5066「世界を変えるメガトレンド?人口予測」に意見。 淵 アジア人口増に対応した経済戦略を──コカコーラを目指せ ゴールドストーン教授の理論によれば、成長する国家は人口増で、 かつ若者が多い国である。日本はその真逆なので、没落することに なる。われら日本人には甚だ冷淡な理論であるが、一応受け止めつ つ、さらに理論の上を行く戦略で乗り切ることを考えたい。 結論から言って、人口が増えた分だけ売上も増える商品、しかも若 者が憧れる商品である。その輸出を、日本の本業とすべきだという のが私の考である。 わが国の輸出商品をざっと眺めれば、まずテレビなどの家電や精密 機械。これらはダメだ。なぜなら世帯や会社で買うため、人口増ほ どには売上は伸びない。 テレビなどは1億人増えても、世帯が8人家族なら1/8億しか売上増が ついてこない。また自動車は、所得が一定水準に達しなければ売れ ない。人口が増えたからといって、売れるものではない。 元来、これら高付加価値の機械製品は、戦後復興のための戦略であ ったのだ。当時はまだ途上国であった日本が、日本よりも上の先進 国である欧米に輸出して、外貨を稼ぐのには効果があった。東洋の スイスなどと自ら称して鼻を高くしてもいた。 しかしこれからは、日本よりも下の途上国に輸出するのである。 全然別な戦略、別な商品になる。そして、売る先は人口増である。 ならば人口増と売上増が、ぴったり一致する商品こそ、最大の成功 をおさめるはずである。 たとえば、コカコーラ。小遣い銭で買える。人口が1億人増えれば売 上も1億個増える。何本も飲むので、実際はそれ以上であるが。しか も、偽物を作れない。スマホなどは、分解してマネをされる。その 結果、安売り競争になる。 だが、コカコーラは分解もできず、マネできない。コカコーラと同 じ味を、百年以上だれも再現できないのには甚だ感心する。それが ために、ほぼ独占市場となり、安売り競争が起きない。日本が今後 目指す方向は、そうした商品である。 たとえば、私が思いつくものとして、ワンカップ日本酒、日清カッ プヌードル、かっぱえびせん、などであろうか。キューピーのドレ ッシングもよい。しかしワンカップなどはデザイン的に今ひとつな ので、途上国の若者が憧れるようなかっこいいデザインに変えてか らの話である。それには国の支援が必要になるであろう。 以上まとめると、@人口が増えた分だけ売れる、A小遣い銭で買え る。B若者が憧れるデザイン、C真似がむずかしい。 こうした商品を開発して、傾斜生産する戦略を、日本は早速とるに 限る。そうすれば、アジアの人口増という現象を、逆に日本にとっ て有利な現象に変えられる。いつまでも機械や電気製品に、こだわ っていてはいけない。 淵