5149.世界が人口許容限界に



日本の景気後退が徐々に明らかになってきた。しかし、世界的にも
混乱が拡大して、黙示録の世界のようになってきた。この混乱が収
束の方向ではなく、拡散の方向にある。この現状の根本原因を検討
して、今後の方向を見よう。  津田より

0.混乱拡大
世界的な混乱が拡大している。ウクライナ問題、エボラ出血熱、イ
スラム国、そして香港の民主化などがあり、その上に世界的な景気
の後退が忍び寄ってきている。

ウクライナ問題は親露派と政府で停戦になったが、ウクライナ東部
では、1日にドネツクの空港で政府軍と親ロシア派の間で激しい砲
撃戦となり、砲弾が学校の敷地内に落ちたり路線バスに当たったり
して少なくとも市民9人が死亡するなど緊張が高まっている。

このために、政府軍と親ロシア派が交わした停戦合意が事実上破綻
して、戦闘が再び激化するのではないかという懸念が出ている。ロ
シアの支援を受けて親ロシア派が優勢な状況にある。

この状態を受け、ロシアのラブロフ外相は、国連総会の一般討論演
説でも「ウクライナは(欧米の)尊大な政策の犠牲となっている」
と批判した。欧米のロシア制裁でもロシアはウクライナから手を引
かないと言っているようなものである。

エボラ出血熱は感染が拡大して、1日までに7492人に達し、
3439人が死亡したと世界保健機関(WHO)は発表した。そし
て、エボラ出血熱の患者が見つかり、波紋が米国に広がっている。
9月30日に国内初の感染者が確認されたことから、米当局は2日
、感染者と接触した近親者4人に隔離措置を命じたと発表した。

そして、米疾病対策センター(CDC)は、有効な策が講じられな
ければ、来年1月までに感染者数は55万─140万人に達する恐
れがあると警告した。また、世界銀行のジム・ヨン・キム総裁は、
西アフリカで拡大するエボラ出血熱について、「他の国に感染が広
がれば、経済的な損失は数百億ドル(数兆円)かそれ以上にのぼる
可能性がある」との見方を示したが、すでに米国にも波及してきた。

イスラム国への爆撃を米国は初め、それに同調してNATO諸国、スン
ニ派湾岸諸国も攻撃に参加した。そのイスラム国はトルコ国境近く
のシリアのクルド人の町を制圧して、そこから16万人ものクルド
人がトルコに逃げている。

トルコのクルド労働党が救済のためにシリアに進出して、クルド人
を助けているが、トルコ国内でクルド労働党は非合法活動している
団体でもある。これを阻止するために、トルコがシリア領内でクル
ド人を守り、トルコに逃げて来ないように、軍を派遣するようであ
る。イスラム国の撃退後のクルド人とトルコ政府の衝突が心配であ
る。

香港の民主化要求デモは、数万人規模になっているが、徐々に香港
は中国本土と同じ法的な環境になる方向である。しかし、法の支配
の低下や検閲の強化は、個人や企業にとって広範な影響を及ぼす。
次期行政長官選挙の制度変更とは異なり、これらは静かに個々人に
忍び寄ってくるため、一致団結したデモに発展する可能性は低い。

香港は、東南アジア、中国に跨る最大の金融センターであるが、こ
の機能は、法の支配の低下や検閲の強化で制限されると、そこから
多くの金融企業が他に移動するしかないことになる。その移動先は
シンガポールと東京であろう。

中国が台湾を1国2制度で取り込もうとしているが、それも限界が
あることを台湾に知らせることにもなる。このように、寛容であっ
た中国の政治環境が大きく変化している。

1.なぜ、世界混乱が拡大したのか?
米イェール大学のロバート・シラー教授やロバート・ケーガンが、
1930年代と同じになってきたと警告している。

シラー教授は、現在の世界の状況が、第1次大戦前夜ほどの危機に
瀕しているわけではないが、類似点もある。とりわけ1937年のとき
と似ているという。

この年も、現在と同じように、スペイン内戦、トロッキーが亡命し
ソ連が反スターリン派を粛清、盧溝橋事件、通州事件、米国政府が
上海の居留民保護のため陸戦隊1200名の派遣を決定、支那事変、日
独伊防共協定成立、イタリア王国が国際連盟を脱退、日本軍南京占
領、ヒトラーが軍幹部と外相を集めた会議で戦争計画(ホスバッハ
覚書)などと第2次世界大戦に向けて突き進んだ時代である。

現在も当時と同様、多くの人々が長期にわたって失望し続けている
。長期的な将来の景気動向をますます懸念しており、厄介な結果を
招きかねない。

たとえば、ウクライナ東部での最近の紛争の背景には、2008年の金
融危機が、ウクライナとロシアの経済に与えた影響がありそうだ。

国際通貨基金(IMF)によると、両国は2002年から2007年にかけて目
覚ましい成長を遂げた。この5年間に、実質1人当たりGDP(国内総生
産)は、ウクライナでは52%、ロシアでは46%伸びた。しかし昨年
度の伸び率は、ウクライナではわずか0.2%、ロシアでは1.3%だっ
た。この失望が人々の不満を生み出したととらえれば、ウクライナ
の分離主義者たちの怒りが、ロシア人の不満が、そしてプーチン大
統領がクリミアを併合しウクライナの分離主義者を支援しようとす
る背景が、よく理解できる。

しかし、この状況が、中国など新興国にも広がってきた。このため
「ニューノーマル」(新たな常態)は経済見通しが長期低迷してい
る状況を指すが、世界的に状況になっている。1937年頃に急に使わ
れ出した言葉としては「過少消費」もあるが、これも同じように現
在、使われ始めている。

いやな感じが、漂っている。特にロシアや中国など軍事力を持つ大
国が、経済的な苦境に陥り、自国経済を取り戻すためにと、隣国へ
侵略することになると、それは第3次世界大戦になりかねない。

戦争の準備として、中国もロシアも、自国民の自由を縛り、戦争に
動員することになる。このため、中国やロシア国内での自由がなく
なることになる。欧米は、自国内で貧富の格差が大きくなり、不満
な国民が増える事になる。

このため、もう1つの心配が、国内不満分子が欧米にいることで、
中東での戦争が、欧米へのテロに変わる可能性がある。今後は、世
界的に安全な場所がなくなることになる。いつ死の危険に遭遇する
か、わからないという状態になる。このため、正常な経済活動がで
きなくなる。

2.経済的な苦境の原因
このようなことになる根本の原因は何かと考えると、世界の人口許
容容量限界に近づいたことによると見ている。日本でも人口が減っ
てきているが、その許容容量限界になり、かつ1人当たりの消費す
る資源や食料が増えてきて、益々許容容量を小さくしている。特に
有機物量の限界に来てることが、大きな原因であろうと見る。

式では、 人口容量=有機物量*環境係数/1人当の消費有機物量

歴史的に5回の人口増大の波があり、石器時代2回、農業時代2回
、工業時代であるが、工業時代後半には石油を使い始めたことで、
有機物量が大幅に増えて、人口容量が増え、かつ1人当の消費有機
物量が増やせる時代である。

しかし、この石油量が徐々に減り始めたというより価格が上昇して
、1人当りの消費有機物量の増大してきた第2次大戦後の歴史的な
流れが変化して縮小し始めたか、人口容量が縮小したことで、人口
を減らそうとする力がかかり始めたようにも感じている。

エボラ出血熱にしても、人口を減らす方向に働くことになり、中東
やウクライナの戦争も人口減少への方向になり、香港の民主化制限
は1人当の消費有機物量の縮小になるのであろう。

と見ると、世界の苦難は、有機物量の問題であるとも見えることに
なる。有機物を増やすことは、植物を効率的有効的に育成する技術
や人工光合成などの技術を研究していくことが重要なことになるこ
とを示している。

日本の地方活性化は、有機物量の増加をどうすればできるのかを問
うことでもあると見る。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
Robert Kagan: America's Dangerous Aversion to Conflict
http://online.wsj.com/articles/robert-kagan-why-the-u-s-wants-to-avoid-conflict-1409942201


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今は第2次世界大戦の起点、「1937年」と類似
金融危機後、長期にわたって失望する世界
ロバート・J・シラー :米イェール大学経済学部教授 2014年10月04日
1929年の株式大暴落が引き金となった大恐慌は、8年でさらに悪化し
た。第2次世界大戦が計り知れない規模の経済抑圧として機能した揚
げ句に、世界経済はやっと回復した。6000万人超が命を奪われ、ヨ
ーロッパとアジアの多くの地域が廃墟と化した。
現在の世界の状況は、これほどの危機に瀕しているわけではないが
、類似点もある。とりわけ1937年のときと似ている。現在も当時と
同様、多くの人々が長期にわたって失望し続けている。長期的な将
来の景気動向をますます懸念しており、厄介な結果を招きかねない。
たとえば、ウクライナ東部での最近の紛争の背景には、2008年の金
融危機が、ウクライナとロシアの経済に与えた影響がありそうだ。
国際通貨基金(IMF)によると、両国は2002年から2007年にかけて目
覚ましい成長を遂げた。この5年間に、実質1人当たりGDP(国内総生
産)は、ウクライナでは52%、ロシアでは46%伸びた。しかし昨年
度の伸び率は、ウクライナではわずか0.2%、ロシアでは1.3%だっ
た。この失望が人々の不満を生み出したととらえれば、ウクライナ
の分離主義者たちの怒りが、ロシア人の不満が、そしてプーチン大
統領がクリミアを併合しウクライナの分離主義者を支援しようとす
る背景が、よく理解できる。
「ニューノーマル」と「secular stagnation」
金融危機後の人々の絶望を言い表すのに、ぴったりの言葉がある。
「ニューノーマル」(新たな常態)だ。経済見通しが長期低迷して
いる状況を指す。PIMCO(大手の資産運用会社)の創設者、ビル・グ
ロス氏が言い出して広まった。
1937年以降の人々の絶望も、新たな表現を生み出した。「長期停滞
」を意味する「secular stagnation」もその1つだ。「secular」は
、「世代」または「世紀」を意味するラテン語に由来する。
「stagnation」は「沼地・湿地」の意味で、毒性の強い危険を生み
出す温床を暗示している。不満の蔓延が、すでにアドルフ・ヒトラ
ーやベニート・ムッソリーニの台頭を後押ししていたのだ。
1937年頃に急に使われ出した言葉としては「過少消費」もある。将
来に不安を感じる人々は、今後迎える困難な時期のために過剰な貯
蓄に走りがちだ。しかも人々が貯蓄する額は、投資できる余地を上
回る。結果として総貯蓄額が増大し、新事業を始めることや、ビル
を建設・販売することにつながらない。投資家は既存の資産の価格
を競り上げるが、それは、景気を減速させるだけだった。
フリードマンは、経済成長の低迷が不寛容、攻撃的なナショナリズ
ム、そして戦争を引き起こしてきた多くの例を紹介している。そし
て、「生活水準の引き上げに価値があるのは、単に生活を向上させ
るだけでなく、人々の社会的、政治的、そして究極的には道徳的な
特性の形成に影響するからだ」と述べている。
私たちは欲張りすぎか
経済成長の重要性を疑問視する人もいる。彼らの多くは、私たちは
欲張りすぎだ、余暇を増やしてもっと質の高い暮らしを楽しむべき
だ、と言っているのだろう。彼らは正しいのかもしれない。
しかし問題の核心は、人々には自尊心と社会的比較の傾向が見られ
る点にある。経済成長が平和と寛容を促す、という希望の根底にあ
るのは、過去の人々と今の自分とを比較する癖だ。
東部ウクライナでのロシアの行動に制裁を科せば、ヨーロッパの内
外で景気後退を引き起こしかねないマイナス面がある。景気が後退
すれば、ロシア人もウクライナ人も不満を感じるようになる。
国境を越える侵略行為には、何らかの制裁が必要だ。しかし極端な
手段や懲罰的な手段を取ることに伴うリスクには、常に留意しなけ
ればならない。制裁を終わらせる合意をまとめ、ロシア(そしてウ
クライナ)をもっと世界経済に溶け込ませ、そしてこれらのステッ
プを経済拡大政策と結び付けるのが、最も望ましい。現在の紛争を
満足できる形で解決するには、相当の努力が必要だ。
(週刊東洋経済2014年9月27日号)
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エボラ出血熱:感染7492人死亡3439人 WHO発表
毎日新聞 2014年10月04日 10時22分
 世界保健機関(WHO)は3日、西アフリカを中心に拡大するエ
ボラ出血熱の感染者(疑い例を含む)が1日までに7492人に達
し、3439人が死亡したと発表した。
 1日発表の前回集計より、感染者は300人以上、死者は100
人以上増加した。把握できていない未報告例も多数あると指摘され
る。
 感染拡大が著しいリベリアでは死者が2069人に達し、2000
人を突破。ギニアは前回集計から約30人増の739人、シエラレ
オネは1人増えて623人。ナイジェリアの死者数は前回と変わら
ず8人だった。(共同)
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エボラ熱、米で4人に隔離措置
2014.10.4 09:30sankei
 【ワシントン=小雲規生】西アフリカで3300人超の死者が出
ているエボラ出血熱の波紋が米国に広がっている。9月30日に国
内初の感染者が確認されたことから、米当局は2日、感染者と接触
した近親者4人に隔離措置を命じたと発表した。米疾病対策センタ
ー(CDC)は感染者が乗っていた航空機内で他の乗客が感染した
可能性はないと強調したが、事態沈静化には時間がかかりそうだ。
 隔離措置を命じられた4人はウイルスの最長潜伏期間とされる約
3週間、自宅からの外出や他人との面会が禁じられる。当局は二次
接触者も含めた約100人に聞き取り調査を行い、接触の度合いや
発熱などの有無を確認中だ。
 米メディアによると、感染が確認されたのはリベリアの首都、モ
ンロビア在住のリベリア人男性で、9月15日にエボラ出血熱を発
症した知人の女性を病院に運ぶなどしていた。20日に米国に入国
したが、19日の出国時には「エボラ出血熱の感染者と接触してい
ない」と申告していたという。
 当局はテキサス州の製薬会社などと協力し、エボラ出血熱ウイル
スに効果が期待される抗体の増産の準備を進める。来年には本格的
な増産に入り、感染拡大阻止に活用したい考えだ。
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コラム:香港デモが見落としている「本当の脅威」
2014年 10月 3日 11:20 JST
Robyn Mak
[香港 2日 ロイターBreakingviews] - 香港の民主化要求デモ
は、香港の未来にとっての「本当の脅威」を見落としている。民主
化を求める学生主導の抗議活動は数万人規模になっているが、香港
市民720万人の大半はデモへの直接参加を敬遠している。
完全に民主的な普通選挙を求めて大勢の人がデモに参加するのはも
っともだ。だが、法の支配と言論の自由が徐々に失われていくこと
の方が、香港の繁栄にさらに大きな脅威をもたらす。こうした懸念
が、中国政府とのあからさまな対立で香港を団結させる可能性は低
い。
学生が主導するデモには多くの人が参加しているものの、一般市民
全体を巻き込むまでには至っていない。その理由の1つに、現実主
義が挙げられるだろう。中国政府は先に、次期香港行政長官選挙で
民主派が事実上立候補できなくする決定を下した。このことは、香
港基本法について中国政府が方針転換したと大筋で理解されている。
だが多くの人にとっては、それでも何もないよりはましであり、次
期長官選挙の制度変更は、中国本土でのさらなる改革の実験なのか
もしれない。
また、恐怖も1つの要因となっている。事態がエスカレートした場
合、中国政府は即座に強圧的な鎮圧に動くという危機感がある。梁
振英・現行政長官は、香港に駐留する中国人民解放軍を投入したと
のうわさを否定し、市民を安心させなくてはならなかった。25年
前の天安門事件に対する中国当局の対応も、こうした不安をいっそ
う募らせている。
真の問題は、今回のデモの要求には、中間層を強い怒りへと駆り立
てるような問題は入っていないことだ。
香港の法の支配と言論の自由は、中国本土とはますます相いれなく
なっている。中国政府はソーシャルメディア上のデモへの言及を検
閲している。また、中国政府が6月に公表した「香港白書」のなか
で、裁判官は愛国的であるべきだと示唆したことも苦い記憶として
残る。
法の支配の低下や検閲の強化は、個人や企業にとって広範な影響を
及ぼす。次期行政長官選挙の制度変更とは異なり、これらは静かに
個々人に忍び寄ってくるため、一致団結したデモに発展する可能性
は低い。
今回のデモは、平和的な抗議活動は可能だと世界に知らしめた。し
かし、香港の運命を変えるには至らないかもしれない。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。
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「最高国家権力への挑戦」=香港デモに警告−中国党機関紙
 【北京時事】3日付の中国共産党機関紙・人民日報は1面の論評
で、香港行政長官の選挙制度民主化を目指し抗議デモを展開する香
港民主派学生らの要求について、「重大原則問題で譲歩の余地はな
い」とした上で、「最高国家権力機関に向けた挑戦であり、最終的
に失敗する」と強調した。論評は習近平指導部の意向を踏まえたも
のだが、これまでにない強硬姿勢で学生らに強い警告を発した形だ。
 民主派学生らは、2017年の行政長官の「普通選挙」から民主
派を事実上排除するとした中国全国人民代表大会(全人代=国会)
常務委員会の決定撤回や、梁振英長官の辞任を要求。これに対し梁
長官は2日夜、林鄭月娥政務官(閣僚)らが近く民主派系の学生団
体との対話に応じると発表したが、人民日報はこれに触れていない。
 論評は「(学生らの)違法な要求や政治スローガンから見て、彼
らは香港の法治や社会秩序を破壊する違法手段を使っており、達成
しようとする政治目的はもはや『真の普通選挙』でなくなっている
」と指摘した。その上で「最高国家権力機関や幅広い香港市民の民
主的権利に対する挑戦であり、人心を得られない」と強い調子で非
難。全人代の決定が「唯一の選択肢だ」として、絶対に従うべきだ
との立場を強調した。
 さらに、学生らの要求について「中央と対抗する人物を行政長官
候補者にする」ことを狙ったもので「非合法かつ不合理だ」と主張
。「香港特別行政区は中央人民政府が直轄しており、国家でも独立
した政治実体でもない」とし、「(学生らは)香港に対する中央政
府の管轄・統治権を認めていない」と強い不快感を示した。
 3日付の中国軍機関紙・解放軍報も1面で、駐香港部隊の兵士が
党の指揮に忠実に、「強軍」に向けて学習している様子を伝えた。
香港情勢を意識した宣伝の可能性がある。(2014/10/03-10:51)
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ウクライナ 停戦が事実上破綻 戦闘激化懸念
10月3日 7時01分NHK
ウクライナ東部の中心都市ドネツクでは、赤十字国際委員会の建物
近くに砲弾が落ちて職員1人が死亡するなど戦闘が続いており、政
府軍と親ロシア派が交わした停戦合意が事実上破綻しているため、
戦闘が再び激化するのではないかという懸念が出ています。
ウクライナ東部では、1日にドネツクの空港で政府軍と親ロシア派
の間で激しい砲撃戦となり、砲弾が学校の敷地内に落ちたり路線バ
スに当たったりして少なくとも市民9人が死亡するなど緊張が高ま
っています。
こうしたなか、ドネツクの空港では2日も砲撃戦となり、およそ5
キロ離れた赤十字国際委員会の事務所の近くに砲弾が着弾し、赤十
字国際委員会によりますと、スイス人の職員1人が死亡しました。
ウクライナ東部では、政府軍と親ロシア派が先月5日停戦に合意し
、ウクライナのポロシェンコ大統領と親ロシア派の後ろ盾となって
いるロシアのプーチン大統領はこれまでのところ、おおむね停戦合
意が守られているとの認識で一致しています。
しかし、今月に入り親ロシア派は戦略上の要衝であるドネツクの空
港の施設に立てこもる政府軍への攻勢を強めており、停戦合意は事
実上、破綻しています。このため、今後、戦闘が再び激化するので
はないかという懸念が出ています。
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6兆ドル規模の公共投資を提言 IMF、低迷長期化警告
 【ワシントン共同】国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事
は2日、ワシントン市内で講演し、世界経済の長期的な低迷を警告
した上で、成長に弾みをつけるため今後15年間で総額6兆ドル(
約650兆円)規模の公共投資の実行が必要だと提言した。来週開
くIMFの年次総会の議論に反映させる。
 ラガルド氏は、世界経済の現状について「引き続き弱い」と分析
。来年の成長率についても「わずかに上向くだけだ」とし、4・0
%としていた従来予想よりも下方修正する考えを示した。
 低成長の長期化だけでなく、先進国の金融政策の変化や金融市場
の過熱感などの問題に直面していると警戒した。
2014/10/03 05:11   【共同通信】
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「イスラム国」戦闘で市民9347人死亡 国連報告書
パリ=青田秀樹2014年10月3日01時00分 asahi
 国連イラク支援団(UNAMI)は、過激組織「イスラム国」を
めぐる戦闘で犠牲になったイラク市民らが、今年1月からの9カ月
間で少なくとも9347人にのぼるとの調査結果を明らかにした。
負傷者は1万7千人超だとしている。
 UNAMIと国連人権高等弁務官事務所が2日に公表した報告書
によると、死者の半数は6〜8月の3カ月間に集中している。また
、8月時点で180万のイラク人が居住地を追われたとも推計した。
 報告書は「イスラム国」について、イラク北部などの支配地域で
、「少数民族や異教徒を意図的、組織的に攻撃対象にして弾圧、排
除をはかった」と指摘。「市民の殺害、処刑、誘拐、性的暴力があ
ったとの報告も受けた」とし、「人道への罪」にあたる可能性があ
ると強く非難した。
 一方、イラク治安当局側の対応も問題視した。「イスラム国」へ
の空爆や砲撃などで、「人道への罪」に触れる例があるとの報告を
受けている、とした。(パリ=青田秀樹)
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原油先物が大幅下落、サウジの大幅値下げで2012年6月以来の安値
2014年 10月 2日 20:01 JST
[ロンドン 2日 ロイター] - 原油先物価格は2日大幅下落し、
2012年6月以来の安値をつけた。サウジアラビアの国営石油会
社、サウジアラムコが1日、アジア向け価格を大幅に引き下げたこ
とから、供給過剰懸念が浮上している。
北海ブレント先物11月限LCOc1は2.43ドル下落し、1バレル=
91.73ドルをつけた。
米原油先物11月限CLc1は2.33ドル下落し、1バレル=88.40
ドルをつけ、2012年6月以来の安値となった。
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親ロ派、空港を総攻撃=EU制裁発動も−ウクライナ
 【モスクワ時事】ウクライナ政府軍は2日、東部ドネツク州の州
都ドネツクの国際空港に対し、親ロシア派武装勢力が総攻撃を仕掛
けてきたと明らかにした。インタファクス通信が伝えた。
 ドネツク中心部を親ロ派が支配する中、要衝である国際空港だけ
は政府軍が死守してきた。しかし、9月5日の停戦合意後も親ロ派
は攻撃を継続。親ロ派「ドネツク人民共和国首相」を自称するザハ
ルチェンコ氏は10月1日、数日中の完全攻略を目指す考えを示し
ていた。
 欧州連合(EU)は、親ロ派が攻撃を停止せずに空港を制圧した
場合、後ろ盾のロシアに追加制裁を発動する可能性があるとも伝え
られている。(2014/10/02-19:09)
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安保理決議案で支援金停止も=16年までの占領終結要求−パレス
チナ
 【エルサレム時事】パレスチナ自治政府のアッバス議長は1日、
ヨルダン川西岸ラマラで記者団に対し、イスラエルの占領終結とパ
レスチナ国家樹立の実現を後押しするための国連安全保障理事会決
議の採択を目指していることについて、「安保理に向かわないよう
強い圧力を受けている。主に支援金に関するものだ」と述べ、米国
からの支援金停止の可能性を示唆した。AFP通信が伝えた。
 自治政府は米国から年間約7億ドル(約760億円)の支援を受
けている。パレスチナが安保理理事国に配布した決議案の草案では
、2016年11月までに、東エルサレムを含む第3次中東戦争(
1967年)以降の占領地からイスラエルが完全に撤退することな
どを要求。アラブ諸国を代表してヨルダンが、3週間以内に決議案
を提出する予定だという。(2014/10/02-08:37)
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「格差」が経済の大きな足かせになる理由
2014.10.02(木)  Financial Times
(2014年10月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
格差というものは、どこまで拡大したら懸念すべきなのだろうか。
これは道徳や政治の問題だが、経済の問題でもある。今日では、格
差はある点を超えると重大な経済問題をもたらすとの認識が広まっ
ている。
 世界で最も重要な高所得国であり、国内の格差が図抜けて著しい
国でもある米国は、格差が経済にどんな悪影響を及ぼすかを教えて
くれる試験台になっている。その結果は憂慮すべきものだ。
 この認識は今や、普段なら社会主義だと指弾されることのない金
融機関などにまで広がっている。格付け会社スタンダード・アンド
・プアーズ(S&P)の米国チーフエコノミストの手によるリポート
と、大手金融機関モルガン・スタンレーのリポートは、格差は拡大
しているだけでなく米国経済に打撃を与えているとの見方に同意し
ている。
米国に見る所得格差の拡大
 米連邦準備理事会(FRB)によれば、2013年の米国では、所得階層
の最上位3%の世帯が全世帯の所得合計の30.5%を受け取っており、
それに次いで豊かな7%の世帯が16.8%を受け取っている。つまり、
残り90%の人々の取り分は半分をわずかに上回る程度だった。
 また、1990年代前半以降にこの所得の取り分が拡大したのは、最
上位の3%だけだった。さらに、2010年以降は世帯所得のメジアン(
中央値)が低下する一方で平均値は上昇している。つまり、所得格
差は拡大を続けているということだ。
 モルガン・スタンレーのリポートは格差拡大の要因として、低い
スキルしか求められない低賃金で不安定な職の割合が高まっている
こと、高学歴の賃金プレミアムが拡大していること、税や歳出の政
策による所得再分配の規模が20〜30年前よりも小さくなったことな
どを挙げている。
 その結果、経済協力開発機構(OECD)によれば、米国は2012年に
、比較的賃金の低い職の割合が高所得国の中で最も高い国になった
。また米連邦政府の移転支出のうち、所得階層で最下位20%の人々
の手に渡る割合は、1979年には54%だったものの、2010年にはわず
か36%にとどまっていた。
 逆進性――それぞれの負担能力と比較した時に、貧しい人の負担
が豊かな人のそれよりも重くなること――のある給与税が2015年度
の連邦政府の歳入に占める割合は、32%に達すると予想されている
。これに対し、高所得者の負担が相対的に重い連邦所得税の割合は
46%になると見込まれている。
 企業幹部の報酬がほかの人々に比べて大幅に増えていることに加
え、労働者から資本家に所得がシフトしていることも重要だ。FRBの
政策も比較的裕福な層に恩恵をもたらしてきた。FRBは資産価格を引
き上げようとしているが、その資産の大部分は富裕層が保有してい
るのだ。
 こうした報告から、格差の拡大が経済に及ぼす影響が2つ浮き彫り
になる。1つは弱々しい需要。もう1つは、教育水準向上ペースの鈍
化である。
いつまでも弱々しい需要
 あの金融危機がやって来るまでは、需要に関する最大の議論は、
実質所得が増えない人の多くがその穴埋めに借金をしているという
ものだった。
 住宅価格が上昇していたからこそできたことで、2007年後半には
、債務残高が可処分所得の135%相当額でピークに達した。
 そこに危機がやって来た。多額の債務を抱え、追加の借り入れも
できなくなった低所得者は支出を切り詰めるしかなくなった。「モ
ーゲージエクイティ引き出し(MEW)*1」も激減した。その結果、消
費の回復は過去に例がないほど弱々しいものになっている。
 返済能力のない人に向こう見ずに貸し付けるのは、理にかなった
ことではない。だが上記の状況は、お金を使う人に所得が再分配さ
れるか、新たな需要の源が出現するのでなければ景気は浮揚しない
ことを示唆している。
 残念ながら、後者の新たな需要源がどんなものなのか、全く分か
らない状況にある。政府は支出を増やせる状態にない。企業は、需
要に大きな伸びが見込めないことから投資を手控えている。純輸出
も期待できない。今ではどの国も輸出主導の経済成長を望んでいる
からだ。
教育レベルの向上ペースが鈍化
 米国では教育を巡る状況も悪化している。現在25〜34歳の世代が
受けた教育のレベルが55〜64歳の世代が受けた教育のレベルと変わ
らない国は、高所得国では米国だけだ。
 これは、大学教育大衆化の時代を切り拓いた米国にほかの国々が
追いついてきたためでもあるが、貧しい環境に生まれ育った子供た
ちが、大学を卒業するのが難しい状況に置かれているためでもある。
*1=住宅資産の価値の上昇分を現金化して引き出すこと。具体的に
は、住宅価格が上昇した時に、それまでよりも大きな額の住宅ロー
ンに借り換えて手元の現金を増やすことなどを指す
 S&Pのリポートによれば、最も貧しいグループに入る世帯で大学
を卒業した人の割合を1960年代前半生まれと1980年代前半生まれで
比較すると、この20年間で約4ポイントしか上昇していないことが分
かるという。一方、最も富裕なグループに入る世帯では、この値が
同じ時期に20ポイント近く伸びている。
 しかし、大学卒でなければ、社会階層を駆け上ることができる可
能性はかなり小さくなってしまうのが実情だ。その結果、裕福な家
庭の子供たちは大人になっても裕福であり続ける公算が大きく、貧
しい家庭の子供たちは大人になっても貧しいままとなる公算が大き
くなっている。
 これは、持てる才能を発揮できない人たちだけの問題ではない。
国全体の教育水準を高められなければ、その国の長期的な成功にも
響く公算が大きい。教育を受けたことによる利益の中には、地位財
を得たことへの報酬も含まれているかもしれない。ゼロサムのレー
スを勝ち抜いてきたため、ほかの人よりいい生活ができるというこ
とだ。
 しかし、国全体の教育水準が高まれば、国民全員がより高いレベ
ルの繁栄を謳歌できるようにもなる。
共和国の理想が浸食される恐れ
 格差の拡大が社会にもたらすコストはまだある。筆者が思うに、
その中でも最大のコストは、市民性の共有という共和国の理想が侵
食されることだろう。
 米国の連邦最高裁判所は、富裕層の意に沿うように憲法を曲げよ
うとしており、政治的平等という共和国の前提が危険にさらされて
いる。富や権力において格差が大きく広がることは、以前にもいろ
いろな共和国を空洞化させてきた。この時代でも同じことが繰り返
される恐れがある。
 とはいえ、そのような懸念を持たない人々にとっても、格差拡大
がもたらす経済的なコストは無視できないはずである。米国のロー
レンス・サマーズ元財務長官が言及した需要の「長期的停滞」は、
所得の再分配の変化に関係しているからだ。
 同様に、貧困層が教育の面で不利になる状況が次の世代に受け継
がれていることも、経済発展の大きな足かせになりつつある。借金
まみれで教育水準も上がらない経済では、将来の成功はおぼつかな
い。
By Martin Wolf
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エボラ熱拡大、「数兆円の経済損失に」 世銀総裁
ワシントン=五十嵐大介2014年10月2日09時56分asahi
 世界銀行のジム・ヨン・キム総裁は1日の講演で、西アフリカで
拡大するエボラ出血熱について、「他の国に感染が広がれば、経済
的な損失は数百億ドル(数兆円)かそれ以上にのぼる可能性がある
」との見方を示した。
 キム氏は被害が最小限で食い止められた場合でも、ギニア、リベ
リア、シエラレオネの3カ国の経済損失は数億ドル(数百億円)に
なるとの試算を紹介。そのうえで「いま拡大を止めなければ、他の
国や大陸にも広がり続ける」と警告した。世銀は3カ国に総額4億
ドルの支援を表明し、すでに1億ドルを送金した。キム氏は「さら
なる行動が必要だ」と述べ、追加支援の必要性を訴えた。
(ワシントン=五十嵐大介)
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シリア:16万人が隣国避難
毎日新聞2014-10-02 02:48:48
 国連のエイモス事務次長(人道問題担当)は9月30日、国連安
全保障理事会の非公式会合で、シリアの人道状況について報告した
。イスラム過激派組織「イスラム国」がシリア北部アレッポ北郊に
進撃したため、この数日間だけで16万人以上のシリア人が隣国ト
ルコに避難したことを明らかにした。
 エイモス氏によると、イスラム国の攻勢が続けば、さらに数万人
の規模の難民が発生する恐れ...
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米国初のエボラ感染者、子ども含む最大18人が接触 
2014年 10月 2日 06:11 JST
[ダラス 1日 ロイター] - 米国内で初のエボラ出血熱感染者が
確認されるなか、ダラス郡の保健当局者は1日、現時点で子どもを
含む12─18人がこの患者と接触した可能性があるとみて、これ
らの人々を対象に経過観察を行っていることを明らかにした。
患者の男性は28日、病状が深刻化したため、テキサス・ヘルス・
プレスビテリアン病院に入院した。ただ、男性はその2日前の26
日にすでに同病院で診察を受けており、その際、病院側は抗生剤を
処方しただけで男性を帰宅させたことが判明している。この結果、
この男性と接触した人が増えた可能性があるとみられている。
男性は週末、ダラス地区に住む5人の生徒と接触した。当局では、
この生徒らを含め、男性と接触した可能性のある人全員について、
向こう21日間、経過観察の対象になるとした。
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香港は「中国の香港」だ!デモを支持する海外の動きに断固反対す
る―中国外交部
Record China 10月1日(水)4時0分配信
2014年9月29日、中国外交部の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は
、「28日早朝から香港では違法な集会が行われ、セントラル(中環
)地区が占拠されている。中央政府は、香港で社会の安定と法治を
破壊するいかなる違法行為にも断固反対する」と述べた。香港紙・
文匯報(電子版)が伝えた。
華報道官はさらに「香港は中国の香港であり、香港情勢は中国の内
政に属することから、いかなる国の支持や干渉にも反対する。これ
らの国は慎重に行動し、間違ったシグナルを発することのないよう
希望する」と語った。
香港では香港行政長官選挙制度をめぐり、中央政府の決定に反発し
た学生だが26日から抗議デモを実施。28日には学生1万人と機動隊が
激しく衝突。催涙弾も発射される事態に発展した。29日、学生たち
は金融街のセントラルを占拠して抗議活動を継続している。
(翻訳・編集/本郷)
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ピムコ上場投資信託から資金流出、グロス氏退社後
2014年 10月 1日 03:51 JST
[30日 ロイター] - 米債券運用会社パシフィック・インベスト
メント・マネジメント(PIMCO、ピムコ)は30日、「トータ
ル・リターン上場投資信託(ETF)」(BOND.P: 株価, 企業情報,
 レポート)について、ビル・グロス氏退社後2日間の資金流出が5
億5000万ドル近くに上ったことを明らかにした。
ただ29日の流出額は9800万ドルと、退社を発表した前週末
26日の4億4800万ドルから大きく縮小したとしている。
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ユーロ圏失業率、11.5%=8月
 【ロンドン時事】欧州連合(EU)統計局が30日発表した8月
のユーロ圏失業率は、季節調整済みで11.5%と、前月と変わら
なかった。
 国別では、オーストリアが4.7%と最も低く、ドイツは4.9
%だった。一方、スペインは24.4%。6月分が最新の数字であ
るギリシャは27.0%だった。(2014/09/30-19:55)
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コラム:エボラ流行は「人道危機」、別の病気の死者も増加へ
2014年 09月 29日 13:17 JST
Michael Corones
[26日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)は25日、西アフ
リカの5カ国でエボラ出血熱により約3000人が命を落としたと
発表した。また米疾病対策センター(CDC)は、有効な策が講じ
られなければ、来年1月までに感染者数は55万─140万人に達
する恐れがあると警告した。
しかし、今年3月にギニアで始まり、リベリア、シエラレオネ、ナ
イジェリア、セネガルに広がったエボラ熱の流行は、恐ろしい現実
のほんの一部でしかない。ギニアでは先に、エボラ熱に関する啓発
活動をしていた地元政府職員ら8人が住民によって殺害された。感
染者は医療機関での受診を避けている。WHOによると、医療従事
者のエボラ熱感染者は373人で、そのうち208人が死亡した。
国際的な医療関連慈善団体「ウェルカム・トラスト」のジェレミー
・ファラー代表によると、西アフリカの公衆衛生システムは壊滅的
状況に追い込まれているという。
その結果、来年はマラリアによる死者が4倍に増え、予防接種プロ
グラムの破たんで子供がジフテリアやポリオや結核にかかるリスク
が高まると専門家らは指摘する。医療の崩壊が出産の現場や糖尿病
や精神疾患の治療などにも影響することは言うまでもない。
つまり、これは時間との闘いだ。WHOのディレクターを務めるク
リストファー・ダイ氏は、もし対策が部分的にしか成功しなければ
、エボラ感染は西アフリカで永久的な脅威になりかねないと警鐘を
鳴らす。
エボラ熱とそれによる巻き添え被害が広範な人道危機になる前に、
国際社会が感染を阻止できることを願うばかりだ。
 *筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的
見解に基づいて書かれています。
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アングル:ささやかれる「1ユーロ=1ドル」到来、通貨戦争再燃も
2014年 09月 29日 14:49 JST
[ロンドン 26日 ロイター] - 主要銀行の間で増えつつある予
測を信じれば、第3・四半期のドル相場急進は、政治家や中央銀行
当局者が無視できない劇的変化の始まりだ。
ゴールドマン・サックス、バークレイズ、モルガン・スタンレーな
ど、世界の主要銀行10行のうちの複数行が、26日時点で1ユー
ロ=1.27ドルだったユーロ/ドルEUR=が等価(1ユーロ=1ド
ル)もしくはほぼ等価に下落すると予測している。実際にそうなれ
ば、10年超ぶりとなる。
そのような予測は、貿易収支や国際収支では説明がつかない。ユー
ロ圏の貿易・経常収支は、主にドイツのおかげで大幅な黒字だ。
では、何が要因か。エコノミストのユーロ圏経済に対する悲観的な
見方だ。エコノミストは、ユーロ圏の今後の成長に懐疑的で、低金
利政策をとり続けてきた欧州中央銀行(ECB)がきれるカードは
ユーロ押し下げぐらいしかない、と考え、それがコンセンサスにな
っている。
<FRB当局者も懸念>
そのような状況に、米株市場と米連邦準備理事会(FRB)幹部が
懸念を示し始めた。
米ニューヨーク連銀のダドリー総裁は22日、インフレと成長に言
及し「ドルが大幅に上昇すると、インフレは抑制される傾向がある
。そうなれば、われわれの2つの目標達成が一段と難しくなる」と
述べ、それを考慮する姿勢を示した。
2008─09年に一部新興国が指摘した「通貨戦争」という状況
にはまだほど遠いものの、11月に中間選挙がある米国では、ドル
の一段の上昇には政界も神経をとがらせている。ダドリー総裁や、
緩和政策支持派は今後もドル高警戒発言が繰り返すことが予想され
る。
HSBC(ロンドン)のシニア為替ストラテジスト、ダラフ・マハ
ー氏は「ダドリー総裁の発言は、まっとうな理論で、特に警告とい
う意味合いはない」としたうえで「口先介入は、今のような為替の
動きが続けば、繰り返されるものだ」と述べた。
ドルの上昇は、いくつかの指標によれば、すでにかなり進んでいる
。四半期ベースでは6年ぶりの上昇ペース。週間でも、9月22─
26日の週で11週連続上昇。これは金本位制崩壊後、最長だ。
ただ、対ユーロで大体1.20─1.50ドルという過去10年間
のレンジはまだ抜けていない。市場ウォッチャーは、過去にも同様
なドル高観測が台頭したものの、結局その通りにはならなったと警
告する。
<構造的シフト>
だがバークレイズの為替戦略責任者、マービン・バース氏は「今後
構造的なシフトがあるだろう。それをユーロ圏が必要としているか
らだ」と語る。
バークレイズは9月に入り、来年のユーロ相場予想を1.10ドル
に引き下げた。バース氏は、これは始まりに過ぎないという。
「ユーロはすでに対ドルで公正価値をわずかに下回った。それが、
(ユーロ圏にとって必要な)過小評価の度合いを推し量るヒントに
なる」とし「こうしたトレンドは、複数年にわたるユーロ下落を裏
付ける。ユーロとドルの等価に向けた動きと結論付けるのは理にか
なう」と述べた。
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南米の好況が終わり、次は政治的な波紋
2014.09.29(月)  Financial Times
(2014年9月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ベネズエラはデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に立っているかも
しれない。アルゼンチン経済はダウン寸前だ。そして、汚職と景気
後退入りした経済にうんざりしたブラジル国民は、間もなく野党の
候補を大統領に選ぶかもしれない。
 これらの国の共通点は何か? これから起きることの予兆である
。南米の最も脆弱な経済国として、3カ国の現状は10年にわたる南米
の好況期が終わりに近づいていることを示す明白な兆候だ。これは
恐らく地域に重要な政治的変化も強いることになるだろう。
コモディティー景気と「ピンクの潮流」
 10年前、中国が原動力となったコモディティー(商品)価格高騰
が「ピンクの潮流(左派の台頭)」と重なった。
 社会主義者のウゴ・チャベスがベネズエラ大統領で、アルゼンチ
ンにはネストル・キルチネルとクリスティナ・フェルナンデスの夫
婦コンビがおり、ブラジルにはカリスマ的なルイス・イナシオ・ル
ラ・ダシルバがいた。
 実質賃金が上昇し、雇用も拡大した。一方、大好況とともに中間
層が拡大し、大陸全土で格差が縮小した。好況期は永遠に終わらな
いように見えた。時の政権にとっても、良い時代が続くように思え
た。
 ベネズエラのボリバル革命は16年間にわたり政権を握っている。
フェルナンデス大統領の連立政権は12年、ルラ・ダシルバ氏の労働
党も12年政権の座にある。しかし、これほど長く政権を握っている
政府はどれも、時勢に疎くなる恐れがある。
 経済状況が変わっている時には、特にそうだ。中国経済は冷え込
みつつあり、コモディティー価格が下落している。これで経常赤字
拡大などの脆弱性が露呈する。一方、米国の金利上昇はこうした赤
字を穴埋めするのを困難にする。さらに、拡大した中間層は、長く
続いた消費者信用の急拡大の後で弱っている。
ブラジル大統領選が象徴する新たな政治トレンド
 現在最も脆くない国は、投資を優先した国だ。例えば、ペルーと
コロンビアは国内総生産(GDP)比28%というアジア並みのペースで
投資を行っている。
 これに対して最も脆弱な国は、ベネズエラやアルゼンチンなど、
好況への対処を誤り、今になって衝撃的な政治的変化に直面してい
る国々だ。10月5日に有権者が投票所に向かうブラジルが、この状況
を浮き彫りにしている。
 大統領選挙は接戦だ。一方にいるのは、ジルマ・ルセフ大統領。
善意のテクノクラートで、残念ながらその考え方が1970年代から抜
け出せないように見える人物だ。ルセフ大統領の国家統制主義的な
政策はスタグフレーションをもたらし、コモディティー依存からの
脱却を妨げた。
 同氏の最大の対抗馬は、環境保護主義者で、投資拡大を図るサプ
ライサイドの政策と中央銀行の自治強化を約束したマリナ・シルバ
氏だ。
 シルバ氏が勝てば、多くの意味で注目に値する出来事となる。
 1つには、シルバ氏の勝利はブラジルの外交関係を変える可能性が
ある。労働党は12年にわたって地域の左派諸国を支援してきたため
、この支援がなくなると、南米の政治地図が塗り替わり、ひいては
世界の他地域との関係が変わるかもしれない。
 例えば、シルバ氏の顧問らはすでに、米国および欧州との貿易協
定を目指すことを話題にしており、アルゼンチンやベネズエラも参
加する保護主義的な貿易圏の南米南部共同市場(メルコスール)の
評価を下げている。
 次に、シルバ氏が勝てば、過去10年間で初めて、中南米の現職が
再選をかけた選挙で野党候補に敗れたことになる。これは地域の経
済の減速に伴う新しい政治トレンドを示しているのかもしれない。
貧困から抜け出した新たな中産階級と若者
 このトレンドを形作っている1つの要素は、過去10年間で貧困から
抜け出し、国の施しよりも機会を重視するささやかな中産階級を形
成した7000万人の中南米市民だ。もう1つの要素は、現状に幻滅した
世代が大人になったことだ。
 中南米では、人口の半分以上が27歳未満だ。彼らは連帯感が強く
、新しい考えに興味を持ち、右派の縁故資本主義と同じくらい左派
の縁故資本主義を疑っている。
 実際、シルバ氏への支持はこの両グループの間で最も強い。もし
かしたらそれは、社会階層を上がっていける若い人の方が、シルバ
氏が掲げる「希望」や「変化」といったバラク・オバマ流の約束に
影響されやすいためかもしれない。だが、この状況は中南米の好況
期が終わった時に訪れる世界を物語っている可能性もある。
By John-Paul Rathbone in London
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ロシア外相「ウクライナは犠牲者」 欧米の介入を批判 
2014/9/28 3:40nikkei
 【ニューヨーク=川合智之】ロシアのラブロフ外相は27日、ニュ
ーヨークで開催中の国連総会の一般討論演説で「ウクライナは(欧
米の)尊大な政策の犠牲となっている」と批判した。米国主導のイ
ラクやアフガニスタンとの戦争などで「国際制度の安定性はひどく
揺るがされてきた」と強調、ウクライナの「内戦」に欧米が介入し
ないよう警告した。
 イラクやシリアなどで勢力を拡大する過激派「イスラム国」など
のテロ集団に立ち向かうことは「重要な問題だ」とした一方で「テ
ロとの戦いは国際法に基づくべきだ」と指摘。シリアのアサド政権
の要請や国連安全保障理事会の決議などがない段階で、米などがシ
リアへ空爆を進めたことを非難した。
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株に不吉なヒンデンブルグ・オーメンの影
「都市伝説」か、それとも「暴落のサイン」か?
平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト 
2014年09月28日toyokeizai
9月の株式相場は当初心配された調整安もなく、日経平均株価は去年
11月以来の強い月足で終わりそうだ。
原因は「米国株高・ドル高」であることは言うまでもない。FOMC、
スコットランド独立問題、アリババ上場、SQ(特別清算指数)算出
日など、米国は重要イベントをすべて波乱なく越えた。芳しくなか
った住宅関連指標も、8月の新築1戸建て住宅販売件数について、
前月比の伸びが1992年1月以来となったことで解消された。業績相
場に入った米国株は、ドル高を伴い、金利高を飲み込みながら上値
を追っている。
「ヒンデンブルグ・オーメン」とは?
しかし、今週のNYダウは9月19日の史上最高値更新(1万7279.74ド
ル、終値ベース)のあと、すべての営業日で前日比100ドル以上の上
げ下げとなり、高値波乱の様相を示して来た。この状況の中で、「
『ヒンデンブルグ・オーメン』の、呪いの影が見えた」(岡三証券
・平川昇二チーフエクイティストラテジスト)という。
ヒンデンブルグ・オーメンとは、1937年5月6日にアメリカで発生し
た、ドイツの飛行船「ヒンデンブルク号」(ヒンデンブルグ号とも
)の爆発・炎上事故に由来する、株式市場での呪いの指標。オーメ
ンは直訳すれば、前兆のことである。
やや専門的になって恐縮だが、株式市場で「ヒンデンブルグ・オー
メンのサインが出た」という場合は、以下の3〜5つの条件が同じ日
に起こったときのことをいう。主なものをあげると、NY証券取引
所の52週高値更新銘柄と安値更新銘柄の関係、短期的な騰勢の指標
である「マクラレン・オシレーター」の値がマイナス等、のテクニ
カル指標である。
いったん発生すると、1カ月間は有効とされ、80%弱の確率で「5パ
ーセント以上の下落」が起きると言う。これが9月23日に現れたのだ。
去年4月にロイター通信の杉山容俊記者の「警告記事」が出た後の、
「5月波乱」は記憶に新しい。しかも、同年5月23日の日経平均は
1143円安で、呪いは、実は関係のない日本の方に強く現れたりした
わけだ。まさに「株式市場での都市伝説的な指標」だが、このタイ
ミングで現れたことは、心に留めておく必要はあるだろう。



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