5138.イスラム国への有志連合は失敗



グローバル誌に「Why the Military Campaign Against ISIS Will 
Fail」が載っている。論者は、Jean-Pierre Lehmann氏であり、ス
イスのIMDの名誉教授である。

米国の仕掛けた有志連合は、失敗である。これを理解するためには
、歴史を考える必要がある。究極的には、イスラム国の存在は、西
洋のキリスト社会と違って、社会改革が出来ていないことによる。

これは、根本の矛盾を示す。イスラムは、早い時期には知識が高ま
ったが、今はそうではない。それに比べて、西洋は現代を規定する
科学的、工業的な革命を達成し、イスラムの地位を奪い取っている。

アラブ世界では、内部から変わろうとしない。アラブの評論家は、
現代社会に加わらない理由として、西洋の帝国主義を上げる。

アジアでは西洋的な考え方が広がっているが、アラブは西洋の影響
を受けない。

アラブでは、自由、知識、女性の位置が欠乏しているし、これを改
善することもない。昔と同じである。大きな都市は世界的な位置に
いるが、それ以外は昔のままである。というより、逆戻りしている。

このため、アラブを改善することは無理である。欧米の介入は、す
べて失敗する。介入は、事態をより悪くする。イスラム国への戦闘
も地獄への門になる可能性が高い。

アラブから離れる、同じ意味の何もしないことであるのだ。欧米は
、自己を守ることで、イスラム国への戦闘に入るべきではない。そ
して、我々ができることは難民への人道的な支援であり、それを行
う必要があるのだ。

我々がアラブをグローバル的な取り組みに巻き込まなければ、アラ
ブが対応策を考えるはずであり、我々はそれに関与すればよい。

アラブが改革を行いグローバルに戻れば、市民の名誉やプライドが
戻るはずである。それまでは、放って置くべきだ。

という。私も、この意見に賛成である。欧米ではなく、アラブ連合
がイスラム国への対応をするので、欧米も参加して欲しいと要請さ
れてから動けばよいのである。

それを先に動くので、アラブ社会では、欧米の支配が再度、及ぶと
いう心配が出て、アラブの自分ごとになっていない。





Why the Military Campaign Against ISIS Will Fail

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