5050.集団自衛権の必要な理由



中国の経済力が米国を圧倒しているので、いろいろな変化が世界的
に起こっている。英国は中国の人権問題をなおざりにして中国から
の総額140億ポンド(約2兆4千億円)以上の商談を獲得する。

また、増田俊男の『時事直言』によると、中国との戦争ができない
ほど、米国の軍事費は、今後減っていくので、米国は中国の周辺諸
国に対する挑発でも傍観しかできないという。

米軍が増えないので、日本の自衛隊を増やして米軍と一緒に行動し
て、中国となんとかバランスを取るしない状態である。これが集団
的自衛権が必要なことの大きな理由である。

戦争のために集団自衛権を作るのではなく、交渉上、ある程度の優
位性を獲得する必要があるために、するのである。

マハティール元マレーシア首相も言うように、領土問題も交渉で解
決しなければならないし、日本は中韓を挑発する必要はない。

交渉で一番強いのは、自国の戦闘能力を大きくして、もし戦争した
ら勝てるが交渉しているという立場であり、その体制を整えること
である。

それが中国との外交交渉を有利にすることになる。この時、日本一
国の防衛力では中国に勝てないので、米軍+自衛隊で中国に勝つと
言うことが必要なのである。

外交交渉などに、集団的自衛権が必要な理由であるし、負けそうと
思えば、中国も戦争を仕掛けずに、外交交渉で問題を解決すること
になる。戦争になりにくいことになる。

安全保障上の問題は国の根幹であり、その考え方が違うなら、それ
は自民党と公明党は連立を解消しても、実現しないといけない問題
である。

自民党は、維新の会2派+ゆい+みんな+民主党保守派などととも
に、早期に集団的自衛権を確定することである。

戦争のためではなく、外交交渉を有利にするためということを忘れ
てはいけない。その説明がないのが、政府にも欠けていることであ
る。

さあ、どうなりますか?


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英・中の商談、2・4兆円に 女王も面会、異例の厚遇
2014.6.18 07:00 sankei[欧州]
 【ロンドン支局】訪英中の中国の李克強首相は17日、キャメロ
ン首相と首相官邸で会談し、関係強化で一致した。キャメロン氏は
会談後の共同記者会見で、両国がさまざまな分野で総額140億ポ
ンド(約2兆4千億円)以上の商談をまとめたと表明した。
 李氏は同日、ウィンザー城でエリザベス女王とも面会。女王が国
家元首ではない李氏と面会するのは異例で、中国側が面会を強要し
たとも伝えられ、中国の影響力増大を印象づけた。
 英国メディアによると、キャメロン氏は会談冒頭、両国関係を「
新たな段階」に引き上げたいと表明。これに先立ち、メイ英内相は
16日、中国人観光客とビジネス客の増加に向け、ビザ発給手続き
を大幅に簡略化する方針を明らかにした。
 李氏は訪英に際し、英紙タイムズに「中国に対する誤解や偏見を
正したい」と寄稿。企業関係者ら200人以上を引き連れて16日
に訪英した。
 両国関係は、2012年にキャメロン氏がチベット仏教の最高指
導者ダライ・ラマ14世とロンドンで会談したことで冷却化。「内
政干渉」と反発する中国から猛烈な嫌がらせを受けたという。その
後、英国側が譲歩し、経済優先に転換したことで昨年末のキャメロ
ン氏訪中を機に改善した。
 そのためキャメロン氏は、中国側の圧力に屈し、人権問題をなお
ざりにしたとの批判を受けている。
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シリア、エジプト、ウクライナ、さらにはイラク内戦の真実
増田俊男の『時事直言』2014年6月18日
こうした地域での紛争は、世界のマネーとエネルギーの流れを変え
るために起きる副作用的現象でしかない。
東西争奪戦を視野に入れてアメリカが動き出した。西のアメリカ陣
営は欧州と日本その他アメリカの同盟又は友好国。東の中国、ロシ
ア陣営は上海協力機構加盟国を中心とした権力国家群。2001年から
約10年間アメリカが軍事支配していた中東からアメリカが撤退し、
アメリカが(シェールガス・オイル革命で)本格的にガス・オイル
の輸出国になればサウジアラビアのアメリカ離れが加速する。
西太平洋、東・南シナ海での中国の野心的軍事攻勢にアメリカは責
任ある行動を執らないのでアセアン諸国は(寄らば大樹の陰で)上
海協力機構に向かおうとしている。
東西冷戦時の軍拡競争が原因でソ連は崩壊、アメリカは潜在的財政
破綻国家になった轍を踏み今後アメリカは中国との軍拡競争と軍事
覇権競争は絶対にしない。従って中国の対日軍事攻勢に対するアメ
リカのスタンスは「日中問題は日中で」で関与しない。西太平洋・
アジアの制空海権は事実上中国が制しているし、将来の米中軍事予
算の違いを見ればアメリカは中国に挑戦出来ない。アメリカは中国
の軍事力の巨大化に対抗することはなく、ただ傍観するしか術がな
いのである。ペンタゴン(米国防総省)は2010年、4年ごとに変更す
る防衛指針の中で中国の西太平洋・東・南シナ海における「接近阻
止」・「領域拒否」という制空海権維持戦略を崩壊に追い込むAir・
Sea/Battle(エアー・シー・バトル)なる戦略構想を発表、予算化
を議会に要請したが2013年オバマ政権も議会も一蹴した。アメリカ
としては日本の防衛指針を専守防衛から積極的防衛に転向させ、ア
ジアにおける米中軍事力ギャップを日本に埋めさせるしかないので
ある。アメリカにしてみると安倍首相が靖国参拝で日中関係を悪化
させることは「迷惑この上ないこと」。だから昨年12月26日安倍首
相が靖国参拝した時着任したばかりのキャサリン・ケネディ米大使
が ”Disappointed”(失望した)と言ったのである。
イラク内戦もウクライナ問題も本質は同じ。ウクライナ問題はロシ
アが欧州に供給してきた原油・天然ガスをアメリカがロシアに代っ
て供給。一方ロシアは欧州向けを中国に切り替える。アメリカはイ
ラク内戦を期にサウジアラビアの宿敵イランの制裁(原油輸出禁止
)を解いてサウジアラビアを窮地に追い込み、サウジを益々スンニ
派過激組織への資金供給に走らせ、イラク内戦を長引かせて原油価
格を上げ、さらにはサウジアラビアの政治・経済の中国依存度を高
める。このように世界のエネルギーの流れと政治が東西冷戦型に整
理整頓されつつある。
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【10秒で読む日経】2014/6/11 No.2855
TPPには中国が含まれていません。それはつまり、「中国に対抗する
」という中国が成長することを恐れていますが、中国との貿易が増
すというメリットもあります。中国は巨大な市場ですから、我々に
もメリットがあります。
 我々は「中国はそこにいる」という事実を受け入れなければなり
ません。中国はどこに向かって成長していくのか。そして、中国と
ともにどうやって生きていくのか。中国の台頭とともに、私たちは
中国と生きていかなくてはならなくなったのです。
 以前、中国は貧しい国でした。だから脅威だったけれども、今は
豊かになりました。豊かになった中国は、自由な取引を受け入れ、
市場を開いています。
 脅威ではなく友人として接することができます。中国が巨大な軍
事力を築いていると見る人もいるかもしれませんが、豊かに なれ
ば当然のことです。同じくGDPの1%を軍事費に回したとしても、貧
しい時の1%と豊かになった後の1%ではまるで規模が違うのですか
ら。
 米国が中国を威嚇することがよいこととは思えません。この地域
に必要なのは平和です。通商関係です。軍艦はいらないのです。か
つて西洋の国々が軍艦を送りつけ、同意を強要するような「ガン・
ボート外交」を展開し、中国がそれに屈したという歴史があります。
今また同様のことをしているように見えます。戦争が起こることは
ないかもしれません。ですが、米国から中国への圧力はこの地域に
緊張を生みだします。それはビジネス環境としてよいものではあり
ません。
 中国は、尖閣や南沙諸島が中国のものであると主張しています。
そして、我々は我々のものであると主張しています。この争いが戦
争となれば、勝利を収めたとしても莫大なコストがかかります。交
渉するしかありません。これはマレーシアの経験でもあります。イ
ンドネシア、シンガポール、タイなどと領有権をめぐる問題が起き
た場合、マレーシアはすべて交渉をすることで問題を解決してきま
した。これが文明人のふるまいです。
 中国に軍艦を送れば送るほど、中国はより攻撃的になります。中
国も戦争をしたいとは思っていないはずです。平和に暮らし、貿易
をし、豊かになりたいと考える人が大半です。そうした人たちと話
し合う方法を探すべきです。
 ドイツとフランスが過去を忘れて友人となれたのに、なぜ、中国
と日本はできないでしょうか。過去を忘れなさい。過去には、何度
も戦争が起き、多くの残虐行為がありました。しかし、忘れなけれ
ばならない。連合軍はドイツのドレスデンなどの都市を壊滅的に破
壊しました。しかし、今日、ドイツはEUのメンバーではありません
か。これによって、欧州には戦争はなくなりました。
 しかし、ここ東のアジアでは、未だに60年以上の前のことで言い
合いを続けている。その戦争が、今日の我々の行動にまだ影響を及
ぼしているのです。過去を見るのではなく、将来を見なければなり
ません。もちろん過去の記憶は、二度と過ちを繰り返すことのない
ように覚えておかなければならない。しかし、平和に暮らすために
は先を見なければならない。それが繁栄をもたらすのです。
 安倍晋三首相は、日本経済に対して非常に良い仕事をしました。
しかし、中国を挑発する必要はありません。中国や韓国の怒りを分
かっていながら、わざわざ靖国神社に参拝する必要はないでしょう
。お互い挑発し合うべきでありません。
 日本は戦争を経験し、破壊から立ち直りました。日本は常に平和
を求めなければなりません。日本が戦争を禁止しているのは、一番
素晴らしいことです。戦争を 禁じる条項を持つ国は世界中で日本
だけです。しかし今、その条項を書き直そうとしたり、取り除こう
としている。我々は、緊張関係を作らない様に努力すべきです。
 日本には高い技術力があります。他に負けない優位性を持ってい
る。しかし、中国、韓国などとの競争に直面している今、日本は、
それらを生かして、強い経済を取り戻すためのルールや条件作りが
出来ていないと思います。日本が得意とするハイテクを通して、地
位を奪い返すべきです。他と戦うために、技術を どう活用してく
のかを考えてほしいと思っています。
マハティール元マレーシア首相インタビュー 
日経ビジネス 6月11日






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