5006.ウクライナ東部で住民投票が始まる



有料版で、しつこくウクライナ紛争を追っているが、それは世界的
に大きな影響を与えるからである。中国の南シナ海での強硬な対応
もロシアとの連携ができたことで、踏み出している。ということで
、ウクライナ紛争を追いかける。  津田より

0.経緯
ウクライナ南部オデッサの親ロシア派が占拠した建物で2日に30
人以上が死亡した。この事件をロシア外務省は3日、火災の責任を
暫定政権にあると非難した。この事件は、ウクライナ分離活動の分
岐点になったようである。このあと、急速に東部親露派が独立に動
き始める。

この親露派中核武装集団は、多くがウクライナ内務省特殊部隊の脱
出兵で、ロシア製の武器に慣れている。このため、ロシアからの兵
器を供与されたので、その武器でヘリを落とせることになる。掃討
作戦に参加する20機のヘリの内4機を短期間に落とした。このた
め、ウクライナ政府軍は、ヘリを使えなくなった。

ウクライナ政府の特殊部隊は、ロシア軍と一体で動いていた多くの
元ソ連兵士が脱出して、その代わりに米国のCIAが調達した軍事会社
の要員と司令官で置き換わった。

この兵隊の武器もロシア製である。これでは、特殊部隊同士の戦闘
にも負けることになる。このため、徐々に米国製の武器になる。ま
た、米雇用兵は、中東で多くの殺人をしているので、地元民を無慈
悲に殺せるので、地元民からも反感を受けることになる。中東で米
国が失敗したことをここでもやっているので、住民からの反感で負
けることは確実だ。

しかし、ロシアも手を焼いている。元ウクライナ特殊部隊の隊員た
ちは、ロシアの言うことを聞かない。自分達が武器を放棄したら、
命が危ないことを知っている。このため、独立する方向になる。

よって、ウクライナ東部ドネツク州では3、4両日、各地で親ロシ
ア派のデモ隊・武装集団が新たに庁舎などを占拠し、軍・治安部隊
との戦闘に発展した。双方の10人以上が死亡したとみられ、情勢
は「内戦」の様相を帯びてきた。

普通、正規軍と民衆では、圧倒的に正規軍が強いはずがそうならな
いのは、民衆サイドにも元正規軍がいることによる。

このため、ロシア外務省は5日、ウクライナ当局に対し、同国東部
でのこれ以上の流血の事態を避けるため、武力行使をやめ、話し合
いの席に着くよう呼び掛ける声明を発表した。

しかし、ウクライナ暫定政府は5日、東部の親ロシア派武装勢力の
拠点スラビャンスクで軍事作戦を再開し、激しい戦闘となった。
 内務省は治安部隊の4人が死亡、約30人が負傷したと明らかに
した。また、地元の病院の担当者は7人が運び込まれ、このうち2
人は死亡したと述べた。7人は武装勢力か地元住民とみられる。

このように政府軍が圧倒していないし、住民の死傷者が増えると、
反感が増えて、暫定政府のトゥルチノフ大統領代行でさえ4日、「
東部地域の住民は分離主義者(親ロシア派)を支持している」と述
べ、住民の間に暫定政府への反感が強まり「反テロ作戦」が難しく
なっていると認めた。

このように、ロシア優位であるが、日本の報道機関は、欧米メディ
アの方向で報道しているので、日本人はウクライナ情勢を間違えて
、ロシアが攪乱していると見ているが、少しよく見ると、地元住民
がウクライナ暫定政府を嫌っていることが分かる。

欧米諸国は、普通では住民の意思を尊重するべきというが、ウクラ
イナ問題では住民の意思を無視しても、ウクライナ政府に味方して
いる。

そして、米国雇用兵が出てきて、地元住民が反感して、負けるとい
う中東と同じような状態になってきた。

親ロシア派が行政庁舎などを占拠しているウクライナ東部クラマト
ルスクで3日、21歳の看護師が銃弾を受けて死亡した。5日に行
われた葬儀には、親ロ派の「殉教者」となったこの女性を追悼しよ
うと数百人が集まった。この女性は生前には親ロ派とウクライナ軍
の衝突には特に関与していなかったので、住民の怒りが一層激しく
なる。このように米雇用兵たちは、状況判断はできずに、住民を殺
すので、どうしようもない。

死亡した女性看護師の葬儀では、参列者を見つめる親ロ派メンバー
の1人が「われわれは絶対に許さない。(ウクライナ)南東部は今
回のことを100年は忘れない」と語った。

このように、東部親露派優位であるので、NATO軍のブリードラ
ブ最高司令官は5日、ウクライナ東部の国境近くに展開しているロ
シア軍が実際に国境を越えて侵攻する可能性は低くなったとの見方
を示した。

このような状況で、ウクライナのデシツァ外相は6日、25日に予
定されるウクライナ大統領選挙をロシアが支持すれば、危機解決に
向けた話し合いに応じる姿勢を示した。戦闘では解決できないと条
件交渉になってきた。

1.住民投票は
これに対して、ロシアのラブロフ外相は6日、「(ウクライナ政権
が)自国民に対して軍を展開している中で実施するのは異常だ」と
述べ、実施に反対した。

ロシアのプーチン大統領は7日、ロシアを訪問している欧州安保協
力機構(OSCE)のブルカルテル議長(スイス大統領)と会談後
「ウクライナ南東部の代表、連邦制導入支持者に対し、11日に予
定されている住民投票を延期するよう要請する」と述べ、投票が延
期されれば、ウクライナ暫定政権と親ロシア派の対話の条件が整う
との考えを示した。

ロシアの狙いは、ウクライナ東部のロシア軍向け工業生産が今まで
どおりに出来ることが保証されることが狙いであり、その方向が明
確化したようである。

しかし、ウクライナ東部ルガンスクもドネツク州の親ロシア派勢力
も8日、自治権拡大に関する住民投票を予定通り11日に実施する
と表明した。ロシアのプーチン大統領は住民投票の延期を呼び掛け
ているが、これを拒否した。

そして、米国は7日、オバマ大統領がロシアからの輸入品に対する
一般特恵関税(GSP)制度を撤廃する方針を議会に伝えた。ロシ
アへの制裁を追加した。同期して欧州連合(EU)は一部ロシア企
業を含めた制裁対象の拡大を準備し、制裁対象リストは12日にも
承認されるとした。

このように条件交渉になり、ケリー米国務長官とロシアのラブロフ
外相は9日、ウクライナ東部の緊張緩和に向けて電話で協議した。
電話会談は8日から2日連続。ここで「ラブロフ外相は、ウクライ
ナ政府が同国南東部における軍事行動を停止し、政治犯の解放や活
動家の恩赦に踏み切るよう、米政府がウクライナ政府に働き掛ける
ことと、欧州安保協力機構(OSCE)の仲介によるウクライナ政
府と親ロシア派の早期対話を要請した。」

負けている状態では条件交渉に負けると、ウクライナの治安部隊は
9日、東部マリウポリの警察本部で親ロシア派勢力と衝突し、アバ
コフ内相によると、親ロシア派約20人が殺害したと。

そして、ウクライナのヤツェニュク首相は9日、緊張の緩和に向け
た国民対話の場となる「円卓会議」を14日に開催するとした。
しかし、トゥルチノフ大統領代行は9日、親露派武装集団を念頭に
「テロリストとの対話はあり得ない」と述べ、円卓会議を開いても
親露派が参加しない可能性がある。会議に成果を期待できるかどう
かは予断を許さない。

そのため、ロシアのプーチン大統領は9日、旧ソ連圏のロシア系住
民の「民族自決権」を尊重するよう諸外国に呼び掛けた。自国への
編入後初めて訪問したウクライナ南部クリミア半島で語った。

ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領は、11日にド
ネツク州などでの親ロシア派集団による独立の賛否を問う住民投票
は「違法」だとの認識で一致したと。

そして、今日(11日)、ドネツクとルガンスクの東部2州では、
親ロシア派が事実上の独立を問う独自の住民投票を行っている。

結果は12日には出ているはずで、おそらく独立支持が60%以上
になることは確実である。

その後の推移は、欧米は認めないとするが、ロシアは連邦制にする
べきと強く主張することになる。

2.米世論は
QUARTZ誌に「Ukraine won’t trigger World War III: Accept the 
new global disorder」では、ウクライナ紛争は第3次世界大戦には
ならないが、新しい国際秩序を作るべく、混乱の世界になる可能性
が高いと、ジーエン・ラーマンIMD大学名誉教授はいう。

プロジェクト・シンジケート誌に「America’s Enduring Leadership」
でブルックリン研のブロス・ジョーンズ氏はいう。米国の影響力が
減っている。2つの中東の戦争が続き、そこから撤退できないこと
で、米国に対してロシア・中国・シリアなどは妥協しなくなった。
米国が冷戦を制したスーパー・パワーではなくなり、この状態が続
くという。今が常態になるというのだ。いやな世界になってきた。

ナショナル・インタレスト誌の「Ukraine and Latvia: Welcome to 
"The Clash of Civilizations"」では、インタレスト誌の編集員で
あるロバート・メリー氏は、リアリストがNATOの拡大で、ウク
ライナの事態になったというが、それではなく、その持っている文
化で、紛争が起きたと。その比較にウクライナとラトビアを比較し
て、スラブ人がウクライナは多く、ロシアと同等な文化があり、し
かし、西部には非スラブ人もいるので、その人たちとEUは文化が同
じであり、ロシア文化圏とEU文化圏があり、そのため分裂するとい
う。

というように、米国の知識人の意見を聞いても、米国が弱気な感じ
がする。

このように米国の国際政治の評論家が言うので、おそらく、ウクラ
イナは分裂か連邦制になる。ロシアが目指す方向に行く。

3.日本はどうすればよいのか
日本は、本来、中国封じ込めのために、ロシアもその封じ込めの一
員にするべきであったが、欧米対中露の新冷戦になり、その勢力の
線引きをしている状態になっている。

このため、中国包囲網ということはできなくなったが、ベトナムを
仲間にして、構想を変える必要がありそうである。

ロシアを日本は、それでも敵対的にせずに、ロシアとの関係を友好
的にしておくことが必要である。日中戦争になった時でも、ロシア
が戦争に参加しないで中立であることで、日本の負担は少なくなる
からである。

もう1つが、天然ガスをパイプラインで供給されると、価格が大幅
に安くなる。当面はロシアと敵対関係にしないことである。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
5001.新しい冷戦が始まった(p0292)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/260504.htm

4995.ウクライナ紛争の終わり方2(p0291)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/260427.htm

4992.ウクライナ分裂の開始
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/260425.htm

Ukraine and Latvia: Welcome to "The Clash of Civilizations"
http://nationalinterest.org/feature/ukraine-latvia-welcome-the-clash-civilizations-10441

Six Mistakes the West Has Made (and Continues to Make) in Ukraine
http://nationalinterest.org/feature/six-mistakes-the-west-has-made-continues-make-ukraine-10397

America’s Enduring Leadership
http://www.project-syndicate.org/commentary/bruce-jones-argues-that-no-country-can-match-the-us-in-terms-of-the-breadth-and-strength-of-its-alliances

Ukraine won’t trigger World War III: Accept the new global disorder
http://qz.com/205132/ukraine-wont-trigger-world-war-iii-accept-the-new-global-disorder/


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ウクライナ東部、市街地で戦闘 親ロシア派が住民投票へ
マリウポリ=石田博士、ドネツク=喜田尚2014年5月11日01時52分
 ウクライナ東部の情勢がさらに不穏さを増している。ドネツク州
の港湾都市マリウポリでは9日、軍と親ロシア派の戦闘が初めて市
街地で起き、州都ドネツクでは赤十字の現地職員らが何者かに一時
的に連行された。ドネツクとルガンスクの東部2州では11日、親
ロシア派が事実上の独立を問う独自の住民投票を行う。
 親ロシア派に対するウクライナ軍の制圧作戦で多数の死者が出た
マリウポリ。人口46万の工業都市でクリミア半島にも近い。9日
の制圧作戦で警察庁舎が全焼し、壁には銃弾の跡が無数に残る。親
ロシア派が占拠していたとされる建物だ。だが、情報は入り乱れる。
 作戦が始まったのは9日午前10時すぎ。近くの住民の男性(37
)は「警察は親ロシア派の鎮圧を命じられたが拒絶したため、軍が
攻撃した」と話した。花を手向けに訪れたクリスティーナさん(34
)は11日の住民投票で「独立」に賛成するつもりだが、「西部か
ら極右の過激派が襲撃に来ると聞く。怖い」と話した。
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ウクライナ親露派の住民投票「違法」…独仏首脳
2014年05月10日 21時51分Yomiuri Shimbun
 【ベルリン=工藤武人】ドイツのメルケル首相とフランスのオラ
ンド大統領は10日、独北部シュトラールズンドで会談し、ウクラ
イナ情勢について協議した。
 会談後に発表された共同声明によると、両首脳は11日にドネツ
ク州などでの親ロシア派集団による独立の賛否を問う住民投票は「
違法」だとの認識で一致した。
 会談で両首脳は、親露派武装集団が行政府庁舎などの占拠を続け
るウクライナ東部の事態沈静化に向け、全欧安保協力機構(OSC
E)の監督下で、非正規勢力の武装解除を進めるよう要請した。ウ
クライナ暫定政府の治安部隊に対しても武器の使用を慎むよう呼び
かけた。
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ロシア系の自決権尊重を=住民投票に一定理解−プーチン氏
 【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領は9日、旧ソ連圏のロ
シア系住民の「民族自決権」を尊重するよう諸外国に呼び掛けた。
自国への編入後初めて訪問したウクライナ南部クリミア半島で語っ
た。
 大統領は「ロシアは諸外国・国民の法的権利や利益を尊重してい
る」と主張。「諸外国に対しては、われわれの法的利益、特に歴史
的正義や民族自決権を尊重するよう求める」と強調した。
 ウクライナ東部ドネツク州などでは11日、親ロシア派が住民投
票を強行する構え。大統領は先に、条件が整わないとして投票延期
を親ロシア派に要請し、拒否されたが、住民投票に一定の理解を示
した形だ。(2014/05/10-21:32)
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首相、円卓会議14日開催を表明 親露派の参加焦点
2014.5.10 09:19
 ウクライナのヤツェニュク首相は9日、同国東・南部で続く緊張
の緩和に向けた国民対話の場となる「円卓会議」を14日に開催す
ると表明した。
 東部で公的庁舎を占拠する親ロシア派は11日に2州で独立の是
非を問う住民投票を強行する構えで分離独立の動きが強まる懸念が
ある。トゥルチノフ大統領代行は9日、親露派武装集団を念頭に「
テロリストとの対話はあり得ない」と述べており、円卓会議を開い
ても親露派が参加しない可能性がある。会議に成果を期待できるか
どうかは予断を許さない情勢だ。
 25日にはウクライナ大統領選が予定されている。大統領選によ
り、政権側は自らの正統性を確保したい考えで、地方分権に向けた
憲法修正など円卓会議の場で親露派に一定の譲歩を示し、大統領選
の実施につなげたい意向だ。(共同)
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ウクライナ政府・親ロシア派は早期対話を、ロ外相が要請
2014年 05月 10日 03:02 JST
[モスクワ 9日 ロイター] - ロシアのラブロフ外相は9日、ケ
リー米国務長官と電話会談し、欧州安保協力機構(OSCE)の仲
介によるウクライナ政府と親ロシア派の早期対話を要請した。
ラブロフ外相はさらに、ウクライナ政府による親ロシア派に対する
武力行使の停止を促すよう米政府に求めた。
ロシア外務省は声明で「ラブロフ外相は、ウクライナ政府が同国南
東部における軍事行動を停止し、政治犯の解放や活動家の恩赦に踏
み切るよう、米政府がウクライナ政府に働き掛けることを望むと表
明した」と明らかにした。
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EU、一部ロシア企業へ制裁準備 対象拡大、リストは12日にも
承認
2014.5.10 05:00sankeibiz
 欧州連合(EU)はウクライナ問題で、一部ロシア企業を含めた
制裁対象の拡大を準備している。制裁対象リストは12日にも承認
される可能性がある。EU加盟国の当局者2人が明らかにした。
 同当局者によると、制裁に直面するロシア企業は、ロシアが3月
に併合したクリミアで事業を接収したと批判されている。同当局者
は重要な問題だとして、匿名を条件にワシントンで語った。
 EU28カ国の代表は今月7日、ウクライナでのロシアの動きに
抗議するため制裁対象を拡大することで暫定合意した。当局者は制
裁対象となるロシア企業を特定しなかったが、さらにクリミア人も
数人リストに掲載されていると述べた。EU外相は12日の会合で
最終決定を下す見通し。
 EUはこれまでのところ金融機関や企業でなく、個人を対象に資
産凍結や査証(ビザ)発給禁止といった限定的な制裁にとどめてい
る。複数の欧米当局者によると、今のところ12日に米国の新たな
制裁は発表されない見込みだが、ロシアや親ロシア派武装勢力がウ
クライナを不安定化させる一段の行動を取った場合、見通しが変わ
る可能性があるという。(ブルームバーグ)
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ウクライナ治安部隊、東部で親ロシア派の約20人殺害=内相
2014年 05月 9日 22:39 JST
[キエフ 9日 ロイター] - ウクライナの治安部隊は9日、東部
マリウポリの警察本部で親ロシア派勢力と衝突し、アバコフ内相に
よると、親ロシア派約20人が殺害された。
ウクライナ議会のOleh Lyashko議員によると、戦闘で親ロシア派の
8人が死亡した。またドネツクの医療当局は3人が死亡、25人が
負傷したとしている。
現場に居合わせた地元のカメラマンによると、警察本部から炎が上
がったという。ドネツク地方の地元警察はコメントを控えた。
同地域は11日、分離の是非を問う住民投票を行う予定となってい
る。
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米ロ外相が電話協議=ウクライナめぐり2日連続
 【モスクワ時事】ケリー米国務長官とロシアのラブロフ外相は9
日、ウクライナ東部の緊張緩和に向けて電話で協議した。電話会談
は8日から2日連続。ロシア外務省によると、両者は暴力の停止と
国民対話の開始のため、協議を継続することで一致した。
(2014/05/10-05:49)
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ウクライナ・ルガンスクの親ロ派、住民投票の延期拒否=通信
2014年 05月 9日 02:16 JST
[モスクワ 8日 ロイター] - ロシア通信によると、ウクライナ
東部ルガンスクの親ロシア派勢力は8日、自治権拡大に関する住民
投票を予定通り11日に実施すると表明した。
ロシアのプーチン大統領は住民投票の延期を呼び掛けているが、こ
れを拒否する格好となった。ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア
派も住民投票を予定通り実施すると表明している。
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ロシア、6月からガス輸出停止へ ウクライナへ圧力
 【モスクワ共同】ロシアのノバク・エネルギー相は8日、ウクラ
イナへの天然ガス輸出を6月1日から前払い制に移行すると発表し
た。ウクライナは既に約35億ドル(約3550億円)のガス代を
滞納しており、ロシアが6月から輸出停止に踏み切る公算が大きく
なった。
 ウクライナは天然ガス需要の半分以上をロシアに依存。ロシアの
プーチン政権は、ロシアが要求する連邦化などに向け具体的な措置
を取らず、親ロシア派住民への武力行使を続けるウクライナ政権へ
の圧力を、いっそう強める構えだ。
 ロシア、ウクライナ、欧州連合(EU)は12日に、天然ガス供
給問題で2回目の3者協議を開く。
2014/05/09 05:20   【共同通信】
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米、ロシアへの関税優遇撤廃=ウクライナで対抗措置−部隊撤退
「証拠」ない
 【ワシントン時事】カーニー米大統領報道官は7日声明を出し、
オバマ大統領がロシアからの輸入品に対する一般特恵関税(GSP
)制度を撤廃する方針を議会に伝えたことを明らかにした。
 ロシアの所得が向上したことを理由にしているが、ウクライナ東
部で挑発行動を続けるロシアへの事実上の対抗措置といえる。
 国家安全保障会議(NSC)のヘイデン報道官は時事通信に対し
、大統領の決断は現在のウクライナ情勢と直接関係はないものの「
ウクライナをめぐるロシアの行動により、この措置を今取るのが特
に適切となった」と説明した。
 ヘイデン氏はまた、世界銀行が昨年7月にロシアを「高所得国」
に格上げしたことを指摘して「同国は特恵関税を『卒業』している
」と述べた。2016年1月から撤廃されるという。
 米通商代表部(USTR)によると、13年(1〜7月)にロシ
アは特恵関税で2億9600万ドルの利益を得ている。
 一方、アーネスト大統領副報道官は7日、記者団に対し、プーチ
ン・ロシア大統領が対ウクライナ国境の部隊撤退に言及したことに
ついて「きょうまで撤退が行われた証拠はない」と明言した。
(2014/05/08-06:49)
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ロシア軍がウクライナ国境撤退、プーチン氏は住民投票延期を要請
2014年 05月 8日 06:32 JST
[モスクワ/ドネツク(ウクライナ) 7日 ロイター] - ロシア
のプーチン大統領は7日、ウクライナ東部で親ロシア派が11日に
予定している独立の是非などを問う住民投票の延期を呼び掛けた。
また、ウクライナとの国境地帯から軍を撤収させたことを明らかに
した。
プーチン大統領がウクライナ東部の住民投票を支持しない可能性を
示唆したのは今回が初めて。アナリストの間では、親ロシア派勢力
はプーチン大統領の意向に従うとの見方が出ており、ウクライナ分
裂の危機は回避される可能性も出てきた。
プーチン大統領はこの日、ロシアを訪問している欧州安保協力機構
(OSCE)のブルカルテル議長(スイス大統領)と会談。
会談後「ウクライナ南東部の代表、連邦制導入支持者に対し、11
日に予定されている住民投票を延期するよう要請する」と述べ、投
票が延期されれば、ウクライナ暫定政権と親ロシア派の対話の条件
が整うとの考えを示した。
これについて、ウクライナ東部で「ドネツク人民共和国」の設立を
宣言した親ロシア派勢力の指導者を名乗るデニス・プシリン氏はロ
イターに対し、「われわれはプーチン大統領に多大な尊敬を抱いて
いる。同大統領が(投票の延期が)必要と考えるのなら、当然われ
われは延期を検討する」と述べ、8日に会合を開きプーチン大統領
の提案を検討することを明らかにした。
一方、ウクライナのヤツェニュク首相は、プーチン大統領の発言は
あてにならないものとして一蹴。米ホワイトハウスは、予定されて
いる住民投票はそもそも「違法」なものとして、延期ではなく中止
されるべきとの考えを示した。
プーチン大統領はまた、ウクライナ国境地帯から軍の部隊を撤収さ
せたことも表明。「部隊は現在は国境付近に展開しておらず、訓練
場で通常の任務に就いている」と述べた。
ただ、ロシア軍の国境地帯からの撤収については、北大西洋条約機
構(NATO)のほか、米国の国防総省とホワイトハウスが撤収の
事実は確認されていないとしている。
ポーランド訪問中のNATOのラスムセン事務総長は、「ロシアは
国際公約を順守し、分離派に対する支援を打ち切り、国境地帯から
軍隊を撤収させる必要がある」とクギを刺した。
ロシア政府寄りとされる政治アナリストのエフゲーニー・ミンチェ
ンコ氏は、「ウクライナ軍と対峙している分離派の間には、ロシア
政府、およびロシア軍の支援がなければ、(ウクライナ軍による)
攻撃にさらされるとの理解がある」と指摘。有識者の間では、ウク
ライナ東部の分離派はプーチン大統領の言葉に耳を傾けるとの見方
が出ている。
==============================
大統領選実施に反対 露外相、政権側を批判
2014.5.7 00:09
 ロシアのラブロフ外相は6日、訪問先のウィーンで記者会見し、
ウクライナで25日に予定される大統領選について「(ウクライナ
政権が)自国民に対して軍を展開している中で実施するのは異常だ
」と述べ、実施に反対した。
 ラブロフ氏は、同国での暴力自制などを求めた米ロ、欧州連合(
EU)など4者によるジュネーブ声明をウクライナ政権が履行して
いないとも主張。同じ枠組みで再協議することは可能だが、親ロシ
ア派を参加させなければ成果は得られないと述べた。
 これに対し、ウクライナのデシツァ外相は6日、同じくウィーン
での記者会見で、ロシアが大統領選実施を支持するなら、ジュネー
ブ声明をめぐる再協議に応じる用意があると述べた。(共同)
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ロシアが大統領選支持なら協議に応じる=ウクライナ外相
2014年 05月 7日 03:54 JST
[ウィーン 6日 ロイター] - ウクライナのデシツァ外相は6日
、25日に予定されるウクライナ大統領選挙をロシアが支持すれば
、危機解決に向けた話し合いに応じる姿勢を示した。
ウクライナ、ロシア、米国、欧州連合(EU)は4月17日にジュ
ネーブで外相級の4者協議を開き、武装勢力の武装解除などで合意
している。
ウィーンを訪れている同外相は記者会見で、「ロシアが選挙を支持
し、ウクライナ国内の過激派分子に対する支援を打ち切ることを約
束すれば、ウクライナにはこうした協議に再度参加する用意がある
」と述べた。
同外相は、関係各国すべてが合意事項を履行する決意を示せば、ウ
クライナは次回協議の開催を支持すると表明。ただ「現時点では、
ウクライナにとり大統領選挙を実施することが最優先事項となる」
と述べた。
ウクライナ大統領選について、ロシアのラブロフ外相はこの日、ウ
クライナ当局が自国民の一部に対し軍隊を差し向けるなかで大統領
選が実施されることは通常ではあり得ないと指摘。
次回協議が開催される場合、ウクライナの現政権反対派も参加する
必要があるとの考えを示した。
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ロ軍侵攻の可能性低い NATO司令官が分析
2014.5.6 11:45
 ロイター通信によると、北大西洋条約機構(NATO)欧州連合
軍のブリードラブ最高司令官は5日、ウクライナ東部の国境近くに
展開しているロシア軍が実際に国境を越えて侵攻する可能性は低く
なったとの見方を示した。カナダ・オタワでの国際会議で語った。
 ブリードラブ氏は、ロシアが特殊部隊などを使って混乱をあおり
、ウクライナ中央政府の東部での支配権をそぐことに成功しており
、正規軍を送り込む必要性は低まっていると分析。今後もロシアが
同様の手法を続けるとの見通しを示した。
 同時に、1週間前までは、ロシアが編入したクリミア半島へのア
クセスを確保するために正規軍を侵攻させる可能性が高いとみてい
たことも明らかにした。(共同)
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ウクライナ分裂の危機深まる、21歳看護師が親ロ派の「殉教者」に
2014年 05月 6日 13:32 JST
[クラマトルスク(ウクライナ) 5日 ロイター] - 親ロシア派
が行政庁舎などを占拠しているウクライナ東部クラマトルスクで3
日、21歳の看護師が銃弾を受けて死亡した。5日に行われた葬儀
には、親ロ派の「殉教者」となったこの女性を追悼しようと数百人
が集まった。
友人や家族らの話では、ウクライナ軍の装甲車列から発射されたと
みられる大口径弾が背中に命中し、病院で死亡が確認された。
この女性は生前には親ロ派とウクライナ軍の衝突には特に関与して
いなかったが、遺体が収められた棺は、親ロ派武装集団が占拠する
クラマトルスク中心部の市庁舎前に運ばれた。
追悼には市民ら数百人が集まったが、その光景は首都キエフで2月
末、ヤヌコビッチ大統領(当時)の退陣を求めたデモ隊に治安部隊
が発砲し、多くの遺体が広場に運ばれていたのを思い起こさせる。
この時は反政権派がキエフを掌握し、ヤヌコビッチ氏は政権を追わ
れて国外に脱出した。
親ロシア派だったヤヌコビッチ政権が崩壊し、親欧州路線への回帰
を掲げた暫定政権が誕生して約2カ月。人口4500万人のウクラ
イナは、暴力の連鎖で政治的解決の望みが薄れつつあり、内戦状態
の様相を見せ始めている。
ウクライナ東部で「ドネツク人民共和国」の設立を宣言した親ロシ
ア派勢力のリーダーとされるデニス・プシリン氏は、「血が流れれ
ば流れるほど、1つに結ばれたウクライナの可能性は低くなる」と
警告した。
ドネツク州では親ロ派が、同州独立の是非を問う住民投票を5月11
日に実施するとしているが、暫定政権は投票の結果を認めないとみ
られる。
死亡した女性看護師の葬儀では、参列者を見つめる親ロ派メンバー
の1人が「われわれは絶対に許さない。(ウクライナ)南東部は今
回のことを100年は忘れない」と語った。
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ウクライナ暫定政府、親露派拠点で軍事作戦再開
2014年05月06日 10時01分 Yomiuri Shimbun
 【オデッサ(ウクライナ南部)=工藤武人、モスクワ=緒方賢一】
インターファクス通信によると、ウクライナ暫定政府は5日、東部
の親ロシア派武装勢力の拠点スラビャンスクで軍事作戦を再開し、
激しい戦闘となった。
 内務省は治安部隊の4人が死亡、約30人が負傷したと明らかに
した。また、地元の病院の担当者は7人が運び込まれ、このうち2
人は死亡したと述べた。7人は武装勢力か地元住民とみられる。
 ウクライナ国防省は、スラビャンスクで軍のヘリコプターが地上
からの砲撃を受けて墜落したと明らかにした。パイロットは無事だ
という。
 一方、ドネツクの市議会庁舎近くでは5日未明に銃撃があり、4
人が負傷。銃撃の前には爆発もあった。
 暫定政府のトゥルチノフ大統領代行は4日、地元テレビのインタ
ビューで、「東部地域の住民は分離主義者(親ロシア派)を支持し
ている」と述べ、住民の間に暫定政府への反感が強まり「反テロ作
戦」が難しくなっていると認めた。
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ロシア外務省、ウクライナ当局に協議を呼び掛け これ以上の流血
回避
2014年 05月 6日 02:02 JST
[モスクワ 5日 ロイター] - ロシア外務省は5日、ウクライナ
当局に対し、同国東部でのこれ以上の流血の事態を避けるため、武
力行使をやめ、話し合いの席に着くよう呼び掛ける声明を発表した。
ウクライナ政権は親ロシア派が拠点としている東部の都市奪還に向
け大規模な軍事作戦を再開。こうしたなかロシア外務省は声明で、
ウクライナ東部で人権問題にかかわる危機が発生していると警告。
ウクライナ当局に対し「良識を取り戻し、流血の事態を終わらせ、
部隊を撤収させ、政治危機の解決に向け正常な協議を開始する」よ
う呼び掛けた。
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170人以上拘束 ウクライナ南部オデッサの騒乱 大多数がロシ
ア人とモルドバ親露派地域住民 
2014.5.4 20:50
 【ドネツク(ウクライナ東部)=佐々木正明】ウクライナ南部オ
デッサで起きた暫定政権支持派と親ロシア派による大規模衝突で、
ウクライナ内務省は4日までに、騒乱を煽動(せんどう)した疑い
などで170人以上を拘束した。大多数はロシア国籍の者と隣国モ
ルドバの親露派地域「沿ドニエストル共和国」出身の者だという。
 ロイター通信によると、内務省報道官は「騒乱は、外国の干渉行
為により引き起こされた」と述べた。オデッサから西に約70キロ
離れた沿ドニエストルはロシアへの編入を求めており、オデッサで
親露派住民と活動していたとみられる。
 一方、暫定政権が親露派武装集団への軍事作戦を進める東部ドネ
ツク州スラビャンスク近郊では3日、銃撃戦で6人が死亡、15人
が負傷した。
 ロシア通信によると、治安部隊側はスラビャンスク郊外の幹線道
路を奪還し、武装集団の幹部は4日、「われわれが支配しているの
は市内中心部と行政庁舎だけだ」と語った。
 親露派は一方で、3日にはドネツク州の州都ドネツクで警察庁舎
を占拠したほか、東部ルガンスク州の州都ルガンスクで軍施設を占
拠するなど抵抗している。
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ウクライナ、「内戦」の様相=庁舎占拠、戦闘で死者増加
 【モスクワ時事】ウクライナ東部ドネツク州では3、4両日、各
地で親ロシア派のデモ隊・武装集団が新たに庁舎などを占拠し、軍
・治安部隊との戦闘に発展した。双方の10人以上が死亡したとみ
られ、情勢は「内戦」の様相を帯びてきた。混乱が拡大すれば、25
日の大統領選だけでなく、親ロシア派が11日の実施を要求する住
民投票も困難になりそうだ。
 ロシア国営テレビによると、親ロシア派の「本丸」である州都ド
ネツクでは3日、自治権拡大などを求めて数千人がデモを行い、ウ
クライナ保安局(SBU)庁舎を占拠。「ドネツク人民共和国」旗
を掲げた。
 州北部スラビャンスクは軍が包囲。隣町クラマトルスクでは、軍
が検問所の制圧作戦を続行し、銃撃戦や爆発で兵士2人を含む約10
人が死亡した。州北部コンスタンチノフカのテレビ塔をめぐっても
親ロシア派と戦闘があり、軍に負傷者が出た。州南部マリウポリで
も、親ロシア派が治安部隊と衝突した。
 一方、東部ルガンスクでは、迷彩服姿の武装集団が兵士募集所を
急襲。銃撃戦で親ロシア派1人が死亡した。(2014/05/05-00:14)
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暫定政権を非難=ウクライナ南部の火災で−ロシア
 【モスクワ時事】ロシア外務省は3日、声明を出し、ウクライナ
南部オデッサの親ロシア派が占拠した建物で2日に30人以上が死
亡した火災の責任は、暫定政権にあると非難した。
 火災は親ロシア派と反ロシア派の衝突の末に発生した。声明は、
暫定政権について、「(反ロシア派の)右派セクターなど民族主義
過激派に寛容だ」として、「犯罪的に無責任だ」と決め付けた。
(2014/05/03-07:27)



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