5073.「世界を変えるメガトレンドー人口予測」に意見



5066「世界を変えるメガトレンド?人口予測」に意見。 淵

アジア人口増に対応した経済戦略を──コカコーラを目指せ 

ゴールドストーン教授の理論によれば、成長する国家は人口増で、
かつ若者が多い国である。日本はその真逆なので、没落することに
なる。われら日本人には甚だ冷淡な理論であるが、一応受け止めつ
つ、さらに理論の上を行く戦略で乗り切ることを考えたい。 

結論から言って、人口が増えた分だけ売上も増える商品、しかも若
者が憧れる商品である。その輸出を、日本の本業とすべきだという
のが私の考である。 

わが国の輸出商品をざっと眺めれば、まずテレビなどの家電や精密
機械。これらはダメだ。なぜなら世帯や会社で買うため、人口増ほ
どには売上は伸びない。 

テレビなどは1億人増えても、世帯が8人家族なら1/8億しか売上増が
ついてこない。また自動車は、所得が一定水準に達しなければ売れ
ない。人口が増えたからといって、売れるものではない。 

元来、これら高付加価値の機械製品は、戦後復興のための戦略であ
ったのだ。当時はまだ途上国であった日本が、日本よりも上の先進
国である欧米に輸出して、外貨を稼ぐのには効果があった。東洋の
スイスなどと自ら称して鼻を高くしてもいた。 

しかしこれからは、日本よりも下の途上国に輸出するのである。 
全然別な戦略、別な商品になる。そして、売る先は人口増である。
ならば人口増と売上増が、ぴったり一致する商品こそ、最大の成功
をおさめるはずである。 

たとえば、コカコーラ。小遣い銭で買える。人口が1億人増えれば売
上も1億個増える。何本も飲むので、実際はそれ以上であるが。しか
も、偽物を作れない。スマホなどは、分解してマネをされる。その
結果、安売り競争になる。 

だが、コカコーラは分解もできず、マネできない。コカコーラと同
じ味を、百年以上だれも再現できないのには甚だ感心する。それが
ために、ほぼ独占市場となり、安売り競争が起きない。日本が今後
目指す方向は、そうした商品である。 

たとえば、私が思いつくものとして、ワンカップ日本酒、日清カッ
プヌードル、かっぱえびせん、などであろうか。キューピーのドレ
ッシングもよい。しかしワンカップなどはデザイン的に今ひとつな
ので、途上国の若者が憧れるようなかっこいいデザインに変えてか
らの話である。それには国の支援が必要になるであろう。 

以上まとめると、@人口が増えた分だけ売れる、A小遣い銭で買え
る。B若者が憧れるデザイン、C真似がむずかしい。 

こうした商品を開発して、傾斜生産する戦略を、日本は早速とるに
限る。そうすれば、アジアの人口増という現象を、逆に日本にとっ
て有利な現象に変えられる。いつまでも機械や電気製品に、こだわ
っていてはいけない。 
淵 




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