4968.米露、腹の探り合い



米露も戦争を望んでいない。オバマもプーチンもどこかで折り合い
をつけるしかないと見ている。その折り合うポイントを自国に有利
にしたのである。このため、腹の探り合いをしている。 津田より

0.クリミア編入の進行
前回の有料版、コラム4962.新しい米露冷戦になるか?の後の
経緯を追跡するので、それ以前を知りたければ、上記コラムを見て
ください。

クリミア自治共和国のテミルガリエフ第1副首相は23日、ウクラ
イナ国営電力会社ウクルエネルゴがクリミアへの電力供給を半分に
減らさて、停電が続いているという。事実、ロシア・ツデイでも停
電して暗いクリミアの写真を載せている。電気、水などをウクライ
ナに依存していたので、このインフラ整備が待ったなしになってい
る。

しかし、ルーブルは24日にクリミアの公式通貨となり、主要都市
で流通が始まった。レストランなどではウクライナ通貨フリブナと
の二重表記が行われ、金融機関ではルーブルを受け取る年金受給者
の列ができた。

プーチンは政府に対し、クリミア自治共和国と特別市セバストポリ
をロシアに併合するための詳細な具体方針を29日までに決めるよ
うに指示。その結果、連邦予算からは今年130億ルーブル
(約370億円)を拠出。半島を経済特区に指定し、電気や水など
のインフラ整備や産業育成を図る。半島の主要産業である観光産業
を維持するため、休暇を取るロシア人が訪れやすいように航空便を
国内線扱いにして、航空運賃の割引も行うという。

また、30日未明には現地時間がモスクワと同じ時間帯となり、2
時間早まった。このように、ロシアが、政府主導でクリミアの「ロ
シア化」を着々と進めている。

1.ウクライナ軍制圧とウクライナの動き
ウクライナの安全保障国防会議は24日、ロシアが編入したウクラ
イナ南部のクリミア自治共和国とセバストポリ特別市からウクライ
ナ軍を撤収させることを決めた。逆に、自治共和国のテミルガリエ
フ第1副首相は同日、記者団に「半島からウクライナ軍部隊はいな
くなった」と述べ、ロシアによる半島の完全制圧を宣言した。

そして、ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は26日、クリミア半島に
あるウクライナ軍の施設全193カ所でウクライナ国旗が降ろされ
、露国旗が掲げられたとした。ウクライナ軍施設が完全制圧された
ことを意味する。

ウクライナ国防省は、半島内の軍施設の総資産額を約115億ドル
(1兆1700億円)と算出するが、軍高官は26日、「甚大な損
失であり、ウクライナの悲劇だ」と述べた。そして、クリミアに残
留していたウクライナ軍兵士が27日、同国本土に帰還を始めた。

クリミア駐留のウクライナ軍兵士は約1万8800人とされるが、
ロシア国防省は、ウクライナ本土への撤収希望者は2000人を下
回るとみている。

そして、ロシア黒海艦隊筋は27日、ウクライナ海軍から奪った艦
船のうち30隻以上が黒海艦隊に実戦配備されるとした。

クリミアを失ったウクライナ暫定政権が、2月下旬に親ロシア派政
権を崩壊させる一翼を担った過激民族主義勢力「右派セクター」の
排除に本腰を入れる構えを見せている。同勢力の存在は、ロシアが
暫定政権をファシスト呼ばわりし、ウクライナ南部クリミア自治共
和国に介入する口実を与えた。露主要メディアが同勢力の動きを誇
大報道する一方、欧州連合(EU)も武装勢力の存在には懸念を示
してきた。

2.欧米露の外交
ロシアのラブロフ外相は24日、親欧州連合(EU)派のウクライ
ナ新政権のデシツァ外相とハーグで初会談した。ロシアには一定の
対話姿勢をアピールする狙いもあるとみられる。

そして、G7と欧州連合(EU)の首脳ら9人は24日夜、ハーグ
のオランダ首相府の狭い部屋に集い、円卓を囲んでロシアへの対応
などについて、約1時間半にわたり議論を展開した。

この中で、クリミア半島のロシア併合を「違法行為」と断罪し、ロ
シア側の態度によっては、さらなる制裁を発動することを示唆した。
また、6月にロシア・ソチで開催予定だったG8首脳会議への不参
加を決定。代わりにブリュッセルでG7首脳会議を開催することで
合意した。

しかし、オバマ米大統領は「ロシア軍がクリミアを支配下に置いて
いる。同地で既に起きた事態の解決は簡単だと告げるのは不誠実だ
」と25日の記者会見でこう語り、ロシアによるクリミアの併合を
撤回させることは困難だと率直に認めた。事実上、クリミアのロシ
ア帰属を認めた発言をしている。これ以上の侵略をさせない仕組
みを作ろうとしているようである。

米国と欧州連合(EU)の首脳会議が26日、ブリュッセルのEU
本部で開かれた。この中で、ロシアがクリミア以外のウクライナに
介入地域を拡大すれば、ロシアに対して新たな経済制裁を発動する
方針を確認した。

しかし、ヘーゲル米国防長官は26日、ロシアがウクライナ東部に
軍を侵入させる意図はないと説明していたにもかかわらず、同国と
の国境付近に展開する軍の規模を増強し続けていると。ヘーゲル長
官は20日にロシアのショイグ国防相と電話で会談し、「部隊を配
置しているのは演習を実施するためだ」との説明を受けていたが、
疑問を持ったようである。

オバマ米大統領は27日、ロシアがウクライナ東・南部を侵攻した
場合の新たな制裁について、欧米企業への影響はわずかにとどめな
がら、ロシア側に最大限の制裁効果を与えられるよう技術的検討を
行っていることを明らかにした。米国は先進7カ国(G7)と協調
し、ロシアの基幹産業を対象にした「分野別制裁」を準備している。

このため、急遽、サウジに飛び28日、サウジのアブドラ国王と会
談した。石油価格を下げて、ロシア経済に打撃を与える戦略のよう
である。これはロシア経済には大きな脅威になることは間違えない。

国連総会は27日、ウクライナ南部クリミア半島のロシア編入を無
効とする決議案を賛成100、反対11、棄権58の賛成多数で採
択した。

この国連総会の決議を受けて、ロシアとウクライナを相次いで訪問
した国連のパン・ギムン事務総長は、クリミア編入を認めないとい
う立場を初めて明確にし、またプーチン大統領がウクライナの東部
や南部に軍事介入する考えはないと約束したと。

ロシア外務省は28日、クリミア半島の編入を受けて欧米が対ロ制
裁を強化したことに対して、同規模の報復制裁を追加で発動したと
した。新たに欧州連合(EU)当局者を入国禁止措置の制裁対象に
加えた可能性がある。

3.米露の駆け引きに
クリミア半島の併合後、初めて、米露首脳の電話会談を28日にし
た。プーチン露大統領がウクライナ問題で落とし所を探り始めた。
プーチン政権は、モルドバの親露分離派地域・沿ドニエストルを併
合する可能性もちらつかせ、激しい駆け引きに出る見通しだ。

プーチン大統領がオバマ米大統領との直接対話に動いたのは、クリ
ミア併合を事実上、オバマが25日の記者会見で認めたことで、ウ
クライナの政体をめぐる議論を米欧との間で始める時期だと判断し
たもようだ。

その意図は、ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)加盟国と
の間の「緩衝地帯」としておくことに国益を見いだしている。また
、ウクライナ東部に広範な自治権がある親露政権を樹立することや、
ウクライナがNATOに加盟しないとの確約を得ることが狙いだと
見られる。ウクライナの中立化、フィンランド化である。

プーチン大統領は、国民の実に63%が自国を「大国」とみている
ことを利用して、ロシア国民を、従順かつ愛国的な市民という型枠
にはめ、プーチン政権の支持率を上げていくようである。この試み
が成功して支持率は最新の調査で80%。今年初めの65%から一
気に跳ね上がった。

このように、プーチンの戦略はロシアの勢力圏を維持することであ
り、明確である。

これに対して、米オバマ大統領は、シッカリとした戦略が見えない
ために、オバマ大統領の支持率は40%、不支持率は54%だった
。ロシアの軍事介入前の2月21〜23日と比べると、支持率は4
ポイント減り、不支持率は2ポイント増えている。

米国務省のサキ報道官は29日、ケリー国務長官が週明けにもロシ
アのラブロフ外相と会談するとして、両外相は30日にパリでウク
ライナ問題の事態収拾策を協議すると発表した。

米露首脳電話会談が実現し、また外相会談が決まったことをふまえ
、オバマ大統領は「深刻な対立や孤立化を抑えようとするロシア側
のトーンの変化を示しているようにみえる」と述べた。

4.2人の戦略の見直し
オバマの外交戦略を考え直さないといけないと、ワシントン・ポス
ト「Will Obama rethink his global strategy?」を載せた。リンク
は最後にあるので、詳しくは読んで欲しい。

今までのオバマ大統領は、軍事的な行動は19世紀の行動であり、
21世紀は、必要なくなると思っていた。中東のアフガニスタン、
シリア、リビアでの敗北が、それを導いたのである。オバマは国内
政策に関心を絞ってきた。しかし、それが世界を危険にしたのだ。

米国は、世界のリーダか国内の優先かのどちらも選ぶことはできな
い。同時に2つのことをする必要があるのだ。そして、オバマ政権
も3年であるが、この道に戻るのに遅いことはないと。

この論点は、共和党有力上院議員であるランド・ポールにも言える
ことだ。ナショナル・インタレスト誌「A Grand Strategy for Rand Paul」
で、茶会派から人気の孤立主義者、ランド・ポールのグランド戦略
を変えたほうが良いという。ランド・ポールは、共和党次期大統領
候補との声が強い。

ランド・ポールの孤立主義では、米国の役割が見失うと共和党主流
派から攻撃されてしまう。このため、それでは共和党内で当選でき
ない。孤立主義でも選択的な関与という言い方で、それを乗り越え
ることができる。孤立主義の茶会派と主流派の真ん中をいくことで
ある。

選択的な関与であれば、大きな国益に関わるものだけ軍事的、経済
的に関与するので、大きな負担にはならない。ウクライナ問題でも
選択的な関与の範囲と言える。アジア太平洋でも選択的な関与とし
て、米国にとって国益になることだけを関与すればよい。そうしな
いと、2016年の中間選挙も戦えない。

ということで、ウクライナ問題で、米国の代表的な孤立主義者であ
るランド・ポールが変化すれば、それは今後の日本の外交にとって
も良いことになる。

ということで、このロシアのクルミア併合は、米国の孤立主義を少
し変化させることが期待できそうだ。

さあ、どうなりますか?

参考:
4962.新しい米露冷戦になるか?
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/260323.htm

Will Obama rethink his global strategy?
http://www.washingtonpost.com/opinions/fred-hiatt-will-obama-rethink-his-global-strategy/2014/03/23/75ce4eae-af93-11e3-a49e-76adc9210f19_story.html

A Grand Strategy for Rand Paul
http://nationalinterest.org/commentary/grand-strategy-rand-paul-10147
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米ロ首脳、支持率で明暗=ウクライナ対応受け
 【ワシントン時事】ウクライナ問題をめぐってにらみ合いを続け
るオバマ米大統領とプーチン・ロシア大統領。事態の行方は見通せ
ないが、それぞれの対応に対する国民の評価は、明暗がはっきり分
かれている。人気を回復したプーチン大統領に対し、オバマ大統領
は打撃を受けつつある。
 米ギャラップ社が25〜27日に行った世論調査によると、オバ
マ大統領の支持率は40%、不支持率は54%だった。ロシアの軍
事介入前の2月21〜23日と比べると、支持率は4ポイント減り
、不支持率は2ポイント増えている。
 また、CBSテレビの3月20〜23日の調査では、オバマ大統
領のウクライナ問題の扱い方を支持すると答えた人は38%にとど
まり、支持しない人は46%に上った。「ウクライナ危機がオバマ
大統領の支持率を傷つけている」(ワシントン・ポスト紙)のは明
らかだ。
 一方、プーチン大統領の支持率は、ロシアのレバダ・センターの
最新の調査で80%。今年初めの65%から一気に跳ね上がった。
不支持率はわずか18%で、プーチン大統領の強硬路線は「多くの
ロシア人の心に響いている」(ワシントン・ポスト紙)ようだ。
(2014/03/29-20:01)
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サウジ「手ぬるい」米にイライラ…イラン核交渉
 【リヤド=白川義和、カイロ=久保健一】2009年6月以来、
約5年ぶりにサウジアラビアを訪問したオバマ米大統領は28日、
サウジのアブドラ国王と会談した。
 だが、米国の中東政策に対しサウジが抱く根深い不信感を払拭す
ることはできなかった。
(2014年3月29日21時39分  読売新聞)
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プーチン氏、話し合いに乗り出す 米ロ外相会談へ
モスクワ=駒木明義、ワシントン=奥寺淳2014年3月29日21時23分
 ウクライナ南部クリミア半島で、ロシアによる併合の動きが始ま
って1カ月。ロシアのプーチン大統領は28日、オバマ米大統領に
電話をして打開策を話し合った。米ロ外相の直接会談などで合意し
たが、ウクライナとの国境付近に展開するロシア軍の後退などでは
進展はなかった。米ロの相互不信は依然根深い。
 サウジアラビアを訪問中のオバマ氏は、国王との夕食後にプーチ
ン氏からの電話を取った。協議は約1時間に及んだ。18日にロシ
アがクリミア併合を宣言してから、直接意見交換するのは初めてと
みられる。
 ロシア大統領府によると、プーチン氏は状況の安定化のために国
際社会が何ができるか検討することをオバマ氏に提案。ロシアのラ
ブロフ外相とケリー米国務長官も29日に電話し、この問題につい
て直接協議する日程などを話し合った。
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落とし所探り駆け引き 首脳会談で露大統領 沿ドニエストル併合
に言及
2014.3.29 22:39 sankei[ロシア]
 【モスクワ=遠藤良介】ロシアによるウクライナ南部クリミア半
島の併合後、初めて米露首脳が電話会談し、プーチン露大統領がウ
クライナ問題で落とし所を探り始めた。プーチン政権は、同国で5
月25日に予定される大統領選に先がけ、ロシアの影響力を行使で
きる政体をウクライナに創出することを主眼としている。モルドバ
の親露分離派地域・沿ドニエストルを併合する可能性もちらつかせ
、激しい駆け引きに出る見通しだ。
 プーチン氏がオバマ米大統領との直接対話に動いたのは、クリミ
ア併合の既成事実化を急速に進めた今、もはや米欧がクリミアの扱
いをめぐって要求を突きつけるのは難しいと踏んでいるためだ。そ
の上で、ウクライナの政体をめぐる議論を米欧との間で始める時期
だと判断したもようだ。
 国営テレビ「ロシア24」によれば、チュルキン国連大使は29
日、ウクライナで憲法会議を招集し、その作業結果を住民投票に付
すべきだとの考えを明らかにした。「その後は新たな状況、新たな
憲法ができ、全ての地方が安全だと感じるようになる」とチュルキ
ン氏は発言。親露住民の多い東部と親欧米的な西部を軸にした連邦
制の導入を念頭に置いているとみられる。
 ロシアはウクライナとの国境付近に数万人規模の部隊を集結させ
、同国東部にいつでも侵攻できる態勢をとっている。同国西部に隣
接するモルドバ・沿ドニエストル地域の併合に動くこともありうる
と示唆し、米欧がロシアの主張を飲むよう圧力をかけている形だ。
 プーチン政権は、ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)加
盟国との間の「緩衝地帯」としておくことに国益を見いだしている。
ウクライナ東部に広範な自治権がある親露政権を樹立することや、
ウクライナがNATOに加盟しないとの確約を得ることがロシアの
狙いだと考えられる。
 ロシアは、米欧とサウジアラビアなどが連携し、国際石油価格を
急落させる“対露制裁”を最も恐れている。今後は、ウクライナの
政体を大国間で取り決めるロシアの手法を米国が受け入れるかが焦
点だ。
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軟化の兆しか侵攻の布石か ロシアの出方注視する米
2014.3.29 22:41 sankei[ロシア]
 【ワシントン=小雲規生】米露首脳の電話会談を受け、米国では
ウクライナ南部クリミア自治共和国の併合を決めたロシアが態度を
軟化させたとの見方も出た。半面、新たな侵攻に向けた布石との分
析もあり、ロシアの出方を引き続き注視するものとみられる。
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は28日、プーチン大統
領からの電話でオバマ大統領との会談が実現し、外相会談が決まっ
たことをふまえ、「深刻な対立や孤立化を抑えようとするロシア側
のトーンの変化を示しているようにみえる」と報道。米CNNテレ
ビも「前向きな変化の始まりになりえる」と速報した。
 ただ、ロシア側は外相会談決定に際し、ウクライナの過激主義者
への批判を強調するなどしており、米側との主張の隔たりは埋まっ
ていない。
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は同日、「プー
チン大統領の申し出が純粋な対話の前触れなのか、新たな侵攻のた
めの土台作りなのかは不明だ」と指摘。プーチン氏には外交協議に
満足しなければ、新たな作戦を発動させる選択肢があるとしている。
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もう一つの親露派地域 沿ドニエストル 以前には97%が編入賛成
2014.3.29 22:42 sankei[ロシア]
 沿ドニエストルは、モルドバのドニエストル川以東に位置する人
口約55万人の地域。モルドバ人とロシア系、ウクライナ系が約3
割ずつで、ロシア語が公用語とされている。ソ連末期の1990年
、地元のロシア系指導層を中心にモルドバからの独立が宣言され、
92年の武力衝突を経て、モルドバ中央の実効支配が及ばない分離
派地域となった。2006年の住民投票では97%がロシア編入に
賛成するとの結果が出ている。
 ルーマニアとモルドバにあたる地域は14世紀からモルドバ公国
として存在し、モルドバ語はルーマニア語の一方言。帝政ロシアが
1812年、現在のモルドバ地域を併合したが、1918年にはル
ーマニアに編入された。ソ連は24年、現在の沿ドニエストルに自
治共和国を創設した上で、40年には独ソ不可侵条約の秘密議定書
に基づいてモルドバをソ連の版図に入れた。
 モルドバは昨年11月に欧州連合(EU)との連合協定に仮調印
し、欧州統合路線を加速。92年の停戦合意では、モルドバがルー
マニアと再統一する場合、沿ドニエストルに分離権を保障するとさ
れている。現地にはロシア、モルドバ、沿ドニエストルの平和維持
部隊が推定計1250人、駐留している。(モスクワ 遠藤良介)
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米ロ外相、30日に会談=ウクライナ問題の収拾で
 【ワシントン時事】米国務省のサキ報道官は29日、ケリー国務
長官が週明けにもロシアのラブロフ外相と会談することを目指し、
訪問先のサウジアラビアからパリに移動すると発表した。ロイター
通信によると、両外相は30日にパリでウクライナ問題の事態収拾
策を協議する。
 ロシア外務省によると、ケリー、ラブロフ両氏はこれに先立ち、
29日の電話会談で今後の直接会談の日程などを調整していた。ケ
リー長官はオバマ大統領に同行してサウジアラビアを訪問。そのま
ま帰国する予定だった。
 オバマ大統領とプーチン・ロシア大統領は28日、クリミア半島
のロシア編入後初めて電話で話し合い、外相レベルの直接会談を24
日のハーグに続き、再び開くことで一致していた。米ロはウクライ
ナ危機打開に向けた双方の提案のすり合わせを継続している。
(2014/03/30-01:21)
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コラム:プーチン大統領が見据える「新世界秩序」
2014年 03月 28日 16:23 JST
[26日 ロイター] - By Nina Khrushcheva
ウクライナ南部クリミア半島の編入を強行したロシアのプーチン大
統領。筆者の頭をよぎるのは、もしロシアの領土拡大への欲望が、
クリミア半島だけで満たされなければどうなるかという懸念だ。プ
ーチン大統領はウクライナ東部や、さらにモルドバなどにも次々と
手を伸ばしていくのだろうか。
実際、世界の目がウクライナの首都キエフでの反政府デモやソチ五
輪に向いていた先月、モルドバのガガウズ自治区では、ロシアへの
編入の是非を問う住民投票が静かに行われていた。クリミア同様に
親ロシア派が多い同自治区では、住民たちは、「西側太陽系の小さ
な衛星群」でいるより、「プーチンの惑星」になる方が経済的に楽
になると訴えている。
ロシア編入という言葉が耳に心地よく響くのは、もちろん机上の空
論に過ぎない。暮らし向きが良くなるという約束は、西側の制裁で
ロシア経済が急速な下降線をたどれば、消えてなくなる可能性が高
い。ルーブルはすでに対米ドルで今年に入って約9%下落した。多
くの人(筆者自身を含む)は、プーチン大統領は近いうちに国際的
な反発を乗り切れなくなるとみている。
しかし、もしプーチン大統領の真の狙いが、旧ソ連の再統合を指揮
するだけにとどまらなかったらどうだろうか。プーチン大統領の長
期的戦略が、世界で新たな保守的ブロックを構築し、冷戦構造の繰
り返しを狙っているとしたらどうなるだろう。
反西側を声高に訴えることで、プーチン大統領はロシア国民を、こ
れまで以上に従順かつ愛国的な市民という型枠にはめこもうとして
いるが、すでにそれは効果を表しているようだ。プーチン政権下で
は、国民の実に63%が自国を「大国」とみるようになっている。
これは、過去数年で最高の水準だ。
西側と距離を置く今のロシアでは、プーチン大統領はジャングルの
王として振る舞うことができる。そしてプーチン大統領にとってジ
ャングルはロシア国内だけでなく、彼が作り上げようとしている全
く新たな世界秩序でもある。
*筆者は、米ニューヨークにあるニュースクール大学の国際関係学教授。
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暫定政権 極右勢力排除に本腰 大統領選へ欧米の支持固め
2014.3.29 10:01 sankei
 【モスクワ=遠藤良介】ウクライナ暫定政権が、2月下旬に親ロ
シア派政権を崩壊させる一翼を担った過激民族主義勢力「右派セク
ター」の排除に本腰を入れる構えを見せている。同勢力の存在は、
ロシアが暫定政権をファシスト呼ばわりし、ウクライナ南部クリミ
ア自治共和国に介入する口実を与えた。ウクライナでは5月25日
に大統領選が予定されており、暫定政権は過激派への強い姿勢を見
せることで、欧米諸国などの支持を固めておきたいものとみられて
いる。
◇
 国営ロシア通信によると、国家安全保障会議のパルビー書記とア
バコフ内相ら治安当局幹部は28日未明にかけて緊急会議を開き、
右派セクターの非合法化について話し合った。最終的な結論は出な
かったが、参加者の枠を広げて協議を継続することで一致した。
 ウクライナ内務省は25日、指名手配されていた右派セクターの
ムズイチコ幹部が警察との銃撃戦で死亡したと発表。右派セクター
は内相の即時辞任を要求し、27日夜には同勢力の約1500人が
最高会議(議会)を取り囲むなど緊張が高まった。政権は銃撃戦に
関する調査委員会を議会に設ける一方、右派セクター解体を模索し
ている。
 右派セクターは昨年12月に結成された過激民族主義組織の連合
体。ヤヌコビッチ前政権の崩壊につながった大規模デモで中核的な
役割を担い、デモの暴力化と政権側の報復的な強硬措置を招いた。
政変後も武装闘争を辞さない立場をとり続け、代表のヤロシ氏は大
統領選に立候補する意向を示している。露主要メディアが同勢力の
動きを誇大報道する一方、欧州連合(EU)も武装勢力の存在には
懸念を示してきた。
 財政が事実上の破綻状態にあるウクライナの暫定政権にとっては
、国際通貨基金(IMF)や欧米からの金融支援を獲得し、大統領
選の結果を国際的に認知してもらうことが不可欠だ。ただ、ウクラ
イナでは合法・非合法の銃器が大量に出回っている実態があり、右
派セクターへの強硬姿勢が武力衝突に発展する危険性も指摘されて
いる。
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ロシア化着々 航空便を国内線扱い、書店にはプーチン氏の写真…
2014.3.29 10:09 sankei[ロシア]
 【シンフェロポリ(ウクライナ南部)=佐々木正明】ウクライナ
南部クリミア半島を併合したロシアが、政府主導でクリミアの「ロ
シア化」を着々と進めている。すでに半島内では露通貨ルーブルが
流通。社会保障、交通、郵便など生活に密着した分野でも切り替え
が行われている。街の書店ではロシアの都市と同じように、プーチ
ン大統領の写真も売られ始めた。
 プーチン氏は政府に対し、クリミア自治共和国と特別市セバスト
ポリをロシアに併合するための詳細な具体方針を29日までに決め
るように指示。ソチ五輪を担当していたコザク副首相が併合政策の
責任者に指名され、連日、政府内で協議が行われている。クリミア
の政府関係者は取材に「重要事項は全てモスクワで決まっている」
と話した。
 ルーブルは24日にクリミアの公式通貨となり、主要都市で流通
が始まった。レストランなどではウクライナ通貨フリブナとの二重
表記が行われ、金融機関ではルーブルを受け取る年金受給者の列が
できている。
 連邦予算からは今年130億ルーブル(約370億円)を拠出。
半島を経済特区に指定し、インフラ整備や産業育成を図る。半島の
主要産業である観光産業を維持するため、休暇を取るロシア人が訪
れやすいように航空便を国内線扱いにして、航空運賃の割引も行う。
 30日未明には現地時間がモスクワと同じ時間帯となり、2時間
早まることが決まった。全ての公立学校で露国内と同じ教科書を配
布する方針で、プーチン政権がロシアで強化している愛国教育が実
践される。
 メドベージェフ首相は「全ての人が得をしなければならない」と
述べており、住民の不満を抑えてロシア側に取り込むため、公務員
の給料の増額や医療の無料化も打ち出された。
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「ウクライナに軍事介入せず」=ロシア大統領が約束―国連総長
時事通信 3月29日(土)7時44分配信
 【ニューヨーク時事】国連の潘基文事務総長は28日、プーチン・
ロシア大統領がクリミア半島編入後、ウクライナの東部や南部に軍
事介入する考えはないと約束したことを明らかにした。潘氏はオラ
ンダ・ハーグの核安全保障サミット出席に先立ち、ロシアとウクラ
イナを訪れ、モスクワでプーチン大統領と会談した。
 訪問結果を安保理に報告後、記者会見した潘氏は「ウクライナ南
・東部に軍部隊を派遣しないという保証を得たか」と質問され、「
大統領はそう語った。(ウクライナに対する)いかなる軍事行動の
意図も持っていないと述べた」と語った。ただ、プーチン大統領は
両国国境沿いの「過激な要素」に懸念も示したという。 
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国連事務総長「クリミア編入認めず」
3月29日 11時45分NHK
ロシアがウクライナ南部のクリミア自治共和国を編入したことを受
けて、ロシアとウクライナを相次いで訪問した国連のパン・ギムン
事務総長は双方の対話を改めて呼びかけるとともに、国連として編
入を認めないという立場を初めて明確にしました。
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新たな報復制裁発動=EU追加の可能性も−ロシア
 【モスクワ時事】ロシア外務省は28日、ウクライナ南部クリミ
ア半島の編入を受けて欧米が対ロ制裁を強化したことに対して、同
規模の報復制裁を追加で発動したと明らかにした。具体的には明ら
かにしていないが、新たに欧州連合(EU)当局者を入国禁止措置
の制裁対象に加えた可能性もある。(2014/03/29-01:30)
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米大統領、制裁効果の最大化検討 対ロシアで
 【ローマ共同】欧州歴訪中のオバマ米大統領は27日、ロシアが
ウクライナ東・南部を侵攻した場合の新たな制裁について、欧米企
業への影響はわずかにとどめながら、ロシア側に最大限の制裁効果
を与えられるよう技術的検討を行っていることを明らかにした。米
国は先進7カ国(G7)と協調し、ロシアの基幹産業を対象にした
「分野別制裁」を準備している。
 ローマでイタリアのレンツィ首相と会談後、共同記者会見で述べ
た。オバマ氏は、新たな制裁を発動すれば、欧米側にも「影響がゼ
ロということはあり得ない」との認識を示す一方、ロシア側には甚
大な影響が出るとして、緊張緩和をロシアに求めた。
2014/03/28 06:22   【共同通信】
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ウクライナ艦艇30隻配備へ=軍用イルカ訓練施設も管理−ロシア
 【シンフェロポリ時事】ロシアに編入されたクリミア半島セバス
トポリに駐留するロシア黒海艦隊筋は27日、ウクライナ海軍から
奪った艦船のうち30隻以上が黒海艦隊に実戦配備されるとの見通
しを明らかにした。ロシア通信が伝えた。
 同筋は「艦船の自動的な配置換えは行わない。技術的点検を行い
、どれを黒海艦隊に残し、どれを解体処分にするかを決める必要が
ある」と述べた。ウクライナ海軍の艦船は、国防費の制約から老朽
化が進んでいるとされる。
 一方、ウクライナがセバストポリに保有していた軍用イルカの訓
練施設もロシア海軍の管理下に置かれる。軍用イルカは海中の爆発
物探知や海底捜索、パトロール、超小型潜水艇の発見などの訓練を
受けているほか、冷戦当時は海中の破壊工作者を殺害する役割も担
っていたとされる。(2014/03/27-18:12)
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露周辺にNATO常駐軍、オバマ大統領が意向
 【ブリュッセル=白川義和、寺口亮一】オバマ米大統領と北大西
洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長は26日、地理的に
ロシアに近く、ウクライナ危機を安全保障上の脅威とみるNATO
加盟国にNATO常駐軍を置く方向で検討を始めた。
 アフガニスタンでの対テロ作戦を活動の軸にしてきたNATOは
、今回の危機を転機に欧州の集団安保という本来の任務へ軸足を戻
す。
 オバマ大統領は会談後、記者団に、露軍の行動によって北大西洋
条約第5条が「すべてのNATO加盟国にとって非常に重要になっ
ている」と述べた。第5条はNATO加盟国に対する武力攻撃を同
盟全体への攻撃ととらえ、集団的自衛権を行使すると定めている。
加盟国への挑発を看過しない姿勢を示したものだ。
(2014年3月28日12時48分  読売新聞)
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国連総会、クリミア編入を無効とする決議採択
 【ニューヨーク=加藤賢治】国連総会は27日、ウクライナ南部
クリミア半島のロシア編入を無効とする決議案を賛成100、反対
11、棄権58の賛成多数で採択した。
 決議案はウクライナが主導し、日米英を含む47か国が共同提案
国となった。ロシアや北朝鮮、シリアなどが反対し、中国は棄権し
た。
 決議は、他国の領土一体性や政治的独立に対し、「武力による威
嚇や武力行使を行わない」とする国連憲章第2条4項の順守を明記
。今月16日に行われた住民投票は「効力がない」と指摘し、国連
加盟国や国際機関などに対し、住民投票に基づくクリミア自治共和
国とセバストポリ特別市の地位変更を承認しないよう求めた。ロシ
アの名指しは避けた。
 安全保障理事会では同15日、同様の決議案にロシアが拒否権を
行使している。総会決議に法的拘束力はないが、ロシアのクリミア
併合を認めない国際社会の意思を示す狙いがある。
(2014年3月28日10時59分  読売新聞)
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クリミア半島駐留のウクライナ軍兵士、帰還開始
 【キエフ=田村雄】ウクライナのウニアン通信によると、同国南
部クリミア半島に駐留していたウクライナ軍兵士が27日、同国本
土に帰還を始めた。
 ロシア軍がウクライナ軍関連施設の接収完了を表明したことを受
け、帰還やロシア軍への入隊が本格化しそうだ。
 同通信によると、同日未明、クリミア半島の南東部フェオドシア
に駐留していた海兵隊の大佐ら幹部3人がキエフに到着した。
 クリミア駐留のウクライナ軍兵士は約1万8800人とされるが
、ロシア国防省は、ウクライナ本土への撤収希望者は2000人を
下回るとみている。露軍への入隊を希望するウクライナ軍兵士は多
いとみられており、ショイグ露国防相は今後、ロシア軍への編入を
進める考えだ。
(2014年3月27日21時00分  読売新聞)
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介入拡大なら対ロ経済制裁=シェールガスで協力−米EU首脳会議
 【ブリュッセル時事】米国と欧州連合(EU)の首脳会議が26
日、ブリュッセルのEU本部で開かれた。欧州歴訪中のオバマ米大
統領とファンロンパイEU大統領、バローゾ欧州委員長がウクライ
ナ情勢などを議論し、ロシアがクリミア以外のウクライナに介入地
域を拡大すれば、ロシアに対して新たな経済制裁を発動する方針を
確認した。
 オバマ大統領は会議後の記者会見で「われわれは団結してロシア
を孤立させ、ロシアの行動に対して代償を科す」と述べ、欧米の結
束を強調した。
 ただ、EU内には対ロシア経済制裁発動をめぐり温度差がある。
東欧などは天然ガスの確保でロシアに依存しており、制裁への報復
としてロシアがガス供給を止めないかと懸念しているためだ。
(2014/03/27-00:57)
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ロシア成長、マイナス1.8%も=クリミア危機深刻化なら−世銀
 【ワシントン時事】世界銀行は26日、ロシアのクリミア半島編
入による危機が深刻さを増した場合、2014年のロシアの実質
GDP(国内総生産)が前年比マイナス1.8%に落ち込む可能性
があるとの予測を示した。同日発表したロシア経済報告書に盛り込
んだ。米欧諸国による制裁とロシアの報復措置によって不透明感が
高まるとしている。(2014/03/27-07:00)
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対ウクライナ国境で軍増強継続=ヘーゲル米国防長官、ロシアに不快感
 【ワシントン時事】ヘーゲル米国防長官は26日、ロシアがウク
ライナ東部に軍を侵入させる意図はないと説明していたにもかかわ
らず、同国との国境付近に展開する軍の規模を増強し続けているこ
とを明らかにした。ハモンド英国防相との会談後、国防総省で行わ
れた共同記者会見で語った。
 ヘーゲル長官は20日にロシアのショイグ国防相と電話で会談し
、「部隊を配置しているのは演習を実施するためだ」との説明を受
けていた。
 ヘーゲル長官は会見で「ショイグ国防相にはその言葉に沿った行
動を期待していると言った。しかし、現実にはロシアは軍を強化し
続けている」と不快感を表明。「ロシアは私への説明に責任を持つ
必要がある」と訴えた。(2014/03/27-07:11)
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ウクライナに150億ドル支援へ=IMF方針固める−英紙
 【ワシントン時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は
26日、国際通貨基金(IMF)がウクライナ新政権に総額150
億ドル(約1兆5300億円)規模の金融支援を実施する方針を固
めたと報じた。27日にも発表する方向。ウクライナの外貨準備不
足に対応するため、4月末までに最初の融資を実行する見通しとい
う。(2014/03/27-07:16)
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ロシア軍、ウクライナ軍施設を完全制圧 ウ軍高官「国家の悲劇」
2014.3.27 00:30産経
 【シンフェロポリ=佐々木正明】ロシア軍のゲラシモフ参謀総長
は26日、ウクライナ南部クリミア半島にあるウクライナ軍の施設
全193カ所でウクライナ国旗が降ろされ、露国旗が掲げられたと
明らかにした。ウクライナ軍施設が完全制圧されたことを意味する
とみられる。
 ウクライナ軍司令官によると、参謀本部はクリミアの駐留兵士に
「最後まで抵抗せよ」と指令。すでにウクライナ政府は半島から軍
を撤退させることを決めたが、25日もウクライナ軍の艦船が、乗
艦しようとする露軍の武装兵士らを何度もはねのけるなど抵抗を続
けていた。
 ウクライナ国防省は、半島内の軍施設の総資産額を約115億ド
ル(1兆1700億円)と算出するが、さらに高額との情報もある。
軍高官は26日、「甚大な損失であり、ウクライナの悲劇だ」と述
べた。
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米大統領、秩序維持で限界も=欧州、アジアで安保環境悪化
 【ハーグ時事】オバマ米大統領は外遊先のオランダ・ハーグで、
ウクライナ情勢をめぐり、欧州各国首脳と協議を重ねた。大統領は
さらに日韓中3カ国の首脳とも会談。欧州とアジアにまたがる同盟
網の盟主として、領土保全や主権の擁護を訴えたが、両地域で進む
力による現状変更の動きや安全保障環境の悪化に歯止めをかけるの
は容易ではなく、限界も透けて見えた。
 「ロシア軍がクリミアを支配下に置いている。同地で既に起きた
事態の解決は簡単だと告げるのは不誠実だ」。大統領は25日の記
者会見でこう語り、ロシアによるウクライナ南部クリミアの併合を
撤回させることは困難だと率直に認めた。
 大統領は、重要産業を狙った実効性のある対ロシア制裁の発動準
備を整えるよう各国に呼び掛け、先進7カ国(G7)首脳会議で同
意を得た。G7は、ロシアで開かれる主要8カ国(G8)首脳会議
(サミット)のボイコットも決めた。
 ただ、ロシアから多くのエネルギー供給を受ける欧州連合(EU
)の一部加盟国は、強力な制裁発動に慎重。このためG7は、ロシ
アに依存しないエネルギー安全保障政策を検討する方針を打ち出し
、不安の解消に努めた。軍事力は用いないと明言している大統領に
とって、制裁はロシアに対抗する最も強力な武器だが、国際協調の
足元は盤石ではない。
 一方、ロシアのウクライナ介入は、アジアにも不安を広げている
。安倍晋三首相はクリミア併合を「アジアなど国際社会全体の問題
だ」と指摘した。現状を放置すれば、東シナ海などで領有権の主張
を強め、威圧的行動を続ける中国を勢いづかせかねないとの危惧を
示した形だ。
 こうした声を踏まえ、オバマ大統領は中国の習近平国家主席との
会談で、東シナ海への防空識別圏設定に懸念を伝え、対話と国際法
に基づく問題の解決を訴えた。しかし習主席は「米側が客観的で公
平な態度を取るべきだ」と一蹴した。
 また、北朝鮮はハーグ現地時間の25日、弾道ミサイル2発を発
射。大統領が安倍首相、韓国の朴槿恵大統領と3者会談を行い、北
朝鮮の核保有を認めないと確認したタイミングに合わせて挑発に及
び、地域がいかに不安定かを改めて認識させた。(2014/03/26-14:55)
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「新冷戦」突入鮮明 試されるG7、露の異質さ浮き彫り
2014.3.26 00:02 産経[国際会議・機関]
 【ハーグ=内藤泰朗】オランダ・ハーグで行われたG7の緊急首
脳会議は、ウクライナ南部クリミア半島のロシア併合を「違法行為
」と断罪し、ロシア側の態度によっては、さらなる制裁を発動する
ことを示唆した。だが、ロシア側は、G7側の警告を無視する方針
とみられる。ロシアの異質ぶりが改めて浮き彫りになる中、G7側
にも犠牲を強いる、新たな冷戦時代への突入は避けられないとの見
方が広がっている。
 「ロシアへの対応をどうするのか」
 G7と欧州連合(EU)の首脳ら9人は24日夜、ハーグのオラ
ンダ首相府の狭い部屋に集い、円卓を囲んでクリミア併合を決めた
ロシアへの対応などについて、約1時間半にわたり議論を展開した。
 G7の外交筋によると、G7首脳の中には、国際法に違反したロ
シアをG8の枠組みから排除すべきだとの強硬論も出たが、とりあ
えず6月にロシア・ソチで開催予定だったG8首脳会議への不参加
を決定。代わりにブリュッセルでG7首脳会議を開催することで合
意した。オランダ国王主催の晩餐(ばんさん)会が始まる直前のこ
とだった。
 外交筋は、「ロシアが(自由や民主主義といった)共通の価値観
をベースにしたグループにとどまることができるのか疑問だが、ま
だ結論が出たわけではない」と述べ、「ロシア排除」問題は継続協
議となったことを明らかにした。
 こうした中、マクフォール前駐露米大使は24日、「プーチン大
統領は西側との対立を求めている」とする論文を米紙に寄稿した。
スウェーデンのビルト外相も、民族主義に根ざした保守強硬派がロ
シアを支配しているとし、悲観論に賛同。英BBC放送は「第2の
冷戦か」と伝えた。
 ただ、米ソという超大国による東西冷戦時代とは異なり、ロシア
と欧米の間には経済的な相互依存関係が構築されており、欧米側に
も大きな打撃が及ぶ。制裁を受けたロシアは、中国やインドなど新
興大国との関係強化で生き残りを図るものとみられ、今後は「一方
的な勝者はいない」といった見方が欧米メディアや識者の間で広が
っている。
 先の外交筋は、欧米とロシアによる駆け引きで、「漁夫の利」を
得るのは中国である可能性が高いと指摘しつつも、「G7諸国とEU
は、各国の国益に沿いながら、結束して対抗する以外に道はないの
ではないか」と強調している。
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IEA高官:欧州は向こう数十年、ロシア産ガスの最大消費者のまま
26 3月 2014, 01:17VOR
国際エネルギー機関(IEA)ガス・石炭・電力局長ラスロ・ヴァッロ
氏はベルリンで開かれた会見で、「欧州は今後数十年間、ロシア産
ガスの最大の消費者であり続けるだろう」との見方を示した。
   ブルームバーグが伝えた。
  「ロシアは今後数十年間、欧州市場への最大のガス供給者であり
続けるだろうし、欧州はロシア産ガスの最大の消費者であり続ける
だろう」とヴァッロ氏。
    ヴァッロ氏によれば、IEAは欧州におけるシェールガス開発を楽
観視してはいないという。
    インターファクス
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米の影響力低下露呈 ウクライナ情勢 米政治学者に聞く
2014年3月23日 東京朝刊
 ロシアがウクライナ南部のクリミア自治共和国の編入を宣言し、
緊張が続くウクライナ情勢をめぐってロシアと米欧の溝が深まって
いる。世界の平和および安全の維持が第1の役目でもある国連安全
保障理事会の場でも、双方が非難し合うばかりで、着地点は見えな
い。著書「『Gゼロ』後の世界」で、国際秩序を守るリーダーとな
るべき国がなくなると予想した政治学者イアン・ブレマー氏(44
)に、国連の政治的役割や今後の展開について聞いた。 
(ニューヨーク・長田弘己)
 −国連の平和および安全を維持する役割が機能しない状態となっ
ている。
 「当事者である常任理事国のロシアが拒否権を行使できるような
環境で、国連は政治的に機能できないというのは明らかだ。地政学
的にも平和の面からも、国連が担える役割はない。国連は、リーダ
ー不在の世界での調整役を務められない。であれば、安保理を改革
すべきだという議論もあるが、それは意味がない。拒否権を持つ常
任理事国らの役割が、混沌(こんとん)としてきたこの時代に、ま
すますその特権を逃すはずはないからだ」
 −国際社会は、ロシアのクリミアへの軍事介入を阻止できず、ロ
シアはクリミア編入を宣言した。国際秩序への危険な先例になる恐
れはないか。
 「ロシアの行為よりも、米国が世界の警察としての役割を果たせ
なくなっているということを露呈したことが、世界にとっての不幸
な先例となった。シリア内戦の対応でも、米国はこの三年間、アサ
ド大統領に退陣を要求し続けたが、退陣どころか、アサド政権側は
勢力を増している」
 「クリミア編入前に、米国はロシアを脅したが、効果はなかった
。世界の人々は、米国の外交政策がもはや世界を引っ張れないとい
うことを見てしまった」
 −新しい冷戦が始まるのか。
 「冷戦にはならない。なぜなら中国が今回、ロシア側に立とうと
していないからだ。ロシアは過去二十年間、外交、経済、軍事的に
も人口面でも国力が低下してきた。ロシアだけでは、米国と対立で
きない。今回の事態は、地球規模のリーダー不在により世界が不安
定になるGゼロ状態が既に到来したことを示した」
 −国際社会はどう対処すればいいのか。
 「不確かな状況では、透明性とコミュニケーションが良い外交関
係を維持するための鍵となる。例えば、米国は、もっとはっきりと
、自分たちの立場を国際社会に伝えて、行動する必要がある。日本
などの同盟国にとって、米国の外交政策の不透明さは深刻な問題に
なっている」
<イアン・ブレマー氏> 1994年米スタンフォード大で博士号
取得(政治学)、98年、政治リスク調査分析会社「ユーラシア・
グループ」を設立し、社長に就任。米主要メディアへの寄稿や出演
のほか、コロンビア大やシンクタンクなどで教壇に立つ。
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ロシアからの資本流出、1〜3月で7兆円に 制裁でさらに加速も
2014.3.25 14:28 産経[ロシア]
 ロシアのクレパチ経済発展次官は24日、今年1〜3月のロシア
からの資本流出が最大700億ドル(約7兆1575億円)に達し
たとの推計を明らかにした。ロシアによるウクライナ南部クリミア
の編入に対する米欧の制裁の影響で資本流出が加速する可能性も認
めた。
 英紙フィナンシャル・タイムズによると、昨年1年間のロシアか
らの資本流出630億ドルを既に上回っており、ウクライナ情勢を
めぐる緊張が欧米資本の逃避を加速させているようだ。
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ロシア、G8諸国と接触を続けることに関心─大統領報道官=報道
2014年 03月 25日 17:00 JST
[モスクワ 25日 ロイター] -プーチン・ロシア大統領の報道
官は、主要8カ国(G8)の諸国とあらゆるレベルの接触を続ける
ことに関心があると表明した。インタファクス通信が伝えた。
主要7カ国(G7)首脳は24日、ウクライナ情勢をめぐり、ロシ
アが態度を変えない限りG8会合を欠席する考えを示した。
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米国、ロシア情報収集の強化急ぐ
By ADAM ENTOUS, JULIAN E. BARNES AND SIOBHAN GORMAN
2014年 3月 25日 16:21 JST
 先月、ロシア軍がクリミア近辺に集結する様子は米軍の偵察衛星
に捉えられていた。それでも情報分析官らはこれに驚いた。という
のも、ロシアの指導者たちや軍の指揮官や兵士らが侵攻計画を協議
していることを明確にする通信を傍受していなかったからである。
 米国が誇る世界的監視システムは米国の情報機関にとって、特に
早期警戒システムや他の証拠を裏付ける手段として、欠くことので
きないツールだ。ところがクリミアでは、ロシアの指導者たちが米
国の通信傍受をうまくかわすことで、欧米を出し抜いたかもしれな
いというのが米国の情報機関の結論になりつつある。
 「その兆候はあったとはいえ、われわれには起きようとしている
ことを正確に予測するための情報がなかった」とある米国政府高官
は話す。
 そうした情報不足を補うために、米国の情報機関と米軍は、ロシ
ア、ウクライナ、バルト諸国での衛星監視や通信傍受活動の拡大を
急いでいる。米国政府高官はそうした情報や分析官の強化によって
、より確実にロシア軍を追跡し、プーチン大統領が行動を起こす前
に、そのいかなる意図についても察知できるようにしたいと望んで
いる。
 米国のこうした動きは迅速なものになるだろう。「われわれは危
機対応モードに入った」とある政府高官は語った。
 ロシア軍がウクライナ東部の国境付近に追加的な増派を行うなか
でも米情報機関の責任者たちは、ロシアの指導者たちが米国の通信
傍受をかわすことで、次の動きを隠すことができるのではないかと
懸念しているという。内情に詳しい高官が明かした。ある高官は「
われわれの誰もが抱いている疑問がそれだ」と述べた。
 この協議に近いある人物はオバマ政権が「とても神経質に」なっ
ていると話す。「これは未知の領域なのだ」。
 こうしたことのすべては、ウクライナ政府の不安を背景に起きて
いる。ウクライナの外相は3月23日、ロシア軍による増派が、ロシア
との戦争の可能性を高めていると発言した。
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G7首脳、欧州のロシア産エネルギー依存の削減検討へ=英外相
2014年 03月 25日 08:47 JST
[ハーグ 24日 ロイター] -ヘイグ英外相は24日、ロシアに
よるクリミア編入の動きを受け、日米欧7カ国(G7)首脳が欧州
のロシア産エネルギーへの依存を減らす方策について検討すること
を明らかにした。
オランダのハーグで開催されている核安全保障サミットの合間に行
われたG7緊急首脳会議で話した。
G7首脳は同日、6月にロシアのソチで開催予定だった主要8カ国
(G8)サミットへの出席を取り止め、代わりにブリュッセルでG7
サミットを開催することで合意した。これについて外相は「G8に
とって大きな痛手となるのは無論のことだ。これで今年はG8サミ
ットは開催されないことになる。米大統領は今回の協議で、G8を
すぐに復活させることは困難だという明確な見方を示した」と述べ
た。
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抵抗の象徴が制圧…ウクライナ、クリミア撤収へ
 【キエフ=青木佐知子、モスクワ=田村雄】ウクライナの安全保
障国防会議は24日、ロシアが編入したウクライナ南部のクリミア
自治共和国とセバストポリ特別市からウクライナ軍を撤収させるこ
とを決めた。
 ロイター通信などによると、クリミアのフェオドシアでは24日
早朝、ウクライナ国旗を掲げ、ロシアへの抵抗の象徴だった海兵隊
基地が、露軍に制圧された。海軍の旗艦スラブチチやベルベック空
軍基地などが既に接収されている。インターファクス通信によると
、自治共和国のテミルガリエフ第1副首相は同日、記者団に「半島
からウクライナ軍部隊はいなくなった」と述べ、ロシアによる半島
の完全制圧を宣言した。
 タス通信によると、ショイグ露国防相は24日、編入したクリミ
ア自治共和国を初めて訪問した。国防相は、元ウクライナ軍指揮官
らと面会し、「希望者は全員、ロシアの全ての軍管区や艦隊で任務
に就ける」と述べ、露軍への入隊を呼びかけた。
(2014年3月25日07時47分  読売新聞)
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ロシア・ウクライナ外相が会談=クリミア編入後初
−ラブロフ氏「G8に固執せず」
 【ハーグ時事】ロシアのラブロフ外相は24日、親欧州連合(EU
)派のウクライナ新政権のデシツァ外相とハーグで初会談した。両
国の閣僚が直接会談するのは、ウクライナ南部クリミア半島のロシ
ア編入後初めて。ラブロフ外相が記者会見で明らかにした。
 直接会談は2月の親ロシア派のヤヌコビッチ前政権崩壊後でも初
めてで、ウクライナ側が提案したとされる。先進7カ国(G7)が
ロシアを非難する立場で一致する中、ロシアには一定の対話姿勢を
アピールする狙いもあるとみられる。ラブロフ外相は会談の理由を
「プーチン大統領から対話を継続するよう指示を受けた」と説明し
た。
 一方、G7が決めたソチでの主要8カ国(G8)首脳会議(サミ
ット)ボイコットに関し、ラブロフ外相は「ロシアはG8に固執し
ない」と一蹴。さらに「G8は会員カードのない非公式クラブだ。
誰かが誰かを追放することはできない」と述べ、G7を批判した。
(2014/03/25-08:05)
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著名政治学者、ウクライナ問題を斬る:ロシア=秩序と米国=混沌
23 3月 2014, 17:40VOR
  2009年からウクライナの崩壊を予言していた著名な政治学者ア
レクサンドル・ドゥギン氏がブログ記事の中で、国際政治学上の定
式を示してみせた。
  いわく、「ウクライナ問題ではひとつの法則性が示された。『
米国はカオスをもたらし、ロシアは秩序をもたらす』。米国が介入
すると必ず、アフガンでもイラクでもリビアでもシリアでもウクラ
イナでも、人々は狂わされ、社会は分断され、国家は瓦解する」。
  ドゥギン氏は次のように続けている。
  米国のゆくところ、破壊あるのみである。いままた一つ、ウク
ライナという国家がカオスに覆われてしまったが、合法則的なこと
だ。アメリカの増大によってカオスも増大する。いま徐々に、グロ
ーバル規模の定式が確立しつつある。ロシア=秩序vs米国=混沌、
というものだ。米国はグローバル規模の「混沌への投資」によって
ヘゲモニーを握ろうとしているのだ。
  一方のロシアは、大文字の秩序、すなわち個々の具体的秩序で
なく、原理としての秩序の側に立つ。つまりプーチンは、単に個別
的・具体的秩序を追求するのでなく、秩序全体を志向している。
  ウクライナ問題におけるロシア人への嫌悪、プーチンへの憎悪
は、スキゾ患者の医師への憎悪、酩酊漫歩者の巡査への憎悪と何ら
異なるところがない。あるいは、病者が健常者に対してもつ深い羨
望と同質のものである。この傾向は今後も止むことはない。
アレクサンドル・ドゥギナ氏ブログより
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クリミアへ送電半減=ロシア編入に対抗か−ウクライナ
 【シンフェロポリ時事】ロシアに編入されたウクライナ南部クリ
ミア自治共和国のテミルガリエフ第1副首相は23日、ウクライナ
国営電力会社ウクルエネルゴがクリミアへの電力供給を半分に減ら
したことを明らかにした。地元通信社が伝えた。
 クリミア半島のロシア編入への対抗策として、ウクライナ新政権
が送電を削減した可能性がある。新政権はクリミアで16日に実施
された住民投票の結果を「一切認めない」との立場を表明していた
。第1副首相によると、クリミアの一部で停電が起きているという
。(2014/03/24-08:31)



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