4922.安倍氏の「国家主義」懸念と



心配していた事態になったようである。安倍首相の主張と同じ国家
主義者を要職に着けて、安倍首相の考え方を実行し始めたとFTなど
の欧州の新聞が詳論し始めた。

非常に心配な事態である。欧米との同盟関係を維持、発展させない
と中国の拡張的な軍事攻勢を止めることはできない。

その中国に、非常に大きな日本を非難する根拠を与えてしまってい
る。この戦略的な大きな問題の根本は、日本の自分勝手な主張を世
界は受け付けないということである。

1つ1つ、議論をすると負けるが、それを日本国内では激昂する人
が居る。それなら、世界的に納得できる議論を展開する必要がある
が、日本の論理は短い点をほじっくているだけであり、慰安婦問題
でも、世界は戦争中に売春婦がいたことを認めているが、それが自
由かどうかという議論になっている。

そして、インドネシアにいたオランダ女性を強制的に売春婦にした
事実があり、それを欧米では日本は強制的に女性を売春婦にした証
拠としている。これでは議論に負ける。自国内で議論するのではな
く、欧米での議論で何が問題かを確認してから議論ポイントを整理
して、論理的に論理を組み立てることであるが、負けることは見え
ている。

オランダ女性を収容所から強制的に慰安婦にした事実があるからで
ある。これは公知の事実になっているからだ。

自分の過去を誇りにする部分と、反省する部分を明確にして、世界
に対応しないと、世界は日本が国家主義になり、世界にまた危害を
与える可能性を見ることになる。反省するべきところを反省して、
誇れるところを誇るべきである。

それを、安倍晋三首相は10日、建国記念日を迎えるに当たり国民
向けのメッセージを発表し、「私たちの愛する国、日本をより美し
い、誇りある国にしていく責任を痛感し、決意を新たにしている」
と表明し、「先人の努力に感謝し、自信と誇りを持てる未来に向け
て日本の繁栄を希求する機会となることを切に希望」すると呼び掛
けた。 

そこには、誇りと反省が並んでいないことで、また問題視される可
能性があることになる。

そして、それがあるレベルになると、海外からの投資がなくなり、
日本は再度孤立化する危険性がある。

どうか、日本を誇るとともに、反省するべきことは反省すると言っ
て欲しいものである。

さあ、どうなりますか?

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安倍氏の「国家主義」懸念=靖国参拝など批判−英紙社説
 【ロンドン時事】10日付英紙フィナンシャル・タイムズは、「
やっかいな方向に向き始めた安倍氏の国家主義」との見出しの社説
を掲げ、安倍晋三首相の姿勢に懸念を表明した。
 社説は安倍氏が昨年末、「米政府の忠告や外交上の常識を無視し
て」靖国神社を参拝したと主張、また、NHKを人事などで「支配
」しようと試みていると批判。「就任後1年が過ぎ、少なくとも
2016年までは政権が持続する見込みの中、彼は国家主義的な課
題をさらに推し進めようとしている」と分析、「それは日本の民主
主義にとって懸念すべき影響をもたらしかねない」と指摘した。 
(2014/02/10-21:57)
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「誇りある国」へ決意=建国記念日で初のメッセージ−安倍首相
 安倍晋三首相は10日、建国記念日を迎えるに当たり国民向けの
メッセージを発表し、「私たちの愛する国、日本をより美しい、誇
りある国にしていく責任を痛感し、決意を新たにしている」と表明
した。政府が建国記念日の首相メッセージを発出するのは初めて。
 建国記念日の2月11日は、日本書紀で神武天皇が即位したとさ
れる日。メッセージで首相は、「先人の努力に深く敬意を表すとと
もに、平和と繁栄をさらに発展させ、次の世代も安心して暮らせる
よう引き継いでいくことはわれわれに課せられた責務」と強調。国
民に対しても「先人の努力に感謝し、自信と誇りを持てる未来に向
けて日本の繁栄を希求する機会となることを切に希望」すると呼び
掛けた。 
 菅義偉官房長官は10日午後の記者会見で、メッセージの発出は
首相自身の意思だと説明。会見では「右傾化の批判を受けるのでは
」という質問が出たが、菅長官は「祝日の趣旨に基づき首相がメッ
セージを出すことが、どうしてそういうことに取られるのか。取る
方が全くおかしい」と反論した。(2014/02/10-17:55)
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[FT]国家主義的傾向強める安倍首相(社説) 
2014/2/10 15:00
 日本経済の活性化を目指す大胆な戦略である安倍晋三首相の「ア
ベノミクス」の陰には台頭する中国の脅威がある。そもそも自民党
の関心が安倍氏に向かい、国民の多くが選挙で同氏を支持したのは
、拡大する中国の影響力への懸念が理由だった。安倍氏が、15年に
及ぶデフレを根絶し、経済力の向上を追求するのも同じ危機感から
だ。
 同氏は、歴史修正主義の立場から、日本は戦時の残虐行為を巡り
不当に批判されてきたと考えているが、これまでは経済運営を優先
してきた。ただ、就任後1年が過ぎ、少なくとも2016年まで政権の
安定が予想される今、国家主義的な政策を前面に押し出し始めてい
る。
 安倍氏は2013年12月、米国政府の忠告や外交上の懸念を無視して
靖国神社を参拝。その結果、中国との関係改善の見通しが大きく後
退、韓国とも緊張が高まっているようだ。靖国参拝の前には、過度
に厳しい特定秘密保護法案を成立させている。
 この政策に対する懸念は、官邸が影響力を持つNHKのトップ人
事でさらに強まった。会長に指名された籾井勝人氏は12月の就任記
者会見で「政府が右ということを左というわけにはいかない」と発
言し、多くの関係者を驚かせた。
 また、同氏は従軍慰安婦問題を「戦場地域にはどこの国にもあっ
た」などと発言、その後撤回したものの、大きな波紋を呼んでいる。
さらに、安倍氏が任命した別の経営委員が「南京大虐殺はなかった
」などと述べ、事態を悪化させた。原子力の利用が焦点となった東
京都知事選を前に、NHKは原子力業界に対する批判の抑制を図っ
たようにもみえる。自民党は基本的に原発推進を支持する立場だが
、11年に起きた東京電力福島第1原発の事故を受けて国民は警戒感
を強めている。
■議論の機会を狭めようとする安倍氏
 安倍政権は公の議論の幅を狭めようとしており、中国の日本批判
はそれを後押ししている。米世論調査機関ピュー・リサーチ・セン
ターが最近行った世論調査では、中国に肯定的な印象を持つ日本人
はわずか5%にすぎないことが分かった。国民の多くが受け身で、
意見を主張しない日本では、世論を操作しようとする安倍氏の政策
は危険だ。
 日本にとって議論すべき課題は多い。「集団的自衛権」の解釈を
変更し、同盟国などが攻撃された場合、自国への攻撃と見なして反
撃できるようにするのはその一つ。およそ世界に類を見ない戦争放
棄を定めた憲法9条の改正も議論が必要だろう。安倍氏にとって不
都合なのは、国民の大部分が戦後の平和主義を支持しており、同氏
のように保守的ではないということだ。安倍氏は、議論の機会を減
らすことで、自身に好ましい方向に世論を向かわせようとしている
ようだ。
 安倍氏は日本の近隣諸国にとって脅威だとする中国の主張はおお
むねばかげているが、同氏の政策は日本自身を脅かしかねない。中
国の脅威が口実にされ、日本の開かれた社会がたたかれればこれ以
上の悲劇はない。
(2014年2月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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中国、「戦勝国」外交に躍起=「日本脅威論」訴え−英仏ロに
「共闘」促す
 【北京時事】中国が歴史問題で対立する日本を念頭に、第2次世
界大戦の「戦勝国」に戦後秩序の堅持を主張する外交を展開してい
る。安倍晋三首相の靖国神社参拝など最近の日本の動きを「戦後の
国際秩序への挑戦」と捉える中国には、歴史問題で自らの正当性を
訴え、日本への国際的な圧力を強化する狙いがある。
 中国の劉暁明駐英大使は1月の英紙への寄稿で靖国参拝を非難し
た上で、「中英は共に第2次大戦の戦勝国だ。両国には国際社会と
協力して、戦後の平和的な合意の破棄や国際秩序への挑戦を狙った
発言や行動に反対する共通の責務がある」と訴え、英国に「対日共
闘」を促した。
 王毅外相が1月にフランスのファビウス外相と会談した際も中国
側は、「第2次大戦の結果と(戦後の)秩序を維持していくことで
一致した」と発表。習近平国家主席は今月6日にロシア・ソチでプ
ーチン大統領と会談し、来年に「反ファシズム戦争・抗日戦争勝利
70周年」を祝う活動を中ロ共同で行うことを決定したと発表した。
 中国側の発表ではプーチン氏も「ナチスのソ連などへの侵略と日
本軍国主義の中国国民らへの深刻な犯罪行為は忘れられてはならな
い」と同調したという。ただロシア政府はこうした発言を発表して
おらず、中ロの「温度差」が感じられる。
 中国は対国連外交でも歴史問題を持ち出している。習氏は潘基文
事務総長とソチで会談した席で「国連は反ファシズム戦争の勝利の
成果だ」と強調。さらに「隣国との友好実現には正しい歴史観を堅
持し、戦後の国際秩序を強固にしなければならない」と日本をけん
制した。
 中国は安倍政権の憲法改正などの動きも踏まえ「日本脅威論」を
国際社会に宣伝し、日本の孤立を図る戦略を描く。中国メディアで
は「日本の軍国主義復活を容認すれば、際限なく悪い方向に進み、
最終的に世界平和の大きな災いになる」(人民日報海外版)などと
国際社会に警鐘を鳴らす論調が目立っている。 
 華春瑩・外務省副報道局長も10日の記者会見で、中国の外交攻
勢と関連し「中国は他の戦争被害国や国際社会と共に歴史の正義を
断固守り、第2次大戦の結果と戦後の国際秩序を維持していきたい
」と語った。(2014/02/10-17:32)



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