5122.世界の経済状況は



黙示録の世界に突入したことで、国際的な紛争が多発している。こ
のため目がどうしても紛争の方に向いてしまうが、世界経済の状況
を俯瞰しておきたい。  津田より

0.米国の経済状況
国際戦略コラムの「5115.現在は大恐慌の時代」で書いたとおり、
ブラッドフォード・ディロングUCB教授がプロジェクト・シンジケー
ト誌で大恐慌と言っているのに、ビックリした。多くの人が、米国
の景気上昇を見て、今後、景気は上昇すると見ていたからである。
しかし、米国が景気を回復しているのは、シェール・ガスとオイル
によるところが大きい。

その米国でさえ、2005年から2007年まで米国成長率は5%から最近は
2%に落ちている。このため、8月の米雇用統計は、非農業部門の雇
用者数が前月比で14万2千人増となり、8カ月ぶりの低い水準にと
どまることになる。しかし、物価上昇の方が賃金上昇より大きいの
で、実質賃金は減少しているという。

このため、パウエルFRB理事は、「労働市場は著しく改善したが、い
まだに多大な需給の緩みが存在する」として、これにより「大幅な
物価上昇の可能性は低い」と述べている。悪いデフレの危険がある
という。経済は弱い回復にあるため、イエーレン議長も公定金利を
引き上げることができない。

もう1つが、FRB(連邦準備制度理事会)が3年ごとに行ってい
る所得や財産についての調査で、豊かな上位3%の世帯に富の半分
以上が集中する一方、低所得層の平均所得は減るなど、格差が拡大
したというように貧富の差が益々拡大している。

1.欧州の状態
そして、エコノモニター誌で「Why America is Recovering, but 
Europe Is Not.」で欧州の方が大変という。ロシアへの制裁の影響
で、制裁前でも2%であったのが、制裁後、ドイツでー0.6%、フラン
スでー0.1%、イタリアでー0.8%になっている。フランス労働組合の
トップPierre Gattaz氏は、「経済の現状は壊滅的である。」という。

しかし、ロシアがウクライナ東部の侵略したことで、欧州連合(E
U)は5日、ロシアに対する追加制裁で合意した。既に実施してい
る金融取引や武器取引、エネルギーを含む技術供与の規制を拡大す
る見通しだ。また、追加制裁にはロシアの国営ガス会社ガスプロム
傘下の銀行や石油会社の資金調達に関する制限が含まれるとした。

反対に、ロシアが実施している欧州連合(EU)産農産物の輸入禁
止措置による損害額が年間50億ユーロに達する見通しである。

ロシアも制裁で経済はマイナスになることが確実である。欧州とロ
シアはお互いに制裁をすることで、経済的な損失が出ることになる。

プロジェクト・シンジケート誌に「Europe According to Draghi」
でフランス政府顧問のJean Pisani-Ferryは、ドラギECB総裁が積極
的な金融政策を行って、EU全体の経済を壊滅させないように努力
しているという。

この証拠に、欧州中央銀行(ECB)は4日、大方の予想に反して
利下げを決めた。ドラギ総裁はさらに、失速しているユーロ圏経済
に銀行からの資金が流れやすくするためECBが資産購入を開始す
るとした。大規模な量的緩和(QE)に踏み込むには至らなかった。 

「全体的なインフレ見通しの弱さに加え、成長の勢いが最近になっ
て弱まってきたことを考慮した」とドラギ総裁は語った。「経済見
通しに対するリスクは下向きだと政策委員会は考えている」という。 
ECBは3つの政策金利を全て0.1ポイントずつ引き下げ、リファイ
ナンスオペの最低応札金利を0.05%、中銀預金金利をマイナス0.2%
、限界貸出金利を0.3%とした。 

QEには、強くドイツ連銀総裁が反対したようである。

どちらにしても、欧州はデフレの危険が増している。日本の失われ
た20年になり、それの治療のために、同じような金融政策を取り始
めた。

2.インフレはなくなるのか?
私が一番頼りにしているケネス・ロゴフ、ハバード大学経済学教授
が、プロジェクト・シンジケート誌に「The Exaggerated Death of 
Inflation」と述べている。

インフレの時代が来ないのか?、低い成長、高い国家負債、再分配
の圧力で、インフレが死んだか単なる休眠中なのかは、重要な疑問
である。中央銀行の積極的な金融政策は、インフレを起こりにくく
しているために、来ないようだ。

信頼できる国の中央銀行が、国際的にマクロ経済環境から自国の金
融政策の中に導いている。

1990年代央、アフリカでは平均40%のインフレ、南米では230%のイン
フレ、東欧では360%のインフレであった。先進諸国でも1980年代初
でだいたい10%のインフレがあった。今日、インフレを経済アナリス
トも言わない。

金融危機後、国際化と技術進歩で中央銀行がインフレなしで確実な
成長を達成することが簡単にできるようになった。このため、景気
が悪くかつ物価が上昇すると、中央銀行はスケーフゴートにされた
。このようなことは1970年代にはなかった。

このため、金融当局は、ケインズのマクロ経済モデルでインフレな
しの低金利にしてしまう。長期間の低いインフレ率は技術的という
より政治的な結果である。選択は難しくなり、デフレのリスクが増
えることになる。

2014年のIMF報告書によると、2013年ブラジルは6.2%、インドネシア
は6.4%、アルゼンチンは10.6%であり、ベネズエラにも40.7%である
。この数字は1990年より大きく改善されている。

このため、多くの評論家が、もうインフレ危機は起こらないという。

私も、米国や日本などの金融量的緩和をしている国でも、インフレ
が戻ってくるとは見ない。為替交換が自由になっているので、政府
が為替市場で自国通貨を低くしないように、政策が働くからである。

中央銀行がインフレにしないように操作しているので、インフレが
死んでいるわけではなく、休眠しているだけである。

3.日本の状況
8月の景気動向によると、足元の動きを示す景況感指数は前月に比
べ0.7ポイント低下し46.2となった。悪化は3カ月ぶり。輸出が振る
わず在庫が積み上がったうえに天候不順も響いた。消費増税後の反
動減から戻る動きが、足元でやや鈍っている。

設備投資が前期比で減少し、これを受けて第2四半期GDP改定値が下
方修正される。そして、全産業の平成23年に200兆円だった人件費は
平成24年に197兆円に減り、平成25年(平成26年3月期)に192兆円に
まで減っている。日経新聞などは、「昨年度は賃金増加があった」
と言う記事を書いているが、実際は減っていたのだ。
そして、今年4〜6月期の人件費は前年同期比マイナス0.3%になって
いる。数字は厳しい現実を伝えている。

ピケティの貧富の格差拡大は日本にも押し寄せているように感じる。

3.ピケティの社会論
そして、米国で顕著な貧富の格差拡大の問題に対して、ステグリッ
ツ教授がコラムを書いている。

スティグリッツ教授が、プロジェクト・シンジケート誌に「Democracy
 in the Twenty-First Century」を掲載している。

ピケティーの「21世紀資本主義」で述べている貧富の差が拡大し
ている。その証拠を多数述べている。その結果は、労働者の賃金が
伸びずに、資本家が多くを取っていくことで、労働者の健康も阻害
されているという。米国は社会保証制度が整備されていないために
なおさらである。

このため、資本主義のルールを変えて、適正な資本主義にすること
が21世紀以降に必要なことである。中産階級が多くいる社会に戻
すことである。という。

この考え方に共感するが、しかし、資本主義には投資家や起業家が
適正な利潤を得ないと、それは資本主義ではなくなるし、起業家精
神が維持できない。

結果の平等というような悪平等にならないような仕組みが必要にな
る。資本家や起業家の所得に高課税をするが、その代わりに、名誉
とか何かのメリットを与えるようなことや、寄付などに課税しない
などの仕組みを作ることである。

しかし、日本は、今年6月末の内部留保は313兆円。3月末比で9兆円
、前年比で34兆円も増えている。投資家に配当を配らないで内部留
保している。大会社の会社員、役員は賃金が上がったが、それ以外
には誰も得をしていないようである。

そして、1年で増えた34兆円もの利益のほとんどが、現預金などの流
動資産の増加、つまり、無駄に低金利の資金増に繋がり、経済に何
の役にも立たない状況になっているようだ。

このため、仕組みを作ると、日本の方が、日本人同士の結びつきが
強いので、先に社会構造が出来るような感じがする。

21世紀に必要な社会構造も、これからは、大きく作り直しが必要
であることは確実だ。

さあ、どうなりますか?



参考資料:
Why America is Recovering, but Europe Is Not. Part I: U.S. Recovery Versus European Stagnation
http://www.economonitor.com/blog/2014/09/why-america-is-recovering-but-europe-is-not-part-i-u-s-recovery-versus-european-stagnation/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=why-america-is-recovering-but-europe-is-not-part-i-u-s-recovery-versus-european-stagnation&utm_medium=twitter&utm_source=twitterfeed

Democracy in the Twenty-First Century
https://www.project-syndicate.org/commentary/joseph-e--stiglitz-blames-rising-inequality-on-an-ersatz-form-of-capitalism-that-benefits-only-the-rich

The Exaggerated Death of Inflation
https://www.project-syndicate.org/commentary/kenneth-rogoff-debunks-rumors-of-the-demise-of-threats-to-price-stability

Europe According to Draghi
http://www.project-syndicate.org/commentary/jean-pisani-ferry-praises-the-ecb-president-for-challenging-key-pillars-of-eurozone-orthodoxy

5115.現在は大恐慌の時代
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/260830.htm

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「米労働市場の回復続く」 雇用統計で専門家分析 
2014/9/6 8:04日本経済新聞 電子版
 5日発表された8月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前
月比で14万2千人増となり、8カ月ぶりの低い水準にとどまった。
雇用統計を受け、米株式相場の先行きや金融引き締めの時期をどう
みるか。米専門家に聞いた。
 ピエール・エリス氏(調査会社ディシジョン・エコノミクスのシ
ニア・グローバル債券エコノミスト)
 米労働市場の回復基調は続くとみている。8月の雇用統計は力強
いペースでの回復が一服したことを示した…
==============================
米労働市場に「多大な緩み」、インフレ加速見込み薄=FRB理事
2014年 09月 5日 10:37 JST
[ニューヨーク 4日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(
FRB)理事は4日、労働市場にはなお「多大な需給の緩み」があ
るとし、インフレ加速は見込みにくいと指摘した。
パウエル理事は、ニューヨークで行った講演での質疑応答で「労働
市場は著しく改善したが、いまだに多大な需給の緩みが存在する」
との見方を表明。これにより「大幅な物価上昇の可能性は低い」と
述べた。
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米で格差が拡大 FRB調査
9月5日 11時30分NHK
アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が3年ご
とに行っている所得や財産についての調査で、豊かな上位3%の世
帯に富の半分以上が集中する一方、低所得層の平均所得は減るなど
、格差が拡大したことが分かりました。
FRBは3年ごとにアメリカの世帯の所得や財産などについて調査
を行っていて、4日、最新の結果を公表しました。
このうち、世帯の所得の平均は、金融危機のあとの緩やかな景気回
復を反映して2010年から2013年までの3年間で4%増加し
ました。
しかし、これを所得水準で分けてみますと、豊かな上位10%の世
帯の平均所得がこの3年間で10%増えたのに対して、いわゆる中
間層はほぼ横ばいでした。
さらに、下位の20%の低所得世帯の平均所得は逆に8%減り、格
差が拡大したことが分かりました。
そして、世帯の財産に関する調査で、全体の富のうち豊かな上位3
%の世帯にどれだけ集まっているかをみますと、1990年代以降
最も多い54.4%で、限られた層に富の半分以上が集中していま
した。
アメリカでは、景気回復の恩恵を受けているのは一部の豊かな層に
偏っているという指摘が広がっていますが、今回の結果はそうした
格差拡大の実態を裏付ける内容といえそうです。
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EU、対ロ追加制裁で合意 ウクライナ停戦への協力見極め 
2014/9/6 9:47nikkei
 【ニューポート(英南西部)=御調昌邦】欧州連合(EU)は5
日、ロシアに対する追加制裁で合意したと発表した。既に実施して
いる金融取引や武器取引、エネルギーを含む技術供与の規制を拡大
する見通しだ。ロシアへの圧力を緩めず、ウクライナ東部の停戦へ
の協力を促す狙いで、実際に制裁を発動するかはロシアの出方を見
極めて決めることになるとみられる。
 ブリュッセルで大使級会合を開いて制裁内容を決めた。制裁には
ロシアの政策当局者や同国政府に近い資産家などの資産凍結や渡航
禁止なども含む。週明け8日に正式決定する。
 EUのファンロンパイ大統領とバローゾ欧州委員長は加盟国首脳
に書簡を送付し、「制裁によってロシアによるウクライナでの行動
を方針転換させるという基本理念を強化する」と説明した。同書簡
では、ウクライナ政府と同国東部の親ロシア派が5日に停戦で合意
したことには触れていない。追加制裁にロシア側が反発する可能性
もある。
 ロイター通信はEU外交筋の話として、追加制裁にはロシアの国
営ガス会社ガスプロム傘下の銀行や石油会社の資金調達に関する制
限が含まれると報じた。
 英国のキャメロン首相は5日の記者会見でウクライナ東部での停
戦合意を歓迎したうえで「ロシアのプーチン大統領がしていること
は弁解の余地がない」と非難。EU内では、ロシアがウクライナ東
部への介入を停止するか懐疑的な見方も多い。このため現段階では
、ロシアにこれまでの介入の代償を払わせるべきだとの結論に至っ
たとみられる。
 EUは8月30日の首脳会議で、1週間以内にロシアへの追加制裁
案を準備することで合意しており、加盟国間で調整を図っていた。
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ECB:資産購入を開始へ、政策委の意見割れる−利下げ断行 
  9月4日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)は4日
、大方の予想に反して利下げを決めた。ドラギ総裁はさらに、失速
しているユーロ圏経済に銀行からの資金が流れやすくするためEC
Bが資産購入を開始すると発表した。大規模な量的緩和(QE)に
踏み込むには至らなかった。 
ECBが資産担保証券(ABS)とカバード債を購入する計画の発
表を受けて、ユーロは1年2カ月ぶりに1.30ドルを割り込んだ。ド
ラギ総裁はユーロ圏のインフレ見通しが悪化しているとも発言。ド
イツ連邦銀行のバイトマン総裁は利下げにもABS購入計画にも反
対したと、当局者2人が明らかにした。 
ドラギ総裁は政策決定後の記者会見で、ECBが「単純で透明性の
高い証券の幅広いポートフォリオを購入する」と発表した。「政策
委員の中にはそれ以上の措置を求める者もいた」と付け加えた。 
実体経済への融資促進を目指してABS市場を活性化させる方針を
ドラギ総裁は示していたが、実際にこれに資金を投じることをこの
日発表した。ただ、デフレ阻止のために必要だと一部エコノミスト
が指摘するような債券購入ではないとみられる。 
ベレンベルク銀行のエコノミスト、クリスチャン・シュルツ氏は「
ECBは再び打席に入った」とし、「ECBの利下げについての解
釈の一つは、国債購入に対する強い抵抗が依然として根強いためE
CBが他の選択肢をあらかじめ使い果たすことを決定したというも
のだ」と話した。 
成長率とインフレ見通し下方修正 
ユーロ圏の8月のインフレ率は0.3%で、ECBが物価安定の目安と
する2%弱の水準からは程遠い。ECBはこの日、今年と来年の成
長率および今年のインフレ率の見通しをそれぞれ引き下げた。2014
年の成長率予想を0.9%、15年は1.6%とし、6月時点の1%と1.7%
から引き下げ、今年のインフレ率予想は0.6%と、6月予想の0.7%
から下方修正した。 
「全体的なインフレ見通しの弱さに加え、成長の勢いが最近になっ
て弱まってきたことを考慮した」とドラギ総裁は語った。「経済見
通しに対するリスクは下向きだと政策委員会は考えている」という。 
ECBは3つの政策金利を全て0.1ポイントずつ引き下げ、リファイ
ナンスオペの最低応札金利を0.05%、中銀預金金利をマイナス0.2%
、限界貸出金利を0.3%とした。 
バイトマン独連銀総裁の反対は、積極的な緩和政策へのドイツの抵
抗が根強いことを示した。バイトマン総裁は7月の時点でABS購
入には「問題がある」と述べたほか、銀行の利益を支え損失を社会
が負担することがあってはならないと警告している。ドラギ総裁は
、政策委員の「安定多数」がこの日の決定を支持したと述べた。 
更新日時: 2014/09/05 02:31 JST 
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ロシアの農産物禁輸、推定損害は年50億ユーロ=欧州委
2014年 09月 4日 02:45 JST
[ブリュッセル 3日 ロイター] - ロシアが実施している欧州連
合(EU)産農産物の輸入禁止措置による損害額が年間50億ユー
ロに達する見通しであることが3日、ロイターが入手したEUの内
部資料で分かった。
欧州委員に同日配布されたこの資料は、「ロシアが現在実施してい
る禁輸措置により、50億ユーロ相当の貿易を阻害する恐れがある
」と指摘している。
   EUは5日、ブリュッセルで農業相会合を開き、ロシアの輸入禁
止措置について対応を協議する予定。
ロシアは8月、西側諸国がウクライナ問題をめぐり実施した追加制
裁に対抗し、欧米の農産物などの輸入を禁止する措置を導入してい
る。
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対ロシア制裁で苦境に陥るEU経済
制裁の応酬が危機に拍車〜北欧・福祉社会の光と影(48)
2014.09.01(月)  みゆき ポアチャ  JBPRESS
8月18日に発表された欧州連合(EU)統計局ユーロスタットの数字に
よると、EU加盟28カ国の2014年1〜6月の輸出高は、前年同期比で5%
減少した。2014年5月の輸出は前年同月比マイナス9%、6月は同マイ
ナス2%である。
 簡略化のために、ここでは特に輸出に焦点を当てて世界経済の概
要を見てみたい。
 低迷する欧州経済の輸出を支えたのは、主に中国と韓国だ。EUの
2014年1〜5月期の対中輸出は、前年同期比プラス10%と大幅な増加
率を記録し、次いで対韓輸出は同プラス8%と顕著に伸びている。
 目を引いたのは欧州とロシアの関係の悪化だ。EUの対ロ輸出が、
2014年1〜5月期は前年同期比でマイナス12%、輸入が同マイナス8%
と大幅減を記録した。ユーロ圏18カ国の対ロ輸出も同じくマイナス
14%、輸入が同マイナス7%と、欧州とロシア間の経済関係が急激に
冷え込んでいる。
 これは8月にEUが対ロシア制裁を本格化させる2カ月以前の数字で
あるが、すでに国家間の信頼は失われ、経済関係が大きく損なわれ
ている。
国別の状況――ビッグスリーと北欧経済
 2014年6月の輸出額(EU域内への輸出を除く)が前月比でマイナス
になったEU加盟国は上グラフの通りである。
 この中にはユーロ圏のビッグスリー(ドイツ、フランス、イタリ
ア)と、比較的堅調と言われてきた北欧国のスウェーデン、デンマ
ーク、フィンランドも含まれている。
 EU28カ国全体での平均はマイナス0.3%で、これらの国々はほぼ平
均以下の成績だったということだ。
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8月の企業景況感3カ月ぶり悪化 民間調査、天候不順響く 
2014/9/6 19:52
 帝国データバンクが企業を対象に調査した8月の景気動向による
と、足元の動きを示す景況感指数は前月に比べ0.7ポイント低下し
46.2となった。悪化は3カ月ぶり。輸出が振るわず在庫が積み上が
ったうえに天候不順も響いた。消費増税後の反動減から戻る動きが
、足元でやや鈍っている。
 全国の企業約1万1000社が答えた。現在の景況感について「非常
によい」から「非常に悪い」まで7段階で聞き、回答を指数化した。
 業種別ではサービスが前月比1.2ポイント低下し、3カ月ぶりに悪
化した。天候不順で旅館・ホテルのキャンセルが相次いだ。製造業
は0.7ポイント低下。国内設備需要の低迷で電気機械製造などが振る
わなかった。
 地域別にみると、10地域すべてが悪化した。台風や豪雨被害の多
かった近畿が1.0ポイント低下の44.4となったほか、四国も0.2ポイ
ント悪化した。燃料価格の上昇で北海道も1.0ポイント低下の46.0と
なっている。
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所得増大が判断基準=JA全中めぐり?西川農水相
2014 年 9 月 4 日 01:02 JST 更新
 西川公也農林水産相は3日の就任記者会見で、全国農業協同組合
中央会(JA全中)の在り方について「(JA全中は)農協法で位
置付けられている法人だが、規制改革会議の最終結論は一般社団法
人と読める。どちらが農家の所得を増やすことができるかにかかっ
ている」と述べ、農家所得の増大を判断基準にする考えを示した。
 また、「経団連などは一般社団法人だが、何か弊害があるのかも
十分検討して、農協自らの改革案と擦り合わせたい」とも語った。
[時事通信社]
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『それで経済学者のつもりかよ?』
by ポール・クルーグマン 経済学101 NYT
もしかしたらぼくの妄想かもしれないけど,どうも,「本物のアメ
リカ人」がどうのって話を耳にすることが昔より減ってるように思
える――「アメリカという国の本質は,小さな街に暮らす白人にあ
る」って概念は,最近だとサラ・ペイリンと結びついてるけど,そ
れと別の誰かさんにも結びつきがある.誰でしたっけね,クリント
ン大統領とオバマ大統領の間にホワイトハウスに住み着いてた人で
,国民の判断を誤らせて戦争に導いた人なんですけどね.ともあれ
,右派ではいまでも多くの人が「本物のアメリカ人」をそんな風に
理解してる.
「本物のアメリカ人」って概念に考えをめぐらせたきっかけは,ぼ
くの文章に寄せられる反応について気づいたことと似てる.いちば
んどぎつい憤怒満載のメールやボイスメールがやってくるのは,い
かにも経済学者っぽいことを書いた後のことが多いんだ.で,典型
的に,そうしたおたよりの罵倒・暴言には,こんな感じの一節があ
る:「それで経済学者のつもりかよ?」(“You call yourself an economist?”)
わかるかな,この罵倒をよこしてる人は,経済学ってのはこういう
ものだって考えをもってる:彼は(いつも決まって男性なのよ),
「本物の経済学」は自由市場礼賛を歌い上げるものだって信じてる
――基本的には,「資本主義ばんじゃーい」な学問だと信じてるん
だ.べつにマルクス主義者にならなくたって,もっと限定をつけた
見解をとることだってできるんだけど,この手の人にとって,それ
は都合がわるい.この手の人は,ぼくが恐れ多くも経済学者を名乗
っていて,しかも世間がぼくをまじめに取り合ってることに腹が立
って仕方ないんだ.茶会党の連中なら誰を見てもそんな感じだけど
,他にもそういう人たちはいる――テレビのビジネス番組の司会者
だとか,一部の有名エコノミストだとかも同様だ.
ほんとに奇妙なのは,いまほどに自由市場を礼賛する見解が証拠に
支持されない時代も想像しがたいってところだ.いまぼくらがよう
やく脱しつつあるあの劇的な経済崩壊は,供給サイドの要因にはな
んの関係もなかった.明らかに,市場の機能不全につながりがある
ように思えた.
その崩壊のあと,本物の経済学者とされた人たちは,「インフレが
とめどもなく昂進する」「金利が急騰する」などと何度も予測して
みせた.で,そのすべてが見事に大外れになった.一方,ニセモノ
とされたぼくみたいな連中は,それなりにうまく予測してみせた.
というか,平時においても,「本物の経済学」が正しいって証拠は
ほとんどありゃしない.競争的市場の効率性はすてきなお話だけど
,ふつう科学理論を確証しようってときに探し求める,劇的な成功
を収めた予測はどこにある?
それどころか,経済学の業界では,「ミクロ経済学は頑健で妥当な
のがわかっているがマクロ経済学はスカスカで疑わしい」というこ
とになってるけど,この一般的な推定がよって立つ土台は偏見であ
って証拠じゃないように,ぼくには思える.
そうだね,ミクロ経済学の多くは,個々人の利潤最大化プラス均衡
から厳密に導き出せる.でも,正確なところ,どうして「だからこ
れは正しい」ってことになるの?
そんなわけで,ぼくが思い描く本物のアメリカはぼくらが実際に暮
らしてる多種多様なアメリカだし,ぼくが思い描く本物の経済学は
有用そうに思えるいろんなアイディアと技法の折衷的な混交で,厳
密なミクロ的基礎があるかどうかは関係ない.
で,ぼくは本物のアメリカ人にして本物の経済学者としてものを言
ってるのよ.
c The New York Times News Service
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10秒で読む日経!視点が変わると仕事と投資のネタになる
2014/9/2 No.2900
   今日のNews
●財務省が1日発表した4〜6月期の法人企業統計によると、金融機関を除く
  全産業の経常利益は前年同期比4.5%増の16兆3860億円になった。増益は10
 四半期連続だが、増益率は1〜3月期(20.2%増)から大きく減速した。
 製造業が7四半期ぶりに減益に転じ、非製造業も増益幅が鈍った。消費増税
 による駆け込み需要の反動が幅広い業種に広がった。設備投資は3.0%増と、
 5四半期連続で増加した。1〜3月期(7.4%増)に比べ伸び幅は縮んだ。
 足元の動きを反映する、季節要因を取り除いた数値での設備投資(ソフト
 ウエア除く)の前期比は1.8%減と、昨年7〜9月期以来3四半期ぶりに
 マイナスに転じた。
                  日本経済新聞 9月1日夕刊
   佐々木の視点・考え方
★設備投資が前期比で減少し、これを受けて第2四半期GDP改定値が下方修正
 されると見られることが話題の法人企業統計。
 私は少し違うところを見ている。
 まず、人件費。
 昨日出た年度版を見ると、全産業の平成23年に200兆円だった人件費は平成24
 年に197兆円に減り、平成25年(平成26年3月期)に192兆円にまで減っている。
 日経新聞などは、「昨年度は賃金増加があった」と言う記事を書いているが、
 実際は減っていたのだ。
 「いや、今年度に入ってベースアップするだろ。」
 いいえ、今年4〜6月期の人件費は前年同期比マイナス0.3%です。
 数字は厳しい現実を伝えている。
 次は内部留保。
 今年6月末の内部留保は313兆円。
 3月末比で9兆円、前年比で34兆円も増えている。
 そして、1年で増えた34兆円もの利益のほとんどが、現預金などの流動資産の
 増加、つまり、無駄に低金利の資金増に繋がり、経済に何の役にも立たない
 状況がいや増している。
 企業は、利益を追求するのが絶対的目的だから、利益に結びつかない設備投資
 を増やす必要は無い。
 しかし、「無駄な設備投資」以上に「ゼロ金利の現預金を数百兆円も保有」する
 のはもっと愚かなことだ。
 せめて、配当支払い、自社株買い、借入金や社債の返済といった有益な使い方を
 してほしいもの。



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