5078.親露派が民間機を撃墜でどうなるか?



恐れていた民間機の撃墜が起きた。この撃墜で親露派分離主義者を
支援してきたロシアは、大々的には支援ができない状況になったよ
うである。その意味では、ウクライナ紛争も終焉に向かう。しかし
、なぜ、戦争地域に民間機が多数いたのであろうか? 津田より

0.経緯
「p0301、5064.ロシアが負けたウクライナ情勢」で、ウクライナの
停戦は、東部への補給をするための停戦であり、この停戦でウクラ
イナ軍は増強されていると述べた。

このため、親露派武装組織は、東部2州の州都ドネツクとルガンス
クに逃げ込んだ。逆に、ウクライナのヘレテイ国防相は8日、親露
派分離主義勢力が武装を解除するまで停戦再開や交渉の予定はない
と述べ、親ロ派支配地域の包囲を準備する政府軍に自信があること
をうかがわせた。そして、10日、東部2州で親ロシア派に対し、
空爆を含む本格的な掃討作戦を開始した。

このため、親露派は、ロシアから重火器と対空ミサイルをもらった
ようである。ウクライナ軍の空爆が、親露派として一番の脅威であ
ったことによる。

この対空ミサイルで、ウクライナ軍の航空機を撃ち落としている。

そして、13日、ウクライナとの国境近くにあるロシアのロストフ
州の町に砲弾が国境を越えて着弾し、男性1人が死亡し、女性1人
が大けがした。ウクライナ軍がロシア国境で親露派との戦闘で、間
違ってロシア領内に砲弾が落ちたか、親露派の砲弾が落ちたようで
ある。

このため、クレムリンに近い関係筋は、ロシアがウクライナへの空
爆を検討しているとした。それと同時に14日、ロシア軍がウクラ
イナとの国境付近で部隊を再び増強し、1万─1万2000人規模
を集結させた。ロシアが、ウクライナ東部に本格的に侵略する可能
性が出てきたことになる。

この事態で、オバマ米大統領は16日、ロシアへの追加制裁を承認
した。今回の制裁は今までとは違い、石油関係企業ロスネフチなど
エネルギー企業2社を制裁に加えた。

欧州連合(EU)も16日、ブリュッセルで臨時首脳会議を開き、
ウクライナ情勢をめぐり、ロシア企業などに対する制裁を拡大する
ことで合意した。欧州の政策金融機関によるロシアへの新規融資停
止も図る。

この制裁で、ロシアのプーチン大統領は、16日、「米露関係を袋
小路に追いやり、深刻な損害をもたらす」と非難した。メドベージ
ェフ露首相は17日の閣議で、米国の制裁強化によって「ロシア経
済が許容しがたい損害をこうむることはない」と強弁したが、主力
のエネルギー部門などに対する制裁が本格化すれば、経済的な打撃
は避けられない。

1.民間機撃墜
このような状況で、親露派は東部ドネツク州でマレーシア航空機(
乗客乗員295人)を墜落した。米政府高官は17日、マレーシア
機は地対空ミサイルで撃墜されたとした。

マレーシア航空によると、死亡した乗客283人の内訳はオランダ
189▽マレーシア29▽オーストラリア27▽インドネシア12
▽英国9▽ドイツ4▽ベルギー4▽フィリピン3など。乗員15人
は全員マレーシア人。

国連の安全保障理事会は18日、事件に関する緊急会合を開き、「
完全で独立した国際的な調査」を求める報道機関向け声明を発表し
た。

しかし、この会合で、ロシアのチュルキン国連大使は、「なぜウク
ライナ航空当局は、軍事衝突が起きて地対空ミサイルが稼働してい
るような地域への民間機の飛行を許可したのか」と反論した。

本当に、この地域でそれまでにウクライナ航空機3機が地対空ミサ
イルで撃墜されている。チュルキン国連大使ではないが、なぜ、国
際民間航空機関(ICAO)は、航空禁止地域指定しなかったので
あろうかという疑問が起きる。

事実、マレーシアのリオウ・ティオンライ運輸相は18日、撃墜さ
れたマレーシア航空機について「国際民間航空機関(ICAO)が
認可している安全なルートだった」と述べ、ルートに問題がなかっ
たとの認識を示した。

この撃墜後、すぐにICAOは、この地域を航空禁止に指定して、
多くの民間航空機が、急に方向を変えて、この地域を避け始めてい
た。この撃墜までは、多くの民間航空機、ウクライナ東部にいたの
である。

この撃墜で、欧米各紙は19日までに、親露派武装勢力の後ろ盾と
なっているロシアのプーチン大統領に責任があるとする報道を展開
した。

最も多くの犠牲者が出たオランダのフォルクスクラント紙は、「プ
ーチン氏が親露派支援を止めるという困難な条件をのまなければ、
冷戦の暗黒時代に逆戻りするしかなくなる」と指摘した。

このため、ロシアのプーチン大統領は18日、ウクライナと親露派
の双方に停戦に応じるように呼びかけた。国際的な対露批判の高ま
りを受け、態度を軟化させたようだ。

2.プーチンの目標
プーチン大統領は、国際的な孤立を避けたいとの立場を表明したが
、強力に国益を守るとも語っていた。プーチンの目標は、ウクライ
ナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟しないという保証、欧州
連合(EU)へウクライナを組み込むことに対するある種の拒否権
をロシアに与える、ウクライナによる緩やかな連邦制度への移行な
どであった。

こうした目的を果たそうとするうえで、ウクライナ東部を不安定に
することが、同国に圧力をかけるロシア政府の最大の手段になって
いた。

しかし、前提条件がある。ロシアへの経済的な制裁がロシア経済に
多大な損害を与えないことと、国際的な孤立を起こさないことであ
る。しかし、この前提条件が、この撃墜で大きなダメージを与えた
ことになる。

ロシアは今後、地対空ミサイルなど重火器の支援ができず、親露派
は劣勢になることが確実であり、一方、西側諸国のウクライナ軍へ
の支援が強化され、かつロシアへに圧力が増すことが確実になり、
ロシアは調停に乗り出すしかないことになるとFP誌では述べている。

「5076.ウクライナでマレーシア機を撃墜で状況は変化」でも述べた
が、ここが和平のチャンスであり、米オバマ大統領は調停会議を設
定して、関係国を一堂に会させ、ウクライナの将来を含めて合意す
ることが必要であると見る。

ロシアの最低の条件も取り入れるしかないはずであり、そうしない
とウクライナでの内戦が止まらない。

3.陰謀論としてみると
陰謀論としては、国際民間航空機関ICAOがなぜ、飛行禁止地域
にしなかったのかであるが、ロシアや親露派に不利になることから
、西側諸国の陰謀説が出てくるかも知らない。すでにロシアのチュ
ルキン国連大使は疑っているが、ICAOの本部はカナダにある。

ウクライナ東部を民間航空機が多数飛んでいたので、いつかは、撃
墜される可能性があり、それを待ち望んでいた可能性は否定できな
い気がする。

しかし、なぜ、ロシアは、航空機の認識用レーダーと、ミサイル攻
撃用レーダーの両方を組み合わせて使用する必要があるのに、両方
を装備して対空ミサイルを親露派に渡さなかったのであろうか?

もしかしたら、親露派がいつか民間航空機を撃墜して、プーチン大
統領は、ウクライナ東部独立派を支援するロシア国内勢力を納得す
るために、、航空機の認識用レーダーを渡さなかった可能性もある
ようにも思う。プーチンも撃墜を望んでいたのか?

ということは、全員が合意で航空禁止地域にしなかった可能性も出
てくる。と言う結論になる。

まあ、陰謀論者の意見を想像する必要はなく、ウクライナの平和解
決へ向けて、米露は進むべきであるのだ。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
The Missile That Will End the War
http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/07/18/buk_missile_mh17_shoot_down_putin_ukraine_rebels_war

p0301.5064.ロシアが負けたウクライナ情勢
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/260706.htm

5076.ウクライナでマレーシア機を撃墜で状況は変化
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/260718.htm

==============================
露の国連大使「なぜ民間機の飛行許可したのか」
2014年07月19日 12時04分Yomiuri Shimbun
 【ニューヨーク=水野哲也】国連の安全保障理事会は18日、事
件に関する緊急会合を開き、「完全で独立した国際的な調査」を求
める報道機関向け声明を発表した。国連はフェルトマン事務次長を
近くロシアとウクライナに派遣するほか、国連専門機関の国際民間
航空機関(ICAO)も真相究明に関与させる方針だ。
 会合では、ウクライナのセルゲーエフ国連大使が、「ロシアが武
装勢力に武器を提供するなどの支援をしていなかったら、悲劇は起
きていなかった」として、ロシアを批判。これに対し、ロシアのチ
ュルキン国連大使は、「なぜウクライナ航空当局は、軍事衝突が起
きて地対空ミサイルが稼働しているような地域への民間機の飛行を
許可したのか」と反論した。チュルキン氏は、国際的な事故調査の
必要性には同意しながらも、「公平で開かれた調査が必要だ。調査
への圧力があってはならない」と欧米各国をけん制した。事故調査
が迅速に行われるかどうか、予断を許さない状況だ。
==============================
親ロ派が機体残骸運び出し? ウクライナ「証拠隠滅だ」
キエフ=喜田尚2014年7月20日00時58分asahi
 ウクライナ東部でマレーシア航空機が撃墜されたとみられる事件
で、今後の原因究明の核になる墜落現場での遺体収容や現場保存を
めぐり、ウクライナ政府と現場を支配する親ロシア派との間で早く
も非難の応酬が始まった。
 ウクライナ政府は19日、親ロシア派が現場から遺体を搬送する
動きを批判。ドネツクの遺体安置所に一部の遺体が運び込まれ、「
強いロシアなまりの言葉を話す人物が『検視をする』と主張した」
とした。
 さらに、親ロシア派が大型トラックで現場から機体の残骸を運び
出そうとしているとして、「テロリストとロシアによる証拠隠滅だ
」と述べた。
==============================
ブラックボックスは未確認=現場保全の重要性強調−マレーシア運輸相
 【クアラルンプール時事】マレーシアのリョウ・ティオンライ運
輸相は19日の記者会見で、ウクライナ東部で撃墜されたマレーシ
ア航空機のブラックボックスについて、どういう状況にあるか確認
できていないと述べた。飛行記録などを収めたブラックボックスは
、事故原因究明で重要な手掛かりとなる。
 運輸相は会見で「物証が手を加えられないようにしないといけな
い」と指摘。現場保全の重要性を強調した。(2014/07/19-21:35)
==============================
欧米紙はプーチン非難一色
2014.7.19 20:42 sankei[ウクライナ]
 ウクライナ東部でのマレーシア航空機撃墜を受け、欧米各紙は19
日までに、親露派武装勢力の後ろ盾となっているロシアのプーチン
大統領に責任があるとする報道を展開している。
 最も多くの犠牲者が出たオランダのフォルクスクラント紙は、「
プーチン氏が親露派支援を止めるという困難な条件をのまなければ
、冷戦の暗黒時代に逆戻りするしかなくなる」と指摘した。「東ウ
クライナの反乱はロシアのフランケンシュタインのような化け者と
なるだろう」とも警告し、これまでロシアに対して寛容だった同国
の雰囲気は大きく変化した。
 10人が犠牲となった英国のデーリー・エクスプレス紙は1面で
「プーチン氏の反政府軍が航空機を爆破」との大見出しを掲げた。
ロシアが親露派に提供したミサイルで空中爆発したとし、「バラバ
ラになった人の雨が空から降ってきた」との目撃者証言や、散乱す
るぬいぐるみの写真などを伝えた。英大衆紙デーリー・メールは「
息子はプーチン氏に殺された」との見出しで、子供たち80人が犠
牲になったことを伝えた。
 フランスの左派系リベラシオンも、親露派武装勢力がマレーシア
機を撃墜した証拠はまだないとしながらも、「事件に対するプーチ
ン氏の責任にはおそらく、ほとんど誰も反論できないだろう」と指
摘した。
 ポーランドの主要紙ガゼタ・ヴィボルチャも「情け容赦のない、
ひねくれたプーチン氏の政策の結果だ」と指摘。「われわれはヒト
ラーやスターリンに対して知識層がとったナイーブさを繰り返して
はならない」とロシアに対する厳しい態度を求めた。
 また米紙USA TODAY(電子版)も「プーチン氏のゲーム
がウクライナ上空の悲劇を引き起こした」との社説を掲げ、「目に
見えない侵略行為」を糾弾した。
(ロンドン 内藤泰朗、ベルリン 宮下日出男)
==============================
レーダー不完全使用で誤射 英紙報道
2014.7.19 11:06
 マレーシア航空機撃墜事件で、英紙タイムズ(電子版)は18日
、在キエフ軍事筋の話として、現場のウクライナ東部に展開する親
ロシア派が地対空ミサイルのレーダーを不完全な方法で使用したた
め、誤射が起きた可能性があると報じた。
 同紙によれば、撃墜に使われたとみられるのはロシア製「ブクM1
」地対空ミサイルで、実際に攻撃を行うには、航空機の認識用レー
ダーと、ミサイル攻撃用レーダーの両方を組み合わせて使用する必
要がある。軍事筋は、親ロシア派が民間機か否かを区別する認識用
レーダーを持っていなかったと指摘した。
 同軍事筋はさらに、事件当時、現場上空にはマレーシア機以外に
も航空機が飛んでいたとみられるが、攻撃用レーダーが偶然マレー
シア機を標的として捕捉したため、誤射が起きたと分析した。(共同)
==============================
ミサイルを露に移送か 証拠隠滅とウクライナ
2014.7.19 11:03 [ウクライナ]
 ウクライナ内務省は18日、マレーシア航空機の撃墜に使用され
たとみられる地対空ミサイル「BUK」を載せたトレーラーが同国
東部で同日早朝にロシア国境に向けて移動する様子をひそかに撮影
したと発表、映像と写真をホームページで公開した。
 アバコフ内相は「分析を続けているが、恐らくマレーシア航空機
を撃墜したBUKとみられる」と主張、「恐ろしい犯罪の痕跡を隠
そうとしている」と述べ、親ロシア派武装勢力が撃墜の証拠隠滅を
図っていると批判した。
 内務省によると、映像は18日午前4時50分ごろ、ウクライナ
東部ルガンスク州のクラスノドンを通ってロシア国境方面に向かう
車両をとらえた。分解されたミサイルシステムが積まれているのが
見えるという。(共同)
==============================
親露派勢力指導者が突然の辞任、内部分裂か 撃墜事故で弱体化も
2014.7.19 11:30 sankei
 【キエフ=佐々木正明】マレーシア航空機の撃墜現場ともなった
ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派組織「人民共和国」の指導
者の一人で、「共和国議会議長」の肩書にあったデニス・プシーリ
ン氏が18日に辞任したことが分かった。インタファクス通信が伝
えた。理由は明らかにされておらず、ウクライナ政府軍の軍事作戦
が苛烈を極める中、組織の運営方針をめぐる内部分裂を示す可能性
がある。
 プシーリン氏は今年4月、親露派勢力がドネツク州庁舎を占拠し
て以来、国内外のメディアの取材に対応。覆面姿で政府軍に対峙(
たいじ)する武装勢力の戦闘員らとは別に、表の顔のリーダーとし
て組織を仕切ってきた。
 プシーリン氏は6月中旬からモスクワに滞在しており、ロシア政
府高官と面会を重ねていた。モスクワから辞表を送り、18日に受
理されたという。
 一方、7月に大統領の命令で軍事作戦を再開した政府軍部隊の攻
撃により、東部ルガンスク、ドネツク両州の親露派の勢力下にある
地域は次第に縮小している。ウクライナ国防当局によると、18日
、親露派の拠点の一つであるルガンスクの南東部が軍部隊により制
圧された。
 マレーシア機の撃墜後、ポロシェンコ大統領はより厚みを増した
軍事作戦の展開を指示しており、撃墜事故を受け、ロシア側からの
武器流入が断たれれば、親露派勢力は一気に崩壊に向かう可能性も
出てきた。
==============================
ロシア外相「ブラックボックス入手せぬ」 欧州は懐疑的
ニューヨーク=春日芳晃、モスクワ=駒木明義、シドニー=郷富佐
子2014年7月19日00時02分asahi
 原因解明はこれからだが、親ロシア派武装勢力の関与を疑う声は
強まる一方だ。30人近い乗客がいたオーストラリアのアボット首
相は18日夕、首都キャンベラで「墜落ではなく、ロシアが支援す
る武装勢力によるとみられるミサイルで撃ち落とされた」と怒りを
あらわにした。
 ロシアのプーチン大統領は18日、オランダのルッテ首相と電話
し、「詳細で客観的な調査」が必要だという考えを伝えた。ロシア
のラブロフ外相は「ロシアがブラックボックスを入手するつもりは
ない」と述べて、国際的な調査を尊重する姿勢を示した。
 しかし、これまで親ロシア派武装勢力を実質的に支援してきたロ
シアへの懐疑的な見方は根強い。米欧は依然として軍事介入する動
きは見せていないが、ロシアへの風当たりはさらに強まりそうだ。
==============================
米大統領「親ロシア派のミサイルで撃墜」 即時停戦要求
ワシントン=奥寺淳2014年7月19日01時44分asahi
 オバマ米大統領は18日、ホワイトハウスで会見を開き、「マレ
ーシア機は(親ロシア派武装勢力の)分裂主義者が支配する地域か
ら発射されたミサイルで撃墜された」と語った。ウクライナ東部で
ウクライナ軍と戦闘を続ける親ロシア派武装勢力について「飛行機
を打ち落とす先進的な武器を持っており、(それらの武器は)ロシ
ア領から持ち込まれた」と語り、事件の背景にはロシアの親ロシア
派への支援があったとの考えを示した。
 その上でオバマ氏は、即座に停戦して、国際社会による詳細な調
査が必要だと指摘。ロシア側がこれまで事態緩和のための十分な措
置を取らなかったことを批判し、「プーチン氏が(事態打開のため
の)力を一番持っている」と述べ、停戦に向けた努力を強めるべき
だとの考えを示した。(ワシントン=奥寺淳)
==============================
マレーシア機撃墜:親露派撃墜の「証拠」 ウクライナ提示 交信記
録、安保理会合に
毎日新聞 2014年07月19日 東京朝刊
 【ニューヨーク草野和彦、モスクワ田中洋之】ウクライナ東部上
空でアムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空MH
17便(ボーイング777)が撃墜された事件で、国連安全保障理
事会は18日午前10時(日本時間同日午後11時)、対応を協議
するための緊急会合を開いた。ウクライナのセルゲーエフ大使は、
ウクライナ当局が傍受した親ロシア派武装集団とロシア当局の間の
交信記録などを証拠に「撃墜に使われた地対空ミサイルシステム『
ブク』はロシアから届けられた」と指摘した。また、親露派は少な
くとも2基のブクを所有し、ロシアの軍事的支援を受けている、と
述べた。
 ◇露大統領、停戦呼び掛け
 安保理は、原因究明のための「完全かつ独立した国際調査」の開
始と、調査団の現場への受け入れを関係当事者に求める声明を発表
した。親露派武装集団は撃墜への関与を否定している。一方、ロシ
アのプーチン大統領は18日、ウクライナと親露派の双方に停戦に
応じるように呼びかけた。国際的な対露批判の高まりを受け、態度
を軟化させた可能性がある。
 ウクライナの救助隊は乗客乗員298人のうち、181人の遺体
を確認した。また親露派が、ブラックボックスの一つを回収したと
伝えられたが、ウクライナ当局は18日、二つのブラックボックス
を見つけたと説明し、情報が錯綜(さくそう)している。全欧安保
協力機構(OSCE)の監視団は18日、墜落現場に到着した。親
露派は現場検証に協力する姿勢を示している。
 ウクライナのポロシェンコ大統領は18日、国民向けに演説し、
「ウクライナに対する外部の侵略は、欧州と国際社会の安全に対す
る脅威だ」と述べた。
 マレーシア航空によると、死亡した乗客283人の内訳はオラン
ダ189▽マレーシア29▽オーストラリア27▽インドネシア12
▽英国9▽ドイツ4▽ベルギー4▽フィリピン3など。乗員15人
は全員マレーシア人。
 ◇米大統領、ロシア批判
 【ワシントン和田浩明】オバマ米大統領は18日、ホワイトハウ
スでウクライナ情勢に関する緊急声明を発表した。同国東部で墜落
したマレーシア航空機について「親露派支配地域から発射された地
対空ミサイルでマレーシア航空機は撃墜された。親露派はロシアか
ら支援を受けている」と明言。ロシアに対してはウクライナ情勢に
関し緊張緩和措置を取っていないと批判、停戦実現に向け武装勢力
に影響力を行使するよう強く要求した。オバマ大統領は墜落で米国
人1人が死亡したことも明らかにした。
 ◇ルートの安全性「国際機関認可」 マレーシア運輸相
 マレーシアのリオウ・ティオンライ運輸相は18日、ウクライナ
東部を飛行中に撃墜されたマレーシア航空機について「国際民間航
空機関(ICAO)が認可している安全なルートだった」と述べ、
ルートに問題がなかったとの認識を示した。欧州の航空管制調査機
関「ユーロコントロール」(本部ブリュッセル)はウクライナ東部
上空での高度1万メートル以下の飛行制限を勧告していた。ユーロ
コントロールは今回の事件後、現場周辺空域の飛行禁止を通告。マ
レーシア機は高度1万メートルの上空を飛行していた。
==============================
マレーシア機、宇親露派が軍用機と誤認して撃墜か ツイート削除
AFP=時事 7月18日(金)11時7分配信
【AFP=時事】(一部更新)ウクライナ東部で17日にマレーシア航空
(Malaysia Airlines)機が墜落したと発表される前に、同国からの
分離独立を求めている親露派がウクライナ軍の輸送機を撃墜したと
いうコメントを交流サイト(SNS)に投稿したが、後になってそのほ
とんどを削除していたことが分かった。
 親露派は17日午後、ウクライナ軍との戦闘が続く東部の工業地帯
上空を飛行中のウクライナ軍機少なくとも1機を撃墜したとの最初の
一報を投稿した。
 一方的に独立を宣言している「ドネツク人民共和国(Donetsk 
People's Republic)」の自称防衛相イーゴリ・ストレルコフ(Igor 
Strelkov)氏は、ロシアの交流サイト最大手「フコンタクチェ
(Vkontakte)」 の自身のページに、「たった今、トレーズ(Torez
、ドネツク州の都市)近郊でアントノフ26(An-26)型機を撃墜した
」と書き込んでいた。
 ストレルコフ氏はさらに「これが『鳥が落ちた』ことを証明する
動画だ」と書き込んだ。同氏のページには、マレーシア航空機につ
いてウクライナのメディアが報道したものと完全に一致する情報へ
のリンクが掲載された。
 この書き込みは直後に削除されたが、ウクライナ東部の同国軍司
令部はこの投稿が表示されたディスプレーの画像を保存しており、
英文の報道機関向け発表に添えて公開した。
 ストレルコフ氏のものとされる書き込みでは、同機の撃墜に使用
されたミサイルの詳細は明らかにされていない。しかしドネツク人
民共和国は、その数時間前にマイクロブログのツイッター(Twitter
)の公式アカウントから次のように投稿し、墜落したマレーシア航
空機が飛行していた高度1万メートルまで到達可能なロシア製ミサイ
ルを親露派が手に入れていたことを明らかにしていた。
「@dnrpress:DNRは(ウクライナの)地対空ミサイルA1402連隊から
自走式ブーク(Buk)地対空ミサイルを奪った」。この投稿も後に削
除された。
 ロシアの国営メディアはこれらの書き込みについては言及してお
らず、ウクライナ空軍がマレーシア航空機を撃墜したという親露派
指導者の発言を伝えている。
■露工作員との通信で悪態
 その後、ウクライナ政府を強く支持している野党系ニュースサイ
ト「ウクライナ・プラウダ(Ukrainska Pravda、ウクライナの真実
)」は、撃墜後に親露派のメンバーとロシアの工作員が行った通信
を傍受して録音したとされる音声を公開した。
 その中でベース(悪霊)と名乗る親露派メンバーがロシア軍情報
機関将校とされる人物に対し、「たった今、飛行機を撃ち落とした
」と話していた。また別の録音では、戦闘員らしき人物が飛行機の
残骸が残る墜落現場から、「100パーセント間違いなくこれは民間機
だ」と報告している。
 この戦闘員は、乗客がたくさん乗っていたかどうかと質問される
と、ロシア語で悪態をついたという。【翻訳編集】 AFPBB News
==============================
マレーシア機墜落「テロ行為」=救難信号なし、ミサイルで撃墜か
−ウクライナ
 【キエフ時事】ウクライナ東部ドネツク州でのマレーシア航空機
(乗客乗員295人)墜落で、ポロシェンコ大統領は17日、「事
故ではなくテロ行為だ」と非難した。親ロシア派の支配地域に墜落
したため、ウクライナ当局は現場に入れず、真相究明に向けた作業
は難航する可能性がある。
 米CNNテレビによると、米政府高官は17日、マレーシア機は
地対空ミサイルで撃墜されたと明らかにした。マレーシアのナジブ
首相は18日、記者会見し、墜落機が救難信号を出していなかった
と発表した。
 ウクライナ保安局(SBU)のナリワイチェンコ長官はキエフで
記者会見し、親ロ派が航空機撃墜をロシア情報機関員に報告してい
るとされる盗聴記録を公開。親ロ派の仕業と主張した。
 一方、ロシア・メディアによると、プーチン大統領は「ウクライ
ナ軍が東部で(停戦後)作戦を再開していなければ、悲劇は起こら
なかった」と述べ、ポロシェンコ政権に責任があると非難した。
 岸田文雄外相の指示を受け、日本の外務省や在外公館が日本人の
安否確認を続けているが、現時点で乗客リストに含まれているなど
の情報はない。(2014/07/18-07:33)
==============================
ウクライナ問題:露大統領、米追加制裁に反発
毎日新聞 2014年07月18日 00時17分(最終更新 07月18日 00時17分)
 【モスクワ田中洋之】ウクライナ危機を巡り米国が対ロシア追加
制裁に踏み切ったことについて、プーチン露大統領は16日、「米
露関係を袋小路に追いやり、深刻な損害をもたらす」と非難した。
訪問先のブラジルで記者団に語った。今回の制裁対象にはロシアの
主要なエネルギー・軍事企業などが含まれており、経済面で影響が
広がる可能性もある。
 プーチン氏は「ロシアでビジネスをしようとする米企業が(制裁
で)参入を制限されて競争力を失うだろう」とも警告。米国を「ウ
クライナ不安定化の当事者」と決めつけた。
 制裁対象となった国営石油大手ロスネフチのセチン社長は「当社
はウクライナ危機と関係なく、制裁は根拠がなく違法だ」と主張。
米国の目的は「ロシア経済を悪化させることだ」と述べた。また、
軍事専門家はインタファクス通信に対し、軍事企業への制裁は米軍
事産業が国際兵器市場でライバルのロシアを追い落とす狙いがある
との見方を示した。
 米国の追加制裁発表を受け、17日のロシア株式市場は対象企業
を中心に下落。通貨ルーブルも対ドル、ユーロで下がった。
 メドベージェフ露首相は17日の閣議で、米国の制裁強化によっ
て「ロシア経済が許容しがたい損害をこうむることはない」と強弁
した。だが、ロシア要人の入国禁止や資産凍結が中心だった従来の
制裁と異なり、主力のエネルギー部門などに対する制裁が本格化す
れば、経済的な打撃は避けられないとの見方が出ている。
==============================
米国:ウクライナ問題で露に追加制裁 過去最強の措置
毎日新聞 2014年07月17日 11時26分(最終更新 07月17日 13時56分)
 【ワシントン和田浩明、西田進一郎】オバマ米大統領は16日、
ウクライナ東部での挑発的な行動や南部クリミアの占拠を続けてい
るとして、ロシアへの追加制裁を承認したと発表した。対象は金融
、防衛、エネルギー企業など15社・組織のほか、プーチン政権の
高官とウクライナの親露派指導者ら5人。一連の対露制裁では最も
強い措置となる。欧州連合(EU)が同日の首脳会議で追加制裁を
決めたのに足並みをそろえ、ロシアに譲歩を迫る姿勢を打ち出した。
 オバマ大統領はホワイトハウスで読み上げた声明で、度重なる要
求にもかかわらず、ロシアがウクライナへの武器や戦闘員の流入を
止めず、親露武装勢力に影響力を行使して停戦に合意させるなどの
措置を取っていないとプーチン大統領を批判。「ロシア指導部が、
ウクライナでの行動には経済弱体化や外交的孤立などの代償がある
ことを理解するよう期待する」と述べた。
 制裁を発表した財務省によると、対象は天然ガス企業ガスプロム
の関係企業でロシア3大金融機関の一つであるガスプロムバンクな
ど銀行2行▽国営石油会社ロスネフチなどエネルギー企業2社▽自
動小銃を製造するカラシニコフ・コンサーンを含む防衛企業8社な
ど。米国での新規資金調達の禁止や在米資産の凍結、米企業との取
引停止などが科される。ロシア連邦保安庁の幹部やクリミア担当相
、ウクライナの親露派で自称「ドネツク人民共和国首相」のボロダ
イ氏も含まれる。
 米国防総省のウォレン報道部長は16日、ウクライナ国境付近で
ロシア軍が再び部隊を増強していると指摘し、「現時点で1万ー1
万2000人に上る」と記者団に語った。ウォレン氏は、ロシアが
ウクライナの親露派武装集団を支援し続けている証拠があるとし、
ロシア軍の兵器が国境を越え親露派武装集団の手に渡っているとの
見方を示した。
==============================
[FT]プーチン氏の狙いはウクライナの長期不安定 
2014/7/17 7:00nikkei
 この数週間、最初はイラク、次にパレスチナ自治区のガザでの攻
撃により、世界の関心はウクライナから離れてしまった。ウクライ
ナ軍はその間に、東部地域の親ロシア派武装勢力との戦いで優勢に
立ったようだ。だが、これは欧州中心部の安全保障危機における大
詰め、つまり、目前に迫るウクライナの勝利を告げるものではない。
 10日前に親ロシア派の分離主義勢力を主要拠点のスラビャンスク
から駆逐したことは、間違いなく画期的な成果だった。2カ月前に
は、士気の落ちた寄せ集め部隊に見えたウクライナ軍は再編成され
、少なくとも基本的な装備を与えられて戦意を見いだした。
 だが、ルガンスクとドネツクに後退した反政府勢力がすぐに再び
逃げ出さない限り、民間人の命、住宅や産業、インフラの損害とい
った形でこれらの都市の奪還にかかるコストは壊滅的なものになり
かねない。
 さらに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、今年3月の
クリミア併合以降、国内で人気の波に乗っている。プロパガンダマ
シンと化したロシアのテレビは今も、ロシア語を話す住民に対する
ウクライナの残虐行為疑惑を絶え間なく報じている。
 このためプーチン大統領としては、ウクライナにおけるロシアの
大きな目標を少なくとも一部達成しない限り、反政府勢力の敗走を
許すわけにはいかない。ロシア側の目標とは、ウクライナが北大西
洋条約機構(NATO)に加盟しないという保証、緩慢な欧州連合
(EU)統合、および(または)継続的な影響力と、欧州・大西洋
機構へウクライナを組み込むことに対するある種の拒否権をロシア
に与える、ウクライナによる緩やかな連邦制度への移行などだ。
 こうした目的を果たそうとするうえで、ウクライナ東部を不安定
にすることが、同国に圧力をかけるロシア政府の最大の手段になっ
ている。
■増強されたロシア軍
 ロシアは、ウクライナ危機をくすぶる紛争状態に保ち、何千人も
の避難民を生み、ウクライナの産業集積地を破壊し、ウクライナ政
府からより大きな経済、統治問題に取り組む力を奪うこともできる。
 ロシア政府は、部分的にはウクライナ中央政府に対するある種の
心理戦の一環として、ウクライナ東部の全面侵略という選択肢を残
しているように見える。NATOによると、ウクライナとの国境地
帯に配備されたロシア軍の部隊は、6月上旬に「2000〜3000人程度
」に減ったが、最近、装甲車を備えた「緊急即応」部隊を含め、1
万〜1万2000人規模に増強されたという。
 だが、ロシア政府はその一方で、直接介入の潜在的なコスト――
袋に入ってロシアに戻ってくる遺体、ウクライナ東部を統治する経
済的な負担、西側諸国による追加制裁など――は危険なまでに大き
いという結論にも達したように見える。
 むしろ、ロシアは近くに野営する部隊を隠れみのに使い、人員と
武器を国境の向こう側へ送り込み続ける公算が大きい。断片的な報
道によると、この数日間でロシアの装甲車数十台がルガンスク近郊
の国境を越えた模様だ。
 米国務省は14日夜に発表した率直かつ詳細な声明で、「ロシアは
平和を求めていると言っているが、その行動は言葉と一致しない」
と指摘。さらに、「分離主義者に対するロシアの支援が終わったこ
とを示す証拠はない。実際、我々は、ロシアは分離主義者に重火器
などの軍装備品と資金を提供し続けていると見ている」と付け加え
た。
 ウクライナ人兵士がスラビャンスクの中央広場で3歳児を「はり
つけ」にしたとする一見して嘘の報道など、ロシアのテレビ局が報
じるいよいよグロテスクなウクライナの「大虐殺」疑惑は、直接介
入の口実を与えるかもしれない。ただ、報道は恐らく、反政府勢力
に加勢するボランティアを募集する呼びかけなのだろう。
■現実外交へ意欲低い西側
 EU内の意見は割れているが、制裁強化の脅しはロシアの行動を
ある程度抑制する助けになるかもしれない。だが、もし米政府が主
張している通り、ロシアが実はウクライナ東部の平和に関心がない
のだとすれば、ロシア政府との国際協議で東部和平を重視すること
に絞られた焦点は裏目に出る恐れがある。
 東部での流血沙汰の終結は恐らく、軍事的な中立性などの厄介な
問題が絡む、ウクライナの地位を巡る広範かつハイレベルな多国間
交渉を通じてのみ達成されるだろう。悲しいかな、そのような積極
的だが現実主義的な外交を行うことに対する西側諸国の指導者の意
欲はまだ低いように見える。
By Neil Buckley in London
(2014年7月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
==============================
EU、対ロシア制裁拡大へ 「緊張緩和措置が不十分」
2014.7.17 09:54sankei
 【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)は16日、ブリュッ
セルで臨時首脳会議を開き、ウクライナ情勢をめぐり、ロシア企業
などに対する制裁を拡大することで合意した。欧州の政策金融機関
によるロシアへの新規融資停止も図る。
 EU首脳は総括文書で、情勢の緊張緩和のためロシアなどに求め
てきた取り組みの実施が不十分と批判。情勢の不安定化を招く行動
を「物質的、資金的に支援する企業」を対象とし、ロシア企業も含
めるとした。拡大対象は7月末までにまとめる。
 EUの制裁対象はこれまで、ロシア政府高官ら72人と、クリミ
アの2企業にとどまっている。
 また、EUの政策金融機関である「欧州投資銀行」(EIB)に
ロシアへの新規融資の停止を要請。ロシアも加盟する「欧州復興開
発銀行」(EBRD)が同様の措置をとるよう加盟国間で協力する
こととした。
==============================
ウクライナ:戦闘激化 露企業制裁、拡大へ EU検討
毎日新聞 2014年07月17日 東京朝刊
 【ブリュッセル斎藤義彦】欧州連合(EU)は、ウクライナ東部
での政府軍と親露派武装勢力の戦闘激化を受け、資産凍結や渡航禁
止の制裁措置の対象を、同地域の不安定化に協力するロシア企業に
拡大する枠組み変更の検討に入った。ウクライナへのガス供給を止
めている露国営ガス大手ガスプロムも対象にできる。ただ、ロシア
との経済関係悪化に懸念も強く、16日の首脳会議で決定後、詳細
は22日の外相会議で詰める。EU外交筋が毎日新聞に明らかにし
た。
 EUはこれまで、ウクライナ・クリミア半島編入や東部介入に関
与したプーチン政権幹部や親露派武装勢力指導者計72人に渡航禁
止・資産凍結を行ってきた。企業に対する制裁は、クリミアで利益
を得たガス会社などに限定してきたが、これをウクライナ東部不安
定化に関与した一般企業に拡大することを検討している。
 また、ロシアに対し行政改革を支援する数百万ユーロの援助停止
や、欧州投資銀行の融資停止も検討中。16日の首脳会議で決定す
るが、大規模な制裁に踏み込めない見通し。EU首脳会議は先月、
ロシアとの国境検問所3カ所の明け渡しなどを要求、先月30日ま
でに実施されない場合の制裁を警告していた。
 ロイター通信によると、プーチン露大統領は15日に選出された
ユンケル次期欧州委員長と電話で協議、EUとロシアの関係が「試
練に直面している」と制裁を強化しないようくぎを刺した。ウクラ
イナでは15日だけで12人の死者が出るなど、戦闘で市民に多数
の死傷者が出ている。
==============================
米独 ロシアへの追加制裁視野で一致
7月16日 13時08分NHK
アメリカのオバマ大統領はドイツのメルケル首相と電話で会談し、
ウクライナ情勢を巡り、ロシアが事態を鎮静化させるための行動を
とっていないという認識で一致し、ロシアへの追加制裁を視野に連
携していく方針を確認しました。
ウクライナ東部では政権側と親ロシア派の武装集団との戦闘が収ま
らず、13日には砲弾が国境を越えてロシア側に着弾して市民1人
が死亡するなど緊張が続いています。
こうしたなか、アメリカのオバマ大統領は15日、ドイツのメルケ
ル首相と電話で会談し、双方は、この地域で影響力があるロシアが
事態の鎮静化に向けて親ロシア派への武器の流入を防ぐといった行
動をとっていないという認識で一致しました。
そのうえで双方は、アメリカとドイツをはじめとするEU=ヨーロ
ッパ連合が、ロシアに対する追加制裁を科すことを視野に緊密に連
携していく方針を確認しました。ウクライナ情勢を巡ってアメリカ
は、13日に、オバマ大統領がイギリスのキャメロン首相と電話で
会談したのに続き、14日には、国務省がロシアを強く批判する声
明を発表するなど、ここにきてロシアに対する圧力を強めています。
==============================
ウクライナ限定空爆検討か=ロシア紙
 【モスクワAFP=時事】14日付のロシア紙コメルサントは、
クレムリンに近い関係筋の話として、ロシアがウクライナへの空爆
を検討していると報じた。ウクライナ国境に近いロシア南部に迫撃
砲弾が着弾し、民間人1人が死亡したことに対する「標的を絞り込
んだ報復の空爆」の可能性を探っているという。
 関係筋は「ロシアの忍耐は無限ではない」と強調。ロシアは「砲
弾が発射された地点を正確に知っている」と指摘した。ただ、大規
模な攻撃は検討していないとも述べた。(2014/07/14-20:04)
==============================
ロシア軍1万人以上に、ウクライナ国境で部隊増強=NATO
2014年 07月 14日 23:47 JST
[ブリュッセル 14日 ロイター] - 北大西洋条約機構(NAT
O)軍の当局者は14日、ロシア軍がウクライナとの国境付近で部
隊を再び増強し、1万─1万2000人規模を現在集結させている
と明らかにした。
ロシアはこれまで、国境沿いに配置していた4万人の部隊のほとん
どに撤収を指示していたため、部隊の総数は6月半ばまでに1000
人未満に減っていた。
NATO当局者は、「われわれの現在の推定では国境地帯に1万─
1万2000人の部隊がいる。ここ1週間だけでも、複数の部隊が
国境地域に向かって動いているのをわれわれは目撃した」と述べた。
==============================
軍への親露派戦闘に「ロシア将校が参加」
2014.7.14 23:39
 ウクライナのポロシェンコ大統領は14日、治安機関トップを集
めた会合で、親ロシア派武装集団による過去3日間のウクライナ軍
に対する攻撃にロシア製のロケット弾が使われ、ロシア軍将校が参
加した証拠があると述べた。ウクライナ大統領府が発表した。
 大統領は今後の親露派武装集団の掃討作戦をめぐり、包囲網を狭
め、ロシア国境の警備を一層強化する方針を示した。
 インタファクス通信によると、ウクライナ国境警備当局は14日
、ロシア軍が過去24時間で国境地帯に部隊を集めていると明らか
にした。ウクライナに接するロシア南部では13日に砲弾が民家を
直撃し1人が死亡しており、ウクライナ軍の砲撃だと主張するロシ
アとの間で緊張が高まっている。
 国境警備当局は、軍用車両に乗った親露派の雇い兵が越境のため
ウクライナ国境警備隊への攻撃を続けていると語った。(共同)
==============================
ウクライナ即時停戦を=独ロ首脳、W杯決勝前に会談
 【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領とドイツのメルケル首
相は13日、ブラジル・リオデジャネイロで会談し、ウクライナ東
部での軍と親ロシア派の即時停戦および国際監視活動の再開などが
必要との認識で一致した。ペスコフ大統領報道官がロシア・メディ
アに明らかにした。
 両首脳はサッカー・ワールドカップ(W杯)のドイツ対アルゼン
チンの決勝観戦を前に会談した。ロシアは2018年の次回大会開
催国。ウクライナのポロシェンコ大統領もブラジル政府から招待を
受けたが、情勢悪化を理由に固辞し、プーチン大統領との首脳会談
は実現しなかった。(2014/07/14-06:12)
==============================
砲弾が国境越えロシア側に 1人死亡
7月14日 5時33分NHK
ウクライナ東部で政権側と親ロシア派の武装集団との戦闘が続くな
か、砲弾が国境を越えてロシア側に着弾して市民1人が死亡し、両
国の間で緊張が高まることも懸念されます。
ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州では、政権側が親ロシ
ア派の武装集団への軍事攻勢を強めています。
13日、ウクライナとの国境近くにあるロシアのロストフ州の町に
砲弾が国境を越えて着弾し、男性1人が死亡し、女性1人が大けが
をしました。
ロシア国営のイタルタス通信によりますと、ウクライナ東部の砲弾
が国境を越えて着弾し、ロシア側で犠牲者が出たのは今回が初めて
です。
これを受けて、ロシア外務省はロシア駐在のウクライナ公使を召喚
して強く抗議するとともに声明を発表し、「今回の事態は国境地帯
で緊張が極めて高まっていることの表れだ。取り返しのつかない結
果をもたらしかねず、その責任はウクライナ側が負うことになる」
と警告しました。
これに対し、ウクライナ側は「攻撃は親ロシア派の武装集団による
ものだ」と関与を否定しています。
ロシアとウクライナとの国境地帯を巡っては、これまでも双方の国
境警備隊が国境を越えて攻撃を受けたと互いに非難してきましたが
、市民に犠牲者が出たことで、両国の間で緊張が高まることも懸念
されます。
==============================
ウクライナ情勢:「親露派に武器、停止を」 独首相、プーチン氏に
要望へ
毎日新聞2014-07-13 03:53:36
 【ブリュッセル斎藤義彦】ウクライナ東部で親露派武装勢力と政
府軍の戦闘が激化している問題で、仲介にあたるドイツのメルケル
首相は13日のサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会決
勝で、ロシアのプーチン大統領と直接会い、親露派への武器流入停
止や即時停戦を求める見通しになった。
 またAFP通信は、ウクライナのポロシェンコ大統領も13日の
W杯決勝に合わせてブラジ...
==============================
ウクライナ軍23人死亡 東部の親ロ派掃討作戦
 【モスクワ共同】ウクライナ国家安全保障会議は11日、東部で
実施している親ロシア派武装集団の掃討作戦で10〜11日に政府
軍の23人が死亡したと明らかにした。親ロ派側の死者数は不明。
インタファクス通信が伝えた。
 東部ルガンスク州では11日未明、親ロ派武装集団からロシア製
とみられるロケット砲による攻撃を受け、多くの兵士が死亡した。
東部ドネツク州のドネツク国際空港周辺でも銃撃戦があったと報じ
られており、東部各地では依然激しい戦闘が続いている。
 大統領府によると、ポロシェンコ大統領は多くの死者が出た砲撃
を受けて治安機関の責任者らを急きょ招集した。
2014/07/12 00:31   【共同通信】
==============================
ウクライナ、親ロ派への包囲狭める 市民の犠牲増える 
2014/7/11 22:07 (2014/7/12 1:05更新)nikkei
 【モスクワ=田中孝幸】ウクライナ軍は11日も東部の親ロシア派
武装勢力に対する掃討作戦を続けた。親ロ派が軍事拠点とする州都
ドネツクとルガンスクの包囲網も狭めつつあり、周辺地域の空爆に
も踏み切った。ただ、親ロ派勢力は徹底抗戦の構えを崩していない。
ロシア軍の介入を懸念する政府側は多数の市民が犠牲になる市街地
の戦闘はできるだけ避けたい考えだが、包囲戦の行方は不透明さを
増している。
 ウクライナ軍の11日の発表によるとこの数日間でルガンスク空港
周辺やロシア国境付近など東部全域で武装勢力の拠点に対する空爆
を実施。親ロ派の戦闘員50人以上が死亡した。ロシアとの国境近く
の検問所の1つも奪還した。
 一方、包囲された親ロ派は抗戦姿勢を強めており、11日にはロシ
アとの国境付近でロケット弾を発射し、ウクライナ軍の兵士約30人
を殺害した。同国のポロシェンコ大統領は同日、この攻撃に関与し
た親ロ派に報復するとの声明を出した。
 親ロ派は11日に、独自の空軍を近く発足させる方針も示した。政
府と親ロ派との直接協議は再開のメドが立っていない。
 市内各地で戦闘が起きており、親ロ派は戦闘地域への出入りを制
限する措置をとっているが、市民の犠牲は増え続けている。ルガン
スク市当局によると10日からの政府軍の攻撃で自宅にいた48歳の女
性が死亡。複数の市民が負傷した。国連難民高等弁務官事務所(U
NHCR)の推計によると東部の戦闘でロシアに逃れたウクライナ
難民は11万人に上る。
 ロシアのプーチン大統領は6月下旬、議会から付与されていたウ
クライナへの派兵権限を取り消すよう求め、軍事介入しない姿勢を
明確にした。ただ、ウクライナ東部の市民の犠牲が急増すれば国内
で派兵を求める声が強まる可能性もある。
 北大西洋条約機構(NATO)軍幹部は9日、ウクライナ国境付
近のロシア軍が再び増えつつあると指摘。ウクライナのメディアは
11日、ロシアから同国製戦車の流入が続いているとのウクライナ政
府関係者のコメントを伝えた。
==============================
東部で空爆開始=親ロ派掃討、最終段階か−ウクライナ
 【モスクワ時事】ウクライナ軍は10日、東部2州で親ロシア派
に対し、空爆を含む本格的な掃討作戦を開始した。ポロシェンコ政
権は親ロ派に武装解除を迫るため、州都ドネツクとルガンスクを完
全包囲する方針で、4月からの軍事作戦の最終段階と位置付けてい
る可能性がある。
 軍の報道官によると、ルガンスク州内の対ロ国境付近で空爆を実
施し、親ロ派の50人以上が死亡した。これまでロシアは国境付近
での戦闘や着弾に懸念を示しており、プーチン政権が反発を強める
のは必至だ。(2014/07/11-06:01)
==============================
EU、制裁対象者親露派ら11人追加で合意 エネルギー制裁見送
り
2014.7.10 23:27sankei
 【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)は9日、加盟28カ
国の大使級会合を開き、ウクライナ情勢をめぐる在欧資産凍結や渡
航禁止の制裁の対象者追加に合意した。ロイター通信などによると
、新たな対象者は11個人で近く正式に発動される見通し。
 追加対象者は、ウクライナ東部の混乱に関係した親ロシア派メン
バーが中心で、ロシア人も含まれている可能性がある。EUは6月
下旬の首脳会議で緊張緩和に向けた対処を要求し、制裁強化も警告
していたが、要求は十分に満たされなかったと判断したとみられる。
 EUはロシアによるクリミア併合などを受け、ロシア政府高官を
含む61個人と2企業に資産凍結などの制裁を発動しているが、エ
ネルギーなど基幹産業への制裁は今回も見送った。
==============================
国際的な孤立避けたい、強力に国益守る=プーチン大統領
2014年 07月 10日 00:33 JST
[モスクワ 9日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は9日、
国際的な孤立を避けたいとの立場を表明したが、強力に国益を守る
とも語った。
プーチン氏は諮問団体シビック・チャンバーとの会合で、「われわ
れは決して孤立主義を追求することはない」と述べた。
「あなたと私は国益を適切に定義するべきだ。われわれはその方法
を習得している」としたうえで、「われわれはこれを一貫して、正
しく、慎重にそして強力に行う」と語った。
米国と欧州連合(EU)は、ウクライナ東部で親ロシア派武装勢力
がウクライナ政権への対立姿勢を弱めない場合は、対ロシア制裁を
強化する可能性があると警告している。
==============================
ウクライナ国防相「停戦、親ロ派の武装解除後のみ可能」
2014 年 7 月 9 日 03:04 JST WSJ
 【モスクワ】ウクライナのヘレテイ国防相は8日、親ロシア派分離
主義勢力が武装を解除するまで停戦再開や交渉の予定はないと述べ
、親ロ派支配地域の包囲を準備する政府軍に自信があることをうか
がわせた。
 政府軍はここ数日間で優勢に立った様子で、数都市からの撤退を
余儀なくさせられた分離主義勢力はドネツク州の州都ドネツクに集
結した。
 ロシアはこれまで分離主義勢力の軍事介入要請を公に無視してい
る。だが両陣営が決戦に備えるなか、一般市民の命を守ることが不
可欠だとして、停戦の再開をあらためて呼びかけている。
 ヘレテイ国防相はこの要求を退け、「ポロシェンコ大統領は立場
をはっきりさせている。交渉は分離主義勢力が武装を解除した後に
のみ可能だ」と明言した。
 分離主義勢力が防御態勢を強化しているとみられるドネツクに対
し、政府軍は包囲に動いている。ドネツクは2カ月以上にわたり分離
主義勢力の支配下にあるが、大規模な戦闘はほとんど起きていなか
った。だがここにきて重装備の兵士の姿が目立つようになり、住民
たちは情勢の悪化を見込んでいる。
 ヘレテイ国防相によると、分離主義勢力は政府軍の動きを鈍らせ
るためドネツクに通じる道路の数カ所に地雷を敷設した。分離主義
勢力は7日、支配地域に通じる橋を少なくとも4つ爆破した。政府は
8日、ドネツク近郊の高架交差路が前夜に破壊され、重機移送ルート
が限定されたと述べた。
 ドネツク市のルキヤンチェンコ市長によると、4月の戦闘開始以来
、市の人口100万人のうち約10万人が市外に脱出した。同市長は7日
の会談でポロシェンコ大統領に対し、武装勢力は人口密度の高い市
内のあちこちに潜伏しており、軍用機や重火器の使用は危険だと警
告したことを明らかにした。
==============================
東部の情報対策強化=親ロ派と市街戦の恐れ−ウクライナ
 【モスクワ時事】ウクライナのポロシェンコ大統領は7日、親ロ
シア派が東部2州の州都ドネツクとルガンスクに逃げ込み、今後は
市街戦となる恐れがあることを踏まえ、住民の混乱を防ぐため情報
対策を強化する考えを示した。会議での発言として、大統領府が明
らかにした。
 親ロ派は「軍の攻勢で多数の住民が死亡し、人道危機が起きてい
る」などと主張。それをロシア国営メディアやロシア外務省声明が
大きく取り上げ、ポロシェンコ政権批判に戦略的に利用している側
面がある。
 大統領は会議で「(ロシアにより)ウクライナに対する極めて高
度な宣伝戦が展開されている」と強調。「東部の住民は正しい情報
を求めている。情報伝達における事実の歪曲(わいきょく)を許し
てはならない」と述べ、住民への特別放送が必要だと訴えた。
 これに関連し、ウクライナ保安局(SBU)は7日、ロシアのプ
ーチン大統領側近のグラジェフ大統領顧問が宣伝戦などに関与し、
東部情勢の悪化を引き起こしているとみて、調査を開始したことを
明らかにした。(2014/07/08-05:33)



コラム目次に戻る
トップページに戻る