5071.中東の混乱で世界の構造は?



米国の軍事予算削減とオバマ大統領の優柔不断外交の影響で、世界
の勢力図が変更し始めた。この多元化した極が、スンニ派サウジ、
シーア派イラン、中国、米国である。スンニ派武装組織の金はサウ
ジなど湾岸諸国から出している。この多極化した世界の構造を検討
しよう。   津田より

0.イラク紛争
世界では現在、安全保障をめぐる新たな危機がほぼ1カ月おきに起
きている。南シナ海、アフガニスタン、リビア、マリ、シリアでは
不穏な動きが継続。ロシアはクリミアを併合し、ナイジェリアでは
過激派ボコ・ハラムによる多数の少女誘拐事件が起きた。
そして今、米国とその同盟国は、イラクでの軍事行動の可能性を再
び考えざるを得ない状況に直面している。

そして、2001年9月11日の米同時多発攻撃以降、米軍が最も
行動を求められた年になった。しかし、過去10年以上にわたって
戦争を行っている米国には、疲れの色がにじみ始めている。

米豪の国際研究機関の経済・平和研究所(IEP)は、過去7年間
で世界的に紛争が大幅に増加し、第2次世界大戦終結後60年間の
流れが逆行したとした。

しかし、CSISによると、米国防総省の基本予算は2012─
2021年に約2割減る可能性があると指摘。米国社会の高齢化が
進むなか、医療や社会保障に振り向ける支出が増えるため、国防費
の削減圧力は「弱まらない」とした。

そして、2011年まで米海軍大将を務めていたゲイリー・ラフヘ
ッド氏は「混迷が深まる世界の傾向はすぐには変わらない」とし、
「現在は海と空で対処できるレベルだが、時間が経つに従って、米
軍に深刻な負担を強いるようになる」と述べた。

このように米国の軍事力が期待できなくなったことで、世界は米国
覇権から徐々に、次の世界の構造に移り始めている。

この状況で、ウクライナ東部での紛争では、ロシアは欧州との天然
ガス取引があり、ウクライナ東部を諦め、途中で中国に支援を求め
て、欧州が天然ガス取引を中止しても代替の取引先を確保した。ロ
シアは中国の極に引き寄せられた。

また、イラクではシーア派対スンニ派の戦いに米国が、今回はシー
ア派イランと組んでスンニ派を叩くことになった。しかし、米国は
イラクの権益を守るためだけであり、ほとんど戦闘には参加しない。
戦いの中心勢力はシーア派イランとスンニ派である。

そして、今、中国のウイグルでの紛争とイスラエルとパレスチナの
紛争が再度火が付いた。これはどういう紛争になるか、今後を占う
には必要なことであり、世界の勢力に大きく影響するはずである。

オバマ米大統領とサウジアラビアのアブドラ国王は2日電話会談を
行い、スンニ派の過激組織、イラク・レバント・イスラム国(IS
IL)について協議した。イラク国内のあらゆる勢力が協力し、挙
国一致の政治体制を確立する必要があるとした。

しかし、イラクのマリキ首相は、内閣継続を主張し、マリキ政権側
の部隊は、スンニ派少なくとも255人を超法規的な形で処刑した。
スンニ派との挙国一致内閣を拒否した。そして、イラン軍のスホイ
25攻撃機10機がイラクに納入された。イラン軍のパイロットも
同時に支援している。

このため、イラン人のパイロットが死亡した。国営イラン通信が報
じた。イラクに派遣され活動していた革命防衛隊員とみられる。

このため、クルド自治政府の治安部隊が11日、イラク北部にあるキ
ルクーク油田など2つの油田を管理下に置き、クルド人勢力出身の
閣僚はマリキ政権下の中央政府の行政事務や閣議をボイコットした。
そして、独立に向けての住民投票を行うと表明。

このように、イラクは、北部のクルド、中部のスンニ派アラブ、南
部のシーア派アラブへと分割される第一歩となり始めている。

イスラム教スンニ派の過激派「イスラム国」は5日、アブバクル・
バグダーディ指導者とみられる人物の映像を公開した。

イラク北部モスルのモスク(イスラム教礼拝所)で4日の金曜礼拝
時に撮影され、黒衣姿のバグダーディ指導者が「カリフ(預言者ム
ハンマドの後継者)の任命は何世紀も失われてきたイスラム教徒の
義務」と語り、伝統的イスラム国家のカリフ制にならい、自身がカ
リフとして統治するとした。

このスンニ派の過激派「イスラム国」はシリアの東部油田地帯デリ
ゾール県を掌握し、既に原油の売却を始めた。シリア国内の油田の
ほとんどを支配下に置いた「イスラム国」は、原油売却で得る資金
でイラクでの戦力をさらに強化する狙いがあるようだ。

このため、「世界一資金力のある過激派」とされる。サウジアラビ
アなど湾岸諸国の富裕層(スンニ派)が「イスラム国」に親近感を
抱いて支援しているし、イラクの政治評論家フセイン氏は「湾岸諸
国の富裕層による支援を確認する公式資料はないが、政府も見て見
ぬふりをしている可能性が高い」と話す。そして、「イスラム国」
は十五億ドル(約千五百億円)以上の資金を持つという。

そして、イラク北部モスルで、大学に保管されていた研究用の40
キロのウラン化合物が持ち去られたという。

この資金を使って、過激派組織は、首都バグダッド進攻に備え、指
令ひとつで一斉に攻撃を開始する「潜伏要員」を首都中心部に送り
込んでいるほか、周辺部からなだれ込む「支援部隊」を準備してい
る。

1.イスラエルの誤算
しかし、このようなシーア派とスンニ派のイスラム教同士の戦いに
イスラエルがパレスチナとの戦いに出てきた。

最初は、イスラエル人少年3人が、ヨルダン川西岸で誘拐され、遺
体で見つかったことが切欠で、その後、イスラエル過激派が報復で
パレスチナ人少年を生きたまま焼き殺した。それに対して、数百人
のパレスチナ人の若者が、警戒に当たっていたイスラエルの機動隊
に石を投げつけた。機動隊は催涙ガス弾などを発射して対抗した。

また、イスラエル人少年3人の誘拐の容疑で、ハマスのメンバーを
中心に600人以上のパレスチナ人が拘束され、ハマスの拠点ガザ
からは約190発のロケット弾がイスラエルに着弾した。

これに対して、イスラエル政府は7日、イスラム原理主義組織ハマ
スなどに対し空爆を強化する方針を決定、イスラエル軍は8日、ガ
ザ地区に空爆を実施した。

ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの司令部など計
930か所以上を空爆した。イスラエル軍は、ガザとの境界付近に
部隊を集結させ、地上戦に向けた準備も完了した。

一方、ガザ地区からもこの4日間で500発余りのロケット弾がイ
スラエル側に向けて発射され、中でも中部のエルサレムやテルアビ
ブなどに向け220発以上のロケット弾を発射した。

ガザから約120キロ地点まで飛来したのは「R160」と呼ばれ
る新型弾で、これまで使用された中では最長射程である。

しかし、イスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム」は
、おおむね迎撃に成功しているが、11日には、南部の町アシュド
ッドのガソリンスタンドにロケット弾が命中して激しく炎え上がり
、3人がけがをした。

国連安全保障理事会は12日声明を出し、イスラエルとパレスチナ
の間で暴力が激化していることを受け、イスラエルとハマスに対し
、2012年の停戦合意を順守するよう求めた。

イスラエル軍がガザ地区への空爆を続け、ロケット弾が発射されて
双方の応酬が続くなか、隣国のレバノンからもイスラエルに向けて
ロケット弾が撃ち込まれ、事態は緊迫の度合いを増している。

このハマスとエジプトの同胞団と関係していたし、その同胞団は、
スンニ派過激組織と連携していたことが知られている。ということ
で、イスラエルはスンニ派過激派との戦闘を覚悟することになる。

この状況を小池百合子さんは、Twitterで中東のタガが外れつつある
という。

アラブ連盟(22カ国・機構)は、イスラエルによるパレスチナ自
治区ガザへの大規模攻撃について協議するため、外相級の緊急会合
を14日にカイロで開くことを決めた。

エジプトは、軍事政権のシシ大統領であり、同胞団を弾圧している
ので、それと関係があったハマスとも関係は薄く、今すぐに仲介に
乗り出すことはしないという。

2.中国のイスラム教対策
中国では、6月中旬、ウルムチに住むウイグル族の男性は、治安当
局の指示に基づく町内会のイスラム教の慣習に関する通知を見て暗
たんたる気持ちになった。宗教服の着用やひげを伸ばすことなど禁
止事項が並んでいた。こうした通知が社会の末端まで下されるのは
初めてとされる。当局が「テロ」や「過激な思想」を防ぐ名目でイ
スラム教への介入を強めている。

暴動後、ウルムチのモスクで行われる礼拝では、当局の監視員が内
部に置かれるようになった。ラマダン(断食月)が6月末に始まる
と、同自治区のトルファン地区当局は公務員らの断食や礼拝を厳禁
とした。

イスラム教への監視を強化している。これに対して、スンニ派武装
組織は、中国への浸透を図っている。それが継続的なテロとなって
中国を困らせることになる。

3.中東の今後
米国は、イスラム教スンニ派武装勢力との戦いに負けつつある。ア
フガンでも親米政治家が分裂して、米ケリー国務長官は記者団に「
アフガニスタンにとって非常に危機的な状況だ」と語ったが、米国
がいなくなったら、スンニ派タリバンの国になる。

そのスンニ派過激派を相手にするのは、今後、中国とイスラエルの
ようであり、その意味では、この2ケ国は同じ目的で結ばれること
になる可能性が高い。しかし、黙示録によると、イスラエルのアル
マゲドンに核弾道弾が舞い降りつことになっている。

そして、モスルからウラン化合物が持ち去られたということである。

グローバリスト誌に「China as Netanyahu’s New Friend」が載っ
ているが、中国は、ネタニアフの新しい友達ということである。

イスラエルのハイテク技術を、中国は欲しいのである。イスラエル
は米国からパレスチナとの和平を強制されているが、それはできな
いと思っている。このため、両方にとって戦略的な友好関係が期待
できる。

中国とイスラエルはサイバー攻撃に対応する共同チームを作るとい
う。レッド・メド鉄道建設を中国が行うことになった。

今後、軍事産業にも関係が強化されることになる。

共同の仮想敵があり、それがイスラム教スンニ派武装勢力であり、
そのために軍事協力にも出てくることになる。過激派監視システム
などはイスラエルが得意としている分野である。

脱米の急激な変化で、世界の勢力図に大きな変化が出ていることを
日本も認識して、対応策を練ることであると思うが、どうであろう
か?

さあ、どうなりますか?

参考資料:
China as Netanyahu’s New Friend
http://www.theglobalist.com/china-as-netanyahus-new-friend/

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アラブ連盟が14日に緊急会合 イスラエルのガザ攻撃で協議
2014.7.12 22:07
 中東通信によると、アラブ連盟(22カ国・機構)は12日、イ
スラエルによるパレスチナ自治区ガザへの大規模攻撃について協議
するため、外相級の緊急会合を14日にカイロで開くことを決めた。
議長国クウェートが開催を要請した。
 アラブ諸国の間では、ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマ
スの母体で、「アラブの春」を機に政治的に台頭したイスラム組織
ムスリム同胞団への警戒心が根強い。ガザの停戦に向けた有効な対
応を打ち出すのは難しいとみられる。(共同)
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レバノンからも砲撃 緊迫増す
7月11日 18時03分NHK
イスラエル軍がパレスチナ暫定自治区のガザ地区への空爆を続け、
ガザ地区からもロケット弾が発射されて双方の応酬が続くなか、隣
国のレバノンからもイスラエルに向けてロケット弾が撃ち込まれ、
事態は緊迫の度合いを増しています。
イスラエル軍は、11日、新たにガザ地区のおよそ50か所を空爆
し、この4日間でイスラム原理主義組織ハマスの拠点などおよそ
930か所を爆撃したとしています。
ガザの保健当局によりますと、一連の空爆でこれまでに93人が死
亡、650人以上がけがをしていて、大半が幼い子どもや女性など
の一般市民だということです。
一方、ガザ地区からもこの4日間で500発余りのロケット弾がイ
スラエル側に向けて発射され、11日には、南部の町アシュドッド
のガソリンスタンドにロケット弾が命中して激しく炎え上がり、3
人がけがをしました。
こうしたなか、11日、隣国レバノンの南部からもロケット弾1発
がイスラエル側に発射され、国境沿いにある町の道路上に着弾しま
した。
これに対して、イスラエル軍は即座に反撃を行ったということです。
レバノンの南部には、イスラエルと敵対するイスラム教シーア派の
武装組織ヒズボラの拠点があるほか、パレスチナ難民の居住区もあ
り、イスラエルの空爆が長引き、多数の犠牲者が出ていることに、
レバノンでも反発が強まっているものとみられます。
イスラエル軍はガザ地区への地上戦の準備とも取れる動きを見せて
いて、事態は緊迫の度合いを増しています。

小池百合子twitter
イラクではイスラム国の一団がモスルの大学研究所からウラニウム
強奪。パレスチナのハマスはイスラエルの原子力施設にロケット弾
を放ち、イスラエルはガザ空爆で報復。中東のタガが外れつつある。
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双方に停戦訴え=中東情勢で安保理
 【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は12日声明を出し、
イスラエルとパレスチナの間で暴力が激化していることを受け、イ
スラエルとイスラム原理主義組織ハマスに対し、2012年の停戦
合意を順守するよう求めた。(2014/07/13-01:41)
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ガザの障害者施設も空爆 イスラエル軍、地上戦を準備
ガザ=山尾有紀恵2014年7月13日00時51分asahi
 イスラエルのネタニヤフ首相は11日、声明を発表し、「いかな
る国際的圧力も、我々の滅亡を求めるテロ組織に対する作戦を妨げ
ない」と述べ、パレスチナ自治区ガザでの空爆を断固として継続す
る考えを明らかにした。イスラエル軍は、ガザとの境界付近に部隊
を集結させ、地上戦に向けた準備も完了した模様だ。
 ガザの保健省によると、8日の空爆開始からのガザの死者数は
127人、負傷者は920人以上になった。イスラム組織ハマス幹
部のハニヤ前首相のおい2人も死亡した。誤爆とみられる事案が相
次ぎ、市民の犠牲が拡大している。
 ガザ北部ベイトラヒヤでは12日午前4時半ごろ、重度の身体障
害者向けの養護施設がF16戦闘機による空爆を受け、30代と
40代の身体障害者の女性2人が死亡。5人がやけどなどの重傷を
負った。
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イランの合意なく米は動けず マフムード・シャナウィ中東通信
(エジプト)編集長 
2014.7.12 21:15 [中東・アフリカ]sankei
 イラクで戦闘を続けるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国
」が宣言した、いわゆる「カリフ制国家」は実体のあるものではな
い。ただ、イスラム国は他の過激派組織に先駆けてカリフ制を唱え
ることで(シーア派や異教徒への)「ジハード(聖戦)」の元締め
となることを狙っており、特定の組織に属さない過激な若者らを引
きつける可能性はある。
 一方、イラクではクルド自治政府が独立に向け動きを活発化させ
ている。仮にこれが実現すれば、同国が北部のクルド、中部のスン
ニ派アラブ、南部のシーア派アラブへと分割される第一歩となり得
るだろう。クルド住民を抱えるトルコやイラン、シリアの不安定化
を招くことにもつながる。
 こうした中、米国はすでに中東情勢に単独で関与できる力は持っ
ていない。リビア内戦(2011年)への介入を北大西洋条約機構
(NATO)の枠内でしか行えなかったことや、現在のシリア内戦
に対しては及び腰のままであることを見れば、それは明らかだ。
 イラク情勢でむしろカギを握るのは、イラクに広く利害関係を持
つイランだ。米国がどのような行動を取ろうと、イラクに利害を持
つイランとの合意なしには不可能だといえる。
 他方、サウジアラビアをはじめとするスンニ派の湾岸アラブ諸国
は、03年のフセイン政権崩壊以降、イラク問題について明確な方
向性は持てていない。
 湾岸諸国は、シーア派主導のマリキ政権に抑圧されているスンニ
派部族を支援してきたが、イスラム国が台頭したことで、スンニ派
による政府への抵抗は「テロ」と同義とみなされるようになってし
まった。このような状況では、湾岸諸国が支援を続けても、スンニ
派がシーア派に対する均衡を取り戻すことはできないだろう。(談)
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ケリー氏、2候補と会談 「アフガンは危機的状況」
2014年7月12日 01時56分
 【カブール共同】ケリー米国務長官は11日、大統領選挙の不正
疑惑で混乱が続くアフガニスタンを訪問した。カルザイ大統領や候
補者のアシュラフ・ガニ元財務相、アブドラ・アブドラ元外相と相
次ぎ会談し、不正が疑われる票の大規模な再調査など、事態収拾に
向けた方策を協議した。
 AP通信によると、ケリー氏は記者団に「アフガニスタンにとっ
て非常に危機的な状況だ」と語った。
 会談でガニ氏は、選挙プロセスの信頼性回復に向け広範囲にわた
る集中的な調査を支持する考えを明らかにした。
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スンニ派囚人255人処刑=イラク政権が報復−国際人権団体
 【カイロ時事】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(H
RW、本部ニューヨーク)は11日、声明を出し、イラクのイスラ
ム教シーア派を支持基盤とするマリキ政権側の部隊が、スンニ派の
囚人少なくとも255人を超法規的な形で処刑したと表明した。
 HRWは、イラク各地の住民証言などを基に、スンニ派の過激組
織「イスラム国」が北部モスルへの攻撃を開始した6月9日以降、
モスルを含む六つの都市や村で虐殺が行われたと指摘した。
(2014/07/12-06:15)
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コラム:ガザ侵攻は不可避か、イスラエルを待ち受ける「いばら道」
2014年 07月 11日 19:47 JST
Dan Ephron
[10日 ロイター] - 緊迫する中東情勢をめぐり、イスラエルの
ネタニヤフ首相がガザ地区に地上軍を派遣するかが焦点となってい
る。それを占う上で、同首相が下した決定の1つに注目したい。
イスラム原理主義組織のハマスがイスラエルへロケット砲撃を浴び
せ、一方のイスラエルはガザ地区に空爆を行い大勢の死者が出るな
ど、暴力の連鎖が拡大している。こうした中、ネタニヤフ政権は軍
に対して4万人の予備役兵を招集するよう命じたと発表した。4万
人とは実に大きな数だ。
確かにハマスへの大規模な軍事作戦には、予備役兵の招集が伴うだ
ろう。しかしイスラエルが本当に軍事作戦を準備しているときは、
隠密行動をとるのが常套手段だ。時には軍召集の情報すら検閲し、
ジャーナリストにかん口令を敷くこともある。
それとは対照的に、イスラエルが大々的に報道発表を行うのは、何
らかのメッセージを送ろうとしているときだ。今回の場合、自国の
兵士たちを危険にさらすことなく、ハマスに攻撃を思いとどまらせ
たいとの思惑があるのだろう。事実、今のところ軍が実際に招集し
たのは、数百人程度の予備役兵にとどまっている。
ネタニヤフ首相は政治家としての長いキャリアの中で、地上戦に積
極的になったことは、実はほとんどない。それにはもっともな理由
がある。200万人もの人口が狭い土地に密集しているガザ地区は
、戦争を遂行するには厄介な場所だからだ。
しかし、自身が消極的にもかかわらず、ネタニヤフ首相は結局ガザ
侵攻を命じることになるかもしれない。その主な理由は、停戦交渉
の有力な仲介者が現れそうにないことだ。
一連の衝突は2012年の停戦合意以来、最悪となっている。発端
は先月、イスラエルの少年3人が何者かに誘拐されたのちに殺害さ
れ、ネタニヤフ首相がハマスの仕業だと断定したことだ。イスラエ
ルはヨルダン川西岸地区で大規模なハマス活動家の摘発を行い、そ
の結果、少なくともパレスチナ人5人が死亡した。
今月2日、パレスチナ人の16歳の少年が、イスラエルの極右とみ
られる集団によって焼き殺されるという事件が起き、両者の緊張は
再び高まった。ハマスは長年にわたり密輸したとみられる長距離ロ
ケットを、テルアビブなどイスラエルの複数の都市を狙って次々と
発射した。
これに対し、イスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム
」は、おおむね迎撃に成功している。だがネタニヤフ首相は、空爆
の次の段階に踏む込むよう求める連立政権内部の強硬派の圧力に直
面している。ガザへの空爆では、すでに70人以上が犠牲となって
いるが、強硬派は閣議で歩兵部隊を使ってハマスと交戦し、ロケッ
ト発見に努めるよう首相に迫った。
しかし2007年以降ハマスが実効支配するガザでは、地上戦はイ
スラエルが思うようには決して進まないだろう。もしイスラエル軍
に大勢の犠牲者が出た場合、ネタニヤフ首相は国内からの反発にあ
うだろう。
またパレスチナ人にさらに多くの犠牲者が出れば、イスラエルは国
際社会から批判を受け、一層の孤立化を招きかねない。2008年
のガザ侵攻では1400人以上のパレスチナ人が犠牲となり、国連
の調査団から戦争犯罪にあたるとされた。
したがって、ネタニヤフ首相は当面、ガザ空爆の継続を選択するだ
ろう。そして2012年に、1週間にわたる空爆ののち、双方が停
戦に合意した時のように、ハマスが長期の停戦に応じるよう持ち込
みたい考えだ。
問題は、停戦交渉には仲介者が必要ということだ。イスラエルとハ
マスには直接の窓口がない。2012年に停戦を仲介したのはエジ
プトだったが、今回は関心がないようだ。
エジプトはガザと境界を接し、イスラエルとも平和条約を結んでい
るため、適切な仲介者候補といえる。しかし、最近就任したエジプ
トのシシ大統領は、昨年夏に政権から追放した「ムスリム同胞団」
と、ハマスが同盟関係にあるとみている。そのためシシ政権は、ガ
ザとエジプトのシナイ半島をつなぐトンネルを封鎖したり、パレス
チナ人のエジプトへの往来を制限するなど、ハマスと敵対してきた。
トルコなど他の国々が名乗りを上げる可能性はある。しかし、イス
ラエルと関係を保ちつつ、ハマスへの影響力も備えるという交渉仲
介に必要な資質を持っているのはエジプトだけだと、イスラエルの
軍当局者は考えている。
イスラエルの国家安全保障会議の元メンバーで、退役軍人のItamar 
Yaar氏は「ハマスが求めるのは境界のより大幅な開放で、それがで
きるのはエジプトだけだ」とし、「エジプトが関与しないと、軍事
作戦が長期化する恐れがある」と話す。
Yaar氏は、ハマスのロケットが命中しない限りは、ネタニヤフ首相
は空爆で応じ続けるだろうと予測する。だがロケット攻撃が長期に
わたり続けば、それだけイスラエル側の犠牲者が出る可能性が高ま
り、政権に対するガザ侵攻圧力は強まるだろう。
ハマスの方から停戦する可能性は低いとみられる。そもそもハマス
は一連の戦闘が始まる前から、決していい状態にあるわけではなか
った。それゆえ失うものはないのだろう。
ハマスの収入源の多くは、シナイ半島につながるトンネルを使って
運ばれる密輸品に課された税金から得られていた。しかしエジプト
が封鎖してしまったため、ガザ地区の役人に給料を支払うことさえ
できずにいた。犠牲者の数が増え続けているにもかかわらず、ロケ
ット攻撃によりハマスは再び、イスラエルへの抵抗運動の中心的存
在としての地位を回復しているのだ。
*筆者は米誌「ニューズウィーク」の元エルサレム支局長で、現在
はラビン元首相暗殺に関する本を執筆中。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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エジプト、仲介の動き鈍く ガザ衝突 クーデターでハマスとの関
係悪化
2014.7.11 20:54 sankei
 【カイロ=大内清】8日に始まったイスラエルとイスラム原理主
義組織ハマスとの戦闘は、仲介役に期待されるエジプトが目立った
動きを見せず、停戦交渉の兆しが見えない状況にある。今年6月に
発足したシーシー政権が、ハマスやその源流のムスリム同胞団と敵
対関係にあるためだ。
 エジプト外務省のアブデルアティ報道官は9日、同国がイスラエ
ルとハマス双方と接触しているとはしつつも、現時点では「(停戦
に向けた)仲介は行っていない」と明らかにした。
 ガザに隣接しイスラエルとも平和条約を結ぶエジプトは、2012
年11月の大規模戦闘で停戦を仲介。同胞団を出身母体とする当時
のモルシー大統領が、ガザに首相を派遣するなどしてハマス寄りの
立場を取り、交渉はハマス有利に進んだ。結局、このときはイスラ
エルが国際的な圧力により停戦を受け入れた。
 エジプトでは昨年7月、クーデターでモルシー政権が崩壊。その
後の暫定政権や現在のシーシー政権は同胞団メンバーらの大量摘発
を行った。ハマスに対しても、東部シナイ半島とガザを結ぶ密輸ト
ンネルを破壊することで軍事物資の補給を遮断するなど、経済的な
締め付けを強めてきた。
 以前に比べ弱体化が著しいハマスとしては戦闘長期化は避けたい
のが本音。一方のイスラエルは、ハマスのロケット弾攻撃停止が停
戦の前提と主張している。
 ハマス軍事部門の報道官はこれに対し、(1)ガザへの攻撃停止
(2)イスラエルが11年に釈放し最近、再拘束したパレスチナ人
の解放(3)ハマスとパレスチナ主流派ファタハが進める和解への
妨害禁止−などを要求。ムバラク政権期から緊密な関係にあるエジ
プト情報機関を通じ、交渉を模索しているともいわれる。
 ただ、クーデター後のエジプトは「情報機関レベルでも対ハマス
関係が希薄化している」(外交筋)とされる。シーシー政権は、今
回の戦闘でハマスがさらに弱体化するのを望んでいるとの見方もあ
るだけに、仲介に乗り出した場合でも早期の合意に結びつけられる
かは不透明だ。
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クルド、2油田制圧 閣僚は業務ボイコット 
2014/7/11 22:09nikkei
 【ドバイ=久門武史】イラクからの報道によると、クルド自治政
府の治安部隊が11日、イラク北部にあるキルクーク油田など2つの
油田に進出し管理下に置いた。クルド人勢力出身の閣僚はマリキ政
権下の中央政府の行政事務や閣議をボイコットする方針を表明。ク
ルド人勢力はマリキ首相への退陣圧力を一段と強めている。
 中央政府の石油省はキルクーク、バイハッサンの2つの油田が制
圧されたと明らかにした。「憲法と国富を侵す行為だ」と非難し、
クルド部隊の即時撤退を求めた。AFP通信によると、2油田の生
産能力は合計で日量約40万バレルとされる。イラクの生産量の1割
強に当たる。
 埋蔵量が豊富なキルクーク油田は中央政府が管理してきたが、帰
属を巡り自治政府と長く対立。自治政府は6月中旬から、イスラム
過激派「イスラム国」の進撃で中央政府の部隊が撤退した隙を突く
形で、中心都市キルクークを実効支配している。今回、新たに油田
を支配下に置いた。
 一方、クルド人である中央政府のジバリ外相は11日、ロイター通
信に「我々は政府に関わる業務を停止した」と述べた。クルド出身
の閣僚は日常の行政事務を中断しているという。10日には、閣議へ
の参加を拒否すると表明していた。
 クルド人は多数派のアラブ人とは別の民族で、イラク北部に自治
区を形成している。マリキ政権がイスラム教シーア派を優遇してい
るとして不満を強めており、バルザニ議長はクルド独立の是非を問
う住民投票を実施する意向を示している。
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イラクで研究用核物質が奪われる
7月11日 6時46分NHK
IAEA=国際原子力機関は、イスラム過激派組織が制圧したイラ
ク北部の都市で、大学に保管されていた研究用の核物質が奪われた
ことを明らかにし、現時点で深刻な危険はないという見方を示した
うえで、イラク政府と連絡を取りながら事実関係を確認していくこ
とにしています。
IAEAは10日、声明を発表し、イスラム教スンニ派の過激派組
織が制圧したイラク第2の都市モスルで大学から核物質が奪われた
と、イラク政府から報告を受けていたことを明らかにしました。
詳しい状況は公表されていませんが、ロイター通信は、大学に研究
用に保管されていたおよそ40キロのウラン化合物がテロ集団に奪
われたとしていて、イラク政府は国連に対して国内外でテロに使わ
れないための協力を求めたと伝えています。
IAEAは「現段階の情報から判断すると、核物質は低レベルで深
刻な危険はもたらさないだろう」との見方を示したうえで、研究に
使われる核物質が奪われたことについては懸念を表明し、イラク政
府と連絡を取りながら事実関係を確認していくことにしています。
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米国が抱くイスラムへの幻想
2014年07月11日(Fri)  岡崎研究所  WEDGE
米ニューヨーク大学対話センター長のムスタファ・トリーリ
(Mustapha Tlili)が、6月3日付ニューヨークタイムズ紙掲載の論
説で、イスラムへの幻想を捨て、エジプトのシシ政権との関係を築
くことが米国の国益に適う、と論じています。
 すなわち、オバマ大統領は、2009年6月4日のカイロ演説において
、「権力は、力によってではなく、合意によって維持されるべきも
のだ。少数派の権利を尊重し、寛容と妥協の精神に基づき協力しな
ければならない。関係者の利益よりも、国民の利益、また政治プロ
セスを正しく行なうことを優先しなければならない。以上の要件が
伴わなければ、選挙を行なうだけでは真の民主主義を達成すること
はできない」と述べた。
 カイロ演説の後、エジプトは「アラブの春」を経験し、続いて、
ムスリム同胞団が選挙を経て権力の座に就き、失脚した。もし2009
年の演説でのオバマ大統領のメッセージが、失脚前のモルシ大統領
に再び強く伝えられていれば、カイロ演説後にアラブ社会やイスラ
ム社会が抱いた期待が、これほど裏切られることはなかったであろ
う。
 遺憾なことに、在任中のモルシ大統領は、オバマ大統領が挙げた
「民主主義実現のための要件」を無視した。彼は、新憲法を強行に
通過させ、大統領権限を強化し、コプト教徒を保護する政策を行な
わず、ジャーナリストや活動家に対する復讐を行ない、非イスラム
勢力の政治生命を奪おうとした。モルシ政権は、国民を犠牲にして
、ムスリム同胞団の政治目標を達成しようとしたが、米国務省の報
道官は、モルシ政権に絶大な権力を与えた2012年11月の新憲法制定
について聞かれた際、「これはエジプトの内政問題だ」と答え、米
政府は、エジプトで選挙が実施されたことで充分であるかのような
態度をとった。
 オバマ政権は、チュニジアでも、非イスラム教の政治家の暗殺に
関わったとされる過激派との関係が疑われていた、イスラム政党ア
ンナハダ主導の暫定政権に対して、同様の誤った態度をとった。ア
ンナハダの党首、ラシド・ガンヌーシは、2011年にチュニジアに帰
国するまでの間、ロンドンやワシントンにおいては「イスラム教民
主主義者」、或いは、穏健派として歓迎されていた。
 オバマ政権がそれらの政権を思慮なく支持してきたのは、イスラ
ム復興主義の本質を把握できていなかったことに起因する。アラブ
世界で独裁政権が数十年間続いてきた中で、イスラム復興主義者は
、西側諸国に対して、自分たちをイスラム教と民主主義との妥協点
を見いだそうとする穏健な組織として売り込んできた。実際には、
彼らは、神の意志を地上で実行するという教義に基づく救世主的イ
デオロギーを提唱する人々である。彼らが米国のパートナーとなる
のは不可能であろう。
 米国は、穏健を装うイスラム復興主義者に惑わされ、イスラム社
会に存在する非イスラム教民主政党と彼らの支持者を支援すべきで
あることを見逃してしまった。彼らは、寛容と節度、法の支配、女
性の権利の尊重と憲法に定められた自由に基づく社会を築くことを
望んでいた。米政府は、新しい現実を受け入れ、エジプトのシシ政
権との関係を築くべきである。また、2014年の後半に行なわれる国
政選挙を待つことなく、チュニジアの非イスラム教政党との関係も
築いていく必要がある。「穏健」であっても、過激なジハーディス
トであっても、イスラム主義者を排除しなければならない。そのた
めに、米国は、イスラム社会の非イスラム教民主主義者を支援する
べきであり、それが米国の国益である、と論じています。
* * *
 筆者は、ソルボンヌ大学、ニューヨーク大学で学び、国連に勤務
した経験のある、アメリカ在住のチュニジア人評論家、著述家で、
中東における、原理主義的民主主義擁護論に対する基本的な反論を
展開し、エジプトのシシ政権を支持しています。それは、アラブ諸
国の中でも、リベラル思想が強いチュニジア出身であることと、米
国、国連との長年の付き合いから来る、開かれた考え方から来るも
のなのでしょう。
 筆者自身がアラブ社会にどれだけの影響力を持つかは分かりませ
んが、現実的にシシ政権支持がアメリカの国益に沿っている実態を
考えれば、アメリカの政策にとっては良いアドバイスであり、シシ
政権の独裁性を批判する論調がまたぞろ目立って来ている中で、援
護射撃になると思います。
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イスラエル、ハマス司令部など空爆 ハマスは新型長距離ロケット
弾使用
2014.7.10 00:48sankei
 【カイロ=大内清】イスラエル軍は9日、前日からのパレスチナ
自治区ガザ地区への軍事作戦を強化、AP通信などによると、この
2日間でガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの司令部
など計560カ所以上を空爆した。ハマス側もロケット弾攻撃を継
続し、数発はガザの北約120キロ地点に着弾。作戦開始以降のガ
ザの死者数は少なくとも41人に達した。
 ハマス側は8〜9日、イスラエル南部のほか、中部のエルサレム
やテルアビブなどに向け220発以上のロケット弾を発射した。こ
のうち約40発は対空防衛システム「アイアンドーム」で撃墜され
たという。
 ガザから約120キロ地点まで飛来したのは「R160」と呼ば
れる新型弾で、これまで使用された中では最長射程。命中精度は低
いとみられ、被害は出ていないが、ガザから100キロ圏内には人
口の約6割の500万人が住むことから、政府は警戒を強めている。
 同国のネタニヤフ首相は9日、軍事作戦のさらなる強化を表明。
ハマスとの和解を進めるパレスチナ自治政府のアッバス議長は「パ
レスチナ人への虐殺だ」とイスラエルを非難した。
 一方、ガザに隣接しイスラエルとも国交があるエジプト外務省は
同日、双方に暴力停止を要請。ただ、現時点での具体的な停戦仲介
の動きは否定している。
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「イスラム国」シリア油田地帯掌握 資金力をさらに強化
2014年7月9日 tokyo朝刊
 【カイロ=中村禎一郎】シリア人権監視団(ロンドン)は八日、
イスラム教スンニ派の過激派「イスラム国」がシリアの東部油田地
帯デリゾール県を掌握し、既に原油の売却を始めたと明らかにした。
低価格で取引しているため、外国の取引業者も目を付け、「イスラ
ム国」への接触を試みているという。シリア国内の油田のほとんど
を支配下に置いた「イスラム国」は、原油売却で得る資金でイラク
での戦力をさらに強化する狙いがありそうだ。
 シリア人権監視団によると、「イスラム国」はデリゾールの原油
を、従来の半値で地元シリアの仲介業者に売却。デリゾールの原油
には、トルコ系の仲介業者も関心を抱いている。
 一方、「イスラム国」は、掌握したシリア東部ラッカに小型の石
油精製施設を六カ所新設し、自ら消費する石油を生産。イラクでは
、国内最大の製油都市・北部バイジをめぐり、イラク軍との戦闘を
続ける。
 監視団のラミ・アブドルラフマン所長は「『イスラム国』は石油
から継続的に収入を得ており、有効性を実感しているはずだ。今後
も油田地帯を狙い続けるに違いない」と指摘する。
 「イスラム国」はほかに外国人の誘拐や、制圧地の銀行からの強
奪、イラク軍の残した武器の売却でも現金を入手。「世界一資金力
のある過激派」とされる。サウジアラビアなど湾岸諸国の富裕層(
スンニ派)が「イスラム国」に親近感を抱いて支援しているとのう
わさも絶えない。
 イラクの政治評論家フセイン氏は「湾岸諸国の富裕層による支援
を確認する公式資料はないが、政府も見て見ぬふりをしている可能
性が高い」と話す。英紙ガーディアンによると、「イスラム国」は
十五億ドル(約千五百億円)以上の資金を持つ。
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アフガン支援停止警告=独自政権示唆に「強い懸念」−米国務長官
 【ワシントン時事】ケリー米国務長官は7日の声明で、アフガニ
スタン大統領選決選投票の暫定結果で次点となったアブドラ元外相
が独自政権樹立を示唆したのに対して「極めて強い懸念」を表明し
た。長官は「法の枠外で権力を握る行動」に出れば、米国からの金
融、治安関係支援を失うと警告した。(2014/07/09-00:26)
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ガザ空爆強化へ=ハマス、ロケット弾攻撃認める−イスラエル
 【エルサレム時事】イスラエル政府は7日、治安閣議を開き、パ
レスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマ
スなどに対し空爆を強化する方針を決定した。これを受け、イスラ
エル軍は8日、ガザ地区に空爆を実施した。当地のメディアなどが
伝えた。
 ロイター通信がパレスチナ当局者の情報として伝えたところによ
ると、イスラエル軍機が8日未明に30カ所以上の目標に対して爆
撃を行い、9人が負傷した。
 空爆強化はガザからのロケット弾攻撃を止めることが目的で、必
要に応じて拡大させるが、当面は空爆以上の大規模な軍事行動は取
らない見込みという。ただ、イスラエル軍は、事態が激化した場合
に備え、予備役1500人の招集を開始した。
 一方、イスラエル軍によると、7日夜、短時間にガザから40発
以上のロケット弾が発射され、うち30発がイスラエル領内に着弾
。ハマスの軍事部門カッサム隊が攻撃を認め、「イスラエルの犯罪
への当然の反応だ」と声明で述べた。これより先、イスラエル軍に
よる空爆でハマスの要員が殺害されたと主張していた。
(2014/07/08-10:51)
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イスラム国:バグダディ指導者 謎多き第2のビンラディン
毎日新聞 2014年07月07日 20時46分
 【カイロ秋山信一】イラクとシリアで活動するイスラム教スンニ
派の過激派組織「イスラム国」のアブバクル・バグダディ指導者を
巡る情報戦が活発化している。欧米メディアでは「第2のビンラデ
ィン」とも評されるが、経歴や容姿は謎。イスラム国側はバグダデ
ィ指導者とされる映像や音声を相次いで公開しており、その「カリ
スマ性」を勢力拡大に利用しようという思惑がうかがえる。
 バグダディ指導者とされる男性の映像は5日にインターネット上
で公開された。黒布と黒いターバンを着用し、イスラム礼拝所(モ
スク)で「神はムジャヒディン(イスラム聖戦士)の戦いと忍耐に
勝利を与えた」と語りかけた。勝利とはシリアとイラクにまたがる
地域を実効支配し、「イスラム国」の建国を一方的に宣言したこと
を指すとみられる。
 米政府によると、バグダディ指導者は1971年、イラク中部サ
マラで生まれた。イスラム過激派サイトによると、首都バグダッド
の大学でイスラム学の博士号を取得し、2003年のイラク戦争時
はモスクの説教師だった。04年2ー10月に駐留米軍に拘束され
、その前後に過激派組織に参加したとされる。
 所属組織の指導者が相次いで米軍に殺害されたのを受け、10年
5月にトップに就任。12年夏に本格化したシリア内戦に乗じて戦
闘員や武器を確保し、組織を立て直した。これまでにシリア東部か
らイラク北部に至る広域を実効支配し、イスラム法に基づく統治を
実施。6月にはイスラム教の最高指導者「カリフ」を自称し、新国
家建設を宣言した。
 ただ、公開されている情報は米国とイラク政府の手配写真ぐらい
しかない。米国は1000万ドル(約10億円)の懸賞金をかけて
バグダディ指導者の行方を追っている。
 イスラム過激派の動向に詳しいジャーナリストによると、過激派
の若者の間でバグダディ指導者の人気はアルカイダの現指導者ザワ
ヒリ容疑者をしのぐほどという。ネットで公開された映像が本物だ
とすれば、カリスマ性を強調し、戦闘員の勧誘や資金集めに利用す
る狙いがあるとみられる。イラク政府はバグダディ指導者が軍の攻
撃で負傷しており、映像は偽物だと主張している。
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シリア軍がレバノン領の反体制派拠点空爆
2014.7.7 00:27
 シリア軍は6日、隣国レバノン東部アルサルで武装集団に対し数
回にわたり空爆を行った。死傷者数などは不明。アルサルはシリア
との国境に近く、シリア反体制派の主体イスラム教スンニ派が多く
住んでいる。フランス公共ラジオが報じた。
 シリア軍は4月、首都ダマスカスと中部ホムスの間のレバノン国
境地帯にある町を反体制派から次々と奪回、反体制武装勢力の一部
はレバノン側に撤退した。アルサルは、シリアの反体制派に武器や
食料を密輸する拠点になっているとされる。(共同)
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中国当局、イスラム教に介入強める…膨らむ不満
2014年07月06日 13時32分Yomiuri Shimbun
 【ウルムチ=鈴木隆弘】中国新疆ウイグル自治区のウルムチで少
数民族ウイグル族と漢族が衝突し、当局発表で死者197人を出し
た大暴動から、5日で5年となった。
 暴動現場の一つ、繁華街の国際大バザールでは、自動小銃を持っ
た武装警察官が巡回するなど厳戒態勢が敷かれた。当局は力で治安
を保っているが、強まる締め付けにウイグル族の不満が膨らむ一方
だ。
 「当局による宗教や慣習の軽視は年々強まっているが、ついにこ
こまできたか」
 6月中旬、ウルムチに住むウイグル族の男性は、当局の指示に基
づく町内会のイスラム教の慣習に関する通知を見て暗たんたる気持
ちになった。宗教服の着用やひげを伸ばすことなど禁止事項が並ん
でいた。こうした通知が社会の末端まで下されるのは初めてとされ
る。当局が「テロ」や「過激な思想」を防ぐ名目でイスラム教への
介入を強めていることを示すものだ。
 暴動後、ウルムチのモスクで行われる礼拝では、当局の監視員が
内部に置かれるようになった。これまで1人だったが、6月には3
人に増えた。モスクの外でも多数の警官が目を光らせているところ
もある。この男性は「こんなやり方では反感しか持てない」と憤る。
 ラマダン(断食月)が6月末に始まると、同自治区のトルファン
地区当局は公務員らの断食や礼拝を厳禁。ウルムチの飲食店は、断
食の慣習に反して日中も店を開くよう求められている。
 当局への反発から、5年で顔全体をスカーフで覆う女性が増えて
おり、イスラム教を厳格に守る保守的な思想が広がっていることが
背景にあるとみられる。
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焦点:イラク首都で進攻に備える過激派要員、政府は摘発に躍起
2014年 07月 6日 16:34 JST
[バグダッド 3日 ロイター] - イラクで攻勢を強める過激派組
織は、首都バグダッド進攻に備え、指令ひとつで一斉に攻撃を開始
する「潜伏要員」を首都中心部に送り込んでいるほか、周辺部から
なだれ込む「支援部隊」を準備している。米国とイラクの安全保障
当局者の話から明らかになった。
スンニ派過激派組織「イラクとレバントのイスラム国(ISIL)
」は、わずか3週間でイラクの北部と西部にまたがる地域を掌握す
ると、人口700万人の首都バグダッドへの進撃を続けると宣言し
た。
政府当局者は、過激派の総攻撃が実行に移される時を指して「ゼロ
・アワー」と呼んでいる。
イラク政府の安全保障担当高官によると、潜伏要員のうち、およそ
1500人がバグダッド西部、さらに1000人が郊外で息をひそ
め、その時を待っているという。
こうした潜伏要員の主な目的は、米国が設置した安全地帯で、政府
庁舎が集まる「グリーン・ゾーン」に侵入し、宣伝的な勝利をあげ
ることに加え、バグダッド西部や周辺地域に拠点を築くことにある
と、この高官は指摘する。
「彼らは一帯を占拠したら、手放そうとはしないだろう。バグダッ
ド西部の潜伏要員たちは準備も入念で、いつでも動き出せる」と高
官は語った。
自らをこうした潜伏要員だと語るアンバール県出身の男は、労働者
として普段はバグダッドで働く傍ら、ひそかに自身が所属するスン
ニ派過激派組織のために情報収集を行っているという。そして男は
、首都進攻の日は近いと語る。
「準備はできている。すぐにでも攻撃に移せる」。アブ・アフメド
と名乗るこの男は、公の場でロイターの取材に応じ、周囲を警戒し
ながら、そう答えた。
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戦死のイラン人パイロット、革命防衛隊員か 支援の見方強まる
2014.7.5 22:51
 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が軍と戦闘を続ける
イラクで、イラン人のパイロットが死亡した。国営イラン通信が5
日までに報じた。配信された葬儀の写真には「革命防衛隊の大佐」
と書かれたひつぎのようなものが写っており、イラクに派遣され活
動していた革命防衛隊員とみられる。
 イランはこれまで、イラクへの軍部隊派遣を否定しているが、革
命防衛隊の精鋭で対外工作などを担う「コッズ部隊」が現地でイラ
ク軍を支援しているとの見方がさらに強まりそうだ。(共同)
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パレスチナ人少年の葬儀で衝突―イスラエルの機動隊に投石
By JOSHUA MITNICK
2014 年 7 月 5 日 12:15 JST  WSJ
 【東エルサレム】行方不明になったあと、遺体で見つかったパレ
スチナ人少年の葬儀が4日、東エルサレムで行われ 、数千人が参列
した。イスラエルに対する新たなインティファーダ(民衆蜂起)を
求める声が上がり、数百人の若者がイスラエル警察と衝突した。
 遺体で見つかった少年はAbu Khdeirさん( 16)。東エルサレムの
シュアファト地区で行方不明になり、2日にエルサレム西部の森の
中で遺体が発見された。
 パレスチナ自治政府のアッバス議長はイスラエル人入植者の犯行
と非難している。
 パレスチナ人少年の遺体が発見される前日には、ヨルダン川西岸
で誘拐され、遺体で見つかったイスラエル人少年3人の葬儀が行われ
た。エルサレムでは、パレスチナ側とイスラエル側との間で衝突が
続いており、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の都市に飛び火す
る恐れが高まっている。
 「インティファーダ、立ち上がれ」、「米国とイスラエルはテロ
リストだ」と叫ぶ声が上がるなか、Abu Khdeirさんの葬列から数百
人のパレスチナ人の若者が飛び出して、警戒に当たっていたイスラ
エルの機動隊に石を投げつけた。機動隊は催涙ガス弾などを発射し
て対抗した。
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焦点:世界で高まる地政学リスク、米軍には「疲れの色」も
2014年7月5日12時08分
 [ワシントン 2日 ロイター] - 世界では現在、安全保障を
めぐる新たな危機がほぼ1カ月おきに起きている。南シナ海、アフ
ガニスタン、リビア、マリ、シリアでは不穏な動きが継続。ロシア
はクリミアを併合し、ナイジェリアでは過激派ボコ・ハラムによる
多数の少女誘拐事件が起きた。
 そして今、米国とその同盟国は、イラクでの軍事行動の可能性を
再び考えざるを得ない状況に直面している。
 昨年は米国の国防予算が大幅に削減される一方で、2001年9
月11日の米同時多発攻撃以降、米軍が最も行動を求められた年の
1つとなった。過去10年以上にわたって戦争を行っている米国に
は、疲れの色がにじみ始めていると懸念する声も出ている。 
 アフガニスタンに米軍兵士を1人駐留させておくコストは年間
200万ドル(約2億円)以上との推計もあり、アフガン完全撤退
で国防予算にいくらかの余裕は生まれるとみられる。ただ、世界各
地では武力衝突は増加傾向にあり、米国と中国やロシアの間でも緊
張が高まっている。
 オーストラリアと米国を拠点とする国際研究機関の経済・平和研
究所(IEP)は先に発表した報告書で、過去7年間は世界的に紛
争が大幅に増加し、第2次世界大戦終結後60年間の流れが逆行し
たと指摘した。
 オバマ大統領は5月に陸軍士官学校で行った外交政策演説で、米
軍は武力行使により慎重になる必要があると力説した。
 しかし現実に目を向ければ、オバマ政権下の米国は、以前に比べ
て小規模であることが多いにせよ、世界各地に米軍を送り込むとい
う姿勢は変えていない。
 <予算と責任のジレンマ>
 CSISは2日発表した報告書で、米国防総省の基本予算は
2012─2021年に約2割減る可能性があると指摘。米国社会
の高齢化が進むなか、医療や社会保障に振り向ける支出が増えるた
め、国防費の削減圧力は「弱まらない」との見方を示した。
 オバマ大統領が一期目の政権に就いた2009年、国防総省の予
算は約7000億ドル(約70兆円)だった。2015年度の国防
予算案は、戦費を除く基本ベースで4960億ドルで、これに推計
790億ドルのアフガン向け補正予算が追加される。
 国防総省の財務責任者であるロバート・ヘイル国防次官は、ロイ
ターに対し、新たなイラク対策のコストが不透明なため、海外活動
費に関する予算の議会提出が遅れたと明らかにした。
 米国の軍事費は依然として世界で突出しており、一国だけで世界
全体の3分の1以上を占める。
 しかし、ロシアや中国との差は縮小傾向にある。2008年以降
、両国の防衛費はロシアが30%、中国が40%増加した。中東や
アジアでも、軍事支出を急激に増やしている国は少なくない。
 さらに、多くの国が軍事力の大部分を自国の周辺地域・海域に集
中させている一方で、米国の軍事力は世界各地に広く分散している。
 米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は今年3月、「
予算上の制約により、多くのリスクを受け入れざるを得なくなって
いる」と語っていた。
 <混迷深まる世界情勢>
 デンプシー統合参謀本部議長は、米議会が予算で合意できずに自
動歳出削減措置が発動された場合など、さらに予算上の制約が強ま
れば、米国や同盟各国への危険は増えると警鐘を鳴らしている。
 先週にロイターのインタビューに応じたヘイル国防次官は、既存
の兵器を新型に切り替える場合、コストは通常3倍に増えると語り
、持続可能とは言えないと語った。
 2011年まで米海軍大将を務めていたゲイリー・ラフヘッド氏
は「混迷が深まる世界の傾向はすぐには変わらない」とし、「現在
は海と空で対処できるレベルだが、時間が経つに従って、米軍に深
刻な負担を強いるようになる」と述べた。
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イラクにイラン戦闘機 過激派掃討の支援
2014.7.4 20:53
 フランスのラジオ局フランス国際放送は4日、イラク北部を制圧
したイスラム教スンニ派の過激派「イスラム国」掃討作戦支援のた
め、イラン軍のスホイ25攻撃機がイラクに納入されたと報じた。
 イラクにはここ1週間でロシア製のスホイ25が10機納入され
たが、そのうち一部はロシアからではなくイランから入ってきた。
機体の胴体部分のイラン国旗を示す部分がペンキで塗りつぶされて
いるという。
 ニュース専門テレビ局ユーロニュース(電子版)は、事実ならイ
ランは軍需品の輸出を禁じた国連制裁違反になると指摘した。
 イラク軍はフセイン政権時代にスホイ攻撃機を配備していた経緯
があり、現在も同機を操縦できるパイロットがいるという。(共同)
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マリキ首相、続投諦めず=混乱に拍車も−イラク
 【カイロ時事】イラクのマリキ首相は4日、声明を出し、今後連
邦議会で調整が進められる新首相選出に関して「立候補を断念する
ことは決してない」と強調した。AFP通信が伝えた。
 イスラム過激組織の勢力拡大を許したことを受け、国内で高まる
退陣要求を受け入れない姿勢を鮮明にした。反首相勢力が態度を硬
化させ、情勢の混乱に一層拍車が掛かる恐れもある。
(2014/07/05-06:04)
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オバマ米大統領とサウジ国王、イラク情勢で電話会談
2014年 07月 3日 10:02 JST
[ワシントン 2日 ロイター] - 米ホワイトハウスによると、オ
バマ米大統領とサウジアラビアのアブドラ国王は2日電話会談を行
い、イラク情勢や同国で攻勢を強めるイスラム教スンニ派の過激組
織、イラク・レバント・イスラム国(ISIL)について協議した。
ホワイトハウスによると、オバマ大統領は、サウジアラビアが表明
した5億ドルのイラク国民向け支援に謝意を示した。
両首脳は今後も中東情勢について親密に協議することで合意。さら
に、イラク国内のあらゆる勢力が協力し、挙国一致の政治体制を確
立する必要があるとの認識で一致した。



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