方の甘さ
 ユーロを救うためには「何でもやる」という欧州中央銀行(ECB)
の有名な約束によりユーロ崩壊のリスクは取り除かれたとの見方が
市場には広まっており、それを反映して欧州の債務国の借り入れコ
ストは急低下していた。
 ギリシャの情勢が今まさに物語っているように、この見方は甘か
った。この見方の最も弱い環は、欧州の政治だった。具体的に言う
なら、有権者が経済の緊縮政策に反発し、ユーロを維持する方法に
ついての欧州の合意を拒絶する「反システム」政党に1票を投じるリ
スクもそうだった。
 もしこの合意が崩れれば、債務、救済、そして緊縮政策から成る
デリケートな、それこそトランプの家のように脆い構造全体がぐら
つき始める。ギリシャで今起こっているのはそういうことだ。
 ユーロ危機はずっと、政治、市場、経済という3要素の相互作用を
伴いながら進展してきた。事態が改善している時には、この3要素が
好循環を作り出す可能性がある。有権者が主流派の政治家を選挙で
選び、市場が落ち着きを取り戻して金利が低下し、実体経済も改善
して政治の中心にいる人々の立場を強めるという好循環だ。
 逆に、悪循環も生じ得る。経済的な苦境が急進的な政治勢力の台
頭を招き、市場がこれに動揺して金利が上昇し、債務の負担が重く
なって緊縮政策が強化され、これが政治のさらなる急進化につなが
るというパターンだ。
 ギリシャで好循環が生じることを期待していた人々は、2014年に
なって経済成長率がついにプラスに転じたことを指摘していた。た
だ困ったことに、この成長はあまりにも遅く弱々しいため、この国
の現状に対する人々の苦悩を和らげるには至っていない。
 ギリシャ経済は危機が始まってから25%以上縮小しており、若者
の失業率は50%を超えている。しかも、国の債務残高の対国内総生
産(GDP)比は、危機が始まった時よりも大幅に高まっている。この
ような状況では、反システム政党が台頭するのも分からないではな
い。
欧州各国で勢力伸ばす急進主義的な政党
 相変わらずギリシャは極端な例だが、ユーロ圏に似たような国が
全くないわけではない。ほかの主要国でも、緊縮政策は急進主義的
な政党の台頭につながっている。
 スペインでは現在、ギリシャのSYRIZAと同様なイデオロギーを掲
げる左派政党のポデモスが世論調査で最も高い支持率を得ている。
フランスでは、今年5月の欧州議会選挙で極右の国民戦線(FN)が最
も多く票を集めた。
 イタリアでは、マッテオ・レンツィ首相率いる改革派の政権の失
敗を、極右政党と極左政党の両方が手ぐすね引いて待っている。
 反システム政党の台頭はユーロの存続を脅かしている。ユーロと
いう単一通貨は、これを導入した18カ国の間で親ユーロの合意が維
持されることに依存しているからだ。
 ブリュッセルで毎度開かれる「緊急サミット」に出席する首脳が
全員、ユーロのプロジェクトの推進を基本的に約束している限り、
これまでの経験から言えば、ユーロ存続の道が見いだされることに
なるだろう。
 理屈を言うなら、ギリシャのSYRIZAがこの合意を破ることはない。
この急進主義的な政党は、ギリシャをユーロ圏内にとどめるつもり
だと話している。
 問題は、彼らがギリシャの対外債務の約半分を帳消しにしたがっ
ていることだ。これはほかのユーロ圏諸国、とりわけドイツにとっ
ては、恐らく受け入れられない要求だろう。
 本質的にはギリシャは債務を返済できない状況にあるというSYRIZA
の言い分は、その通りかもしれない。
SYRIZAへの譲歩を警戒するドイツ
 しかし、ドイツのアンゲラ・メルケル首相がドイツの有権者を説
得し、ギリシャ支援を継続できるようにするためには、「extend and pretend」
の政策、すなわち最終的には全額が返済されるとみせかけながら債
務の期限を延長するという政策が必要不可欠だった。
 もし今、ギリシャへの融資が全額返済されることはないなどとド
イツの有権者に告げれば、ドイツの有権者たちも急進主義的な政党
の支持に回る恐れがある。ドイツで現在台頭しているのは極左では
なく、反ユーロの立場を取る極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)
」だ。
 また、ドイツがSYRIZAへの譲歩を非常に警戒していることについ
ては、対外的な理由もある。ドイツには、ギリシャへの融資を帳消
しにする余力はあるかもしれないが、これをいったん認めてしまう
と、イタリアやポルトガル、アイルランド、スペイン、さらにはフ
ランスにまで、同様な要求をする機会を与えてしまうことになるの
だ。
 ユーロ圏で大惨事が起きる可能性があることは、非常に容易に理
解できる。では、何がどうなればそれを回避できる可能性が出てく
るのだろうか。シナリオは主に2つ考えられる。
どうすれば大惨事を回避できるのか
 第1に、ギリシャの有権者がおじけづく可能性がある。SYRIZAの支
持率は主流派の政党のそれをまだ上回っているが、その差はここ数
日縮小しており、来年1月25日の投票日までにさらに小さくなるかも
しれない。
 もしそうなれば、中道政党が団結して反システム政党を締め出す
こともできるようになるだろう。このパターンは、欧州でかなり普
通に見られるようになりつつある。
 第2に、仮にSYRIZAが政権を取っても、債務デフォルトの深淵を一
度のぞき込めば、要求を弱める可能性がある。空っぽの国庫ほど、
人の目を覚ましてくれるものはない。またドイツも、ギリシャのユ
ーロ離脱が大混乱を引き起こす可能性を考慮して、さらに譲歩する
かもしれない。
 市場は現在、複雑な妥協が成立すると見ているようだ。確かに、
最近の歴史はそうなることを示唆している。しかし、ユーロを巡る
物語はまだ展開している最中だ。それに、ハッピーエンドが保証さ
れているとはとても言えない。
By Gideon Rachman
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ギリシャ大統領選挙の仕組み
今年10月のコラム記事でもお伝えした≪ギリシャ大統領選挙、前倒
しの可能性≫。どうやら、それが本当におきてしまったようです。
その時のコラム記事に載せた【ギリシャ大統領選の仕組み】をもう
一度確認すると、
2015年3月に任期切れとなるパプリアス大統領の後任選出選挙、本来
であれば2015年2月に予定されていたものですが、いきなりクリスマ
ス間近の今、実施の運びとなっています。
ギリシャ大統領選のポイントは、3回目の投票で180票を獲得出来な
ければ、そのまま議会解散 ⇒ 前倒し総選挙 という選択肢しか
ない点でしょう。
■ギリシャ大統領選挙の日程
第一回目投票日は、12月17日
与党候補議員が200票以上獲得できなければ、2回目、3回目と投票が
続きます。
2回目投票日: 12月23日
3回目投票日: 12月29日
3回目で与党選出の大統領候補者が180票を集められなければ、10日
以内に解散総選挙という運びです。
この政治的不透明感を嫌気したギリシャ市場は、大きく下落してい
ます。特に今週火曜日の下落率は激しく、ギリシャ株式指数は株式
市場開始以来最大の13%下落を記録しています。これは、2009年か
ら始まったギリシャ債務危機当時よりも大きな下げ幅。そして、今
週月曜日から木曜日の下げ幅は20%となっています。この下げ幅を
見ても、投資家が投票を前に投売りしているのが、わかります。
英国のFT紙も、一面の6割くらいをさいて、大統領選についての報道
をしていました。

各政党の支持率
一番最新の世論調査によると、ギリシャ各政党の支持率は、
1位: 急進左派同盟(SYRIZA)?????28.6%
2位: 新民主主義党(ND) ???????25.5%
3位: 全ギリシャ社会主義運動(PASOK) ?5.5%
となっており、SYRIZAの支持率が、サマラス首相率いるND党を3%ほ
ど抜いています。

3ヶ月ほど前に、SYRIZA:ツィプラス党首が行った演説
ギリシャ国債のヘアーカット
ギリシャ世帯に対する電気・ガス代の無料化
無料医療制度の復活
年金基金、130億ユーロの積み増し
最低賃金50%アップ
ECBによるギリシャ国債の直接買い取り ⇒ 社会保障の充実に向け
、国債発行が急増する。そうなると、国債利回りが高騰するので、
それを防ぐためECBにギリシャ国債を直接買い取り、利回りの安定を
保証して欲しい
富裕層に対する増税
雇用創出プログラム ⇒ 財源は欧州委員会が受け持つ
個人の銀行債務の帳消し



Greece's Political Crisis Might Force It Out Of The Euro

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