5022.ウクライナ大統領選挙をめぐって



ウクライナ問題でロシアのプーチンは、ウクライナ大統領選挙を正
統とし、親露派武装集団を切り捨てるようである。これでウクライ
ナ紛争は沈静化することになる。しかし、ウクライナ東部は自治権
が拡大されて東部軍事企業は、ロシア、中国との取引を拡大させる
ことになる。 津田より

0.歴史的な対立
キエフ大公国が13世紀にモンゴル帝国に滅ぼされた後は独自の国
家を持たず、諸侯はリトアニア大公国やポーランド王国に属してい
た。17世紀初めは、ウクライナはポーランド王国とオスマン帝国
とその属国であるクリミアを中としたクリム・ハン国に分割されて
いた。そして、クリミアのタタール人たちは、このクリム・ハン国
の末裔である、

1689年にロシアとポーランド・リトアニアは永遠和平条約により最
終的にウクライナを分割した。東部をロシア、西部をポーランドが
支配した。

第1次大戦後、ウクライナは、ドイツ、オーストリアに味方してい
たので敗戦により、ロシアが西部も支配下に置いた。この時、西部
のゲリラ対策のために、農産物をロシアが奪い飢饉になり、多数の
餓死者を出した。また、タタール人たちもドイツに味方したので、
強制的に中央アジアに移住させられた。この人たちがソ連崩壊後、
クリミアに戻ってきたのである。

第2次大戦後、ポーランド領であったガリツィアがソ連領になり、
またもや飢饉が起こり、多数の難民がカナダに移住した。現在、カ
ナダに西部からの移民は14万人に上る。このガリツィアでは、ギ
リシャ・カトリック教会が、ギリシャ聖典でありながらローマ教会
の権威を認めるというギリシャ正教とカトリック教の中間的な存在
にある。この宗派がカナダでも移民たちに支持されている。この人
たちが、今回の紛争で西部勢力に110万ドルの資金を支援してい
る。

というように、西部やタタール人たちは、ソ連やロシアにひどい目
に合わされた歴史があり、ロシアを嫌うことになる。東部はロシア
に併合されて長い時間が経ち、ロシアと軍事産業のような一体的な
産業が多く、西部とは違う。

一方、クリミアは、ロシア人にとって愛国心を掻き立てる存在であ
り、1783年クリミアをロシアに併合する。そして、1853年から1856
年にかけてはフランス、イギリス、オスマン帝国の同盟軍とロシア
帝国が激突したクリミア戦争で、セヴァストポリ要塞の攻防戦で、
やっとロシアが勝つ。この勝った歴史的な史実がロシア人に愛国心
を感じさせることになる。

そのクリミアが1954年にウクライナに移管された。しかし、1991年
ソ連崩壊後の1992年5月5日、ウクライナ共和国クリミア州議会はウ
クライナからの独立を決議し、クリミア共和国を宣言した。しかし
、ウクライナ議会は5月15日に独立無効を決議した。強い要求がある
ので、やっと1998年にクリミア自治共和国憲法が制定されていた。

2014年クリミア住民投票の結果、3月18日にロシアがクリミア半島の
編入を宣言し、クリミア共和国とセヴァストポリ連邦市をロシアに
編入した。現時点ロシア人58%、ウクライナ人24%、タタール
人10%である。

しかし、東部のドネツク州でロシア人38%、ルガンスク州でロシ
ア人39%であり、残りはほとんどがウクライナ人で、ロシア人が
クリミアに比べて少ない。このため、ロシアとの関係を重視しなが
らもウクライナ帰属を望む人たちが多く。これに対して西部の人た
ちは、ロシアが嫌いで西ヨーロッパとの関係を強めたいとは違う意
識がある。

特に、宗教もカトリックであり、西欧との関係があることも関係し
ているようである。このため、ロシアに帰属をしようとする親露派
武装勢力とは違う庶民感情がある。

このため、欧米と関係を深めて、ロシアを切り捨てようとするキエ
フの暫定政府にも反対であり、そして、親露派のロシア帰属にも反
対ということになる。

この庶民感情を親露派武装勢力は理解していないことで、孤立し始
めている。

1.経緯
暫定政府主催の第2回「円卓会議」が17日、東部ハリコフで開か
れた。地方の権限を拡大することは確約している。次の議題は親露
派の扱いになってきた。この親露派に対する軍の制圧作戦の中止を
求める参加者もおり、議論は並行線をたどった。

東部では18日も政権側と分離派側の小競り合いが続き、分離派1
人が死亡した。「独立」を宣言しロシア編入を求める意向を示した
ドネツク州の分離派は秋の選挙に向け準備を進めている。

そして東部ドネツク郊外で22日、同国軍と親ロシア派組織「ドネ
ツク人民共和国」の武装集団が衝突し、ウクライナ軍兵士13人が
死亡し、共和国武装集団の20人が死亡、42人が負傷したという。

そして、親露派劣勢と見た暫定政権は、東部で選挙の妨害を続ける
親ロシア派が拠点としている都市、ドネツクの周辺にまで部隊を進
め、混乱が都市部に拡大するようである。

これは、ウクライナでは25日に大統領選を実施。東部のドネツク
、ルガンスク両州では23日までに、選挙を前に重武装した親ロ派
が妨害を本格化。投票用紙や機材を強奪し、選管事務所の半数を封
鎖したことによる。

しかし、東部ドネツク州の親露派「ドネツク人民共和国」が、ウク
ライナ軍と戦う志願兵の不足に悩まされている。人民共和国の「国
防相」ストレルコフ氏が17日明らかにした「一カ月以上戦ってい
るが、命を懸けて戦う人が、千人も集まらないとは予想外だった。
」という。ストレルコフ氏はロシア軍の特殊部隊の大佐であるが、
国民感情を理解せずに、派遣されたようである。

そして、親露派志願兵は「ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)に
雇われ、ロシア国内の軍事基地で訓練を受けた」という。軍事的な
消耗戦になり、ロシア軍の人員が補給されないと、徐々に親露派が
劣勢になることが確実になっている。

親露派の勢いがなくなったことで、ドネツク州のタルタ知事は19
日、緊張緩和に向けた第3回円卓会議の会場が、親ロシア派が武装
蜂起した同州の州都ドネツクで発表したが、その後、混乱が大きく
なったことで、南部ミコライウで行われた。しかし、暫定政権のヤ
ツェニュク首相は、東部の緊張緩和に向けて進展がみられるとした。

この動きを支持するように、ウクライナ最高会議(議会)は20日
、親露派との緊張緩和に向け、ロシア語の地位を保障し、脱中央集
権化の憲法改正を早期に実施するとの覚書を採択した。

東部ドネツク州で20日、炭鉱・鉄鋼労働者らが親露派への抗議と
、25日の大統領選を支持する運動を始めた。炭鉱・鉄鋼企業を持
つ富豪アフメトフ氏が19日に呼びかけた。ドネツクで最も影響力
があるアフメトフ氏が事実上の暫定政権支持に回ったことで、東部
での大統領選実施に展望が出てきた。このアフメトフ氏は今まで親
露派を支持していたが、暫定政権が自治拡大を公約し、かつ親露派
が独立宣言したことで、方向を転換させた。

これに対して、「ドネツク人民共和国」のプシリン首長は20日、
石炭分野を基幹産業とするドネツク州の企業の「国営化」を目指す
考えを明らかにした。

これに対して、アフメトフ氏(47)は21日、「テロを仕掛ける
集団(親露派)は、まもなく追い出されるはずだ」と動画投稿サイ
トで叫んだ。そして、東部の港湾都市マリウポリでは「自警団」を
つくった。従業員などで構成する自警団は約100班あり、総勢1
千人規模。交代で毎日24時間、市中心部を巡回するという。

親露派は、傘下の金属工場周辺を親ロシア派武装勢力が占拠したが
港湾都市マリウポリには近づけなくなった。

また、このような状況になり、ドイツのメルケル首相は19日、ロ
シアのプーチン大統領と電話協議し、ロシアがウクライナ国境の軍
を撤退させることと、25日のウクライナ大統領選を支援し「尊重
するよう」求めた。また、メルケル首相は、ウクライナで25日に
実施される大統領選挙について、ロシアは、欧州安全保障協力機構
(OSCE)による監視を受け入れるべきだとした。

このため、ロシアのプーチン大統領は、19日ウクライナ国境周辺
で軍事演習に従事していた部隊に基地への帰還を命じた。

ウクライナ国境警備隊高官は20日、ロシア軍部隊が両国国境10
キロ以内から姿を消したことを明らかにした。

そして、ロシアのアントノフ国防次官は、23日、政府がロシア軍
をウクライナ国境付近から数日以内に撤収させるとした。

ウクライナ紛争はロシアのプーチンが親露派武装組織を切り捨てて
沈静化することになる。おそらく、ストレルコフ氏などロシア特殊
部隊員は、ロシアに帰還することになる。

暫定政権が途中で、米特殊部隊と米雇用兵からなるウクライナ特殊
部隊を積極的に使わずに、対話路線にして東部親露派を分断したこ
とが成功したようである。

2.ウクライナの沈静化
ウクライナ大統領選挙の結果は、「親欧米派」の富豪ポロシェンコ
氏になるようだ。しかし、東部2州では選管事務所の半数が封鎖さ
れているので、2州の半分の国民が選挙ができない可能性がある。

しかし、暫定政権が進めた自治拡大は、ポロシェンコ氏も了承して
いるので、東部と西部の一体的な国作りという公約もあり、ロシア
との関係も正常化させるようである。ロシアのプーチンもそれを期
待している。

東部工業地帯は、ロシアからの発注が多く、その経済を捨てること
はできないし、拡大するためには中国からのオーダも得ることにな
る。

そして、EUは、反対に加盟国の国民が東欧からの移民に対して、反
対が多く、ウクライナをEUに加盟させる機運にない。メルケル首相
などもロシアの要望も聞くように、ウクライナを説得している。

このため、NATOにもEUにも現状では、ウクライナは参加できないこ
とになる。

という意味では、ロシアのプーチンは成功したことになる。そして
、ウクライナ紛争によって、クリミア併合という力技が問題視され
なくなってしまった。ロシアはこの紛争で西方での経済拡大はなく
なり、東方での経済拡大に目が行くことになる。

ロシアは、もう1つ、メルケル首相が介在して、欧米と協調して問
題を解決したように見えることである。

このため、中国の今後の動きにもよるが、南シナ海でのベトナム経
済水域でのリグ問題より、今回の問題の方が欧米の価値観に近い動
きになっている。

そして、ロシアは、冷戦状態には行かなかったことになる。仏の強
襲艦の契約の存続し、独との天然ガスの契約もそのまま、英国のシ
ティでの金融契約もそのままである。

というように、ウクライナ問題は沈静化したようである。

参考資料:
Russia Looks East
http://www.project-syndicate.org/commentary/christopher-r--hill-on-the-world-s-other--pivot--to-asia-and-why-it-won-t-work

Confronting Moscow With the Help of Beijing
http://thediplomat.com/2014/05/confronting-moscow-with-the-help-of-beijing/

The Ukraine Crisis: Is the Worst Over?
http://nationalinterest.org/feature/the-ukraine-crisis-the-worst-over-10512

The Slow Death of Russian and Eurasian Studies
http://nationalinterest.org/feature/the-slow-death-russian-eurasian-studies-10516

China’s Stake in the Ukraine Crisis
http://thediplomat.com/2014/05/chinas-stake-in-the-ukraine-crisis/


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親ロ派が合併協定=新国家「ノボロシア」樹立−ウクライナ東部
 【ドネツク(ウクライナ東部)時事】ウクライナ東部で一方的に
独立宣言した「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」
は24日、合併して統一国家「ノボロシア(新ロシア)」を樹立す
る協定を締結した。ドネツク人民共和国トップを名乗るプシリン氏
が、ドネツク市内で開かれた支持者集会で明らかにした。
 ドネツク、ルガンスク両州では、行政庁舎などを占拠する親ロシ
ア派武装勢力が実権を掌握しつつあり、ウクライナ軍が「対テロ作
戦」を展開中。これに対し親ロシア派は25日の大統領選を前に、
中央政府への対決姿勢を一層強めた。(2014/05/25-05:18)
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ウクライナ:「新政権とも仕事」 露大統領が表明
毎日新聞2014-05-25 03:47:27
 【モスクワ田中洋之】ロシアのプーチン大統領は24日、ウクラ
イナ大統領選挙(25日投票)に関連し、「ウクライナの人々の選
択を尊重する。新政権とも仕事をしたい」と述べ、選挙結果を受け
入れる姿勢を示した。北西部サンクトペテルブルクで、内外の通信
社代表らとの会見で語った。
 プーチン氏は「大統領選後に憲法改正をするというのだから、次
期大統領は暫定的な立場になるかもし...
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ウクライナ大統領選:きょう投開票 混乱脱却の一歩へ ドネツク
「選管関係者追い返した」
毎日新聞 2014年05月25日 東京朝刊
 【キエフ坂口裕彦、ドネツク(ウクライナ東部)真野森作】今年
2月の政変に伴うウクライナ大統領選挙が25日、投開票される。
ヤヌコビッチ前大統領の失脚後、暫定政権が国政を担ってきたが、
選挙で国民の信任を受けた新しい大統領を選び、混乱からの脱却を
図る。21人の候補者のうち、「親欧米派」の富豪ポロシェンコ最
高会議(国会)議員(48)が圧倒的な支持を広げている。当選に
必要な得票率50%以上を獲得し、決選投票(6月15日予定)に
もつれ込まずに当選を決められるかが焦点だ。
 一方、東部のドネツク州やルガンスク州では、「ドネツク人民共
和国」などとして独立を宣言した親ロシア派勢力の選挙妨害が深刻
化している。ウクライナ軍が制圧した一部の地方都市を除いては選
挙実施は事実上不可能な情勢だ。
 親露派が最大拠点とするドネツク市。24日、地区選管が置かれ
るはずの5区役所のうち3カ所で選管用の部屋は封鎖されていた。
中心部のボロシロフスキー地区で区役所に陣取っていた親露派の治
安担当、アレクセイ・ガロニンさん(25)は「13日に選管関係
者が来たが追い返した。大統領選を行いたいなら、ここにウクライ
ナの大使館を開いて在外投票をすべきだ」と話した。市内で選挙が
実施困難となっている背景には、警官たちの多くも親露派寄りとい
う現状がある。区役所を警備していた男性警官(30)は「州の独
立とロシア編入に賛成だ。大統領選挙は違法だ」と言い切った。
 通常、投票所となる学校も閉鎖され、選挙準備は全く行われてい
ない。市中心部キエフ地区の学校では、警備中の警官が「朝から選
挙準備があると知らされ来たが、誰も来ない。何が起きているのか
」と困惑気味に話した。
 選挙期間中、ドネツク州を訪れた大統領選の候補者は数人にとど
まった。最有力候補のポロシェンコ氏は一度も入っていない。東部
出身の候補者の選挙看板が掲げられている他には、ほとんど選挙戦
がないまま投票日を迎える。また、ロシアが3月に「編入」したク
リミア半島でも選挙は実施できない状態だ。新大統領は、国家の一
体感を保ちながら、親露派の「後ろ盾」となっているロシアとどう
向き合うかの難しいかじ取りが求められている。
 ウクライナ問題でロシアと対立してきた欧米諸国は、今回の選挙
を混乱からの脱却へ向けた重要な一歩と受け止めている。「選挙が
無事に実施されない場合、厳しい対露経済制裁に踏み切る」とロシ
ア側に警告したのはそのためだ。ただ、東部などで選挙が実施され
ない場合でも、その他の大部分で混乱なく選挙が成立すれば、米政
府などは「成功」と認定する見通しだ。暫定政権を認めてこなかっ
たロシアのプーチン大統領は23日、「ウクライナの人々の選択を
尊重する」と述べ、選挙結果を受け入れる姿勢を示していた。欧米
諸国に「経済制裁」を警告されたことが大きいとみられる。
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25日にウクライナ大統領選=東部で妨害、投票率が焦点
 【キエフ時事】今年2月にヤヌコビッチ前政権が崩壊したウクラ
イナで25日、大統領選(任期5年)の投開票が行われる。東部で
親ロシア派武装勢力が露骨な選挙妨害に出る中、親欧州連合(EU
)派の暫定政権が、高い投票率など選挙の正当性を宣言できるかが
焦点となる。
 ただ、ロシア系とウクライナ系の住民間の東西対立が解消される
可能性は低く、混乱収拾への道のりは遠い。
 投票は25日午前8時(日本時間同日午後2時)に始まり、午後
8時(同26日午前2時)に締め切られる。民間の出口調査と中央
選管の暫定開票結果で、日本時間26日朝までに大勢が判明する見
通し。(2014/05/24-19:54)
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ウクライナ 混乱が都市部に拡大の懸念
5月24日 4時37分NHK
ウクライナで大統領選挙が迫るなか、暫定政権は、東部で選挙の妨
害を続ける親ロシア派が拠点としている都市、ドネツクの周辺にま
で部隊を進め、混乱が都市部に拡大することも懸念されています。
ウクライナ東部では、大統領選挙を控え、親ロシア派の武装集団が
選挙管理委員会の職員を一時連れ去ったり、投票用紙を奪ったりし
て妨害活動を繰り返しています。これに対し暫定政権は、全域で選
挙を実施するため、武装集団の一掃を目指して攻勢を強めています。
23日、暫定政権は親ロシア派の拠点、ドネツクの周辺にまで部隊
を進め、双方の間で激しい銃撃戦となり、兵士1人、武装集団のメ
ンバー3人の合わせて4人が死亡しました。
この銃撃戦のあと親ロシア派の武装集団は、幹線道路に土のうを積
んでバリケードを築いたり装甲車を配置したりして、暫定政権の攻
撃に備えていました。
一方、暫定政権の国防省は「軍事作戦は順調で、さらに武装集団の
包囲網を狭める。地域の不安定化や大統領選挙の妨害は許さない」
という声明を発表し、武装集団の強制排除に自信を示しました。
ただ、ドネツクには、治安機関から奪われた大量の銃などが出回っ
ているため、暫定政権がこのまま部隊を進めれば、混乱が拡大する
ことも懸念されています。
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ドネツクで武力衝突33人死亡 大統領選の妨害本格化
 【ドネツク共同】ウクライナ東部ドネツク郊外で22日、同国軍
と親ロシア派組織「ドネツク人民共和国」の武装集団が衝突し、ウ
クライナのトゥルチノフ大統領代行は軍兵士13人が死亡したと明
らかにした。共和国幹部は武装集団の20人が死亡、42人が負傷
したとしている。インタファクス通信が伝えた。政権側と親ロ派が
武力衝突を繰り返すウクライナ東部での一度の戦闘での死者数とし
ては最悪規模。
 ウクライナでは25日に大統領選を実施。東部のドネツク、ルガ
ンスク両州では23日までに、選挙を前に重武装した親ロ派が妨害
を本格化。投票用紙や機材を強奪し、選管事務所の半数を封鎖した。
2014/05/23 17:45   【共同通信】
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旧ソ連地域の統合はロシアの戦略的目標=第一副首相
2014年 05月 23日 18:16 JST
[サンクトペテルブルク 23日 ロイター] - ロシアのイーゴ
リ・シュワロフ第一副首相は23日、旧ソ連地域の統合は政府の戦
略的目標であり、これに反対する諸国はパートナー国とは見なされ
ないとの見解を示した。
サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで発言した。
同副首相は、この目標に向けた取り組みに米国が反対する理由が分
からないと述べ、「われわれの目標に反対する人たちは全て、盟友
でもパートナーでもないという姿勢を海外で示す必要がある。その
ような人たちはわれわれの経済力の基礎を崩そうとしている」とし
た。
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ロシア軍はウクライナ国境から数日以内に確実に撤収=国防次官
2014年 05月 23日 18:10 JST
[モスクワ 23日 ロイター] - ロシアのアントノフ国防次官は
23日、政府がロシア軍をウクライナ国境付近から数日以内に撤収
させることは確実だと述べた。
国務次官はウクライナからの撤収について質問され、「西側諸国は
じきに撤収を確認することになる。100%確実だ。後には何も残
さず撤収する」と答えた。
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ウクライナ:ポロシェンコ氏支持拡大…大統領選25日投票
毎日新聞 2014年05月23日 23時54分
 【キエフ坂口裕彦】25日に実施予定のウクライナ大統領選に向
け、親欧米派の富豪、ポロシェンコ最高会議(国会)議員(48)
が順調に支持を拡大している。菓子メーカーの経営成功で「チョコ
レート王」の異名をとる経歴に加え、「新しい生き方を見つけよう
」とのスローガンも新鮮なイメージ作りを後押し。1回目の投票で
、過半数の得票を得て、大統領就任を確実にすることも視野に入れ
る。
 過半数を得る候補がいなければ、6月15日に上位2人による決
選投票が実施される。このため、全国遊説を続けるポロシェンコ氏
は「国を安定させるため、1回目の投票で当選させてほしい」と訴
えている。閣僚経験はあるが、大統領選への立候補が初めてなこと
も、「透明な政府を作り、経済も立て直してくれる」(会社員のエ
リーナさん)との期待感につながっている。
 国民人気の高いボクシング元世界王者で与党第2党の「ウダル」
を率いるクリチコ氏も支援。キエフ市長選に立候補した同氏と二人
三脚で、支持を訴える手法も浸透している。
 ライバル視されるティモシェンコ元首相(53)とティギプコ元
中央銀行総裁(54)は、2010年の大統領選に共に立候補。「
既存政治」への国民不信のあおりを受け、支持が伸び悩む対照的な
展開となっている。
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ウクライナ:大統領選で元首相苦戦…「混乱を招いた中心」
毎日新聞 2014年05月23日 13時48分
 【キエフ坂口裕彦】25日に実施予定のウクライナ大統領選で、
「美しすぎる首相」とも呼ばれたティモシェンコ元首相(53)が
苦戦している。多くの有権者が、長い政治混乱を招いた中心人物と
して厳しい視線を向けている。2度も首相を経験した華麗な実績も
「古い政治家」と逆にレッテルを貼られるマイナス材料となり、支
持率で首位を独走する富豪、ポロシェンコ最高会議(国会)議員(
48)との差は一向に縮まらない。
 キエフでは、ティモシェンコ氏の名前を持ち出すだけで顔をしか
める人は多い。会社員のオリガさん(50)は「権力闘争ばかりで
、何一つチャンスを生かさなかった。利権優先のイメージも強い」
と批判した。
 ティモシェンコ氏は2004年大統領選で起きた民主化運動「オ
レンジ革命」の立役者で05年と07年の2回、首相に就任。ヤヌ
コビッチ前政権時代の11年には、首相時代の職権乱用罪で収監さ
れたが、今年2月に釈放された。今は、第1与党「祖国」を率いる
親欧米派だ。
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ウクライナ大統領選、ロシアはOSCE監視受け入れを=独首相
2014年5月23日12時44分
 [ベルリン 23日 ロイター] - 23日付の独紙によると、
メルケル独首相は、ウクライナで25日に実施される大統領選挙に
ついて、ロシアは、欧州安全保障協力機構(OSCE)による監視
を受け入れるべきだ、との考えを示した。
 首相は、Saarbruecker Zeitungとのインタビューで「間違いなく
客観的になるOSCEの評価をロシアは尊重すべきだ」と述べた。
 OSCEは、ウクライナ大統領選挙を監視するため約1000人
をウクライナ全土に派遣する。
 メルケル首相は、これはOSCEにとり最大の選挙監視任務にな
ると指摘。「残念なことにロシアは、依頼されたにも関わらず監視
団の派遣を拒否した」と語った。
 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ大統領選挙の正当性に引
き続き疑問を示している。大統領は21日訪問先の中国で、まず憲
法に関する住民投票を実施し、その後大統領選挙を実施するほうが
理にかなっている、と述べた。
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ウクライナの大富豪、1千人規模の自警団 親ロ派に対抗
マリウポリ=松尾一郎2014年5月23日07時18分
 親ロシア派勢力の妨害で大統領選の実施が危ぶまれているウクラ
イナ東部で、地元出身の大富豪が動き出した。最近になってウクラ
イナの団結を訴え、親ロシア派との対決姿勢を強めている。豊富な
資金と20万人超と言われる傘下企業のマンパワーが、選挙を後押
しする可能性もある。
 リナト・アフメトフ氏(47)は21日、「テロを仕掛ける集団
(親ロシア派)は、まもなく追い出されるはずだ」と動画投稿サイ
トで叫んだ。「ウクライナ一の金持ち」と呼ばれる。
 旧ソ連崩壊後、製鉄業や炭田の経営権を手中に収めた新興財閥。
金融や通信、マスコミ、サッカーチームなどを傘下に持つ。米経済
誌「フォーブス」(電子版)の長者番付では、総資産は126億ド
ル(約1兆2600億円)になる。
 長年、ロシアに近いヤヌコビッチ前大統領や旧与党を資金面で支
えてきた。2月のヤヌコビッチ政権崩壊後は「中立」に徹してきた
が、最近、一転して親ロシア派への非難を始めた。
 東部の港湾都市マリウポリでは「自警団」をつくった。今月9日
、傘下の金属工場周辺が親ロシア派武装勢力に占拠されたのがきっ
かけだった。鉄道など製品の輸送ルートも脅かされている。関係者
によると、従業員などで構成する自警団は約100班あり、総勢1
千人規模。交代で毎日24時間、市中心部を巡回する。14日には
、市役所に親ロシア派が築いたバリケードを撤去する実力を見せた。
 東部では、大統領選の選挙管理委員会が親ロシア派に襲撃される
事件も相次ぐ。大統領選そのものの是非については態度を明確にし
ていないが、同氏が支持すれば、実施に追い風となる。
(マリウポリ=松尾一郎)
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「特殊部隊に雇われ ロシアで軍事訓練」 親ロ派証言
2014年5月22日 tokyo夕刊
 【ドネツク=石川保典】ウクライナ国防省は二十一日、拘束した
親ロシア派過激集団の男を尋問した動画を公開した。その中で男は
「ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)に雇われ、ロシア国内の軍
事基地で訓練を受けた」と証言した。
 親ロシア派の武装勢力メンバーが、ロシア軍の関与を認めたのは
初めて。事実とすれば、これまで関与を否定してきたロシアに対す
る圧力が強まりそうだ。
 男は二十日にドネツク州内で拘束され、その場で尋問を受けたと
みられる。
 証言によると、男はウクライナ人。五月上旬に同州ゴルロフカを
訪れ、武装勢力に加わりたいと志願し、いったんウクライナ東部国
境に近いロシアのロストフ州に送られた。軍特殊部隊GRUの現役
将校から、破壊工作のほか、携帯式の対戦車ロケット弾や地対空ミ
サイルシステムの使い方の訓練を受けた。その後、軍用車両に武器
を積んで戻り、戦闘に従事したという。
 男は「約百人の部隊にはチェチェン人とみられる男もいる」とも
証言した。
 ウクライナ軍は武装勢力のミサイルシステムでヘリ数機が撃墜さ
れており、当初からロシア軍の関与が疑われていた。
==============================
国境の露軍に「いくつかの兆候」 米大統領報道官「撤収」とは結
論づけず
2014.5.22 10:22sankei
 【ワシントン=加納宏幸】米国のカーニー大統領報道官は21日
の記者会見で、ロシアのプーチン大統領がウクライナ国境周辺に展
開していたロシア軍を撤収するとしていることについて、「国境で
の活動を示すいくつかの兆候はある」と述べた。米政府はこれまで
、ロシア軍に動きがないと説明してきており、当局者が認めたのは
初めて。
 ただ、カーニー氏はロシア軍が過去に、撤収ではなく部隊の入れ
替えに終わらせたことがあったと指摘し、「撤収の兆候かどうかを
結論づけるのは早計だ」とも強調した。
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親ロ派との緊張緩和へ覚書採択 ウクライナ議会、脱中央集権化で
 【キエフ共同】インタファクス通信によると、ウクライナ最高会
議(議会)は20日、東部の政府庁舎などを占拠する親ロシア派と
の緊張緩和に向け、ロシア語の地位を保障し、脱中央集権化の憲法
改正を早期に実施するとの覚書を採択した。
 ただ、脱中央集権化の具体的内容にはあまり踏み込んでおらず、
緊張緩和につながるかどうかは不透明だ。
 ロシアは、ウクライナから離反する東部の親ロシア派の権利を擁
護。ヤヌコビッチ政権を崩壊させた政変の直後、ロシア語に与えら
れていた事実上の公用語の地位を停止すると議会が決めたことに反
発している。
2014/05/21 09:50   【共同通信】
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「緊張緩和へ進展」=円卓会議でウクライナ首相
 【モスクワ時事】ウクライナ危機打開に向けた暫定政権主導の第
3回円卓会議が21日、南部ミコライウで行われた。報道によると
、参加した暫定政権のヤツェニュク首相は、東部の緊張緩和に向け
て進展がみられると述べた。(2014/05/22-06:02)。
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ウクライナ情勢:大統領選の支援、露大統領に要請 独首相、電話協
議で
毎日新聞2014-05-21 03:09:46
 ウクライナ情勢を巡り、ドイツのメルケル首相は19日、ロシア
のプーチン大統領と電話協議し、ロシアが25日のウクライナ大統
領選を支援し「尊重するよう」求めた。メルケル氏はまた、ウクラ
イナ暫定政権が主催する「円卓会議」の意義を強調した。これに対
しプーチン大統領は暫定政権と親露派との対話への希望を述べたと
いう。
一方、ロシアのゲラシモフ参謀総長は19日、北大西洋条...
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ウクライナ:有力者「親露派は暴徒」 ドネツク、大統領選支持運動
毎日新聞2014-05-21 03:08:43
 ウクライナ東部ドネツク州で20日、炭鉱・鉄鋼労働者らが親露
派への抗議と、25日の大統領選を支持する運動を始めた。炭鉱・
鉄鋼企業を持つ富豪アフメトフ氏が19日に呼びかけていた。ドネ
ツクで最も影響力があるアフメトフ氏が事実上の暫定政権支持に回
ったことで、東部での大統領選実施に展望が出てきた。
 報道によると、労働者数百人がストライキを行った後、競技場な
どで集会を... 
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石炭業「国営化」目指す=ウクライナ東部の親ロ派
 【モスクワ時事】ウクライナ東部の親ロシア派勢力「ドネツク人
民共和国」のプシリン首長は20日、石炭分野を基幹産業とするド
ネツク州の企業の「国営化」を目指す考えを明らかにした。インタ
ファクス通信が伝えた。(2014/05/21-05:44)
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米軍、東欧での演習継続
 【ワシントン時事】米国防総省のカービー報道官は20日の記者
会見で、ウクライナに対し強硬姿勢を取るロシアの動向に懸念を深
めている東欧・バルト各国と米軍との一連の軍事演習・訓練につい
て、「今年末まで続ける決意だ」と語った。各国の不安を解消する
狙いで、ウクライナが面する黒海への米艦派遣も同様に継続すると
いう。(2014/05/21-07:09)
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プーチン大統領、ウクライナ国境沿いのロシア軍に帰還命じる
By OLGA RAZUMOVSKAYA
2014 年 5 月 19 日 20:25 JST
 【モスクワ】ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ国境周辺で
軍事演習に従事していた部隊に基地への帰還を命じ、ウクライナに
対しては同国東部からの軍の即時撤退を求めた。ロシアの複数の通
信社が19日報じた。
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中ロ首脳「戦略的関係、新段階に」 米国をけん制 
2014/5/20 19:14nikkei
 【上海=石川陽平】中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大
統領は20日、上海で会談後、共同声明を発表し、「内政問題への干
渉」や「一方的な制裁」に強く反対することを表明した。南シナ海
での領有権問題を巡る強硬姿勢で米国から批判される中国と、ウク
ライナ危機で米欧と激しく対立するロシアが、米国へのけん制で足
並みをそろえた。
 中ロ首脳は「全面的なパートナーシップと戦略的協力関係が新た
な段階に入った」とする共同声明で、資源エネルギーを軸とする経
済や政治、外交、人道の各分野で協力を広げる方針を明記した。プ
ーチン大統領は会談後「(中ロには)共通の優先課題がある」と語
った。
 共同声明では「歴史を改ざんし、戦後の世界秩序を損なう試みに
断固として反対を続ける」と主張した。「ドイツ・ファシズムと日
本の軍国主義に対する戦勝70周年記念の共同行事」を開くことも盛
り込み、沖縄県・尖閣諸島をめぐり中国と対立する日本をけん制す
る姿勢を示した。
 焦点だったパイプラインで天然ガスを供給する大型契約は価格を
巡る溝が埋まらず、交渉を続けることになった。
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ウクライナ避難民、1万人=クリミア先住民族が大半−UNHCR
 【ジュネーブ時事】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は
20日、ロシアが編入したウクライナ南部クリミア半島の少数先住
民族クリミア・タタール人ら、住居を強制的に追われた国内避難民
がおよそ1万人に達したと発表した。
 クリミア避難民は、3月中旬に行われたロシア編入を問う住民投
票の前から徐々に増加。大半はタタール人だが、ウクライナ系など
も含まれる。
 避難したタタール人らは、直接的な脅しのほか、身の安全確保や
迫害の恐れを感じたため、居住地を離れたと説明している。避難民
の少なくとも3分の1が子供という。(2014/05/20-20:30)
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ロシア軍、国境10キロから撤収か=ウクライナ警備隊
 【モスクワ時事】ウクライナ国境警備隊高官は20日、ロシア軍
部隊が両国国境10キロ以内から姿を消したことを明らかにした。
プーチン大統領の19日の命令を受け、撤収を本格化した可能性が
ある。ウクライナのメディアが伝えた。
 この高官によると、ロシア軍は一時、国境から数百メートルの近
さまで迫っていたという。一方、ウクライナ外務省報道官は20日
、撤収はまだ確認していないと説明した。
 ロシア軍は3月から国境付近に数万人の部隊を集結。ウクライナ
東部で親ロシア派が武装蜂起する中で、ロシア軍が介入するのでは
ないかとの懸念が高まっていた。
 プーチン大統領は19日、ショイグ国防相に対し、国境付近で軍
事演習を行っていたロシア軍部隊の撤収を命令。国防省は20日の
声明で、部隊が命令を受け取ったと明らかにしていた。
(2014/05/20-22:24)
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ロシア本土とクリミア結ぶ建設計画、中国や韓国などが関心
  5月19日(ブルームバーグ):ロシアはウクライナから編入し
たクリミアをケルチ海峡で隔たれている本土と結ぶ計画で、すでに
外国企業からの関心を集めている。国営のロシア自動車道(AVT
ODOR)が明らかにした。
同社トップのセルゲイ・ケリバフ氏はモスクワでの19日のインタビ
ューで、「すでに中国と韓国、トルコの企業が投資プロセスの全面
的なパートナーとして名乗りを挙げている」と説明。「民間企業か
ら必要な投資額は、実現可能性調査の実施後にはっきりする」と述
べた。
ロシアは同国本土とクリミアを橋、トンネル、あるいはその両方で
結ぶ計画で、AVTODORではルートの候補を2本に絞っている。
ケリバフ氏によれば、ロシア政府が7月1日までにルートと両地点
の結び方を決定するという。
プーチン大統領のドミトリー・ペスコフ報道官は今月7日の電話取
材に、ロシア政府が事業の入札を公示し、世界各国の企業が参加で
きると述べていた。
ケリバフ氏によると、ロシアは2018年までに両地点を結びたい考え
。中国企業はすでに視察のため現地に代表団を派遣したという。
更新日時: 2014/05/20 09:55 JST
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東部ドネツクで初開催へ=ウクライナ円卓会議
 【モスクワ時事】ウクライナのメディアによると、東部ドネツク
州のタルタ知事は19日、緊張緩和に向けた21日の第3回円卓会
議の会場が、親ロシア派が武装蜂起した同州の州都ドネツクに決ま
ったと発表した。第3回は中部チェルカシで行われる見通しだった
が、変更された。ドネツクの開催は初めて。(2014/05/20-00:10)
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タタール追放70年で集会=高まる反ロ感情−クリミア
 【モスクワ時事】ロシアが編入したウクライナ南部クリミア半島
では18日、第2次大戦時の1944年5月に行われたソ連独裁者
スターリンによる少数先住民族タタール人追放から70年を迎え、
タタール系住民が集会を開いた。
 タタール系住民はナチス・ドイツの「スパイ」のぬれぎぬを着せ
られ、約20万人が中央アジアなどに追放され、飢餓などで多数の
死者が出た。タタール系住民は3月の住民投票を棄権するなどロシ
ア編入に反対したが、こうした感情は歴史問題に起因する。
 集会は、追放を「ジェノサイド(集団虐殺)」とみなすタタール
系住民が毎年行っているが、今年は反ロシア・デモに発展するのを
恐れる当局が初めて禁止。ただ、中心都市シンフェロポリなどには
数百人が集結し、警官隊とにらみ合った。
 ロシアはタタール系住民の懐柔を図る一方で、当局に批判的なタ
タール系指導者ムスタファ・ジェミレフ氏には4月、5年間の「入
国禁止」処分を通告した。プーチン政権による抑圧は追放の歴史と
重なり、反ロシア感情が高まっている。(2014/05/19-07:18)
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親ロ派、志願兵不足 若者そっぽ 女性登用も
2014年5月19日 tokyo朝刊
 【ドネツク(ウクライナ東部)=石川保典】ウクライナからの独
立を一方的に宣言した東部ドネツク州の親ロシア派過激集団「ドネ
ツク人民共和国」が、ウクライナ軍と戦う志願兵の不足に悩まされ
ている。人民共和国の「国防相」を自称するストレルコフ氏が、
十七日夜の声明で明らかにした。
 ロシア版フェイスブックの人民共和国公式ページに載せられた映
像によると、ストレルコフ氏は「一カ月以上戦っているが、命を懸
けて戦う人が、千人も集まらないとは予想外だった。(マスコミが
言う)二万七千人という志願兵は、いったいどこにいるのだ。若者
は何をやっている」と声明を読み上げながら、いら立ちを見せた。
 さらに「志願をしても、後方の安全な所にいたいと願う者ばかり
だ」と指摘。前線のスラビャンスクやクラマトルスクに送られると
分かると志願を撤回する例が後を絶たないという。
 声明によると、戦闘に従事するのは、旧ソ連時代にソ連軍の戦闘
訓練を受けた四十代以上が大半。士官クラスの不足も深刻で、「小
・中隊を指揮するのは二等兵。彼らは戦闘知識が不足している。こ
れまで士官に志願した者は十人もいなかった」という。
 志願兵不足を補うために、女性の兵士登用を可能にする命令を出
したことも明らかにした。
 ストレルコフ氏は「何百人かが武器を手に戦っているが、何十万
人もがビールを飲みながら(戦闘のニュースを)テレビで見ている
」と嘆き、「今後は真の愛国者しか軍に入れない。敵はまだ強い。
国を守るために戦う人が必要だ」と呼び掛けた。親ロ派武装勢力は
四月にスラビャンスクとクラマトルスクの二市を掌握。ウクライナ
暫定政権は二市奪回を重点に軍事作戦を展開し、双方に多数の死傷
者が出ている。
 ストレルコフ氏は、ロシア軍参謀本部情報局(GRU)将校とさ
れ、ウクライナの親ロ派武装勢力を指揮。自身の部隊はクリミア半
島で編成し、ドネツクに移ってきたとしている。
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焦点:ウクライナ危機に「3つの名前」持つロシア人、独立運動で
暗躍
2014年05月18日(日)12時17分
[スラビャンスク(ウクライナ)/モスクワ 15日 ロイター]
 - 混迷深まるウクライナ情勢。東部の親ロシア派による独立運動を
指揮しているロシアのスパイとされる男には、3つの名前がある。
東部ドネツク州で12日に配布されたビラでは、「イーゴリ・スト
レルコフ大佐」という人物が、すべての親ロシア派の武装集団の指
揮を執り、ロシア軍の支援を呼びかけている。
ウクライナと西側の同盟国にとってストレルコフは、東部の独立運
動の背後にはロシアがいるという生きた証しだ。
射手を意味する「ストレロク」として部下に知られるストレルコフ
は、ウクライナによれば、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の
工作員だという。また、ロシアの首都モスクワ郊外の住民は、スト
レルコフを「イーゴリ・ガーキン」という名の隣人として何年も認
識していた。
どの名前であろうと、この人物が現在、公の場に姿を現すことはほ
とんどない。親ロシア派政治家のウェブサイトに掲載された内容に
よると、ビラは「ドネツク共和国の最高司令官」の名の下に発行さ
れていた。
親ロシア派勢力の報道官はストレルコフについて、ロシア系で、旧
ソ連・ロシア軍の退役軍人であると述べたが、出身などそれ以上の
ことは明かさなかった。
同報道官は「側近は彼がほかに名前を持っているかどうか知らない
」とし、ストレルコフは「豊富な軍事経験があり、大佐の階級を持
つ」と語った。
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ウクライナ東部で戦闘続く−ドネツク分離派は秋の選挙を準備
  5月18日(ブルームバーグ):ウクライナ東部では18日も政権
側と分離派側の小競り合いが続き、分離派1人が死亡した。「独立
」を宣言しロシア編入を求める意向を示したドネツク州の分離派は
秋の選挙に向け準備を進めている。
25日のウクライナ大統領選挙を控え、東部ドネツク、ルガンスク両
州から成るドンバス地方では、覆面をした男らが候補者の選挙事務
所に放火した。現在、約15都市で庁舎やテレビ・ラジオ局を占拠し
ている分離派は一方的に「主権国家」を宣言した「ドネツク人民共
和国」の選挙を実施すると表明。投票日は9月14日前後の予定だと
した。
ドネツク分離派のドミトリー・ガウ報道官は電話取材で、「『ドネ
ツク人民共和国』の現在の閣僚と議員は全員、選挙を経ずに指名さ
れた」とした上で、「秋にわれわれは選挙を行うだろう」と語った。
「ドネツク人民共和国」の首相に指名されたアレクサンドル・ボロ
ダイ氏はドネツクがウクライナからの離脱とロシアへの編入を近く
求めると発言した。
ウクライナ大統領選を1週間後に控え、候補の1人、チギプコ元副
首相のドネツク担当選対責任者の事務所が放火された。同事務所は
17日遅く、「武装した過激派が状況の緊迫化を狙っている」と非難
した。
GfKウクライナが6−8日に実施した大統領選の世論調査によれ
ば、資産家ペトロ・ポロシェンコ氏が支持率40%でリード。チギプ
コ氏は9%で2位だった。ティモシェンコ元首相は8.8%で3位。携
帯電話による同調査は810人を対象に行われた。誤差率は3.5%。
更新日時: 2014/05/19 06:41 JST
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ウクライナ円卓会議、議論は並行線 制圧作戦中止の声も
キエフ=喜田尚2014年5月17日23時31分
 ウクライナの危機をめぐり、国内の政治勢力、地方代表が参加し
て打開を目指す政府主催の第2回「円卓会議」が17日、東部ハリ
コフで開かれた。ヤツェニュク首相は米国、ロシア、欧州連合(E
U)と事態沈静化で一致した4者合意重視を強調したが、親ロシア
派に対する軍の制圧作戦の中止を求める参加者もおり、議論は並行
線をたどった。
 ヤツェニュク氏は、東部で政府庁舎を占拠する親ロシア派が武器
を捨てれば免責することなど4者合意を守る方針を確認。その一方
で「テロリストとは交渉しない」考えも強調した。



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