5072.世界経済と日本の行く道



米国や欧州、日本の経済成長が低く、それに比べて新興国の経済成
長が高い。この理由は、先進諸国の国内消費が伸びないので、企業
は海外に投資して、新興国の消費拡大に寄与しようとしている。

このため、投資の量が違うために、新興国は伸びている。これによ
り新興国での所得が増え、消費財を買える人たちが増える。そして、
後進国でも資源があると、中国などが必要な資源のために、巨大な
投資をしてくれるので、アフリカの国でも経済が大きく伸びている。

それに比べて、どうして、先進国の消費が伸びないかというと、イ
ノベーションがないので、買い替え消費しかないことによる。もち
ろん、食糧やエネルギーは常に必要であり、この消費はあるが、こ
れらは大きくは伸びない。

ということで、新興国の大学卒業生などが、海外企業に雇われて、
中産階級になる。日本企業も海外売上が増えて、国内工場より海外
工場の方が利益率がよくなる。それは海外工場は最新鋭の機械が入
り、コストが少ないのと労働者の賃金が安いことによる。

このため、ますます、海外工場、海外市場の重要性が増すことにな
る。日本国内の工場労働者の数は減り、雇用数は少なくなる。将来
の管理職候補しか必要がなく、海外での市場がメインになるので英
語力が重要になる。このため、英語力の強化が必要なのである。

日本では、個人的なスキルが重要であるが、それより組織的なスキ
ルも必要である。日本人は組織で仕事するが、海外では個人が重要
で組織的な仕事をしない。このため、スキルの世代交代ができない。

この日本人の性格がある間は、日本企業は技術的な面では大丈夫で
ある。その性格はドイツと日本である。このため、技術的なレベル
が高い製品は、今後も日本とドイツ製になるはず。

しかし、技術が止まると販売力が重要になり、これは英語民族が中
心になる。日本人もドイツ人も販売力では、英語民族には叶わない。

これはいつも、イノベーションを日本企業は欠かさないことである
ということになる。日産のように外人が社長になり、車の中心技術
が海外の技術になる。日本人とドイツ人は自国語で理論的なことを
考え、かつ妄想できるので、深い考えが浮かぶことでここまで来た。

この力を失わないことがもう1つ、必要なことである。日本語の能
力を確保して技術を考える人間と、英語能力を磨いて販売を行う人
を分けて教育することである。

このバランスを崩すと、日本企業は世界に出ていけないことになる。

中国人に勝てるのは、組織力で企業のイノベーションを推進できる
能力であることを充分考えた成長戦略にしないといけない理由であ
る。



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