5064.ロシアが負けたウクライナ情勢



ウクライナ情勢は、米国の作戦勝ちである。ロシアの特殊部隊が現
地での民兵募集が失敗して補給ができない中、米国軍事顧問団がウ
クライナ政府に入り、停戦を利用して強力な兵器を増強して、停戦
後、その兵器で攻勢している。停戦の期間に補給がないとロシア特
殊部隊のように負けることになる。その検討。津田より

0.補給のための一方的停戦
ウクライナ国防省は、ポロシェンコ大統領が20日午後10時から
1週間、政権部隊の一方的停戦を命令した。補給が十分でない東部
への補給をするためである。

ウクライナ東部の親ロシア派「ドネツク人民共和国」は22日、ポ
ロシェンコ大統領が軍に命じた停戦を認めないと表明した。この目
的を親露派は知っているからである。

しかし、ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナのポロシェ
ンコ大統領が表明した一方的な停戦宣言を含む和平計画を支持する
と表明した。プーチン氏が条件付きながら支持の姿勢を示したこと
で、ウクライナ政権にとっては後押しとなる。困ったのは親露派で
ある。

そして、欧米は停戦利用をロシアにはさせない手を打つ。ロシアの
ウシャコフ大統領補佐官は20日、ウクライナ国境付近の国境警備
部隊は増強しているが、欧米が指摘するようなロシア軍を集結させ
ている事実はないと述べた。これで、停戦利用の補給をロシアの特
殊部隊にする可能性を事前に欧米は封鎖した。

一方、米国はこの停戦を利用して、ウクライナ軍に米国の雇用兵と
兵器を増強している。

ロシアの支持がないことで、ウクライナの親露派の指導者は23日、
和平交渉に向けた第一歩として、同国政府が宣言した停戦に同意し
た。この停戦同意は、親ロシア派武装勢力指導者らと、ウクライナ
のポロシェンコ新大統領の代理人が、初めて直接交渉した後に発表
された。

ポロシェンコ大統領は、米国から停戦のために武装勢力とも交渉す
ることを要請されたのである。

しかし、ウクライナ軍によると、親ロシア派との間で一時停戦中の
同国東部で24日、軍のヘリコプターが撃墜され、乗組員9人が死
亡した。ヘリコプター撃墜は親ロシア派が掌握する東部ドネツク州
スラビャンスク近くで起きた。死亡したのは技術者らで、軍が停戦
に入ったことで故障した兵器や車両を修理した後、戻る途中だった
のである。

このように停戦を最大限、ウクライナ軍と米顧問団は利用している。

北大西洋条約機構(NATO)は、ロシアが特殊部隊や民兵の展開
と宣伝戦を組み合わせ、ウクライナで実施した「あいまい・ハイブ
リッド攻撃」を研究し、対抗策を練り上げるための特別調査チーム
を設置し、この成果をウクライナで実験しているのである。

この24日の軍ヘリコプター撃墜で、ウクライナ外務省は25日、親
露派勢力が東部で政府軍への攻撃を続けていると非難し、停戦協定
の有効性に疑問を投げ、親ロ派を抑制できていないとし、ロシア政
府にも批判の矛先を向けた。また、衝突はやまず、協定は崩壊寸前
の様相だとした。

この非難を受けて、ロシア上院は25日、プーチン大統領が取り消
しを上院に提案した対ウクライナ軍事介入の法的権限を撤回するこ
とを圧倒的多数で承認した。ロシアはウクライナ東部での親露分離
独立派を見捨てた。

このように欧米の作戦がうまくいっているので、欧州連合(EU)
は27日の首脳会議にウクライナ、グルジア、モルドバの首脳を招
き、自由貿易協定を含む「連合協定」に署名した。ウクライナとの
連合協定はロシアの圧力で昨年11月に署名できず、一連の危機に
発展した。ロシアは対抗措置を警告しており、欧州との対立がさら
に深まる可能性がある。

これに対して、欧州連合(EU)は、ウクライナ情勢をめぐる対ロ
シア制裁を拡大する可能性があるとした。親ロシア分離派が、緊張
緩和に向けた行動をとらなければ、資産凍結の対象となる個人や企
業を広げるとした。

1.補給後の攻勢
そして、ウクライナのポロシェンコ大統領は27日、同日夜に期限
が切れる東部の親ロシア派勢力との一時停戦期間を3日間延長する
考えを明らかにした。まだ、東部への軍事補給が終わっていないた
めである。

今後は、ウクライナの親ロシア分離派は、停戦に向け27日にさら
なる和平協議を進めることで合意した。ロシアの支持がなく補給が
なく、このままではジリ貧であることを悟ったのであろう。

ロシアのプーチン大統領は30日、ウクライナのポロシェンコ大統
領、ドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領と電話によ
る4者協議を行い、期限が切れるウクライナ東部の停戦を延長する
よう求めた。

しかし、ウクライナのポロシェンコ大統領が10日間に及ぶ停戦の終
結を宣言したのを受けて、ウクライナ軍は1日、東部の親ロシア分
離派勢力に対して戦闘機などによる攻撃を再開した。120か所を
攻撃し、新たに3か所の居住地区を奪還した。兵器の増強と補給が
完了したのである。

そして、ウクライナ東部の親ロシア派勢力「人民共和国」は4日、
東部ドネツクとルガンスクの近郊で、政府軍部隊からの「砲撃が始
まった」と発表した。両都市は親露派の拠点で、1日の停戦期限切
れを受け攻撃を再開した政府軍が、拠点制圧に向けた本格的な作戦
に着手した。このため、停戦破棄後の2日間の戦闘で千人以上とも
みられる死者が出たようである。ほとんどが親露派武装組織である。
空爆によるのであろう。

フランス、ドイツ、ロシアの要請の下、ウクライナのポロシェンコ
大統領は親露派側との和平協議を5日に開催することを提案、硬軟
織り交ぜた手段で親露派側の武装解除を促していた。

しかし、ウクライナ東部ドネツク州で親露派武装集団が4日深夜、
重要拠点としてきた北部スラビャンスクから撤退した。政府軍が包
囲し、砲撃を続けていた。

ポロシェンコ大統領は象徴的な戦果と位置づけ、市庁舎に国旗を掲
げるよう軍に指示した。親露派側は州都ドネツクなどに「軍事力を
集結させる」としており今後、政府軍との戦闘が都市部で激化する
恐れが出てきた。

そして、当初、今月5日にロシアと欧州安保協力機構(OSCE)
の仲介の下、ウクライナと親ロ派の停戦などをめぐる交渉が予定さ
れていたが、ポロシェンコ大統領が拒否した。軍事的に勝利を目指
す方向にシフトした。

この状況でプーチン大統領は、「われわれは、つまり私自身と欧州
の指導者は、戦争によって確固たる平和への道は開けないと彼(ポ
ロシェンコ氏)と米軍事顧問団を説得しようとしているが、見通し
は立たない」と述べた。

米軍軍事顧問団は、ロシア的な「あいまい・ハイブリッド攻撃」を
ウクライナ軍の反撃が有効な作戦をあるとして、対応策を手に入れ
たのではないかと思ているようだ。しかし、多くの欧州諸国当局者
はモスクワの姿勢により同情的で、プーチン大統領の言う「米国の
地政学的利益の人質」になりたくないと考えているようだ。

このため、国連は27日、混乱が続くウクライナからロシアへ避難し
た人々が約11万人に上り、自宅を追われながら国内にとどまってい
るいわゆる「国内避難民」は5万4000人以上いると発表した。

ロシア系の人たちが、ロシアに避難しているようである。

2.米国の状況
軍事介入を敬遠するオバマ米大統領の国際協調路線は限界に達して
いるといえ、ウクライナに続くイラクでの「優柔不断」な対応は、
中国とロシアの「拡張主義」を助長するとの懸念が強まっている。

この状況で、世論調査で、第二次世界大戦後の「最悪の大統領」に
オバマ大統領を挙げた人が最も多いことが分かった。経済政策や外
交などに不満を示す声が多く、調査では、33%がオバマ氏を「最
悪の大統領」とし、ブッシュ前大統領の28%を上回った。

ハドソン研究所のガブリエル・ショーンフェルド氏は「クリミアの
併合などウクライナの主権侵害は、オバマ氏の優柔不断な政策と関
連している。ロシアのプーチン大統領は、オバマ氏をいかなる代償
も払わない人物だとみている。オバマ氏のイラクにおける躊躇は、
プーチン氏を前のめりにさせるだろう」と指摘し、「オバマ氏の弱
さが、侵略や紛争をいっそう招いている」と批判した。

ロシアは、ウクライナ東部ではEUと問題を起こして、天然ガスの
輸出ができなくなると経済的な痛手が大きいので、無理をしなかっ
たが、イラクやイランでは、もう少し積極的な対応をする可能性が
ある。

一方、米国はウクライナで、米国軍事顧問団が有効であった事で、
この方法でイランの紛争でも、解決したいようである。ロシアとも
味方であり、米露協調できることにもよる。しかし、軍事的な解決
を目指しても、それでは欧州やロシアの指導者は納得しない。

米国の対応が、他国軍による過激な軍事的対応か、自国の軍事介入
の敬遠など極端であり、自国、同盟国軍の軍事力の圧力などを使っ
た外交交渉などの方法があまりない。

このため、オバマ政権の外交能力を国内外で疑われている。そうい
う意味ではオバマは素人の政治家であり、かつ専門家の言うことを
聞かない最低の大統領ということである。

安全保障の専門家が退任後、オバマ大統領を非難する理由でもあろ
う。

この中で、日本は中韓と向き合わなければならないことになってい
る。米国を頼りにはできないが、米軍の力がないと、中国に負ける
ので、難しい局面になることも考えておかないといけないようだ。

さあ、どうなりますか?

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ウクライナ:親露派、東部拠点撤退 「ドネツクに軍事力集結」
毎日新聞 2014年07月06日 東京朝刊
 【モスクワ真野森作】インタファクス通信によると、ウクライナ
東部ドネツク州で親ロシア派武装集団が4日深夜、重要拠点として
きた北部スラビャンスクから撤退した。政府軍が包囲し、砲撃を続
けていた。ポロシェンコ大統領は象徴的な戦果と位置づけ、市庁舎
に国旗を掲げるよう軍に指示した。親露派側は州都ドネツクなどに
「軍事力を集結させる」としており今後、政府軍との戦闘が都市部
で激化する恐れが出てきた。
 スラビャンスクはドネツクの北約100キロに位置し、4月中旬
から親露派が街全体を占拠し軍事拠点としていた。一方、政府軍は
近くの山から砲撃し、戦闘で住宅や病院も破壊され、巻き添えとな
って死亡する市民が多数出ていた。政権側にとってスラビャンスク
奪還は親露派制圧へ向けた大きな成果となる。
 現地からの報道では、複数の地元住民が4日深夜、戦車や装甲車
の車列が街を出て行くのを目撃した。親露派指導者の一人、グバリ
ョフ氏は5日、ロシア通信に対して撤退を認め、「戦闘員の損害を
最小限に抑えた。ドネツクなどへ配置換えする」と述べ、軍事力の
温存と集中化が目的だったと説明した。
 両者の戦闘は東部ルガンスク州でも続く。2日には州都ルガンス
ク郊外の住宅地が政府軍によるとみられる空襲で破壊され、幼児1
人を含む市民9人が死亡した。6月30日の停戦期限切れ後、政府
軍は攻勢を強めており、平和的解決の道は狭まりつつある。
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大統領、作戦継続を宣言=親ロ派と停戦拒否−ウクライナ
 【モスクワ時事】ウクライナ東部ドネツク州北部の重要拠点スラ
ビャンスクから親ロシア派武装勢力が撤退したのを受け、ポロシェ
ンコ大統領は5日、国民向けに声明を出し、対テロ軍事作戦を継続
すると宣言した。ロシアなどが求めていた停戦を明確に拒否した形
だ。
 ポロシェンコ政権は6月30日に停戦を延長せず、軍事作戦を強
化した。当初、今月5日にロシアと欧州安保協力機構(OSCE)
の仲介の下、ウクライナと親ロ派の停戦などをめぐる交渉が予定さ
れていたが、実現は極めて困難となった。(2014/07/06-05:13)
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ウクライナ 政権側東部拠点奪還
7月6日 4時48分NHK
ウクライナのポロシェンコ政権は、東部で親ロシア派の武装集団が
最大の拠点としていた都市を奪還したと発表し、武装集団を追い込
むことで親ロシア派との協議を優位に進めるねらいがあるとみられ
ます。
ウクライナ政府は5日、東部で親ロシア派の武装集団が最大の拠点
としていたドネツク州北部の都市スラビャンスクへの攻勢を強め、
奪還したと発表しました。
そのうえで、ポロシェンコ大統領はスラビャンスクの行政庁舎にウ
クライナの国旗を掲げ、行政機能を回復するよう命じました。
また親ロシア派もスラビャンスクから武装集団が撤退したことを認
めました。
ポロシェンコ大統領は先月20日、和平計画を打ち出し、10日間
にわたって親ロシア派に停戦を呼びかけてきましたが、実現しなか
ったため攻勢を強める姿勢に転じ、軍事作戦を再開していました。
ポロシェンコ政権としては、スラビャンスクを奪還して武装集団を
追い込むことで、親ロシア派との協議を優位に進めるねらいがある
とみられます。
ただ武装集団は「われわれは打ち負かされたわけではない」として
、今後も東部のほかの町に拠点を移して武装闘争を続ける構えを示
しています。
ウクライナ政府もスラビャンスク周辺などで散発的に戦闘が続いて
いることを認めており、事態が打開に向かうかどうかは予断を許さ
ない状況です。
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焦点:世界で高まる地政学リスク、米軍には「疲れの色」も
2014年7月5日12時08分
 [ワシントン 2日 ロイター] - 世界では現在、安全保障を
めぐる新たな危機がほぼ1カ月おきに起きている。南シナ海、アフ
ガニスタン、リビア、マリ、シリアでは不穏な動きが継続。ロシア
はクリミアを併合し、ナイジェリアでは過激派ボコ・ハラムによる
多数の少女誘拐事件が起きた。
 そして今、米国とその同盟国は、イラクでの軍事行動の可能性を
再び考えざるを得ない状況に直面している。
 昨年は米国の国防予算が大幅に削減される一方で、2001年9
月11日の米同時多発攻撃以降、米軍が最も行動を求められた年の
1つとなった。過去10年以上にわたって戦争を行っている米国に
は、疲れの色がにじみ始めていると懸念する声も出ている。 
 昨年まで国防総省の政策担当首席次官補だった米戦略国際問題研
究所(CSIS)の上級研究員、キャスリーン・ヒックス氏は「北
朝鮮やイラクの問題も去った訳ではない」と指摘。「特に米海軍に
とっては真の難題だ。部隊の規模を考えれば、これらの場所で同時
に抑止に動くのは厳しい」と語った。
 アフガニスタンに米軍兵士を1人駐留させておくコストは年間
200万ドル(約2億円)以上との推計もあり、アフガン完全撤退
で国防予算にいくらかの余裕は生まれるとみられる。ただ、世界各
地では武力衝突は増加傾向にあり、米国と中国やロシアの間でも緊
張が高まっている。
 オーストラリアと米国を拠点とする国際研究機関の経済・平和研
究所(IEP)は先に発表した報告書で、過去7年間は世界的に紛
争が大幅に増加し、第2次世界大戦終結後60年間の流れが逆行し
たと指摘した。
 つい昨年まで米政府内では、イラク問題には完全に背を向けられ
るようになるとの楽観論が残っていた。しかし、アルカイダから派
生した過激組織「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」が
イラク国内で進撃を見せると、米国はいち早く反応。ペルシャ湾に
空母を送り、特殊部隊員を含む数百人の軍事顧問をイラクに派遣し
たほか、空爆の可能性も検討している。
 オバマ大統領は5月に陸軍士官学校で行った外交政策演説で、米
軍は武力行使により慎重になる必要があると力説した。
 しかし現実に目を向ければ、オバマ政権下の米国は、以前に比べ
て小規模であることが多いにせよ、世界各地に米軍を送り込むとい
う姿勢は変えていない。
 <予算と責任のジレンマ>
 CSISは2日発表した報告書で、米国防総省の基本予算は
2012─2021年に約2割減る可能性があると指摘。米国社会
の高齢化が進むなか、医療や社会保障に振り向ける支出が増えるた
め、国防費の削減圧力は「弱まらない」との見方を示した。
 オバマ大統領が一期目の政権に就いた2009年、国防総省の予
算は約7000億ドル(約70兆円)だった。2015年度の国防
予算案は、戦費を除く基本ベースで4960億ドルで、これに推計
790億ドルのアフガン向け補正予算が追加される。
 国防総省の財務責任者であるロバート・ヘイル国防次官は、ロイ
ターに対し、新たなイラク対策のコストが不透明なため、海外活動
費に関する予算の議会提出が遅れたと明らかにした。
 米国の軍事費は依然として世界で突出しており、一国だけで世界
全体の3分の1以上を占める。
 しかし、ロシアや中国との差は縮小傾向にある。2008年以降
、両国の防衛費はロシアが30%、中国が40%増加した。中東や
アジアでも、軍事支出を急激に増やしている国は少なくない。
 さらに、多くの国が軍事力の大部分を自国の周辺地域・海域に集
中させている一方で、米国の軍事力は世界各地に広く分散している。
 米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は今年3月、「
予算上の制約により、多くのリスクを受け入れざるを得なくなって
いる」と語っていた。
 <混迷深まる世界情勢>
 デンプシー統合参謀本部議長は、米議会が予算で合意できずに自
動歳出削減措置が発動された場合など、さらに予算上の制約が強ま
れば、米国や同盟各国への危険は増えると警鐘を鳴らしている。
 現役の政府関係者や元当局者は、国防総省が抱える本当の問題は
軍事的義務の多さではなく、福祉手当や年金のコスト、防衛装備品
の調達費などが増えていることだとも指摘する。
 先週にロイターのインタビューに応じたヘイル国防次官は、既存
の兵器を新型に切り替える場合、コストは通常3倍に増えると語り
、持続可能とは言えないと語った。
 2011年まで米海軍大将を務めていたゲイリー・ラフヘッド氏
は「混迷が深まる世界の傾向はすぐには変わらない」とし、「現在
は海と空で対処できるレベルだが、時間が経つに従って、米軍に深
刻な負担を強いるようになる」と述べた。
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硬軟両用作戦  親露派拠点攻撃と協議提案 
2014.7.5 00:13sankei
 【モスクワ=佐々木正明】ウクライナ東部の親ロシア派勢力「人
民共和国」は4日、東部ドネツクとルガンスクの近郊で、政府軍部
隊からの「砲撃が始まった」と発表した。両都市は親露派の拠点で
、1日の停戦期限切れを受け攻撃を再開した政府軍が、拠点制圧に
向けた本格的な作戦に着手した可能性がある。一方でウクライナの
ポロシェンコ大統領は親露派側との和平協議を5日に開催すること
を提案、硬軟織り交ぜた手段で親露派側の武装解除を促していると
みられる。
 ポロシェンコ氏は政府軍に抵抗する戦闘員の強制排除を目指す一
方、自ら提案した和平計画推進のため、親露派との話し合いを再開
する意欲も示している。
 イタル・タス通信によると、ポロシェンコ氏は4日、ドイツのメ
ルケル首相、フランスのオランド大統領と電話会談。東部の事態正
常化のために、政権と親露派側の合意で停戦を成立させることや、
露側からの武器流入を防ぐため、ロシアとウクライナが共同で国境
管理を強化することが必要との見解で一致した。
 また、ポロシェンコ氏は欧州連合(EU)のアシュトン外交安全
保障上級代表と電話会談し、欧州安保協力機構(OSCE)と露側
の代表者をまじえた親露派との和平協議を5日に開催する方向で、
具体的な検討に入っていることを明かした。
 ドネツク、ルガンスクでは4日未明、街中に砲声が鳴り響いた。
ドネツク中心部では装甲車の縦列が走り回るなど緊迫化。ルガンス
クでは砲弾が民家を直撃し、死傷者が出ている。
 国防当局によると、政府軍は親露派が占拠していたルガンスク州
イズバリノなどの国境検問所を集中的に攻撃。このうち、ダルジャ
ンスキーの検問所は政府軍が親露派側から奪還し、制圧下に置いた
もようだ。
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ウクライナ議会、緊急時対応のエネルギー法案を仮承認
2014年 07月 5日 00:23 JST
[キエフ 4日 ロイター] - ウクライナ議会は4日、政府による
エネルギー供給の統制強化を認める法案を仮承認した。ロシア産天
然ガスの供給停止を受けた措置。
議会はまた、欧州あるいは米国の企業とのコンソーシアムに対しウ
クライナ国内の老朽化したガス輸送システムや貯蔵施設の運営を認
める法案を承認した。
ヤツェニュク首相は議会に対し、エネルギー部門の非常事態を宣言
する権限を政府に付与するよう求めた。
ロシアは6月16日にガス代金の未払いを理由にウクライナ向けの
ガス供給を停止。ウクライナが先月欧州連合(EU)との連合協定
に署名したことに関し、貿易で報復措置を取る可能性も示唆してい
る。
ウクライナ国営天然ガス会社ナフトガスのアンドリー・コボレフ最
高経営責任者(CEO)は会見で「冬季にガス消費量を全体の20
%に相当する60億立方メートル程度減らす必要がある。そうすれ
ば冬を乗り切れるだろう」と述べた。
同氏は、国内のガス販売価格を固定化し、国内でガスを生産してい
るエネルギー企業が供給量の半分を貯蔵施設に送ることを強制する
よう政府に助言すると明らかにした。
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ウクライナ和平 独仏が露に圧力
2014.7.5 05:00   
 フランスとドイツはロシアのプーチン大統領に対し、ウクライナ
の親ロシア派勢力に働き掛け、ウクライナ政府との合意を実現させ
るよう圧力を強めた。独仏両国は停戦を目指して外交を活発化させ
ている。
 オランド仏大統領とメルケル独首相は3日、プーチン大統領と電
話協議を行い、ウクライナと分離派の停戦を目指し条件を定めるこ
とが「重要だと強調」した。仏大統領府が声明で明らかにした。こ
の日もウクライナ東部では政府軍と親露派武装勢力の小競り合いが
続いた。ウクライナと独仏露4カ国の外相会談では、包括的な停戦
を目指す新たな協議を5日までに開くことで一致している。
 メルケル独首相は同日、オバマ米大統領とも電話協議し、両首脳
はロシアがウクライナでの緊張を緩和しなければ、ロシアへの欧米
各国による措置をまとめることで合意した。ホワイトハウスが明ら
かにした。(ブルームバーグ Kevin Costelloe、
Angela Greiling Keane)
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オバマ氏が「戦後最悪の大統領」、最高はレーガン氏=米大調査
2014年 07月 3日 15:19 JST
[ワシントン 2日 ロイター] - 米キニピアック大学が実施した
世論調査で、第二次世界大戦後の「最悪の大統領」にオバマ大統領
を挙げた人が最も多いことが分かった。経済政策や外交などに不満
を示す声が多かったという。
調査では、33%がオバマ氏を「最悪の大統領」とし、ブッシュ前
大統領の28%を上回った。
オバマ氏とブッシュ氏との比較では、オバマ氏がより良いと答えた
人が39%、ブッシュ氏と答えた人が40%でほぼ互角だった。
また、戦後「最高の大統領」を聞く質問では、1980年代に2期
務めたレーガン大統領を挙げる人が最も多かった。
調査は有権者1446人を対象に先月24─30日に電話で行われ
た。
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ウクライナ、死者急増で歩み寄り 政権と親ロ派
2014年7月3日 15時45分
 【モスクワ共同】ロシアとウクライナにドイツ、フランスを加え
た4カ国外相がウクライナ東部の戦闘停止に向けた協議を5日まで
に再開すると合意したことで、今月1日に破棄された政権側部隊と
親ロシア派武装集団との停戦が再び成立する可能性が出てきた。停
戦破棄後の2日間の戦闘で千人以上ともみられる死者が出た事態を
受け、両者が歩み寄った形だ。
 一方、親ロ派掃討作戦再開に踏み切ったウクライナのポロシェン
コ大統領は2日、最高会議(議会)各会派指導者との会談で治安組
織の改革と強化の必要性を強調。
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ウクライナ、親露派の120か所攻撃…一部奪還
2014年07月03日 00時09分Yomiuri Shimbun
 【キエフ=田村雄】ウクライナ政府は2日、東部ドネツク、ルガ
ンスクの両州で再開した親ロシア派武装集団に対する掃討作戦で、
武装集団が占拠のする施設など120か所を攻撃し、新たに3か所
の居住地区を奪還したと発表した。
 安全保障国防会議の広報担当者は「作戦を強化し、両州をテロリ
ストから解放したい」と強調した。
 しかし、インターファクス通信などによると、武装集団は2日、
ドネツク州でロシアとの国境にあるウクライナの検問所や政府軍機
を迫撃砲などで攻撃し、戦闘は激化している。水の供給が一時停止
し、鉄道の線路が破壊されるなど、社会基盤への被害も拡大してい
る。
 一方、ドネツク州の親露派武装集団の代表者は1日夜、隣接する
ルガンスク州の親ロシア派集団との統合を目指す考えを示しており
、共闘の動きが出てきているようだ。
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ウクライナ4カ国会談、親ロ派含む停戦協議開催で合意
2014年 07月 3日 06:10 JST
[ベルリン/キエフ 2日 ロイター] - ロシア、ウクライナ、仏
、独の4カ国外相は2日、ウクライナ情勢をめぐり会談し、ロシア
とウクライナは、新たな停戦合意を目指し、5日までに親ロシア分
離派を交えた3者協議を開くことで一致した。
ドイツのシュタインマイヤー外相は会談後「多面的停戦に向けた明
確なコミットメントだ」と述べた。
ロシアのラブロフ外相は共同記者会見で、安定的かつ長期的な停戦
に向けて取り組むことで合意したとした上で「向こう数日中の開催
が期待される、枠組み(コンタクト・グループ)会合を通じて、そ
のことが早急に達成され、かつすべての関係者が納得する停戦の諸
条件で合意するよう提案する」と述べた。
4カ国外相の合意文書では、ウクライナ、ロシア、親ロシア分離派
は、欧州安全保障協力機構(OSCE)による仲裁を交え、「無条
件かつ相互合意に基づく持続的停戦という目標を踏まえ、遅くとも
5日までに」協議を行うべきとした。
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ウクライナでの戦闘激化―ポロシェンコ大統領が停戦延長拒否
2014 年 7 月 2 日 07:35 JST  WSJ
 【モスクワ】ウクライナのポロシェンコ大統領が10日間に及ぶ停
戦の終結を宣言したのを受けて、ウクライナ軍は1日、東部の親ロシ
ア分離派勢力に対して戦闘機などによる攻撃を再開した。
 この新たな攻撃は、ポロシェンコ大統領の危険な賭けだ。寄せ集
めのウクライナ政府軍が、ロシア国境付近で市民の一段と大きな犠
牲を出すことなく、装備を拡大しつつある武装勢力と戦わなければ
ならないからだ。
 停戦中も、分離派指導者らが停戦に応じると述べる一方で戦闘は
散発的に継続していた。
 ウクライナ議会のトゥルチノフ議長は「今朝、本格的にテロ掃討
作戦を再開した」とし、さらに「わが軍はテロリストの基地や活動
地域を攻撃している」と議員らに述べた。
 同日遅くまでにウクライナ軍が最近テロリストに奪われた数カ所
の拠点の1つを奪回したと、大統領府が明らかにした。
 ロシアのインタファクス通信によると、国境付近の戦闘が激化し
たためロシア側の3カ所の税関を閉鎖したとロシア政府関係者が話し
た。
 ポロシェンコ大統領の支持者は、停戦中が反政府主義者にとって
版図を広げ態勢を整えるための時間稼ぎになっているとして苛立ち
を強めていた。同大統領、ロシアのプーチン大統領、ドイツとフラ
ンスの首脳らとの電話による協議はほとんど成果が上がっていなか
った。
 プーチン大統領は停戦の延長を訴えていたが、ウクライナ側の決
定にどう対応するかについて1日の時点で明確にしていない。
 ただ、プーチン大統領は軍事作戦が始まった後に大統領に就任し
たポロシェンコ氏が、今や「軍事だけでなく政治的にも」全ての責
任を負っている、と語った。
 ロシア外交官向けの外交政策表明で、プーチン氏は、「われわれ
は、つまり私自身と欧州の指導者は、戦争によって確固たる平和へ
の道は開けないと彼(ポロシェンコ氏)を説得しようとしているが
、見通しは立たない」と述べた。
 西側諸国の政府関係者はロシアが分離派を抑え、和平を支援する
十分な活動を行っていない、と述べている。ロシア政府は、この批
判は当たらないと反論した上で、ウクライナ政府が戦闘をあおって
いると非難している。
 プーチン氏はまた、米国が冷戦時代の政策を継続しているため今
回の緊張につながっていると批判した。そして多くの欧州諸国当局
者はモスクワの姿勢により同情的で、同氏の言う「米国の地政学的
利益の人質」になりたくないと考えていると述べた。
 一方、複数の事情筋によると欧州連合(EU)は1日、先週検討され
ていたロシアに対する追加制裁を見送った。 
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ウクライナ:戦闘再開 露大統領は失望感表明
毎日新聞 2014年07月02日 東京朝刊
 【モスクワ真野森作】ウクライナ東部で6月30日午後10時(
日本時間1日午前4時)、親ロシア派武装集団と政府軍との一時停
戦が期限切れを迎え、ポロシェンコ大統領は停戦を延長しないこと
を決めた。政権側は1日未明から親露派への本格的な軍事攻撃を再
開。武装解除などに応じない限り、強硬手段で事態打開を目指す構
えだ。
 ポロシェンコ氏は1日、「今後も平和を目標とするが、手段が変
わる」と述べた。東部のドネツク、ルガンスク両州への戒厳令導入
を決定したとの地元報道もあったが、現状では発令されていない。
 一方、プーチン露大統領は1日、「ポロシェンコ氏は軍事的にも
政治的にも全責任を負うことになった」と、停戦中止に失望感を表
明。ウクライナなど国外のロシア系住民を保護するために「自衛権
を含むあらゆる手段を用いる」と宣言した。
 ウクライナ軍当局によると、軍は東部で親露派の拠点に対する砲
撃や空爆を再び本格化させている。
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ポロシェンコ氏に全責任、ロシア系市民守る=プーチン氏
2014年 07月 2日 00:01 JST
[モスクワ 1日 ロイター] - ウクライナ軍が親ロシア派の掃討
作戦を再開したことを受け、ロシアのプーチン大統領は1日、在外
ロシア系市民の権益を引き続き守る姿勢を示した。
自国大使らへの演説で述べた。プーチン氏は、シリアやリビア、イ
ラク、ウクライナで起こっている衝突が他の地域に広がらないよう
、欧州の全当事者が取り組む必要があるとした。
プーチン氏はまた、自身や欧州諸国が、停戦期限を延長するようウ
クライナのポロシェンコ大統領を説得することに失敗したと述べ、
ポロシェンコ氏に暴力行為の全責任があるとの認識を示した。
プーチン氏は「(ポロシェンコ氏は)これまで、軍事作戦の開始命
令に直接関係していなかったが、これで軍事・政治の両面で完全に
責任を負った」と批判した。
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ロ大統領が停戦延長要請 ウクライナ情勢で
 【モスクワ共同】ロシアのプーチン大統領は30日、ウクライナ
のポロシェンコ大統領、ドイツのメルケル首相、フランスのオラン
ド大統領と電話による4者協議を行い、同日夜(日本時間7月1日
未明)に期限が切れるウクライナ東部の停戦を延長するよう求めた
。ロシア大統領報道部が発表した。
 報道部は、ポロシェンコ氏の反応は明らかにしていない。
 プーチン氏はまた、欧州安保協力機構(OSCE)を軸に停戦監
視の有効な枠組みを構築する重要性を強調した。インタファクス通
信によると、ロシアのラブロフ外相は、プーチン氏がウクライナ側
に国境の合同管理を提案したことを明らかにした。
2014/07/01 01:32   【共同通信】
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停戦再延長か=ロシアTV取材班また死者−ウクライナ東部
 【モスクワ時事】軍と親ロシア派の戦闘が続くウクライナ東部は
30日、ポロシェンコ大統領が延長した一時停戦の最終日を迎えた。
フランス、ドイツ、ロシアの要請の下、再延長される可能性がある
が、29日夜にロシアのジャーナリストがまた戦闘に巻き込まれて
死亡するなど、停戦は有名無実化している。
 欧州連合(EU)首脳会議は27日、親ロ派を支援するロシアに
対し、停戦期限の30日までに緊張緩和に向けた具体的な行動を取
るよう要求。応じなければ、さらなる制裁措置もあり得ると警告し
た。
 ただ、EUの要求内容はハードルが高いものではなく、親ロ派に
拘束された欧州安保協力機構(OSCE)監視員の全員解放などは
実現した。仏独ロ首脳はポロシェンコ大統領と29日に電話会談し
、30日午後10時(日本時間7月1日午前4時)に迎える2度目
の停戦期限の再延長を求めた。
 こうした中、東部ドネツク州でロシア政府系テレビ「第1チャン
ネル」のカメラマンが被弾して死亡した。親ロ派に「従軍取材」す
るロシアの報道関係者の死者は3人となり、プーチン政権はウクラ
イナ批判を一層強めそうだ。(2014/06/30-15:21)
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コラム:「新たな冷戦」めぐるロシアの本音
2014年 06月 27日 11:57 JST
Matthew Rojansky and Kenneth Yalowitz
[25日 ロイター] - 緊張状態が続くウクライナ情勢をめぐり、
ロシアと西側諸国は再び対立している。欧州域内外の安全保障や安
定と繁栄をめぐる基本的ルールは危機に直面しており、それを指し
て「新冷戦」と呼ぶ専門家もいる。
しかし、ここで見落としてはならない重要な事実は、東西両陣営と
も、国民は対立が続くことをまったく求めていないということだ。
ウクライナ問題をめぐる世界の注目は主として、米国のオバマ大統
領、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領、
ドイツのメルケル首相の動きに集まっている。プーチン大統領が強
硬姿勢を示すのは、国民の支持を得るためでもある。しかし、ロシ
アの国民が「新冷戦」を望んでいるのかどうかという視点も忘れて
はならない。
ロシアは民主主義国家ではないだろうが、旧ソ連のような全体主義
国家でもない。プーチン大統領の「独裁主義的ポピュリズム」は裏
を返せば、権力の維持には世論の支持が不可欠であることにほかな
らない。
ロシアがクリミア併合を強行して以降、プーチン大統領の支持率は
急騰して80%以上に達した。同時に、ロシア国内で反体制派の声
は事実上かき消されている。ロシア国民のうち、教育水準が比較的
低く、より保守的かつ国家主義的な層は、プーチン大統領の攻めの
姿勢を熱狂的に支持している。
世論調査機関VCIOMによると、ロシア国民の半数以上は、現在
の西側との関係は「緊迫の一途であり、不信感に基づいている」と
考えている。ただ、このこと自体は目新しいものではない。北大西
洋条約機構(NATO)の東側への拡大や、西側のコソボ独立支持
、旧ソ連圏で起きた一連の政権交代、いわゆる「色の革命」を通じ
、ロシア国民の間では以前から、西側がロシアの弱みに付け込んで
いるという意識が高まっていた。
ただ、こうした反西側感情を持続的対立への支持に結びつけるのは
早計というほかない。確かに、ロシアの別の世論調査機関レバダセ
ンターは、国民の反米感情は20年来の水準まで高まっていると報
告している。しかし、VCIOMとレバダの調査ではともに、ロシ
ア国民の約3分の2が西側からの孤立は「あり得ない」と考えてい
ることも明らかになっている。
さらに、ロシア国民の多くは、西側が支援するウクライナの新政権
には強く反対しているものの、軍事介入には否定的で、ウクライナ
のロシア系住民への支援は外交的・経済的に行うべきだと考えてい
る。ロシア軍は依然としてウクライナとの国境付近に部隊を展開し
ているが、プーチン大統領が全面的な侵攻を選択肢から外したのは
明らかだ。おそらく、ウクライナでの長期的な流血戦による高い代
償は国民が受け入れないとの計算が働いたのだろう。
もしウクライナ政府が宣言した停戦がうまくいかず、さらに血が流
される事態となれば、ロシアの世論は軍事介入に傾くかもしれない
。しかし、差し当たりロシア国民が政府に望んでいるのは、医療・
年金・教育への継続的な投資や、経済近代化についての具体的な進
展であり、経済成長を阻害する人材流出や資本の国外逃避を食い止
めることだ。
こうした内政の課題は、西側による制裁が強化されれば、特にロシ
ア経済の屋台骨である天然ガス輸出などで締め付けが強くなれば、
達成がかなり難しくなる。それゆえ、プーチン大統領には、東西対
立のエスカレートを阻止したい強い動機がある。
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ウクライナ東部停戦3日間延長 親露派も受け入れの意向
2014.6.28 09:42sankei
 【モスクワ=佐々木正明】ウクライナのポロシェンコ大統領は27
日、訪問先のブリュッセルで、ウクライナ東部で27日に設定して
いた政府軍による一方的停戦の期限を72時間延長し、現地時間30
日夜までとする方針を明らかにした。ロシア通信が伝えた。首都キ
エフで国防相らと協議した後に正式発表するという。
 ポロシェンコ氏の停戦延長方針に対し、ラブロフ露外相は27日
、歓迎の意向を表明した。その上で、30日を東部の親露派勢力を
武装解除する最終通告期限としないよう求めた。政権側は親露派が
停戦期間中に武装解除に応じない場合、徹底した掃討作戦を行う「
プランB」を用意している。
 一方、東部ドネツクでは27日、欧州安保協力機構(OSCE)
代表とウクライナの駐ロシア大使を仲介役とする和平協議が開かれ
た。インタファクス通信によると、東部の親露派指導者は停戦延長
を受け入れる用意があると述べた。また、拘束中のOSCEの国際
監視団員全員の解放や監視団の全面受け入れ、捕虜交換を表明した
が、停戦が実現するかは不透明だ。
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米「優柔不断」不測招く オバマ政権、中露「拡張」を助長
2014.6.28 09:02 sankei
 【ワシントン=青木伸行】イスラム過激派組織「イラク・レバン
トのイスラム国(ISIL)」がシリアからイラクに勢力を拡大し
、情勢は複雑さと混迷の度を増している。軍事介入を敬遠するオバ
マ米大統領の国際協調路線は限界に達しているといえ、ウクライナ
に続くイラクでの「優柔不断」な対応は、中国とロシアの「拡張主
義」を助長するとの懸念も強まっている。
 「イラクが中東地域全体を危機に陥らせる状況にある。単にイラ
クだけの問題ではない」。こう語る米戦略国際問題研究所(CSI
S)のジョン・オルターマン氏は、「危機」の要因を関係諸国の思
惑という側面から説明する。
 「シリアのアサド政権は、自国の内戦をイスラム過激派組織との
戦いだと、世界に印象づけたがっている。イランは、イラクのマリ
キ政権の対イラン依存度を高めさせ、同時に欧米に接近し、核問題
への圧力をそらそうとしている。湾岸諸国の一部はISILに資金
を流しており、マリキ政権の弱体化はイランの弱体化につながると
みている」
 ヘリテージ財団のジェームズ・カラファノ氏も「イラクの危機は
、より大きな危機へと急激に拡大し、オバマ大統領は逃げ道がなく
なる」との見方を示す。また、「イラクはISILの手に落ちるか
もしれない。全土を制圧せずとも、世界中のテロ組織にとり心理的
に大きな勝利となり、勢いづく」と警鐘を鳴らした。
「深刻な状況下では言い逃れができない方策が要求される。オバマ
氏は真の最高軍司令官として行動するときだ」−。こうした批判や
、限定空爆など「米国の強い関与」を求める声は共和党と有識者の
間に強い。
 オバマ政権の対応を中国とロシアはどうみるのか。ヘリテージ財
団のディーン・チェン氏は「中国は、米国がなぜ軍事介入しないか
などを分析している。『優柔不断』とみており、米国は南シナ海(
での中国とベトナムの衝突)でも同様の対応を取ると推測している
ようだ」と指摘する。
 さらに「中国は、米国の対ベトナム支援の選択肢は限られている
と認識し、それが南シナ海での中国の活動を活発化させている理由
のひとつだ」と分析。「尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺空域で、
中国軍機が自衛隊機に異常接近したのには、米国の意思を試す狙い
もある」との見解を示す。同氏や、新アメリカ安全保障センターの
パトリック・クローニン氏は、ベトナムへの武器売却や軍事顧問団
の派遣などを提唱する。
 一方、ロシアについて、ハドソン研究所のガブリエル・ショーン
フェルド氏は「クリミアの併合などウクライナの主権侵害は、オバ
マ氏の優柔不断な政策と関連している。ロシアのプーチン大統領は
、オバマ氏をいかなる代償も払わない人物だとみている。オバマ氏
のイラクにおける躊躇(ちゅうちょ)は、プーチン氏を前のめりに
させるだろう」と指摘する。
 そして「オバマ氏の弱さが、侵略や紛争をいっそう招いている」
と批判した。
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ウクライナからロシアへの避難民11万人 国連発表
2014年06月27日 22:43 発信地:ジュネーブ/スイス
【6月27日 AFP】国連(UN)は27日、混乱が続くウクライナからロシ
アへ避難した人々が約11万人に上り、自宅を追われながら国内にと
どまっているいわゆる「国内避難民」は5万4000人以上いると発表し
た。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のメリッサ・フレミング報道官
は、「2014年の初め以降、ウクライナ国民11万人がロシア入り」し
ており、大半がウクライナ東部の住民だと伝えた。
さらに、「この11万人のうちで、亡命申請をしているのは9500人だ
け。ほとんどの人がその他の合法な滞在許可を求めている。亡命申
請の煩雑さ、あるいはウクライナに戻った際に報復を受ける恐れを
懸念しているとみられる」と語った。
また同報道官は記者団に対し、避難民の多くはウクライナ国境に近
いロシア南西部のロストフナドヌー(Rostov-on-Don)か西部ブリャ
ンスク(Bryansk)に集まっているとしたが、ウクライナ系かロシア
系かという内訳には触れなかった。
一方、ウクライナ東部から国内で避難している人々は先週1週間だけ
で1万6400人に上っており、国内避難民は推計5万4400人に達したと
いう。(c)AFP
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ウクライナ停戦3日間延長 親ロ派と和平協議再開
 【モスクワ、ブリュッセル共同】ウクライナのポロシェンコ大統
領は27日、同日夜に期限が切れる東部の親ロシア派勢力との一時
停戦期間を3日間延長する考えを明らかにした。訪問先のブリュッ
セルで欧州連合(EU)諸国の首脳らに語った。タス通信が伝えた。
 ウクライナ政権側と親ロ派は27日、ウクライナ東部ドネツクで
、ロシアや欧州安保協力機構(OSCE)の代表者を交えた和平協
議を再開。政権側の代理としてクチマ元大統領、親ロ派側からは東
部ドネツク、ルガンスク両州で一方的に独立を宣言した親ロ派組織
の指導者らが参加した。
2014/06/27 23:33   【共同通信】
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ロシア制裁、EUが来週にも拡大の可能性=外交筋
2014年6月28日01時16分
 [ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)は来
週にも、ウクライナ情勢をめぐる対ロシア制裁を拡大する可能性が
ある。親ロシア分離派が、緊張緩和に向けた行動をとらなければ、
資産凍結の対象となる個人や企業を広げる。複数の外交筋が明らか
にした。
 EU首脳は27日の会議で、親ロ派に対し、停戦検証の仕組みや
国境の実効的な管理、ウクライナ当局への国境検問所3カ所の返還
、捕虜解放、ポロシェンコ大統領の和平計画履行に関する実質的な
協議開始について、30日までに合意するよう求めた。
 外交筋によると、EU側は30日の期限後に状況を精査し、追加
制裁が必要かを決める見通しだ。
 ただ当面は、既存の制裁対象を拡大する方向とした。一段と踏み
込んだ経済制裁措置は、7月中旬の開催が見込まれる次回首脳会議
で決まる見通しという。
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ウクライナ:EU連合協定署名 露反発「深刻な結果招く」
毎日新聞 2014年06月28日 東京朝刊
 【ブリュッセル斎藤義彦】欧州連合(EU)は27日の首脳会議
にウクライナ、グルジア、モルドバの首脳を招き、自由貿易協定を
含む「連合協定」に署名した。ウクライナとの連合協定はロシアの
圧力で昨年11月に署名できず、大規模デモと政権崩壊、ロシアに
よるクリミア半島編入など一連の危機に発展した。ロシアは対抗措
置を警告しており、欧州との対立がさらに深まる可能性がある。
 式典にはウクライナのポロシェンコ大統領、グルジアのガリバシ
ビリ首相、モルドバのリャンカ首相が参加。連合協定はEUとの関
係を強化し改革を促す合意で、将来のEU加盟とは関係ない。だが
、ポロシェンコ大統領は「署名のため高い代償を払った。EUが独
立を守ってくれると期待する」と述べ、加盟の意思を強調した。フ
ァンロンパウ欧州理事会常任議長(EU大統領)は「最終目標はE
U市場への統合」と述べ、加盟に触れなかった。
 一方、ロシア外務省のカラシン次官は27日、ウクライナの署名
は「深刻な結果を招く」と批判した。ロシアは既に協定署名後に保
護主義的措置を取ると警告しており、輸出入の一部停止に踏み切る
可能性がある。
 プーチン露大統領は旧ソ連圏の経済統合を目指し今年5月、カザ
フスタン、ベラルーシと「ユーラシア経済同盟」を締結した。ロシ
ア側は、ウクライナなど今回の旧ソ連3カ国とEUの連合協定がこ
れを阻害するとみている。
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親ロ分離派、さらなる和平協議で合意=インタファクス通信
2014年 06月 27日 01:03 JST
[キエフ 26日 ロイター] - ウクライナの親ロシア分離派は、
停戦に向け27日にさらなる和平協議を進めることで合意した。イ
ンタファクス通信が26日伝えた。
同通信によると、ウクライナ東部ドネツクで独立を宣言した「ドネ
ツク人民共和国」の幹部、Andrei Purgin氏は「ドネツクで6月27
日、一連の協議を持つことで合意した」と述べた。
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ウクライナ、親ロ派停戦違反を非難―東部で戦闘続く
By LUKAS I. ALPERT
2014 年 6 月 25 日 22:08 JST WSJ
 【モスクワ】ウクライナ外務省は25日、親ロシア派分離主義勢力
が東部で政府軍への攻撃を続けていると非難し、停戦協定の有効性
にあらためて疑問を投げかけた。さらに親ロ派を抑制できていない
とし、ロシア政府にも批判の矛先を向けた。
 親ロ派分離主義勢力の指導者らは23日、停戦協定に合意した。和
平交渉に向けた最初のステップになるとみられたが、衝突はやまず
、協定は崩壊寸前の様相だ。
 ウクライナ政府によると、停戦期間中の親ロ派の攻撃で政府軍兵
士11人が死亡した。この中には親ロ派が政府軍のヘリを撃墜し、亡
くなった9人も含まれる。両陣営とも、相手に停戦違反があったと訴
えている。
 ウクライナ外務省は声明で「親ロ派のテロリストが和平に関心を
持っていないことが、あらためて実証された。親ロ派の目的は戦争
で、何があろうとウクライナの平和と安全保障の破壊をやめない」
と述べた。
 この声明が発表された直後の段階では、親ロ派の反応はなかった。
 この日はロシア上院が、ウクライナへの軍事介入を承認した決議
を撤回した。プーチン大統領の要請に従ったもので、撤回は予想通
りだった。
 だが上院のオゼロフ国防安全保障委員長はウクライナ情勢を注意
深く監視し、必要に応じて速やかに決議を復活させる意向を示した。
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ウクライナ介入撤回=大統領提案受け−ロシア上院
 【モスクワ時事】ロシア上院は25日、対ウクライナ軍事介入の
法的権限を撤回することを圧倒的多数で承認した。権限はウクライ
ナ南部クリミア半島編入後も有効だったが、プーチン大統領が24
日、取り消しを上院に提案した。(2014/06/25-20:11)
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<NATO>特殊部隊+民兵…ロシア流あいまい攻撃を研究
毎日新聞 6月25日(水)7時30分配信
 【ブリュッセル斎藤義彦】ロシアが特殊部隊や民兵の展開と宣伝
戦を組み合わせ、ウクライナで実施した「あいまい・ハイブリッド
攻撃」を研究し、対抗策を練り上げるため北大西洋条約機構(NA
TO)が特別調査チームを設置することが24日、分かった。NA
TO外交筋が明らかにした。NATOが欧州大陸で想定していなか
った戦術で、チームは短期的な対処策だけでなく長期的戦略を立案
する。9月の首脳会議で合意を目指す。NATOのラスムセン事務
総長は既に加盟国に伝え、協力を促している。
 「あいまい・ハイブリッド攻撃」は「影の攻撃」などとも呼ばれ
、標識を付けない特殊部隊や民兵を送り込んで展開させ、官庁など
要所を占拠。大規模な正規軍を国境付近に集積して圧力をかけなが
ら、宣伝戦やサイバー攻撃、経済的脅迫などを組み合わせ、住民投
票や一方的独立、領土併合や地域の不安定化を実現する。
 外交筋によると、NATOは欧州大陸での正規軍の侵略を主に想
定しており「冷戦後、初めての経験」(外交筋)だという。
 特別調査チームは、攻撃の定義の確定から始め、軍事的にどこま
で対応できるのか、戦術、戦略面での可能性を探る。ただ、警察や
情報機関など民生面での協力がないまま対抗策を取ることは困難で
、軍事的な集団自衛組織であるNATOがどこまで対応できるのか
、不明確な部分もある。
 NATO高官は「NATOとしても対応せざるを得ず、首脳会議
で対策を打ち出したい」と話す。
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ウクライナ大統領、停戦の早期中止示唆 軍ヘリ撃墜
ウィーン=喜田尚2014年6月25日12時41分asahi
 ウクライナ軍によると、親ロシア派との間で一時停戦中の同国東
部で24日、軍のヘリコプターが撃墜され、乗組員9人が死亡した
。大統領府は、親ロシア派の武装勢力側の攻撃がさらに続く場合は
ポロシェンコ大統領が停戦を期間前に切り上げることもあり得ると
警告した。
 ポロシェンコ大統領は同日、軍に対し、停戦中でも攻撃を受けれ
ば迷わず反撃するよう指示したという。
 ヘリコプター撃墜は親ロシア派が掌握する東部ドネツク州スラビ
ャンスク近くで起きた。死亡したのは技術者らで、軍が停戦に入っ
たことによって必要となった設備を設置して戻る途中だったという。
 ポロシェンコ大統領は20日に和平計画を発表し、軍に27日午
前10時までの一方的な停戦を命じた。親ロシア派も23日、政府
と同様に停戦することに同意した。しかし、大統領府によると、軍
はポロシェンコ氏の和平計画発表後、すでに35回にわたって攻撃
を受けているという。(ウィーン=喜田尚)
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ウクライナの武装勢力、停戦に同意
By LUKAS I. ALPERT AND PAUL SONNE
2014 年 6 月 24 日 08:20 JST WSJ
 【モスクワ】ウクライナの分離主義武装勢力の指導者は23日、和
平交渉に向けた第一歩として、同国政府が宣言した停戦に同意した
。2カ月にわたる同国東部での戦闘終結に向けて突破口が開かれる可
能性がある。
 この停戦同意は、親ロシア派武装勢力指導者らと、ウクライナの
ポロシェンコ新大統領の代理人が、初めて直接交渉した後に発表さ
れた。
 ウクライナ外務省はこれを前向きの一歩だとしている。この直接
交渉に参加したロシアのズラボフ駐ウクライナ大使は、武装勢力が
持続的停戦と安定的な和平の達成、次いで包括的な交渉プロセスの
開始について、「近く」話し合う用意があると述べた。
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ウクライナ軍の停戦認めず=武装解除を拒否−親ロ派
 【モスクワ時事】ウクライナ東部の親ロシア派「ドネツク人民共
和国」は22日、ポロシェンコ大統領が軍に命じた停戦を認めない
と表明した。幹部が交流サイトで明らかにした。軍への攻撃継続と
武装解除の拒否を宣言した格好だ。
 理由について共和国幹部は、親ロ派との「合意形成がなかった」
ことを挙げた。(2014/06/22-23:40)
==============================
ロシア軍、ウクライナ国境付近の集結を否定
モスクワ2014年6月22日01時52分asahi
 ロシアのウシャコフ大統領補佐官は20日、ウクライナ国境付近
の国境警備部隊は増強しているが、ロシア軍を集結させている事実
はないと述べた。イタル・タス通信が伝えた。
 ウシャコフ氏は部隊増強の理由を「ウクライナ国境の状況が懸念
されるため」と説明している。ロシアは、紛争が続くウクライナ東
部から大量の難民が流入していると指摘している。
 一方、プーチン大統領は21日、ロシア中央軍管区のロシア軍に
対して、即応態勢をチェックするための大規模な抜き打ち演習の実
施を命じた。管区内のロシア軍はこれを受けて臨戦態勢に入った。
演習は28日まで続くという。中央軍管区はウラル地方からシベリ
アにかけての地域で、ウクライナには接していない。(モスクワ)
==============================
ロシア大統領、和平計画を支持/ウクライナに対話を要求
2014/06/22 05:30
 【モスクワ共同】ロシアのプーチン大統領は21日、声明を発表
し、ウクライナのポロシェンコ大統領が表明した一方的な停戦宣言
を含む和平計画を支持すると表明した。同時に、対話プロセス開始
に向けた「実際的な行動」が伴わなければ計画は実現しないと、ウ
クライナ側に注文を付けた。
 プーチン氏がポロシェンコ氏の和平計画への立場を公式に表明す
るのは初めて。条件付きながら支持の姿勢を示したことで、ウクラ
イナ政権にとっては後押しとなる。
 声明は、衝突を続ける全ての当事者に戦闘を止め、交渉のテーブ
ルにつくよう呼び掛けた。親ロ派がプーチン氏の意向に沿い戦闘を
止めるかどうかが焦点。
==============================
親露派、停戦後に襲撃 撃退とウクライナ政権
2014.6.21 18:12
 ウクライナ国防省は21日、ポロシェンコ大統領が政権部隊の一
方的停戦を命令した後の20日夜と21日未明の2回、東部ドネツ
ク州ドネツク市近郊に駐留する政権部隊が親ロシア派とみられる武
装集団から襲撃されたと発表した。いずれも撃退したという。
 武装集団は銃やてき弾筒で攻撃してきたという。政権部隊側にけ
が人は出ていない。
 ポロシェンコ大統領は政権部隊に対し、20日午後10時(日本
時間21日午前4時)から1週間、一方的な攻撃停止を命じた。攻
撃を受けた場合は反撃する許可を与えている。(共同)



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