5233.2015年の米国経済



ニューヨーク・タイムズに「The Big Economic Unknowns of 2015, 
From Unemployment to Oil」ジョセフィン・ウォルファー氏の記事
があるが、米国の2015年経済は好調という感じである。それと、同
じことを村上 尚己氏も同様な意見である。リンクは最後

というより、村上さんが、ウォルファーの記事を見て書いたような
感じがする。

ウォルファーによると、2015年は失業率も現在の5.8%から
半分程度になるし、フルタイムの仕事が増えて、長期失業者も仕事
を得ることができるようになるという。また、FRBは金利を上げない。
経済成長は3%になる。

石油価格の下落は、税金のカットと同じで景気に良い影響を及ぼす。

しかし、何かのショックが起こり得る。その準備をしておくことは
必要であるとは言う。

もし、米国経済は好調であるなら、日本もその影響が及び、輸出が
好調になり、経済には良いことになる。この前提であると、村上さ
んの日本経済も好調という意見もうなずける。

本当にそうなるかは、ウォルファーさんも言うように、ショックが
ないことが重要になる。しかし、世界にはいろいろなショックの種
があり、そうなるのであろうか?

さあ、どうなりますか?

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2015年予測、「米国経済は一段と加速する!」
日本株大幅上昇のカギは何か?
村上 尚己 :アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト
2014年12月29日TK
2014年は、2年連続で多くの日本の投資家が幅広くリターンを得られ
るマーケットだった。
「米国経済」+「2本目の第1の矢」が日本株を救った
まず秋口まで世界経済、金融市場を牽引したのは米国だ。FRB(米連
邦準備制度理事会)がマーケットとの丁寧な対話を重ねながら「テ
ーパリング」(量的緩和の縮小)を続ける中で、米経済は春先以降
、年率3%を超える高成長が続いた。米国が世界経済の安定成長を支
えたことで、日本を含め世界的に企業利益の拡大が続いた。
一方、日本経済は、安倍政権が民主党時代の前政権の負の遺産を引
き継いで消費増税に踏み切ってしまったことから、経済学の教科書
どおりに、個人消費中心に景気失速に見舞われた。ただ、「米国の
1人勝ち」が為替市場における大幅なドル高円安をもたらし、総需要
不足が続き脱デフレを目指す日本経済の強力な追い風になった。
6月にECB(欧州中央銀行)が追加利下げに踏み出したことで、金融
政策のスタンスの違いが先進国通貨の方向性を決する構図が強まり
、夏場以降ドル高が進んだ。さらには10月末の日銀による金融緩和
で円安ドル高が加速した。アベノミクスの第2の矢の「射間違い」を
、「2本目の第1の矢」がカバーしたことで、日本経済は持ちこたえ
ている。
消費増税の副作用によって世界の株式市場の中で出遅れを余儀なく
された日本株は、日銀の「バズーカ2」により大幅高を演じ、年末ま
でに米国株と遜色ないパフォーマンスを取り戻した。このため、日
本株、外貨建て資産いずれもインデックス連動資産に投資すること
で、良好なリターンを得られる状況となった。
こうした2014年の相場展開は、同年春に執筆した拙著「インフレ貧
乏にならないための資産防衛術」で想定していたとおりの展開だ。
同書では2012年末から発動したアベノミクスを、標準的な経済学的
思考に基づき肯定的に評価している。
性急な消費増税を「アベノミクスの弱み」とする一方、それで日本
株が停滞しても「投資家にとって投資チャンスになりうる」とした
。なぜなら日銀の金融政策が一番の鍵であり、「金融緩和強化が日
本株反転のきっかけになる」と考えたからだ。
また、為替市場については、1ドル100円台半ばが、ドル円の購買力
平価における均衡値であることを強調し、「米国経済の成長率の高
まりを背景に、FRBの量的緩和縮小がスムーズに進むと予想され、1
ドル110円台半ばまで円安ドル高が進む可能性がある」「(円安で)日
本の脱デフレは強力に後押しされるだろう」と予想した。一連の予
想はおおむね的中した。
2015年、米国経済は一段と加速する
では、2015年はどのような年になるか。世界経済の現状を俯瞰する
と、2014年と似たような環境が続くと思われる。FRBが丁寧に金融政
策の調整を模索する中で、米経済の堅調な回復が続く。2014年は米
国において緊縮財政が緩和したことが同国の成長を支えたが、2015
年は米政府の財政支出拡大が成長率を押し上げる可能性が高い。米
経済成長率は一段と加速すると予想する。
最も注目度が高い米国の金融政策については、労働市場の需給にお
いてスラック(ゆるみ)が残る中で、FRBが利上げを急ぐ、あるいは
断続的な利上げを行う可能性は低い。2014年10月以降は原油価格が
急落しているが、原油価格の低位安定が続くと見られ、インフレ期
待が抑制される中でFRBは余裕を持って金融政策の舵取りを行うこと
ができる。こうした経済政策運営が続く中で、米国主導で世界経済
の成長率は2015年にやや加速するだろう。
原油安は、先進国の交易条件を改善させ経済成長率を押し上げ、そ
してECBと日銀の金融緩和強化を後押しする。2014年に世界経済の足
を引っ張った欧州と日本の成長率は高まる余地が大きい。
特に注目されるのは、ECBがソブリン債の大量購入による量的緩和に
踏み出すかどうかである。ドイツ国債と周縁国国債の金利スプレッ
ド解消を試みるドラギ総裁の強い意志を反映し、強力な金融緩和導
入が実現すれば、欧州で2013年の日本のような復活が見られるかも
しれない。
こうした中で、2015年は米欧の金融政策の成否が、日本の投資家の
投資リターンを決定づけるだろう。そして、金融政策や地政学リス
クを巡るマーケットの心理の揺らぎを上手く利用することで、投資
リターンを高める余地が大きくなるのではないか。
なお、拙著では「消費増税を乗り越え、プラス2%のインフレ目標実
現が近づき、より確実にインフレが定着すれば、(途中省略)大幅な
株高が想定できる」と書いている。米欧経済や原油価格の下落とい
う外部環境、そして11月の安倍首相による消費増税先送りの決断に
よって、2015年におけるこのシナリオ実現も、かなり期待できるだ
ろう。


The Big Economic Unknowns of 2015, From Unemployment to Oil

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