4891.2014年はどうなるか?



この時期、2014年の予測記事が多い。2014年がどういう年
になるのか、いろいろな記事を通して見ておきたい。英文原本は最
後にリンクした。  津田より

0.大きな流れ
米中の覇権を掛けた攻防が始まている。その攻防の最前線に日本、
韓国、東南アジアが位置する状態である。中国が軍事力を近代化し
て、周辺諸国より優位になり、米国とも中国周辺地域では優位にな
り、中国の外交が自国の主張を押し出す変化をしたことで、日本を
含めた周辺諸国が自衛力整備に目覚めるという変化をした。

しかし、米国は中国から離れているので、周辺諸国より冷静に推移
を見ている。米国は中東などでテロ戦争をして、現時点、経済力の
復興に力を注ぎ、新しい戦争を開始したいと思っていない。このた
め、シリア内戦にも参戦しなかったようにオバマ大統領は、覇権国
としては海外への興味がない。オバマケアなど内政問題で手がいっ
ぱいという状態である。

また、米企業経営者は、中国ビジネスで大きな利益を得ているため
に、現時点で、米国が日本の味方をして中国と関係を悪化させるこ
とに反対している。米国のパートナーの国はどこかという調査でも
トップは例年日本であったが、2013年、中国になった。

このため、日中の尖閣諸島での領土紛争でも、日中戦争になり米国
も参戦する事態を現時点では、好ましく思っていない。このため、
日本に中国を刺激して不測の戦争になる行為をして欲しくない。

もう1つ、村山談話見直しを自民党総裁選挙時見直しを公約したこ
とと、安倍首相取り巻きが超国家主義者であり、第2次大戦の日本
は悪くないと正当化する評論家がいるために、米国民主党などのリ
ベラルは警戒している。

しかし、安倍政権になり、村山談話の見直しを中止したり、靖国神
社への参拝を自粛したことで、徐々に警戒心を解いていた。韓国朴
大統領に対しても日本との関係改善を要請していたし、中国にも日
本との関係を改善してくれと要求していた。

このような状況であるが、防空圏での飛行計画提出義務など中国の
軍事的な挑発で、国際的に見た状態で日本は、準戦時体制のように
なっている。しかし、日本は自国だけでは中国とは戦争ができない。
核兵器や中距離ミサイルなど中国の兵器体系を防御する兵器や組織
整備がないことで、米軍の強力な支援が必要である。

このような全体状態で、安倍首相が靖国神社に参拝した。その参拝
でどうなったかは論評しない。しかし、2度と戦争に負けることに
ならないように、日本国民は自制することが必要である。

今度は米国とは違い、皆殺しを平気でする中国との戦争になるので
、そして核戦争になるので、皆殺しにされるか、するかという戦争
になる。負ければ日本滅亡であり、勝てば中国滅亡であろう。

このような歴史観で第2次日中戦争を見ないといけない。このため
、今回は前回とは違い、米国を日本の強力な味方にしないといけな
い。

そして、大きな流れは日米での中国対抗という線は保持されている
ので、ナショナル・レビュー誌「Japan officially enters Cold War
 with China and Korea」で、AEI日本研究部長マイケル・オースリ
ンは、安倍首相の靖国神社参拝について、1985年中曽根首相参拝ま
では、問題にされなかったなど日本側の見解を正確に記述してくれ
ている。そして、中韓が安倍首相の首脳会談を拒否したので、それ
で参拝したというように、どちらかというと日本に好意的である。
米共和党主流派は自民党に好意的であり、米民主党は自民党に対し
て非好意的な印象がある。

安倍政権を擁護するマイケル・オースリンを日本に呼んで欲しいも
のである。そうすると、米国にもいろいろな意見があり、その時の
政権の動向を見て、日本の政治をしないといけないことがわかるは
ずだ。

1.経済見通し
プロジェクト・シンジケート誌にソロス氏の「The World Economy’s
 Shifting Challenges」が載っているが、欧米、日本、中国の近未
来の経済状況を予測している。

米国はシュールガスにより景気は回復し、FRBのバーナンキ議長
も金融環境や住宅市場の改善、金融緩和策の継続が「今後数四半期
、米経済成長の追い風になる」とした。欧州はドイツが中心になり
、統合を強めて欧州全体が経済復活する可能性が有る。日本はアベ
ノミックスで正常な日本になる。

しかし、中国は経済体制の変革ができるかどうか不安で、もし失敗
すると、世界経済に大きな影響を与える。

住宅産業が、GDPの35%を占めているが、それが不良資産化している。
国家経済において、国営企業が多く、その企業は危機意識がなく、
赤字でも人民銀行が貸しているので、徐々に負債が大きくなってい
る。民間企業への移行などが必要であるが、これができるのかとソ
ロスは見ている。

プロジェクト・シンジケート誌PINGFAN HONG氏「Hope and Hurdles 
in 2014」で、先進国経済は順調であるが、米QEの縮小で新興国経
済は大変なことになる。中国はQEの影響は受けないが、自国の問
題で経済は低調になると。

プロジェクト・シンジケート誌ルービニ教授は「Slow Growth and 
Short Tails」で、2014年も2013年より確実な成長になる。新興国も
少し低調になるが、中国も7%成長程度はできる。そして、大きなリ
スクはあまりない。まあ、そこそこの年になると見ていると。

ということで、中国の経済改革がどうなるかわからないが、先進国
経済は順調になり、新興国経済は少し落ちるというのが相場のよう
である。

2.安全保障系の見通し
ロシアの米国カナダ研究所のパーヴェル・ゾロタリョフ副所長は、
「中国はこの地域で何をどこまでやっていいのかを瀬踏みしている
。中国の政界では、軍事力と経済力が強まれば、強硬な政策に出て
も大丈夫だ、と考える勢力が影響力を増しているためだ。米国も米
国で、アジアにおける権益を守るためなら軍事力の行使も辞さない
と明言している。非常に危険な時期に差し掛かっている。両者とも
に、軍事衝突寸前のところまで、何をどこまでやってよいのか、探
り探り触手を伸ばしているのだ」という。

「最も鋭い対立は情報部門で起こった。水面下の情報戦が行われて
いる。今後も激しさを増していく一方だろう。それが表面化し、伝
統的な形態の戦争が始まる可能性もなしとしない。ところで、この
米中の利害の対立は、中国が他の近隣諸国と抱えているものと性質
を同じくしている。地域的対立の筆頭に挙げられるのは、日中関係
である」。

すでに、コラム化したが、ナショナル・インタレスト誌にグレアム
・アリソン・ハーヴァード大学ケネディ行政大学院教授「2014: Good
 Year for a Great War?」で、2014年は第一次世界大戦の始まった
100年前の1914年当時の状況によく似ているとしている。中国の拡張
が危険なレベルになっていて、日本と中国のちょっとした計算違い
や挑発、言動で戦争が起きるというのである。そして、中国が新し
い世界大戦の引き金を引く可能性があると。

英メディアも指摘しているが、今の米国は当時の英国に似て、大国
ではあるが世界の安全を保証する力はない。今の日本は当時のフラ
ンスのように、衰えた覇権主義国家と同盟を結び、自国の地域力は
衰退の一途をたどっている。そして、中国は当時のドイツに似てい
る。振興する経済力や、怒れる民族主義の高まり、急速に拡大する
軍事力など、一致する点は多い。

当時のドイツは自国の範囲を神聖ローマ帝国と同じ領土として防衛
的に主張していた。その状況に現在の中国が似ている。自国の核心
的利益というのは、昔、自国領土であった地域は自分のものである
という主張である。これは当時のドイツと同じなのである。

というように、基本的な線は変わらないので、日本と米国は共同し
て防衛するしかないのである。この状況でCSISは「Federated Defense
 Project」を始めた。米国と同盟国が協力して防衛力を強化する仕
組みを考えるというのである。米国の予算が減り、軍事費が落ちて
いるが、中国の台頭で安全保障上必要なことは、逆に増えている。

このため、米国と同盟国は協力して防衛力を整備するしかないので
ある。

1つ言えることは、米中対決が近くなり、日本は益々慎重な行動を
要求されるということである。

さあ、どうなりますか?


資料
The World Economy’s Shifting Challenges
http://www.project-syndicate.org/commentary/george-soros-maps-the-terrain-of-a-global-economy-that-is-increasingly-shaped-by-china

2014: Good Year for a Great War?
http://nationalinterest.org/commentary/2014-good-year-great-war-9652

Japan officially enters Cold War with China and Korea
http://www.nationalreview.com/corner/367098/japan-officially-enters-cold-war-china-and-korea-michael-auslin

Hope and Hurdles in 2014
http://www.project-syndicate.org/commentary/pingfan-hong-pingfan-hong-examines-the-global-economy-s-strengths-and-vulnerabilities-in-the-year-ahead-

Slow Growth and Short Tails
http://www.project-syndicate.org/commentary/nouriel-roubini-says-that-global-growth-will-pick-up-modestly-in-2014--while-the-risk-of-a-major-shock-will-diminish

Federated Defense Project
http://csis.org/program/federated-defense-project

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必要な限り緩和継続=成長に追い風−FRB議長
 【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナン
キ議長は3日、フィラデルフィア市で講演し、金融環境や住宅市場
の改善、金融緩和策の継続が「今後数四半期、米経済成長の追い風
になる」との認識を示した。懸念される財政面から見た制約も縮小
しているという。ただ、過去数年の市場混乱などを踏まえ「予測に
は慎重であるべきだ」とも語った。
 バーナンキ議長は昨年12月に決定した量的緩和策の縮小につい
ては「労働市場の確実な改善を反映したもの」などと説明。その上
で、量的緩和の縮小が「必要な限り金融緩和を継続するという確約
を弱めるものではない」と強調し、雇用改善と物価安定が達成され
るまで、FRBが超低金利政策などの金融緩和を続ける方針を改め
て指摘した。(2014/01/04-08:16)
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2014年は1914年の再演?米国は戦前の英国に、日本はフランスに、
中国はドイツに似ている―英メディア
Record China 1月3日(金)7時20分配信
2014年1月1日、中国の軍事関連掲示板・米尓社区は、2014年は第一
次世界大戦の始まった100年前の1914年当時の状況によく似ていると
する英メディアの指摘を紹介した。
2014年は1914年の再演になるのだろうか。米メディアは経済大国と
世界の強国のリーダー的地位に就こうとする中国が新しい世界大戦
の引き金を引く可能性を示唆した。その可能性はあるだろう。
英メディアも同様の結論を引き出している。「第一次世界大戦を回
顧すれば、憂慮でいっぱいになる」と題した記事では、「第一次世
界大戦から1世紀たった今、世界の状況は大戦前の状況によく似てい
る」として、懸念を示した。記事によると、今の米国は当時の英国
に似て、大国ではあるが世界の安全を保証する力はない。今の日本
は当時のフランスのように、衰えた覇権主義国家と同盟を結び、自
国の地域力は衰退の一途をたどっている。そして、中国は当時のド
イツに似ている。振興する経済力や、怒れる民族主義の高まり、急
速に拡大する軍事力など、一致する点は多い。
だが、一方で同記事は、こうした比較の不正確性も指摘している。
中国は当時のドイツのように領土の拡大に野心的ではない。米国の
国防予算は当時の英国よりも強大だ。しかし、この比較には世界に
警告を与えるだけの力が十分にあるといえよう。(翻訳・編集/本郷)
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2014年の米中関係:落ちれば一転軍事衝突の綱渡り
ウラジーミル・フョードロフ
30.12.2013, 13:36VOR
   2013年の米中関係は緊張したものだった。両者ともアジア太平洋
地域の主導権をめぐって鍔迫り合いを演じた。2014年もこの方向で
事態が進むであろう。両国関係は、右に落ちても左に落ちても軍事
衝突という細いロープを渡るかの観を呈しよう。この記事では米国
カナダ研究所のパーヴェル・ゾロタリョフ副所長がVORに披瀝してく
れた分析を紹介する。氏は次のように語っている。
   「中国はこの地域で何をどこまでやっていいのかを瀬踏みしてい
る。中国の政界では、軍事力と経済力が強まれば、強硬な政策に出
ても大丈夫だ、と考える勢力が影響力を増しているためだ。米国も
米国で、アジアにおける権益を守るためなら軍事力の行使も辞さな
いと明言している。非常に危険な時期に差し掛かっている。両者と
もに、軍事衝突寸前のところまで、何をどこまでやってよいのか、
探り探り触手を伸ばしているのだ」
   ゾロタリョフ氏は米中が密かに火花を散らしている「情報戦争」
についてもコメントを寄せてくれた。米中はこれまでもサイバー・
スパイについて相互に批判を繰り返していたが、2013年はそれが国
家レベルに表面化した。米国は自国の産業への攻撃についてかつて
なく激しい非難を中国相手に浴びせた。こうしたことが米中関係を
曇らせた一年であった。
   「最も鋭い対立は情報部門で起こった。水面下の情報戦が行われ
ている。今後も激しさを増していく一方だろう。それが表面化し、
伝統的な形態の戦争が始まる可能性もなしとしない。ところで、こ
の米中の利害の対立は、中国が他の近隣諸国と抱えているものと性
質を同じくしている。地域的対立の筆頭に挙げられるのは、日中関
係である」
   しかし経済的に見れば、米中はかつてなく緊密に結びついている
。通貨戦争も貿易戦争も何のその、2013年も、両国は互いに最重要
な貿易パートナーであった。この傾向は来年も続くであろう。ある
いはこれが「命綱」となるかも知れない。
   「中国の融資先・投資先の筆頭は米国である。投資は先端技術と
なって返ってくる。それが国内で工業生産される。これが中国の主
要な国家的利益である。加えて現在、多くの中国人留学生はが米国
に学んでいる。中国がわざわざ一線を踏み越えてこの好適な状況を
破壊する挙に出ることはないだろう」
   紛争がなく、相互に尊敬しあい、協力することが出来れば、米中
は両者ともども勝者となることが出来る。中国共産党第18会大会で
習国家主席はそう述べた。しかしそれを阻むのは、中国が軍事力を
増大させ、米国がアジアにおける自らの力を維持しようとする、こ
の状況である。
   ウラジーミル・フョードロフ
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首相、米の意向無視 靖国神社参拝前に自制要請
 【ワシントン共同】米政府当局者は26日、安倍晋三首相の靖国
神社参拝について、オバマ米政権が「中韓両国の反発を招き、大き
な国際問題になる」として、外交ルートを通じて首相に参拝を控え
るよう求めていたことを明らかにした。米側の意向が無視された格
好で米政府声明も「遺憾」などではなく、より批判的なトーンの「
失望」を選んだとしている。
 靖国参拝をめぐる日米間の温度差が浮き彫りになった。中韓との
関係だけでなく、今後の日米関係にも影を落とすことになりそうだ。
2013/12/27 07:22   【共同通信】
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新成長戦略、来年6月に 首相「構造改革進める」 
2013/12/26 2:05日本経済新聞 電子版
 安倍晋三首相は25日、日本経済新聞のインタビューで、雇用や農
業、医療分野を柱とした新たな成長戦略を来年6月をめどにまとめ
る方針を表明した。今年6月に決めた日本再興戦略に盛り込めなか
った規制緩和策や、産業の新陳代謝を促す企業支援などを打ち出す
見通しだ。政府と日銀が政策目標や景気認識を共有していくため、
黒田東彦日銀総裁と26日に会談するほか、定期的に協議する考えも
明らかにした。
 首相は金融緩和、財政…



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