5188.衆院選の争点は、日本の目標を定め具体策を示すこと



自民党の圧勝が現時点では、予想できる。民主党の支持率は7%に
対して、自民党は30%以上もあるのだから、これは、このままで
あれば、自民党が圧勝することは想像できる。

しかし、この自民党を追い込むことはできる。それは自民党では、
日本の将来の目標を示さず、当面の景気回復だけを示し、それで野
党の政策を批判して、前回は大勝利した。もう1つが、民主党の内
部対立に、国民は嫌気を差したことである。これが今の支持率に出
ている。
しかし、民主党では、将来の日本の目標を示すことができる。利害
関係者が少なく、特にグローバル経済の大企業よりローカル経済の
中小企業や国民の70%に支持される経済政策を示せれば、これは
大多数の国民の支持を獲得できることになる。それが示せるかによ
る。

しかし、大企業が大きく儲けてくれないと、2015年度に基礎的
財政収支(プライマリーバランス)の赤字を半減させる財政再建目
標は達成できなくなるので、大企業の世界で戦う行動を推進する必
要がある。そうしないと、社会保障費を確保できなくなる。

この上に財政の健全化のために、消費税増税をするのである。

しかし、国内の大多数の国民がより豊かにする目標を示すことが必
要である。

昭和の大経営者である松下幸之助。彼の言葉は時代を超えた普遍性
と説得力を持っている。
「国としての目標、なぜ、そういう目標を掲げんのや。目先のこと
も大事やけど、目標を示さんとね」と松下幸之助は言った。
政治は、国民に、「坂の上の雲」を示せというのが、松下幸之助の
主張であった。小説『坂の上の雲』で司馬遼太郎は、鎖国封建の時
代から、近代国家に目覚めた日本が、富国強兵、殖産興業を目指し
て、列強に伍するべく、明治の青年たちが懸命に登って行った風景
を、感動的に描き、多くの読者の共鳴を得た。戦後も、敗戦の廃墟
貧困のなかから、「アメリカに追いつき、追い越せ」という目標を
目指して、国民が互いに切磋琢磨、高度経済成長を達成し、繁栄を
実現した。
しかし、現在は、なにを目指せというのか。国民の心を一つにする
目標がないではないか。
目標を明確にすることの急務を、松下は、歴史を振り返りながら、
政治家に求めたのである。

これは、現在、日本の再生には目標が必要なのであるが、自民党は
示すことをしないで、ただ、目の前の景気を良くすることだけに終
始している。この自民党に対する叱責を述べたのである。

これでは、選挙に負けないが、勝てない。野党は日本の再生の目標
を示し、その具体策を示せれば、勝てる可能性がある。

どうか、この機会なので、有意義な選挙にして欲しいものである。


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基礎的収支、消費増税延期でも15年度赤字半減達成へ=政府筋
2014年 11月 12日 11:57 JST
[東京 12日 ロイター] - 政府が消費税率10%への再増税を
先送りしても、2015年度に基礎的財政収支(プライマリーバラ
ンス)の赤字を半減させる財政再建目標は達成できる見通しである
ことが12日、複数の政府関係者への取材でわかった。
政府の財政再建目標では、15年度に基礎的収支の国内総生産比(
GDP)赤字を10年度(6.6%)に比べ半減させるとしている。
20年度には、これを黒字にする目標も掲げている。
これまでは消費税率を10%にすることが「赤字半減」の大前提だ
った。ただ、日銀の追加金融緩和などで円安、株高の流れが強まり
、大手企業の業績回復で法人税収は大幅に増加する見込みとなった。
政府・与党内には「アベノミクス効果により名目成長率は確実に上
昇し、(消費増税を先送りしても)半減目標の達成は可能」との見
方があり、安倍晋三首相が近く、決断する増税是非の判断にも影響
を及ぼしそうだ。
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軽減税率:同時導入、再増税の17年4月に 首相が検討
毎日新聞 2014年11月14日 07時00分(最終更新 11月14日 09時04分)
 安倍晋三首相が先送りの方針を固めた来年10月の消費税率10
%への引き上げについて、新たな増税時期を1年半後の「2017
年4月」とした上で、生活必需品の税率を低く抑える軽減税率を同
時に導入する検討に入ったことが分かった。公明党は軽減税率の導
入に積極的だが、自民党には慎重意見もあり、衆院解散・総選挙に
向けた与党協議を通じて調整される見通しだ。複数の与党関係者が
13日明らかにした。
 それによると、自民党の野田毅税調会長と公明党の北側一雄副代
表は今月上旬までに、来年10月の増税を前提に軽減税率の導入時
期を「税率引き上げから1年半後(17年4月)」とすることを口
頭で合意。首相にも9日の外遊出発前に伝えた上で、年末の15年
度与党税制改正大綱に明記する方向で一致していた。
 しかし、首相はその後に増税先送りの方針を決定。公明党は17
年4月の増税ならば軽減税率の準備期間は変わらず、同時導入は可
能とみており、自民党に引き続き大綱への明記を働きかけている。
公明党幹部は13日、「準備に必要な期間が確保できる。首相が増
税先送りで信を問う根拠にもなる」と語った。
 財務省は昨年の与党税制協議会で、軽減税率導入に必要な準備期
間を「1年半程度」と説明した。事業者のレジのシステム改修など
に必要な期間で、自公両党の税制協議でも「1年半」を前提に議論
が進んできた。自民党税調幹部は13日、「前提が変わったので改
めて協議したい」と述べた。野田氏と北側氏が週明けにも再協議す
る。
 公明党は、首相が衆院解散と増税先送りを表明する際、軽減税率
導入を明言することを期待。同党は衆院選公約でも、軽減税率の導
入を柱に据える構えだ。【高本耕太、横田愛】
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経済・地方活性…各党、政権公約作り急ぐ
2014年11月14日 07時23分
 安倍首相が来週中の衆院解散を検討していることを受け、各党は
政権公約作りを急いでいる。
 自民党は経済や地方対策を中心に準備を本格化させ、民主党は他
の野党との選挙協力もにらみながら作業を進めている。
 自民党地方創生実行統合本部(本部長・河村建夫元官房長官)は
近く、安倍内閣の看板政策である地方創生の緊急提言を発表する。
地方活性化のため、〈1〉首都機能の地方分散を図る〈2〉地元出
身者を積極雇用する企業への資金援助〈3〉新規就農者へ期間限定
で所得補償――などが盛り込まれる予定で、同本部は政権公約に反
映させたい考えだ。
 また、首相が自民党幹部に選挙準備を指示したことから、自民党
は最短で「12月2日公示、14日投開票」の衆院選日程を想定し
、政権公約に盛り込む経済対策の検討に着手した。稲田政調会長は
14日にも、各部会長に対し、円安・エネルギー価格高騰対策など
政権公約に盛り込む経済対策をつくるよう指示する。
 一方、民主党も13日、「次の内閣」の緊急会合を国会内で開き
、政権公約の策定作業に入った。党政調の各部門会議で18日をめ
どに重要政策をリストアップし、今月中にも取りまとめる方向だ。
福山政調会長は記者会見で、「アベノミクスが生活に何をもたらし
たのか、非常に重要な論点だ」と述べ、安倍政権の経済政策「アベ
ノミクス」批判に力点を置く考えを示した。民主党は他の野党との
共通公約作りも視野に入れている。
 また、維新の党は9月の結党時に発表した憲法改正による統治機
構改革などの基本政策を軸に、衆院選公約作りを進める方針だ。
2014年11月14日 07時23分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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個人も国も、「目標がなければ、なんも決まらん」
目先のことばかりを追っていてはいけない
江口 克彦 :故・松下幸之助側近 2014年11月13日TK
昭和の大経営者である松下幸之助。彼の言葉は時代を超えた普遍性
と説得力を持っている。しかし今の20〜40代の新世代リーダーにと
って、「経営の神様」は遠い存在になっているのではないだろうか。
松下幸之助が、23年にわたって側近として仕えた江口克彦氏に口伝
したリーダーシップの奥義と、そのストーリーを味わって欲しい。
(編集部)
マラソンの現在の世界記録は、2013年9月29日、ベルリンマラソンで
、ケニアのW.キプサングが出した2時間3分23秒だという。日本選手
が2時間8分台というから、なんと5分前後の差がある。
昔は、日本のマラソンは、強かった。昭和28年(1953年)ボストン
マラソンで山田敬藏が優勝して以来、円谷幸吉、君原健二、宗茂、
猛兄弟、瀬古利彦など、世界に誇る選手がいたが、その後、ケニア
、エチオピアなどのアフリカの選手が台頭して、すっかりお株をと
られてしまった。
同じゴールを目指して切磋琢磨する選手たち
マラソン競技は、42.195キロメートルの距離を走る。ご承知のよう
に、紀元前490年、ギリシャがマラトンの戦いで、ペルシャの大軍を
破ったとき、その勝利を知らせるために、伝令の兵士がマラトンか
らアテネまでを走り、最後は力尽きて息絶えてしまったという、そ
の伝令が走った距離が、42.195キロメートルと、私は若い頃、思っ
ていたが、実際に走った距離は、約40キロメートル。マラソン競技
の距離は、オリンピックで過去8回も変わっているという。
今の距離は、1908年、ロンドン大会で、当時のアレキサンドラ王妃
が「自分はスタジアムのロイヤル・ボックスから見たい」と言い出
し、スタート地点をウィンザー城の芝生の上まで延長させた。結果
、352メートル長くなり、その距離を1921年、国際陸上競技連盟が正
式な距離に決めた(幸運社著『意外と知らない「もののはじまり」
』参照)というから、今の距離は一人の王妃のわがままの結果であ
るということになる。
別にマラソンの話をしようとしているのではない。マラソンも42.195
キロメートルというゴールがあるから、それによって、なんのため
に走るのか、どのような走り方をしたらいいのか、どのような練習
をしたらいいのか、が決まってくる。そして、5キロメートル、10キ
ロメートル、15キロメートル、そしてゴールまでをどのようなラッ
プで走るかという具体的なことも決まってくる。
要は、最初に42.195キロメートルという最終目標がなければならな
い。それによって、オリンピックにでるためにとか、そのためには
、どのような練習をとか、そういう基本的考えが決まってくる。そ
うすれば、具体的に途中のペースも決められる。そのように、基本
の考え方、最終目標、具体的目標がワンセットの方針となって、マ
ラソンに命がけで取り組み、走ることが出来るというものであろう。
経営も同じこと。目標を立て、その達成のためには、どのような理
念で、考えで取り組むか、そして、そこから具体的な目標も出てく
る。そういう方針を立てること、それを実行したことによって、松
下幸之助は、経営において成功を収めることが出来た。
だから、政治を「国家経営」と捉えていた松下が次のようにつぶや
くのもうなずいて頂けるだろう。
昭和57年(1982年)10月の日曜日であった。??
「この頃の日本の様子を見ておると、つくづくと、このままでは日
本の社会はダメになると思われてならんわ。なんといっても政治が
あかん。昔は、商売人は商売やっとればよかったけどな。今はそう
はいかん。政治抜きに商売、考えられんくなったな。政治の出来、
不出来が、そのまま商売、国民の生活にひびく。そういうことやな。
一応、日本の経済というのは、それなりにええわけや。世界のなか
で、もう日本の品物はこれ以上来てもらったら困るというほどにな
ったわな。問題は政治や。政治が一番あかんな。どこが悪いかと言
うと、目標があれへんわけや。ハッキリと、国民に目標を示さない
。どこへ行くのか、どこへ日本をもっていこうとしているのか。だ
から、国民は、なにをやったらええのか、わからん。そこに問題が
あるわけや。
たとえば、どこかに行く、と。それだけではどうしたらええのか、
わからんわな。当たり前や。どこへ行くということが決まれば、飛
行機で行くとか、汽車で行くとか、それが決まる。そういう目標が
なければ、なんも決まらんわな。ただ、どうしようかと迷うことに
なる。今の日本がそうや。東京に行くなら、東京に行くんやと。名
古屋に行くなら、名古屋に行くんやと。そういう目標やな。国とし
ての目標、なぜ、そういう目標を掲げんのや。目先のことも大事や
けど、目標を示さんとね」
目標が心を一つにさせる
政治は、国民に、「坂の上の雲」を示せというのが、松下幸之助の
主張であった。小説『坂の上の雲』で司馬遼太郎は、鎖国封建の時
代から、近代国家に目覚めた日本が、富国強兵、殖産興業を目指し
て、列強に伍するべく、明治の青年たちが懸命に登って行った風景
を、感動的に描き、多くの読者の共鳴を得た。戦後も、敗戦の廃墟
貧困のなかから、「アメリカに追いつき、追い越せ」という目標を
目指して、国民が互いに切磋琢磨、高度経済成長を達成し、繁栄を
実現した。
しかし、現在は、なにを目指せというのか。国民の心を一つにする
目標がないではないか。
目標を明確にすることの急務を、松下は、歴史を振り返りながら、
政治家に求めたのである。



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