5093.ウクライナ、ガザのその後



パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍とイスラム原理主義組織ハ
マスとの戦闘で、5日午前8時(日本時間同日午後2時)、人道目
的の72時間の停戦が発効した。その後間もなく、イスラエル軍は
ガザに展開していた地上部隊の全面撤収を完了。約1カ月でパレス
チナ人1800人以上の犠牲者を出した戦闘は終結に向けて重要な
局面に入った。

しかし、経済封鎖を行い、かつ、ガザには人々の暮らしを支えてき
た「民生用トンネル」を全て破壊したことで、ガザの人たちに必要
な物資が入らないことになる。これではガザの人たちが憎しみを増
すだけである。

本当の平和を構築するためには、経済封鎖を解くしかない。しかし
、イスラエルはその条件を解くと、ロケット弾が持ち込まれるとし
て、拒否している。しかし、それでは、新しいトンネルが作られ、
そして、また戦闘を行うことになる。

シーア派とスンニ派が現在、各地で紛争をしているので、イスラエ
ルに牙が向いていないので、早く、パレスチナを国として独立させ
て、平和条約を結ぶしか、平和は訪れない。早く、平和交渉に戻る
ことである。

しかし、イスラエルが撤退したので、戦争は後倒しになったようで
ある。少し時間ができた。この時間をイスラエルはどう使うかでし
ょうね?

反対に、ウクライナ東部での戦闘の方が心配になってきた。政府軍
がドネツクで「大規模攻撃」の準備を進めている。これに対して、
ロシアが、ウクライナ国境付近で100機以上の航空機とヘリコプ
ターが参加する大規模な軍事演習の実施を発表した。

もしかすると、ここから戦争が始まる可能性がある。こちらは心配
な状況になってきた。

戦争になると、米国の軍事産業が儲かり、日本の部品会社が儲かる
という朝鮮戦争的な状況になる。米国はそこから復活することを狙
っている。

ロシアは自国近傍での戦闘はしたくないが、国内世論でウクライナ
のロシア人を守れという意見が多数であり、その声を無視できない。

このため、戦争になる可能性がある行動を取る。

さあ、どうなりますか?


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アラブの混乱のために無謀で独善的になるイスラエル
2014.08.06(水)  Financial Times
(2014年8月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米ホワイトハウスの報道官が先週、イスラエルが国連運営の学校を
爆撃したことについて「弁解の余地は全くない」と語るのを見た時
、筆者は何か新しい状況を目撃したような気がした。米国がイスラ
エルをここまで強く非難したことはかつてなかったのではないか、
と一瞬思ったのだ。
 しかし、筆者よりも記憶力に優れた同僚に言われて思い出した。
イスラエルが1982年に西ベイルートを包囲した際、ロナルド・レー
ガン米大統領(そう、あのレーガンだ)はイスラエルのメナヒム・
ベニン首相に電話をかけ、イスラエルがやっているのは「ホロコー
スト(大虐殺)」だと非難した。
 イスラエルの軍事行動により何万人もの一般市民が命を落とすの
は今回が初めてではなく、世界各地から非難の声が上がるのも今回
が初めてではない。
大きく変わる世界、延々と続くイスラエルとパレスチナの紛争
 レーガンがベニンに電話をかけてから32年が経過した。その間に
ベルリンの壁は倒され、ソビエト連邦は崩壊し、中国は大きく変化
し、アパルトヘイト(人種隔離政策)は終わり、インターネットは
通信の革命をもたらした。
 だが、イスラエルとパレスチナの紛争は果てしなく続けられてき
た。インティファーダ(パレスチナ民衆蜂起)は2度、ガザへの侵攻
は3度行われた。レバノンでも戦闘があり、数え切れないほどの和平
交渉の試みが失敗に終わった。
 ただ、イスラエルとパレスチナが血の流れる争いを続けている間
に、その周囲の様子は急激に変化している。これらの変化のおかげ
でイスラエルは今のところ、国際的な非難に屈しにくくなっている。
しかし長期的には、世界の力関係の変化を考えれば、イスラエルの
将来は暗いものになると見られる。パレスチナと和平を結ばない場
合は特にそうだ。
 イスラエルは今のところ、過去の紛争でパレスチナ側の最大の支
持者だったアラブ世界がバラバラになっているという状況から利益
を得ている。
 シリアとイラクは内戦に巻き込まれており、リビアも混乱した状
況にある。エジプト政府は首都カイロで、ムスリム同胞団の支持者
を多数殺害したうえに、ハマスを同胞団の分派だと見なしている。
アラブ世界のもう一方の大国サウジアラビアも、ハマスには強い敵
意を抱いている。
イスラエルに有利に働いている地政学的な変化
 中東以外の地域でも、地政学的な変化により反イスラエルの動き
が鈍っている。ロシア、インド、そして中国の政府は、自国内のイ
スラム過激派の脅威を強く懸念している。中国の新疆ウイグル自治
区では先週、イスラム分離主義者が起こした戦いの後、100人を超え
る人々が命を落とした。
 ロシアにもイスラム教徒の市民が2000万人おり、ロシア政府はチ
ェチェンで残酷な戦いを2度行って以降、イスラム勢力の好戦性を強
く恐れている。インドのナレンドラ・モディ首相はヒンズーナショ
ナリストであり、当人が反イスラムの暴力行為を黙認したとして非
難されている。
 こうした政治的な変化は、外交の表舞台には反映されていない。
先日開催された国連人権理事会の特別会合で、イスラエルがガザ地
区で戦争犯罪を行っている可能性を調査することが提案された際、
中国、ロシア、インドの3国は賛成票を投じた(欧州連合=EU=加盟
国は棄権し、米国は反対票を投じた)。
 しかし、このイスラエル非難にはお定まりのパターンが見受けら
れる。イスラエル政府のある高官によれば、イスラエルと中国の指
導者たちによるハイレベル協議において、中国側はパレスチナ問題
に「ざっと20秒間」触れただけだった。また、イスラエルのベンヤ
ミン・ネタニヤフ首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は
非常に仲が良い。
 ただ、イスラエルの昔からの敵が敵意を弱めつつある一方で、昔
からの仲間は以前ほど友好的ではなくなりつつある。
 ネタニヤフ氏と米国のバラク・オバマ大統領との関係は冷え切っ
ており、イスラエル高官の中には米国のジョン・ケリー国務長官を
あからさまに軽蔑している人もいる。また米国で行われた世論調査
を見る限り、年配の人々に比べると若い世代はイスラエルに対して
同情的ではなく、その落差はかなり大きい。
 もっとも、そうした変化が米国政府の政策に浸透するにはまだ何
十年もかかるかもしれない。イスラエルはワシントンで確固たる地
位を築いている。連邦議会の上院は先日、ガザ攻撃を全会一致で支
持しているし、オバマ政権も、イスラエルの攻撃を非難する一方で
支援と武器の売却は続けている。
イスラエル政府の計算
 多くの欧州首脳はガザでのイスラエルの行動に露骨に愕然として
おり、人口の多い欧州のイスラム教徒は反イスラエルデモの先頭に
立ってきた。だが、欧州のイスラム教徒は概して、社会に疎外され
た不人気な集団だ。
 フランスのマニュエル・バルス首相は反ユダヤデモを非難し、反
ユダヤデモは「パレスチナの大義とジハード(聖戦)主義、イスラ
エルに対する嫌悪、フランスへの憎しみ」を混ぜ合わせたと述べた。
このような混合はイスラエルの役に立つ。パレスチナ人への同情を
減らすことになるからだ。
 イスラエルは長らく、EUの制裁の可能性について懸念してきた。
だが、例えば違法なイスラエル人入植地からの輸入品を禁止するな
ど、現在議論されている制裁措置は概ね、象徴的なインパクトしか
持たない。イスラエルはこの世界情勢を見渡し、ガザでの戦闘に対
する国際的な非難を無視しても大丈夫だと判断したようだ。現在の
紛争に関する限りは、この計算は正しかったという結果になるかも
しれない。
 しかし、現在イスラエルを助けている政治的な変化は、長期的に
はずっと不吉なものに見える。アラブ世界の混乱は一時的に、イス
ラエルにとって有益な勢力のバランスを生み出したかもしれない。
だが、その状況はあっさり変わり得る。また、地域で台頭する一部
の勢力――最も明白なのがイラクの「イラク・シリアのイスラム国
(ISIS)」――は、ハマスを穏健的に見せる。
和平のみがイスラエルの安全を保証できる
 より大きな意味では、米国の影響力の相対的衰退は、文化的には
西側の出先であるイスラエルにとって悪い知らせだ。中東紛争に深
くかかわろうとする米国の意思は低下している。それは長期的には
、イスラエルの安全は唯一、近隣諸国との和平を実現することによ
ってのみ保証されることを意味する。数年ごとにガザを荒廃させ、
何百人もの民間人を殺すことは、和平の見通しをいよいよ非現実的
なものにする。
 だが、かつてないほど右傾化する国民に支持された、国家の安全
で頭がいっぱいのイスラエル政府は、長期的なことについて考える
のをあきらめたように見える。
By Gideon Rachman
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【ガザ発】命脈のトンネル潰され、怒りと憎しみ募らせる人々
田中龍作2014年08月05日 02:31BLOGOS
「トンネル」と言うとハマスの軍事用トンネルばかりが注目されて
いるが、かつてガザには人々の暮らしを支えてきた「民生用トンネ
ル」があった。
 ハマスを極端に嫌う軍事政権がエジプトに登場したためトンネル
は破壊された、と伝えられている。
 真偽をこの目で確かめるためにエジプト国境の町ラファに行った
。伝聞は本当だった。
 ガザとエジプトとを結ぶ密輸トンネルは、最盛期には大小約1,800
あった。だが、イスラエル軍の空爆によりガザ側の出入口はほとん
ど潰されていた。
 極まれに開いていても、エジプト側が塞がれている。
 大きいトンネルは自動車や牛、小さいトンネルは食料品や医薬品
などをエジプトから密輸するのに使われていた。
 イスラエルに包囲され“兵糧攻め”にされる、ガザの命脈とも言
えた。命脈はイスラエル軍とエジプト政府によって奪われたのであ
る(※)。
 筆者が潰されたトンネルを撮影していた時だった。通りがかった
近所の子どもが、ジェスチャーで空を指さしクルクル回した。無人
攻撃機が飛んでいる、という意味だ。
 確かに上空を旋回する無人攻撃機の飛行音はうるさかった。それ
から数十秒と経たぬうちに近くで警告弾の弾ける音がした。
 トンネル周辺の建物はことごとく破壊されている。イスラエル軍
は建物の地下がトンネルの出入り口になっているものと睨んでいた
のだ。
  イスラエルはパレスチナ人が別の場所にトンネルを掘るのではな
いか、と神経を尖らす。
 無人攻撃機が空低く旋回し、頻繁に空爆した。「ドーン」。爆発
音と共に田園地帯から灰色の煙が上がる。
 イスラエル軍の攻撃対象が田園地帯にまで広がったのだ。野菜、
オリーブ、レモン畑はトンネルの出入口を隠すのに格好の場所だ。
 住民はたまったものではない。ある農家は屋根に爆弾の破片が落
ちてきて穴が空いていた。
 ニャマ・アル・アハラスさん(60歳・女性)は「孫が毎晩うなさ
れて眠れない」と怒りをぶちまけた。
 アハラスさんの家の前をロバの荷車に乗って避難する家族がいた
。アブ・アムラ家の人々だ。
 アムラ家はこの日午前3時、空爆され、家は粉々に破壊された。3
分前に警告弾が落ちたため家族は逃げのびて無事だった。
 イスラエル軍はアムラ家の地下がトンネルの出入口になっている
と疑っていたのだろうか。
 アブ・アムラさんは事実関係を話しただけで、ロバにムチを入れ
家族と共に避難先に急いだ。
 ハマスを目の敵にするエジプトのシーシ政権は、人道支援などに
限って国境を開けていたが、戦闘激化でそれも閉じた。もちろんエ
ジプト国境経由で生活物資は入らない。
 ガザの人々の命脈を断つような所業は、イスラエルとエジプト軍
事政権への憎しみを募らせるだけだ。憎しみはテロにつながる。ひ
いては地域の不安定化をもたらす。
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ガザから全面撤収=停戦発効、戦闘終結へ重要局面−イスラエル
 【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍とイ
スラム原理主義組織ハマスとの戦闘で、5日午前8時(日本時間同
日午後2時)、人道目的の72時間の停戦が発効した。その後間も
なく、イスラエル軍はガザに展開していた地上部隊の全面撤収を完
了。約1カ月でパレスチナ人1800人以上の犠牲者を出した戦闘
は終結に向けて重要な局面に入った。
 イスラエルが7月8日にガザへの軍事作戦を開始して29日目を
迎えた。イスラエル側でも民間人3人と兵士64人の計67人が死
亡し、2005年にイスラエルがガザから撤退して以降の軍事衝突
では、双方で最も多くの犠牲者を出した戦闘となった。
 これに先立ち、イスラエル軍は地上侵攻の目的としていた、ハマ
スの対イスラエル攻撃用トンネル32本を破壊し終えた。地上部隊
の大半は既にガザから撤収していたが、今回の停戦を機に全面撤収
。一部はガザ境界周辺にとどまり、ハマスから攻撃があれば応戦す
る構えだ。停戦入り直前には、ガザから大量のロケット弾がイスラ
エルに向けて発射された。
 イスラエル紙ハーレツによると、停戦後、医薬品など救援物資を
積んだトラック約300台がガザの境界検問所に列をなした。また
、ガザからの報道によると、激戦が展開された南部ラファや北部ベ
イトハヌーンなどでは、がれきの下から遺体を収容する作業が始ま
った。これまでにパレスチナ人1867人の死亡が確認されている
が、さらに増える見込みだ。(2014/08/06-01:33)
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ウクライナ軍、ドネツクへの「大規模攻撃」を準備か
2014.08.05 Tue posted at 12:44 JST
ウクライナ・ドネツク(CNN) ウクライナの国営メディアによる
と、政府の治安当局者は4日、親ロシア派の武装勢力に制圧されて
いる東部のドネツクで「大規模攻撃」の準備を進めていると語った。
これを受けてドネツク市街からは武装勢力メンバーの姿が消え、幹
部は公の予定をキャンセルした。
住民はこれまでの砲撃で地下室などに避難を強いられている。政府
庁舎の地下には何十人もの女性や子どもが寝泊まりしており、親ロ
シア派勢力から聞いた話として、米国がウクライナ軍を支援してロ
シア系住民を攻撃しようとしていると語った。
ある女性は「憎らしいアメリカにやられた。彼らは世界中の戦争に
絡んでいる」と訴える。
別の住民は砲撃を受けた学校の近くで、「政府はファシストだから
信頼できない。なぜ罪のない人々を撃たなければならないのか」と
怒りをぶつけた。
娘の自宅に身を寄せていて4日に自宅へ戻ったという女性は、寝室
の窓ガラスが粉々に割れてベッドの上に飛び散っている光景を目の
当たりにし、「もしここで寝ていたら死んでいた」と絶句した。
ウクライナ軍は同地で砲撃を繰り返しているが、この女性の自宅を
誰が砲撃したのかは不明だ。
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ロシア:ウクライナ国境付近で100機以上の軍事演習発表
毎日新聞2014-08-04 20:39:26
【モスクワ真野森作】ロシア国防省は4日、100機以上の航空機
とヘリコプターが参加する大規模な軍事演習の実施を発表した。期
間は8日まで。ウクライナと接する西部軍管区などが対象のため、
米欧やウクライナの警戒を招きそうだ。
 演習では、最新型の戦闘爆撃機「スホイ34」などが用いられ、
ミサイル攻撃の訓練も行われるという。


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