5139.資本主義の終焉



水野さんの「資本主義の終焉と歴史の危機」を読んだ。私が問題視
していることを別の視点で見ている。

私の視点は、資源価格が高騰しているのに、新興国の製造業がある
ために、世界的なデフレになり、資源価格高騰なのに製品価格の値
上げができずに、原価が上昇して、付加価値が下がり、先進国の労
働者の賃金が下がっている。または、先進国の工場が、賃金が安い
新興国にシフトしているというものである。

そして、先進国では資本家や企業家が利益を確保するので、変わら
ないのに、労働者の賃金が下がり、格差が広がることになると見て
いる。

水野さんは、投資家が得る利潤率が低下して、金利もゼロになって
いるという。金融業界から見ると、そう見えるのであろう。そして
、それは16世紀にもあり、周辺がなくなり、儲けることができな
くなったのと同様なことが起こっているという。この16世紀の危
機を助けたのが、英国の海外植民地と言う周辺を作ったことである。

しかし、現在、地理的な拡大はできずに、周辺がなくなってきた。
このため、米国は金融・投資分野をクローバル化するという周辺を
作ったが、この分野はバブルを作り、そのバブル崩壊で実体経済も
破壊し、その破壊を修復するために、より大きなバブルが必要にな
る。そして、現在、周辺を先進国内部に作り、労働者たちから奪う
ことで利潤を確保することになる。これが先進国で格差が拡大する
理由という。見ている視点は違うが、同じ結果になる。

しかし、その後の対応策が金融的に見ると、出てこない。

しかし、私が見る付加価値が低くなるという視点では、より高い付
加価値分野にシフトするという対応策が出てくる。

資源分野と植生分野である。町工場も強いはず。3つとも、技能が
必要である。マニュアル化できる加工業などは、新興国にシフトし
てしまうが、職人技や経験と勘の分野は、移ることができない。

農業でもリサイクルでも知識だけではダメで、その上に経験と勘が
必要であり、例えば、触っただけでミクロンレベルの厚さを見るこ
とができるという職人は、このグローバル時代でも、必要である。

感覚を研ぎ澄ますことが必要になる。知識だけでは無理である。

いかし、江戸時代中期以降と同じような時代が来ることになる。定
常状態という時代である。この定常時代では、ゼロサムであるので
、成長する地域があると、没落する地域ができ、競争がある。しか
し、誰でも儲けるということはできなくなる。

金利はゼロのままであり、金利だけで儲けるという感覚が無くなる。

小さく始めて、良ければ、金が集まってくるので、大きくすること
になる。お金の時代から知恵・技能の時代になる。

オンリーワンしか生き残れない時代とも言える。大企業は益々強く
なる時代である。

資本主義の次の時代も、修正資本主義である。社会主義も共産主義
にもならない。

さあ、どうなりますか?



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