「安保屋」アーミテージの主導する集団的自衛権 ー集団的自衛権の行使は小手先の構想に過ぎないー DOMOTO 2014年5月22日 http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735 【目次】 【1】 アーミテージと安倍政権 【2】 集団的自衛権の行使は小手先の構想に過ぎない 【1】 アーミテージと安倍政権 公益財団法人である日本国際問題研究所の記事によれば、米国のリ チャード・アーミテージ(元国務副長官;2001年3月?2005年2月)は 、超党派の日米関係および外交・安全保障問題の専門家グループと ともに「2000年版・アーミテージ報告」を日本政府へ向けて発表し 、このなかで「日本側の集団的自衛権に関する制約を同盟関係の阻 害要因として指摘し、これらの解決に向けて一層の努力をするよう 、強く求めている」。 「アーミテージ報告」から読み解く日米同盟の今後 (2007-4/04 日本国際問題研究所) http://www2.jiia.or.jp/RESR/column_page.php?id=122 私が目にした情報では(朝日新聞2013年7月27日朝刊)、アーミテ ージは安倍首相と親しく、2013年の5,6月に都内で首相と面会し ている。「6月の首相官邸での会談では,参院選後の政策などにつ いても意見交換したとみられる」。また2013年7月の朝日新聞のイ ンタビューに対して、「今後,日本では集団的自衛権の行使容認に 向けての議論が大きなテーマとなるが,近隣諸国には警戒感も強い。 この点について『日本が(戦争責任などの)歴史問題で修正主義を とらず,未来志向であるのとセットであれば大丈夫だろう』」との 見方を示した。 アーミテージ元米国務副長官インタビュー (2013-7/28) http://pub.ne.jp/bbgmgt/?entry_id=4985405 また政治評論家の板垣英憲氏は、「アーミテージ元国務副長官は、 日本の保守政界のなかでも、とくに自民党派閥「清和会」(安倍晋 三首相の祖父・岸信介元首相から派閥を受け継いだ福田赳夫元首相 が設立、父の安倍晋太郎元外相も会長を務めた)との関係が深く、 日本の政治に大きな影響力を及ぼしてきた一人である」と述べてい る。 板垣 英憲「マスコミに出ない政治経済の裏話」(2014/03/01 板垣英憲) http://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/8b0cd8812a2cd16e1df99365879d70d8 また、先月4月22日の毎日新聞によれば、「自民党の石破茂幹事長は 22日、米国のアーミテージ元国務副長官と東京都内で会談し、安倍 晋三首相の目指す集団的自衛権の行使容認などについて協議してい る」。 アーミテージ氏:「安倍政権は経済優先で」…石破氏と会談 (2014-4/22 毎日新聞) http://mainichi.jp/select/news/20140423k0000m010091000c.html 【2】 集団的自衛権の行使は小手先の構想に過ぎない 集団的自衛権の行使容認という持論を持つアーミテージ元国務副長 官について、米ハドソン研究所の日高義樹氏は、日米安保条約をビ ジネスにしている「安保屋」が小手先の構想でビジネスの延命を図 ろうとしていると非難している。そして、小手先の構想に過ぎない 集団的自衛権の行使では、中国や北朝鮮を抱えるアジアの軍事情勢 にはとても対応ないと述べている。 これは米国の保守系シンクタンク、ハドソン研究所で長年、日米同 盟を研究してきた実績と経験からの分析だ。 アーミテージは国務副長官を退任した2005年に、「アーミテージ・ インターナショナル」という会社を設立している。下記の写真は 2013年8月に自民党の磯崎陽輔議員とアーミテージが面会した時の写 真で、「アーミテージ・インターナショナル」の写真ページに掲載 されている。磯崎議員は安倍政権の国家安全保障担当内閣総理大臣 補佐官で、粗雑な議論で集団的自衛権の行使容認を進める中心的人 物の一人だ。 写真:アーミテージと磯崎陽輔総理大臣補佐官(安倍政権の国家安全保障担当 2013年8月) http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/L-Isozaki_000.jpg アーミテージ・インターナショナルのホームページには、ビジネス 企業としての事業内容はほとんど掲載されていが、顧客についての 次のような説明がある。 ----------------------------------------------------------- Armitage International serves clients that focus on international business development in industries such as aerospace, communications, consumer products, construction, defense, finance and financial services, high-technology electronics, information technology, and transportation. Our Clients include Fortune 100 companies, as well as mid-market firms. Armitage International L.C. http://www.armitageinternational.com/about/ ----------------------------------------------------------- これによればアーミテージの会社は、次のような業界で国際的に事 業展開する企業を顧客とする。それは、航空宇宙、通信、消費者向 け製品、建設、防衛、市場調査及び金融サービス、ハイテク電子機 器、情報技術、および輸送などの業界に及ぶ。アーミテージ・イン ターナショナルの顧客には、「フォーチュン」誌が発表する企業売 上高ランキング100社に入る企業も含まれる。 今年2月に出版された日高氏の著作レポートのなかで、『アメリカ の大変化を知らない日本人』の第3章「集団的自衛権は幻である」 のなかから、一部を以下に要約して記した。 ============================== (要約開始) アーミテージ元国務副長官は、安保条約をビジネスにしている、い わゆる「安保屋」と言われる人物だ。アメリカで、日本の安全保障 問題をビジネスとして扱っている、いわゆる安保屋グループは、安 保条約によって日本が米国に守られている状態を一日も長く続けた いと考えている。 米国議会の指導者たちはいまや、米軍の海外駐留にまで強く反対す るようになっている。したがって、日米安保条約についても反対し ている。ハドソン研究所の研究会で、海兵隊出身の、米軍やペンタ ゴンからするとゴットファーザーとでも言うべき有力な上院軍事委 員会の議員もこう言った。 「日米安保条約は、無駄な海外駐留の象徴だ」 米国の政治家たちがいっせいに日米安保条約に反対し始めたため、 驚いた米国の安保屋たちが慌ててつくりだしたのが集団的自衛権構 想である。 日本と米国という二つの大国が安全保障を共有するには、相互安全 保障協定を結ぶ以外にない。 日本が独自の軍事力を持ち、国際社会の常識に従って米国と相互安 全保障条約を結べば、日米安保条約は不必要になる。そうすれば米 国における安保屋の仕事はなくなる。 アジアにおける情勢は大きく変わった。安全保障の体制も変えなく てはならなくなっている。集団的自衛権などという米国の安保屋が 考え出した構想をもとに、小手先だけで変えようとしても、とても 対応できるものではない。 日本と米国という二つの大国が安全保障を共有するには、相互安全 保障協定を結ぶ以外にない。日本と米国が組んで、共同の安全保障 体制をつくりあげるべきだ。安保屋などを介在させず、日本政府の 首脳が米国政府の首脳と対等につき合って、国の安全を図るべきで ある。 (要約終了) ============================== 【後記】 日高氏の、米国と相互安全保障条約を結ぶという構想には 大きな問題点がいくつかあると思いますが、それらの問題は、日本 の置かれている状況も見ながら考えていき、記事にしたいと思いま す。 ■ 関連記事 日米安保第5条には「武力行使」の明記がないーNATO条約との 大きな違いー(2014-6/15 拙稿 ) http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38801673.html DOMOTO