5057.中国の強気、米国の弱気



中国はベトナムの経済水域にまで石油探査用リグを置き、自国領海
と強気に主張するし、米国は世界の問題に我関せずという弱気な態
度で、世界の反米勢力を元気づけている。この先、どうなるのか検
討したい。  津田より

0.米国の優柔不断
米オバマ大統領は当初、イラクのISISに対して、無人機での空爆を
行う方向を表明していたが、軍事顧問団300名を送り、イラク軍の強
化を行うとした。イラクのマリキ首相はシーア派住民の参加を求め
、民兵として、イラン革命防衛隊の参加を要請した。米国とイラン
が共同作戦を行う事態になっている。

これに対して、サウジ、イスラエルなど親米国は、反対しているが
米国はその反対を無視して作戦を行っている。イラクとシリアのス
ンニ派過激集団ISISは、アフガンとパキスタンのタリバンと同じで
イスラム原理主義ワハーフ派の教義を広めているので、サウジアラ
ビア王家の信仰する宗教であり、資金は湾岸諸国の王家から出てい
る。

米国は、原則禁止されている国産原油の輸出を一部解禁する見通し
なので、原油のためには中東での戦争が必要なくなっているので、
外交の軸足を中東から他に移すことはうなずける。しかし、ヘリテ
ージ財団のジェームズ・カラファノ氏は「イラクの危機は、より大
きな危機へと急激に拡大し、オバマ大統領は逃げ道がなくなる」と
の見方を示す。米国の対応が優柔不断であり、米国が何に向かって
いるのかわからなくなってきているからである。

1.中国の強気
一方、中国は、世銀の予測では今年にも中国が米国を抜いて世界一
の経済大国になるという。1872年に米国が英国に代わってずっと世
界第1位の経済大国であったことを考えると、驚きの事実である。

どうしてこうなるのかは、国際比較プログラムで、購買力平価(PPP
)を用いて国内総生産(GDP)を測ったからである。既に2005年には
同様の計算方法で、中国経済は米国経済の約半分、43%に達していた。
その後、中国経済は予想よりも早く成長を遂げ、2011年のGDPは、米
国の87%に達した。

このため、中国の国際特許出願件数は2000年以降大幅に増加し、2000
年から2005年の平均伸び率は40%に達し、2005年から現在までも23
%の高い水準を維持している。これは、中国の技術革新能力が著し
く向上している。

また、中国の富裕層は2013年に237万8000世帯に達し、前年比82%増
加した。この数字は日本の124万世帯の2倍近くだ。世界で中国より
多くの富裕層を抱えている国は、713万5000世帯(2013年)の米国の
みである。

そして、中国の2013年の国防費は1450億ドルであり、世界の軍事費
でも第2位である。中国国防省は「中国はあくまで通常防衛に必要
な費用を使っているだけなのに、毎年アメリカは”中国が軍事拡大
している、地域に脅威をもたらしている”という報告を出してくる」
と苦情をいう。

中国が米国と同程度かより大きな経済軍事大国になるに従って、強
気に変化してきている。

中国共産党の機関紙人民日報は、欧米型の民主主義の「罠」に陥ら
ないよう警告する解説記事を掲載した。「西アジアから北アフリカ
まで、多くの国々は『欧米型民主主義』という混乱した狂気に陥っ
ている。そして幸福も安定も得ていない」との見解を示し、タイや
ウクライナの情勢を、民主主義がもたらす混迷の事例とした。

そして、中国の習近平指導部が、海外から支援を受ける非政府組織
(NGO)の活動実態を調べるよう地方政府に指示した。民主主義
や人権など欧米式の「普遍的価値」の広がりへの危機感が理由とみ
られる。

民主主義は危険思想という方向で中国は行動を開始した。今までの
世界は人権拡大という方向で歴史を刻んできたが、その流れは中国
の挑戦を受けて、風前の灯になっている。

それが証拠に、キャメロン首相は、中国との間で総額140億ポン
ド(約2兆4千億円)以上の商談をまとめたが、その代償として、
中国側の圧力に屈し、中国の人権問題を不問にしているし、ダライ
ラマとの会談もしなくなっている。中国の政治体制についての批判
ができなくなった。

そして、中国はフィリピンなどと領有権を争っている南シナ海の南
沙(スプラトリー)諸島で、急速に浅瀬の埋め立てを拡大するなど
、軍事拠点化に向けた準備を進めている。

2.中国軍の経済への介入
中国の習近平国家主席は28日夕、外交政策の基本である「平和五
原則」発表から60周年を記念して開かれた式典で演説した。平和
五原則とは主権と領土保全の尊重、相互不可侵、相互内政不干渉、
平等互恵、平和共存の5項目。

この中で習主席は「われわれは国際関係を理にかなったものにし、
力関係の新しい変化に適応すべきだ」と述べ、国力の増大を背景に
した中国の海洋進出の動きを正当化した。

そして、別の会議では「海洋防衛と言えば、中国近代史を思い起こ
さずにはいられない」とした上で「中国は貧弱で、侵略されるがま
まに任せ、外敵はわが国の陸と海から侵入し、中華民族に深くて重
い災難をもたらした。この屈辱の歴史を永遠に忘れてはいけない」
と呼び掛けた。

習主席はこうした歴史を踏まえ、「憂患意識、使命感、大局観を持
ち、国家主権と安全を第一に置く」よう指示。「国境の管理と海上
の主権維持活動を綿密に組織し、断固として領土主権を守り抜かな
ければならない」と訴えた。

この呼びかけた人は、もちろん中国人民解放軍のトップ房峰輝・総
参謀長(63)であり、彼は、中国共産党中央委員会の委員であり
、党中央軍事委員会委員でもある。

この房峰輝氏が注目されている。「中国の管轄海域での掘削探査は
完全に正当な行為だ。外からどんな妨害があっても、われわれは必
ずや掘削作業を完成させる」。5月15日、訪米中の房峰輝氏が記
者会見で語ったこの言葉が問題なのである。

「軍総参謀長の彼が“掘削継続”と宣言すれば、その瞬間から、中
国政府は“やめる”とはもはや言えなくなっている。」つまり、房
氏の“掘削継続発言”は実質上、海洋開発については、政府がいか
なる口も挟めなくなったことを意味する。

そのため、今回「中央財経指導小組(指導グループ)」のトップに
習近平主席がなったのも軍が海洋開発の権限を持ったために、国務
院が口出しできなくなったことによるのである。

このため、房氏が習主席主宰の「中央財経指導小組(指導グループ
)」の会議に出席している。本来、人民解放軍は、国の経済運営に
は関与しないのが原則であり、軍の幹部は本来、中央の「財経会議
」に顔を出さないが、海洋開発が軍主導になったことによる。日本
の旧軍を思い出す出来事である。「文民統制」が効かなくなるとい
う悪夢を持つ。中国も軍部が徐々に外交力を持ち、政府が軍の意向
に沿う可能性がある。

軍隊は国民の支持を受けるためには、どうしてもナシュナリズムの
渦中で強気になる。そうすると、ドンドン強気が増すことになる。

厄介なことになった可能性がある。

3.米国の問題
5055「中国に弱気の米国評論家」のコラムで述べたように、中
国に対して弱気になっている米国評論家が多い。

米ジョージ・ワシントン大学国際関係学部のロバート・サッター教
授はフォーラムで、米国のアジア回帰やフィリピン等同盟国との関
係強化は中国に武力で敵対するためのものではないという。

「中国は経済発展にともない、軍事力を拡大させているが、米国と
の衝突に耐えられるものではない。オバマ大統領も中国に敵対する
意図はない。中国は米国の貿易パートナーで、中国と敵対する方針
は国民の支持を得ることはできない」と述べ、米国が中国を抑えこ
むには200万人以上の兵力が必要で、到底不可能だと語った。

「中国の外交政策は失敗している。隣国に対し平和的台頭であると
説得を試みつつ、一方的な行動を起こし、近隣に疑惑の種をまいて
いる。そのため中国は西側の大国と敵対することができないのだ」
と述べた。サッター教授は、米国の国際的地位が下落していること
は認めつつ、米国は依然としてアジアを指導する立場にあると述べ
た。

しかし、一つ見逃していることがある。中国は独裁国家であり、軍
部が国家を乗っ取る可能性があり、それへの備えを周辺国も米国も
することが必要な時期に来たのである。それをオバマ大統領は無視
して、中国とパートナーになることを妄想している。2016年の
大統領選挙まで、この思想は変わらないので、周辺国は苦労が大き
いことになる。

4.中国の問題
それでは、中国共産党にとって切羽詰まった課題は何かと言うと、
中央政治局の集団学習会のテーマや内容を見ると、習近平政権にと
って経済問題は、海での衝突より遙かに緊急性を要するものである
ことが分かる。

そして、1〜5月の日本から中国への直接投資実行額が、前年同期
比42・2%減の約20億ドル(約2038億円)だった。
 日中関係悪化の影響について、商務省の沈丹陽報道官は「政治関
係の悪化は明らかに投資に影響している。双方にとって不利益だ」
と述べたように経済的なダメージを中国は受け始めている。

その一方、中国商務省の当局者は、主要産業80業種を対象に反競
争的行為の調査として、欧米企業を中心に自動車、医薬品、アルコ
ール飲料を開始し、欧米企業を追い出す方向である。

日本企業は、中国企業にはできない技術的な製品製造であるために
来て欲しいが、欧米企業は、中国企業で代替可能であるからである。

特に環境技術を持つ企業の進出を促進したいようであるが、中国に
技術を取られると日本企業は尻込みしている。それを促進したいよ
うだ。

このため、中国・北京を訪問した太田昭宏国交相が、27日午前に
人民大会堂で劉延東副首相と会談し、中国政府筋は「11月に北京
で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて
習国家主席と安倍首相が会談できる雰囲気をつくりたい」と解説し
ている。

これに対して、中国人民解放軍のシンクタンク、軍事科学院国防政
策研究センターは、中国を取り巻く国際情勢を分析したリポート「
戦略評価2013」を発表し、「日本は2度の大規模戦争で中華民族の復
興を妨げた」と指摘し、また、「アジア情勢が大きく変化する中、
日本政治の右傾化に高い関心が集まっている」「日中のパワーバラ
ンスの変化が両国関係の構造的矛盾を大きくした」などと、日中友
好を阻害する方向を述べているので、まだ、どうなるかわからない。

5.日本の対応はどうする?
安倍晋三首相は、来日したフィリピンのアキノ大統領と会談し、東
シナ海や南シナ海への進出を活発化させる中国を念頭に「力による
威嚇に反対し、紛争の平和的解決と法の支配に基づく海洋秩序の維
持が重要」との認識で一致。安全保障分野での両国の連携を強化し
ていくことで合意した。

フィリピンを支援するために、政府開発援助(ODA)の大綱を見
直して、ODAの軍事利用を禁止する要件の緩和などを行う方向で
ある。

日本の役割は、中国近傍にいる国と協力して、中国の横暴な攻勢を
阻止していくことである。しかし、それだけでは無理であり、リム
パック軍事演習に中国軍を招くなど、協調的な行動もすることであ
ろう。

中国の台頭を一定程度認め、日米両国は単に対抗するのではなく将
来的な協力を摸索することであり、「異質な存在」を排除すること
で袋小路にはまりこんでしまった冷戦の反省を踏まえ、「異質な存
在」でも、それを変えるよう働き掛けることであろう。

もう1つが、もし戦争になっても、日本が負けないような兵器の開
発は必要である。今までにも述べたような原子核ビームなどの兵器
開発を日米で行うことである。

さあ、どうなりますか?

参考資料:
5055.中国に弱気の米国評論家
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/260627.htm

==============================
習主席「核心的利益の尊重」訴え=平和五原則60年で演説−中国
 【北京時事】中国の習近平国家主席は28日夕、北京の人民大会
堂で、外交政策の基本である「平和五原則」発表から60周年を記
念して開かれた式典で演説した。習氏はこの中で、主権・領土問題
に触れ、「お互いに核心的利益を尊重しなければならない」と述べ
、沖縄県・尖閣諸島や南シナ海の問題を念頭に断固とした対応を取
ることを内外に訴えた。
 平和五原則とは主権と領土保全の尊重、相互不可侵、相互内政不
干渉、平等互恵、平和共存の5項目。1954年6月に周恩来首相
(当時)がインドとミャンマーを訪問した際、両国でそれぞれ発表
した。この日の記念式典にはミャンマーのテイン・セイン大統領と
インドのアンサリ副大統領も出席した。
 習主席は平和五原則に関して「新たな(世界)情勢下でもその精
神は時代遅れになることはなく、(発表から)長い時間が経過して
もますます新しくなる」と強調。その上で五原則に沿って「各国が
選んだ社会制度や発展路線を尊重し、非合法手段で他国の合法政権
を転覆させることに反対する」「中国は永遠に途上国の頼れる真の
パートナーだ」などと訴えた。
 改めて平和五原則を前面に出した背景には、中国を取り巻く厳し
い国際環境がある。軍事・経済面で台頭する中国に対して国際社会
が懸念を深め、尖閣諸島・南シナ海問題で周辺国との摩擦が激化、
ウイグルやチベットの問題を含め社会の不安定化も顕著となる中、
西側諸国の価値観が国内に浸透することにも警戒を強める。
 こうした中で、中国は主権・領土問題では決して妥協しないが、
平和発展路線を歩み、周辺国との協力を強化する外交を進める原則
に変わりがないことを内外にアピールする狙いが強い。 
(2014/06/28-20:46)
==============================
習主席「力の変化に適応」海洋進出を正当化
6月28日 22時47分朝日
中国の習近平国家主席は、28日、各国の大使らを前に演説し、「
われわれは国際関係を理にかなったものにし、力関係の新しい変化
に適応すべきだ」と述べ、国力の増大を背景にした中国の海洋進出
の動きを正当化しました。
習主席は「われわれは国際関係を理にかなったものにし、力関係の
新しい変化に適応すべきだ」と述べ、国力の増大を背景にした中国
の海洋進出の動きを正当化しました。
==============================
「近代の屈辱」忘れるな=海洋主権で指示−中国主席
 【北京時事】28日付の中国共産党機関紙・人民日報によると、
習近平国家主席は27日、海洋防衛関係の会議で演説。「海洋防衛
と言えば、中国近代史を思い起こさずにはいられない」とした上で
「中国は貧弱で、侵略されるがままに任せ、外敵はわが国の陸と海
から侵入し、中華民族に深くて重い災難をもたらした。この屈辱の
歴史を永遠に忘れてはいけない」と呼び掛けた。
 習主席はこうした歴史を踏まえ、「憂患意識、使命感、大局観を
持ち、国家主権と安全を第一に置く」よう指示。「国境の管理と海
上の主権維持活動を綿密に組織し、断固として領土主権を守り抜か
なければならない」と訴えた。
 この演説から、「近代の屈辱」という歴史観が、習主席の沖縄県
・尖閣諸島や南シナ海の問題での強硬姿勢につながっていることが
表れている。(2014/06/28-16:26)
==============================
<南シナ海問題>中越対立に解決の糸口見えず、中国は新たに石油
採掘プラットホーム派遣―米メディア
Record China 6月29日(日)4時3分配信
2014年6月27日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイト
は「南シナ海での中越対立、袋小路の打破は難しく」と題した記事
を掲載した。中国の石油採掘プラットホーム設置に端を発した南シ
ナ海での中越対立。間もなく2カ月を迎えるが、いまだに解決の糸口
は見つかっていない。
ベトナム政府は先日、反中デモで被害を受けた企業に対する保険金
支払い、税金還付を行うなどの対処を行った。ベトナム外務省報道
官は速やかな補償が行われたことで、外資系企業の運営には問題が
生じていないと強調した。しかしベトナム政府がデモを押さえ込ん
だとしてもそれだけで中越関係が好転するわけではない。
中国の楊潔●(ヤン・ジエチー、●は竹かんむりに褫のつくり)国
務委員はこのほどベトナムを訪問したが、その直後に中国政府は新
たに4基もの石油採掘プラットホームが南シナ海に移動中だと発表し
た。うち1基は中越領海の境界付近に設置される。
また、南シナ海パラセル諸島(中国名・西沙諸島)近海での中越船
舶のにらみ合いは続いている。ベトナム当局は26日、これまでにベ
トナム巡視船27隻が計100回以上もの体当たり攻撃を受けたと発表し
た。一方、中国側はベトナムによる中国船への衝突は1000回以上だ
と主張している。(翻訳・編集/KT)
==============================
米「優柔不断」不測招く オバマ政権、中露「拡張」を助長
2014.6.28 09:02 sankei
 【ワシントン=青木伸行】イスラム過激派組織「イラク・レバン
トのイスラム国(ISIL)」がシリアからイラクに勢力を拡大し
、情勢は複雑さと混迷の度を増している。軍事介入を敬遠するオバ
マ米大統領の国際協調路線は限界に達しているといえ、ウクライナ
に続くイラクでの「優柔不断」な対応は、中国とロシアの「拡張主
義」を助長するとの懸念も強まっている。
 「イラクが中東地域全体を危機に陥らせる状況にある。単にイラ
クだけの問題ではない」。こう語る米戦略国際問題研究所(CSI
S)のジョン・オルターマン氏は、「危機」の要因を関係諸国の思
惑という側面から説明する。
 「シリアのアサド政権は、自国の内戦をイスラム過激派組織との
戦いだと、世界に印象づけたがっている。イランは、イラクのマリ
キ政権の対イラン依存度を高めさせ、同時に欧米に接近し、核問題
への圧力をそらそうとしている。湾岸諸国の一部はISILに資金
を流しており、マリキ政権の弱体化はイランの弱体化につながると
みている」
 ヘリテージ財団のジェームズ・カラファノ氏も「イラクの危機は
、より大きな危機へと急激に拡大し、オバマ大統領は逃げ道がなく
なる」との見方を示す。また、「イラクはISILの手に落ちるか
もしれない。全土を制圧せずとも、世界中のテロ組織にとり心理的
に大きな勝利となり、勢いづく」と警鐘を鳴らした。
「深刻な状況下では言い逃れができない方策が要求される。オバマ
氏は真の最高軍司令官として行動するときだ」−。こうした批判や
、限定空爆など「米国の強い関与」を求める声は共和党と有識者
の間に強い。
 オバマ政権の対応を中国とロシアはどうみるのか。ヘリテージ財
団のディーン・チェン氏は「中国は、米国がなぜ軍事介入しないか
などを分析している。『優柔不断』とみており、米国は南シナ海(
での中国とベトナムの衝突)でも同様の対応を取ると推測している
ようだ」と指摘する。
 さらに「中国は、米国の対ベトナム支援の選択肢は限られている
と認識し、それが南シナ海での中国の活動を活発化させている理由
のひとつだ」と分析。「尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺空域で、
中国軍機が自衛隊機に異常接近したのには、米国の意思を試す狙い
もある」との見解を示す。同氏や、新アメリカ安全保障センターの
パトリック・クローニン氏は、ベトナムへの武器売却や軍事顧問団
の派遣などを提唱する。
 一方、ロシアについて、ハドソン研究所のガブリエル・ショーン
フェルド氏は「クリミアの併合などウクライナの主権侵害は、オバ
マ氏の優柔不断な政策と関連している。ロシアのプーチン大統領は
、オバマ氏をいかなる代償も払わない人物だとみている。オバマ氏
のイラクにおける躊躇(ちゅうちょ)は、プーチン氏を前のめりに
させるだろう」と指摘する。
 そして「オバマ氏の弱さが、侵略や紛争をいっそう招いている」
と批判した。
==============================
“文民統制”が効かなくなりつつある中国人民解放軍
門田隆将2014年06月27日 23:34BLOGOS
産経新聞のオピニオン欄(第7面)に出ていた評論家の石平氏のコ
ラムだった。「習政権を乗っ取る強硬派軍人」と題されたコラムは
、実に興味深かった。
石平氏は、中国・四川省の生まれで北京大学を卒業後、1988年に来
日し、2007年に日本国籍を取得した中国ウォッチャーだ。厳しい中
国に対する論陣は、日本人では考えつかない独特の発想のものがあ
り、唸らされることが多い。中国問題の専門家が集まる会合で、私
も何度かご一緒させてもらったことがある。
今回の論考の注目すべき点は、2点ある。習政権を脅かす軍人を“
名指し”し、さらにはその具体的な動きを指摘した点だ。その人物
とは、中国人民解放軍の房峰輝・総参謀長(63)である。中国人
民解放軍というのは、中国共産党の「党」の軍隊であり、あくまで
党の最高軍事指導機関である「中国共産党軍事委員会」の指導を受
ける存在だ。その軍事委員会の主席は習近平・国家主席(61)で
あり、その意味で軍の最高指導者は習近平氏にほかならない。
かつて国家主席でもなく、党主席でもなかったケ小平氏が、この「
軍事委員会主席」の座だけは最後まで手放さず、最高権力を振るい
つづけたことが思い出される。だが、石平氏は、その主席の地位に
はない人民解放軍総参謀長である房峰輝氏を「習近平氏を脅かす第
一の人物」として挙げたのである。
房峰輝氏は、中国共産党中央委員会の委員であり、党中央軍事委員
会委員でもあり、さらに中国人民解放軍総参謀長でもある。すなわ
ち軍人としては最高の地位にある(階級は「上将」)。なぜ房峰輝
氏が注目されるのか。それは、中国とベトナムとの紛争について、
アメリカでおこなった「発言」にあった。
「中国の管轄海域での掘削探査は完全に正当な行為だ。外からどん
な妨害があっても、われわれは必ずや掘削作業を完成させる」。5
月15日、訪米中の房峰輝氏が記者会見で語ったこの言葉にこそ、
その秘密が隠されていた。
石平氏の言葉を借りれば、「ベトナムとの争いが始まって以来、中
国側高官が内外に“掘削の継続”を宣言したのは初めてのこと」で
あり、「一軍関係者の彼が、政府そのものとなったかのように“掘
削の継続”を堂々と宣言するのは、どう考えても越権行為以外の何
ものでもない」という。
人民解放軍を率いる房峰輝氏のこの発言は、「もはや怖いものがな
くなった」、すなわち完全に習近平を脅かす存在となった、という
この見方は注目される。
石平氏は、房氏が習主席主宰の「中央財経指導小組(指導グループ
)」の会議に出席していることも指摘する。人民解放軍は、国の経
済運営には関与しないのが原則であり、軍の幹部は本来、中央の「
財経会議」に顔を出すようなことはない。
しかし、すでに房氏は“堂々と”習主席主宰の「財経会議」に出席
し、さらに“堂々と”アメリカにおいて、中国とベトナムとの紛争
について、「国際的な宣言」をおこなうほどになっているのである。
東シナ海、南シナ海での人民解放軍の強硬姿勢は、「本当に習近平
の本意なのか」という専門家の指摘はこれまで少なくなかった。だ
が、クローズアップされた房峰輝・総参謀長の存在は、これらの問
題に大きな示唆を与えている。
石平氏は、こう結論づけている。「もし房氏が“中国軍として掘削
作業の安全を守る決意がある”と語るならば、それは理解できる」
。しかし、「軍総参謀長の彼が“掘削継続”と宣言すれば、その瞬
間から、中国政府は“やめる”とはもはや言えなくなっている。つ
まり、房氏の“掘削継続発言”は実質上、政府のいかなる妥協の道
をも封じ込めてしまった」、そして、「軍がこの国の政治を牛耳る
という最悪の事態がいよいよ、目の前の現実となりつつあるのであ
る」と。
「文民統制」が効かなくなりつつある中国の現状が浮かび上がって
くる。
==============================
米政府、原油輸出を一部解禁へ 生産急増で対応
ワシントン=五十嵐大介2014年6月28日09時39分
 米政府が、原則禁止されている国産原油の輸出を一部解禁する見
通しとなった。現行の制度は変えずに、解釈の変更で対応する。原
油生産の急増を背景に輸出の解禁を求める声が高まっていた。
 今回輸出が認められたのは、テキサス州にある石油会社2社。米
ウォールストリート・ジャーナル紙によると、8月にも輸出を始め
るという。
 米国では第1次石油危機をきっかけに1970年代以降、原油の
輸出が原則禁止され、ガソリンなど精製された石油製品の輸出に限
られている。今回は、最小限の加工をした超軽質原油と呼ばれる原
油を「製品」とみなすことで、輸出を容認した形だ。
==============================
ODA「軍事禁止」緩和、中国念頭にアジア支援
2014年06月26日 21時50分Yomiuri Shimbun
 途上国の経済発展などを支援する政府開発援助(ODA)の大綱
の見直しに向けた外務省の有識者会議は26日、ODAの軍事利用
を禁止する要件の緩和などを柱とした報告書を岸田外相に提出した。
 中国の活発な海洋進出を念頭に、ODA支出先の3割を占める東
南アジア各国の港湾や空港整備を支援する狙いがある。
 政府は報告書を踏まえ、年内に新しい大綱を閣議決定する。改定
は2003年以来11年ぶりとなる。
==============================
日米が中国軍を合同海上演習に招待、その狙いとは?―中国メディア
Record China 6月26日(木)18時8分配信
2014年6月25日、中国新聞社は記事「リムパックを通じて中国との緊
張緩和をもくろむ日米」を掲載した。
世界最大規模の海上合同演習「環太平洋合同演習(リムパック)2014
」が26日より米ハワイ周辺海域で開催される。今回は中国軍が初め
て参加。ミサイル駆逐艦など艦艇4隻、ヘリコプター2機と米国に次
ぐ陣容で参加する。
24日付AFP通信は中国が招待された背景について分析している。その
要因は2つ。第一に日米両国は中国の台頭を一定程度認めており、単
に対抗するのではなく将来的な協力を摸索している。第二に「異質
な存在」を排除することで袋小路にはまりこんでしまった冷戦の反
省を踏まえ、「異質な存在」を変えるよう働き掛ける方針を選んだ
ためだ。
その意味で今回の中国軍招待は極めて大きな意味を持っており、将
来的な中国との緊張緩和を狙った一手だと指摘している。
(翻訳・編集/KT)
==============================
太田国交相、中国副首相と会談へ=安倍内閣閣僚で初−習指導部、
対日改善方針か
 【北京時事】中国・北京を訪問した太田昭宏国交相が、27日午
前に人民大会堂で劉延東副首相と会談することが決まった。日中関
係筋が26日、明らかにした。沖縄県・尖閣諸島や靖国神社参拝問
題で日中関係が緊張する中、安倍晋三内閣の閣僚が中国の副首相級
の指導者と会談するのは初めて。
 太田氏は、観光分野の協力強化を通じて日中関係改善を図るため
、26日に北京入りした。同日午後に共産党中央対外連絡部の王家
瑞部長と会談。27日には劉副首相に続き、李小林・中国人民対外
友好協会会長、邵※(※=王ヘンに其)偉国家観光局長、唐家セン
中日友好協会会長(前国務委員)と相次ぎ会談する予定で、中国側
は太田氏の訪中を重視する姿勢を示している。 
 対中友好を掲げる公明党代表を務め、たびたび訪中している太田
氏は、共産党指導部に友人が多い。指導部内では本来、観光や対外
経済を統括するのは汪洋副首相だが、劉副首相が会談に応じる背景
には、担当を超えて、習近平指導部が対日関係改善を進めたいとの
意向を安倍政権に伝える狙いがあるとみられる。
 習指導部はこれまで安倍内閣と距離を置き、経済・地方都市間、
政党間の交流を強化。しかし、中国政府筋は「11月に北京で開く
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて習国家
主席と安倍首相が会談できる雰囲気をつくりたい」と解説している。
 共産党・政府は4月以降、北京を訪問した東京都の舛添要一知事
や、高村正彦自民党副総裁率いる日中友好議員連盟代表団などに対
し、最高指導部・政治局常務委員や副首相らが会談に応じた。5月
には山東省青島で開かれたAPEC貿易相会合に出席した茂木敏充
経済産業相が、高虎城商務相と会談している。(2014/06/26-19:28)
==============================
行動規範策定で協議 中国とASEAN
2014.6.26 00:34
 東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国と中国などが領
有権を争う南シナ海問題で、ASEANと中国の担当者による作業
部会が24、25両日、インドネシア・バリ島で開かれ、紛争回避
のための法的拘束力のある「行動規範」の策定について協議した。
 インドネシア外務省当局者によると、規範策定に向けた交渉の進
捗状況や双方の対立点を報告書にまとめる作業などが行われた。
 ASEANと中国は昨年9月、中国江蘇省蘇州で行動規範策定に
関する公式協議を開始。10月のブルネイでの首脳会議では策定の
努力を明記した共同声明を発表したが、中国は策定には慎重な姿勢
を示している。(共同)
==============================
中国、日比接近を警戒 「緊張つくるな」
2014.6.25 18:34
 安倍晋三首相とフィリピンのアキノ大統領が会談し、中国の海洋
進出を念頭に連携強化を確認したことを受け、中国外務省の華春瑩
報道官は25日の記者会見で「(領有権争いで)関係国は人為的に
緊張や対立をつくるのではなく、誠意を見せるべきだ」と述べ、警
戒感を示した。
 華氏は、安倍首相が主導する集団的自衛権の行使容認に向けた動
きなどについて「アジア近隣国の共通の懸念」と主張し、行使容認
に理解を示したアキノ氏をけん制。日本とフィリピンに対し、地域
の平和と安定に向け「積極的な役割」を果たすよう求めた。(共同)
==============================
コラム:米国のイラク政策、意識すべきは中国の存在
2014年 06月 25日 09:56 JST
Trita Parsi
[23日 ロイター] - イランと協力すべきか否か───。イラク
情勢が混乱に陥る中、これは米国政府につきまとう問題であると同
時に、イラクでの任務が真に達成されることはないと米国に気付か
せる問いかけでもある。
スンニ派過激派組織がイラクの首都バグダッドへと歩を進める一方
、イランでは最高指導者がイラク情勢への米国の関与を非難してい
る。そんな中、イランへの接触は米国の中東政策の調整というより
、中東における主目的の再定義を意味する。米国は安定を求めてい
るのか。それとも支配を欲しているのか。
もし米国の目的が安定であるなら、イランとの協力は理にかなう。
なぜなら、イランは隣国イラクの安定を必要としており、米国の安
全保障を向上させ得る有益な情報と政治的な影響力を持っているか
らだ。
イランは自分たちが大きな影響力を及ぼせるシーア派政権下のイラ
クに対し、地理的調和の維持を目的として多大な投資をしてきた。
イランにしてみれば、シーア派連合が主導する安定したイラクの方
が、スンニ派の過激派が主導する不安定なイラクよりも都合がいい。
スンニ派の過激派は、米国よりイランを憎むからだ。そうした理由
から、イランは米国と協力する意思を示した。
だが米国が、終わりのない戦争という犠牲を払ってでも中東で政治
的・軍事的支配をよみがえらせたいのであれば、話は別だ。
ウィリアム・クリストル氏のような新保守主義者の多くは、どれだ
けの代償を払っても、米国は中東で支配力を維持しなくてはならな
いと考えている。こうした見方によれば、安定は支配の二の次とさ
れる。同地域の不安定な情勢が、米国による支配の確保もしくは維
持に寄与するならば、それで良しとする考え方だ。
中東で再び地上戦に踏み切るの場合のコストや、米国のエネルギー
自給の拡大を考えると、外交の軸足を中東から他に移すことはうな
ずける。だが、その最大の理由は恐らく、米国の優位性を揺るがす
真の脅威は中国からもたらされることにある。
米国の真の脅威はイランではなく中国だと認識するなら、中東地域
の安定の方が支配よりも重要だ。イランはうなり声を上げているラ
イオンかもしれないが、中国は飛ぶ鳥も落とす勢いの昇り竜と言え
る。
イランとの協力は、米国がイラクの混乱に再び巻き込まれるのを回
避できるだけでなく、中国もしくは国内問題といった重要度の高い
問題に専念することを可能とするだろう。
結局、中東地域で安定より支配を選択することは、米国を永続的な
戦争状態に陥らせることになる。オバマ大統領が新保守主義者たち
の声に耳を傾けていないのも無理からぬことと言えよう。
*筆者のトリタ・パルシ氏は、全米イラン系アメリカ人評議会の会
長。著書に「A Single Roll of the Dice -- Obama’s Diplomacy 
with Iran」がある。
==============================
日比首脳会談:安保連携の強化、合意
毎日新聞 2014年06月25日 東京朝刊
 安倍晋三首相は24日、フィリピンのアキノ大統領と首相公邸で
会談した。東シナ海や南シナ海への進出を活発化させる中国を念頭
に「力による威嚇に反対し、紛争の平和的解決と法の支配に基づく
海洋秩序の維持が重要」との認識で一致。安全保障分野での両国の
連携を強化していくことで合意した。
 また、首相が集団的自衛権の行使容認に向けた政府・与党の検討
状況を説明したのに対し、アキノ氏は支持を表明した。同氏はさら
に会談後の共同記者発表で「日本の憲法(解釈)の見直しが提案さ
れても、警戒の念を抱くことはまったくない。日本の国際義務を果
たす能力を高めることにつながり、われわれが共有する平和、安定
、相互繁栄という目標達成により近づく」と述べた。【鈴木美穂】
==============================
中国、海外系NGO調査 習政権指示 欧米の価値、拡大危惧
2014年6月23日05時00分asahi
 中国の習近平(シーチンピン)指導部が、海外から支援を受ける
非政府組織(NGO)の活動実態を調べるよう地方政府に指示した
ことが分かった。民主主義や人権など欧米式の「普遍的価値」の広
がりへの危機感が理由とみられる。胡錦濤(フーチンタオ)前指導
部が始めた社会改革が失速する可能性もある。
 山西省運城市の…
==============================
中国 南沙諸島で軍事拠点化に向け準備か
6月24日 4時15分NHK
中国とフィリピンなどが領有権を争っている南シナ海の南沙(スプ
ラトリー)諸島で、中国が急速に浅瀬の埋め立てを拡大するなど、
軍事拠点化に向けた準備ともみられる動きを進めていることが分か
り、24日に来日するフィリピンのアキノ大統領は、安倍総理大臣
との会談で、こうした中国の動きについて意見を交わしたい考えで
す。
南シナ海の南沙諸島では、中国とフィリピンなどが領有権を争うな
か、中国が一部の浅瀬の埋め立てを一方的に進めていることが、最
近、相次いで明らかになり、周辺国が懸念を強めています。
この問題で、フィリピン軍は、これまでにジョンソン南礁など3つ
の浅瀬で埋め立てを確認していましたが、これに加え、新たにヒュ
ーズ礁とエルダド礁でも埋め立てを確認したということです。
フィリピン軍の分析では、埋め立て面積は5つの浅瀬を合わせて少
なくとも9万平方メートル、東京ドームおよそ2個分の広さに達す
るとみられ、中国が滑走路の建設やレーダー施設の整備などこの一
帯の軍事拠点化に向けて埋め立てを進めている可能性があるとみて
います。
こうしたなか、フィリピンのアキノ大統領は24日に来日し、安倍
総理大臣と会談することになっています。
フィリピン政府は、中国側の行動は地域の安全保障に大きな影響を
与えるものだと警戒を強めており、アキノ大統領は、こうした中国
の動きについて安倍総理大臣とも意見を交わしたい考えです。
==============================
「最も尊敬集める国は日本だ」米元高官が反撃 中国側は安倍政権
を批判 北京でフォーラム
2014.6.22 15:39 [アジア・オセアニア]
 中国政府系シンクタンク、中国社会科学院日本研究所の李薇所長
は22日、北京市で開かれた「世界平和フォーラム」の分科会で「
日本政治は急速に右傾化しており、日本がアジア太平洋地域を緊張
させ不安定にさせている」と述べ、安倍晋三首相を批判した。
 分科会に参加した西原春夫・元早大総長は、戦後レジーム(体制
)からの脱却を悲願とする安倍首相に対し大多数の日本国民が不安
を感じているが「安倍首相は絶対に日本をかつての侵略国家にしよ
うとは考えていない」と反論した。
 傍聴していた米知日派のアーミテージ元国務副長官も「中韓両国
以外での世論調査では、最も尊敬を集めている国は日本だ」と日本
の国際貢献への姿勢を評価した。
 韓国の柳明桓元外交通商相は「米国は、安倍首相の歴史認識問題
について傍観者の立場を取るべきではない」と指摘した。(共同)
==============================
中国、ギリシャに48億ドル投資…欧へ足場固め
2014年06月23日 07時20分Yomiuri Shimbun
 中国の李克強リークォーチャン首相は19〜21日のギリシャ訪
問で、48億ドル(約4900億円)相当の貿易投資協定を締結し
たほか、ギリシャ国債の追加購入に前向きな姿勢を示すなど、同国
経済への関与を強める姿勢を打ち出した。
 首相は、中国国有企業が経営権の一部を握るアテネ郊外ピレウス
港の機能強化も強調し、欧州市場への拠点として同国での足場固め
を着々と進めている。(アテネ 青木佐知子)
 李氏はギリシャ滞在中の20日、「中国沿岸からピレウス港は、
アジアと欧州を結ぶ最短航路だ」と述べ、欧州最大の貿易港・ロッ
テルダム港より輸送期間を約1週間短縮できると強調した。中国・
欧州連合(EU)間の海上貿易のうち、ギリシャ経由はすでに約5
割を占めるが、李氏は、ピレウス港を「世界で最も競争力のある港
にする」と宣言。同港と中欧を結ぶ貨物鉄道の輸送力強化にも意欲
を示した。中国の国有海運大手・中国遠洋運輸は2009年から同
港ふ頭の経営権を持つが、中国からのコンテナ取扱量を3倍近くに
増やし、同港運営会社の株式の過半数取得も狙っている。
==============================
中国経済は世界一になり得るのか
2014年06月20日(Fri)  岡崎研究所 WEDGE
5月5日付け仏ル・モンド紙で、Sylvie Kauffmann同紙論説主幹は、
世銀が、今年にも中国が米国を抜いて世界一の経済大国になると予
測したが、その計算方法は疑問であり、また、大国の資質から言っ
て、中国を過大評価すべきではなく、米国の優位は当分保たれよう
、と述べています。
 すなわち、世界銀行は、4月30日、今年(2014年)、中国が米国を
抜いて世界一の経済大国になると発表した。1872年に米国が英国に
代わってずっと世界第1位の経済大国であったことを考えると、驚
きの事実である。
 どうしてこうなったのか。それは、世銀が、国際比較プログラム
で、購買力平価(PPP)を用いて国内総生産(GDP)を測ったからで
ある。既に2005年には同様の計算方法で、中国経済は米国経済の約
半分、43%に達していた。その後、中国経済は予想よりも早く成長を
遂げ、2011年のGDPは、米国の87%に達した。  
 一方、為替レートを考慮して計算すると、値は異なってくる。例
えば、2012年の米国のGDPは162億ドルとなり、これは中国の82億ド
ルの約2倍である。この計算方法によれば、米国の優位は、2024年ま
で続く。
 PPPによるGDPの計算では、今年既に中国が世界第1位の経済大国に
なると予測されるばかりではなく、新興国全体の成長が、既存秩序
を覆す。例えば、インドが、日本を抜いて世界第3位の経済大国にな
り、ロシア、ブラジル、インドネシア及びメキシコが12位以内に名
を連ねる。
==============================
日本は2度の大規模戦争で中華民族の復興を妨げた=安倍政権は中国
をライバル視―中国軍シンクタンク
Record China 6月20日(金)5時40分配信
2014年6月18日、中国人民解放軍のシンクタンク、軍事科学院国防政
策研究センターは、中国を取り巻く国際情勢を分析したリポート「
戦略評価2013」を発表し、「日本は2度の大規模戦争で中華民族の復
興を妨げた」と指摘した。19日付で人民日報(電子版)が伝えた。
リポートではまた、「アジア情勢が大きく変化する中、日本政治の
右傾化に高い関心が集まっている」「日中のパワーバランスの変化
が両国関係の構造的矛盾を大きくした」「日本の右翼勢力はこうし
た力関係の変化を受け入れられず、焦りを増している」「安倍政権
は米国のアジアリバランス戦略の勢いを借り、中国をライバル視し
、憲法改正や軍拡、集団的自衛権の行使容認などの手段で、尖閣諸
島をめぐる問題で中国と対立し、中国が東シナ海に設定した防空識
別圏に強硬に対応している」などと指摘した。(翻訳・編集/NY)
==============================
英・中の商談、2・4兆円に 女王も面会、異例の厚遇
2014.6.18 07:00 sankei[欧州]
 【ロンドン支局】訪英中の中国の李克強首相は17日、キャメロ
ン首相と首相官邸で会談し、関係強化で一致した。キャメロン氏は
会談後の共同記者会見で、両国がさまざまな分野で総額140億ポ
ンド(約2兆4千億円)以上の商談をまとめたと表明した。
 李氏は同日、ウィンザー城でエリザベス女王とも面会。女王が国
家元首ではない李氏と面会するのは異例で、中国側が面会を強要し
たとも伝えられ、中国の影響力増大を印象づけた。
 英国メディアによると、キャメロン氏は会談冒頭、両国関係を「
新たな段階」に引き上げたいと表明。これに先立ち、メイ英内相は
16日、中国人観光客とビジネス客の増加に向け、ビザ発給手続き
を大幅に簡略化する方針を明らかにした。
 李氏は訪英に際し、英紙タイムズに「中国に対する誤解や偏見を
正したい」と寄稿。企業関係者ら200人以上を引き連れて16日
に訪英した。
 両国関係は、2012年にキャメロン氏がチベット仏教の最高指
導者ダライ・ラマ14世とロンドンで会談したことで冷却化。「内
政干渉」と反発する中国から猛烈な嫌がらせを受けたという。その
後、英国側が譲歩し、経済優先に転換したことで昨年末のキャメロ
ン氏訪中を機に改善した。
 そのためキャメロン氏は、中国側の圧力に屈し、人権問題をなお
ざりにしたとの批判を受けている。
==============================
中国住宅価格が下落、「バブル終焉」の見方
2014.6.18 17:42 sankei[中国]
 【上海=河崎真澄】中国国家統計局が18日発表した主要70都
市の5月新築住宅価格指数(公共性の高い低価格住宅除く)で、半
数の35都市が前月に比べて低下した。横ばいは20都市、上昇は
15都市だった。4月は下落8都市、横ばいが16都市、上昇44
都市だった。不動産市況悪化が広がっていることが裏付けられた。
 これまで好調だった大都市も上海市が前月比0.3%、広東省深
セン市が同0.2%、それぞれ低下。同省広州市は横ばい、北京市
は同0.2%上昇にとどまった。同1.4%低下した浙江省杭州市
では売れ残り物件が急増し、住宅の値下げ合戦が始まっている。
 昨年通年は26.6%増と好調だった住宅販売総額は1〜5月で
10.2%の減少に転じており、「中国不動産バブルの終焉(しゅ
うえん)」(業界関係者)との見方が広がっている。不動産市況悪
化が続けば、金融市場などに問題が波及する恐れもある。
==============================
日本の対中投資42%減 人件費上昇や関係悪化響く
 【北京共同】中国商務省は17日、1〜5月の日本から中国への
直接投資実行額が、前年同期比42・2%減の約20億ドル
(約2038億円)だったと発表した。日中関係の悪化に加え、人
件費や賃料といった経費の上昇が響き、日本企業の中国での事業拡
大への意欲が落ち込んだもようだ。
 日中関係悪化の影響について、商務省の沈丹陽報道官は記者会見
で「政治関係の悪化は明らかに投資に影響している。双方にとって
不利益だ」と述べた。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)、欧州連合(EU)からも大
幅に減り、それぞれ22・3%、22・1%の減少。米国からは
9・3%減った。
2014年06月17日火曜日
==============================
米専門家「米国と中国の武力衝突はありえない」=封じ込めには200
万の兵力必要―フィリピン紙
Record China 6月17日(火)6時10分配信
2014年6月9日、米ジョージ・ワシントン大学国際関係学部のロバー
ト・サッター教授はフィリピン大学で開催されたフォーラムで、米
国のアジア回帰やフィリピン等同盟国との関係強化は中国に武力で
敵対するためのものではないと語った。フィリピン英字紙・フィリ
ピンスターの報道を参考消息が伝えた。
サッター教授は「中国は経済発展にともない、軍事力を拡大させて
いるが、米国との衝突に耐えられるものではない。オバマ大統領も
中国に敵対する意図はない。中国は米国の貿易パートナーで、中国
と敵対する方針は国民の支持を得ることはできない」と述べ、米国
が中国を抑えこむには200万人以上の兵力が必要で、到底不可能だと
語った。
サッター教授は、米国が中国に武力の使用をやめさせ、紛争のある
海域での高圧的な政策を放棄させると同時に、良好な関係を築こう
としていると語った上で、「中国の外交政策は失敗している。隣国
に対し平和的台頭であると説得を試みつつ、一方的な行動を起こし
、近隣に疑惑の種をまいている。そのため中国は西側の大国と敵対
することができないのだ」と述べた。サッター教授は、米国の国際
的地位が下落していることは認めつつ、米国は依然としてアジアを
指導する立場にあると述べた。
サッター教授は「アジアは安定しているとは言えない。相互に好感
を持たず、不信があるが、ともに協力していく必要がある。米国は
太平洋の向こう側にいるが、アジアの安定に寄与したい。それはア
ジアを愛しているからではなく、そうすることが米国人の利益にな
るからだ」と語った。(翻訳・編集/岡本悠馬)
==============================
中国企業の国際特許出願件数が急増、技術革新の加速が進む―中国
メディア
Record China 6月16日(月)5時0分配信
2014年6月11日、世界知的所有権機関(WIPO)がこのほど発表した「
中国居民国際特許出願戦略研究」報告によると、中国の国際特許出
願件数は2000年以降大幅に増加し、2000年から2005年の平均伸び率
は40%に達し、2005年から現在までも23%の高い水準を維持してい
る。これは、中国の技術革新能力が著しく向上していることを示し
ている。人民日報海外版が伝えた。
報告書によると、2000年から2009年までで、中国の国際特許出願件
数の伸び率が最も高いのは、デジタル通信、コンピュータ、ナノテ
クノロジー、半導体、電気通信などの分野であることが明らかにな
った。特筆すべきは、これらの国際特許出願において、企業が提出
した出願件数が全体の約7割を占めていることだ。報告書によると、
1970年から2009年までの間、中国企業の国際特許出願件数が全体に
占める比率は急速に伸びており、基本的に10年ごとに倍になってい
る。(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/武藤)
==============================
少ない情報から中国共産党を知る手がかり
=「集団学習会」から優先課題を読む
 2014年6月12日 diamond
莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
習近平政権の優先事項は何か
習近平政権発足後、集団学習会も、教室が中南海の外に移ったり、
自主学習や相互学習の回ができたり、省庁クラスの職員が講師を務
めるなどといった新たな変化が見られるようになった。昨年9月30日
、中央政治局の幹部らは中南海から2台の大型バスに分乗して、中関
村国家自主創新示範区展示センターへ視察に訪れ、現地にて集団学
習を行った。
先月5月26日、中国共産党中央政治局は、「資源配置における決定的
な役割を市場に果たさせ、政府の役割をよりよく発揮させること」
について、習近平時代になってからの第15回集団学習会を開いた。
会の開催にあたって習近平氏は、資源配置における決定的な役割を
市場に果たさせ、政府の役割をよりよく発揮させるには、「見えざ
る手」と「見える手」が共に必要であると述べた。この発言は多く
のメッセージを発するものと感じさせる。
中央政治局の集団学習会のテーマや内容を見て、現在の中国政府に
とっては南シナ海での船舶同士の衝突や東シナ海での緊張は注目す
べき問題ではあるが、中国共産党にとって切羽詰まった課題ではな
いということは読みとれる。習近平政権にとって経済問題はこうし
た海での衝突より遙かに緊急性を要するものだと理解していいだろ
う。
==============================
中国の富裕層、日本の2倍近くに―米国に次いで世界2位
By JASON CHOW
2014 年 6 月 11 日 17:38 JST  WSJ
 中国では富裕層が急増しており、その世帯数は日本の倍近くに達
していることが新たな調査で分かった。中国の富裕層はシャドーバ
ンキング関連の金融商品から莫大なリターンを獲得し、資産を拡大
させているという。
 米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が10日に発表し
た「グローバルウェルス2014リポート」によると、中国の富裕層は
2013年に237万8000世帯に達し、前年比82%増加した。この数字は
日本の124万世帯の2倍近くだ。
 世界で中国より多くの富裕層を抱えている国は、713万5000世帯
(2013年)の米国のみ。
==============================
中国軍事費が約15兆円に増加 米識者が“恐れるに足らず”と主張
する5つの背景とは
更新日:2014年6月9日newsphere
 米国防総省は5日、中国の2013年の国防費を1450億ドルと発表した。
特に無人飛行機や護衛艦、ジェット機、ミサイルやサイバー兵器な
どの強化に費用が使われているとの見込みだという。拡大を続ける
中国の軍事費について、米各紙が論評を繰り広げている。
【中国の自己申告は2割引?】
 ロイターによると、会計の不透明性などにより中国の支出の正確
な算出は困難としつつも、米国防総省の試算は中国の公式発表であ
る1195億ドルを21%も上回っていたと報じている。
 これに対し中国国防省は「断固抗議する」旨を同省ウェブサイト
上で訴えており「中国はあくまで通常防衛に必要な費用を使ってい
るだけなのに、毎年アメリカは”中国が軍事拡大している、地域に
脅威をもたらしている”という報告を出してくる」と反論している
という。
==============================
中国、反競争的行為の調査開始 自動車など80業種対象
2014年 06月 10日 00:26 JST
[上海 9日 ロイター] - 中国商務省の当局者は9日、主要産業
80業種を対象に反競争的行為の調査を開始したと明らかにした。
自動車、医薬品、アルコール飲料が含まれるという。
自動車の国内業界団体が先週公表した声明によると、商務省は先月
、主要な業界団体に通知を送り、独占禁止法違反に関する調査で会
員企業から情報を集めるのに協力を呼びかけた。
商務省市場秩序局のQiu Zhongyi氏によると、調査は数カ月かかる可
能性がある。特定の産業を標的にしているわけではなく、すべての
部門で反競争的行為をなくすことが狙いだという。
同氏はロイターに対し、「われわれはまだ、結論に達する段階から
ほど遠いが、自動車を含む複数の産業の状況が他よりも厳しいとい
うことはあり得る」と述べた。
==============================
中国共産党機関紙、欧米型民主主義は混迷の要因と批判
2014年 06月 9日 16:06 JST
[北京 9日 ロイター] - 中国共産党の機関紙、人民日報は9日
、欧米型の民主主義の「罠」に陥らないよう警告する解説記事を掲
載した。タイやウクライナの情勢を、民主主義がもたらす混迷の事
例として挙げた。
中国では、民主化運動が武力弾圧された1989年の天安門事件か
ら25年となった今月4日を前に、当局が厳戒態勢を敷いていた。
人民日報は「ここ数カ月の間に、キエフからバンコクに至るまで、
街頭での政治活動や公の場での衝突が深い悲しみをもたらしている
」との見解を示した。旧ソ連地域での一連の政治体制の変革に触れ
、「中国的特徴がある社会主義を断固として守ってきたことを喜べ
、と心から言いたい。これができていなかったら、中国は平和でい
られたのだろうか」疑問を呈した。
「西アジアから北アフリカまで、多くの国々は『欧米型民主主義』
という混乱した狂気に陥っている。そして幸福も安定も得ていない
」との見解を示した。



コラム目次に戻る
トップページに戻る