5186.ロシアのルーブル変動相場制に移行へ



ロシアが、石油価格が下落しているために、ルーブルをある程度下
落させて、ルーブルでの石油価格を下落さずに、ドル価格は石油1
バーレル80ドルにするために、ルーブルの下落をある程度容認し
てきた。しかし、今回の変動制移行は違う理由である。

案の定、ルーブルの急落になっている。しかし、ロシアはすでに3
回、1998年と2008年に続く、ソ連崩壊後に彼らが経験してきた。

とりわけ1998年の危機後の回復は著しかった。ルーブルの急落で国
内製造業に弾みがついたうえ、その後の石油、天然ガスの価格上昇
に後押しされ、ロシア経済は1999年に持ち直し、これが10年間続く
成長の1年目となったことが、今回、ルーブル下落を容認した理由で
ある。

しかし、現在のルーブル安――11月の最初の1週間で8.5%下落し、
年初からの下げ幅は40%以上に達した――の背景には、ウクライナ
での紛争と西側の制裁という以前とは異なる事情がある。

ルーブルを下支えしてきたロシア中銀、無制限の為替介入を放棄だ
が、いずれにせよ、来年初めに変動相場制への移行とインフレ目標
の導入が予定されていることから、中央銀行は5日、無制限に為替介
入する政策を放棄することを明らかにした。要するに、変動相場制
に移行する。

モスクワのコンサルティング会社マクロ・アドバイザリーのクリス
・ウィーファー氏によると、今回の危機が過去の危機と違うのは、
ルーブルの下げ幅が、原油価格の下落に見合うレベルをはるかに大
きく上回っていることだという。

このため、ロシアのプーチン大統領は10日、このところの通貨ル
ーブルの急落の背景には「投機的な攻撃」があったとの認識を示し
、こうした動きに対しロシア中銀が懲罰を科す可能性があると警告
した。

このため、欧米への石油、天然ガスの輸出からアジアへの輸出に変
えることが必要になっている。そして、ロシアのプーチン大統領は
9日、北京で中国の習近平国家主席と会談した。中露は両首脳立ち
会いのもと、ロシアのシベリア産天然ガスを西シベリアの国境経由
で中国に送るパイプライン計画の覚書など17の合意文書に署名し
た。

また、プーチン大統領は、「ルーブルと中国人民元による決済は将
来性がある」と推進する立場を強調。「これはエネルギー分野にお
けるドルの影響力が低下することを意味し、世界の経済、金融、エ
ネルギー市場にとって悪いことではない」との見解を示した。

中国とロシアの両国は、冷戦期の中ロ対立を再現しないように、十
分に配慮している。モスクワと北京の指導者たちは、国内での狂信
的なナショナリズムの台頭によって、欧米の影響力を抑え込むとい
う両国が共有する利益枠組みが損なわれないように配慮している。

中国もロシアも反欧米では利益を共有していることと、米国の覇権
が揺らいでいるので、両国の挑戦は可能だと見ているようである。

ロシアの政治・経済の動きは、非常に影響を世界に与えるので注目
する必要がある。

さあ、どうなりますか?

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ルーブル危機の再来、過去の危機と違う理由
2014.11.11(火)  Financial Times
(2014年11月8/9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ロシア国民はルーブル危機について多少なりとも知っている。何し
ろ現在のルーブル危機は、1998年と2008年に続く、ソ連崩壊後に彼
らが経験してきた3回目の通貨危機だ。
 また、ロシア国民は、過去2回の危機が当時どんなに辛く、悲惨に
思えたとしても、危機はやがて終わり、その後に景気回復が続いた
ことも覚えている。
 とりわけ1998年の危機後の回復は著しかった。ルーブルの急落で
国内製造業に弾みがついたうえ、その後の石油、天然ガスの価格上
昇に後押しされ、ロシア経済は1999年に持ち直し、これが10年間続
く成長の1年目となった。
 このことは、最近までロシア人がルーブル建ての預金を慌ててド
ルに交換しようとしなかった理由を説明するのに役立つ。
原油安に加え、ウクライナ紛争と西側の制裁が大きな不安要因に
 過去2回の危機と同様、原油価格の下落が再び、ルーブルの下落圧
力の中核を成している。
 だが、現在のルーブル安――11月の最初の1週間で8.5%下落し、
年初からの下げ幅は40%以上に達した――の背景には、ウクライナ
での紛争と西側の制裁という以前とは異なる事情がある。このため
に、今のルーブル安はロシアの消費者と投資家の双方にとって、潜
在的に一段と不安な事態となっている。
 「我々の見解では、現在のルーブル安が市場のファンダメンタル
ズを反映していると主張するのは難しい」。シティグループのエコ
ノミスト、イワン・チャカロフ氏(モスクワ在勤)は11月7日の投資
家向けメモでこう警告した。
 1998年には、アジア危機という外部ショックと1バレル10ドル台ぎ
りぎりまで下げた原油価格の急落がロシアを破産に追い込みかけた
。外貨準備高は110億ドルに落ち込み、公的債務額は国内総生産(GDP
)にほぼ匹敵する水準に上った。
 ソ連時代からの残留組をスタッフの一部に抱えていた中央銀行は
、今日と比べるとはるかに能力と経験が不足していた。
 2008年の金融危機に見舞われるころまでには、10年にわたる成長
とアレクセイ・クドリン財務相による専門的な舵取りがロシアの財
政を一変させていた。一般政府債務はGDP比8%まで減少する一方、
外貨準備高は約6500億ドルと、世界第3位の規模を誇った。
 原油価格が下落し、負債を抱えた企業部門が対外債務の借り換え
に苦しむようになると、中央銀行はこうした外貨準備のうち2000億
ドル近い資金を使い、ルーブル下落のペースを遅らせた。
 今回は、原油価格が1バレル80ドル強まで25ドル近く下落すると、
中央銀行はルーブル相場を支えるために、10月だけでほぼ3000億ド
ルの資金をつぎ込んだ。
ルーブルを下支えしてきたロシア中銀、無制限の為替介入を放棄
 だが、いずれにせよ、来年初めに変動相場制への移行とインフレ
目標の導入が予定されていることから、中央銀行は5日、無制限に為
替介入する政策を放棄することを明らかにした。要するに、変動相
場制に移行するということだ。
 モスクワのコンサルティング会社マクロ・アドバイザリーのクリ
ス・ウィーファー氏によると、今回の危機が過去の危機と違うのは
、ルーブルの下げ幅が、原油価格の下落に見合うレベルをはるかに
大きく上回っていることだという。
 金準備と外貨準備はまだ合計4300億ドルを若干下回る水準で、一
般政府債務はGDP比13%にすぎない。今年度の予算は黒字であり、経
済は穏やかに成長している。それなのに、不透明感と恐怖心が為替
レートを弱める要因となっている。
 「人々は、本当は何が起きているのか、どんなサプライズがあり
得るのか心配し始めている。なぜなら経済の状態に目を向ければ、
ルーブルはあまりに安すぎるだからだ」とウィーファー氏は言う。
 投資家心理とロシアの経営環境は、ウクライナ東部での紛争と、
その結果科された欧州連合(EU)と米国の制裁によって深刻な影響
を受けている。制裁により、ロシア経済の大部分が西側の長期資金
へのアクセスを絶たれ、資本逃避に火が付いた。
西側の追加制裁の恐れ
 ルーブルに対する下落圧力が増したのは、9月にウクライナ東部で
の激しい戦闘に終止符を打った停戦合意が最近破綻しつつあるよう
に見えるからだ。ロシア軍が東部ドネツク州に侵入していると報告
されている。
 EUと米国の政府高官は、市場が期待したような制裁緩和どころか
、ウクライナの状況が悪化し続ければ、むしろ制裁が拡大される可
能性があると示唆した。
 これは、元経済相で大統領顧問のエリヴィラ・ナビウリナ氏率い
るロシア中央銀行にできることには限界があるということを意味す
る。ウィーファー氏は言う。「ロシアに対する心理とロシアに対す
る信頼感は目下、1999年以降、私が見てきた中で最悪だ」
By Neil Buckley in London
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ロシア:対中ガス供給拡大 両首脳合意、欧州から「東方シフト」
毎日新聞2014-11-10 15:29:00
 【北京・田中洋之、石原聖】ロシアのプーチン大統領は9日、北
京で10日開幕するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会
議に先立ち中国の習近平国家主席と会談した。中露は両首脳立ち会
いのもと、ロシアのシベリア産天然ガスを西シベリアの国境経由で
中国に送るパイプライン計画の覚書など17の合意文書に署名した。
 中露間では東シベリアから極東の国境を経由するガスパイプラ... 
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ルーブル急落に「投機的な攻撃」、中銀が懲罰実施も=露大統領
2014年 11月 11日 04:17 JST
[北京 10日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は10日、
このところの通貨ルーブルの急落の背景には「投機的な攻撃」があ
ったとの認識を示し、こうした動きに対しロシア中銀が懲罰を科す
可能性があると警告した。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事との会談の中で述べた
。同大統領はルーブル相場の急落につながる主要な基礎的要因は見
当たらないとしている。
ロシア中銀はこの日、ルーブルの許容変動幅を撤廃し変動相場制に
移行したと発表。プーチン大統領はこうした措置によりルーブル相
場が安定することを望むと述べた。
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ロシア、制裁が景気に影響-変動相場に前進、ルーブルは防衛へ
  11月10日(ブルームバーグ):ロシアの金融当局はウクライナ
問題に起因した欧米の制裁が経済に悪影響を与えていることを認め
た。中央銀行はルーブル防衛で行動すると表明した。
中銀はこの日、2015年がゼロ成長になるとの見通しを示した。原油
安に加え、国際的な制裁が響いていることが鮮明になった。ナビウ
リナ中銀総裁は、投機を防ぐためルーブル建て流動性を制限する方
針を示した。
ダンスケ銀行のエコノミスト、ウラジーミル・ミクラシェフスキー
氏は、中銀が「真実を直視している」ということだと指摘。「希望
的な観測の時期は過ぎたようだ」と述べた。
中銀は今年の資本純流出額の見通しも1280億ドルに引き上げた。13
年の実績は610億ドル。
中銀の15年ゼロ成長予想は制裁が17年末まで続き原油相場の平均が
1バレル=95ドルという基本シナリオに基づいている。中銀はイン
フレ率の中期目標4%の達成時期見通しも、16年から1年先送りし
た。
ナビウリナ中銀総裁は10日、ロシア24テレビとのインタビューで、
一時的な流動性制限を導入する可能性を示唆した。中銀はこの日ま
た、ルーブルを許容レンジ内に維持するため介入する政策を廃止す
ると発表し、完全な変動相場制にさらに近づいた。    
更新日時: 2014/11/11 03:12 JST
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ロシア 通貨ルーブル変動相場制に移行へ
11月11日 6時59分NHK
ウクライナ情勢を巡る経済制裁などの影響で、通貨ルーブルの下落
が続くなか、ロシアの中央銀行は、ルーブル相場の変動幅を設定し
て市場介入を繰り返すこれまでの仕組みを廃止し、市場で相場が決
まる変動相場制へ移行することを決めました。
これは、ロシアの中央銀行が10日発表したものです。
これまで、ロシアの中央銀行は、ドルとユーロを組み合わせてルー
ブル相場の変動幅を設定し、これに基づいて市場介入を行い、相場
の急激な乱高下を抑えようとしてきました。
しかし、ウクライナ情勢を巡る欧米による経済制裁や、ロシアの輸
出の主力である原油価格の値下がりの影響で、ルーブルはドルに対
し、この1か月だけで14%下落し、連日最安値を更新していまし
た。
また、ルーブルの下落を食い止めるために行う市場介入の原資とな
るロシアの外貨準備高も、ことし初めと比べおよそ800億ドル減
少し、投機的なルーブル売りが続いていました。
このため、ロシアの中央銀行は、これまでの仕組みを廃止して変動
相場制への移行を決め、必要に応じて市場介入も続けることで投機
的な動きを抑え込みたい考えです。ロシアの中央銀行は、これによ
り「物価の安定が確保される」と述べ、プーチン大統領も訪問先の
中国・北京で「投機的な動きは止まるだろう」と自信を示しており
、ルーブル下落に歯止めがかかるのか注目されます。
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ルーブル安定に全力=プーチン氏、中ロ通貨決済を推進
 【北京時事】ロシアのプーチン大統領は10日、北京でのアジア
太平洋経済協力会議(APEC)のビジネス・サミットで講演し、
史上最安値を記録しているロシア通貨ルーブルについて、相場安定
に全力を尽くす考えを示した。
 大統領は「ロシアの財務当局は必要な措置を講じている」と語っ
た。また、「ルーブルと中国人民元による決済は将来性がある」と
推進する立場を強調。「これはエネルギー分野におけるドルの影響
力が低下することを意味し、世界の経済、金融、エネルギー市場に
とって悪いことではない」との見解を示した。(2014/11/10-19:00)
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中国とロシアによる反欧米同盟
―― 中ロを結びつける六つの要因 
Asia for Asians
ギルバート・ロズマン  プリンストン大学教授(社会学)
 フォーリン・アフェアーズ リポート 2014年11月号
中国の習近平国家主席は、2012年に「中華民族の偉大なる復興
」をスローガンとする「中国の夢」を表明し、中国がその中枢に位
置するアジアでの新しい地政学秩序を思い描いている。ロシアのプ
ーチン大統領も、旧ソビエト諸国をロシアが主導するユーラシア連
合構想を表明している。重要なポイントは、両国が冷戦期の中ロ対
立を再現しないように、十分に配慮していることだ。モスクワと北
京の指導者たちは、国内での狂信的なナショナリズムの台頭によっ
て、欧米の影響力を抑え込むという両国が共有する利益枠組みが損
なわれないようにしたいと考えている。実際、モスクワと北京は欧
米秩序の正統性に対抗する外交路線をとることを心がけ、両国の野
心的な外交政策については互いにコメントするのを控えている。中
ロの結びつきは、一般に考えられているよりもはるかに深い。・・・・
小見出し
何が中ロを接近させているのか
連帯を支える六つの理由
中ロの連帯は続く






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