5201.金融財政政策だけでは、日本はダメになる



日本の学者も、グルーグマン氏も間違えていることがある。石油上
昇などコストアップがありながら、需要がない状況では販売価格を
上げられないので、コストアップをどこかで穴埋めするにしかない。

そうすると、穴埋めできる所は、人件費しかない。労働生産性を上
げるしかない。現時点でも最新機械を導入しているし、サービス業
では、生産性を上げると、サービス低下になり客が来なくなる。
このため、人件費を切り詰めるしかない。そのためには、正規社員
を辞めさせて、非正規社員を雇うことである。

このように正規社員を辞めさせて、非正規社員を増加させたことで
雇用数は100万人増え、非正規社員数は130万人も増えてしま
った。ということは、正規社員が30万人も非正規社員になったと
いうことである。

雇用数の伸びは、公共事業工事を増やしたことで増えた非正規雇用
と、大企業のサラリーマンの給与が増えたので、その人たちが利用
するサービス産業の雇用が増えたことによる。サービス産業は非正
規社員が増やすので、どちらにしても非正規社員しか増えていない。

雇用数は増えたが、実質賃金の伸びがマイナスになる理由も明らか
で、製造業も正規社員を非正規にして賃金を抑えたことによる。

このような構造に日本だけではなく、世界的になっている。

この構造を変えるには、技術革新、イノベーションを起こして新し
い産業群を作るしかない。このイノベーションの種が今、日本で大
きなうねりで起こしている。

どうして、そこに着目しないのかというと、安倍首相が重要視して
いる経済学者は、その芽を見ていないからである。見るつもりもな
いようである。このため、法人税引き下げなどや規制緩和などをや
るしかないような事を言っているが、アメリカの現状を見ると、過
度な規制緩和すると、より貧富の差が拡大してしまう。

日本は平等な国を目指さないといけないので、これでは、日本はダ
メになってしまう。眼を覚まして欲しい。民主党政権の時より、実
質賃金が低下している。円高もいけないが、円安もいけない。中間
地帯にいることが重要であり、この意味からも追加の量的緩和は、
失敗である。

経済政策で、野党も自民党に戦って欲しいが、

さあ、どうなりますか?


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クルーグマン氏が決定的役割−安倍首相の増税延期の決断で
  11月21日(ブルームバーグ):ノーベル経済学賞受賞者、ポー
ル・クルーグマン氏の訪日予定を耳にした際、本田悦朗内閣官房参
与は、再増税をめぐる議論を慎重派に有利な方向に導く好機が到来
したと思った。
安倍晋三首相にとって、消費税率を2015年10月に10%に引き上げる
ことの是非を決断する期限が近づきつつあった。今年4月の8%へ
の引き上げの影響で、日本の景気は四半期ベースとして世界的な金
融危機以降で最も深刻な落ち込みに見舞われ、その後の回復の足取
りもおぼつかない状況だった。
安倍首相と30年来の知己である本田氏(59)は、4月の増税反対に
続き、15年の増税延期を首相に助言。そこに登場することになった
のが、自身のコラムで日本の増税延期が必要な理由を説いていたク
ルーグマン氏だった。
本田氏は20日、オフィスを構える首相官邸でインタビューに応じ、
「あれが安倍総理の決断を決定づけたと思う。クルーグマンはクル
ーグマンでした。すごくパワフルだった。歴史的なミーティングと
呼べるものだった」と、首相とクルーグマン氏の会談を振り返った。
助っ人
帝国ホテルから官邸への高級車の車内で本田氏は、安倍首相との会
談がいかに重要かをクルーグマン氏(61)に説明した。増税延期で
首相を説得する手助けをクルーグマン氏にしてもらえる可能性があ
った。
  クルーグマン氏は今月6日の首相との会談について、自身が首
相の決断に及ぼした役割の大きさには控えめな態度を示す。同氏は
20日の電話インタビューで「首相の質問には明確に答えられたと願
う。私がこれまで書いてきたようなことうまく説明できたと思うが
、首相の考えにどこまで影響があったかは分からない」と話した。
その上で、増税延期の決定を「歓迎する」と語った。
海外の著名経済学者の助けを借りたいと考えていた本田氏は、クル
ーグマン氏が東京での講演のため訪日することを偶然知った。「ク
ルーグマンならと思っていたが、ミーティングのためにわざわざ日
本に来てれくれないと思っていたら、たまたま日本に来ることを聞
いてこれを使わない手はないと思った」と明かす本田氏は、首相と
クルーグマン氏の20分間の会談のお膳立てに成功。会談は予定時間
の倍近くに及んだ。
会談に同席した本田氏によると、クルーグマン氏は冒頭、アベノミ
クスを高く評価。唯一の問題は消費増税だと訴えた。会談が終わる
までには、首相は延期を決めるだろうと本田氏は確信を持ったとい
う。
官邸での会談
やはり会談に臨んだ浜田宏一内閣官房参与は18日のインタビューで
、「安倍首相はクルーグマン氏の説明をとても注意深く聞いていた
」と振り返り、「恐らく首相の決断を手助けしたのではないか」と
の認識を示した。
安倍首相はNHKで「先般、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマ
ン教授と話した」と言明。「彼の意見は、アベノミクスを支持する。
しかし今度の消費税引き上げは慎重にいくべきだ。そうしなければ
景気が腰折れしてしまう。となればデフレから脱却できず、経済再
生、財政再建もおぼつかないという話だった。私もその通りだと思
う」と述べた。
クルーグマン氏は17年4月の10%への引き上げをめぐっては、「あ
る時点で歳入の拡大を図る必要がある点は理解する」とした上で、
「私としては『インフレ率が2%程度に達してから引き上げる』と
いった条件付きの延期の方が望ましいと考えるが、そうした可能性
がないことも理解している」と語った。
更新日時: 2014/11/21 13:21 JST
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インタビュー:実質賃金目減り、企業は一段の円安望まず=服部教
授
2014年 11月 21日 18:22 JST
[東京 21日 ロイター] - 福井県立大学の服部茂幸教授は、ア
ベノミクスで円安・株高が進んだが、輸出は伸びず輸入コストの上
昇が実質賃金の目減りにつながったと指摘した。また、現状の為替
水準は相当な円安で、多くの企業経営者はさらなる円安を望んでお
らず、日銀の追加緩和で企業出身の委員らが反対に回ったのが象徴
的だと述べた。株高の恩恵は日米同様に国民全般に均てん(トリク
ルダウン)しておらず、アベノミクスに評価できる点は少ないと語
った。
服部教授(訂正)によると、製造業の空洞化などで、円安になって
も輸出が回復しにくい構造になっており、アベノミクスは「政策以
前に診断が間違っていた」と批判する。1997年の消費税増税時
と比べ、今年4月以降の消費の落ち込みは大きく、実質所得の落ち
込みが大きいのが原因と指摘する。
金融緩和は「財政ファイナンス(財政の穴埋め)として財政を支え
るため、ある程度必要」としつつも、長期金利がすでに史上最低水
準にあるため、日銀による国債買い入れをこれ以上拡大しても効果
は少ないとした。ただ、質への投資で国債需要が高まっていること
から「長期金利が急上昇するリスクは少ない」とみる。
服部教授は今年8月に著書「アベノミクスの終焉」を出版し、反ア
ベノミクスの立場を鮮明にしている。
主なやり取りは次の通り。
──アベノミクスをどう評価するか。
「円安となり株が上がっただけで、あまり評価する点がない。第2
の矢である財政政策の効果は認める。金融緩和は財政ファイナンス
として財政政策を支えるためにある程度は必要としても、これほど
の金融緩和は必要ない」
「アベノミクスの2大目標である円安による輸出拡大と、実質賃金
の引き上げは、ともに失敗している」
──輸出はなぜ伸びない。
「輸出が伸びないのは円高が理由ではなく、空洞化や新興国のキャ
ッチアップなどが問題とわかった。そもそも政策に取り掛かる前の
診断の段階で、誤診があった」
──実質賃金はなぜ下がるのか。
「実質賃金は下がり続けているように思われているが、民主党政権
時代にさほど下がっていなかった。大きく下がり始めたのが、安倍
政権の特徴。消費税増税前からマイナスが拡大しており、消費増税
だけが原因ではない。日銀の金融緩和による物価上昇もその1つの
要因」
「今年の消費税増税を景気腰折れの要因とみる向きが多いが、総務
省の調査によると1997年の増税時よりも、4月以降の家計調査
における消費支出の前年比下落幅が圧倒的に大きい。消費増税は2
次的な問題で、重要なのは賃金と所得の実質での低下だ」
「実質賃金を上げるには、名目賃金の引き上げが必要。企業の責任
を追及する方向もあるが、政府が解決できる問題なのかというレベ
ルから考える必要がある」
「2013年度の成長率は表面的には上昇したが、消費税引き上げ
前の駆け込み需要と政府支出だけ。それがなくなると今のようなマ
イナス成長になるのは、想定外でもなんでもない」
──アベノミクスによる円安をどうみるか。
「いくら金融緩和しても、無限に円安が進むことはない。ドル/円
JPY=EBSが120円に近づいているが130円、140円になるとは
考えにくい」
「さらなる円安進行が進めば国内産業、中小企業が悲鳴を上げる可
能性が高い」
「アベノミクス開始当初は、経団連に加盟しているような大企業は
円安を歓迎したが、これ以上はかえって逆効果との声が広がってい
る。日銀が10月31日に追加緩和に踏み切った際、反対した審議
委員が企業関係者であったのが象徴している」
「購買力平価や実質実効為替レートでみても、相当な円安水準にあ
る」
「多くの輸入企業・内需型にとっては、価格転嫁は難しく円安は原
材料価格の上昇。仮に転嫁できたとすれば、消費者にとって実質所
得の減少となる」
──第3の矢、成長戦略をどう評価するか。
「そもそも何がしたいのかわからない。どのように生産性を上げて
経済成長を高めるのかメカニズムがわからず、希望的観測・願望に
とどまっており、経済分析の対象たりえない」
──日銀の巨額な国債買い入れをどうみるか。
「長期金利はゼロ以下にはならない。すでにゼロ近辺であり、これ
以上の金融緩和は意味がない」
「長期金利が急上昇するリスクは低い。しかし、上がらないのは決
してよいことでなく、日本経済が悪いため、質への逃避で国債需要
が高まっているだけ。銀行は貸出より国債運用がよいと思っており
、金利は上がらない状況にある」
──金融緩和の恩恵が広く浸透する現象は起きていると思うか。
「今の米国の状況をみれば、トリクルダウンが起きないのは明らか
。株価は史上最高値を更新していても、中間層以下の実質賃金が下
がり、オバマ大統領は(中間選挙で)大敗した。アベノミクスでト
リクルダウンが起きないのは、決して不思議なことでない」 
*本文2段落目の服部教授の名前を訂正しました。
(竹本能文 編集:田巻一彦)
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インタビュー:アベノミクス極めて順調、構造改革断行を=浜田参与
2014年 11月 21日 18:11 JST
[東京 21日 ロイター] - 21日の衆院解散で、アベノミクス
の成果を主な争点とした総選挙が事実上スタートした。第2次安倍
晋三政権の発足後、為替は118円台まで円安が進み、日経平均.N225
は1万7000円台に上昇。政府・与党は政策の効果だと強調する。
一方、直近の国内総生産(GDP)は2期連続のマイナスとなり、
安倍政権は消費税率再引き上げ延期を決断した。
アベノミクスは日本経済に何をもたらしたのか。そして、選挙後の
マクロ政策には何が必要になるのか、初回は安倍晋三首相の経済ブ
レーンで内閣官房参与の浜田宏一・イエール大学名誉教授に聞いた。
浜田教授は、アベノミクスは極めて順調と述べ、金融緩和と財政出
動の2本の矢が需要促進に大きな成果を上げたと語った。しかし、
今年4月の消費税率引き上げの景気への影響が「予想以上に深刻だ
った」と分析。安倍首相による消費税再増税の延期判断を「自然な
こと」と評価した。
今後のアベノミクスの課題は、第3の矢である成長戦略の実行で供
給力を強化することが重要とし、特に現行35%程度となっている
法人実効税率の大胆な引き下げが不可欠と強調。政府は法人税を
2015年度から数年で20%台に引き下げる方針を示しているが
、浜田氏は「20%前半に引き下げ」を主張した。
日銀による10月31日の追加金融緩和などを受け、外国為替市場
では円安が進行しているが、1ドル=120円程度の円安は、日本
経済全体ではプラスとの認識を示した。足元で原油価格が下落し、
労働市場を中心に需給環境がひっ迫する中、インフレ目標について
は「1.5%程度でいいのではないか」と語った。
衆院選は21日の解散で事実上スタートしたが、これまでのアベノ
ミクスの評価を争点とすることに「それなりに意味がある」との見
解を示した。
主なやりとりは以下の通り。
──アベノミクスの評価。2期連続のマイナス成長を受け、失敗と
の声もある。
「今年4月の消費税率8%への引き上げで、景気に陰りが出てきて
いるのは確かだ。消費増税の景気への影響が当初の予想より深刻で
、余計なおもりを付けてロケットを発射してしまったということ。
しかし、アベノミクスの第1の矢である金融政策と第2の矢である
財政政策という需要促進策は、極めて順調。アベノミクスに逆方向
の消費増税のマイナスの影響が少し強く、来年10月の消費税再増
税を見送り、大事をとったのは自然だ」
──アベノミクスが順調な中での衆院解散・総選挙をどうみるか。
「前回の選挙時は、アベノミクスを国民が体験していない。確かに
消費増税で足元の経済は少し揺らいでいるが、アベノミクスについ
て国民が体験した上で評価することは重要。それを問うことは、そ
れなりに意味がある」
──安倍首相は、2017年4月には消費再増税を行うと断言した。
「景気条項を撤廃して消費税を上げると言ったことの意味は大きい
。決して安倍政権は国民に甘いことを言うために延期しているわけ
ではない、という意志表示になる。その時に(景気の)波風が大変
であれば、第3のバズーカ砲を日銀に発してもらえばいい」
──アベノミクスの今後の課題は。
「第1の矢と第2の矢がうまく働き過ぎたがために、労働市場など
を中心に供給余力が少なくなっている。供給を増やさないと生産も
雇用も増えない。これからは供給力を強化する政策が不可欠だ」
「構造改革には官僚などから確実に抵抗が出てくるが、安倍首相と
菅義偉官房長官は構造改革の重要性を絶えず訴えている。内閣の中
枢が構造改革に前向きというシグナルは常に発信されており、衆院
選で自民党が国民のサポートを得られれば、構造改革は進展する」
──成長戦略では法人実効税率(現行35%程度)の引き下げを訴
えている。
「日本経済の強い成長には生産基盤が重要で、投資家にとって投資
しやすい国にする必要がある。そのためには、ほぼ世界で一番高い
法人税を引き下げることが必要だ。それによって日本に外国の企業
を呼び込むとともに、日本企業が外国に投資することを回避するこ
とができ、地方経済を救う政策にもつながる」
「日本と競争関係にある国の税率を踏まえると、思い切って20%
前半に引き下げ、租税競争のプレーヤーになることが重要だ」
──日銀は10月31日に電撃的な追加金融緩和に踏み切った。
「やり方がとてもうまかった。サプライズな政策を打って効果を発
揮した」
──成長率が高まらない中で、インフレだけが進行してしまう懸念
はないか。
「金利やインフレよりも国民生活の方が重要だ。あくまで物価目標
は2次的なものであり、絶対目標と考えるのは誤り。石油価格が下
がっているのであれば、相対的に低いインフレ率でも完全雇用は達
成できる」
「無理して2%達成を目指す必要はなく、インフレ目標はおおらか
に考えればいい。現在の石油価格や雇用情勢を踏まえれば、1.5
%程度でいいのではないか」
──日銀が国債を買い増し、政府が増税を先送り。財政ファイナン
スといえないか。
「今回の追加緩和は経済成長率が下がり、どちらかといえば不況の
方向に揺れがきている中での当然の対抗措置。マネタイゼーション
をやってデフレを克服しなければ、ならない時もあるが、最も困る
のはインフレ進行による大衆課税。それが起き始めれば止めるべき
だが、起こる前に止めろ、という意見には反対だ。自分で金融政策
が止められないような中央銀行は中央銀行とはいえない。やり過ぎ
ればインフレになるので、その時は、ちゃんと止めればいい」
──追加緩和・増税先送りで円安が進行している。日本経済への影
響は。
「過去に70円台など円高局面が長く続き、日本経済は疲弊し、電
機産業を中心に輸出産業が苦しんだ。それがアベノミクスによる円
安で、輸出企業は一息つくことができた」
「一方で、輸入産業が経済的に難しくなっていることだと思うが、
産業レベルで比較する限り、輸出産業の利益の方が、輸入産業の不
利益よりも大きい」
──120円に円安が進んでも経済全体にプラスということか。
「そうだと思う」
「ただ、円安による輸入コストの上昇や、消費税率引き上げで最も
困るのは低所得者。そうした人たちに対して、給付金や税制などに
よって、円安の悪影響を取り除くための政策は十分に考えられる」
*一部フォーマットを修正して再送します。
(伊藤純夫 金子かおり 編集:田巻一彦)



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