プーチンが何を狙っているのかが、大きな問題になっている。ロシ アを世界的な大国に復帰させることなのか、それともロシアの安全 に支障があると見て限定的なのか、どこまで狙っているのかを考察 する必要がありそうである。 津田より ０．経緯 ウクライナで来月予定の大統領選挙は、２３人が立候補が確定し、 最新の世論調査では、抗議デモを支援したポロシェンコ氏が多いが、 その大統領選より危機的な状況になってきた。 ウクライナ東部のロシア国境に近いドネツクなど３都市で６日、親 ロシア派のデモ隊が行政庁舎などを占拠した。デモ隊は庁舎にロシ ア国旗を掲げ、クリミア半島で行われたようなロシアへの編入を問 う住民投票の実施を要求した。 このドネツクで州庁舎を占拠した親ロシア派のデモ隊は７日、「ド ネツク人民共和国」の樹立を宣言、平和維持のためロシア軍部隊の 派遣を要請した。続いて、ハリコフ州でも親ロシア派デモ隊が「ハ リコフ人民共和国」の樹立を宣言した。 ハリコフ州の州都ハリコフで八日早朝、内務省特殊部隊が庁舎内に 立てこもる七十人を拘束し、庁舎を奪還した。そして、特殊部隊は 東部ドネツクやルガンスク両州にも配置されたという。 その上で、アワコフ内相は９日、強制排除も辞さない構えを示し、 ４８時間以内に事態を解決すると宣言した。ただ、まずは対話を模 索するとも強調した。 アメリカのケリー国務長官は「ロシアがクリミア半島に軍事介入し たときと同じことをもくろんでいる可能性がある」としたうえで「 ロシアの特殊部隊や工作員が背後にいるのは明らかだ」と述べ、ロ シアを強く非難した。 そして、露ラブロフ外相と米ケリー国務長官は９日、ウクライナ情 勢をめぐり電話で協議し、東部の住民らが州庁舎などを占拠してい る現状について、治安部隊との衝突を回避する必要性で一致した。 ラブロフ外相は近く欧州で開催を予定している米ロ、欧州連合（Ｅ Ｕ）、ウクライナによる協議の議題に関し、連邦制を柱とするウク ライナ憲法の修正が重要との認識を伝えた。 そして、１１日、ウクライナの緊張緩和に向けた米ロとウクライナ 、欧州連合（ＥＵ）の４者会合が１７日にジュネーブで開催される とした。しかし、ロシア外務省は１２日、開催合意を否定した。 NATO軍司令部は、ウクライナ国境付近に展開しているロシア部隊が ４万人程度で100カ所以上の仮設基地を設置し、最高レベルからの 指示を受けて数時間以内に迅速行動できる即応体制にあるとの分析 を明らかにした。ロシアはウクライナ東部地域で何かあれば、侵攻 できる体制を整えた。 その上で、ルガンスク州の州議会幹部会は１０日、親欧派の暫定政 権が親露派デモ隊の要求に応じるべきだとの声明した。要求として （1）デモ隊の強制排除の断念（2）拘束したデモ参加者への恩赦 （3）連邦制導入をめぐる住民投票実施（4）ロシア語の第２国語化 −を暫定政権に求めた。 この要求に沿う形で、ヤツェニュク首相は11日の会合で、親ロ派勢 力が求めている住民投票の実施について「議会は地域の住民投票に 関する法律を採択しなければならない」と指摘。新たに地方自治体 の枠内での住民投票の実施を認める考えを示した。 ただ、住民投票を実施した場合も、親ロ派勢力が求める「連邦制へ の移行」を問う内容が認められるかなど詳細は不明だ。親ロ派は５ 月25日の大統領選投票と同時に地域の住民投票を実施することを要 求している。 ヤツェニュク首相は公用語であるウクライナ語以外の少数言語の権 利を保護する考えも強調。ロシア系住民が多い東・南部でもロシア 語を第２公用語として使える現行制度を維持する方針を示した。 また、「強制排除抜きで人々に庁舎から出てもらうため、必要なこ とは全て行わなければいけない」と述べ、治安部隊による強制排除 に否定的な見解を示した。もし、強制排除すると、ロシアの侵攻が ある可能性が高いので、そう簡単ではない。 そして、州都ドネツクでは駐在する内務省特殊部隊が出動命令を拒 否し親ロ派側に寝返り、治安機関の建物も親ロ派に占拠された。ウ クライナ新政権は東部で統治能力を失いつつある。 これに対して、トゥルチノフ大統領代行は１２日、東部ドネツク州 の治安対策を統括する現地の国家保安局長を解任する大統領令を出 した。 ウクライナ東部スラビャンスクでは１２日夕、警察署や保安機関、 内務省関連の庁舎など少なくとも３カ所のビルが、親ロシア派に占 拠された。ドネツク州スラビャンスクで武装勢力が警察本部などに 押し入り、２施設を占拠した。武装勢力が施設内の拳銃や自動小銃 ４００丁以上を奪取し、デモ隊に配布したと報じるなど、混乱が拡 大している。 ウクライナ治安当局は１３日、東部ドネツク州スラビャンスクで市 庁舎や警察署を占拠している親ロシア派の強制排除に着手した。銃 撃戦が発生し、ロシア通信は親ロシア派１人が死亡、２人が負傷し たと伝えた。ウクライナ当局によると、治安部隊側も１人が死亡、 ５人が負傷した。 この前に、ブレナン米中央情報局（ＣＩＡ）長官が１２日にキエフ を訪れ、複数のウクライナ治安機関首脳と協議した。とうとう、米 国も本気になったようである。 このようなウクライナの状況から、ロシアのラブロフ外相は１１日 ウクライナ東部の親ロシア派デモ隊が要求しているロシア編入に反 対する考えを示した。「（編入の）意向はないし、ロシアの国益に 反する」と述べた。 反対の動きも出てきた。ドネツクで１２日、市民が大通りに並び手 をつなぐ「人間の鎖」で、ロシアヘの編入反対をアピールした。市 民は平和的に「ドネツクはウクライナだ」と訴えていたが、親ロシ ア派との小競り合いで、騒然となる場面もあった。ロシアへの編入 は、住民の反対が大きいことをわかる。 東部ではロシア語使用者が多数派ではあっても、民族としてのロシ ア系は少数派だ。ソ連崩壊からの２０年余りを経て、独立国ウクラ イナへの帰属意識も根付いている。プーチン政権が安易に東部情勢 に介入すれば住民自身の反発を招きかねない。 １．プーチンの意図は ナショナル・インタレスト誌に「Calling Putin's Bluff」でプーチ ンの意図を探っている。リンクは最後にある。その内容は、 プーチンは、欧米のリーダーとは違う考え方で、１９世紀の地政学 的な大国の駆け引きの中にいるとドイツのメルケル首相は言う。 この考えであると、国家が重要な要因であり、摩擦や駆け引きは必 然になる。そして、ハード・パワーが重要になる。 ウクライナはロシアと不可分な衛星国であり、本来ロシアであると プーチンは見ている。この考え方を取ると、ウクライナのロシアか ら離脱は、許せないことになる。このため、今回の行動がある。 ユーラシア同盟にウクライナを加盟させて、プーチンの世界的な大 国に復帰する夢を実現させることであったが、それが実現できなく なり、最低限の国益を考えた行動と見ているようだ。 ウクライナ東部工業地帯には、ロシア軍の軍事企業が多数立地して いる、ミサイル・ロケット工場や艦船やヘリコプター用の重要部品 でもウクライナに依存している。 プーチンは、ロシア愛国主義でアンチ欧米で、特に米国に対して、 何遍も攻撃的な演説をしている。欧米はロシアの国益を蔑ろにして いると思っている。 プーチンは東部ウクライナに侵略するかどうかが今、一番問題であ る。このエリアにはロシア語を話す人たちがいるが、クリミアより 大変である。ソ連時代から比べて、ロシア軍は機動力がなくなり、 小さくなったが、特殊部隊のような専門性が高くなっている。 このため、クリミアは成功した。この特殊部隊はウクライナ侵略の 初期には活躍するが、大規模戦争では変質するので有効ではない。 このため、ラブロフ外相は「連邦制」と提案している。キエフの中 央政府の統治を弱め、ロシア語圏の自治を高め、ロシアの影響力を 残す方向のようである。 これに対して、米国はロシア制裁を３月２０日に行う。プーチンの インナー・サークルに対しての制裁である。しかし、徐々にロシア 経済に影響する制裁に広げる可能性を示す。 ロシア経済は、2012年に成長率3.4%から2013年に1.3%に減少してい る。制裁が増すと、リセッションになる。ロシアから投資資金も逃 げている。 ヨーロッパへのロシアの天然ガス輸出も影響する。欧州は米国のシ ェール・ガスやオイルに転換することになる。ドイツと米国は共同 して制裁を行うので、ロシアの影響は大きい。ドイツはロシアとの 経済的な結びつきが大きい。クリミア以外にロシアが手を出さない なら、これ以上の制裁は、ドイツとしてはしたくない。 もう１つの問題が、ウクライナの経済が危機的な状態にあることで ある。これについては、ＥＵとＩＭＦなどがウクライナ政府と協議 している。 ウクライナとＮＡＴＯとの関係は、ロシアを刺激するので、今は関 係しないでいるが、東ヨーロッパの味方を安心させるために、米国 は６機のF-15と２機の空中補給機をリトアニアに、F-16を12機を追 加でポーランドに配置した。 ＮＡＴＯは東ヨーロッパに軍隊を配備していなかったが、クリミア 編入で、この決定を見直す時期に来た。東欧州諸国は、米国のヨー ロッパからの撤退を不安視していたので、その決定の見直しは、歓 迎する。 プーチンがどこまでやるのかわからないが、もし、ウクライナ侵攻 をしたら、それは新しい冷戦になる。米国の軍備縮小も変更する必 要が出てくる。ロシアと米国の関係も最悪になり、ＩＳＳなど宇宙 支援や核兵器縮小などのことができなくなる。 イランとの核交渉も暗礁に乗り上げることになる。ということで、 プーチンが何を狙い、どこまで取りに来るのかが、大きな焦点にな っているのだ。 と述べているが、プーチンの意図がどこにあるのかの結論はない。 ２．ロシアの制裁回避 一方、ロシアは、欧米の制裁回避または、自国経済の影響を少なく する方法を模索している。 ロシアのドボルコビッチ副首相は９日、政府系天然ガス大手ガスプ ロムが中国への天然ガス輸出契約で近く合意する見通しであること を明らかにした。同契約には年間輸送量３８０億立方メートルのパ イプライン建設も含まれる。 このように欧州への天然ガス輸入制限という制裁が発動された場合 を想定して、中国への売り込みを行っている。 ３．妥協点として ロシアの最低限の国益を守るために、行動に出た側面が有り、それ を批判して制裁しても、それはロシアとしては最低限の死活問題な ので折れられない。 このため、ロシアの言うように、ウクライナを連邦制にして、東部 軍事産業をロシアが使えるようにしておくことである。そのために は、ＮＡＴＯの加盟もＥＵへの加盟もせずに、中立国になるしかな い。 それでも、ロシアがウクライナ東部侵略に乗り出したら、そして、 とうとう武装した特殊部隊を投入したようである。このため、欧米 は覚悟が必要であり、その覚悟をプーチンにも伝えるべきである。 戦争に向かって、米露が対峙し始めたようである。これは恐ろしい ことになってきた。 さあ、どうなりますか？ 参考資料： Calling Putin's Bluff http://nationalinterest.org/commentary/calling-putins-bluff-10233 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ＣＩＡ長官、治安機関首脳とキエフで協議か 2014.4.13 22:30 インタファクス通信は１３日、ウクライナ最高会議（議会）筋の 情報として、ブレナン米中央情報局（ＣＩＡ）長官が１２日にキエ フを訪れ、複数のウクライナ治安機関首脳と協議したと伝えた。 ウクライナ政府は確認していない。１３日に東部スラビャンスク で着手した親ロシア派の強制排除について協議した可能性もある。 （共同） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 親ロ派強制排除で死傷者 銃撃戦、緊迫高まる 【スラビャンスク共同】ウクライナ治安当局は１３日、東部ドネ ツク州スラビャンスクで市庁舎や警察署を占拠している親ロシア派 の強制排除に着手した。銃撃戦が発生し、ロシア通信は親ロシア派 １人が死亡、２人が負傷したと伝えた。ウクライナ当局によると、 治安部隊側も１人が死亡、５人が負傷した。占拠は継続している。 ロシアによるウクライナ南部クリミア編入後、同国東部で続いた 親ロシア派のデモによる混乱は流血の事態に発展。情勢が一層不安 定化し、ロシアの介入拡大に対する懸念が高まりそうだ。 ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は１３日、親ロシア派の強 制排除を行う意向を表明した。 2014/04/14 07:19 【共同通信】 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ウクライナ東部 複数都市で武装集団が警察を占拠 4月13日 11時44分NHK ウクライナ東部では、ロシア系住民のデモ隊が州政府庁舎の占拠を 続けるなか、新たに複数の都市で、武装した集団が相次いで警察署 を占拠しました。 東部では、治安機関が十分に機能していないことが明らかになり、 混乱のさらなる拡大への懸念が出ています。 ウクライナ東部のドネツクやルガンスクでは、ロシア系住民のデモ 隊が自治権の拡大を求めて州政府庁舎の占拠を続けています。 １２日には、ドネツクから北におよそ１００キロのスラビャンスク で、武装した集団が警察署に押し入って保管してあった数百丁の銃 を持ち出すとともに、建物を占拠しました。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ロシアにデモ支援中止要求＝電話会談でウクライナ外相 【モスクワ時事】ウクライナ暫定政権のデシツァ外相は１２日、 ロシアのラブロフ外相と電話で会談し、ウクライナ東部各州で「ロ シア情報機関の工作員が暗躍している」と述べ、親ロシア派デモへ の支援を中止するよう求めた。これに対するラブロフ外相の発言は 不明だが、ロシアは支援の事実はないとの立場を取っている。 （2014/04/12-22:23） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 武装勢力が警察占拠、小銃４００丁以上を奪う 暫定政府が特殊部 隊増派 2014.4.12 22:30 sankei［ロシア］ 【モスクワ＝佐々木正明】ウクライナ東部の親露派デモ隊による 行政庁舎占拠は１２日、ドネツク州スラビャンスクで武装勢力が警 察本部などに押し入り、２施設を占拠した。ロイター通信は、武装 勢力が施設内の拳銃や自動小銃４００丁以上を奪取し、デモ隊に配 布したと報じるなど、混乱が拡大している。 事態の打開に向け、ウクライナとロシア、米国、欧州連合（ＥＵ ）の外相級が出席する４者協議を１７日にスイス・ジュネーブで開 くことが決定したが、混乱を背後で扇動していると批判する米国に ロシアが強く反発しており、緊張緩和につながるかは不透明だ。 ウクライナのメディアによると、暫定政府のデシツァ外相は１２ 日、ラブロフ露外相と電話会談し、ロシア特殊部隊が扇動する庁舎 占拠などの挑発を即時停止するよう求めた。 アバコフ内相は１２日、スラビャンスクに特殊部隊を派遣したこ とを明らかにし「抗議する者とテロリストの違いは明確で、厳格な 対応を取る」と強調した。 ただ、ヤツェニュク首相は前日の１１日、現時点では「平和的解 決が唯一の選択肢」とも述べており、ロシアの対抗策を招きかねな い強行突入を可能な限り避けたい考えをにじませた。 一方、１１日にはケリー米国務長官とラブロフ露外相が電話会談 した。露メディアによると、ラブロフ外相は「治安部隊の強行突入 を回避し、対話を後押ししてほしい」と述べ、米国に尽力を求めた。 また、ウクライナ東部の併合は「ロシアの根本的な利益に反する 」と述べ、否定した。ジュネーブの４者協議には両者のほか、ウク ライナのデシツァ外相、ＥＵのアシュトン外交安全保障上級代表が 出席する。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 現地保安局長を解任、東部占拠事件で引責か 2014.4.12 23:47 ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は１２日、東部ドネツク州 の治安対策を統括する現地の国家保安局長を解任する大統領令を出 した。解任理由は明らかにされていないが、東部各地で親ロシア派 による庁舎などの占拠を許したことの責任を取らせたとみられる。 ロシア通信は１２日、ドネツクからスラビャンスクへ向かうよう 命じられた内務省特殊部隊が命令を拒否し、親ロシア派勢力に寝返 ったと報じた。ウクライナのメディアは、別の特殊部隊も、庁舎が 占拠されているドネツクとルガンスクへの出動命令を拒否したと伝 えた。 特殊部隊はキエフの独立広場での親欧米派デモの鎮圧に出動した。 （共同） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 親ロシア派の庁舎占拠拡大 新政権、統治能力失う 【スラビャンスク、ドネツク共同】タス通信によると、ウクライ ナ東部ドネツク州の四つの小都市の行政庁舎が１２日、新たに親ロ シア派に占拠され、自治権拡大などを求める動きが各地に飛び火し た。ロシア通信などは同日、州都ドネツクでは駐在する内務省特殊 部隊が出動命令を拒否し親ロ派側に寝返り、治安機関の建物も親ロ 派に占拠されたと報道。ウクライナ新政権は東部で統治能力を失い つつある。新政権はロシアが関与していると非難した。 スラビャンスクでは、同派の武装集団が市庁舎や警察署、治安機 関の入った建物を占拠し、警察署にあった銃器を奪取。クラスヌイ リマンでも警察署が占拠された。 2014/04/13 00:48 【共同通信】 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ロシア、安易な介入できず 暫定政府も難しい対応に 2014.4.13 01:30 sankei 【モスクワ＝遠藤良介】ウクライナ東部で親ロシア派のデモ隊が 行政庁舎や警察本部などの占拠を拡大し、ウクライナ暫定政府は難 しい対応を迫られている。ロシアが暫定政府の正統性に疑義を呈し ている状況で流血の事態を招けば、危機の収拾に関する今後の議論 で、ロシアに一層付け入る口実を与えることになるためだ。しかし 、ロシアにとっても、先に併合したウクライナ南部クリミア半島と 同国東部の状況は異なり、容易に介入できる状況には決してない。 親露派のヤヌコビッチ政権が崩壊した２月の政変でも、西部のリ ビウなど主要都市では過激な民族主義勢力が行政庁舎や警察施設を 占拠していた。ロシアはこうした事情をとらえ、「政変はファシス トによるクーデター」とのプロパガンダ（政治宣伝）を展開し、ク リミアを併合する口実とした経緯がある。 暫定政府は、東部での過激なデモ隊の行動にロシアの特務機関が 関与していると批判。ただ、２月の政変と似た構図が再現され、多 数の武器がデモ隊の手中にある現状では慎重に対応せざるを得ない。 プーチン露政権は東部の動きを、連邦制導入などウクライナの政 体改変につなげる圧力としたい思惑だ。 ただ、東部の武装勢力は、住民の持続的な大規模デモといった後 ろ盾を得ているわけではない。ロシア系住民が６割のクリミアと違 い、東部ではロシア語使用者が多数派ではあっても、民族としての ロシア系は少数派だ。ソ連崩壊からの２０年余りを経て、独立国ウ クライナへの帰属意識も根付いている。 プーチン政権が安易に東部情勢に介入すれば住民自身の反発を招 きかねない。その一方、クリミア併合で「ロシア民族の守護者」と のイメージを振りまいた政権は、東部デモ隊の動きや要請を無視す るわけにもいかないのが実情だ。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 反ロシア派が「人間の鎖」＝小競り合いも−ウクライナ東部 【ドネツク時事】親ロシア派デモ隊による庁舎占拠が続くウクラ イナ東部ドネツクで１２日、市民が大通りに並び手をつなぐ「人間 の鎖」で、ロシアヘの編入反対をアピールした。市民は平和的に「 ドネツクはウクライナだ」と訴えていたが、親ロシア派との小競り 合いで、騒然となる場面もあった。 鎖をつくった約６００人の市民は、ウクライナ旗を掲げ、「統一 ウクライナ」などと連呼していた。これに対し、ロシア旗を掲げた 覆面男性が乗る複数の車が現れ、暴走運転で挑発。棒のようなもの を車窓から振り回し、並んだ市民を襲撃するそぶりも見せ、現場は 一時緊迫した。 「人間の鎖」に参加したＮＧＯメンバーのサーシャ・ミハリエン コさん（３５）は「親ロシア派住民はロシア編入が問題を解決する と誤解している」と語った。ロシア系住民が多数を占めるクリミア と異なり、ドネツクでロシア系は約４割にとどまる。親ロシア派デ モ隊の庁舎占拠を否定的に受け止めている市民は多い。 「人間の鎖」は市民団体が企画し、ドネツクのほか、首都キエフ 、ロシア編入が決まったクリミアでも実施された。 （2014/04/12-23:35） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ロシア:ウクライナ４者会合、合意を否定 毎日新聞 2014年04月12日 23時33分 【モスクワ田中洋之】ロシア外務省は１２日、米国務省がウクラ イナ情勢に関する米露と欧州連合（ＥＵ）、ウクライナの４者会合 を１７日にスイス・ジュネーブで開くと発表したことについて、「 会合の準備は続いているが、まだ議事日程や形式で共通の理解がで きていない」とする声明を発表し、開催合意を否定した。 声明では、米国側が「ウクライナ新政権は南部クリミアを含む全 ての地域を代表して参加する」としている点を取り上げ、「容認で きない」と批判した。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 政府批判に「ウラー」の雄たけび ウクライナ東部ルポ スラビャンスク＝石田博士2014年4月13日01時43分 混乱が広がるウクライナ東部で１２日、親ロシア派の活動家らが 新たに警察署などを占拠した。記者が現地に入った。 ウクライナ東部スラビャンスクでは１２日夕、警察署や保安機関 、内務省関連の庁舎など少なくとも３カ所のビルが、親ロシア派に 占拠されていた。占拠している者たちは多くが自動小銃を手に武装 していた。ドネツクやルガンスクと比べ、武装度合いが高く、より 緊迫した状況だった。 占拠された庁舎の周りには、タイヤや木材でバリケードが築かれ ていた。そばに集まっていた住民の一人は、「自治権拡大のために 、住民投票を求める動きだ」と語った。一方で、別の住民は「何が 起きているのかわからない」と戸惑った様子だった。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ウクライナ:ドネツク州庁舎占拠 親露派側再び交渉拒否 毎日新聞 2014年04月12日 12時04分 ◇強力なリーダーを欠き迷走 【ドネツク（ウクライナ東部）真野森作、モスクワ田中洋之】親 ロシア派活動家による州庁舎占拠が続くウクライナ東部ドネツクで 、親露派側に強力なリーダーがいないため方針が固まらず、逆に混 乱が高まっている。５月２５日に実施予定のウクライナ大統領選を 巡っても、さまざまな思惑が交錯しており、不安定な情勢が長引く 可能性が高まってきた。 タス通信によると、１１日に現地を訪れたヤツェニュク首相は「 強制排除抜きで人々に庁舎から出てもらうため、必要なことは全て 行わなければいけない」と述べ、治安部隊による強制排除に否定的 な見解を示した。 しかし、庁舎を占拠する親露派側は、いったんは交渉に応じる姿 勢を示したものの、１１日の幹部会議後、「新政権は正統性を欠く 」として交渉を拒否する姿勢に再び転じた。強力なリーダーを欠く ため迷走しているとみられる。 ロシア系住民の割合が比較的高い東部出身の大統領選候補者の間 でも見解が割れる。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 露外務省、国民に外国渡航自粛求める 2014.4.12 08:06 sankei［ロシア］ ロシア外務省は１１日までに、自国民に外国への渡航を控えるよ う呼びかける声明を発表した。米国治安機関の要請により、ロシア 人が外国滞在中に拘束・逮捕される恐れが強まっているためだと説 明している。声明は「米国はロシア人を第三国で拘束し、自国に移 送して疑わしい罪状で裁くことを日常化しようと試みている」など としている。（モスクワ 遠藤良介） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 「ロシア制裁強化でＧ７結束」＝ウクライナ悪化なら−米財務長官 【ワシントン時事】ルー米財務長官は１１日記者会見し、日米欧 など先進７カ国（Ｇ７）は、ウクライナをめぐる情勢が悪化すれば 「ロシアに対する制裁を強化することで強力に結束している」と述 べた。 ルー長官は、１０日のＧ７会合で「長時間にわたってウクライナ 情勢をめぐり議論した」と説明。その上で「必要に応じて一致して 行動することに反対はなかった。ロシアがさらなる違法行為に踏み 込めば、国際社会は団結して対応する」と強調した。 また、ウクライナの経済回復を各国が連携して後押しすると表明 。ウクライナのシュラパク財務相と１４日ワシントンで会談し、 １０億ドル（約１０１６億円）の債務保証を軸にした支援策に署名 する方針を明らかにした。（2014/04/12-09:54） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ウクライナ東部編入に反対＝ロシア外相、対話を歓迎 【モスクワ時事】ロシアのラブロフ外相は１１日、国営テレビの 番組で、ウクライナ東部の親ロシア派デモ隊が要求しているロシア 編入に反対する考えを示した。「（編入の）意向はないし、ロシア の国益に反する」と述べた。インタファクス通信が伝えた。 ラブロフ外相は、親欧州連合（ＥＵ）派のウクライナ暫定政権が 、流血の事態回避に向けて対話を開始したことを歓迎。ロシアが求 めるウクライナ連邦化をめぐる住民投票実施の可能性が出てきたの を踏まえ、一定の軟化姿勢を示した形だ。（2014/04/11-22:46） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ウクライナ首相、親ロ派懐柔へ妥協案 自治権拡大認める 2014/4/12 0:38nikkei 【ドネツク＝花房良祐】ウクライナ東部で過激な親ロシア派勢力 が行政施設などの占拠を続けている問題で、ヤツェニュク首相は11 日、住民投票実施への法整備など自治権の拡大を認める妥協案を提 案した。東部の主要都市ドネツクで開いた州政府幹部らとの会合で 明らかにした。一定の譲歩をする姿勢を示しつつ、治安当局と親ロ 派勢力が衝突する深刻な事態の回避を目指す構えだ。 ヤツェニュク首相が東部を訪問したのは、６日までにドネツクで 州政府庁舎が、ルガンスクで治安機関の州本部が親ロ派勢力に占拠 されてから初めて。会合にはドネツクとルガンスク、ハリコフの各 州や中心都市の行政府幹部、治安当局者、企業の経営者らが出席し た。 ウクライナの独立系通信社ウニアンなどによると、ヤツェニュク 首相は11日の会合で、親ロ派勢力が求めている住民投票の実施につ いて「議会は地域の住民投票に関する法律を採択しなければならな い」と指摘。新たに地方自治体の枠内での住民投票の実施を認める 考えを示した。 これまで国内全域での住民投票を行うための法律はあったが、自 治体単位でも住民が意思表示をできる仕組みをつくる。ただ、住民 投票を実施した場合も、親ロ派勢力が求める「連邦制への移行」を 問う内容が認められるかなど詳細は不明だ。親ロ派は５月25日の大 統領選投票と同時に地域の住民投票を実施することを要求している。 ヤツェニュク首相は公用語であるウクライナ語以外の少数言語の 権利を保護する考えも強調。「慣れ親しんだ言葉で話すことを決し て妨げることはない」と述べ、ロシア系住民が多い東・南部でもロ シア語を第２公用語として使える現行制度を維持する方針を示した。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 欧州への天然ガス供給契約を順守＝ロシアのプーチン大統領 2014年 04月 12日 02:45 JST ［モスクワ １１日 ロイター］ -ロシアのプーチン大統領は１１ 日、欧州への天然ガス供給契約を順守し、ウクライナへの供給を停 止することはしないと述べた。ただウクライナに対し、天然ガス料 金を先払いするよう要請する可能性があるとした。 同大統領はテレビ放映された安全保障会議の会合で、「ウクライナ に対するガス供給を停止する意向はないことをあらためて表明する 」と述べた。 ただ、ウクライナは２２億ドルのガス料金をまだ支払っておらず、 プーチン大統領は同国に対しガス料金を先払いするよう要請するこ とを提案したことを明らかにした。 プーチン大統領は前日、ドイツを含む１８カ国の首脳に書簡を送り 、ウクライナが天然ガス料金を支払わなければ、ロシアは同国に対 する供給を削減する可能性があり、その結果ウクライナを経由した ロシア産ガスの欧州への供給も減少する恐れがあると警告。 これに対し米国は、ロシアはエネルギーを利用して圧力をかけてい ると批判している。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ジュネーブで１７日開催＝４者会合−ウクライナ緊張緩和を討議 【ワシントン時事】米国務省のサキ報道官は１１日、ウクライナ の緊張緩和に向けた米ロとウクライナ、欧州連合（ＥＵ）の４者会 合が１７日にジュネーブで開催されると発表した。米国からはケリ ー国務長官が出席する。 会合にはラブロフ・ロシア外相の出席が見込まれており、国際的 な枠組みによるウクライナ側との対話が初めて実現する。緊迫する ウクライナ東部の情勢や同国の憲法改正、ロシアが提案している連 邦制導入などが議題になる見通し。（2014/04/12-07:10） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 「政権は親ロ派要求満たせ」＝ウクライナ・ルガンスク州議会 【モスクワ時事】ロシア国境に近いウクライナ東部ルガンスク州 の州議会幹部会は１０日、親ロシア派デモが流血の事態に発展する のを回避するため、親欧州連合（ＥＵ）派の暫定政権がデモ隊の要 求に応じるべきだとの声明を発表した。州議会サイト上に掲載され た。 デモ隊の要求に耳を傾け、中央政権に圧力をかけた形だ。ルガン スク州では６日、デモ隊が治安機関のウクライナ保安局（ＳＢＵ） 庁舎を占拠。報道によると、１０日夜は強制排除を警戒し、庁舎前 にデモ隊最大１５００人が集まった。 州議会幹部会の声明は「地域情勢の緊張について懸念している」 と表明。その上で（1）デモ隊の強制排除の断念（2）拘束したデモ 参加者への恩赦（3）連邦制導入をめぐる住民投票実施（4）ロシア 語の第２国語化−を暫定政権に求めた。（2014/04/11-10:42） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 対ロシア追加制裁に備えを＝ウクライナ東部情勢で米大統領−独首 相と電話協議 【ワシントン時事】オバマ米大統領は１０日、ドイツのメルケル 首相と電話で、緊迫するウクライナ東部情勢を協議した。両首脳は ロシアに対し、ウクライナ国境からの軍部隊撤退を要求。大統領は 、ロシアが事態を悪化させた場合の追加制裁発動へ備えが必要だと 強調した。 ホワイトハウスの声明はウクライナ東部情勢について「親ロシア の分離主義者がロシアの支援を受けてウクライナを弱体化、不安定 化させる活動を組織的に続けている」と非難した。 （2014/04/11-11:15） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ロシア軍、ウクライナ国境で即応体制＝NATO軍 By STEPHEN FIDLER 2014年 4月 11日 10:10 JST WSJ 【モンス（ベルギー）】北大西洋条約機構（NATO）軍の高官らは10 日、当地のNATO軍司令部で記者団に対し、ウクライナ国境付近に展 開しているロシア部隊が100カ所以上の仮設基地を設置し、最高レベ ルからの指示を受けて数時間以内に迅速行動できる即応体制にある との分析を明らかにした。 これら高官は、ロシアが広めている「誤解」を正すためとして、 衛星写真を使ってロシア部隊の配備状況を説明した。写真には、高 速戦闘機や戦車、装甲車、迫撃砲、さらには空挺部隊や特殊部隊の ものとみられる仮設基地が映っている。 NATO危機作戦センター長のゲリー・ディーキン准将（英国）は、 「展開しているロシア部隊は高即応能力を持ち、命令を受ければ極 めて迅速にウクライナに侵入できる体制にあると評価している」と 指摘。「脅威なのは能力と意思であり、能力があるのは疑いない。 ただ、ロシアが侵入する意思を持っているのかどうかは分からない 」と述べた。同准将は、これらロシア部隊は最高レベルからの指示 があれば12時間以内に移動できるとNATOが評価していることを明ら かにした。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 対ロシア制裁強化も＝ウクライナ情勢で−米財務長官 【ワシントン時事】ルー米財務長官は１０日、ロシアのシルアノ フ財務相とワシントンで会談し、ウクライナの緊張が高まれば、制 裁強化に踏み切ると警告した。米財務省広報担当者が会談内容を公 表した。 広報担当者によると、ルー長官はシルアノフ財務相に対し、ロシ アのクリミア編入の違法性を指摘した上で、「さらなる強力な制裁 を発動する用意がある」と伝えた。また、「ウクライナの安定と繁 栄は米ロ両国の共通の利益だ」とも述べ、外交解決と緊張緩和への 取り組みを要求。ウクライナの経済回復支援に向けた協力も促した。 （2014/04/11-11:12） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 米イージス艦が黒海入り 2014.4.11 11:23 ［米国］ ロシア国防省当局者は１０日、米海軍のイージス駆逐艦ドナルド ・クックが同日、黒海に入ったことを明らかにした。タス通信が伝 えた。 ウクライナ国境に約４万人の部隊を集結、軍事的圧力を強めるロ シアへの対抗措置の一環。当局者によるとフランス海軍の艦艇２隻 も１１日から１４日にかけて黒海に入る。当局者は「ロシアに面す る黒海に北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）の艦隊が出現する」と警戒 感を示した。（共同） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ロシア編入に反対＝親ロ派実力者、デモ隊と距離−ウクライナ 【ドネツク（ウクライナ東部）時事】５月２５日投開票のウクラ イナ大統領選に立候補している親ロシア穏健派のドブキン前ハリコ フ州知事は１０日、東部の親ロシア派デモ隊が要求しているロシア 編入に向けた住民投票に反対する考えを強調した。訪問先の東部ド ネツク州で語った。 ドブキン氏は旧政権与党・地域党の公認候補で、ヤヌコビッチ前 大統領の最側近。東部の実力者であるドブキン氏の発言は、親ロシ ア派デモ隊の要求が住民の多数派の声を代弁しない「少数意見」で ある可能性を示唆している。同氏は９日、ルガンスク州で親ロシア 過激派に暴行を受けた。 報道によると、ドブキン氏は「ウクライナの解体や、ロシア編入 に向けた住民投票に反対する」と明言した。同氏はロシア系住民の 権利擁護のための「非中央集権化」を訴えながらも、ロシアが提案 する「連邦化」は国家解体につながりかねないとして距離を置いて いる。（2014/04/11-06:26） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 米ロ、衝突回避で一致 両外相が庁舎占拠巡り電話協議 2014/4/10 2:16 【モスクワ＝共同】ロシア外務省によると、ラブロフ外相と米国 のケリー国務長官は９日、ウクライナ情勢をめぐり電話で協議し、 東部の住民らが州庁舎などを占拠している現状について、治安部隊 との衝突を回避する必要性で一致した。 ラブロフ外相は近く欧州で開催を予定している米ロ、欧州連合（ ＥＵ）、ウクライナによる協議の議題に関し、連邦制を柱とするウ クライナ憲法の修正が重要との認識を伝えた。 ケリー長官は、ウクライナ東部に米国の雇い兵が展開していると の情報を否定した。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ガスプロム、対中天然ガス輸出で合意間近＝ロシア副首相 2014年 04月 10日 02:53 JST ［モスクワ ９日 ロイター］ -ロシアのドボルコビッチ副首相は ９日、政府系天然ガス大手ガスプロムが中国への天然ガス輸出契約 で近く合意する見通しであることを明らかにした。 同契約には年間輸送量３８０億立方メートルのパイプライン建設も 含まれる。 イタルタス通信によると、ドボルコビッチ副首相は「ガスプロムが 協議している契約は合意に近づいている。今は価格について詰める だけとなっている」と述べた。 プーチン大統領が訪中を予定している５月の調印を望むとしている。 中国側から反応は得られていないが、ガスプロムは中国への天然ガ ス輸出価格に関する交渉で進展があったことを表明。年内に契約を 発効させられるとの見通しを示した。ただ交渉の詳細については明 らかにしていない。 ロシアは中国への天然ガス輸出について過去１０年間にわたり協議 を進めてきた。合意にこぎつけられれば、プーチン大統領にとり、 西側諸国がクリミア編入をめぐり対ロシア制裁を発動させても、ロ シアは孤立しないことを示す機会となる可能性がある。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 親ロ派強制排除も＝「４８時間以内に解決」−ウクライナ内相 【モスクワ時事】ウクライナ東部ルガンスク州などで６日から続 く親ロシア派デモ隊による政府庁舎立てこもりで、アワコフ内相は ９日、強制排除も辞さない構えを示し、４８時間以内に事態を解決 すると宣言した。ただ、まずは対話を模索するとも強調した。キエ フで記者団に語った。 デモ隊は、南部クリミア半島に続くロシア編入などを要求。ロシ アは国境地帯に数万人の軍部隊を配備しており、治安部隊の突入で ロシア系住民に人的被害が出れば、自衛権を盾に軍事介入に乗り出 す恐れもある。 ルガンスク州のほか、東部ドネツク、ハリコフ両州で「共和国」 樹立を宣言したデモ隊について、トゥルチノフ大統領代行は「テロ リスト」と断言し、厳正に対処する方針を表明していた。 （2014/04/09-19:16） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 米長官「混乱の背後にロシア」と非難 4月9日 4時17分NHK ウクライナ東部でロシア系の住民が議会の建物を占拠して、ウクラ イナからの独立を目指すなど混乱が広がっていることについてアメ リカのケリー国務長官は「ロシア側が混乱の背後にいるのは明らか だ」と述べ、ロシアを強く非難しました。 ウクライナ東部のドネツクやハリコフでは、ロシア系住民によるデ モ隊が議会を占拠し、ウクライナからの独立を目指す動きを進める など、混乱が広がっています。 これについてアメリカのケリー国務長官は８日、議会上院外交委員 会の公聴会で証言し、「ロシアがクリミア半島に軍事介入したとき と同じことをもくろんでいる可能性がある」としたうえで「ロシア の特殊部隊や工作員が背後にいるのは明らかだ」と述べ、ロシアを 強く非難しました。 そのうえでケリー長官は「ロシアはウクライナ東部の分離独立の動 きを否定し、軍の部隊を撤退させる必要がある」と述べ、これに従 わず事態を悪化させた場合、制裁をさらに強化すると警告しました。 一方でケリー長官は、来週中にもアメリカとロシア、それにウクラ イナとＥＵ＝ヨーロッパ連合の４者で今後の対応を協議するとして 、事態打開に向け外交的な解決策を見いだしたい考えを示しました。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 新政権側 庁舎を奪還 ウクライナ 騒乱、南部にも波及 2014年4月9日 tokyo朝刊 【モスクワ＝原誠司】ロシア系住民のデモ隊による州政府庁舎占 拠で騒乱状態にあるウクライナ東部ハリコフ州の州都ハリコフで八 日早朝、内務省特殊部隊が庁舎内に立てこもる七十人を拘束し、庁 舎を奪還した。ただ、東部の騒乱は収束の気配は無く、ロシアが併 合したクリミア半島に近い南部の都市にも波及し始めている。 ウクライナのウニアン通信によると、特殊部隊は州都中心部を封 鎖。州庁舎突入では発砲せず、負傷者も出なかった。トゥルチノフ 大統領代行は八日、庁舎を占拠したデモ隊を「武装したテロリスト 」と呼び、厳正に対処する考えを表明。特殊部隊は東部ドネツクや ルガンスク両州にも配置されたという。 デモ隊について、この両州を視察したティモシェンコ元首相は七 日、「ロシアの情報機関員が含まれる」と指摘。ウクライナ保安局 は七日、ルガンスク州でロシア軍情報機関要員の男を拘束したと発 表した。 これに対し、ロシア外務省は八日、「ウクライナ軍や（民族主義 勢力）右派セクターによる『国家親衛隊』、米国の民間軍事組織 百五十人が東部や南部に派遣された」として、内戦につながる恐れ のある軍事的準備を即時停止するよう警告。ロシア上院のオゼロフ 国防安保委員長は「東部で多くの犠牲者が出れば、ロシアは放置で きない」と述べ、ロシアと、欧米が支援するウクライナ新政権側と の緊張が高まっている。 ドネツク州とハリコフ州で七日、デモ隊は法的根拠もなく「人民 共和国」樹立を宣言し、ロシア編入に向けた住民投票実施を求めた。 欧州連合（ＥＵ）加盟路線を加速化するウクライナ新政権に対し、 ロシアは、経済的にもつながりが強い東部への影響力を確保するた め、連邦制を導入し、中立宣言を盛り込む憲法改正を要求している。 連邦制に移行すれば、中央政府が任命する知事を住民の直接選挙 で選ぶことになり、親ロ派の指導部を誕生させやすい。中立宣言に は北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）の東方拡大を防ぐロシアの狙いが ある。ロシア系住民を抱き込んで東部を事実上、コントロールしよ うとする構えを見せつつある。 一方、黒海に面した南部ニコラエフ州の州都ニコラエフでは七日 、親ロ派住民が州庁舎近くに、ロシア国旗を掲げたテントを設営。 親欧州派住民が同日深夜から八日未明の間に急襲する事件が発生。 計十五人が負傷した。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 東部ハリコフ庁舎解放と内相…「対テロ作戦」で７０人逮捕 2014.4.8 16:51 ウクライナ東部で親ロシア派のデモ隊が庁舎を占拠し「共和国」 の樹立を宣言した事態をめぐり、ウクライナ新政権のアバコフ内相 は８日までに、東部ハリコフの庁舎占拠を解除したと、交流サイト 「フェイスブック」を通じて明らかにした。 アバコフ氏はデモ隊に対する「対テロ作戦に入った」と発言。地 下鉄の駅を含む市中心部を封鎖し、７０人を逮捕したとしたが、「 作戦に火器は使用していない」とした。（共同） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ハリコフも「共和国」宣言＝ウクライナ外相「ロシアが干渉」 【モスクワ時事】ロシア系住民の多いウクライナ東部で７日夜、 ハリコフ州でも親ロシア派デモ隊が「ハリコフ人民共和国」の樹立 を宣言した。ドネツク州ではデモ隊が同様の宣言をした上で、ロシ ア編入に向けた住民投票を５月１１日までに行うと主張している。 ウクライナ暫定政権のアワコフ内相は先に、ハリコフで行政庁舎 を占拠したデモ隊を「完全に排除した」と発表していた。しかし、 報道によると、デモ隊はテレビ局に侵入したほか、行政庁舎に放火 するなど実力行使を継続。情勢はさらに混迷の度合いを深めている。 （2014/04/08-08:17） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 親ロ派「共和国」樹立を宣言 ウクライナ東部で 2014年4月8日 01時01分 【ドネツク共同】ウクライナ東部ドネツクで６日から州庁舎を占 拠した親ロシア派のデモ隊は７日、「ドネツク人民共和国」の樹立 を宣言、平和維持のためロシア軍部隊の派遣を要請した。共和国樹 立の是非を問う住民投票を５月１１日までに行うという。 ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は７日、ロシアによる「第 ２段階」の作戦が始まったとの危機感を表明。クリミア編入を強行 したロシアのプーチン政権が「クリミアでのシナリオを繰り返そう としている」と非難した。 ロシア外務省は同日の声明で、ウクライナの「長期的安定」のた め、州に広範な権限を付与する連邦化が必要との見解を表明した。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 親ロシア派、庁舎占拠＝ドネツクなど３都市−ウクライナ東部 【ドネツク（ウクライナ）ＡＦＰ＝時事】ウクライナ東部のロシ ア国境に近いドネツクなど３都市で６日、親ロシア派のデモ隊が行 政庁舎などを占拠した。デモ隊は庁舎にロシア国旗を掲げ、クリミ ア半島で行われたようなロシアへの編入を問う住民投票の実施を要 求した。 これに対し、アワコフ内相はフェイスブックを通じて、ヤヌコビ ッチ前大統領がロシアのプーチン大統領と結託して混乱をあおって いると非難。一方で、流血を避けて事態を収拾すると宣言した。 ３都市のうち、ドネツクでは、約２０００人が中心部の広場で集 会を開催。約１００人が庁舎に入った。また、ルハンシクでは、数 百人のデモ隊が、逮捕された１５人の活動家を解放するため治安組 織の庁舎に侵入。ハリコフでは、数十人が行政庁舎を占拠した。 （2014/04/07-08:20） ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ウクライナ大統領選 選挙戦始まる 4月6日 6時44分NHK ウクライナで来月予定されている大統領選挙は、２３人が立候補す ることが確定し、最新の世論調査では、前の政権の崩壊につながる 抗議デモを支援したポロシェンコ氏が最も多くの支持を集めていま す。 来月２５日に予定されているウクライナの大統領選挙は、選挙管理 委員会による審査の結果、２３人の立候補が認められ、５日、候補 者の選挙活動が正式に始まりました。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 露、核戦力維持に支障か…ウクライナ協力停止で 2014年04月04日 15時09分Yomiuri Shimbun 【モスクワ＝寺口亮一】ウクライナ南部クリミアを編入したロシ アがウクライナとの関係悪化で、対米戦略上最も重視する核戦力の 維持に支障が出る可能性が指摘されている。 ウクライナが核ミサイルの整備や修理など、軍事技術協力停止の 対抗措置を取ったためだ。 ロシアは、艦船やヘリコプター用の重要部品でもウクライナに依 存しているという。安全保障の枢要を任せてきた「兄弟国」の一部 を編入したツケが、ロシアに回りつつある。 露有力紙「独立新聞」によると、問題となっているのは、大陸間 弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）の「ボエボダ」（射程約１万キロ・メー トル以上）の扱いだ。核弾頭１０発を搭載できる大型ミサイルで「 核戦力での対米均衡をロシアにもたらした」（同紙）とされる。そ の維持や修理は、旧ソ連時代にこれを設計したウクライナ東部の軍 需企業が行っていた。