4918.米量的緩和縮小で世界経済の変調



暴落状態となった2月4日の東京株式市場は、日経平均株価の前日
比下げ幅が600円を超え、終値は前日比610円66銭安の1万
4008円47銭。このため、昨日は、この事態を予測していた経
済学者の意見を聞いに行ってきた。

なぜ、このような大幅な下落にあったかというと、1つに米FRBが、
量的緩和拡大のハト派であったはずのイエレン議長のFRBが、そ
の資産買い入れ規模を100億ドルずつ縮小する量的緩和縮小のペ
ースを維持する可能性が高いためである。イエレン・ラリーといい
、期待値と違う驚きが、相場を混乱させているようだ。

相場は、噂で動き、事実で安定するという実体を持っている。この
ため、噂の今が一番動くことになる。もう1つが、実体経済に比べ
て、金融経済は10倍以上も大きいので、投資資金の動きは実体経
済を動かす。ということで、実体経済はよいが、どうしてと言って
もしょうがない。

そのため、リスク回避の動きになり、新興国への投資資金の回収と
安定した国債や金などのリスクオフ資産への移動である。

このにより、経常収支赤字の新興国から投資資金を回収しているた
めに、資金ショートが置きたアジア通貨危機の体験から新興国中央
銀行は、自国通貨の下落によるインフレを防止するために、金利を
上げることになる。

インド中央銀行のラジャンは、米FRBは世界のことを考えて欲しいと
いうクレームをしたが、FRBから、FRBは米国のために有り、新興国
のためにはないと吊れない返事である。

新興国経済は下がっているのに、金利を上げるために、景気はより
一層下がる事になる。これはしょうがないですね。この上に資源を
買ってくれる中国の経済も落ちて、資源が売れない。この試練を受
けているのが、アフリカ諸国とオーストラリアである。ダブルパン
チである。

そして、比較的安定している円、ドル、ユーロの国債に資金が移る
ために、新興国通貨安円高にシフトしている。リスクオフから株式
市場からも資金が逃げている。資金移動先の国債の長期金利は下落
するはずが、すでに日銀が大量に買っているので、変わらずという
ことになる。

もう1つが、アベノミックスで円安になっても経常収支が大幅な赤
字になり、国内の設備投資が大きくなく、海外投資家の失望感が大
きくなり、東京市場から撤退し始めた。もう1つが、安倍首相の強
気で戦争になる可能性が欧米では取り沙汰されて、地政学リスクが
意識されたことによる。このため、東証の下げは、欧米諸国に比べ
ても大きくなる。

成長戦略での構造改革が充分出来ていないので、ベンチャーが活躍
できない日本の経済環境を問題視している。公共事業に頼る経済政
策はいつか破綻があると見ている。

欧州は、やっと経常収支が黒字になり安定し始めて、ユーロ高にな
っている。問題が少ないと思われている。

7日の米国雇用統計が17万人以上、何処まで行くかが次の変わり
目になる。その後、11日の議会証言が次の注目ポイントだそうだ。

FRBがなぜ、ハト派のイエレン議長になったのに、タカ派になったか
というと、フィッシャー副議長の存在が起きいという。この人はタ
カ派であり、有名な経済学者である。

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FRBの緩和縮小、タカ派とハト派の重鎮が共に現行ペース維持を
想定
2014年 02月 5日 11:42 JST
[ウィンチェスター(米バージニア州)/デトロイト 4日 ロイ
ター] -米連邦準備理事会(FRB)当局者の中で政策について対
照的な考えを持つ2人が4日、それぞれ講演し、米経済の動向が予
想から大きく逸脱しない限り、FRBの資産買い入れ規模を100
億ドルずつ縮小する現行のペースが維持される可能性が高いとの見
方で一致した。

ただ、利上げの時期については両者は異なる見解を示した。 インフ
レを警戒するタカ派の代表格であるラッカー・リッチモンド地区連
銀総裁は2015年前半の利上げを見込む一方、高い失業率を懸念
するハト派のエバンズ・シカゴ地区連銀総裁は2015年もかなり
の期間、金利をゼロ近辺に据え置く公算が大きいとの見方を示した。

3月に開かれる次回の連邦公開市場委員会(FOMC)では、こう
した意見の相違がフォワードガイダンスの調整をめぐる議論の焦点
となる可能性がある。
<緩和縮小停止には高いハードル> FRBは昨年末、雇用見通しの
改善を理由に、金融危機後に導入した資産買い入れプログラムの縮
小に着手。過去2回のFOMCで、月次の買い入れ規模を100億
ドルずつ縮小した。
ただ、FRBが緩和縮小継続を示唆するなか、1月に発表された12
月の米雇用統計が予想を下回る弱い内容となったことや、新興国市
場の混乱を受け、FRBが方針を変えるとの見方が一部で浮上して
いる。
エバンズ総裁はデトロイトでの講演後、記者団に対し、雇用者数が
良好な数字となり、失業率が低下するなど経済はより持続可能な成
長を示しているとし、「資産買い入れペースの小幅縮小は時宜を得
た妥当なアプローチだ」と発言。「今後数回の会合で、現在の100
億ドルずつの縮小ペースから逸脱するハードルは高いと考える」と
語った。
景気が著しく悪化、もしくはインフレ率が想定外に上昇するような
事態に陥った場合のみ、FRBは買い入れ縮小を停止したり、ある
いは縮小ペースを加速する可能性があるとの見解を示した。
ラッカー総裁も同日、記者団に対し、緩和縮小停止のハードルは「
かなり高い」と発言。労働市場の見通しが大幅に改善するまで資産
買い入れを継続するとのFRBの方針に言及した上で、「現時点で
、金融市場の動向が労働市場の見通しに著しく影響していることは
確認していない」と語った。ただ、どのようなシナリオでハードル
を越えることがあり得るかとの質問には回答を控えた。
米株価については、過去1年を見れば好調だったとし、最近の下落
は成長予想の下方修正を反映している可能性があると指摘。
消費者や企業の支出が抑制されていることなどから今年の米成長率
は2%強に鈍化するとしている自身の予想に、市場の見解も近付き
つつある可能性があると述べた。FRB当局者による12月時点の
成長率見通しは2.2─3.3%となっており、ラッカー総裁の予
想はその下限となる。
総裁は、インフレ率については、今後1─2年に現在の低水準から
目標の2%に上昇すると予想した。
利上げ時期については、さまざまな要因に左右されるが、個人的に
は2015年前半を見込んでいると発言。「成長率が3、4四半期
にわたり持続的に3%、2.75%程度に加速した場合、利上げの
必要性を示す明確な兆候になるだろう」とした。一方で、より早い
段階で予防的に利上げすることも適切となる可能性があると述べた。
その上で、FRBは利上げに踏み切る前に意思伝達を行う公算が大
きいため、サプライズになるとは思わないと語った。
一方、エバンズ総裁は講演で「低インフレや失業率の高止まりを踏
まえると、短期政策金利は2015年になってもかなりの間、ゼロ
近辺にとどまると現時点で予想している」と発言。失業率は最低5
─5.25%まで低下する可能性があるものの、その後、望ましく
ない賃金上昇圧力が高まる恐れがあるとの見方を示した。
FRBはフォワードガイダンスで、失業率が6.5%を下回っても
、特にインフレ見通しが2.0%を下回る場合、かなりの期間、金
利をゼロ近辺に維持するとしている。ラッカー総裁はこれについて
、失業率が数値基準まで低下した際に修正が必要になると発言。「
時間軸について何らかの質的な評価を示すよう見直す必要がある」
と述べた。
エバンズ総裁もラッカー総裁も、今年のFOMCで投票権を持たな
い。
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日本の輸出企業、「産業空洞化」で円安によるプラス効果が減退
By TAKASHI NAKAMICHI
2014/02/04 7:18 pm WSJ
過去1年間の円の大幅下落にもかかわらず、日本の輸出企業は思うほ
ど力をつけていないもようだ。産業基盤の「空洞化」のため、円安
も成長に弾みをつけにくくなっている。
4月で実施から1年になる日銀の量的・質的金融緩和が、主要通貨に
対する円相場を大幅に押し下げた。これが輸出額の増加につながり
、昨年12月の輸出額は前年同月比15.3%急増した。それでも、日本
企業は海外での市場シェア拡大を目指すよりも、利益増大を狙って
海外での価格を変更せずにいるため、実際の輸出量はほとんど変わ
っていない。一方、輸入は急増し、昨年12月には前年同月比24.7%
増加した。
日本の製造業企業がここ数年、為替リスクを回避し、人口の縮小と
高齢化に伴う国内の需要減から身を守るため生産の大半を海外に移
転していることから、対応策が一段と難しくなっている。
家電大手の東芝は現在、同社のテレビ全部と家電の96%について、
生産を海外の工場に依存している。JVCケンウッドはカーナビシステ
ムの90%を海外で生産。ブリヂストンはタイヤの約70%を海外で生
産している。
2007年から11年にかけて円が対ドルで50%急伸した後、生産の海外
シフトが加速し、日本企業の利益に重くのしかかることになった。
円相場が上昇すれば、海外で得た利益が円換算で目減りするためだ。
伊藤忠経済研究所の主任研究員、丸山義正氏は、行き過ぎた円高が
あまりにも長期にわたって続き、各社は辛抱しきれずに日本を出て
行ったと指摘する。
トヨタ自動車は円が対ドルで1円動くたびに、年間の営業利益に400
億円の影響が出ると明らかにしている。
伝統的に製造業が中心の経済では、こうした産業の空洞化は懸念す
べき要因だ。日本が海外との貿易で利益を上げられなければ、巨額
の公的債務のファイナンスが一段と難しくなるとエコノミストらは
指摘する。
短期的には、輸出を押し上げなければ、日本経済が4月に導入される
消費増税を乗り切ることが一段と難しくなりかねない。
安倍晋三首相が2012年末に就任して以来、積極的な金融緩和政策を
背景に、円は約20%下落した。ただここ数日は、やや円高方向に振
れている。エコノミストらは、製造業各社が既に海外での工場建設
や従業員の採用を進め、サプライチェーンを確立しているとすれば
、こうした企業が生産を国内に戻すには円安では不十分だろうと指
摘する。
第一生命経済研究所の主席エコノミスト、永濱利廣氏は、日本を企
業の魅力的な投資先にするためには、構造改革の達成が必要だと指
摘。その上で、法人税引き下げや自由貿易協定の締結、労働市場の
規制緩和、国内エネルギーコストの引き下げが必要だとの見方を示
した。
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デフォルト回避、見えぬ出口 米の債務上限問題 7日の期限目前
も与野党綱引き
2014.2.4 21:14 産経[米国]
 【ワシントン=柿内公輔】米国の債務上限引き上げ期限が7日に
迫る中、オバマ政権と与野党の綱引きが続いている。デフォルト(
債務不履行)回避に歩み寄るとの観測も出ているが、中間選挙を視
野に野党共和党は少しでも譲歩を引き出そうともくろみ、与党民主
党でもオバマ大統領との不協和音が聞こえ始め、情勢が混沌(こん
とん)としている。
 政府は8日以降、債務上限(約17兆2010億ドル)を超える
借り入れができない。財務省は一部債券の発行停止などの緊急措置
でデフォルトを回避するが、それも月内が限界だとするルー財務長
官は3日の講演で、「政府の支払い義務が果たせなくなる」と、議
会に直ちに上限引き上げに同意するよう訴えた。
 行政予算管理局のパーウェル局長はロイター通信に先週、「議会
は混乱を望まない」と語り、共和党が数週間以内に引き上げに同意
すると指摘。複数の米メディアも共和党が歩み寄る構えをみせてい
ると報じた。
 だが、共和党は秋の中間選挙を意識し、オバマ政権から上限引き
上げの見返りに歳出削減などの譲歩を引き出したい考えで、コール
下院議員は1日、政権側に要求する項目について「党内で協議が続
いており、なお戦略を練っている」と明かした。こうした動きにル
ー長官は「引き上げは新たな歳出と無関係」で、共和党は無条件に
引き上げに応じるべきだと牽制(けんせい)した。
 一方、政権・与党の側も雲行きが怪しくなってきた。上院では保
守色が強い州で苦戦が予想される民主党議員がオバマ氏の政策を公
然と批判し始め、ルイジアナ州選出のランドリュー議員は医療保険
制度改革(オバマケア)の見直し法案を提出。大統領に強い通商権
限を認める大統領貿易促進権限法案をめぐっても、下院議員の8割
が反対し、上院トップのリード院内総務も「議会軽視だ」とオバマ
氏を批判した。大統領と与党の不和が債務上限問題の交渉に影響す
るとの懸念も広がり始めた。
 大統領も今週、上下院の民主党議員と会合を重ねて支持取り付け
を図る構えで、危機感を強めている。
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情報BOX:通貨防衛に追われる新興国中銀、利上げ圧力強まる
2014年02月04日(火)14時31分
[ロンドン 3日 ロイター] -新興市場の中央銀行は、自国通貨
支援や、通貨安に伴うインフレ対応のため、利上げ圧力にさらされ
ている。ブラジルやインドネシアなど一部の国はすでに利上げモー
ドに入っているが、ハンガリーやタイなどその他の諸国も現在のハ
ト派的政策の転換を市場に迫られる可能性がある。
以下は、既に利上げを実施したり、利上げが予想される国の一覧。
◎トルコ
1月29日の緊急会合で主要政策金利をすべて大幅に引き上げ。翌
日物貸出金利は7.75%から12%に、1週間物レポレートは
4.50%から10%に、翌日物借入金利は3.5%から8%に引
き上げた。
中銀は必要が生じれば流動性をさらに引き締める可能性があるとし
つつも、インフレ期待の抑制には現在の政策スタンスで十分と主張。
先月はドル入札と外為市場への直接介入に、推定55億ドル超を投
じた。
◎南ア
1月29日の金融政策委員会で、ほぼ6年ぶりの利上げ実施。政策
金利のレポレートを50ベーシスポイント(bp)引き上げて5.5
%とした。中銀は、利上げの目的は通貨防衛ではなくインフレ抑制
を狙ったものと強調。市場は今後6カ月で150bp以上の利上げ
織り込む。
◎インド
1月28日に予想外の利上げ。インフレ率を押し下げ、大規模な資
本流出リスクに備えるため、政策金利であるレポレートを7.75
%から25ベーシスポイント(bp)引き上げ、8%とすることを
決めた。
◎ブラジル
1月15日、政策金利を50bp引き上げ10.50%とし、予想
より大幅な利上げを実施。中銀は、インフレ率が高止まるなか、積
極的な利上げサイクルを減速させる用意はできていないことを示唆
した。ブラジル中銀は昨年4月以降、合計で325bpの利上げを
行っている。
◎インドネシア
1月9日の会合で、政策金利のBIレートを7.50%に据え置く
一方、資金流出のリスクを警戒すると表明。インドネシアは昨年6
月以来、175bp利上げしており、年内の追加利上げが予想され
ている。
◎タイ
1月22日の会合で、大方のアナリストらの利下げ予想に反し、政
策金利を2.25%に据え置いた。据え置き決定は4対3で、現在
の政局混乱が資本流出を招く事態を警戒していることが浮き彫りに
なった。
◎ハンガリー
1月21日、政策金利を過去最低の2.85%に引き下げ、市場を
驚かせた。ただ、通貨フォリントの最近の下落を背景に、金利市場
は向こう12カ月間で150bp超の利上げを織り込むようになっ
ている。
◎ロシア
中銀は為替介入に100億ドルを費やしたと推定されるが、通貨ル
ーブルが一段と下落すれば、政策引き締めを迫られる可能性もある。
◎メキシコ
1月31日、主要政策金利を3.50%に据え置いた。一方、ペソ
安がインフレに影響する可能性を警告した。カルステンス総裁は、
金融政策に調整の必要があるかどうか、検討していることを明らか
にした。
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東京株、下げ幅600円超える 1万4000円割れ寸前、4カ月
ぶり安値
2014.2.4 15:06  産経BIZ 
 暴落状態となった4日の東京株式市場は、日経平均株価の前日比
下げ幅が600円を超えた。終値は、前日比610円66銭安の1
万4008円47銭。昨年10月8日以来、ほぼ4カ月ぶりの安値
水準となった。
 午後の取引再開後に500円を割り込んだ後も、断続的にこの日
の安値を更新。取引時間中としては1月30日の530円安を上回
る今年最大の下げ幅となった。
 東証1部銘柄1780のうち1750前後と98%もの銘柄が値
下がりする全面安が続いた。
 前日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均が326ド
ル安と大幅続落するなど、欧米株式市場が軒並み下落した影響が終
日のしかかった。円相場が対ドルで101円前後まで値上がりした
状態が続き、マイナス材料となった。
 東証株価指数(TOPIX)の終値は、前日比57.05ポイン
ト安の1139.27。




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