4930.日銀が追加金融緩和で凌ぐ



リフレ派の人から、批判を浴びているようであるが、金融量的緩和
は、刺激策であり、その刺激は長くは続かない。通貨発行量を増や
すと、いつか反動的な通貨の信用問題になる。このため、米国でも
QE3を永続的にはできないと、縮小に向かい始めた。

日本経済の2013年の数字を見ると、成長のほとんどが公共事業
などの財政支出分の増加であり、刺激をしているだけの状態が続い
ている。その状況を分析しているのが、「10秒で読む日経!」だ。
このようにマクロ分析でも指摘されていることである。

そして、ミクロ的にもそれを裏付ける現象が出ているのに、マクロ
とミクロは違うと言う。しかし、マクロとミクロはどこかで繋がっ
ているのですよ。

このため、福井藩の橋本左内も、藩札を出して、その資金を元手に
して、産業を興して福井藩の財政を立て直したし、これができない
冷害などが起こった東北の諸藩は、藩札が暴落して、誰も見向きも
しなくなっている。米沢藩の上杉鷹山だけが、その状態から米沢織
という産業を興して、立て直しに成功する。

金融量的緩和で、財政支出を増加させて、有効な新規産業を作らな
いといけないのに、現在の日本の政府は公共事業だけであり、新規
事業ができていない。
この新規産業を興すことが安倍政権の第3の矢の成長戦略であるは
ずが、それが失敗している。

その原因は、有効な産業を起こせないことであるが、それなら、も
う1つの手である既存産業の活性化に活路を見つける必要がある。

規制緩和を言うと、それによって守られている産業界からは非難が
出るが、それをすることで、既存産業の自由競争で産業規模が大き
くなり、雇用数が増すことになる。

米国は、新規産業としてシェール・ガス、オイルをできたことで不
況状態から抜け出す可能性があるとしているが、それでも一進一退
の状態である。

日本のように、AV産業崩壊で経済規模が落ち、かつ新規産業を見つ
けられないと、それは没落しかない。それなら、新規産業ができる
までは、織田信長がやった楽市楽座で産業の自由化をして、活性化
させるしかないはずである。

歴史的に成功している事例が、日本にも多くあり、その事例を見る
ことですね。

それを理屈をこねて、何もしないと、それは日本経済が大きく落ち
込むことになり、そこにいる多くの国民は、貧乏になることを意味
するのですが、これもマクロとミクロがつながっていることによる。

現在は、政府が何も有効な成長戦略ができないので、日銀が追加金
融緩和で凌ぐことになるが、佐々木融JPモルガン・チェース銀行
の債券為替調査部長が言うように、海外投資家は、何とか日銀に追
加緩和をしてもらい、そこで円が下落し、日経平均が上昇したとこ
ろで利食いの円買い・日本株売りをしたいと考えている投資家は多
いという。

日本売りで儲けて撤退しようと目論んでいるのですよ。その穴をNISA
の仕組みで、日本個人投資家にハメることになる。

そして、足踏み気味のアベノミクスに「最後通告」を突きつけるの
は、慶大教授の竹中平蔵であると日経は報道するだ。竹中さんは、
首相の安倍晋三が指揮する産業競争力会議の議員だが、経済産業省
が主導する成長戦略には見切りをつけるべきであると進言している
ようである。

この議論は、米国のサマーズなど欧米経済学者などもしているので
、それは、このコラムにも多く掲載しいるので、お読みください。

欧米が低成長から抜け出す方法を模索していることが分かると思い
ます。しかし、有効な方法がなく、そのため、足踏みをしている状
態である。


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10秒で読む日経!視点が変わると仕事と投資のネタになる
2014/2/17 No.2789
●内閣府が17日発表した2013年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値は、
 物価変動の影響を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算では1.0%増だった。
 プラスは4四半期連続。個人消費が堅調で住宅投資も伸びたが、外需が押し
 下げ要因となり、QUICKが14日時点で集計した民間予測の中央値
 (前期比0.7%増、年率2.7%増)は下回った。
 生活実感に近い名目GDPは前期比0.4%増、年率1.6%増だった。その結果、
 名目成長率が実質を下回る「名実逆転」が解消した。
                   日本経済新聞 2月17日夕刊 

佐々木の視点・考え方
★第4四半期の特徴は、増税前の駈込み需要即ち仮需の発生で内需を0.8%
 のプラスにしており、住宅と自動車の駆け込み需要が無かったらマイナス
 成長になっていたというもの。
 要は完全に不況入りしたわけだ。
 このあたりは、あちこちで言われることだろうから、私はここまでに。
★今日の数値発表で2013年暦年のGDPが揃ったことになる。
 つまり、アベノミクスの1年の成績通知表だ。
 項目別名目GDPの前年比は以下のようになっている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
			2012	2013	12/11	13/12
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
国内総生産(支出側)	2,466	4,671	0.5%	1.0%
民間最終消費支出	3,453	5,164	1.2%	1.8%
民間住宅		292	1,560	2.2%	11.4%
民間企業設備		2,131	-485	3.4%	-0.7%
民間在庫品増加		370	-1,564	-19.2%	100.4%
公的支出		1,361	4,224	-289.2%	210.3%
純輸出			-5,108	-4,178	119.5%	44.5%単位兆円
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 2013年に増えた名目GDPは4.6兆円。前年比1%増だ。
 デフレ脱却とは言い難い不況時並みの成長率だ。
 プラス寄与したのが、消費で5.1兆円、住宅で1.5兆円、公的支出が
 4.2兆円。足すと10.9兆円になる。
 しかし、このメルマガで書いたように円安が日本経済にダメージを与えた。
 輸出は7.7兆円増えたものの、輸入が11.9兆円増えたため、差し引き
 4.1兆円のマイナスになった。
 輸出業者は潤ったが、高い輸入代金を支払う輸入業者・内需企業はより大
 きなマイナスを受けた。
 この意味で、異次元緩和は日本経済を苦しめる政策だ。
 株高・不動産高で内需が潤ったと言いたいかもしれないが、内需の内で大
 きな住宅と自動車の活況は、景気が良くなったというより、消費税増税前
 の駈込み需要であり、来年4月以降は反動減となる。
 厳しい状況を説明するのが、設備投資と在庫投資のマイナスだ。景気の先行
 きは不況だと知らず知らず判断してのマイナス投資だ。
 この駈込み需要を5兆円とすれば、民需は2012年の民主党政権時代と
 あまり変わらなくなる。
 唯一変わったのが、公的支出が4.2兆円増えた事。
 この数字が2013年のGDP成長率とほぼ等しいのだ。
 つまり、この1年は、借金して公的支出を増やした分だけ、GDPが増えた
 ことになる。
 そして、来年は駆け込み需要の反動が5兆円以上出るので、その分マイナス
 になるし、純輸出のマイナスも続く。
 2014年は公的支出が2013年の122兆円と民需と輸出のマイナス分
 約8兆円を足した130兆円でゼロ成長となる。
★数字は恐ろしい事実を教えてくれる。
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コラム:海外投資家に広がる「アベノミクス疲れ」=佐々木融氏
2014年 02月 18日 18:22 JST
佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長
(2014年2月18日)
ロイター日本語ニュースサイト
日銀は18日、予想通り金融政策を据え置いたが、「貸出増加を支
援するための資金供給」と「成長基盤強化を支援するための資金供
給」について、規模を2倍にしたうえで、1年間延長すると発表し
た。
期間の延長は予想されていたことだが、規模を2倍にしたのは予想
外だった。市場はこれに円安・株高で反応した。しばらくこれとい
って目新しい話が日本から出てこない中で、久しぶりに動きがあっ
たことに海外勢がポジティブに受け止め、反応したものと考えられ
る。
しかし、これが昨年のような急激な円安・株高につながることはな
いだろう。今の日本経済が必要としているのは低利で調達できる資
金ではなく、民間が手元にある資金でリスクを取って投資をしたい
と考えるような経済構造の見通しである。
実際、2012年12月に白川方明前総裁の下で詳細を決定した「
貸出増加を支援するための資金供給」は、当初日銀は実施期間終了
の今年3月までに15兆円程度の需要があると試算していたが、現
在の残高は5兆円程度にとどまっている。
また、海外勢を中心に日銀の追加緩和を期待して、すでに円ショー
トポジションや日本株のロングポジションを積み上げてしまってい
る投資家も多いと考えられる。今回の措置が12年末から昨年にか
けてのように、日本の期待インフレ率をさらに一段と引き上げ、実
質金利を急速に低下させるということも考えづらいことから、円安
・株高の動きは限定的だろう。
<利食いの円買い・日本株売りのリスクは>
一方で、筆者は基本的に日本経済に対する海外勢の期待が萎むだけ
ではさほど急激な円高にもならないと予想している。円相場にとっ
ては世界の投資家のリスクテイク志向が強いかどうかということが
最も重要であり、リスクテイク志向が強い状態であれば、仮に海外
勢が日本経済に失望したとしても、円は結局、資本調達通貨として
売られることになるからだ。
しかし、日本経済の将来を考えると、「海外の投資家が日本に失望
しても大丈夫」などと言ってはいられない。海外勢がなぜ日銀の追
加緩和に期待しているかというと、それはアベノミクスの第三の矢
(成長戦略)に対する期待が後退しているからである。
世界にはいろいろな投資家がいるので一概には言えないが、第三の
矢に対する期待からポジションを作ったが、その矢がなかなか放た
れないので、何とか日銀に追加緩和をしてもらい、そこで円が下落
し、日経平均が上昇したところで利食いの円買い・日本株売りをし
たいと考えている投資家は多いかもしれない。
そもそも、第一の矢(日銀の量的・質的金融緩和)は人々の期待に
働きかけることにより目的を達成するという部分が大きい。名目金
利をゼロ以下には下げられない中、日銀のバランスシートを拡大し
、マネタリーベースを増やすことによって、期待インフレ率を押し
上げ、実質金利を下げることで円安・株高を示現してきた。
*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長
で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本
銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを
経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書
に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の
強い円」など。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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日銀が政策継続決定、貸出支援制度を拡充:識者はこうみる
2014年 02月 18日 14:45 JST
[東京 18日 ロイター] -日銀は18日の金融政策決定会合で
当面の金融政策運営を「現状維持」とし、現行の異次元緩和の継続
を全員一致で決めた。長期国債やETF(上場投資信託)などの資
産買い入れも現行方針を継続する。
また、今年3月が期限となっていた貸出増加支援と成長基盤強化支
援のための貸出支援制度について、それぞれ規模を2倍とした上で
、1年間延長することを決定した。市場関係者の見方は以下の通り。
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足踏みアベノミクスに竹中氏の「最後通告」 
編集委員 清水真人
2014/2/18 7:10日本経済新聞 電子版
 「世界の投資家の失望感が高まっている。腰折れしてしまわない
か、胸突き八丁に来ている」。足踏み気味のアベノミクスにこんな
「最後通告」を突きつけるのは、慶大教授の竹中平蔵だ。首相の安
倍晋三が指揮する産業競争力会議の議員だが、経済産業省が主導す
る成長戦略には見切りをつけつつある。新たな国家戦略特区をテコ
にした岩盤規制の改革に的を絞り、安倍の背中を押す。
■熱を帯びる戦略特区の先陣争い
 13日の国会内。官…




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