5129.ロシアと米国の意地



何か、冷戦時代を思い出す状況になり始めた。ロシアと米国の両大
国が、お互いが主導権を握ろうとしている。中国は漁夫の利を狙っ
て、黙っている。3者のそれぞれの思惑が交差した世界情勢になっ
てきた。  津田より

0.有志連合へのロシア参加要請
6月か7月に米露の秘密会議が北欧の国で開催されて、イスラム国
での有志連合にロシアが参加しれば、ウクライナ問題での制裁処置
は解除することが話し合われたようである。

これはロシア科学アカデミー、中東紛争分析センタ長のアレキサン
ダー・シュミリン博士も棚上げすると、米ケリー国務長官から言わ
れていたという。

イスラム国の最大の敵は、シリアとイラクのシーア派であり、それ
を支援するイランやロシアも外部の敵をしているために、本来なら
ロシアはイスラム国への有志連合に参加するのが一番、米露間が平
穏になることであり、私もそれを期待した。

しかし、結果は、ロシアは、国連安全保障理事会決議なしに米国が
過激派「イスラム国」打倒に向け空爆をシリア領内に拡大した場合
は「侵略行為であり重大な国際法違反となるだろう」と米国の有志
連合に参加しないとした。

米国は、シリアも敵として、スンニ派諸国の要望を聞き、シリア反
政府軍を助けることにしたことによる。

このため、シリアとロシアは反発した。しかし、イランはイラクで
の戦いもあり、沈黙になっている。ロシアは有志連合参加で何かの
罠に嵌ると見ているともシュミリン博士は言っている。

これで、様子見をしていたロシアへの制裁が欧米で発動された。

米国は、対ロシア制裁対象を北極海の石油開発やシェールプロジェ
クトに拡大し、ロシア国営企業への資金融通をさらに制限する追加
制裁措置を打ち出した。一方、欧州連合(EU)は、対ロシア追加
制裁を発動した。同国石油最大手ロスネフチなどエネルギー大手3
社の資金調達を新たに制限する。

というように、同時にロシアのエネルギー産業を狙った制裁を発動
したのである。

1.ロシアの対応
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナでの停戦が行われているの
に、なぜ、この時期に欧米は制裁するのかと怒り、報復措置の用意
があるとした。ただ発動の際は、自国経済への影響に留意するとも
付け加えた。

このように、プーチン政権は態度を硬化させている。ただ、度重な
る米欧の制裁がロシア経済に打撃を与えていくのは確実で、プーチ
ン政権が国内の「団結」機運をどこまで維持できるかが注視される。

専門家らは今年のロシア国内総生産(GDP)が事実上の前年比ゼ
ロ成長に落ち込むとみてきたが、この制裁でより大きな落ち込みに
なることが確実である。ロシアは、欧米産の農産物などを禁輸にす
る報復措置をとったため、インフレ率も年8%に達する可能性があ
る。

ロシアの欧米に対する対抗制裁としては、欧米産の自動車や軽工業
製品の輸入制限、欧米旅客機によるシベリア上空の飛行禁止といっ
た措置が検討されているとみられる。

そして、13日には、人道支援物資を載せたとされるロシアのトラ
ック約200台がウクライナ政府の合意を得ずに越境し、親露派武
装勢力の支配下にある東部ルガンスクに入った。8月に続く「人道
車列」の越境で、国際社会の批判は必至だ。

ロシアは欧米と冷戦状態になる可能性が高まり、ロシア陣営を構築
する必要になってきた。

ロシアと中国、中央アジア4カ国で構成する上海協力機構(SCO
)の首脳会合が、タジキスタンの首都ドゥシャンベで開催されて、
準加盟国のインドとパキスタンが来年にも正規加入する方向になっ
た。

一方、有志連合に、トルコやエジプトの参加は非常に難しいようで
あり、インドや中南米新興国の参加もない可能性が出てきた。もち
ろん、日本は参加するが、中国も参加を表明している。現時点で
36ケ国が参加の方向だそうである。サウジアラビアは参加する。

2.中国の漁夫の利
中国は、ウクライナ問題でも、ロシアの味方をしていないし、中東
の問題でもロシアの味方をしない。しかし、ロシアと上海機構を共
同して運営している。世界的な金融組織もロシアとともに構築する
が、実際の国際政治では、米国ともロシアとも違う立場を主張して
いる。

漁夫の利を得るために、両者が紛争を大きくしていくことが、大き
な得になる。米国もロシアも、そのような中国を味方にしようとし
て、中国の思惑に引っかかっている。ロシアは天然ガスを安価で中
国に渡すことになり、米国はアジアへのピボットをできなくしてい
る。

3.制裁の内容
APの「US, EU LEVY SANCTIONS ON RUSSIA DESPITE CEASE-FIRE」に
よると、銀行や防衛産業に対する制裁をしたが、エネルギー産業に
は、現状の石油やガスの生産に関わる部分には制裁をせずに、将来
の開発に関する部分に制裁をして、石油・ガスの市場価格に影響す
ることはしなかったようである。

開発中の案件に関わっているのは、エクソンとBPである。ニューヨ
ーク・タイムズ紙の「New Sanctions to Stall Exxon’s Arctic 
Oil Plans」によると、エクソンが開発していたプロジェクトは北極
海の深い海での石油開発とロシア本土内でのシェール・ガスの開発
であるという。どちらもロシア側は、ロスネフチだという。

エクソンは影響を調査しているが、すでに制裁を見越してエンジニ
アは退去させたようである。

BPは、露ロスネフチの株の20%を所有しているので、この影響を受け
るようである。

4.エネルギーの武器に
欧州連合(EU)の追加制裁に合わせるように、ロシアが天然ガス
供給量を調整し、ポーランドの石油ガス最大手PGNiGはロシア
国営ガス企業ガスプロムからの10日の供給量が45%減少したと
表明。ドイツやオーストリアでも減少が報告された。

ロシアはお得意の天然ガスを武器にして、EUを牽制するようであ
る。

ナショナル・インタレスト誌「America's Secret Weapon: 
Liberalizing U.S. Oil Exports?」によると、米国も、石油の輸出
自由化で、EUに天然ガスや石油を供給する方向である。この石油
を武器にして、米国の位置を強化することを検討している。

ロシアも石油を武器に、米国も石油を武器にする方向であるようだ。

欧州に対してのロシアのエネルギー圧力を緩和して、市場自体を奪
おうと、米国は目指しているようにも見える。そして、それはエク
ソンにとっても、メリットがあるために、米国政府の制裁に協力し
ているように見える。

どちらにしても、第3次世界大戦に近づいているように見るのは、
ローマ法王フランシスコである。法王は、中東など世界各地で戦闘
が続く現状を「第3次大戦」と言う人もいるだろうと懸念を表明、
過ちを繰り返さないよういさめた。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
New Sanctions to Stall Exxon’s Arctic Oil Plans
http://www.nytimes.com/2014/09/13/business/energy-environment/new-sanctions-to-stall-exxons-arctic-oil-plans.html?ref=business&_r=1

US, EU LEVY SANCTIONS ON RUSSIA DESPITE CEASE-FIRE
http://bigstory.ap.org/article/us-eu-levy-sanctions-russia-despite-cease-fire

America's Secret Weapon: Liberalizing U.S. Oil Exports?
http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/americas-secret-weapon-liberalizing-us-oil-exports-11247

5128.ロシアから見た中東情勢
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/260913.htm

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ロシア:ガス供給で揺さぶり ポーランド向け45%減
毎日新聞 2014年09月13日 11時56分
 【ウィーン坂口裕彦】ウクライナ危機をめぐる欧州連合(EU)
の追加制裁に合わせるように、ロシアが天然ガス供給量を調整し、
周辺国をけん制している。ポーランドの石油ガス最大手PGNiG
はロシア国営ガス企業ガスプロムからの10日の供給量が45%減
少したと表明。ドイツやオーストリアでも減少が報告された。AP
通信が伝えた。
 PGNiGによると、減少幅は8日は契約量の20%だったが、
10日には45%に急増した。ガスプロムから具体的な説明はない
という。
 ポーランドはウクライナ政府を強く支援し、EU加盟国の中でも
ロシアへの反発姿勢が目立つ。そのためロシアの対抗措置の対象と
なることが多く、農産物の多くが禁輸処分を受けている。
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EU・ウクライナがFTA延期=ロシアと合意−連合協定は批准へ
 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)は12日、ウクライナと
の間で調印した連合協定に関してロシアを交えた閣僚級の3者協議
をブリュッセルで開き、協定に盛り込まれた自由貿易協定(FTA
)について2015年末まで実施を延期することで合意したと発表
した。当初は今年11月1日付で実施する方針だった。
 EU欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は記者団に対し、連
合協定自体は、ウクライナとEUのそれぞれの議会が来週中に批准
するとの見通しを示した。(2014/09/13-06:28)
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ロシア人道物資、再び東部入り=停戦後初、ウクライナと摩擦も
 【モスクワ時事】ウクライナ東部に向けたロシアの人道支援物資
を載せたトラック車列の第2便が12日夜、両国国境を通過し、13
日朝に親ロシア派支配地域のルガンスクに到着した。ロシアのメデ
ィアが伝えた。
 東部への人道支援は、5日にまとめられたウクライナと親ロ派な
どの停戦合意に盛り込まれていた。ロシアからの物資搬送は、停戦
合意後初めてとなる。
 トラックは計200台。8月下旬にロシアが第1便を送った際、
ウクライナの同意なく国境を突破したため「主権侵害」と国際社会
から非難を受けた。ロシア側によると、今回も最終的な同意を得て
おらず、新たな摩擦に発展する可能性もある。(2014/09/13-19:25)
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「第3次大戦」を懸念 ローマ法王が戦没者追悼
2014.9.14 00:36
 ローマ法王フランシスコは13日、第1次世界大戦開戦から100
年にあたり、イタリア北東部フォリアーノ・レディプーリアの慰霊
施設で戦没者を追悼した。法王は、中東など世界各地で戦闘が続く
現状を「第3次大戦」と言う人もいるだろうと懸念を表明、過ちを
繰り返さないよういさめた。
 法王は平和を願うミサで「戦争は狂気」「戦争はあらゆるものを
破壊する」と批判。「ここには多くの犠牲者が眠り、涙と悲しみが
ある。この場所から全ての戦争の犠牲者を思い出そう」と呼びかけ
た。(共同)
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「国内団結」維持に狙い 露、米欧制裁に報復の構え
2014.9.13 21:14 (1/3ページ)
 【モスクワ=遠藤良介】米国と欧州連合(EU)がウクライナ情
勢をめぐってロシアへの追加制裁を発動したのに対し、プーチン露
政権が報復措置の構えを見せている。ロシアに対ウクライナ政策の
変更を迫る上で米欧の制裁が持つ効果は限定的とみられ、プーチン
政権は逆に態度を硬化させている。ただ、度重なる米欧の制裁がロ
シア経済に打撃を与えていくのは確実で、プーチン政権が国内の「
団結」機運をどこまで維持できるかが注視される。
 米欧が12日に発動した制裁では、石油企業「ロスネフチ」や天
然ガス企業「ガスプロム」、最大手銀行「ズベルバンク」など、ロ
シア経済の屋台骨といえる国営企業が欧米市場での資金調達などを
制限された。北極海の油田探査やシェールオイル採掘に関し、ロシ
ア側に提供してはならない物資や技術も拡大された。
 露外務省は「制裁によって根本的立場を変えることはない」とし
、報復措置を警告する声明を発表。欧米産の自動車や軽工業製品の
輸入制限、欧米旅客機によるシベリア上空の飛行禁止といった措置
が検討されているとみられる。
 13日には、人道支援物資を載せたとされるロシアのトラック約
100台がウクライナ政府の合意を得ずに越境し、親露派武装勢力
の支配下にある東部ルガンスクに入った。8月に続く「人道車列」
の越境で、国際社会の批判は必至だ。
 12日の制裁発動に先立ち、専門家らは今年のロシア国内総生産
(GDP)が事実上の前年比ゼロ成長に落ち込むとみてきた。ロシ
アが、欧米産の農産物などを禁輸にする報復措置をとったため、イ
ンフレ率も年8%に達する可能性がある。
 政権は、今回の制裁対象となった企業や銀行を国家資金で支える
としているものの、金利上昇を通じた経済への打撃は避けられない
。ロシアでは西シベリアの主力油田が減退期に入っており、制裁で
新規開発が遅れれば中長期的な石油生産にも影響が出る。
 プーチン氏の支持率は8割超と高止まりし、国民多数派は米欧と
の対決姿勢を歓迎している。主要テレビ局のプロパガンダ(政治宣
伝)に、「敵」の存在で団結するロシア人の伝統的な国民心理が重
なっているためだ。
 ただ、「愛国ムード」がどこまで持続するかについては意見が分
かれる。最近の頻繁な軍事演習や米欧への報復措置には「国内向け
」の要素も多い、との見方が出ている。
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ロシア、EUに報復へ=「和平努力を無視」と反発
 【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領は12日、ウクライナ
危機をめぐる欧州連合(EU)の対ロシア追加制裁を受け、報復措
置の用意があると述べた。ただ発動の際は、自国経済への影響に留
意するとも付け加えた。訪問先のタジキスタンの首都ドゥシャンベ
で記者団に語った。
 ロシアでは12日、欧米の追加制裁に反発の声が広がり、ナルイ
シキン下院議長は「米国はウクライナ危機を利用している」と主張
。5日の停戦合意などの和平努力が無視されていると不快感を示し
た。
 EUの追加制裁では、ロシア防衛関連国営企業ロステクの最高経
営責任者(CEO)でプーチン大統領に近いチェメゾフ氏らが資産
凍結などの対象となった。これに関し、ロステク幹部は「ロシアの
武器輸出に影響しない」と強気の姿勢を保った。(2014/09/12-23:53)
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米国が対ロ制裁拡大―エネルギー事業、ズベルバンクも対象
By WILLIAM MAULDIN, DANIEL GILBERT AND JAMES MARSON
2014 年 9 月 13 日 04:15 JST  WSJ
 米国は12日、対ロシア制裁対象を北極海の石油開発やシェールプ
ロジェクトに拡大し、ロシア国営企業への資金融通をさらに制限す
る追加制裁措置を打ち出した。ウクライナが長期和平計画の交渉と
欧州連合(EU)との関係強化を進める中、米国はEUと足並みをそろ
えてロシアへの圧力を強めた。
 エネルギー業界を対象とする制裁は数日前から予想されていた。
米財務省によると、西側のエネルギー企業は今後、ロシアの5大エネ
ルギー企業が北極海や深海、シェール鉱区で進める石油開発プロジ
ェクトに技術・サービスを提供することを禁じられる。ただし、金
融サービスは対象外とする。
 米政府高官や法律専門家は、今回の制裁措置によって米石油大手
エクソン・モービルと制裁対象であるロシアの石油大手ロスネフチ
の提携関係などが直接影響を受ける可能性があると指摘。両社はロ
シア北極圏のカラ海における掘削やシベリアのシェールオイル開発
で協力している。
 エクソンの広報担当者はこれまでのところコメント要請に応じて
いない。同社は以前、制裁措置を精査中で、すべての法律を順守す
ると述べていた。
 欧米はまた、ロシア銀行最大手のズベルバンク(ロシア貯蓄銀行
)も制裁対象に加えた。制裁対象の金融機関は今後、米国の個人・
企業からの中長期借り入れができなくなる。これまでの制裁では償
還期間が90日以内の短期融資は認められていたが、今回の措置で最
長期間が30日に短縮された。
 制裁対象には新たに複数の防衛企業も追加された。米財務省はロ
シア国営複合企業ロシアン・テクノロジーズ(ロステック)への資
金調達を制限した。
 ただ、欧米の政府高官らは和平交渉が成功裏に終われば制裁を緩
和する可能性があると強調した。
 ルー米財務長官は声明で「ロシアはウクライナをはじめとする海
外のパートナー国と協力し、対立の持続的な解決策を見つけること
が極めて重要だ。(中略)そうすれば、新たな制裁措置は保留され
る可能性もある。その代わり、ロシアが国際法を違反し続けること
を選べば、その代償は今後も大きくなるだろう」と述べた。
 インタファクス通信によるとロシアのプーチン大統領は、制裁措
置はウクライナでの和平の進展を損なうもので、ロシア政府は報復
措置を検討していると表明した。また、ウリュカエフ経済発展相も
ウクライナ製品に対する「防衛手段」を導入する可能性を示唆した。
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EU、対ロ追加制裁を発動=石油最大手なども対象に
 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)は12日、対ロシア追加
制裁を発動した。同国石油最大手ロスネフチなどエネルギー大手3
社の資金調達を新たに制限する。ウクライナ東部での持続的な停戦
実現に向けた圧力を強めるため、ロシア経済を支えるエネルギー産
業の主要企業を標的に加えた。
 また戦闘機「スホイ」を製造するユナイテッド・エアクラフトな
ど防衛企業3社に対しても新たに資金調達を制限する。既に制裁対
象となっている国営銀行5行については、これまでの株式や債券な
どの購入制限に加え、融資も禁じるなど内容を一段と強化した。
 このほか、プーチン大統領に関係が近いとされる防衛関連国営企
業ロステクのチェメゾフ最高経営責任者(CEO)やロシア極右野
党・自由民主党のジリノフスキー党首ら24人の個人も資産凍結な
どの制裁対象に加えた。(2014/09/12-17:26)
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上海協力機構 露、加盟拡大で影響力狙う 印パが正式加盟へ
2014.9.12 20:50 sankei
 【モスクワ=遠藤良介】ロシアと中国、中央アジア4カ国で構成
する上海協力機構(SCO)の首脳会合は12日、タジキスタンの
首都ドゥシャンベで、新規加盟国の受け入れ条件を定めた合意文書
などを採択して2日間の日程を終えた。加盟国拡大には新議長国の
ロシアが意欲的で、準加盟国のインドとパキスタンが来年にも正規
加入する可能性が出ている。米欧が対露制裁を強める中、ロシアは
SCOの影響力を高めて対抗する基盤としたい考えだ。
 首脳会合はシリア問題などに触れた共同声明も採択。「シリアの
主権と領土保全を支持する」とし、「危機はもっぱら政治的、外交
的な方法で解決されねばならない」とうたった。オバマ米大統領が
シリアのイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の空爆を辞さ
ない考えを示したことが念頭にあるとみられる。
 声明はまた、米国の名指しは避けつつも、「ミサイル防衛(MD
)システムの一方的で無制限な配備は国際安全保障に損害をもたら
す」と主張。来年迎える第二次大戦終結70周年については「ファ
シズムに対する勝利」として「重要な意義がある」とした。
 プーチン露大統領は閉幕にあたり、ウクライナ情勢を含む国際的
な問題で加盟国の立場は「同一もしくは近い」と強調。新議長国と
して「SCO拡大のプロセスが具体的な形をとることを期待する」
と述べた。
 ただ、ロシアによるウクライナ介入を受け、現実にはSCO現加
盟国の間でも対露警戒感が強まっている。ウズベキスタンのカリモ
フ大統領は11日、プーチン氏との個別会談で「方向性を得るべき
問題がある」と指摘。カザフスタンのナザルバエフ大統領も先月末
、「自国の独立を脅かす組織には加わらない」とロシアを牽制(け
んせい)した。
 SCOにはインド、パキスタン、イランの3カ国が加盟申請して
おり、国連の制裁下にあるイランを除く2カ国の加入が有力だ。プ
ーチン氏は12日、イランのロウハニ大統領とも個別会談し、経済
関係の強化などについて協議した。
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安保理決議なしは「侵略行為」 シリア空爆でロシア
2014.9.12 08:39
 ロシア外務省のルカシェビッチ情報局長は11日、国連安全保障
理事会決議なしに米国が過激派「イスラム国」打倒に向け空爆をシ
リア領内に拡大した場合は「侵略行為であり重大な国際法違反とな
るだろう」と表明した。
 また米国が、イスラム過激派と対立するイラク政府を助けながら
、同時にシリアの反体制派武装組織を支援することは「二重基準」
だと批判した。米国が支援するシリア反体制派はイスラム国と「大
して変わらない」とも述べた。
 ロシアはシリアのアサド政権を支持しており、米国によるシリア
空爆に反対する考えを明確にした。(共同)
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ロシアの「国際法違反」批判に反論=米国務長官
 【カイロ時事】ケリー米国務長官は11日、サウジアラビア西部
ジッダでの記者会見で、ロシア外務省が米国のシリア空爆に際して
国連安保理の決議を得なければ「国際法違反になる」と批判したこ
とに関し、ロシアによるウクライナ軍事介入に触れた上で「国際法
について語るのはいかがなものか。驚きだ」と反論した。
(2014/09/12-01:49)
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オバマ大統領が制裁強化、「プーチン氏の重要分野で」
2014年 09月 12日 03:08 JST
[ワシントン 11日 ロイター] - オバマ米大統領は11日、ロ
シアに対する制裁を強化する意向を固め、12日に詳細を公表する
方針を明らかにした。対ロシア追加制裁を発動させる欧州連合(EU
)と足並みをそろえる。
ロシアが先月、ウクライナ東部に部隊を送り込んだことを受けた。
ロシアの金融、エネルギー、防衛部門への制裁を強化するとみられ
ている。
オバマ氏は声明で「これらの措置に伴い、特にプーチン大統領や側
近にとって重要な分野で、ロシアの経済的な代償が増え、政治的孤
立化が進むだろう」と述べた。
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同意なき介入は侵略行為、シリア国務相警告
2014年 09月 12日 00:45 JST
[ダマスカス 11日 ロイター] - シリアのハイダル国務相(国
民和解担当)は11日、外国からのいかなる介入もシリア政府の同
意がなければ侵略行為とみなされると警告した。オバマ米大統領が
過激派組織「イスラム国」に対するイラクでの空爆をシリア領内に
拡大する用意があると表明したことを受けた。
同相は記者団に対し、「シリア政府の承認がなければいかなる行動
もシリアに対する侵略だ」と述べた。
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国際協力の必要性強調=対イスラム国の米戦略で−中国
 【北京時事】中国外務省の華春瑩・副報道局長は11日の記者会
見で、オバマ米大統領がイスラム過激組織「イスラム国」壊滅に向
けた包括戦略を発表したことに関し、「国際社会は協力してテロに
打撃を与えるべきだ。国内の安全と安定を守る関係国の努力を支持
する」と述べ、国際社会が協調して対応に当たるべきだとの考えを
強調した。
 一方で、華副局長は「国際的な反テロ闘争では、国際法と関係国
の主権・独立、領土保全を尊重しなければならない」と主張した。
(2014/09/11-18:13)
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空爆拡大、イスラム国の壊滅目指す=オバマ大統領
By CAROL E. LEE AND JULIAN E. BARNES
2014 年 9 月 11 日 12:29 JST 更新
【ワシントン】オバマ米大統領は10日夜、国民向けに演説し、シリ
アでの空爆開始を承認するとともに、1カ月前から行っているイラク
での空爆を拡大する計画を明らかにした。これにより、最近2人の米
国人を殺害したイスラム過激派組織「イスラム国」を「弱体化させ
、最終的に壊滅する」ことを目指すと強調した。
 これらの決定は、中東に対する米国の軍事的関与を大幅に深める
ことになる見込み。また、イスラム国の脅威に対する戦いが期限の
定まらない長期的なものになるとのオバマ氏の認識を示している。
オバマ氏は就任以来そうした紛争に抵抗を示しており、選挙戦でも
それを避ける方針を示していた。
 米政府当局者らによると、オバマ氏のイスラム国掃討戦略は、シ
リアに拠点を置くこの組織が過去数カ月に支配下に置いたイラクの
土地の多くを、イラク人が取り戻すためのものだ。米国は初めて、
イスラム国戦闘員の拠点や隠れ家を狙って空爆することになる。
 オバマ氏は「米国は広範な連合を主導し、このテロの脅威を撃退
する」とし、「シリアでもイラクでもためらうことなく、イスラム
国に対して行動を起こす。米国を脅かす者に、安全な隠れ家はない
というのは、私の大統領職の中核をなす原則だ」と述べた。
 当局者らによると、オバマ氏の計画の基盤は、イスラム国の脅威
にさらされた米国人の保護や孤立したイラク人への人道支援を目的
に8月に出されたイラクでの空爆承認が基になっており、具体的な日
程は決まっていない。シリア領内への空爆は、アサド大統領を増長
させないような、標的を絞った内容になりそうだという。
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対ロ追加制裁の即時発動を=独首相
 【ベルリン時事】ドイツのメルケル首相は10日、連邦議会(下
院)で演説し、欧州連合(EU)による対ロシア追加制裁を直ちに
発動すべきだと訴えた。
 EUは8日、追加制裁を決めたが、ウクライナ東部の停戦合意の
履行状況を見極めるため、発動を先送りした。首相は「現状は多く
の点で不透明のまま」と述べ、制裁の即時発動を求めた。
 一方で、制裁は不可避の場合のみ科すべきだと強調。停戦合意の
履行が確認されれば「ドイツは制裁撤回を呼び掛ける最初の国とな
る」と述べた。(2014/09/11-06:57)
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ウクライナ東部のロシア軍、7割撤退=ポロシェンコ大統領
2014年 09月 11日 00:19 JST
[キエフ 10日 ロイター] - ウクライナのポロシェンコ大統
領は10日、同国東部に駐留していたロシア軍の70%がロシア領
へ撤退したとの見方を示した。ウクライナ政府と親ロシア派は5日
に停戦合意しており、和平プロセスに対する期待が高まっている。
ポロシェンコ大統領は閣議で「情報部門から得た最新情報によると
、ロシア軍の70%は国境を越えてロシア領に戻った」と説明。「
和平に向けた取り組みの見通しに関するわれわれの期待は、さらに
高まった」と述べた。
ロシアは、ウクライナ東部の親ロシア派勢力を支援するために軍部
隊を派遣しているというウクライナや西側諸国の見解を否定してい
る。
ポロシェンコ大統領はまた、5日に承認された和平行程表の条件に
基づき、ウクライナ領土の一体性と国家主権は保たれるとした一方
で、親ロシア派が支配する東部の一部には特別な地位が与えられる
と述べた。
大統領は、東部ドネツクとルガンスクの一部に「特別な地位」を付
与する法案を来週提示すると表明。発言はテレビ中継された。
ただ、親ロシア派が求める東部地域の完全な独立やロシアが支持す
る極端な「連邦化」は断固として拒否する姿勢を示した。
ポロシェンコ氏は、「テロリスト」が政府軍に対し挑発的行為を繰
り返しているため停戦合意を維持するのは簡単ではないとの見方を
示した。
政府によると、停戦合意後に軍の兵士5人が衝突で死亡している。
一方、ロシア政府は、プーチン大統領とポロシェンコ大統領が停戦
の状況について概して満足しているとした。両大統領は9日、今週
2回目の電話協議を行った。
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「幻想ないが希望はある」ウクライナ大統領、停戦合意で
ウィーン=喜田尚2014年9月9日11時01分asahi
 ウクライナのポロシェンコ大統領は8日、同国東部マリウポリを
訪問し、親ロシア派との停戦合意について「敵に幻想は持っていな
いが、希望はある」と述べ、国民に平和的手段による解決への理解
を求めた。国民の不安を沈静化する意図もあったとみられる。
 マリウポリ近郊では、停戦合意発効の直前まで親ロシア派武装勢
力による激しい攻撃が続き、停戦発効翌日の6日には市内への砲撃
で住民1人が死亡した。また、軍によると、東部全体では停戦発効
後の散発的な銃撃などでウクライナ軍兵士5人が死亡したという。
 大統領府によると、ポロシェンコ氏はマリウポリでの軍や国境警
備隊の兵士らの集会で「我々は敵のことや、彼らの言葉の価値がど
れほどのものかよく知っている」と述べ、停戦後も軍事的な警戒を
続ける必要があるとした。
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停戦合意の履行を確認=ロ・ウクライナ首脳が電話会談
 【モスクワ時事】ウクライナ大統領府によると、ポロシェンコ大
統領とプーチン・ロシア大統領は8日、東部の停戦状況をめぐって
電話会談した。5日の停戦発効後も親ロシア派によるとみられる攻
撃が続く中、合意履行の方針を改めて確認したもようだ。
(2014/09/09-06:21)



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