5017.中露同盟はできるか?



中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は20日、上海で
会談後、共同声明を発表し、「内政問題への干渉」や「一方的な制
裁」に強く反対することを表明した。これは、2月の中露首脳会談
で習主席が求めた「中露共闘体制」に、プーチン大統領は満額回答
したといえる。

南シナ海での領有権問題を巡る強硬姿勢で米国から批判される中国
と、ウクライナ危機で米欧と激しく対立するロシアが、米国へのけ
ん制で足並みをそろえた。

 中ロ首脳は「全面的なパートナーシップと戦略的協力関係が新た
な段階に入った」とする共同声明で、資源エネルギーを軸とする経
済や政治、外交、人道の各分野で協力を広げる方針を明記した。プ
ーチン大統領は会談後「(中ロには)共通の優先課題がある」と語
った。

中国とロシアの両海軍による合同軍事演習が20日から26日まで
の7日間、演習海域は上海沖の東シナ海北部に設定されており、対
空演習や対潜水艦演習などを行う。両海軍の合同演習は2012年
以来3年連続。

中国はウクライナ問題を奇貨として、エネルギーを含む経済関係拡
大でロシアを引きつけ、安倍晋三政権が築こうとした日露関係の切
り崩しに出た格好である。これが成功したことである。

欧米による制裁でロシアから資本撤退が加速しており、その額は、
少なくとも500億ドル(約5兆円)にも上っている。しかし、実際の
額はその4倍にも上るとの声もある。

このため、ロシアは経済難を救済するため中国に投資による協力を
求めている。ロシアの政府系ファンド・ロシア直接投資基金(RDFI
)の理事は14日、ロシアと中国との共同投資計画を発表することを
サンクトペテルブルクで行われた国際経済会議において明らかにし
た。投資はインフラや不動産、採鉱など4項目に及ぶ。

この2ケ国間では、ドルより元が貿易通貨になることが確実である
。米国の経済力より中国の経済力の方が上になっているためである。

中国はロシアを買収した格好であり、ロシアは欧米の制裁を中国と
の経済関係を強化することで、乗り越えることができることになる
。このため、ロシアはこれまで以上に中国の顔色をうかがう必要が
出ていると専門家は指摘している。その結果、中国はロシアのエネ
ルギー資源を買い叩くことができる。

ロシア産天然ガスへの依存を減らそうとする欧州に対抗するロシア
と、石炭よりも環境負荷が低い燃料へのシフトを進める中国との利
害が一致する。しかし、これまでは価格面で折り合わずに交渉は平
行線をたどっていたが、中国の要求に近い形でロシアは折れること
になりそうである。

中国政府は、主要な供給源になるとみられる東シベリアのガス田に
関する権益の確保を求めている。契約内容としては、ガスプロムが
中国石油天然ガス集団(CNPC)に対し、年間380億立方メー
トルの天然ガスを供給する30年契約となる見通し。
最終合意に至れば、今年末までに新パイプラインの建設が始まり、
2018年までに供給が開始される見込み。

このような中露同盟を見て、米国は反撃をし始めた。ロシアのプー
チンが訪中するその時に、米連邦大陪審は19日、サイバー攻撃で
米企業にスパイ行為を行ったとして、中国人民解放軍のサイバー攻
撃部隊「61398部隊」の将校5人を起訴した。

また、ロシアに対しては、米財務省は20日、ロシア高官の巨額横
領事件を暴露した弁護士セルゲイ・マグニツキー氏の獄死事件など
に関与したとして、ロシア内務省高官ら12人を制裁対象に追加指
定した。

米国の経済力が中国より弱くなり、欧米など西洋的な民主化・自由
化を嫌う国は、中国に寄り、そのことで米国に経済的にも対応でき
ることになる。

米国は戦争をしないで、経済的な制裁で反米国に対応してきたが、
それができなくなる。

このため、民主化・自由化の米国の理念は、残念ながら世界的には
縮小することになる。欧州は戦争がないからと、軍事費を縮小して
きたが、経済的な制裁が効かなくなることで、自国の安全保障のた
めに戦争が必要になる。

大変な時代が到来したことになる。

この時代になったのに、日本は集団的自衛権で揉めている。あまり
にも時代を見ていない国会議員が多すぎである。

さあ、どうなりますか?

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ロシア高官ら12人を制裁=弁護士獄死事件に関与−米
 【ワシントン時事】米財務省は20日、ロシア高官の巨額横領事
件を暴露した弁護士セルゲイ・マグニツキー氏の獄死事件などに関
与したとして、ロシア内務省高官ら12人を制裁対象に追加指定し
た。米国への入国禁止と米国内の資産が凍結され、米国人との取引
が禁止される。
 制裁対象に指定された12人のうち3人は拘置所の医者で、マグ
ニツキー氏に対する適切な治療を怠った疑い。また、他の人権侵害
事件に関与したとされる2人も追加された。(2014/05/21-06:22)
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アジア安保の新枠組み提示へ=習主席が演説−信頼会議・上海
 【上海時事】中国の習近平国家主席は21日午前、上海で開催中
のアジア相互協力信頼醸成会議(CICA)首脳会議で演説し、新
たなアジア地域の安全保障の枠組みを提示する。会議は同日中に「
上海宣言」を発表して閉幕する。
 習主席は、20日にロシアのプーチン大統領と会談した際、「中
ロがさらに全面的な戦略的協力パートナーシップ関係を発展させる
ことは世界の平和・発展の維持に欠かせず、世界の多極化の発展に
とって必然的な選択だ」と強調。習主席は演説でも、中ロが主導す
るCICAや、中ロと中央アジア諸国で構成する「上海協力機構」
の役割強化を呼び掛ける方針だ。 
 ロシアはウクライナ問題で欧米諸国から制裁を受け、国際的に孤
立している。中国も東シナ海や南シナ海での野心的な海洋進出の結
果、日本やベトナムなど周辺諸国および米国との摩擦が拡大してい
る。
 こうした中、中国はロシアなどと連携し、欧米諸国や日本に対抗
した世界秩序の新たな対立軸の構築を訴え、会議を通じてアジアの
安全保障で主導権を握りたい狙いだ。(2014/05/21-07:15)
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中ロ首脳「戦略的関係、新段階に」 米国をけん制 
2014/5/20 19:14nikkei
 【上海=石川陽平】中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大
統領は20日、上海で会談後、共同声明を発表し、「内政問題への干
渉」や「一方的な制裁」に強く反対することを表明した。南シナ海
での領有権問題を巡る強硬姿勢で米国から批判される中国と、ウク
ライナ危機で米欧と激しく対立するロシアが、米国へのけん制で足
並みをそろえた。
 中ロ首脳は「全面的なパートナーシップと戦略的協力関係が新た
な段階に入った」とする共同声明で、資源エネルギーを軸とする経
済や政治、外交、人道の各分野で協力を広げる方針を明記した。プ
ーチン大統領は会談後「(中ロには)共通の優先課題がある」と語
った。
 共同声明では「歴史を改ざんし、戦後の世界秩序を損なう試みに
断固として反対を続ける」と主張した。「ドイツ・ファシズムと日
本の軍国主義に対する戦勝70周年記念の共同行事」を開くことも盛
り込み、沖縄県・尖閣諸島をめぐり中国と対立する日本をけん制す
る姿勢を示した。
 焦点だったパイプラインで天然ガスを供給する大型契約は価格を
巡る溝が埋まらず、交渉を続けることになった。
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中露海軍が合同軍事演習…最新鋭駆逐艦など投入
2014年05月20日 19時52分Yomiuri Shimbun
 【上海=蒔田一彦】新華社通信によると、中国とロシアの両海軍
による合同軍事演習が20日、始まった。
 演習海域は上海沖の東シナ海北部に設定されており、26日まで
の7日間、対空演習や対潜水艦演習などを行う。両海軍の合同演習
は2012年以来3年連続。軍事演習を対日圧力の手段として利用
してきた中国側は、日米をけん制する意図を込めているものとみら
れる。
 同通信によると、今回の演習に参加するのは、両国合わせて艦艇
14隻、潜水艦2隻、固定翼機9機、艦載ヘリ6機など。中国は「
中国版イージス艦」と呼ばれる最新鋭防空ミサイル駆逐艦「鄭州」
などを、ロシアは太平洋艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「ワリャーグ」
など艦艇6隻を投入した。
 演習では、「鄭州」や主力戦闘機「殲(J)10」などが参加す
る中露合同の航空機識別・防空訓練も初めて行う予定だ。中国は昨
年11月に、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を
設定している。
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中露首脳会談、中国“援軍”プーチン氏を歓迎…孤立の中で「同盟
」確認
2014.5.20 20:49 sankei[中国]
 【上海=河崎真澄】中国の習近平国家主席は20日、上海で行わ
れた中露首脳会談に関し、ウクライナ問題をめぐって日米など先進
7カ国(G7)の外交・経済制裁にさらされていたロシアのプーチ
ン大統領が、G7に押し出される形で友好国の中国に改めて接近し
てきたとして、もろ手を挙げて歓迎している。
 東シナ海の尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日本との対立や、
南シナ海でのベトナムやフィリピンとの紛争、米国との摩擦で孤立
化しつつある習政権にとっては、プーチン大統領の訪中は“援軍”
と映った。
 2月に冬季五輪が行われたソチでの中露首脳会談で習主席が求め
た「中露共闘体制」に、プーチン大統領は満額回答したといえる。
 中国はウクライナ問題でロシアに理解を示した見返りとして、「
ドイツのファシズムと日本軍国主義に対する勝利70周年」の式典
開催と「歴史改竄(かいざん)と戦後秩序の破壊に反対する」との
文言を共同声明に盛り込むことに成功したとみられる。
 ロシアを味方に引き込むことで歴史問題と絡めて国際社会に「日
本の非」を訴えて対日攻勢を強め、尖閣問題などで日本の譲歩を引
き出したい思惑がある。
 中国はウクライナ問題を奇貨として、エネルギーを含む経済関係
拡大でロシアを引きつけ、安倍晋三政権が築こうとした日露関係の
切り崩しに出た格好だ。
 21日に共同声明を採択する「アジア相互協力信頼醸成会議
(CICA)」首脳会議や、11月の北京「アジア太平洋経済協力
会議(APEC)」首脳会議で、中国が今年、議長国として主導権
を握る機会を得ていることも追い風といえる。
 上海沖の東シナ海で同日始まった中露海軍の合同軍事演習を2人
の首脳がそろって視察する異例のパフォーマンスも行い、日米や周
辺国を牽制(けんせい)。首脳会談では軍事協力の強化も話し合わ
れており、“同盟関係”を確認した形だ。
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欧米の制裁でロシアが経済難、中国マネーに活路求める―米メディア
Record China 5月20日(火)7時50分配信
2014年5月18日、中国紙・参考消息によると、米フォーブス誌は15日
、欧米による制裁でロシアから資本撤退が加速しており、その額は
少なくとも500億ドル(約5兆円)にも上っているとロシアの政府消
息筋が語ったと伝えた。しかし、実際の額はその4倍にも上るとの声
もある。
そうした中、ロシアは経済難を救済するため中国に投資による協力
を求めている。ロシアの政府系ファンド・ロシア直接投資基金(RDFI
)の理事は14日、ロシアと中国との共同投資計画を発表することを
サンクトペテルブルクで行われた国際経済会議において明らかにし
た。投資はインフラや不動産、採鉱など4項目に及ぶ。
また、ロシアの石油会社・ロスネフチは中国との間で700億ドル
(約7兆円)にも上る原油取引の契約を結ぶなど、中ロ間の協力は直
接的な投資にとどまらない。RDFIによると、2014年に中ロ間の貿易
高は1000億ドル(約10兆円)に達すると予測されており、予想を上
回るペースで中国による対ロ投資が行われている。
中国による投資は欧米各国による制裁を境に増加しており、ロシア
はこれまで以上に中国の顔色をうかがう必要が出ていると専門家は
指摘している。(翻訳・編集/岡田)
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ロシア大統領が訪中、天然ガス輸出で契約締結目指す
2014年 05月 20日 07:38 JST
[上海 20日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は、20日
から2日間にわたり中国を訪問し、上海で習近平国家主席と会談す
る。ウクライナ問題で欧米とあつれきを抱える中、天然ガス輸出を
めぐり中国との間で契約締結を目指す。
大統領は、南シナ海問題で近隣国と対立する中国から厚いもてなし
を受ける見通し。ロシア産天然ガスへの依存を減らそうとする欧州
に対抗するロシアと、石炭よりも環境負荷が低い燃料へのシフトを
進める中国との利害が一致するためだ。
中国国営メディアは19日、プーチン大統領の話として、天然ガス
契約に向けた準備は「最終段階」に入ったと伝えた。
これまでは価格面で折り合わずに交渉は平行線をたどっていた。
ロシアの国営天然ガス大手ガスプロム(GAZP.MM: 株価, 企業情報, 
レポート)は先週末時点で、契約締結までには隔たりがあるとしてい
た。19日になって、同社に近い関係筋や業界関係者は、ガス輸出
契約としてガスプロムが中国に250億ドルの支払いを望んでいる
一方、中国は沈黙を保っていると明らかにした。
ガスプロムの関係筋は「プーチン大統領の訪中に望みを託している
」とした。
中国政府は、主要な供給源になるとみられる東シベリアのガス田に
関する権益の確保を求めている。契約内容としては、ガスプロムが
中国石油天然ガス集団(CNPC)に対し、年間380億立方メー
トルの天然ガスを供給する30年契約となる見通し。
最終合意に至れば、今年末までに新パイプラインの建設が始まり、
2018年までに供給が開始される見込み。
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米、中国将校5人を起訴 サイバー攻撃、原発企業などスパイ
2014.5.20 07:06 sankei[米国]
 【ワシントン=加納宏幸】米連邦大陪審は19日、サイバー攻撃
で米企業にスパイ行為を行ったとして、中国人民解放軍のサイバー
攻撃部隊「61398部隊」の将校5人を起訴した。東芝傘下の原
発大手ウェスチングハウス(WH)など5社と労働組合1つから、
機密情報を奪った疑いがある。司法省によると、米国がサイバー攻
撃を通じたスパイ行為で、外国の当局者を起訴するのは初めて。中
国は強く反発しており、サイバー問題をめぐる米中対立が激化しそ
うだ。
 被害にあったのは、WHや鉄鋼大手USスチール、アルミ大手ア
ルコアなど。5人は2008〜12年にかけ、サイバー攻撃を行っ
たとされる。WHのケースでは、将校の一人が10年、WHが中国
で建設中の最新型原子炉「AP1000」4基に関する技術や設計
の機密情報を盗んだという。
 USスチールのケースでは、将校が社員に電子メールを送ってコ
ンピューターをウイルス感染させ、情報を奪っていたとされる。
 ホワイトハウスは、中国が発信源とみられるサイバー攻撃を「米
国の産業に対する最大の脅威の一つ」ととらえ、中国政府に繰り返
し懸念を表明していた。
中国「捏造」と抗議
 中国外務省の秦剛報道官は19日、中国軍の将校が起訴されたサ
イバー攻撃は「米国が捏造(ねつぞう)した」と起訴撤回を要求、
サイバーセキュリティー問題で設置された米中の作業部会の活動中
止を表明した。(共同)



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