5236.2015年以降を予測する



有料版の皆様、あけましておめでとうございます。元日の無料版に
「5236.2015年以降を予測する」を書いたが、その続きで
ある。  津田より

0.有識者の2015年の予測を見ると
正月のテレビNHK番組「ニッポンのジレンマ:日本の大転換」1975年
以降生まれの人たちによる討論会は、面白い。思想史の先崎さんは
、何かを変えるには、その国民の根本にある思想をもう1度振り返
り、立ち止まり、考えないとビジョンが生まれないという。それを
受けて、古い体制を終わらせることではなく、各自が新しいことを
少しづつ生むことであり、それが積もって、新しい時代になると、
古市さんは、まとめた。

女性の問題では、フェミニストが女性の権利獲得として活動すると
実現できないが、保守のおじいさんが納得する論理でいくと少子高
齢化の問題で女性の権利が獲得できると女性政治学者三浦さんは、
いう。

現在、高齢者の力が強くて、会社でも新しいことがなかなか受け入
れてもらえないし、コンプライアンスが厳しいので、変なことがで
きなくなっていると、サラリーマンの女性が言う。現在、インター
ネットという道具があるのに、会社員は意見が言えなくなってきて
いるようである。

猪子さんが、社会構造には、グローバルに活躍する人、小さいコミ
ニッティで活躍する人がいるとしたが、これに対して、多くはコモ
ディティで何も特徴がない人達であると三浦さんは付け加えた。

この番組で分かることは、社会は老人層が動かしていて、大きく動
かないことと、そして、猪子さんが指摘する人口減少や若者の生命
力が落ちていることで、日本が急激な衰退が起こり得ると三浦さん
が指摘した。

それと同じ評論が「5237.少しでも豊かな後退戦」や「523
8.日本衰退で何が起きる」など、多くの人たちが同じような日本
衰退を言っている。

なぜ、そのような社会になってしまうと皆が感じているのかという
と、人口減少が急激に起こり、それが日本企業にも分かり、日本市
場から世界に出ていくことになっているからある。

ネットを見ると日本企業が再度、日本に回帰するという発言がある
が、日本市場が縮小して、かつ円安でも東南アジアに比べても労働
賃金が数倍も高い日本に戻るはずはないと企業経営者的目線では見
える。

しかし、安倍首相は、その人口減少に女性労働力を増加させて、か
つ少子化に対しては、子供を産ませようとしている。これも感覚的
にも無理がある。

外資で働く女性が若くて高級管理職なっている家の子を面倒見てい
る妻に聞くと、高学歴の女性管理職は大変である。妻は深夜12時
まで子供の面倒を見ていることがある。これ以上、この女性管理職
が子供を産めないと妻は見ている。子どもの病気でも大変である。
この家を妻など数名で毎日子供の面倒を見ているが、いつも帰宅が
深夜だそうである。ご主人がたまに、夜9時頃帰ってくることがあ
るので、その時は家に早く帰ってくる。このような実態では女性管
理職を増やして、その上に子供を複数人を産んで欲しいとはできな
いはずである。専業主婦の方が子供を作りやすいと思う。

もう1つが、定年退職者が増加して、年金生活に入る人たちが増え
、その代わりに非正規雇用を増している。定年退職者の会社での給
与は700万円以上であり、その代わりに非正規雇用者は350万
円以下になる。また、退職者が年金で貰う給付は年300万円程度
であり、人口減少に加え、労働力減少と給与全体が下がることで、
消費が下がることになる。

この人口減少による消費減少をアベノミクス政策は、特に量的緩和
によるインフレ期待により、止められるとしていたが、どうも無理
であることが2014年の経緯では分かったと思う。人口減少で、
郊外の住宅価格が下がり、東京駅まで60分である君津当たりでの
中古一軒家が500万円以下まで落ちている。

この日本の撤退戦をどうするのかを見つめる必要がある。労働力を
増加させるために、移民政策を取るのか、未婚の女性でも子供を産
めば、食べて行ける社会を作り、子供が望めば大学まで学費は無償
にするなどフランスなどが行った政策を行うのか、それとも、この
まま、撤退して急激な衰退が起こすのか、選択しないといけない時
期になっている。しかし、「ニッポンのジレンマ:日本の大転換」
を見ても、危機意識が若者にもないようである。

老人層は100年後の日本は知らないいので、ここ十数年の間しか
視野にない。撤退戦で犠牲になるのは、現時点の中堅、若者である。

1.海外の状況を見ると
2015年の予測をみると、米国は景気回復で、今年の早くて6月
にも金利を上げる決断をすると見られている。石油価格が落ちて、
米国石油会社は大きな負債があるが、それより石油の価格低下が消
費を活性化して、米国景気全体では大きなフラスになるというのだ。

もう1つが、金利上昇でドルが高値になり、世界から投資資金が米
国に集まることになり、米国経済は上向く。これにより日本やEU
にとっても良い。とナショナル・レビュー誌「Optimism for 2015」
やNHKの米国予想の部分でも同じような見解になっている。

ということで、米国は景気が上向き、新興国はドルの巻戻りが起こ
り、少し景気が落ちる可能性があり、資源国は、中国の景気が落ち
て、落ちる方向である。ロシアやイラン、ベネズエラなどは石油価
格が暴落しているので、大変な年になる。

2.日本の状況は
そして、宮崎正弘氏は、日本の今年の見通しを言っている。
昨年後半から円安と原油下落というダブルの幸運に恵まれ、輸出競
争力の回復は企業業績を高めるから正規雇用が増えるだろう。問題
は非生産部門に予算の多くが振り向けられ、拡大再生産に繋がらな
いこと。福祉厚生方面が防衛費より多いという奇観をいかに是正す
るかである。
ともかく原油安により電力代金が下落するうえに原発の再稼働が見
込まれるから不安材料は多層に減少する。円安により国内回帰の企
業もようやく目立ちはじめ、経済の本格回復が望めるのが2015
年後半の展望である。

この見方を企業もしているようである。
フジサンケイビジネスアイが主要企業122社を対象に実施したア
ンケートで、2015年の国内景気が上向くと予想する企業が8割
を超え、消費税増税による景気低迷から脱しつつあることが分かっ
た。安倍晋三政権による再増税の1年半延期については40%が評
価するとしたが、17年4月には予定通り再増税すべきだと回答し
た企業が67%だった。

2015年は、とりあえず楽観的な見方が多いようである。

しかし、日本の撤退戦は続き、衰退を起こしている原因は継続する
ので、衰退の原因に直接的な手を打たないと、いつかは急激な衰退
をすることになる。この急激な衰退が今年ではないことを祈りしか
ないですね。

3.日本の使命
私は、急激な衰退を予感させる事件が、2015年の間に起こるよ
うな気がする。国民の目を覚まさせる必要がある。日本人がよって
立つ使命を自覚させる事が起きると見る。

そろそろ、我々が化石燃料から離脱して、新しい社会に向かわない
と温暖化が進み、そして災害が増え海面は上昇して、海岸線に面し
た都市は沈没することになるし、重大な災害を起こすことになる。

水素社会に向けて、強く走る必要があり、その進みを早めていくこ
とである。今後、100年を見ると、この水素エネルギー社会にな
ることは確実であり、燃料電池車への期待は大きい。

この水素社会にするためには、水素を作り、運び、そして蓄積し、
電気エネルギーに変換することが必要である。この迅速が普及をし
て、世界的な市場を開拓することが必要になる。

もう1つが、木からの石油化学製品代替を生み出すことである。プ
ラスチックの代わりにセルロースナノファイバーなどを製品化して
行く事に尽きる。この燃料革命が成功すれば、日本は再度、経済大
国となり、世界から労働者が来たい国になる。

それと輸出ができるものができて、日本が再復活することになる。
その出発の年になると見ている。

さあ、どうなりますか?



参考資料:
5236.2015年以降を予測する
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270101.htm

5237.少しでも豊かな後退戦
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270102.htm

5238.日本衰退で何が起きる
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270103.htm

Optimism for 2015
http://www.nationalreview.com/article/395647/optimism-2015-larry-kudlow?utm_campaign=trueAnthem:+Trending+Content&utm_content=dc6BzF&utm_medium=trueAnthem&utm_source=twitter#

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クルーグマン教授の御託宣は「アベノミクスは半分うまく行ってい
る」
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2015年1月4日no.4430
 しかし「女性進出」と「構造改革」がカギというのはいただけま
せんが。。。
 日本という巨大市場はアメリカ人学者にとってまだまだ稼ぎにな
るらしい。
 日本を褒めそやしたエズラ・ヴォーゲルも『ジャパン・アズ・ナ
ンバーワン』でしこたま稼ぎだしてから、日本がバブル崩壊におそ
われ、以後、「失われた二十年」になるや、突如中国派に転向した
(トウ小平をほめあげて、中国から賞賛された)。
 フランス人経済学者トマ・ピケティという新人論客が、このとこ
ろ大流行だが、左翼エリートの机上の空論に近い。人口学者のニア
ル・ファーガソンのほうがまだ面白いというのが筆者の意見だが、
さて。
 ノーベル経済学賞のクルーグマン、昨年11月に日本に講演に来
たおり、安倍首相とも会談し、アベノミクスはこうするとうまくい
くなどと『講義』をしたらしい。そのことを彼自身が自慢げに書い
ている。
 カギは「円安」はともかくとして、「女性進出」と「構造改革」
であるというが、日本のことをよく知らないで流行の議論を追って
いるだけという印象だ。
 14年10月31日付けのニューヨークタイムズに寄稿したクル
ーグマンは「日本に誤ります」と題をつけた(APOLOGIZI
NG JAPAN)。
そのなかで、氏は『流動性の罠』を説明し、従来日本に対して声高
に金融緩和をぶったものだったが、「われわれには日本を痛烈に批
判する資格なぞなかった」と気味悪いほどに反省気味であり、謝罪
したいと比喩した。
 クルーグマンは消費税導入の延期を評価し、これでアベノミクス
が成功すれば、世界のモデルになりうるだろうとして次のように続
けた。
「黒田バズーカは『大歓迎』であり、じつはもっと大胆にやれ」
でなければ「いまは空母から発艦するジェット戦闘機がブレーキを
かけている状態」であり、それじゃ墜落してしまう。「デフレ脱出
には『脱出速度』が必要なのだ」と力説するのである。
「黒田バズーカ」程度では脱出速度ではないというわけだ。
 黒田日銀総裁はインフレ目標を2%と言っているが、もし2%を
実質的に達成するとすれば目標は4%にするべきで、これは「臆病
の罠」(『流動性の罠』に対比させての比喩)である、とクルーグ
マンの応援歌も幾分変形を帯びてきた。
 そしてクルーグマン教祖はこうつづける。
 「確かに量的、質的金融緩和の効果はでている。しかし需要が弱
く、構造改革をすぐにでも実行しない限り難しい」
  ▼アベノミクスが軌道にのるか、どうかは「円安」、「原油安
」というダブルチャンスを活かすことにある
 構造改革というのはアメリカの要求する改革、規制緩和に応じろ
という意味であり、黒田は国債の無制限買い上げばかりか、円安の
防衛にも積極的であるように見える。だが、円安の効果は一年か一
年半先でないと現れず、上半期に企業業績があがっても株価は精々
が二万二〇〇〇円であろう。事実、日本経済新聞の財界、エコノミ
スト等数十人の予測アンケートをみても、最高予測額は22000
円であり、いま現場の声を、日本経済の再生にまだ時間が必要と考
えていることが分かる(同紙、2015年1月3日)。
 とはいうものの大企業の国内回帰が目立ちはじめた。
安倍首相は『週刊文春』の新年号で櫻井よしこ氏と対談しているが
、東芝を例に挙げて、大工場が日本にもどってきたことを力説して
いるほどである。
 しかし昨年十月頃からアベノミクスの腰折れが明確になった。
 日本経済はアベノミクスの下、順調に回復する筈だったのにGDP
速報は意外にもマイナスを示した。
 2014年第四四半期がマイナス1%前後というのは意外な結果
である。巷間の不況、賃金の値下がりと株価高騰という矛盾が同時
におこるというアベノミクスのパラドックス現象が起きていたのだ。
 これは消費税と原油高騰のため消費が伸びない上、エネルギー代
金が値上げとなって実質賃金が下がったからだ。
 それはタクシーと居酒屋の不況を観察すれば分かる。日本経済は
あやうく頓挫しかけていたのである。
 この回避策として日銀の「黒田バズーカ」は一時的効果をあげた
が、殆どがファンド筋に吸い上げられ円キャリとなって消えたため
毀誉褒貶が大きい。
ところが昨年後半から円安と原油下落というダブルの幸運に恵まれ
、輸出競争力の回復は企業業績を高めるから正規雇用が増えるだろ
う。問題は非生産部門に予算の多くが振り向けられ、拡大再生産に
繋がらないこと。福祉厚生方面が防衛費より多いという奇観をいか
に是正するかである。
 ともかく原油安により電力代金が下落するうえに原発の再稼働が
見込まれるから不安材料は多層に減少する。
円安により国内回帰の企業もようやく目立ちはじめ、経済の本格回
復が望めるのが2015年後半の展望である。
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成長戦略は2015年に加速するのか
永濱 利廣
2014年12月26日(金)nikkeibp
 わが国経済は、2014年4月の消費税率引き上げ以降、順調な成長と
はいい難い状況が続いてきた。一方、6月には新たな成長戦略が打ち
出され、その後の株価が失望売りとならなかった反応が示すとおり
、市場からも一定の評価を受けた。ただ、その全ての項目が評価さ
れているわけではなく、踏み込み不足の分野があるのも事実である
。そこで本稿では、まず2014年の経済の簡単な総括をし、2015年の
日本の成長戦略を展望してみたい。
好循環が遮断された1年
 まず、2014年を簡単に総括すると、消費税率引き上げの影響は当
初の想定以上に大きかったと評価できよう。市場は消費税率引き上
げ直後の4〜6月期経済成長率を当初は前回引き上げ時の1997年度と
同程度の年率マイナス4%程度と見込んでいたが、結果的に年率マイ
ナス7%以上の落ち込みを示した。
 さらに翌7〜9月期の経済成長率を見ても、2次速報段階で同マイナ
ス1.9%と予想外に2四半期連続のマイナス成長となっており、結果
的に2015年10月からの消費税率再引き上げを断念せざるを得ない状
況に追い込まれた。
 こうした予想以上の国内最終需要の落ち込みにより、わが国の鉱
工業は今年2月から8月まで在庫調整を続けた。正式な認定は1年以上
遅れるが、景気動向指数を基に機械的に判定すれば、わが国経済は
今年2月から景気後退局面入りした可能性が高く、10〜12月期以降の
経済成長率の戻り次第では、2014年度は東日本大震災のあった2011
年度以来3年ぶりのマイナス成長になる可能性が高まっている。
 一方、安倍政権はアベノミクスの好循環により、昨年は22年ぶり
に女性就業者数の増加と今年は15年ぶりの賃上げ率を実現した。こ
れにより、名目雇用者報酬の上昇率も今年は14年ぶりの水準に高ま
っている。しかし、消費税率引き上げ以降の消費者物価を見ると、
帰属家賃を除いたベースで賃金を上回る4%の上昇となっており、う
ち2%分が消費税率引き上げによるものである。これにより、消費税
率引き上げ部分を除いた実質雇用者報酬は増加しているが、3%の消
費税率の引き上げ分も含めた実質雇用者報酬がマイナスに陥る状況
となっている。
 2014年の景気を総括すれば、アベノミクスによる好循環で近年稀
に見る雇用者報酬の増加が実現したが、3%の消費税率引き上げによ
りそれを上回る物価上昇が生じ、結果的に昨年度から続いてきた好
循環が遮断された1年間だったと総括できよう。
選挙結果が政策に及ぼす影響
 こうした中、12月14日に行われた総選挙では、事前に行われた報
道各社の調査通り、与党が大勝する結果となった。特に自民党は300
議席を下回ったものの、絶対安定多数、すなわちすべての常任委員
会の委員長ポストを独占し、常任委員会の委員の過半数を確保でき
る議席を単独で確保したことになる。また与党で3分の2、すなわち
参議院で否決されても衆議院で再採決したうえで通過させるのに必
要な議席を確保したことからすれば、今回の衆院選をきっかけに安
倍政権が盤石な政治基盤を確立したといえよう。
 実体経済への影響としても、アベノミクスの推進が期待できる。
まず、第一の矢である大胆な金融緩和は円安の副作用が指摘された
が、与党が大幅に議席を増やしたことから、来年3月と6月に控える
日銀審議委員の任命も含めて、日銀はさらなる金融緩和を実施しや
すくなったと判断できる。
 また、第二の矢である機動的な財政政策については、選挙前に米
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスから日本国債
の格下げ判断を受ける一方で、景気悪化に伴い党内から今年度の補
正予算の規模を積み増す声も出ていた。しかし、自民党は2015年度
の基礎的財政収支のGDP(国内総生産)比を2010年度対比で半減させ
ることを選挙公約にしていたことからすれば、今年度の補正予算は
子供・子育て支援制度や法人税率引き下げを除けば、当初の報道通
り3兆円程度の範囲内に収まる可能性が高まったといえよう。
 第三の矢である民間投資を促す成長戦略については、解散総選挙
の実施により短期的には進捗が遅れたと判断せざるを得ない。しか
し、今後の政治日程を踏まえれば、来年4月に統一地方選挙、同9月
に自民党総裁選、2016年夏には参院選と選挙が目白押しである。従
って、少なくとも2016年夏までは経済重視で政策運営が進む可能性
が高い。
 成長戦略の面では、TPP(環太平洋経済連携協定)や特区、女性の
活躍推進、外国人受け入れ、雇用改革、観光などを中心に進展が期
待される。あえてリスクを挙げるとすれば、与党の政治基盤が盤石
になる中で、集団的自衛権や憲法改正など安全保障面の優先度が高
まり、成長戦略が後手に回ることであろう。
期待される成長戦略の進捗
 特に、成長戦略こと「日本再興戦略」改訂版の実弾については徐
々に発動が期待される。この「日本再興戦略」は、「日本の稼ぐ力
を取り戻す」「担い手を生み出す」「岩盤規制の改革」「その他」
に大きく分類することができる。
 まず、「日本の稼ぐ力を取り戻す」で期待されるのが「法人税率
の引き下げ」である。具体的には2015年度から数年かけて現在の35.64%
から20%台に引き下げることが打ち出されており、これによる経済
活性化が期待される。しかし、注目すべき点は財源捻出の行方であ
ろう。財務省の要求通りにレベニューニュートラルにしてしまうと
、実質的な法人減税の効果が相殺されてしまう。このため、いかに
実質法人減税となる範囲内での財源の捻出にとどまるかがポイント
となろう。
 また、「政労使会議の継続」も期待される。2014年度に実現した
実に15年ぶりの賃上げ率は政府の賃上げ要請が大きく寄与している
。従って、2015年度の賃金についても政府の賃上げ要請が大きくカ
ギを握ろう。
 一方、「担い手を生み出す」では、さらなる議論の進展が期待さ
れる。今回の成長戦略では、日本政府として初めて50年後も1億人を
維持するという人口目標が打ち出され、一定の評価を受けた。ただ
、人口維持の具体策が欠けていることは否めない。
 学童保育の充実や配偶者控除の見直しなどにより女性の労働力率
を高めることで労働力人口の減少を一時的に食い止めることができ
るが、それにも限度がある。一方で、外国人材の活用も打ち出され
た、安倍政権では今のところ移民受け入れには否定的だが、人口1億
人を物理的に維持するためには、将来的な移民受け入れの議論は避
けて通れないだろう。
 また、「岩盤規制の改革」では、「雇用」と「農業」分野で踏み
込み不足が目立つ。「雇用」では、時間でなく成果で評価される制
度への改革が打ち出されたが、現状では年収1000万円以上の専門職
に限られているため、さらなる枠の拡大が必要だ。それ以上に、日
本の構造改革の象徴として注目されているのが「正社員の解雇ルー
ルの明確化」である。ただ、この点については「海外事例を調査す
る」にとどまっているため、さらなる踏み込みが求められる。
 一方の「農業」では、JA(農協)改革に向けて前進したことが大
いに評価される。ただ、日本の農業がオランダのような成長産業に
転じるためには、優良企業が自由に農業に参入できる環境が不可欠
である。しかし、この点については「企業の農地取得の自由化は5年
後に検討する」との踏み込みにとどまっている。次の成長戦略の改
定の際には、地方創生を実現させるためにも、農地法改正の分野で
より大胆な踏み込みが不可欠である。
 その他、地方創生で重要な分野としては「エネルギー」と「観光
」が挙げられる。特にエネルギー消費の比重が高い地方では、エネ
ルギーコストの抑制は喫緊の課題である。既に打ち出されているエ
ネルギーのベストミックス推進や化石燃料コストの抑制、発送電分
離・電力自由化、地方の優位性の高い再生可能エネルギーの推進な
どの一刻も早い進捗が求められる。
 また観光については、人口2.5億人のインドネシアをはじめとした
東南アジア諸国における観光ビザの発給要件緩和の方針が打ち出さ
れている。今後は人口12億人を抱えるインドをはじめ、さらなる地
域で要件の緩和が拡充されることが期待される。
賃上げ明確化ならデフレ脱却に道筋
 今後のスケジュールとしては、年末から年明けにかけて策定が予
定されている経済対策や税制改正の内容も来年の景気を占ううえで
は重要だ。来年4月の統一地方選を踏まえれば、地域活性化が重視さ
れることになろう。さらに来春の春闘において、政労使会合で確認
された賃上げへの方向性が明確化してくれば、原油価格下落の神風
もあり、来年度は実質賃金上昇に伴うデフレ脱却の実現可能性が高
まることが期待される。そうした中で、あえて重要な課題を上げる
とすれば、政権基盤が強いうちにいかに移民や正社員解雇ルールの
明確化、農地法改正、社会保障改革に道筋をつけるかであろう。
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15年景気「上向く」8割超、67%が再増税必要 主要122社
アンケート 
2015.1.3 07:36  sankeibiz 
 フジサンケイビジネスアイが主要企業122社を対象に実施した
アンケートで、2015年の国内景気が上向くと予想する企業が8
割を超え、消費税増税による景気低迷から脱しつつあることが分か
った。安倍晋三政権による再増税の1年半延期については40%が
評価するとしたが、17年4月には予定通り再増税すべきだと回答
した企業が67%だった。
 15年の景気について「改善」と予想した企業は16%。「やや
改善」の68%を含めると計84%の企業が景気好転を予想した。
「(昨年4月の消費税増税の)駆け込み需要の反動減はやわらぎ、
個人消費が回復する」(不動産)、「日銀の大規模な金融緩和の(
円安・株高)効果が景気を下支えする」(金融)、「世界経済の持
ち直し」(商社)などで企業や消費者の心理は上向きつつあるとい
う。衆院選の与党大勝で「政権が安定する」(電機)ことが景気に
も好影響を与えるとの声も。
 昨年末の原油安で世界の金融市場は動揺し、円安・株高に歯止め
がかかる局面もみられたが、企業からは「景気を下支えする」(エ
ネルギー)など歓迎する声が多かった。
 これに対し、15年の景気が「やや悪化」と回答したのは1社の
み。「円安による物価上昇に賃金の上昇が追いつかない」と実質賃
金の低下を懸念した。
 一方、消費税率を10%に引き上げる再増税の1年半先送りを「
評価する」と回答した企業(40%)からは「景気後退を避けられ
た」(金融)、「14年7〜9月期の国内総生産(GDP)マイナ
ス成長などを考慮するとやむを得ない」(食品)との声が上がった。
 昨年は円安効果で訪日外国人旅行者が初めて1300万人を超え
、特需に沸いた運輸・旅行業界も「個人消費回復の後押し要因にな
る」と日本人旅行者のマインド改善も期待する。
 ただ、17年4月の再増税については「もっと税率を上げるべき
だ」と「やるべきだ」を合わせると67%。「社会保障制度のため
の安定財源確保」(保険)や「将来的にはさらなる税率アップが避
けられない」(自動車)などの意見が多かった。背景には、財政規
律が保てなくなれば、日本国債の金利急騰(価格急落)を招くとの
懸念もあるようだ。しかし、「柔軟に考えるべきだ」と「引き上げ
るべきではない」も計17%。価格競争の厳しい小売業を中心に“
慎重派”が多い。アンケートは、衆院選直後の12月中旬に実施し
た。
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中韓関係改善が焦点=進む日米安保協力−2015年外交展望
 2015年の日本外交で、安倍晋三首相は「近隣外交」に全力を
傾注する。戦後70年に当たり、中国、韓国は歴史認識問題で日本
へのけん制を強める可能性がある。米国との間では、日米防衛協力
の指針(ガイドライン)再改定や安全保障法制整備が予定され、安
保協力をめぐる節目の年となる。
 ◇「70年談話」で摩擦も
 日中関係は昨年11月、首相と習近平国家主席との首脳会談が実
現した。しかし、沖縄県・尖閣諸島をめぐる対立や、首相の靖国神
社参拝をはじめとする歴史認識の問題など懸案は残ったままだ。外
務省幹部は「日中はまだ脆弱(ぜいじゃく)で、傷つきやすい関係
だ」と分析している。
 このため、日本側は中国との対話を重ね、関係強化を図りたい考
え。中国との偶発的な衝突を回避するための「海上連絡メカニズム
」の早期運用開始に向け、防衛当局間の実務協議を1月にも始めた
い意向だ。
 国交正常化50年の日韓関係では、従軍慰安婦問題が両国間に横
たわる。首相と朴槿恵大統領による個別の首脳会談はいまだ実現し
ておらず、韓国が議長国を務める日中韓首脳会談に合わせた開催を
模索するが、見通しは立っていない。
 首相が戦後70年に際し発表する談話の内容次第では、中韓両国
の反発を招き歴史認識問題で摩擦が生じる可能性もある。
 ◇深化する日米同盟
 日米関係では、防衛協力が一層進む。今年前半に予定されるガイ
ドライン再改定は、自衛隊の活動について地理的制約をなくし米軍
支援を拡大。通常国会で首相は集団的自衛権の行使容認に向け、安
全保障法制整備にも取り組む。
 ただ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題では、昨
年11月の知事選で県内移設反対を掲げた翁長雄志氏が圧勝し、展
望は見通せないまま。日米両政府は同県名護市辺野古への移設を推
進する方針だが、再びこう着状態に陥る可能性もある。
 一方、環太平洋連携協定(TPP)の交渉をめぐっては、依然と
して日米間に溝がある。今春ごろまでの大筋合意を目指して、日米
両政府は交渉を加速させる考えだ。 
 ◇「地球儀外交」を継続
 「プーチン大統領との個人的な信頼関係を基礎に協力の幅を広げ
、北方領土問題の解決に向け、粘り強く交渉を続けていく」。先月
24日の記者会見で、首相は北方領土問題の解決に意欲を示した。
 ただ、プーチン大統領の訪日にはウクライナ問題が影を落とし、
具体的な時期は詰まっていない。首相は欧米各国と協調しつつ、ロ
シアとのパイプも維持する戦略を描く。2月にはロシアで外務次官
級協議開催を調整しており、岸田文雄外相や谷内正太郎国家安全保
障局長の訪ロの可能性もありそうだ。
 日本人拉致問題が未解決の北朝鮮に対しては、「対話と圧力」の
方針で今後も臨む。しかし、米映画会社へのサイバー攻撃で、米国
は北朝鮮に対し姿勢を硬化させており、日本が米朝対立の板挟みと
なることもあり得る。拉致被害者らをめぐる北朝鮮の再調査は昨年
7月に開始されたが、初回報告の見通しは立っていない。1年をめ
どとする調査期間内に、具体的な回答を引き出せるかが鍵となる。
 国連創設70周年でもある15年には、安全保障理事会の改革に
向けた取り組みを本格化させる。9月の総会をにらみ、常任理事国
入りを目指すドイツ、ブラジル、インドとの連携を強める考えだ。
 首相は16日から中東を歴訪。5月には、福島県いわき市で太平
洋・島サミットを開催するなど、「地球儀を俯瞰(ふかん)する外
交」を今年も展開する。(2015/01/02-14:21)



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