自民党総務会で、金融緩和の出口議論を始めるという。ローカル経 済とグローバル経済が連動しない現実を見て、方向転換するようで ある。やっと、このコラムで騒いでいることが政治家に届いたよう である。 しかし、日本は金融緩和をしても復活できなかったことになり、復 活の打つ手が、だんだん、限られてきたことになる。 金融量的緩和は時間稼ぎで行い、その間に第3の矢である構造改革 を大胆に行わないと、日本が危ないと騒いでいたが、とうとう、時 間が尽きてしまったようである。 今のようなターゲットを広くした構造改革では、力が分散してうま くいかないと前から言っていた。それが現実化している。 第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏は消費税増税賛 成派であったが、それがとうとう、次の消費税増税は難しいと言い 始めた。 次の戦略を立てないと、安倍首相は漂流して、日本の破綻を引き起 こすことになる。誰を信じるかを間違えた結果がこうなったとも言 えるようだ。もう新自由主義者の意見を聞いてはいけない。かと言 って、保守的な意見を聞いてもダメで、実態に即した現実主義者の 出番になっている。 今の現実は、今までの歴史的には江戸時代中期以降の状況によく似 ている。江戸中期の農学者の大蔵永常に学ぶしかない。 「広益国産考」である。特産品を作るかを考えないとグローバル時 代では、すぐに真似されて、付加価値が落ちてしまう。このを防ぐ ためには、適地適作にして、他国ではできないことをすることであ る。 残された時間は、どんどん少なくなってきたように思う。自民党の 保守主義では、恐ろしいことになるような気がする。 さあ、どうなりますか? ============================== 金融緩和の出口議論へ 自民党総務会 2014.9.26 13:32 sankei 自民党の二階俊博総務会長は26日の記者会見で、日銀が昨年4 月に導入した大規模な金融緩和に関し、将来の出口戦略の在り方に ついて総務会として議論する考えを示した。「大変重要な問題だ。 できるだけ早い機会に意見交換する場を設けたい」と述べた。 これに先立つ総務会で、村上誠一郎元行政改革担当相らから「物 価と消費税率だけ上がって給料が上がらない。方向転換しないとい けない」「金融緩和の出口戦略を真剣に考えるべきだ」との意見が 出た。 ============================== 消費増税に黄信号? 専門家「今後の消費も伸びないでしょう」 dot. 9月19日(金)7時14分配信〈週刊朝日〉 週末の夜の銀座、終電間際の時間になると、そそくさと帰る人の 波ができる。 アベノミクスで沸いた1年前の銀座は賑わっていた。色とりどりの ドレスに身を包んだ女性が客を見送る姿が多く見受けられたし、タ クシーをつかまえるのが大変だったのに――。 周りの人の消費につられて自分も消費してしまう。アメリカの経 済学者のハーヴェイ・ライベンシュタインは、このような効果を「 バンドワゴン効果」と呼んだ。 そう、景気は「気」から。アベノミクスによって景気回復への期 待感が高まり消費に積極的な人が出て、それがジワジワと広がりつ つあった。それなのに、4月に実施した8%への消費増税が、せっか くの「気」を冷え込ませたのだ。 各種の経済統計の悪化が相次いでいる。 商店主などに景況感の実感を聞く景気ウオッチャー調査では、景 気の現状を示す指数が8月は前月比で3.9ポイント減の47.4と、4カ月 ぶりに悪化。4〜6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率も7.1%減 (年率)と、リーマンショック後の2009年1〜3月期以来の落ち込み となった。 また、8月の自動車の新車販売台数は前年同月比9.1%減と大幅な 落ち込み。7月の家電量販大手4社の売上高は、ヤマダ電機が前年同 月比約9%減と4カ月連続のマイナス。他社も2〜7%減となった。 これまで「反動減は想定内」と言っていた政府と日本銀行。だが 、このような状況を受け、日銀は14年度の経済成長率の見通しを従 来の1.0%から引き下げる方向で検討に入った。日銀の黒田東彦(は るひこ)総裁も4日、「消費の戻りがやや遅れている」との見方を示 さざるを得なかった。 以前から増税に反対姿勢を取っていた三菱UFJリサーチ&コンサル ティング主任研究員の片岡剛士氏は、 「残念としか言いようがない。金融緩和でよくなったのに回復途上 の日本経済にブレーキを踏ませた。予想できたことです」 とため息をつく。 日銀の異次元緩和と米国景気の回復傾向を受け、円安株高が進行 。業績改善した大企業は、安倍政権が強く求めたこともあり、賃上 げを進めた。非正規社員の社員化も一部で進んだ。デフレ不況から ようやく脱却しつつあった。 しかし物価の上昇率に賃金の上昇がまだ追いついていなかったう え、賃上げの恩恵が中間層より下まで行き渡っていなかった。そん な中で消費税を8%に引き上げたため、多くの人が財布の紐を締めた のだ。 「消費の落ち込みは反動減と言われていますが、増税前の駆け込み 分を上回っています。所得が増えなければ、今後の消費も伸びない でしょう」(第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏) ※週刊朝日 2014年9月26日号より抜粋