4989.2・26事件は日本近代の闇を解く鍵



2・26事件は日本近代の闇を解く鍵
From: 得丸公明(思想道場鷹揚の会)

 朝目が覚めて携帯電話の画面をみると今日は2月26日。そ うだ渋谷の2・26
事件関係者の慰霊像にお参りしようと思い立った。死刑が執行された代々木刑務
所の跡地に遺族が建立した慰霊像を、僕は まだ一度も訪れたことがない。

朝9時ごろ、NHK放送セ ンターの前にある観音像を訪れると、遺族が花を供えて
いた。遺族の焼香のあと、僕もお焼香した。午後1時からは、麻布十番の賢崇寺
で、79回忌の法要に参列して焼香。法要の参加者数は30名ほどで、見張っていた
公安刑事の数より少し多いくらいだった。


 昭和史最大の謎といわれる2・26事件は、いまだに解明されていない。それ
は解明を阻む国家権力の圧力が今も衰えていないからだろう。 歴史家たちは、
処刑された青年将校や北一輝について断片的記述をして、思い込みを述べるの
み。これは読者に歴史の闇を闇のまま受け入れる ことを強いて、結果的に権力
が歴史を封印する手助けをしている。


 僕がこの事件に興味をもつのは、きっとどこかに真実があるはずだと思うから
だ。数年前に目にした対馬勝雄中尉の遺墨「後世史家に俟(ま)つは、維新にあら
ず、現代人の恥辱なり」という言葉に応えなければならないという使命感もあ
る。2・26事件に呼ばれ ているのかもしれない。


 これまで何回か法要に参加して一番の発見は、昭和10年8月に永 田鉄山を斬殺
した相沢三郎が、2・26事件参加将校たちと同じ墓に入っていることだ。永田
は、陸軍きっての俊才であったことから、2・ 26事件は単独の事件ではな
く、周到に計画された日本陸軍の指揮命令系統の破壊工作であり、日本を必敗の
戦争に陥れる陰謀だったと考え る。


 だとすると、2・26事件を解明するためには、

(1)この偽クーデターのシナリオを書いた人物なり機関が存在するはずだ。それ
は誰なのか。

(2)昭和天皇はなぜ偽クーデターを支持して、日本を滅ぼす戦争に突入したの
か。何か弱みでも握られていたのか。

 この2つの疑問を解けばよいということになる。


 海軍でおきた昭和7年の5・15事件との相似性、海外からの陰謀の可能性は
ないか、といったことを丁寧に調べてみると、意外な真相がみえ てくるかもし
れない。それは明治維新後の近代国家日本について、我々が思ってもみなかった
本質かもしれない。こう考えるのは、鬼塚英昭さ んの『日本の本当の黒幕』を
読んで、じつは田中光顕は本当の黒幕ではなく、田中光顕を動かしていた闇の勢
力がいるのではないかと直感した ことが大きい。

(2014年2月26日)

https://www.youtube.com/watch?v=TiHMh-ttH38

青年将校は処刑されていなかったという証言です

たしかに処刑後のデスマスクとか、銃痕のある衣服とか、
みたことありませんから、ありえますね。

お墓も思っていた以上にシンプルです。

それと、永田鉄山を斬殺した相沢三郎をふくむ22士は
慰霊しますが、永田鉄山は慰霊しない。

このことが疑問でした。

処刑がなかったのならなっとくがいきます

得丸公明
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前衛に立つ喜び
                     得丸


 前衛に立つ喜び ― ゴーギャンの伝えたかったこと

 ポール・ゴーギャンがタヒチで描いた畢生の大作「私たちはどこからき たの
か。私たちは何ものか。私たちはどこにいくのか。」の実物を東京の国立近代美
術館でみたとき、南国の楽園タヒチのはずなのに、どうし てこんなに暗くて寂
しいのだろうかと疑問をもった。


 フランスでの銀行員の生活を捨てて、近代文明に冒されていないはずのタヒチ
に移住したゴーギャンは、そこはパラダイスではないこと、そ こには人類の希
望も喜びもないことを伝えようとした。人類がめざすべきは、近代文明でもな
く、原始生活でもない。もっと別の生き方なの だ。


 私は、地球環境問題がなぜ起きたのかという疑問から、人類と文明の起源に興
味をもち、2007年4月に最古の現生人類遺跡である南アフリカ共和国・クラシー
ズ河口洞窟を訪れた。以来7年ほど、言語の起源とメカニズム、そして知能の個
別発展と類的発展について、考えてきた。


 その結果わかってきたことは、言語を使うヒトの脳とヒト以外の動物の脳は、
構造的にまったく同じであることだった。ヒトの言語進化は、 喉頭降下、つま
り肺の空気の出口が食道のなかほどにまで下がることによって、ア、イ、ウ、
エ、オの母音が共鳴して発声できるようになった ことだけなのだ。


 私の言語理論によれば、ヒト以外の動物も、時間をかけて、その言葉を覚える
ことに意味があることさえ教えれば、概念語も文法語も習得で きる。飼い猫や
飼い犬が、言葉を理解していると思っている飼い主は多いが、犬や猫はしゃべる
ことができないだけで、人間の話す言語を理解 できる。なぜならば、言語理解
は、脊椎動物がすべてもっている脊髄反射によって生まれていて、それは脳幹網
様体に構築される言語記憶の抗 原と、脳室脳脊髄液中にあるBリンパ球の抗体が
おりなす抗原抗体反応だからだ。


 ヒトと動物の違いは、母音を出せるかどうかだけであるのに、人類は他の動物
の生命をないがしろにして、自分たちだけに都合のよい文明を 構築してしまっ
た。この考え違いが地球環境問題を引き起こしたと私は考える。


 だから人間が必要とするのは、これまでに人類が発展させてきた文化を継承し
て、さらにそれを発展させることである。どこまで文化が発展 しているのか、
先駆者たちの情熱と知的努力の成果をきちんと受け止めて、それをさらに発展さ
せる前衛にたつこと。これが人間だけに許され た喜びである。


 タヒチにはそれがなかった。西洋でもそれは十分に意識されていない。ゴー
ギャンは、タヒチで前衛として生きることを渇望してあの絵を描 いたのではな
いかと思うのである。

得丸公明(思想道場 鷹揚の会、2014年3月5日)





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