5172.イスラム国の限界



イスラム過激派組織「イスラム国」に対して、アメリカのヘーゲル
国防長官は、過去1週間の戦闘でイラクでは政府軍などが攻勢に転
じ、首都バグダッド近郊などでの戦況に優勢な状況が見られると評
価しました。

イスラム国は、現在、バクダッド近郊、トルコと国境を接する北部
の都市コバニへの攻勢、レバノンのキリスト教徒地域への攻撃と、
多方面で攻勢をかけているが、その全ての戦いで劣勢になっている。

コバニとバクダッドでのイスラム国の攻撃に対して、米軍などが空
爆を行い、近代兵器を装備するイラク軍がやっと反撃ができるよう
になった。

シリア・クルドの町コバニには、イラク・クルド人の欧米が装備を
近代化した、クルド人の同胞を助けるのに命を懸ける「ペシュメル
ガ」が参加した。その上に、米軍の空爆である。このため、昼には
攻撃できないから、夜間攻撃になる。この時、暗視装置を「ペシュ
メルガ」を持っていれば、撃退できる。命知らずの軍隊同士では、
装備が勝敗を決める。

ロシアツデイ紙によると、イスラム国は、海への出口を求めて、レ
バノンにも攻撃をしている。シリア政府軍の支配地を抜けて、レバ
ノンを攻撃するという無謀なことをしている。ここでもキリスト教
徒自治軍とレバノン政府軍と戦いになっている。(リンクは最後)

デイリービートのコラムには、「Has ISIS Peaked as a Military 
Power?」(イスラム国軍の勢いはピークを終えたか」と言っている。
(リンクは最後)

イスラム国は、シリアとイラクで手を広げ過ぎ、そのイデオロギー
のアピールは狭い。残忍な行動が対戦相手を強固にしてしまった。
その上に、空爆や地域の国家の地上軍の反撃にも脆弱であることが
分った。イスラム国の装備は、軽装備であり、重装備軍には勝てな
い。

命知らずに、突撃されるので、最初は面食らったが、負けると殺さ
れると知ると、防御側も命がけで守るしかない。このため、今まで
シリアの脆弱なクルド人部隊でもコバニを守れたことでそれが分か
る。

このため、米軍が空爆を始めた途端、攻撃している諸都市を落とせ
なくなった。所詮、イスラム国はテロリストであり、ゲリラ兵でし
かない。そして、この所の戦いで勝てなく、多くの将兵を失ってい
る。

このため、また、昔のような自爆テロに傾き始めている。領土を捨
て、テロリストに戻るしかないようである。

さあ、どうなりますか?



==============================
米国防長官 「イスラム国」に優勢と評価
10月31日 8時21分NHK
イスラム過激派組織「イスラム国」に対して、アメリカのヘーゲル
国防長官は、過去1週間の戦闘でイラクでは政府軍などが攻勢に転
じ、首都バグダッド近郊などでの戦況に優勢な状況が見られると評
価しました。
アメリカのヘーゲル国防長官は30日、ワシントン郊外の国防総省
で記者会見を行いました。
この中で、イスラム過激派組織「イスラム国」との戦闘について「
この1週間、イラク政府軍とクルド人部隊が攻勢に転じ、イラクの
中部と北部では優勢な状況が見られる。この進展は勇気づけられる
ものだ」と述べ、首都バグダッド近郊などでの戦況に改善が見られ
ると評価しました。
ただ、ヘーゲル長官は「これは『イスラム国』に対する長く困難な
取り組みの最初の段階にすぎない」と述べたうえで、軍事作戦だけ
でなく、「イスラム国」の資金源を絶つことや戦闘員の参加を阻止
するなど、幅広い戦略が必要だと強調しました。
一方、シリアでは、トルコと国境を接する北部の都市、アイン・ア
ルアラブで「イスラム国」が攻勢を強め、陥落する懸念が出ている
ことから、アメリカ軍は29日と30日も、この周辺で10回にわ
たって重点的に空爆を続けています。
==============================
「イスラム国」と戦闘でクルド人部隊シリアへ
10月31日 5時06分NHK
シリア北部でイスラム過激派組織「イスラム国」と戦闘を続けるク
ルド人を支援するため、隣国イラクのクルド人部隊が外国の地上部
隊として初めて国境を越えて加勢することになり、今後戦闘がさら
に激しくなるものとみられます。
イスラム過激派組織「イスラム国」は、トルコと国境を接するシリ
ア北部の都市で多くのクルド人が暮らすアイン・アルアラブで攻勢
を強めており陥落する懸念が出ています。
このため隣国イラクのクルド人自治区ではシリアのクルド人部隊を
支援するため、「ペシュメルガ」と呼ばれる治安部隊を派遣しまし
た。
部隊は150人規模で大砲や機関銃などの武器を装備し後方支援に
あたる予定で、30日に先遣隊の10人が現地に到着しました。
「ペシュメルガ」はイラク北部でも攻勢を強めている「イスラム国
」との間で戦闘を続けており、シリアのクルド人への同胞意識から
支援が決まったということです。
アイン・アルアラブ周辺ではアメリカ軍などによる空爆が続いてい
ますが、外国の部隊が地上戦に参加するのは初めてです。
シリアの反政府勢力系の団体によりますと、アイン・アルアラブと
その周辺の戦闘でこれまでに800人以上が死亡しているというこ
とで、「ペシュメルガ」の参戦で戦闘がさらに激しくなるものとみ
られます。
「シリアの主権侵害する行為」
イラクのクルド人の治安部隊が、隣国トルコを経由してシリア国内
での戦闘に加勢することについて、シリアの外務省は30日、「シ
リアの主権を侵害する行為で国際法にも違反する」と述べ、越境を
認めたトルコ政府を批判しました。
シリアでは、アサド政権と反政府勢力の内戦に「イスラム国」が加
わる形で、三つどもえの戦闘が続いています。
トルコ政府は一貫してアサド政権の打倒を訴えるとともに反政府勢
力を支援しています。
これに対して、アサド政権はイラクのクルド人治安部隊の参戦が「
イスラム国」に打撃を与える一方で、トルコが過激派組織の脅威を
口実に反政府勢力への支援を強化することを警戒しているものとみ
られます。
「死をも恐れない者」ペシュメルガ
ペシュメルガはイラク北部のクルド人自治区の治安維持にあたって
いる独自の部隊です。
トルコやイラク、それにシリアなどにまたがって居住するクルド人
は、イラクではかつての旧フセイン政権時代に厳しい弾圧を受けま
した。
そのなかでペシュメルガは当初、クルドの独立を目指して政権への
抵抗運動を続けていた民兵組織でしたが、アメリカによる訓練を受
けたとも言われており、イラク戦争のあとには、兵力や装備を増強
させて今では事実上の軍の役割を果たしています。
ペシュメルガはクルド語で「死をも恐れない者」という意味で、兵
力は20万人に上ると言われています。
ことし6月にイスラム過激派組織「イスラム国」がイラク第2の都
市モスルを制圧したあと、一時国内有数の油田地帯があるキルクー
クに迫った際、撤退したイラク政府軍に代わって現地に展開し、実
効支配したのがペシュメルガでした。
その後もイラク北部でイラク政府軍とともに地上作戦を担い、「イ
スラム国」と攻防を繰り広げています。
シリア北部のアイン・アルアラブなどで「イスラム国」との戦闘を
続けているシリアのクルド人勢力の軍事部門「YPG」とは協力関
係にあり、ペシュメルガがシリアでの戦闘に加わったことで、戦闘
が一層激しくなることが予想されます。
==============================
エルサレムのイスラム教聖地を閉鎖
10月31日 5時26分NHK
中東のエルサレムを巡る緊張の高まりを受けて、イスラエルは30
日、旧市街にあるイスラム教の聖地を閉鎖する極めて異例の措置に
踏み切り、パレスチナ暫定自治政府側は「宣戦布告に当たる行為だ
」として厳しく非難しています。
エルサレムの旧市街にあるイスラム教の聖地「ハラム・アッシャリ
フ」は、かつてユダヤ教の神殿があった場所と考えられており、ユ
ダヤ教にとっても「神殿の丘」と呼ばれる神聖な場所です。
今月に入り、この聖地の分割をイスラエルの右派の議員らが計画し
ているという話がパレスチナ側で広がり、イスラエルの治安部隊と
の間でたびたび衝突が起き、29日にはユダヤ教の極右の活動家が
何者かに銃撃されました。
このためイスラエル当局は30日、治安上の理由から、当面「ハラ
ム・アッシャリフ」=「神殿の丘」への入り口を完全に閉鎖して、
出入りをできなくする極めて異例の措置に踏み切りました。
ネタニヤフ首相は緊急に治安対策の会合を開き、聖地の分割を行う
考えがないことを強調したうえで事態を落ち着かせる方針を示しま
した。
しかし、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長は、報道官を通じ
て発表した声明で「イスラエルによる聖地への侵害はパレスチナの
人々やイスラム諸国への宣戦布告に当たる行為だ」と厳しく非難し
ていて、エルサレムを巡る緊張は一段と高まっています。
緊張の高まりに非常に大きな懸念
中東のエルサレムを巡る緊張が高まっていることについて、アメリ
カ国務省のサキ報道官は30日、記者会見で、「エルサレムで、と
りわけイスラム教の聖地『ハラム・アッシャリフ』を巡って緊張が
高まっていることに非常に大きな懸念を抱いている」と述べました。
==============================
米イラン間の緊張緩和―中東パワーバランスに変化
By JAY SOLOMON AND BIOGRAPHY JAY.SOLOMON
2014 年 10 月 29 日 12:01 JST  WSJ
 イランの核計画をめぐる直接交渉を行い、イスラム教過激派「イ
スラム国」に対して共通の脅威を抱いているオバマ米政権とイラン
はこの1年間、実質的な緊張緩和期に入っている。米国とアラブの当
局者が28日、語った。
 このシフトは、中東のパワーバランスを変えるとともに、イスラ
ム国との戦いで中核的役割を果たしているサウジアラビアとアラブ
首長国連邦(UAE)などの米国の主要な同盟国を遠ざけるリスクもあ
る。イスラム教スンニ派のアラブの指導者らは、シーア派のイラン
の脅威はスンニ派の過激武...
==============================
解体する秩序
―― リーダーなき世界の漂流
The Unraveling
リチャード・ハース  米外交問題評議会会長
 フォーリン・アフェアーズ リポート 11月号
アメリカの覇権は廃れつつあるが、バトンを引き継ごうとする国は
なく、今後、現在の国際システムはさらに雑然としたシステムと化
していくだろう。国際ルールを守るのではなく、独自の利益を重視
する非常に多くの国がパワーセンターにひしめき合い、アメリカの
利益や優先課題が配慮されることもなくなる。これによって新しい
問題が作り出され、現状の問題を解決するのもますます難しくなる。
要するに、ポスト冷戦秩序は解体しつつある。秩序の崩壊はパワー
と意思決定メカニズムが分散化していること同様に、アメリカがも
はやまともに国際行動を起こさないと考えられていることに派生し
ている。いまや問うべきは、世界秩序が今後も解体していくかどう
かではない。いかに迅速に奥深く解体プロセスが進展するかだろう。
小見出し
秩序解体の流れ
秩序を支える流れ
現状をどう捉えるか
なぜ秩序は解体したか
アメリカに何ができるか
==============================
入植住宅1000戸の建設推進=西岸でもインフラ計画−イスラエル
 【エルサレム時事】イスラエルのメディアによると、ネタニヤフ
首相は27日、東エルサレムの入植地ハルホマなどに住宅約1060
戸の建設計画を進めることを承認した。パレスチナ側は「このよう
な一方的な行動は(パレスチナ人の)爆発につながる」と強く反発
した。
 建設推進の方針が決まったのは、ユダヤ人入植地ハルホマの約
400戸とラマトシュロモの約660戸。ネタニヤフ首相は国会の
演説で、「イスラエルはエルサレムのユダヤ人地区をつくる権利が
あるという意見で国民は広く一致している」と主張した。
 また、首相は、ヨルダン川西岸の入植地で、新しい道路の建設な
どのインフラ計画を進めることを認めたという。(2014/10/28-07:33)
==============================
対イスラム国戦費、1日830万ドル=米国防総省
2014年 10月 28日 01:43 JST
[ワシントン 27日 ロイター] - 米国防総省は27日、過激派
「イスラム国」に対する戦費が1日当たり830万ドルに増加し、
8月8日から10月16日までで5億8000万ドルに達したこと
を明らかにした。
==============================
米国の対「イスラム国」戦略は
「過剰な約束」なのか
2014年10月28日(Tue)  岡崎研究所  WEDGE
米スタンフォード大学上席研究員のフランシス・フクヤマと、同非
常勤講師で元駐アフガン米大使のカール・アイケンベリーが、連名
で、9月23日付フィナンシャル・タイムズ紙に論説を寄稿し、米国は
、中東において、かつて英国が欧州大陸に対して取った、オフショ
ア・バランサー政策を見習うべきである、と論じています。
 すなわち、オバマは、ISIS(イスラム国)を「弱体化させ壊滅さ
せる」として、空爆を始めたが、それは過剰な約束である。もっと
実現性のある戦略がいる。
 オバマは、英国の伝統的な欧州大陸政策から学ぶことができる。
英国は、永遠の友人を持たず、ある国が欧州の覇権を握りそうな時
には、それに対抗する連合を支援した。オフショア・バランス政策
により、覇権国候補に対抗した。
 米国は、こういう役割を果たすのに適している。米国は、シーア
派とスンニ派の紛争を終結させる立場にはないし、シリアやイラク
の政治を改善する手段も持たない。米国が望みうるのは、17世紀欧
州での30年戦争のように戦いが続かないことであり、アサドやISIS
のような 悪が完全に勝利しないようにすることである。
 ISISは、シリアとイラクで手を広げ過ぎ、そのイデオロギーのア
ピールは狭い。空爆や地域の国家の地上軍の反撃にも脆弱である。
地域諸国はISISの残虐性に鑑み、これと戦う気持ちがある。
 米国は、この宗派対立で、永遠の敵も味方も持たない。確かに、
米国は、クルドやイラク政府を守りたいと思っているし、シリア空
爆に参加した湾岸諸国も、米国と利益を共有している。同時に、米
国もイランも、ISISを敗北させたいと思っている。
 アメリカ人は、ミズーリ号での降伏文書署名やソ連の崩壊のよう
な終結を好み、長い内戦を封じ込めるようなことを好まない。しか
し、シーア派とスンニ派の対立を理解しているというのは、傲慢で
しかない。コントロールできなくなってきている世界から、撤退す
ることもできない。オフショア・バランスは、維持できる姿勢であ
り、結果も出せる、と述べています。
 (出典“Friendless Obama needs Middle Eastern allies of convenience”;Francis Fukuyama & Karl Eikenberry;FT;Sep.23 2014)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/ec1deb3e-3f5b-11e4-984b-00144feabdc0.html#axzz3GDXUydLc
* * *
 フクヤマもアイケンベリーも優秀な学者、軍人であり、彼らの意
見は、多くの場合、傾聴に値します。しかし、この論説の主張は、
確かに、面白い意見ではありますが、内容に賛成するかどうか問わ
れれば、やはり躊躇せざるを得ません。
 第一に、英国が、覇権国になりそうなナポレオンのフランス、ド
イツ、ロシアに対抗し、オフショア・バランサーとして対立連合を
形成し、重要な役割を果たしたのは事実ですが、これは、対抗する
相手も連合する相手も、国家理性を持つ民族国家であるからできた
ことです。
 ISISは、領域国家を目指していますが、普通の民族国家というよ
り、ヤジド派をジェノサイドで脅すような犯罪集団、罪のない有志
連合の市民を殺すよう叫ぶテロ集団です。これを「壊滅」させるべ
きである、とのオバマの目標は、脅威の性質に鑑み、的を射ていま
す。ISISをバランス・オブ・パワーの一つの柱になりうるかのよう
に扱うのは、この怪物的存在に成長の機会を与える可能性があり、
適切ではないように思います。むしろ、「イスラム国」が支配領域
を失い、資金力も軍事力も通常のテロ組織並みになれば、その脅威
も管理可能になるでしょう。
 第二に、欧州と中東は異なり、かつての英国のようなオフショア
・バランス政策が上手くいくか、疑問があります。中東では、ユダ
ヤ、ペルシャ、アラブ、トルコの4民族が覇を争っているようなとこ
ろがありますが、それをバランスさせる必要があります。しかし、
米国はユダヤに傾き、ペルシャに対しては強い警戒心を持っていま
す。英国が欧州で永遠の友人も敵も持たなかったのとは状況が異な
り、米国の姿勢については、地域諸国は良く知っています。米国に
は、良いオフショア・バランサーになれるような、地域諸国との信
頼関係はないのではないでしょうか。米国は、中東和平の仲介もで
きていません。
 第三に、オフショア・バランス論というのは、世界における米国
の役割を縮小する提言とも言えます。国は力に余るようなことをし
ようとしてはなりませんが、ISIS攻撃は米国の力の範囲内のことで
す。ISIS対策については、空爆だけではISISに壊滅的被害を与えら
れない、地上軍が必要である、とオール・オア・ナッシング的な議
論をして、地上軍を投入できないならば一切の軍事介入をすべきで
ない、というような主張をする人もいますが、完全を狙って何もし
ないというのでは、ISISの脅威を放置することになります。地域諸
国の地上軍、CIAが訓練している自由シリア軍も、全くあてにならな
いということでもないでしょう。
==============================
イスラム国、シリア国境の町コバニに再び攻勢
By RORY JONES
2014 年 10 月 27 日 08:13 JST  WSJ
 【ベイルート】シリア北部のクルド人の町アインアルアラブ(ク
ルド名:コバニ)を防衛しているクルド人勢力は26日、イラクのク
ルド勢力からの支援を待ちながら、過激派組織「イスラム国」の攻
勢に対抗した。
 現地当局者やシリア人権監視団によると、24日は平穏だったが、
25日夜になるとイスラム国はコバニの南と東側に新たに攻撃してき
た。コバニ地域政府の当局者イドリス・ナッサン氏によると、イス
ラム国はコバニ周辺の町の兵力を集めて攻撃を強化しようとしてお
り、戦闘は26日午前も続いた。...


'We have to defend our land': Lebanese Christians organize self-defense to fight ISIS
Has ISIS Peaked as a Military Power?

コラム目次に戻る
トップページに戻る