5231.2015年予測記事では



原油下落がどう影響するかが焦点であろう。米経済の回復基調が継
続し、その動きをエンジンに世界経済が好回転している姿であれば
、日本も良い影響を受けて、2%程度の成長があると見ているよう
である。

また、円安がどこまで進むのかも焦点である。7日に電子取引でつ
けた7年半ぶりの1ドル=121.86円より円安になることは確
実である。どこまで下がるのか、130円という予想もある。

しかし、米シェールオイル企業が発行しているハイイールドボンド
の価格が下落し、ハイイールドボンド市場に動揺が走るリスクだ。
これにより、高値を追っている米株市場が一転して下げ基調になる
こともあり得る。さらに中国経済からも目が離せない。中国人民銀
による再利下げの観測が跡を絶たないのは、中国の内需が弱い証拠
でもある。というように世界経済は逆回転する可能性もある。

もう1つの焦点が、アベノミクスがどうなるのか?
量的緩和での円安が日本商品の輸出拡大に結びつかないという現実
から、次の現実的な政策に移行する必要がある。しかし、量的緩和
を止めることは、できない。もし止めると国債の突然の金利上昇と
いう事態が想定される。量的緩和を継続して、どう財政再建と経済
の建て直しを行うかである。

完全雇用状態での経済立て直しというのは、普通の考えでは無理筋
であるので、政府の公共投資などを止めて、1人当たりのGDPを高め
るしかないはずである。消費が減退するというのは、非正規労働が
多く、賃金が低いからであり、この賃金を強制ではなく、儲けを出
して自然に上げないといけない。このためには、労働の移動を促進
して、賃金の安い産業から高い産業にシフトさせることであるが、
それと地方創生とが矛盾することになる。都市産業の方が生産性が
高い。ここでも無理筋が出てくる。

また、日米関係を安定化させるには、反米的な感情を含む安倍首相
の周辺が陥っている感情的な「プチ・ナショナリズム症候群」から
脱却し、日本もアジアで影響力を最大化しつつ、米国を巻き込むと
いうストーリーが必要である。安倍首相周辺の反米的なナショナリ
ズムを米共和党の有力政治家からも懸念を表明されている。

日本がアジアでリーダーシップを発揮するには何が必要か。その鍵
は経済力よりも、むしろ理念性にあると寺島実郎はいうが、それに
賛成する。

日本は自然との共生という考え方を持ち、それが今ほど、世界が求
めている時はない。日本が、この面でリーダーシップを発揮して、
世界に理念を広めるしかないはずである。

といろいろな記事で見えるが、さあ、まだ、私はこの件では十分に
見て、まとめていないので、数日、これから先を見ようと思う。


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コラム:2015年の世界経済に2つのシナリオ、カギ握るBRICS
2014年 12月 26日 14:05 JST
田巻 一彦
[東京 26日 ロイター] - 2015年はどのような年になるの
か──。原油安のメリットを全面的に受けて、2%成長を達成する
というのが「良いシナリオ」だ。
一方、急激な原油安の衝撃や米利上げの波紋で新興市場が動揺し、
リスクオフ心理から世界的な株安に直面するのが「悪いシナリオ」
の典型だろう。
果たしてどちらのシナリオに傾くのか、カギはBRICSなどの新
興市場が握っていると指摘したい。
<良いシナリオ、原油安で2%成長>
まず、「良いシナリオ」から点検してみよう。原油安は輸入国であ
る日本にとっては、「減税効果」に匹敵するプラスのインパクトが
ある。1バレル=50ドル台の価格が続けば、国内総生産(GDP
)を0.7%程度押し上げるとの試算も一部の民間機関から出てい
る。
みずほ総合研究所は最近出したリポートの中で、1)円安・株高、
2)消費税延期を含めた財政効果、3)原油価格下落──を「トリ
プルメリット」と指摘。2014年度の成長率予想を11月予想時
点のマイナス0.4%から同0.6%に0.2ポイント下げたのに
比べ、15年度の下方修正幅は2.5%から2.4%に0.1ポイ
ントだけで、15年にかけて日本経済は予想以上に改善しやすい状
況にある、と分析している。
0.5%未満の潜在成長率の下で、2%台の成長が達成できれば、
「良いシナリオ」の名に恥じないパフォーマンスと言えるだろう。
このシナリオの前提になっているのは、米経済の回復基調が継続し
、その動きをエンジンに世界経済が好回転している姿だろう。
当然、米連邦準備理事会(FRB)は4月ないし6月の利上げに向
けて動き、日本にとってはドル高/円安と株高が、同時に実現して
いる可能性がある。
ただ、日銀にとっては、1つやっかいな問題が持ち上がる可能性も
ある。原油価格が50ドル台で推移した場合、一部の民間機関では
、15年4─6月期にも消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)
の前年比が、マイナスに転落していると予測しているからだ。
需給ギャップが大幅なプラスになっている下では、いずれ物価は上
昇することになる。しかし、短期的にコアCPIがゼロ近辺に低迷
、もしくはマイナスに転落した場合、期待インフレ率に影響を与え
るとみるのか、それとも中長期的にプラス基調に転じると楽観的に
見るのかは、大きな政策判断上の分かれ道になるだろう。
<悪いシナリオ、新興市場混乱でリスクオフに>
一方、悪いシナリオは、前週のコラム[ID:nL3N0U2183]でも指摘した
急激な原油安と米利上げを予期したマネーフローの急変によるリス
クオフ心理のまん延だ。
仮に一部の原油市場関係者の中でささやかれている1バレル=30
ドル台への下落が短期間で現実化した場合、いくつかの混乱が予想
される。
1つは、米シェールオイル企業が発行しているハイイールドボンド
の価格が下落し、ハイイールドボンド市場に動揺が走るリスクだ。
この動きが大きくなった場合、高値を追っている米株市場が一転し
て下げ基調になることもあり得る。
また、資源国通貨と株式が軒並み下落し始める現象が起きることも
、世界経済にとっては大きな脅威だ。足元でロシアのルーブルは、
ロシアの輸出企業が外貨売却をしている影響で戻しているが、この
先もルーブル上昇が継続するのかかなり不透明だ。
年明け以降、米利上げの可能性が高まっているとの観測が市場で広
がった場合、新興国から米国への資金シフトが顕在化することを考
慮に入れるべきだろう。
さらに中国経済からも目が離せない。中国人民銀による再利下げの
観測が跡を絶たないのは、中国の内需が弱い証拠でもある。鉄鋼製
品の在庫積み上がりや原材料の輸入量の減少がさらに大きくなるよ
うなら、中国経済の停滞を見越した海外マネーの流出を招き、不動
産価格が急落するというのが、最悪のシナリオになると考える。
もし、中国市場に動揺が見え出した場合、BRICS経済が相次い
で逆回転し、それが世界経済を危機に陥れるというコースも、想定
する必要が出てくるのではないか。
「良いシナリオ」と「悪いシナリオ」のどちらに傾いて、現実の世
界経済が回っていくのか、現段階でははっきりしない。ただ、リス
クの多くが新興国・資源国から出てきそうな現状をみれば、2015
年のカギはBRICS経済の動向が握っているという構図が見えて
きそうだ。
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視点:「不機嫌な時代」の到来と正念場のアベノミクス=寺島実郎氏
2014年 12月 26日 13:42 JST
寺島実郎 一般財団法人日本総合研究所(JRI)理事長
[東京 26日] - 日米中のトライアングル関係において、日本は
どのような立ち位置を模索すべきか。日本がアジアでリーダーシッ
プを発揮するためには何が必要か。そして、アベノミクスは幻想な
のか。日本総合研究所の寺島実郎理事長が、2015年の世界と日
本を見通す。
同氏の発言は、以下の通り。
<不機嫌な時代>
世界は、冷戦後の米国による一国支配から「多極化」という時代を
経て、もはや極という言葉では説明できない状況にまできている。
つまり、「無極化」した全員参加型の秩序形成が問われ始めるのが
2015年だと言えるだろう。
そのような全員参加型の秩序、つまり真にグローバル化する世界に
おいて、2015年はすべての当事者にとって「不機嫌な時代」が
訪れる。例えば、ウクライナ問題で世界を手玉にとったかのように
思われたロシアも、国際社会からの信頼が低下し、また足元の原油
安で経済も悪化しており、2015年はマイナス成長に陥るとみら
れる。
一方、米国のオバマ政権はレームダック化し、議会が上下院ともに
共和党に支配される中、ますます厳しい政権運営を強いられる。中
国でも経済成長が減速するにつれ、国内で内部対立が噴出。中国政
府のいら立ちは近隣諸国にも波及するだろう。
こうした世界状況において、日本は、特に米国と中国とのトライア
ングル関係の中で、どのように立ち振る舞うべきか。
もし日本政府にこう問いかけるならば、米国との連携を深め、中国
の脅威に立ち向かいたいという答えが返ってくるだろう。しかし、
そのようなパラダイムこそ考え直すべきだと私は思う。日米で連携
して中国と戦おうというゲームは、極めて偏狭な思い入れであり、
米国に対する日本の「片思い」にすぎない。
米国にとって最も大事なのは、アジアにおける影響力の最大化だ。
日中両国に対して米国の影響力を最大化し、ぎりぎりまで双方の期
待をつなぎとめながら、アジアにおける米国のプレゼンスを最大化
するというのが米国のゲームである。
未来に向けた日米中関係において、日本は欧州における英国に近い
役割を担うべきだと考える。英国は欧州から米国を孤立させない一
方、米国に過大に依存する構造から抜け出している。日本もアジア
で影響力を最大化しつつ、日本自身がアジアで孤立することも、米
国が孤立することも避けるというストーリーを構築する局面にきて
いる。
そのためには、日本はまず感情的な「プチ・ナショナリズム症候群
」に陥っている現状から脱却し、一次元高いレベルから中国や韓国
などの近隣諸国と向き合うことが大きなポイントとなる。これは、
東南アジア諸国連合(ASEAN)の人たちと話して痛感したこと
だ。
日本は領有権問題で連携するという発想でベトナムやフィリピンを
見がちだが、実際にはこうした国々はそのような連携は期待してお
らず、日本には高みから中国と向き合っていてもらいたいと考えて
いる。彼らは、成熟した民主主義国家としての戦後日本の歴史を見
つめている。戦前の日本のように、間違っても軍事的プレゼンスを
高めてアジアの脅威となるような国を目指しているという誤解を与
えてはならない。
では、日本がアジアでリーダーシップを発揮するには何が必要か。
その鍵は経済力よりも、むしろ理念性にある。全員参加型秩序の世
界で国益を貫きつつ発言力を高めていくために必要なのは、筋が通
っていることだ。主張を貫く理念がなければ、このような時代でリ
ーダーにはなれない。果たして日本がそれに耐えうるだけの理念を
もっているかどうかが問題だ。
<つり天井の経済>
一方、経済・金融政策においては、相変わらず米国型モデルが世界
の主流であり続けている。米国は量的金融緩和第3弾(QE3)を
2014年10月末で終了し、2015年には利上げが開始される
見通しだ。このように米金融緩和が出口戦略に向かう中、2015
年はリフレ経済学に基づくアベノミクスの正当性が問われることと
なるだろう。
20年来苦しんできたデフレからの脱却を目指し、安倍晋三政権が
掲げるアベノミクスは、異次元緩和(第1の矢)と財政出動(第2
の矢)に続き成長戦略(第3の矢)を実行することで日本経済の成
長率を底上げするという再生シナリオを描いている。だが、税収の
倍近い歳出を賄うために、借金を重ねる日本政府は、まるで自分の
身の丈の2倍の生活を送る愚か者のようだ。
異次元緩和を実施して株高・円安にしたものの、「第3の矢」はい
つ飛ぶのか。今の日本経済はいわば「つり天井の経済」で、株価が
つり上げられ景気が良くなっていると錯覚を起こすが、実は実体経
済の柱や土台がない。株価をつり上げているのは海外の投資家であ
り、世界経済の動向次第でこの天井はすぐにつぶれかねない。
「第3の矢」が急がれるゆえんだが、結局放たれないまま「第1の
矢」と「第2の矢」に戻って追加金融緩和と追加財政出動を繰り返
す恐れがある。実際、日銀は10月31日に追加緩和に乗り出した。
こうした景気刺激的な政策への過度な依存は、傷口を広げ、次の世
代に問題を先送りにするだけだ。
実体を伴わない株価先行の今の日本経済は、かつての米国経済をほ
うふつさせる。米国では、2001年に電力デリバティブなどを手
掛けていたエネルギー大手エンロンが倒産してから7年後となる
2008年、サブプライムローンが引き金となりリーマンショック
が発生。そして2015年はそれからまた7年後に当たり、リーマ
ンショック・パート2が起きる可能性がある。
その背景には、アルゴリズムを取り入れた株式の超高速取引などで
マネーゲームが高度化したことや、複雑化した金融派生商品がある。
英フィナンシャル・タイムズが2014年8月に指摘したところに
よれば、複雑に手の込んだ新種の金融派生商品が開発され、運用力
のない金融機関に静かに浸透しており、再び金融危機の芽になりか
ねないという。
翻って日本に目を向けると、金融機関の間で資金運用力の差が極端
に開いてきている。以前は国債に逃げるという手があったが、大量
発行にもかかわらず日銀の大規模購入によって金利が抑え込まれた
ことで現在10年物の利回りは0.3%近辺の低水準にある。実力
のない金融機関にとって運用は悩みの種となっており、「喉元過ぎ
れば熱さを忘れる」ではないが、不可解な金融派生商品投資への甘
い誘いに再び乗せられないとも限らないだろう。
一方、米経済が再浮上した2つの要因は、日本にとっても非常に示
唆的だ。1つはシェールガス・オイル革命で、米国はすでに石油と
天然ガスの合計生産量において、サウジアラビアとロシアを抜いて
世界1位になっている。原油価格下落の主な要因でもあるが、これ
は米国の産業競争力にもつながり、経常・財政収支のいわゆる「双
子の赤字」問題も改善するという好循環となっている。日本も天然
ガスの一種であるメタンハイドレートの産出などエネルギー戦略強
化に向け、今のうちに手を打っておくべきだ。
2つ目に次世代ICT(情報通信技術)革命、ビッグデータ時代の
到来が挙げられる。例えば、米ゼネラル・エレクトリック(GE)
は現在、ビッグデータを活用して産業の効率性を飛躍的に高めるプ
ロジェクトを主導している。日本においても、国力の底上げにつな
がる類似のプロジェクトを先導する企業がもっと現れて然るべきだ。
これら米経済の「光と影」は、正念場を迎えることになる2015
年のアベノミクスへの教訓として大いに生かされるべきだろう。
*寺島実郎氏は一般財団法人日本総合研究所理事長、多摩大学学長
、三井物産戦略研究所会長。経済産業省・資源エネルギー庁総合資
源エネルギー調査会基本政策分科会の委員として、国のエネルギー
政策議論にも参加している。
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ドル上昇、対円で7年半・対ユーロで2年半ぶり高値近辺=NY市場
2014年 12月 27日 07:42 JST
[ニューヨーク 26日 ロイター] - 26日終盤のニューヨーク
外為市場では、他の主要市場がクリスマス休暇で薄商いの中、ドル
が円やユーロに対して上昇。円に対して約7年半ぶり、ユーロに対
しても約2年半ぶりの高値に近付いた。
アナリストによると、米連邦準備理事会(FRB)が来年半ばに事
実上のゼロ金利政策の解除を検討するのに、米経済は十分な速さで
回復していると受け止められ、ドルが買われている。
4キャストのシニアテクニカルアナリスト、ロブ・ズコウスキ氏は
「来年はドルに対し長期的に強気な姿勢を維持する必要がある」と
し、押し目買いが入りやすい展開を予想した。
終盤の取引で、ドル/円JPY=は0.2%高の120.38円。7日
に電子取引システムEBSでつけた7年半ぶり高値の121.86
円からそう遠くない水準にある。



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